(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】適応制御用ヒータバンドル及び電流漏れ低減方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H05B3/00 320C
H05B3/00 310C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022038965
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2019500460の分割
【原出願日】2017-07-07
【審査請求日】2022-04-13
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァリー、マーク・デー
(72)【発明者】
【氏名】ルアー、マイケル・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】シュタインハウザー、ルイス・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ホヴェン、マーク・エル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、リチャード・ティー
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-513922(JP,A)
【文献】特表2014-522650(JP,A)
【文献】特表2014-525251(JP,A)
【文献】米国特許第05552998(US,A)
【文献】米国特許第05105067(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータアセンブリが複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める、少なくとも1つのヒータアセンブリを備え、
前記ヒータユニットのそれぞれの前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された電源導体を介して前記ヒータユニットのそれぞれに電力を供給し、
前記ヒータアセンブリを介した電流漏れを低減するために、減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも1つのサブセットの前記独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に電圧が供給され、前記ヒータアセンブリの長さに沿って所望の熱分布を供給するように前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに供給される電力を動的に調整し、前記所望の熱分布は、特定の用途又はシステムパラメータの変動に適合されること
を含む加熱システムの制御方法。
【請求項2】
前記独立して制御される加熱ゾーンに、電圧が順次供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各加熱ゾーンの抵抗変化に基づいて、異なる加熱ゾーンに順次電圧が供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
異常状態に基づいて、少なくとも1つの加熱ゾーンがターンオフされ、同時に、残りのゾーンは選択的に電圧を受け続ける、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの加熱ゾーンの動作特性に基づいて、各加熱ゾーンに電圧を連続的に供給する割合が調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動作特性は、少なくとも1つの加熱ゾーンの抵抗、温度及び抵抗の経時的変化、
前記ヒータアセンブリの全域での流体の流量、独立して制御される加熱ゾーンの面積、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電気絶縁抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電流漏れ、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの回路抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンのゾーン回路EMF、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの誘電率、並びに、ヒータシステムにより加熱される流体の流れを生成する環境システムの特性のうちの1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各ヒータアセンブリが複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める、1以上のヒータアセンブリと、
前記ヒータユニットのそれぞれの前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された複数の電源導体と、
各ヒータアセンブリを介した電流漏れを低減するために、減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも1つのサブセットの前記独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、電圧が、前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に供給され、各ヒータアセンブリの長さに沿って所望の熱分布を供給するように前記複数の電源導体を介して、前記ヒータユニットの前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれへの電力を動的に調整するように構成され、前記所望の熱分布は、特定の用途又はシステムパラメータの変動に適合される、電源装置と
を備えるヒータシステム。
【請求項8】
前記電圧は、可変変圧器を介して選択的に供給される、請求項7に記載のヒータシステム。
【請求項9】
前記複数の電源導体は、互いに異なる材料で作られた電源供給導体及び電源戻り導体の少なくとも1つのセットを含む、請求項7に記載のヒータシステム。
【請求項10】
ヒータゾーンの数はnであり、電源供給及び戻り導体の数はn+1である、請求項7に記載のヒータシステム。
【請求項11】
前記電源
装置は、前記独立して制御される加熱ゾーンに前記電圧を順次供給する、請求項7に記載のヒータシステム。
【請求項12】
前記電源
装置は、各加熱ゾーンの抵抗変化に基づいて、異なる加熱ゾーンに電圧を順次供給する、請求項7に記載のヒータシステム。
【請求項13】
前記電源
装置は、異常状態に基づいて少なくとも1つの加熱ゾーンをターンオフし、同時に、残りのゾーンは選択的に電圧を受け続ける、請求項7に記載のヒータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気ヒータに関し、より詳細には、熱交換器などの流体の流れを加熱するためのヒータ及びその制御に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションの記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するだけであり、先行技術を構成しない可能性がある。
【0003】
流体加熱器は、カートリッジヒータの形態であってもよく、カートリッジヒータの外面に沿って又はそばを通り過ぎて流れる流体を加熱するためのロッド構成を有する。カートリッジヒータは、熱交換器を流れる流体を加熱するための熱交換器の内部に配置されてもよい。カートリッジヒータが適切に密封されていないと、湿気及び液体がカートリッジヒータに入り、カートリッジヒータの金属被覆から抵抗発熱体を電気的に絶縁する絶縁材料を汚染し、絶縁破壊が生じ、このため、ヒータが故障する可能性がある。また、湿気は、電源導体と外側金属被覆との間で、短絡を引き起こす可能性がある。カートリッジヒータの故障は、カートリッジヒータを使用する装置のコストのかかる停止時間を引き起こす可能性がある。
【0004】
さらに、動作中に、いくつかのヒータは、「電流漏れ」を経験する可能性があり、これは通常地面への電流の流れである。電気ヒータ内の導体を囲む絶縁体を介した電流漏れ及びこの状態は、電圧の上昇と過熱を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つの形態では、ヒータアセンブリが複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める、少なくとも1つのヒータアセンブリを備える加熱システムの制御方法が提供される。電力は、ヒータユニットのそれぞれの独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された電源導体を介してヒータユニットのそれぞれに供給され、この電力は、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに調整され、減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも一部の独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、電圧は、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に供給される。
【0006】
別の形態では、ヒータアセンブリが複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める、少なくとも1つのヒータアセンブリを備え、ヒータユニットのそれぞれの独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された電源導体を介してヒータユニットのそれぞれに電力を供給し、一度に電圧を受ける独立して制御される加熱ゾーンの総面積が減少するか、又は、少なくとも一部の独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に電圧が供給され、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに供給される電力を調整することを備える加熱システムの電流漏れ低減方法が提供される。
【0007】
別の形態では、各ヒータアセンブリが複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める、複数のヒータアセンブリを有するヒータバンドルと、ヒータユニットのそれぞれの独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された複数の電源導体とを備えるヒータシステムが提供される。電源装置は、減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも一部の独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、電圧が、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に供給され、複数の電源導体を介して、ヒータユニットの独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれへの電力を調整するように構成される。
【0008】
さらに別の形態では、複数のヒータユニットを有するヒータアセンブリを備えるヒータシステムが提供され、各ヒータユニットは、それぞれ少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める。電源導体は、各ヒータユニットの独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続され、電源装置は、電源導体を介してヒータユニットの独立して制御されるヒータゾーンのそれぞれへの電力を調整するように構成される。減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも一部の独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、電圧は、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に供給される。
【0009】
さらなる適用範囲は、本明細書で提供される説明から明らかになる。説明及び具体例は、例示の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定する意図ではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示が十分に理解されることができるように、添付の図面を参照しながら、例として与えられたその様々な形態について説明する。
【
図1】
図1は、本開示の教示に従って構成されたヒータバンドルの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のヒータバンドルのヒータアセンブリの斜視図である。
【
図3】
図1のヒータバンドルのヒータアセンブリの変形型の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のヒータアセンブリの斜視図であり、明確にするためにヒータアセンブリの外側被覆が取り外されている。
【
図5】
図5は、
図3のヒータアセンブリのコア体の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1のヒータバンドルを含む熱交換器の斜視図であり、説明の目的でヒータバンドルを露出させるために、ヒータバンドルは熱交換器から部分的に分解されている。
【
図7】
図7は、本開示の教示に従って構成されたヒータバンドルを含むヒータシステムを動作する方法のブロック図である。 ここで述べられる図面は、単に説明の目的のためであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、実際は、単に例示的なものであり、本開示、用途又は使用を限定するものではない。
図1に示すように、本開示の教示に従って構成されたヒータシステムは、参照符号10で通常示される。ヒータシステム10は、ヒータバンドル12、及び、ヒータバンドル12に電気的に接続された電源装置14を含む。電源装置14は、ヒータバンドル12への電力供給を制御するコントローラ15を含む。本開示において使用される「ヒータバンドル」は、独立して制御可能な2つ以上の物理的に異なる加熱装置を含むヒータ装置を指す。したがって、ヒータバンドル内の加熱装置の1つが故障又は劣化しても、ヒータバンドル12内の残りの加熱装置は動作し続けることができる。
【0012】
一形態では、ヒータバンドル12は、取付フランジ16、及び、取付フランジ16に固定された複数のヒータアセンブリ18を含む。取付フランジ16は、ヒータアセンブリ18が貫通する複数の開口20を含む。ヒータアセンブリ18は、この形態では平行に配置されているが、ヒータアセンブリ18の代替の位置/配置は、本開示の範囲内にあることを理解されたい。
【0013】
さらに示されるように、取付フランジ16は、複数の取付穴22を含む。取付穴22に通すネジ又はボルト(図示せず)を使用することにより、取付フランジ16は、加熱される流体を運ぶ容器又はパイプ(図示せず)の壁に取り付けることができる。ヒータアセンブリ18の少なくとも一部は、本開示のこの形態の流体を加熱するために、容器又はパイプ内部の流体に浸される。
【0014】
図2に示すように、一形態によるヒータアセンブリ18は、カートリッジヒータ30の形態でもよい。カートリッジヒータ30は、チューブ状のヒータであり、コア体32、コア体32に巻き付けられた抵抗発熱線34、コア体32及び抵抗発熱線34を内包する金属被覆36、及び、金属被覆36内の空間を満たして金属被覆36から抵抗発熱線34を電気的に絶縁し、抵抗発熱線34から金属被覆36への加熱を熱伝導するための絶縁材料38を通常備える。コア体32は、セラミック製でもよい。絶縁材料38は、圧縮された酸化マグネシウム(MgO)でもよい。複数の電源導体42は、長手方向に沿ってコア体32を貫通して、抵抗発熱線34に電気的に接続されている。電源導体42は、外側被覆36を密閉する端部44も貫通する。外部電源装置14から抵抗発熱線32に電源供給するために、電源導体42は、外部電源装置14(
図1参照)に接続される。
図2は、端部44を貫通する2つのみの電源導体42を示すが、3つ以上の電源導体42が端部44を貫通することができる。電源導体42は、導電ピンの形態でもよい。カートリッジヒータの様々な構成及びさらなる構造的並びに電気的な詳細は、米国特許第2,831,951号及び第3,970,822号により詳細に説明されており、これらは本出願と同一出願人に譲渡され、それらの内容は参照によりそっくりそのまま本明細書に組み込まれる。したがって、本明細書に示される形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するように構成されるべきではないことを理解されたい。
【0015】
あるいは、カートリッジヒータ30の信頼性を高めるために独立して制御することができる複数の加熱回路を形成するために、複数の抵抗発熱線34及び複数対の電源導体42を使用してもよい。したがって、抵抗発熱線34の1つが故障した場合、残りの抵抗線34は、カートリッジヒータ30全体が故障することなく、またコストのかかる機械のダウンタイムを引き起こすことなく、熱を発生し続けることができる。
【0016】
図3から
図5に示すように、ヒータアセンブリ50は、使用されるコア体の数及び電源導体の数を除いて、
図2の構成と同様の構成を有するカートリッジヒータの形態でもよい。より具体的には、ヒータアセンブリ50は、それぞれ、複数のヒータユニット52、及び、複数のヒータユニット52を内包する外側金属被覆54を、複数の電源導体56とともに含む。ヒータユニット52を外側金属被覆54から電気的に絶縁するために、複数の発熱ユニット52と外側金属被覆54との間には、絶縁材料(
図3から
図5には図示せず)が設けられている。複数のヒータユニット52は、それぞれ、コア体58及びコア体58を囲む抵抗発熱体60を含む。各ヒータユニット52の抵抗発熱体60は、1つ以上の加熱ゾーン62を定めるための1つ以上の加熱回路を定めてもよい。
【0017】
本形態では、各ヒータユニット52が1つの加熱ゾーン62を定め、各ヒータアセンブリ50内の複数のヒータユニット52が長手方向Xに沿って整列される。したがって、各ヒータアセンブリ50は、長手方向Xに沿って整列された複数の加熱ゾーン62を定める。各ヒータユニット52のコア体58は、電源導体56が貫通することを可能にするために、複数の貫通穴/開口64を定める。ヒータユニット52の抵抗発熱体60は、電源導体56に接続され、次に、電源導体56は、外部電源装置14に接続される。電源導体56は、電源装置14から複数のヒータユニット50に電力を供給する。電源導体56を抵抗発熱体60に適切に接続することによって、複数の発熱ユニット52の抵抗発熱体60を、電源装置14のコントローラ15により独立して制御することができる。したがって、特定の加熱ゾーン62に対する1つの抵抗発熱体60の故障は、残りの加熱ゾーン62に対する残りの抵抗発熱体60の適切な作動に影響を与えない。さらに、ヒータユニット52及びヒータアセンブリ50は、修理又は組立てを容易にするために交換可能にしてもよい。
【0018】
本形態では、5つのヒータユニット52上の5つの独立した電気加熱回路に電力を供給するために、各ヒータアセンブリ50に6つの電源導体56が使用される。あるいは、5つのヒータユニット52上の3つの完全に独立した回路を定めるように、6つの電源導体56を抵抗発熱体60に接続してもよい。任意の数の独立して制御される加熱回路及び独立して制御される加熱ゾーン62を形成するために、任意の数の電源導体56を有することができる。例えば、6つの加熱ゾーン62を設けるために、7つの電源導体56を用いてもよい。7つの加熱ゾーン62を設けるために、8つの電源導体56を用いてもよい。
【0019】
電源導体56は、複数の電源供給及び電源戻り導体、複数の電源戻り導体及び単一の電源供給導体、又は、複数の電源供給導体及び単一の電源戻り導体を含めてもよい。ヒータゾーンの数をnとすると、電源供給と戻りの導体の数はn+1である。
あるいは、外部電源装置14のコントローラ15による多重化、極性に敏感なスイッチング及び他の回路接続形態を通じて、より多くの電気的に異なる加熱ゾーン62が生成されてもよい。所定数の電源導体に対して、カートリッジヒータ50内の加熱ゾーンの数を増やすための熱配列の多重化又は様々な配置の使用(例えば、15又は30ゾーンに対する6つの電源導体を有するカートリッジヒータ)が、米国特許番号第9,123,755号、第9,123,756号、第9,177,840号、第9,196,513号及びそれらの関連出願に開示され、これらは本出願と同一出願人に譲渡され、それらの内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0020】
この構造では、各ヒータアセンブリ50は、ヒータアセンブリ50の長さに従って電力出力又は熱分布を変化させるように独立して制御することができる複数の加熱ゾーン62を含む。ヒータバンドル12は、複数のそのようなヒータアセンブリ50を含む。したがって、ヒータバンドル12は、特定の用途に適合されるように、ヒータバンドル12を流れる流体を加熱するために、複数の加熱ゾーン62、及び、調整された熱分布を提供する。電源装置14は、独立して制御される加熱ゾーン62のそれぞれへの電力を調整するように構成することができる。
【0021】
例えば、加熱アセンブリ50は、「m」個の加熱ゾーンを定めてもよいし、ヒータバンドルは「k」個の加熱アセンブリ50を含めてもよい。したがって、ヒータバンドル12は、m×k個の加熱ゾーンを定めてもよい。ヒータバンドル12内の複数の加熱ゾーン62は、個々のヒータユニット52の寿命及び信頼性、ヒータユニット52のサイズ及びコスト、局所ヒータ磁束、ヒータユニット52の特性及び動作、並びに、全電力出力を含むがこれらに限定されず、加熱条件及び/又は加熱要件に応じて個々にかつ動的に制御することができる。
【0022】
各回路は、温度の分布及び/又は電力がシステムパラメータ(例えば 製造のばらつき/許容誤差、環境条件の変化、入口温度などの流入条件の変化、入口温度分布、流速、速度分布、流体組成、流体熱容量など)の変動に適応するように、所望の温度又は所望の電力レベルで個々に制御される。より具体的には、ヒータユニット52は、経時的なヒータの劣化の変化度合いに加えて製造ばらつきのために、同じ電力レベルで操作された場合でも、同じ熱出力を発生させないかもしれない。ヒータユニット52は、所望の熱分布に従って熱出力を調節するように独立して制御されてもよい。ヒータシステムの構成要素の個々の製造許容誤差及びヒータシステムのアセンブリ許容誤差は、電源の調整された電力に応じて増加し、言い換えれば、ヒータ制御の高い忠実性のために、個々の構成要素の製造許容誤差は、きつく/狭くする必要はない。
【0023】
ヒータユニット52は、ヒータユニット52の温度を測定するための温度センサ(図示せず)をそれぞれ含めてもよい。ヒータユニット52内のホットスポットが検出されると、電源装置14は、特定のヒータユニット52の過熱又は故障を回避するために、ホットスポットが検出された特定のヒータユニット52への電力を低減又はオフしてもよい。電源装置14は、特定のヒータユニット52からの低減された熱出力を補償するように、無効にしたヒータユニット52に隣接するヒータユニット52への電力を調整してもよい。
【0024】
電源装置14は、任意の特定のゾーンに供給される電力レベルをオフ又は低減させ、かつ無効化されて熱出力が低減される特定の加熱ゾーンに隣接する加熱ゾーンへの電力を増加させるように、マルチゾーンアルゴリズムを含めてもよい。各加熱ゾーンへの電力を慎重に調整することにより、システムの全体的な信頼性を改善することができる。ホットスポットを検出し、それに応じて電源を制御することにより、ヒータシステム10は安全性が向上する。
【0025】
複数の独立して制御される加熱ゾーン62を有するヒータバンドル12は、改善された加熱を果たすことができる。例えば、ヒータユニット52上のいくつかの回路は、100%未満(又は、ライン電圧が印加された状態のヒータによって生成される電力の一部分である平均電力レベル)の公称(又は、“標準的な”)デューティサイクルで動作させてもよい。より低いデューティサイクルは、より大きな直径を有する抵抗発熱線の使用を可能にし、それによって信頼性を向上させる。
【0026】
通常、より小さなゾーンは、所定の抵抗を実現するためにより細いワイヤサイズを採用する。可変電力制御は、ヒータの電力損失容量に関連するデューティサイクルの制限でヒータを過負荷から保護しながら、より大きなワイヤサイズの使用を可能にし、より低い抵抗値に適合することができる。
【0027】
スケール因子の使用は、ヒータユニット52又は加熱ゾーン62の容量に関連させてもよい。複数の加熱ゾーン62は、ヒータバンドル12のより正確な決定及び制御を可能にする。特定の加熱回路/ゾーンに特定のスケール因子を使用することにより、ほぼすべてのゾーンでより積極的な(即ち、より高い)温度(又は、電力レベル)が可能になり、ひいてはヒータバンドル12のより小さくてコストが安い設計に通じる。このようなスケール因子及び方法は、米国特許番号第7,257,464に開示され、これは本出願と同一出願人に譲渡され、その内容は参照によりそっくりそのまま本明細書に組み込まれる。
【0028】
個々の回路によって制御される加熱ゾーンのサイズは、温度又は電力の分布を所望の精度に制御するのに必要なゾーンの総数を減らすために、等しく又は異なるようにすることができる。
図1に戻って参照すると、ヒータアセンブリ18はシングルエンドヒータであるように示されており、即ち、導電ピンは、ヒータアセンブリ18の長手方向の一方の端部のみを貫通している。ヒータアセンブリ18は、取付フランジ16又は仕切り(図示せず)を貫通して、フランジ16又は仕切りに密封されてもよい。したがって、ヒータアセンブリ18は、容器又はチューブから取付フランジ16を取り外すことなく、個々に取り外して交換することができる。
【0029】
あるいは、ヒータアセンブリ18は、“両端同形の”ヒータであってもよい。両端同形のヒータでは、金属被覆は、ヘアピン形状に曲げられ、金属被覆の長手方向両端部が通過するように、電源導体が金属被覆の長手方向両端部を通過して、フランジ又は仕切りに密封されてもよい。この構成では、個々のヒータアセンブリ18を交換する前に、フランジ又は仕切りをハウジング又は容器から取り外す必要がある。
【0030】
図6に示すように、ヒータバンドル12は、熱交換器70内に組み込まれている。熱交換器70は、内部チャンバ(図示せず)を定める密封ハウジング72、及び、ハウジング72の内部チャンバ内に配置されたヒータバンドル12を含む。密封ハウジング72は、密封ハウジング72の内部チャンバの内部及び外部に導かれる流体が通過する流入口76及び流出口78を含む。流体は、密封ハウジング72内に配置されたヒータバンドル12により加熱される。ヒータバンドル12は、クロスの流れ又はそれらの長さに平行の流れのいずれに配置してもよい。
【0031】
ヒータバンドル12は、外部電源装置14に接続され、外部電源装置14は、個々のゾーンに供給される電力を調整するために、スイッチング手段又は可変トランスなどの電力を調整する手段を含めてもよい。電力調整は、時間の関数として、又は、各加熱ゾーンの検出温度に基づいて実行してもよい。
【0032】
抵抗発熱線は、抵抗線の温度を測定するために抵抗線の抵抗を使用し、温度測定情報を電源装置14に送るために同じ電源導体を使用して、センサとして機能を果たしてもよい。各ゾーンの温度を検出する手段は、ヒータバンドル12内の各ヒータアセンブリ18の長さに沿った温度の制御を可能にする(個々のゾーンの分解能に下がるまで)。したがって、追加の温度センサ回路及び検知手段を省くことができ、それにより製造コストが低減される。ヒータ回路温度の直接測定は、個別のセンサを使用することに関連する多くの測定誤差を排除又は最小にするので、システムの所望の信頼性レベルを維持しながら、所定の回路内の熱流束を最大にしようとする場合に明確な利点である。発熱体温度はヒータの信頼性に最も大きな影響を与える特性である。ヒータとセンサの両方として機能するために抵抗体を使用することは、本出願と同一出願人に譲渡された米国特許第7,196,295号に開示され、その内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0033】
あるいは、電源導体56は、異種金属の電源導体56が抵抗発熱体の温度を測定するための熱電対を形成するように、異種金属で作られてもよい。例えば、電源供給及び電源戻り導体の少なくとも1つのセットは、異なる材料とヒータユニットの抵抗発熱体との間に接合部が形成されるような異なる材料を含めてもよく、1以上のゾーンの温度を決定するために使用される。ヒータに異なる金属を使用するなど、「一体化され」かつ「熱的に高い対の」検出を利用すると、熱電対のような信号の生成につながる。温度測定のために、一体化された、対の電源導体の使用は、米国出願第14/725,537に開示され、これは本出願と同一出願人に譲渡され、その内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0034】
各ゾーンに供給される電力を調整するコントローラ15は、閉ループ自動制御システムでもよい。閉ループ自動制御システム15は、各ゾーンからの温度フィードバックを受信し、各ゾーンへの電力供給を自動かつ動的に制御することにより、連続的又は頻繁な人の監視及び調節をせずに、ヒータバンドル12内の各ヒータアセンブリ18の長さに沿った電力分布及び温度を自動かつ動的に制御する。
【0035】
本明細書で開示されるヒータユニット52は、各ヒータユニット52を通電しサンプリングしてその抵抗を計算することを含むが、これに限定されない様々な方法を使用して較正してもよい。次に、計算された抵抗は、較正された抵抗と比較して、抵抗比、又は、そのあとに実際のヒータユニット温度を決定するための値を決定することができる。典型的な方法は、米国出願第5,280,422及び第5,552,998に開示され、これは本出願と同一出願人に譲渡され、その内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0036】
較正の1つの形態は、少なくとも1つの動作モードでヒータシステム10を動作させること、独立して制御される加熱ゾーン62の少なくとも1つに対して所望の温度を生成するようにヒータシステム10を制御すること、動作モードのための少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーン62のためのデータを収集して記録すること、その後、記録されたデータにアクセスして、独立して制御される加熱ゾーンの数が減少した加熱システムの動作仕様を決定すること、及び、その後、独立して制御される加熱ゾーンの数が減少した状態の加熱システムを使用することを含む。一例として、データは、そのデータが収集され記録されたヒータシステム10からの他の動作データの中の電力レベル及び/又は温度情報を含めてもよい。
【0037】
本開示の一変形形態では、ヒータシステムは、バンドル12内の複数のヒータアセンブリではなく、単一のヒータアセンブリ18を含めてもよい。単一のヒータアセンブリ18は、複数のヒータユニット52を備えてもよく、各ヒータユニット52は、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める。同様に、電源導体56は、各ヒータユニット62の独立して制御される加熱ゾーン62のそれぞれに電気的に接続され、電源装置は、電源導体56を介してヒータユニットの独立して制御されるヒータゾーン62のそれぞれへの電力を調整するように構成される。
【0038】
図7を参照すると、ヒータシステムを制御する方法100は、ステップ102において、複数のヒータアセンブリを備えるヒータバンドルを備えることを含む。各ヒータアセンブリは、複数のヒータユニットを含む。各ヒータユニットは、少なくとも1つの独立して制御される加熱回路(したがって、加熱ゾーン)を定める。ステップ104において、各ヒータユニットへの電力は、各ヒータユニット内の独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された電源導体を介して供給される。ステップ106において、各ゾーン内の温度が検出される。温度は、少なくとも1つのヒータユニットの抵抗発熱体の抵抗の変化を用いて決定してもよい。ゾーン温度は、ゾーン抵抗を測定することにより(又は、適切な材料が使用される場合、回路電圧の測定により)最初に決定されてもよい。
【0039】
温度値はデジタル化されてもよい。 信号は、マイクロプロセッサに伝達されてもよい。ステップ108において、測定された(検出された)温度値は、各ゾーンの目標(所望の)温度と比較されてもよい。ステップ110において、各ヒータユニットに供給される電力は、目標温度に達するように、測定温度に基づいて調整されてもよい。
【0040】
任意で、この方法は、調整された電力を調節するためのスケール因子を使用することをさらに含めてもよい。スケール因子は、各加熱ゾーンの加熱容量の関数でもよい。制御装置15は、アルゴリズムを含めてもよく、それはシステムの動的挙動のスケール因子及び/又は数学的モデル(システムの更新時間の知識を含む)を潜在的に含み、次の更新まで各ゾーンに提供される電力量(デューティサイクル、点弧位相角、電圧変調、又は、同様の技術、を介して)を決定する。所望の電力は、信号に変換されてもよく、その信号は、個々の加熱ゾーンへの電力出力を制御するためのスイッチ又は他の電力調整装置に送信される。
【0041】
本形態では、異常状態のために少なくとも1つの加熱ゾーンがターンオフされても、残りのゾーンは、故障せずに所望のワット数を供給し続ける。少なくとも1つの加熱ゾーンにおいて異常状態が検出された場合、電力は、作動する加熱ゾーンに所望のワット数を供給するために調整される。決定された温度に基づいて少なくとも1つの加熱ゾーンがターンオフされても、残りのゾーンは所望のワット数を供給し続ける。電力は、受信信号、モデル及び時間関数の少なくとも1つの関数として、加熱ゾーンのそれぞれに調整される。
【0042】
安全又はプロセス制御の理由から、一般的なヒータは、特定の場所での望ましくない化学的又は物理的反応(燃焼/火災/酸化、コークスボイルなど)により、ヒータの特定の位置が所定温度を超えることを防止するために、通常、最大許容温度を下回るように操作される。したがって、これは通常、保守的なヒータ設計(例えば、低電力密度で、かつ、他では可能かもしれないものよりはるかに低い熱流束がその表面の大部分に加えられた大型ヒータ)に適合される。
【0043】
しかしながら、本開示のヒータバンドルでは、ヒータ内の任意の位置の温度を測定して制限し、個々の加熱ゾーンのサイズのオーダの分解能まで下げることが可能である。個々の回路の温度に影響を及ぼすのに十分な大きさのホットスポットを検出することができる。
【0044】
個々の加熱ゾーンの温度は自動的に調節され、結果として制限されるので、各ゾーンの温度の動的かつ自動的な制限は、任意のゾーンの所望の温度リミットを超える恐れがなく、このゾーン及び他の全てのゾーンを最適な電力/熱流束レベルで動作することを維持する。これは、バンドル内の要素のうち1つの被覆に別々の熱電対を留める現在の実施を超える精度の高制限温度測定において利点をもたらす。低減されたマージン及び個々のゾーンへの電力を調整する能力は、ヒータアセンブリ全体に適用されるのではなく、選択的かつ個別に、加熱ゾーンに選択的に適用することができ、それによって予め決められた温度リミットを超えるリスクが低減される。
【0045】
カートリッジヒータの特性は、時間と共に変化する可能性がある。この時間変化特性は、ただ1つの選択された(より悪いケースの)流れの型のためにカートリッジヒータを設計することが別に必要になるかもしれず、その結果、カートリッジヒータは、他の流れの状態では準最適の状態で動作するかもしれない。
【0046】
しかしながら、ヒータアセンブリ内に設けられた複数の発熱ユニットよりバンドル全体にわたる電力分布をコアサイズの分解能まで下げる動的な制御によって、一般的なカートリッジヒータにおけるただ1つの流れの状態に対応するただ1つの電力分布とは対照的に、様々な流れの状態に対して最適化された電力分布を実現することができる。したがって、本出願のヒータバンドルは、他の全ての流れの状態についての合計の熱流束の増加を可能にする。
【0047】
さらに、可変電力制御は、ヒータ設計の柔軟性を高めることができる。電圧は、ヒータ設計において抵抗から(かなりの程度まで)分離することができ、ヒータは、ヒータに適合可能な最大ワイヤ直径で設計してもよい。これは、所定のヒータサイズ及び信頼性のレベル(又はヒータの寿命)に対する電力消失のための能力を増加させ、所定の全電力レベルに対してバンドルのサイズを減少させることを可能にする。この装置における電力は、現在利用可能な又は開発中の可変ワット数制御の一部である可変デューティサイクルにより調整することができる。ヒータバンドルは、ヒータバンドルの「過負荷」を防止するために、所定ゾーンのデューティサイクルについて、プログラム可能な(又は、必要に応じて予めプログラムされた)制限により保護することができる。
【0048】
本開示のさらに別の形態では、電流漏れを低減するための方法及び装置が提供される。加熱システムを制御する1つの方法は、上述のように、少なくとも1つのヒータアセンブリ、複数のヒータユニットを備えるヒータアセンブリ、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める各ヒータユニットを備える。各ヒータユニット内の独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された電源導体を介して各ヒータユニットに電力が供給され、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに供給される電力は調整される。電流漏れを低減するために、減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも一部(若しくはサブセット)の独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、電源からの電圧は、独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に供給される。一例では、電圧は可変変圧器によって選択的に供給されてもよい。
【0049】
独立して制御されるゾーンは、順に切り替えることができ、したがってゾーンの数(及び電位にさらされる電気絶縁体の断面積)を制限する。任意の与えられた時間に電位を受けるゾーンの数(及び面積)をゾーンの総数の数分の一に制限することによって、同様の比率で漏れ電流を減らすことができる。例えば、ヒータバンドルのゾーンが4つのグループ(必ずしも幾何学的に連続している必要はない)に分割されており、これらの各グループがヒータの総面積の約1/4をカバーしており、さらに、任意のある瞬間で時間内に4つのゾーンのうち1つ以下のゾーンに電源が投入されるようにスイッチング方式が設定されている場合は、ヒータからの全体的な漏れ電流を4分の1に(その元の値の25%に)減らすことができる。
【0050】
選択的な電圧の供給を達成するために、一形態では倍率が採用される。倍率は、本願と同一出願人に譲渡された米国特許第7,257,464号の教示に従って採用してもよく、その全内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。倍率は、調整した電力を調節すること、選択的に供給される電圧の大きさを決定すること、及び、電圧が選択的に供給される期間を決定することのうちの少なくとも1つのために採用されてもよい。
【0051】
さらに、倍率は、加熱システムの動作特性の関数でもよい。例えば、倍率は、特に、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電力消費容量、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの最大許容温度、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの露出加熱面積、加熱システムの熱挙動モデル、ヒータシステムにより加熱される流体の流れを生成する環境システムの特性、ヒータアセンブリの全域での流体の流量、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの面積、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電気絶縁抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電流漏れ、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの回路抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンのゾーン回路EMF、及び、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの誘電率、の関数にすることができる。
【0052】
別の形態では、倍率は、ワット数、選択的に供給される電圧の大きさ、及び、スケーリング関数の使用により各加熱ゾーンに供給される電圧がフルライン電圧で生成される値よりも小さい複数の値で選択的に供給される期間のうちの1つの値を制限する電力制限関数であり、スケーリング関数は、所望の値とフルライン電圧の値との間の比率であり、電力コントローラは、スケーリング関数により出力される割合を掛けることによりスケーリングされた出力を供給する。
【0053】
電圧が順に供給される独立して制御される加熱ゾーンの順序及び/又は位置は、用途の要件に応じて様々なものの任意のものでよい。例えば、次に独立して制御される加熱ゾーンの他の幾何学的領域に供給される前に、最初にヒータの周囲又は縁の周りに電圧を順次供給してもよい。また、各加熱ゾーンの抵抗変化に基づいて、異なる加熱ゾーンに電圧を順次供給してもよい。
【0054】
別の形態では、異常状態に基づいて少なくとも1つの加熱ゾーンがターンオフされ、同時に、残りのゾーンは選択的に電圧を受け続ける。
【0055】
さらに別の形態では、少なくとも1つの加熱ゾーンの少なくとも1つの動作特性に基づいて、各加熱ゾーンに電圧を連続的に供給する割合が調節される。動作特性は、一例として、少なくとも1つの加熱ゾーンの抵抗、温度及び抵抗の経時的変化、ヒータアセンブリの全域での流体の流量、独立して制御される加熱ゾーンの面積、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電気絶縁抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電流漏れ、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの回路抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンのゾーン回路EMF、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの誘電率、並びに、ヒータシステムにより加熱される流体の流れを生成する環境システムの特性でもよい。
【0056】
漏れ電流を低減する本開示のこの形態による方法は、少なくとも1つのヒータアセンブリに適用してもよく、ヒータアセンブリは複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットは独立して制御される加熱ゾーンを少なくとも1つ定める。本方法は、本開示の範囲内において、本明細書に開示されたヒータ及びヒータシステムの任意の実施形態と共に採用することができる。
【0057】
本開示は、説明され例示された実施形態に限定されないことに留意されたい。非常に様々な変形が記載されており、その多くは当業者の知識の一部である。本開示及び本特許の保護の範囲を逸脱することなく、これら及びさらなる変形は、技術的均等物による任意の代替品と同様に、この説明及び図面に加えられてもよい。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ヒータアセンブリが複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める、少なくとも1つのヒータアセンブリを備え、
前記ヒータユニットのそれぞれの前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された電源導体を介して前記ヒータユニットのそれぞれに電力を供給し、
減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも1つのサブセットの前記独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に電圧が供給され、前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに供給される電力を調整すること
を含む加熱システムの制御方法。
[2]
調整した電力を調節すること、選択的に供給される電圧の大きさを決定すること、及び、電圧が選択的に供給される期間を決定することのうち少なくとも1つのための倍率を使用すること
を含む[1]に記載の方法。
[3]
少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電力消費容量、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの最大許容温度、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの露出加熱面積、加熱システムの熱挙動モデル、ヒータシステムにより加熱される流体の流れを生成する環境システムの特性、ヒータアセンブリの全域での流体の流量、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの面積、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電気絶縁抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電流漏れ、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの回路抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンのゾーン回路EMF、及び、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの誘電率のうち少なくとも1つの関数として倍率を使用することを
を含む[2]に記載の方法。
[4]
前記倍率は、ワット数、選択的に供給される電圧の大きさ、及び、スケーリング関数の使用により各加熱ゾーンに供給される電圧がフルライン電圧で生成される値よりも小さい複数の値で選択的に供給される期間のうちの1つの値を制限する電力制限関数であり、前記スケーリング関数は、所望の値とフルライン電圧の値との間の比であり、電力コントローラは、前記スケーリング関数により出力される割合を掛けることによりスケーリングされた出力を供給する、[2]に記載の方法。
[5]
前記独立して制御される加熱ゾーンの予め決められ幾何学的領域に、電圧が順次供給される、[1]に記載の方法。
[6]
各加熱ゾーンの抵抗変化に基づいて、異なる加熱ゾーンに順次電圧が供給される、[1]に記載の方法。
[7]
異常状態に基づいて、少なくとも1つの加熱ゾーンがターンオフされ、同時に、残りのゾーンは選択的に電圧を受け続ける、[1]に記載の方法。
[8]
少なくとも1つの加熱ゾーンの動作特性に基づいて、各加熱ゾーンに電圧を連続的に供給する割合が調節される、[1]に記載の方法。
[9]
前記動作特性は、少なくとも1つの加熱ゾーンの抵抗、温度及び抵抗の経時的変化、ヒータアセンブリの全域での流体の流量、独立して制御される加熱ゾーンの面積、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電気絶縁抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの電流漏れ、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの回路抵抗、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンのゾーン回路EMF、少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンの誘電率、並びに、ヒータシステムにより加熱される流体の流れを生成する環境システムの特性のうちの1つである、[8]に記載の方法。
[10]
各ヒータアセンブリが複数のヒータユニットを備え、各ヒータユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱ゾーンを定める、1以上のヒータアセンブリと、
前記ヒータユニットのそれぞれの前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに電気的に接続された複数の電源導体と、
減少した数の独立して制御される加熱ゾーンが一度に電圧を受けるか、又は、少なくとも1つのサブセットの前記独立して制御される加熱ゾーンが低減された電圧を常に受けるように、電圧が、前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれに選択的に供給され、前記複数の電源導体を介して、前記ヒータユニットの前記独立して制御される加熱ゾーンのそれぞれへの電力を調整するように構成された電源装置と
を備えるヒータシステム。
[11]
前記電圧は、可変変圧器を介して選択的に供給される、[10]に記載のヒータシステム。
[12]
電源供給及び電源戻り導体の少なくとも1つのセットは、異なる材料とヒータユニットの抵抗発熱体との間に接合部が形成され、1以上のゾーンの温度を決定するために使用されるような異なる材料を備える、[10]に記載のヒータシステム。
[13]
ヒータゾーンの数はnであり、電源供給及び戻り導体の数はn+1である、[10]に記載のヒータシステム。
[14]
前記電源は、前記独立して制御される加熱ゾーンの予め決められ幾何学的領域に前記電圧を順次供給する、[10]に記載のヒータシステム。
[15]
前記電源は、各加熱ゾーンの抵抗変化に基づいて、異なる加熱ゾーンに電圧を順次供給する、[10]に記載のヒータシステム。
[16]
前記電源は、異常状態に基づいて少なくとも1つの加熱ゾーンをターンオフし、同時に、残りのゾーンは選択的に電圧を受け続ける、[10]に記載のヒータシステム。