(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】電気端子をロックするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H01R13/42 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022057876
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】102021000010583
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519223712
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ イタリア ディストリビューション エッセ エッルレ エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マルチェロ ファリノラ
(72)【発明者】
【氏名】チンツィア アルフェーリ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ ジェンタ
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-062055(JP,A)
【文献】特開2018-206518(JP,A)
【文献】特開2019-102325(JP,A)
【文献】特開2001-351716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口ハウジング(300)用のケーブル入口アセンブリ(1000)であって、
少なくとも1本のケーブル(600,600’)の入口を覆うためのケーブル入口カバー(200)と、
前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の端子(500)を挿入するための少なくとも1つの開口部(110)を含み、かつロック解除位置とロック位置との間でスライド可能なロック要素(100)と、を備えたケーブル入口アセンブリにおいて、
前記ロック要素(100)は第1の結合要素(120)を含み、前記ケーブル入口カバーは(200)、前記第1の結合要素(120)に結合するように構成されている第2の結合要素(210)を含み、
前記ケーブル入口カバー(200)の入口(240、240’)への前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の挿入方向に平行な第1の方向(D1)に沿った前記ケーブル入口カバーの変位が、前記ロック解除位置と前記ロック位置との間の
、前記第1の方向(D1)に直交
する第2の方向(D2)に沿った前記ロック要素(100)のスライドを誘発して、前記端子(500)の位置をロックするようになっていることを特徴とする、ケーブル入口アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の結合要素(120)はスライド要素を含み、前記第2の結合要素(210)は突出傾斜要素を含み、前記スライド要素と前記突出傾斜要素とは互いに沿ってスライドするように構成されている、請求項1に記載のケーブル入口アセンブリ(1000)。
【請求項3】
前記第1の結合要素(120)は、前記第2の結合要素(210)の第2の傾斜面(211)に当接する第1の傾斜面(121)を含み、前記第1の結合要素(120)と前記第2の結合要素(210)とは互いにスライドできるようになっている、請求項1または2に記載のケーブル入口アセンブリ(1000)。
【請求項4】
前記第2の結合要素(210)は、前記ロック要素(100)の方を向く前記ケーブル入口カバー(200)の内面(201)から突出する、請求項1から3のいずれか一項に記載のケーブル入口アセンブリ(1000)。
【請求項5】
前記第1の結合要素(120)は、前記ロック要素(100)に形成されている側である第1の側を有し、
前記第2の結合要素(210)は、前記ロック要素(100)のスライド後に、前記第2の結合要素(210)の一部が前記第1の結合要素(120)
の前記第1の側から離れた前記第1の方向(D1)に沿った位置で位置決めされたままであって、前記ロック要素(100)と前記ケーブル入口カバー(200)との相対位置をブロックするように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のケーブル入口アセンブリ(1000)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開口部(110)は、交差する2つの円の形状を有し、それにより、前記ロック要素(100)のスライドは、前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の前記端子(500)を最初に第1の円(111)に、次に第2の円(112)に挿入させる、請求項1から5のいずれか一項に記載のケーブル入口アセンブリ(1000)。
【請求項7】
前記第1の円(111)は前記第2の円(112)よりも大きく、前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の前記端子(500)が前記第2の円(112)に挿入されると、前記端子(500)の位置がロックされる、請求項
6に記載のケーブル入口アセンブリ(1000)。
【請求項8】
前記第1の円(111)の直径が前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の端子(500)の直径よりも大きく、前記第2の円(112)の直径が前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の前記端子(500)の直径に等しく、前記端子(500)が前記第2の円(112)に挿入されると、前記端子(500)の位置がロックされるようになっている、請求項
6または7に記載のケーブル入口アセンブリ(1000)。
【請求項9】
少なくとも1つの電気端子(310)を封入するための入口ハウジングアセンブリ(2000)であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の前記ケーブル入口アセンブリ(1000)と、
少なくとも1つの電気端子(310)を含む入口ハウジング(300)とを備え、
前記ケーブル入口カバー(200)は、前記少なくとも1つの電気端子(310)に接続され
る前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の前記端子(500)
のための前記入口ハウジング(300)における入口を覆うように構成されている、入口ハウジングアセンブリ。
【請求項10】
前記入口ハウジング(300)は、前記ロック解除位置と前記ロック位置との間でスライドしている間に前記ロック要素(100)を導くためのガイドスロット(341)を含む、請求項9に記載の入口ハウジングアセンブリ(2000)。
【請求項11】
前記ケーブル入口カバー(200)は、前記入口ハウジング(300)に形成された対応する事前位置決め座部(320)に結合されるラッチを含む、1つまたは複数の事前位置決め要素(220)を含み、前記入口ハウジング(300)に対する前記ケーブル入口カバー(200)の正確な位置決めを可能にする、請求項9または10に記載の入口ハウジングアセンブリ(2000)。
【請求項12】
前記座部(320)の各々は、前記事前位置決め要素(220)の各々について2つのブロック座部を含む、請求項11に記載の入口ハウジングアセンブリ(2000)。
【請求項13】
前記ケーブル入口カバー(200)は、前記入口ハウジング(300)に形成された対応するセンタリング座部(330)に係合するセンタリング要素(230)を含み、前記入口ハウジング(300)に対する前記ケーブル入口カバー(200)の正確な位置決めを可能にする、請求項9から12のいずれか一項に記載の入口ハウジングアセンブリ(2000)。
【請求項14】
入口ハウジング(300)の少なくとも1つの電気端子(310)に接続される少なくとも1本のケーブル(600、600’)の端子(500)の位置をロックするための方法であって、
a)前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の前記端子(500)を挿入するための少なくとも1つの開口部(110)を含むロック要素(100)を、前記入口ハウジング(300)に位置決めすることと、
b)前記ロック要素(100)と前記入口ハウジング(300)とをケーブル入口カバー(200)で覆うことと、を含む方法において、
c)前記ロック要素(100)に形成された第1の結合要素(120)が前記ケーブル入口カバー(200)から突出する第2の結合要素(210)に接触するように、前記ケーブル入口カバー(200)を位置決めするステップと、
d)前記ケーブル入口カバー(200)を
前記ケーブル入口カバー(200)の入口(240、240’)への前記少なくとも1本のケーブル(600,600’)の挿入方向に平行な第1の方向(D1)に沿って押し、前記ケーブル入口カバー(200)の
前記第1の方向(D1)に沿った変位が、ロック解除位置とロック位置との間の
、前記第1の方向(D1)に直交
する第2の方向に沿った前記ロック要素(100)の変位を誘発して、前記少なくとも1本のケーブル(600、600’)の前記端子(500)の位置をロックするようにするステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
e)前記ケーブル入口カバー(200)に形成されたラッチを含む事前位置決め要素(220)を、前記入口ハウジング(300)に形成された対応する事前位置決め座部(320)に係合させて、前記ケーブル入口カバー(200)と前記入口ハウジング(300)とを予め固定することによって、前記ケーブル入口カバー(200)の正しい位置決めを制御するステップをさらに含み、
前記ステップe)は前記ステップc)の前に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
f)端子(500)を含む少なくとも1本のケーブル(600、600’)を前記ケーブル入口カバー(200)の対応する
前記入口(240、240’)に挿入するステップをさらに含み、
前記ステップf)は前記ステップe)の後に行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
g)前記ケーブル入口カバー(200)に形成されたセンタリング要素(230)を前記入口ハウジング(300)に形成された対応するセンタリング座部(330)に係合させて、前記入口ハウジング(300)に対する前記ケーブル入口カバー(200)の正しい向きを保証し、前記ケーブル入口カバー(200)における
前記第1の方向(D1)に沿った力の均一な分散を保証することによって、前記ケーブル入口カバー(200)の正しい位置決めを制御するステップをさらに含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気端子用のロック要素の技術分野に関する。特に、本発明は、ロック位置においてケーブル端子の後方への移動を阻止し、かつケーブル入口カバーに結合するように構成されているロック要素に関する。
【背景技術】
【0002】
電気デバイスに接続された電気端子を所定の位置に保持するためのロック要素を備える入口ハウジングを提供することが、先行技術で知られている。
【0003】
米国特許第10,850,631(B2)号明細書は、チャンバを囲むようにハウジングの後部に結合されるカバーを備える、充電入口アセンブリ用のレセプタクルコネクタを開示している。カバーは、電源ケーブルを受け入れ、かつ電源ケーブルがチャンバから出ることを可能にするケーブル出口(例えば、開口部)を含むことができる。充電入口アセンブリは、ハウジングにおいて端子アセンブリをロックするための二次ロックアセンブリをさらに含むことができる。二次ロックアセンブリは、ハウジングにおいてロック位置とロック解除位置との間でスライドすることができる。ロック位置で、二次ロックアセンブリは端子アセンブリに係合し、端子アセンブリが端子チャネルから後退することを阻止する。
【0004】
米国特許第7,410,372(B2)号明細書は、本体と、本体に旋回可能に接続されたカバーと、電気ボックスに取り付けられた異なる電気デバイスを収容し、かつそれらの電気デバイスの位置をブロックするように設計された異なるベースとを有する電気ボックスアセンブリを開示している。各ベースは、電気ボックスの形状を補完する寸法を有し、鍵穴状の開口部を備え、この開口部は、ベースを電気レセプタクルおよび電気ボックスに結合するためのねじを受け入れるように構成されている。組立て作業中、ねじの頭が鍵穴状の開口部の大きい開口領域を通過できるように、ねじが少し緩められる。
【0005】
米国特許出願公開第2020/0220300(A1)号明細書は、下部シェルと上部シェルとを有する内部ハウジングを備える、電気デバイス用のデバイスハウジングを開示している。内部ハウジングは、下部シェルに形成されたケーブル着座プロファイルと、上部シェルに形成されたフラッシュケーブルカバープロファイルとを含み、したがって、デバイスに引き回すことのできるケーブルを挿入するためのケーブル挿入開口部が、ハウジングに形成される。内部ハウジングはさらにクランプ本体を保持し、このクランプ本体は、ケーブルの外面に押し付けることができ、かつ摩擦嵌合コンタクトを形成してケーブルを所定の位置に保持することができるように構成されている。
【0006】
前述した構成において、作業者は、ケーブルを入口ハウジングの電気端子に接続した後、手動でロック要素を配置して電気端子を所定の位置に保持し、次いで、ロック要素をねじによって固定する必要がある。最後に、作業者は、カバーを入口ハウジングに取り付け、カバーの輪郭に沿ってロック機構をスナップ嵌めすることによりカバーを固定する。
【0007】
先行技術で知られている構成は、すべての構成部品の正確な位置合わせを必要とし、さらにロック要素を他の電気要素に固定するためにねじを使用する必要があるため、組立てが困難である。さらに、組立てプロセスに時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、対応するケーブル入口カバーによって押されると自動的にロック位置へスライドし、かつ入口ハウジングに固定されるねじの存在を必要としないロック要素を提供することによって、前述した問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、入口ハウジング内のケーブル端子の位置を固定するためのロックデバイスに関する。ロックデバイスは、ケーブル入口カバーに形成された対応するスライド要素に沿ってスライドするように構成されているスライド要素を含む。スライド要素の存在により、ケーブル入口カバーとロックデバイスとの組立てが簡単になる。これは、ケーブル入口カバーがケーブルの挿入方向に平行な鉛直方向に沿って押されると、ロックデバイスは垂直方向に沿ってスライドするように誘発されて、ケーブル端子の位置を固定し、入口ハウジングの対応する電気端子との接続を確実にするからである。
【0010】
本発明の実施形態によれば、入口ハウジング用のケーブル入口アセンブリであって、
少なくとも1本のケーブルの入口を覆うためのケーブル入口カバーと、
少なくとも1本のケーブルの端子を挿入するための少なくとも1つの開口部を含み、かつロック解除位置とロック位置との間でスライド可能なロック要素とを備え、
ロック要素は第1の結合要素を含み、ケーブル入口カバーは、第1の結合要素に結合するように構成されている第2の結合要素を含み、鉛直方向に沿ったケーブル入口カバーの変位が、ロック解除位置とロック位置との間の直交方向に沿ったロック要素のスライドを誘発して、端子の位置をロックするようになっている、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0011】
この構成は、鉛直方向から水平方向への力の移行により、ロック要素を容易かつ確実に閉じることができるので有利である。ロック要素を閉じることにより、ケーブル端子が入口ハウジングの対応する電気端子に接続される構成において、ケーブル端子の位置をロックするができる。さらに、本発明によれば、ユーザによる手動操作が不要であるため、組立てプロセスが加速および簡略化される。さらに、ロック要素を他の構成部品に固定するためにねじは不要である。
【0012】
本開示において、鉛直方向とは、ケーブル入口カバーの入口へのケーブルの挿入方向に平行な方向を示す。したがって、直交方向は、ケーブル入口カバーの入口へのケーブルの挿入方向に垂直である水平方向であってよい。ロック要素は、ロック解除位置とロック位置との間で水平方向に沿ってスライドすることが好ましい。
【0013】
好ましい実施形態によれば、ケーブル端子の位置は、ケーブル入口カバーに加わる鉛直力の結果としてケーブル端子が水平方向に沿って変位したときに、ロック要素によって自動的にロックされる。実際には、ロック要素とケーブル入口カバーとは、ロック要素に形成された第1の結合要素とケーブル入口カバーに形成された第2の結合要素とによって結合され、2つの結合要素は、ケーブル入口カバーに加わる鉛直力がロック要素の水平方向の変位を誘発することを保証する。
【0014】
ロック要素は、入口ハウジングにおいてロック位置とロック解除位置との間でスライド可能であることが好ましい。ロック位置で、二次ロックアセンブリは、1つまたは複数のケーブル端子に係合し、それらのケーブル端子が入口ハウジングの対応する端子チャネルから後退することを阻止する。
【0015】
好ましい構成において、端子を有する複数本のケーブルがケーブル入口カバーの対応する入口に挿入され、ケーブル端子は入口ハウジングの対応する電気端子に接続される。ロック要素がロック位置に設定されると、すべてのケーブル端子が同時にロックされ、入口ハウジングの対応する端子チャネルから後退することが阻止される。
【0016】
任意の数の開口部が、任意の数の対応するケーブル端子を収容するようにロック要素に形成され得ることが好ましい。例えば、開口部は、異なる寸法を有するケーブル端子を収容するために、異なる寸法を有することができる。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、第1の結合要素はスライド要素を含み、第2の結合要素は突出傾斜要素を含み、それにより、スライド要素と突出傾斜要素とは互いにスライドするように構成されている、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0018】
この構成は、第1の結合要素と第2の結合要素との間のスライドにより、ロック要素による端子の容易かつ確実な自動ロックが可能になるため、ケーブル入口カバーに加わる鉛直力からロック要素に加わる水平力への移行が可能になるという利点を有する。
【0019】
本発明のさらなる実施形態によれば、第1の結合要素は、第2の結合要素の第2の傾斜面に当接する第1の傾斜面を含み、第1の結合要素と第2の結合要素とは互いにスライドできるようになっている、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0020】
この構成の利点は、第1の結合要素と第2の結合要素とが互いに重なるように容易にスライドすることができ、ケーブル入口カバーに加わる鉛直力をロック要素に加わる水平力に変換できることである。その結果、ロック要素は、ロック解除位置からロック位置へスライドし、入口ハウジングの対応する電気端子に接続された1つまたは複数のケーブル端子の位置を自動的にロックする。
【0021】
使用中、第1の結合要素の第1の傾斜面が第2の結合要素の第2の傾斜面に最初に接触して、第1の傾斜面の縁部のみが第2の傾斜面の縁部に接触するようになっていることが好ましい。スライド後に、第2の結合要素における第1の結合要素の相互スライドの結果として、第1の傾斜面全体が第2の傾斜面に当接していることが好ましい。
【0022】
本発明のさらなる実施形態によれば、第2の結合要素は、ロック要素の方を向くケーブル入口カバーの内面から突出する、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0023】
この構成は、ケーブル入口カバーがロック要素に配置されたときに、第2の結合要素がロック要素の第1の結合要素に接触するので有利である。
【0024】
代替構成によれば、1つまたは複数の第2の結合要素が、ケーブル入口カバーの内面から突出し、ロック要素に形成された対応する1つまたは複数の第1の結合要素に結合されている。例示的な実施形態において、4つの第2の結合要素が、ケーブル入口カバーの内面に形成され、内面において対称に分散されている。例えば、第2の結合要素の各々は、ケーブル入口カバーの内面の対応する角部に配置される。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によれば、第2の結合要素は、ロック要素のスライド後に、第2の結合要素の一部が第1の結合要素の後ろに位置決めされたままであって、ロック要素とケーブル入口カバーとの相対位置をブロックするように構成されている、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0026】
この構成の利点は、ケーブル入口カバーを閉じた後に、第2の結合要素が第1の結合要素の後ろに位置決めされたままであることにより、ロック要素が移動できないことである。このようにして、ロック要素とケーブル入口カバーとの間の確実なブロックが、追加のねじを必要とせずに保証される。したがって、ケーブル入口アセンブリの組立て後にケーブルの位置がブロックされるだけでなく、ケーブル入口カバーとロック要素との相互位置も、組立て後に自動的に固定される。
【0027】
第2の結合要素は、第2の傾斜面の長さが第1の傾斜面の長さよりも長くなるように構成されていることが好ましい。
【0028】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの開口部は、交差する2つの円の形状を有し、それにより、ロック要素のスライドは、少なくともケーブルの端子を最初に第1の円に、次に第2の円に挿入することを可能にする、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0029】
この構成は、ロック要素のスライド後に、ケーブル端子の位置がロック要素によって固定およびブロックされるという利点を有する。ケーブル端子は最初に開口部の第1の円に挿入され、ロック要素のスライド後に、ケーブル端子が第2の円に挿入されるようにロック要素が移動することが好ましい。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、第1の円は第2の円よりも大きく、少なくとも1本のケーブルの端子が第2の円に挿入されると、端子の位置がロックされる、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0031】
この構成の利点は、ロック要素のスライド後に、ケーブル端子を入口ハウジングの対応する電気端子との接続位置から取り外すことができないことである。
【0032】
ケーブル端子は、最初に大きい円に挿入され、ロック要素のスライド後に、小さい円に移動することによりロックされることが好ましい。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、第1の円の直径が対応するケーブル端子の直径よりも大きく、第2の円の直径が対応するケーブル端子の直径に等しく、対応するケーブル端子が第2の円に挿入されると、対応するケーブル端子の位置がロックされるようになっている、ケーブル入口アセンブリが提供される。
【0034】
この構成は、ロック要素がロック位置にスライドされると、ケーブル端子が入口ハウジングの対応する電気端子に係合およびブロックされ、その接続位置から移動できないという利点を有する。
【0035】
ケーブル端子は、端子直径よりも大きい直径を有する円に最初に挿入され、ロック要素のスライド後に、ケーブル端子は、端子直径に等しい直径を有する第2の円に押し込まれることが好ましい。したがって、ケーブル端子の位置は、自動的かつ確実に固定される。
【0036】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの電気端子を封入するための入口ハウジングアセンブリであって、
前述したケーブル入口アセンブリと、
少なくとも1つの電気端子を含む入口ハウジングとを備え、
ケーブル入口カバーは、少なくとも電気端子に接続された少なくとも1本のケーブルの端子の入口を覆うように構成されている、入口ハウジングアセンブリが提供される。
【0037】
この構成の利点は、組立てプロセスが加速および簡略化されることである。実際には、作業者の介入を必要とせず、ケーブル入口カバーに鉛直力を加えることによる、ケーブル入口カバーとロック要素との間の相互スライドによって、対応する端子に接続されたケーブルの位置が自動的にロックされる。さらに、ケーブル入口アセンブリと入口ハウジングとは互いに単にスナップ嵌めされて閉じられるので、これらの構成部品の相互位置を固定するために追加のねじを使用する必要はない。
【0038】
本開示において、入口ハウジングとは、複数の電気端子および/または電気コンタクトを含む任意の電気部品を示すことを理解されたい。
【0039】
この解決策は、あらゆる種類のケーブル、例えば、ACケーブル、PEケーブル、およびDCケーブルを組み立てるために採用され得ることが好ましい。
【0040】
入口ハウジングアセンブリは、180°に設定されたケーブル構成を含み、ケーブル端子は、ケーブル入口カバーの入口に挿入され、電気的接続のために端子チャネルに直接挿入されることが好ましい。
【0041】
好ましい構成において、ケーブル入口カバーは入口ハウジングにスナップ嵌めされ、ロック要素は入口ハウジングにスナップ嵌めされる。したがって、入口ハウジングアセンブリの要素の相対位置を固定するためにねじを使用する必要はない。
【0042】
本発明のさらなる実施形態によれば、入口ハウジングは、ロック解除位置とロック位置との間でスライドしている間にロック要素を導くためのガイドスロットを含む、入口ハウジングアセンブリが提供される。
【0043】
この構成の利点は、ロック要素が入口ハウジングに形成されたガイドスロットによって導かれるので、ロック解除位置とロック位置との間で容易にスライドできることである。
【0044】
好ましい実施形態において、ロック要素は、支持面によって支持され、入口ハウジングに形成された所定のトラックに沿って、ロック解除位置とロック位置との間で自由にスライドすることができる。
【0045】
本発明のさらなる実施形態によれば、ケーブル入口カバーは、入口ハウジングに形成された対応する事前位置決め座部に結合されるラッチを含む、1つまたは複数の事前位置決め要素を含み、入口ハウジングに対するケーブル入口カバーの正確な位置決めを可能にする、入口ハウジングアセンブリが提供される。
【0046】
この構成の利点は、入口ハウジングアセンブリの正しい組立てが、入口ハウジングに形成された対応する事前位置決め座部に係合可能な事前位置決め要素によって保証されることである。
【0047】
事前位置決め要素は、ケーブル入口カバーから突出し、かつ入口ハウジングの対応する事前位置決め座部にラッチ止め可能なラッチを含むことが好ましい。事前位置決め要素は可撓性要素であることが好ましい。
【0048】
好ましい実施形態において、偶数の事前位置決め要素、好ましくは4つの事前位置決め要素または2つの事前位置決め要素がケーブル入口カバーに形成されてよい。事前位置決め要素は、ケーブル入口カバーの周囲に対称に、例えば各側に2つずつ分散され得ることが好ましい。
【0049】
本発明のさらなる実施形態によれば、事前位置決め座部の各々は、事前位置決め要素の各々について2つのブロック位置を含む、入口ハウジングアセンブリが提供される。
【0050】
この構成の利点は、ケーブル入口カバーと入口ハウジングとの組立てが段階的に行われ、事前位置決め要素が入口ハウジングの対応する事前位置決め座部に正しく挿入されていることを確認することによって、各ステップ中のケーブル入口カバーと入口ハウジングとの正しい位置決めが容易に監視されることである。ケーブル入口カバーと入口ハウジングとの正しい位置決めは、ケーブル入口カバーの入口がロック要素の開口部および入口ハウジングの電気端子に位置合わせされることを保証する。さらに、ケーブル入口カバーと入口ハウジングとの正しい位置決めは、第1の結合要素と第2の結合要素とが位置合わせされ、互いに重なるようにスライドできることを保証する。
【0051】
好ましい構成によれば、事前位置決め座部は、第1のブロック座部と第2のブロック座部とを含む。例えば、第1のブロック座部および第2のブロック座部は、ラッチ溝を含むことができる。事前位置決め要素は、最初に第1のブロック座部に係合することが好ましい。第1のブロック構成において、第1の結合要素と第2の結合要素とは互いに完全には当接せず、縁部のみが接触していることが好ましい。
【0052】
その後、事前位置決め要素は第2のブロック座部に係合する。第2のブロック構成において、第2の結合要素は第1の結合要素に当接する。第2のブロック位置において、ケーブル入口カバーは入口ハウジングをシールすることが好ましい。
【0053】
ラッチの一部を押して、フック部分を持ち上げ、第1のブロック座部から取り外し、第2のブロック座部にラッチ止めすることによって、事前位置決め要素を第1のブロック座部から第2のブロック座部に移動させることができることが好ましい。
【0054】
本発明のさらなる実施形態によれば、ケーブル入口カバーは、入口ハウジングに形成された対応するセンタリング座部に係合するセンタリング要素を含み、入口ハウジングに対するケーブル入口カバーの正確なセンタリングを可能にする、入口ハウジングアセンブリが提供される。
【0055】
この構成の利点は、センタリング要素によって、ケーブル入口カバーに加わる閉じ力がケーブル入口カバーの全面に均一に加わり、ケーブル入口カバーが入口ハウジングに対して傾かないことを保証することである。さらに、センタリング要素は、入口ハウジングに対するケーブル入口カバーの好ましい向きを規定し、この向きは、第1の傾斜面と第2の傾斜面とが互いに重なるようにスライドできる向きに対応する。したがって、システムが誤って閉じることを防止する。
【0056】
センタリング要素は可撓性要素であることが好ましい。
【0057】
好ましい構成において、2つのセンタリング要素は、ケーブル入口カバーの2つの反対側の面に形成されてよい。2つのセンタリング要素は互いにわずかにずれて、ケーブル入口カバーと入口ハウジングとを結合するための好ましい向きが規定されるようになっていることが好ましい。
【0058】
好ましい実施形態によれば、センタリング要素はラッチを含み、センタリング座部は相補的なラッチを含む、入口ハウジングアセンブリが提供される。
【0059】
本発明のさらなる実施形態によれば、入口ハウジングの少なくとも1つの電気端子に接続された少なくとも1本のケーブルの端子の位置をロックするための方法が提供される。この方法は、
a)少なくとも1本のケーブルの端子を挿入するための少なくとも1つの開口部を含むロック要素を、入口ハウジングに位置決めするステップと、
b)ロック要素と入口ハウジングとをケーブル入口カバーで覆うステップと、
c)ロック要素に形成された第1の結合要素がケーブル入口カバーから突出する第2の結合要素に接触するように、ケーブル入口カバーを位置決めするステップと、
d)ケーブル入口カバーを鉛直方向に沿って押し、ケーブル入口カバーの鉛直方向の変位が、ロック解除位置とロック位置との間の直交方向に沿ったロック要素の変位を誘発して、少なくとも1本のケーブルの端子の位置をロックするようにするステップとを含む。
【0060】
この構成の利点は、ケーブル入口カバーに加わる鉛直力がスライドシステムによって水平力に変換されて、ロック要素の水平移動を保証するシステムによって、ロック要素がロック位置にスライドされることである。ロック要素がロック位置にスライドすることにより、ケーブルの端子を確実にブロックする。したがって、組立てプロセスは、管理し取り扱う構成部品を減らすことにより、加速および簡略化される。
【0061】
好ましくは、ロック要素は、ケーブル入口カバーが押し下げられるまで、その初期位置から移動することができない。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によれば、入口ハウジングは、入口ハウジングの対応する端子に接続される1本または複数本のケーブルを挿入および収容するための開口部を含む。ロック要素は、入口ハウジングにスナップ嵌めされ、1本または複数本の対応するケーブルを挿入するための1つまたは複数の開口部を含むことが好ましい。ロック要素および入口ハウジングは、対応するケーブルを挿入するための複数の入口を有するケーブル入口カバーによって覆われることが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、ケーブル入口カバーに鉛直力が加わることにより、ロック要素のスライドを誘発し、ロック要素をロック解除位置からロック位置へ移動させ、挿入されたケーブルの端子の位置が固定およびロックされる。
【0063】
本発明の好ましい実施形態によれば、
e)ケーブル入口カバーに形成されたラッチを含む事前位置決め要素を、入口ハウジングに形成された対応する座部に係合させて、ケーブル入口カバーと入口ハウジングとを予め固定することによって、ケーブル入口カバーの正しい位置決めを制御するステップをさらに含み、
このステップe)は前記ステップc)の前に行われる、方法が提供される。
【0064】
この構成の利点は、ケーブル入口カバーとロック要素とが正しい相互位置に配置され、ケーブル端子の位置をロックするために、容易かつ確実に互いに重なるようにスライドできることが保証されることである。事前位置決め要素の存在により、ロック要素とケーブル入口カバーとが互いに対して誤って位置決めされているため互いに重なるようにスライドできないことを防止する。
【0065】
本発明の好ましい実施形態によれば、
f)端子を含む少なくとも1本のケーブルをケーブル入口カバーの対応する入口に挿入するステップをさらに含み、
このステップf)は前記ステップe)の後に行われる、方法が提供される。
【0066】
この構成の利点は、ブロックされる端子を含むケーブルが、ケーブル入口カバーと入口ハウジングとの間の正しい位置決めが保証された後にのみ挿入されることである。このようにして、ケーブル入口カバーの入口がロック要素の開口部および入口ハウジングの電気端子に位置合わせされ、これにより正しい電気的接触が得られることが保証される。
【0067】
本発明の好ましい実施形態によれば、
g)ケーブル入口カバーに形成されたセンタリング要素を入口ハウジングに形成された対応するセンタリング座部に係合させて、入口ハウジングに対するケーブル入口カバーの正しい向きを保証し、ケーブル入口カバーにおける鉛直力の均一な分散を保証することによって、ケーブル入口カバーの正しい位置決めを制御するステップをさらに含む方法が提供される。
【0068】
この構成の利点は、ケーブル入口カバーに鉛直力が加わるときに、センタリング要素によって力の均一な分散が保証されることである。このようにして、ケーブル入口カバーは、正しい係合位置に対して傾くことができない。さらに、センタリング要素は、入口ハウジングに対するケーブル入口カバーの好ましい向きを規定し、この向きは、第1の傾斜面と第2の傾斜面とが互いに重なるようにスライドできる向きに対応する。したがって、システムが誤って閉じることを防止する。
【0069】
添付図面を参照しながら、本発明について説明する。図中、同一の参照番号および/または符号は機械の同じ部分および/または同様の部分および/または対応する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の実施形態によるロック要素の概略立体図である。
【
図2】本発明の実施形態によるケーブル入口カバーの概略立体図である。
【
図3】本発明の実施形態による入口ハウジングアセンブリの概略分解図である。
【
図4】本発明の実施形態による入口ハウジングアセンブリの概略切欠側面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、電気ケーブルをさらに備える入口ハウジングアセンブリの概略切欠側面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、入口ハウジングにおけるロック要素の位置の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態による、電気ケーブルをさらに備える入口ハウジングアセンブリの概略断面図である。
【
図8】本発明の実施形態による、入口ハウジングに組み付けられたロック要素の概略上面図である。
【
図9】本発明の実施形態による、入口ハウジングアセンブリの概略上面図である。
【
図10】本発明の実施形態による、ロック要素がロック解除位置にある初期構成における、入口ハウジングアセンブリの概略断面図である。
【
図11】本発明の実施形態による、ロック要素がロック位置にある最終構成における、入口ハウジングアセンブリの概略断面図である。
【
図12】本発明の実施形態による、事前位置決め要素およびセンタリング要素の詳細を示す、ケーブル入口カバーの概略側面図である。
【
図13】本発明の実施形態による、事前位置決め座部の2つのブロック座部を区別することができる、入口ハウジングに組み付けられたロック要素の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下で、添付図面に示す特定の実施形態を参照しながら、本発明について説明する。それにもかかわらず、本発明は、以下の詳細な説明に記載され図示される特定の実施形態に限定されず、代わりに、記載される実施形態は、添付の特許請求の範囲によってその範囲が定義される、本発明のいくつかの態様を単に例示する。
【0072】
本発明のさらなる変更および変形形態が、当業者には明らかであろう。したがって、本説明は、添付の特許請求の範囲によってその範囲が定義される、本発明のすべての変更および/または変形形態を含むものとして考慮されなければならない。
【0073】
簡単にするために、同一または対応する構成要素は同じ参照番号で図示されている。
【0074】
図1は、本発明の実施形態による、端子アセンブリの位置をロックするためのロック要素100の概略立体図である。例示的な実施形態において、ロック要素100は、入口ハウジングにおける端子アセンブリの位置をブロックするための二次ロック要素であってよい。ロック要素100は、対応するハウジングにおいてロック解除位置とロック位置との間でスライド可能である。ロック位置で、ロック要素は端子に係合し、端子がハウジングの端子チャネルから後退することを阻止する。
【0075】
ロック要素100は、端子を含む対応するケーブルを挿入するための複数の開口部110を備える、略平坦な面を含む。ロック要素100はベース要素130をさらに備え、ベース要素130は、入口ハウジングにおけるロック要素100の正しいスライドを保証するように構成されている。
【0076】
ロック要素100の平坦面に、第1の結合要素120が形成され、これにより、ロック要素100の自動スライドが可能になる。第1の結合要素120は、下記の
図4、
図10、および
図11から明らかなように、ケーブル入口カバー200に形成された対応する第2の結合要素210に結合するように構成されている。第1の結合要素120は、スライド要素を含み、特に、ケーブル入口カバー200の対応する第2の傾斜面211上をスライドすることができる第1の傾斜面121を含む。
【0077】
ロック要素100の各開口部110は、交差する2つの円の形状を有し、第1の円111および第2の円112を含む。
図1および
図8に明確に見られるように、第1の円111は、第2の円112よりも大きく、開口部110に挿入されるケーブルの端子の直径よりも大きい。第2の円112は、開口部に挿入されるケーブルの端子の直径に等しい直径を有する。このようにして、端子は、最初に第1の円111に容易に挿入され、その最初のロック解除位置からその最終的なロック位置へわずかに自由に移動することができる。実際には、ロック要素100のスライド後に、端子は、第2の円112に挿入されるロック位置へ動かされる。第2の円112は、端子の直径に相当する直径を有するので、端子は、この位置から自由に移動することができなくなり、入口ハウジングの対応する電気端子への完全かつ確実な接続が保証される。
【0078】
図1および
図8に7つの開口部110が開示されていても、任意の数の開口部110、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の開口部110がロック要素100に形成されていてもよいことを理解されたい。さらに、開口部110は、異なる形状および寸法を有する対応する端子を収容するために、異なる形状および寸法を有することができることを理解されたい。
【0079】
図2は、本発明の実施形態によるケーブル入口カバー200の概略立体図である。ケーブル入口カバー200は、開口部を有する平行六面体の形状を有する。ケーブル入口カバー200の第1の面に、対応するケーブルを挿入するための複数の入口240、240’が設けられている。ケーブル入口カバー200内に、第2の結合要素210が形成され、この第2の結合要素210は、ロック要素100に形成された対応する第1の結合要素120に結合し、かつロック要素100の自動スライドを保証するように構成されている。第2の結合要素210は、傾斜面211を有する突出構造体であり、この傾斜面211は、第1の結合要素120の対応する傾斜面上をスライドすることができる。構造体を軽量化し、容易に製造できるようにするために、第2の結合要素210の第2の傾斜面211に複数の溝が形成されることが好ましい。
図5および6に示すように、ロック要素100とケーブル入口カバー200とは結合されて、ケーブル入口アセンブリ1000を形成することができる。
【0080】
ケーブル入口カバー200の側面に、ラッチを含む事前位置決め要素220が設けられ、この事前位置決め要素220は、ケーブル入口カバー200とカバー200によって閉じられる入口ハウジング300(
図3参照)との間の正しい位置決めを保証するように設計されている。特に、長い側面に4つの事前位置決め要素220が設けられ、すなわち各側に2つの事前位置決め要素220が設けられている。短い側面に2つのセンタリング要素230がさらに設けられ、すなわち各側に1つのセンタリング要素230が設けられている。4つの事前位置決め要素220が開示されていても、任意の偶数の事前位置決め要素220、例えば、2つ、6つ、8つ、またはそれ以上の事前位置決め要素220がケーブル入口カバー200に形成されていてもよいことを理解されたい。
同様に、
図2に2つのセンタリング要素230が開示されていても、任意の偶数のセンタリング要素、例えば、4つ、6つ、またはそれ以上のセンタリング要素230がケーブル入口カバー200に形成されていてもよい。
【0081】
事前位置決め要素220は偶数で形成され、対称に配置されて、ケーブル入口カバー200と入口ハウジング300との対称な係合を保証することが好ましい。
【0082】
センタリング要素230は、ケーブル入口カバー200の好ましい向きを規定するように設計されているので、ケーブル入口カバー200の周囲に沿って対称に分散されていないことが好ましい。例えば、
図8または
図9に見られるように、2つのセンタリング要素230は、同じ軸に沿って位置決めされず、互いにわずかにずれている。このようにして、組立てプロセス中に、ユーザが第1の結合要素120に対して間違った向きで第2の結合要素210を取り付けることが防止される。言い換えると、センタリング要素230は、第1の傾斜面211が第2の傾斜面121に沿ってスライドできるように2つの結合要素が取り付けられることを保証する。さらに、センタリング要素230は、入口ハウジング300に対するケーブル入口カバー200のいかなる傾きも防止する。
【0083】
事前位置決め要素220およびセンタリング要素230の動作原理については、
図10および
図11を参照して詳細に後述する。
【0084】
ケーブル入口カバー200は、入口ハウジング300の対応する開口部を閉じるように構成されている。「入口ハウジング300」という用語は、複数の電気端子および/または任意の数の電気コンタクトを含む任意の電気部品を示すことを理解されたい。
【0085】
入口ハウジング300、ロック要素100、およびケーブル入口カバー200を備える入口ハウジングアセンブリ2000の概略立体図が、
図3に示されている。
図3の入口ハウジングアセンブリ2000の分解図では、入口ハウジング300が開口部を含み、端子を有する1本または複数本のケーブルを対応する端子チャネルに挿入し、対応する電気端子に接続することができることが明確に見られる。入口ハウジング300の外周に、水または埃に対する保護を保証するためのシール要素400がさらに設けられていることが好ましい。
【0086】
ロック要素100を入口ハウジング300にスナップ嵌めすることができ、ケーブルの端子が対応する端子チャネルに正しく挿入されると、端子の位置をロックするようになっている。1つまたは複数のケーブル端子500を入口ハウジング300に挿入し、対応する端子に接続することができることが明らかである(
図7も参照)。ロック要素100がロック位置へ動かされると、複数の端子が接続位置において同時にブロックされる。
【0087】
第1の結合要素120は、ロック要素100の平坦面から突出し、ケーブル入口カバー200の方を向いている。第1の結合要素120は、ケーブル入口カバー200の第2の結合要素210に位置合わせされ、2つの結合要素が、互いに重なるようにスライドし、ケーブル入口カバー200とロック要素100との相互移動を生じさせることができるようになっている。以下で説明するように、2つの結合要素の正しい位置合わせは、事前位置決め要素220と対応する事前位置決め座部320との正しい係合によって保証される。
【0088】
図4、
図5、および
図6は、本発明による入口ハウジングアセンブリ2000の概略切欠側面図である。
図4、
図5、および
図6において、ロック要素100が入口ハウジング300内に位置決めされている様子を見ることができる。
図1にも示すように、ロック要素100はベース要素130を含む。ベース要素130は、入口ハウジング300に形成されたガイドスロット341に挿入されてよい。ガイドスロット341はスライドトラックを形成し、このスライドトラックに沿って、ロック要素100は、ロック解除位置とロック位置との間で自由にスライドすることができる。
図6に詳細に見られるように、入口ハウジング300は支持面340をさらに含み、この支持面340は、ロック要素100を支持し、ロック要素100のスライドを可能にする。実際には、ロック要素100の平坦部は、平坦な支持面340に位置し、支持面340上を自由にスライドすることができる。
【0089】
図4では、ケーブル端子を挿入するための端子チャネル360の内部構造が明確に見える。入口ハウジング300は一次ロック要素350をさらに含むことができ、この一次ロック要素350は、端子チャネル360内に延びて、端子チャネル360においてケーブル端子500に係合し、これを保持する。一次ロック要素350は、例えば、先行技術文献である米国特許第10,850,631(B2)号に開示されているような一次ラッチであってよい。
【0090】
図5および
図7は、ケーブル600、600’をさらに含む入口ハウジングアセンブリ2000を概略的に示す。前述したように、ケーブル入口カバー200は、対応する端子500を受け入れるための複数の入口240、240’を含むことができる。入口240、240’は、異なる寸法を有する端子を受け入れるように、異なる直径を有することができる。
【0091】
ケーブル600、600’は、ロック要素100が入口ハウジング300内に収容されるとき、およびケーブル入口カバー200が入口ハウジング300に予め位置決めされた後に、対応する入口240、240’に挿入されることが好ましい。ケーブル600、600’の位置は、入口240、240’を囲む追加のキャッピング手段によってさらに固定されることが好ましい。
【0092】
入口ハウジングアセンブリ2000の概略上面図が、
図9に示されている。
図9からわかるように、ケーブル入口カバー200の入口240、240’は、ロック要素100の開口部110および入口ハウジング300の端子310に位置合わせされている。端子500を有するケーブル600、600’がケーブル入口アセンブリに上から挿入されると、ケーブル600、600’は入口240、240’によって導かれ、次に開口部110によって導かれ、対応する電気端子310に到達し、電気的接続を確立することができる。
【0093】
図10および
図11を参照して、本発明による入口ハウジングアセンブリ2000の動作原理を概略的に示す。
図10は、入口ハウジングアセンブリ2000の概略側面図であり、ロック要素100は入口ハウジング300内に収容され、ケーブル入口カバー200は入口ハウジング300を閉じている。前述したように、かつ
図12および
図13も参照して詳細に後述するように、ケーブル入口カバー200は、事前位置決め要素220およびセンタリング要素230により、入口ハウジング300に正しく位置決めされる。
【0094】
初期構成において、第1の結合要素120と第2の結合要素210とは部分的に接触し、第2の傾斜面211の縁部のみが第1の傾斜面121の縁部に当接している。これは、
図10の拡大図に見られる。この初期構成から、ケーブル600、600’の挿入方向に平行な方向D1に沿った鉛直力がケーブル入口カバー200に加わる。鉛直力D1が加わった結果として、第2の結合要素210は第1の結合要素120に沿ってスライドし、すなわち、第2の傾斜面211は第1の傾斜面121に沿ってスライドする。第1の傾斜面121と第2の傾斜面211とのスライドは、鉛直方向D1に垂直な水平方向D2に沿ったロック要素100の変位を決定する。このようにして、第1の結合要素120と第2の結合要素210との相互スライドの結果としてのロック要素100とケーブル入口カバー200との相互スライドにより、ケーブル入口カバー200に加わる鉛直力D1は、方向D2に沿った水平力に変換される。
方向D2に沿ったロック要素100の変位により、ケーブル端子500を最初にロック要素100の開口部110の第1の円111に挿入し、次に第2の円112に挿入することができる。したがって、ケーブル入口カバー200とロック要素100との相互スライドは、ロック要素100の対応する開口部110内へのケーブル端子500の位置の変更を決定する。
図11に示すように、端子500が開口部110の第2の円112に収容されると、端子500はブロックされるため、端子チャネル360内の接続位置から移動することができない。
【0095】
第1の結合要素120と第2の結合要素210とのスライド後に、第2の結合要素210の一部が第1の結合要素120の後ろに残り、第1の結合要素120の後方への移動を防止する(
図11の拡大図参照)。したがって、ケーブル入口カバー200に加わる鉛直力D1によって誘発される最初のスライド後に、ケーブル入口カバー200とロック要素100との相互位置が固定される。このようにして、ケーブル入口カバー200を閉じた後、ロック要素100は後方に移動できず、2つの要素間の確実なブロックが保証される。
【0096】
図12は、本発明の実施形態によるケーブル入口カバー200の概略側面図である。特に、
図12は、事前位置決め要素220およびセンタリング要素230を詳細に示す。
【0097】
各事前位置決め要素220は、第1の部分221とフック部分を有する第2の部分222とを含み、このフック部分を入口ハウジングの事前位置決め座部320にラッチ止めすることができる。
図13に見られるように、事前位置決め座部320は、事前位置決め要素220のフック部分222を受け入れるためのラッチ溝320aおよびラッチ縁部320bを含む。事前位置決め要素220を対応する事前位置決め座部320に係合させ、分離させるためには、第1の部分221をわずかに押して、フック部分222を持ち上げればよい。その後、ユーザの必要に応じて、フック部分222を、事前位置決め座部320のラッチ溝320aまたはラッチ縁部320bにラッチ止めすることができる。
事前位置決め要素220が事前位置決め座部320のラッチ溝320aに受け入れられると、ケーブル入口カバー200および入口ハウジング300は第1のブロック位置に配置され、事前位置決め要素220が事前位置決め座部320のラッチ縁部320bにラッチ止めされると、ケーブル入口カバー200および入口ハウジング300は第2のブロック位置に配置される。
【0098】
第1のブロック構成において、第1の結合要素120と第2の結合要素210とは完全には接触せず、第1の結合要素120の縁部のみが第2の結合要素210の縁部に当接している。したがって、第1のブロック構成は、ロック要素100がロック解除位置にある、スライド前の初期構成(
図10参照)に対応する。第1のブロック構成における対応する座部320内の事前位置決め要素220の位置は、
図4に見られる。
【0099】
第2のブロック構成において、第1の結合要素120と第2の結合要素210とはスライドを終了し、互いに当接している(
図11参照)。さらに、第2の結合要素210の一部は、第1の結合要素120の後ろに配置されて、起こり得るロック要素100のいかなる後方移動も阻止するようになっている(
図11参照)。第2のブロック構成における対応する座部320内の事前位置決め要素220の位置は、
図7に見られる。
【0100】
図12は、入口ハウジング300に形成された対応するセンタリング座部330に係合させることができるラッチを含むセンタリング要素230も概略的に示す。センタリング要素230とセンタリング座部330との係合は、ケーブル入口カバー200に加わる鉛直力の均一な分散を保証する。このようにして、ケーブル入口カバーアセンブリ200が入口ハウジング300に対して傾くことが回避される。
【0101】
図12に示すように、事前位置決め要素220およびセンタリング要素230は、ケーブル入口カバー200の本体から同じ量だけ突出して、事前位置決め要素220のフック部分222がセンタリング要素230の端部と同じ高さにあるようになっていることが好ましい。このようにして、ケーブル入口カバー200が入口ハウジング300に位置決めされ、事前位置決め要素220とセンタリング要素230とが第2のブロック構成において係合すると、構造が安定する。
【0102】
ケーブル入口カバー200と入口ハウジング300とを組み立てるときに、ユーザは、第1のブロック構成において、事前位置決め要素220を対応する座部320に係合させるだけでよい。これにより、ケーブル入口カバー200の入口240、240’と入口ハウジングの電気端子310とが位置合わせされ、第1の結合要素120と第2の結合要素210とが正しく結合されることが保証される。
【0103】
好ましい実施形態において、動作中、ユーザは、事前位置決め要素220の第1の部分221をわずかに押し、さらにケーブル入口カバー200に鉛直力D1を加えて、入口ハウジングアセンブリ2000を第1のブロック構成から第2のブロック構成へ動かし、端子の正しいロックを保証する。
【0104】
本発明を、本発明により構成される好ましい物理的実施形態に関して説明したが、上記の教示に照らして、本発明の趣旨および意図する範囲から逸脱することなく添付の特許請求の範囲内で、本発明の様々な変更、変形形態、および改良を行うことができることが当業者には明らかであろう。
【0105】
例えば、
図5および
図7が180°に設定されたケーブル構成を開示していても、例えば90°に設定された他のケーブル構成も本発明により実現され得ることが明らかである。
【0106】
さらに、代替実施形態において、ロック要素100は、複数の対応する第2の結合要素210に結合するように構成されている複数の第1の結合要素120を含んでもよい。例えば、4つの第1の結合要素120がロック要素100に形成されてもよく、すなわち、各角部に1つの結合要素120が形成されてもよい。それに応じて、4つの第2の結合要素210がケーブル入口カバー200に形成されてもよく、すなわち、各角部に1つの結合要素210が形成されてもよい。
【0107】
加えて、記載された本発明を不必要に曖昧にしないために、当業者が精通していると考えられる部分は本明細書に記載されていない。したがって、本発明は、特定の例示的な実施形態によって制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることを理解されたい。
【符号の説明】
【0108】
100 ロック要素
110 開口部
111 第1の円
112 第2の円
120 第1の結合要素
121 第1の傾斜面
130 ベース要素
200 ケーブル入口カバー
201 ケーブル入口カバーの内面
210 第2の結合要素
211 第2の傾斜面
220 事前位置決め要素
221 事前位置決め要素の第1の部分
222 事前位置決め要素の第2の部分
230 センタリング要素
240、240’ ケーブル入口
300 入口ハウジング
310 電気端子
320 事前位置決め座部
330 センタリング座部
340 支持面
341 ガイドスロット
350 一次ロック要素
360端子チャネル
400 シール要素
500 ケーブル端子
600、600’ ケーブル
1000 ケーブル入口アセンブリ
2000 入口ハウジングアセンブリ
D1 鉛直方向
D2 直交方向