(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】表示装置、該表示装置に適用される表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/02 20060101AFI20231107BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20231107BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20231107BHJP
【FI】
G01W1/02 C
G01W1/00 C
G06T19/00 A
(21)【出願番号】P 2022065363
(22)【出願日】2022-04-11
(62)【分割の表示】P 2020211666の分割
【原出願日】2016-06-17
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャラマ アンキット
(72)【発明者】
【氏名】梁 連秀
(72)【発明者】
【氏名】中島 暢康
(72)【発明者】
【氏名】武藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文彦
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-192262(JP,A)
【文献】特開2008-210389(JP,A)
【文献】特開平10-096790(JP,A)
【文献】特開2014-054398(JP,A)
【文献】特開2012-100955(JP,A)
【文献】特開2009-000328(JP,A)
【文献】特開2006-122663(JP,A)
【文献】特開2003-177666(JP,A)
【文献】特開平06-067605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00 - 1/18
A61B 6/00 - 6/14
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象レーダを用いて取得される3次元気象現象のボリュームデータから、
当該3次元気象現象に関連付けられた2次元平面においてユーザにより選択された流域に対応する3次元空間領域を選択する選択手段と、
前記選択された3次元空間領域に、それ以外の3次元空間領域よりも高い視認性を与える視認性付与手段と、
前記高い視認性を与えられた3次元空間領域と、前記それ以外の3次元空間領域とを3次元表示する表示手段と、
を具備する、表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記高い視認性を与えられた3次元空間領域を、前記それ以外の3次元空間領域よりも低い透過率で表示する請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記流域を含む3次元空間領域を、当該流域に対する法線方向に沿って切り出すことによって、前記流域に対応する3次元空間領域を選択する、請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記視認性付与手段は、前記それ以外の3次元空間領域に視認性を与える、請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記それ以外の3次元空間領域は、前記流域に隣接する2次元領域に対応する3次元気象現象を含む、請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記3次元気象現象の風向きに関する情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記取得された風向きに関する情報に応じて、対象となる3次元空間領域の位置を変更して、前記3次元気象現象を表示する、請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記ボリュームデータが3次元表示されている3次元空間における任意の2次元曲面で前記ボリュームデータをスライスしてスライス面を得るスライス手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記スライスされたボリュームデータの断面を表示する、請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記スライス面を、任意の回転軸を中心として回転させる回転手段を、さらに備える請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
気象レーダを用いて取得される3次元気象現象のボリュームデータから、
当該3次元気象現象に関連付けられた2次元平面においてユーザにより選択された流域に対応する3次元空間領域を選択することと、
前記選択された3次元空間領域に、それ以外の3次元空間領域よりも高い視認性を与えることと、
前記高い視認性を与えられた3次元空間領域と、前記それ以外の3次元空間領域とを3次元表示することとを具備する、表示方法。
【請求項10】
前記3次元表示することは、前記高い視認性を与えられた3次元空間領域を、前記それ以外の3次元空間領域よりも低い透過率で表示することを含む請求項9記載の表示方法。
【請求項11】
前記選択することは、前記流域を含む3次元空間領域を、当該流域に対する法線方向に沿って切り出すことによって、前記流域に対応する3次元空間領域を選択することを含む、請求項9記載の表示方法。
【請求項12】
前記視認性を与えることは、前記それ以外の3次元空間領域に視認性を与える、請求項9記載の表示方法。
【請求項13】
前記それ以外の3次元空間領域は、前記流域に隣接する2次元領域に対応する3次元気象現象を含む、請求項12記載の表示方法。
【請求項14】
前記3次元気象現象の風向きに関する情報を取得することをさらに含み、
前記3次元表示することは、前記取得された風向きに関する情報に応じて、対象となる3次元空間領域の位置を変更して、前記3次元気象現象を表示することを含む、請求項9記載の表示方法。
【請求項15】
前記ボリュームデータが3次元表示されている3次元空間における任意の2次元曲面で前記ボリュームデータをスライスしてスライス面を得ることをさらに含み、
前記3次元表示することは、前記スライスされたボリュームデータの断面を表示することを含む、請求項9記載の表示方法。
【請求項16】
前記スライス面を任意の回転軸を中心として回転させることをさらに含む、請求項15記載の表示方法。
【請求項17】
コンピュータに、
気象レーダを用いて取得される3次元気象現象のボリュームデータから、
当該3次元気象現象に関連付けられた2次元平面においてユーザにより選択された流域に対応する3次元空間領域を選択する手順と、
前記選択された3次元空間領域に、それ以外の3次元空間領域よりも高い視認性を与える手順と、
前記高い視認性を与えられた3次元空間領域と、前記それ以外の3次元空間領域とを3次元表示する手順と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置、該表示装置に適用される表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被表示体をボリュームレンダリング技術を用いて3次元表示する技術が知られている。例えば、医療分野では、ボリュームレンダリング技術を用いて、被表示体として身体の一部を3次元表示することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許7952592明細書
【文献】特開2008―209417号公報
【文献】特開2001―281352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の技術を用いた場合でも、ユーザが見やすいように被表示体を3次元表示することができないという問題がある。
【0005】
例えば、気象レーダを用いて得られる気象現象を被表示体として3次元でより見やすくするために、対象となる気象現象だけでなく、その周辺の気象現象も表示させることが求められている。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ユーザがより見やすいように被表示体を表示することを可能にした表示装置、該表示装置に適用される表示方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の表示装置は、選択手段と、視認性付与手段と、表示手段とを具備する。選択手段は、気象レーダを用いて取得される3次元気象現象のボリュームデータから、ユーザにより選択された流域に対応する3次元空間領域を選択する。視認性付与手段は、選択された3次元空間領域に、それ以外の3次元空間領域よりも高い視認性を与える。表示手段は、高い視認性を与えられた3次元空間領域と、それ以外の3次元空間領域とを3次元表示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態の3次元表示装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態の3次元表示装置によって表示される2次元画面の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態の3次元表示装置によって表示される3次元画面の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態の3次元表示装置によって実行される3次元表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態の3次元表示装置によって実行される3次元表示処理手順のより詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態の3次元表示装置によって実行される3次元表示処理の概要を説明するための図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態の3次元表示装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施形態の3次元表示装置によって表示される2次元画面の一例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態の3次元表示装置によって表示される3次元画面の一例を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態の3次元表示装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】第3の実施形態の3次元表示装置によって表示される2次元画面の一例を示す図である。
【
図12】第3の実施形態の3次元表示装置によって表示される3次元画面の一例を示す図である。
【
図13】第3の実施形態の3次元表示装置によって表示される2次元画面の他の一例を示す図である。
【
図14】第3の実施形態の3次元表示装置によって表示される3次元画面の他の一例を示す図である。
【
図15】第3の実施形態の3次元表示装置によって実行される3次元表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
まず、
図1を参照して、本実施形態の3次元表示装置10の構成について説明する。
図1は、本実施形態の3次元表示装置10の構成例を示す図である。
3次元表示装置10は、3Dデータ取得部12、制御部13、表示部14、操作部15、記憶部16、および通信部17を備え、3次元表示装置10に設けられたディスプレイ等の物理的な画面(図示せず)に、被表示体を3次元表示するための3次元表示処理を行う。3次元表示装置10は、3次元表示処理を行う機能を有する一般的な情報処理装置として実現される。
【0010】
また、被表示体として、本実施形態では3次元表示可能な雲等の気象現象(以下、「3次元気象現象30」と称す。)を想定しているが、例えば、コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)または核磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)を用いて取得される3次元表示可能な臓器等の身体の一部でもよいし、3次元プリンター等を用いて取得される3次元表示可能な所定の対象物でもよい。
【0011】
3次元表示装置10は、被表示体を3次元表示させるために必要な情報を3次元表示装置10に提供する3Dデータ提供部11と接続されている。
【0012】
ここで、
図2および
図3を参照して、本実施形態の概要について説明する。
図2は、3次元気象現象30に関連づけられた2次元平面40aが表示される2次元画面40の一例である。
図3は、3次元気象現象30を表示する3次元画面50の一例である。
【0013】
3Dデータ提供部11は、例えば、気象レーダ、CTまたはMRI、あるいは3次元プリンター等に相当する。なお、以下、3Dデータ提供部11が気象レーダである場合について説明するが、CTまたはMRI、あるいは3次元プリンターについても同様に説明することができる。そして、3Dデータ提供部11は、被表示体である3次元気象現象30を3次元表示させるために必要な情報として、3次元気象現象に関する3次元データ(以下、「気象3Dデータ」と称す。)を3次元表示装置10に提供する。
【0014】
本実施形態では、3次元表示装置10は、3次元気象現象30のうちの、ユーザが見たい気象現象、すなわちフォーカスしたい気象現象である対象となる3次元気象現象30aに高い視認性を与え、3次元気象現象30を、ユーザによるマウス等のユーザインターフェースを用いた操作(以下、「ユーザ操作」と称す。)に応じて指定される標的体積Vに基づき、表示する。標的体積Vは、3次元気象現象30aに対応する3次元空間領域である。
【0015】
より詳細には、
図2に示すように、3次元表示装置10は、気象3Dデータに関連付けられている2次元データ(以下、「気象2Dデータ」と称す。)に基づき、2次元平面40aを2次元画面40に2次元表示する。そして、ユーザ操作に応じて、2次元平面40a上の所定の2次元領域20を選択する。そして、選択された2次元領域20に対応する標的体積Vを算出し、算出された標的体積Vに基づき、
図3に示すように、3次元画面50に3次元気象現象30を表示する。
【0016】
なお、標的体積Vの算出方法については、
図5および
図6を参照して後述する。また、2次元画面40および3次元画面50は、上述したような3次元表示装置10のディスプレイ等の物理的な画面に表示される。
【0017】
具体的には、3次元表示装置10は、標的体積V内のボリュームデータ(以下、「標的ボリュームデータ」と称す。)を、標的体積V以外の3次元空間領域のボリュームデータ、例えば標的体積Vの周囲のボリュームデータ(以下、「コンテキスト」と称す。)よりも高い視認性を有するように、表示する。例えば、標的ボリュームデータを低透過率で表示し、コンテキストを高透過率で表示する。なお、各ボリュームデータは、例えば、気象レーダを用いて取得されるレーダエコーに関するデータである。
【0018】
2次元平面40aが表示される2次元画面40の一例である
図2はまた、2次元領域20を選択するための画面の一例でもある。2次元平面40aは、例えば、2次元表示させた日本地図である。2次元領域20は、例えば、日本地図における所定の流域Cによって囲まれた領域である。
【0019】
流域Cは、例えば、2次元平面40a上の位置、例えば緯度および経度で識別される日本地図上の位置、に対応する予め定められた2次元領域20と、2次元領域20以外の2次元平面40a上の2次元領域と、の境界線である。また、流域Cは、
図2では各都道府県の境界線のように曲線を示しているが、例えば、2次元平面40a上の任意の位置を中心とする任意の半径の円の外周に相当する境界線でもよい。また、流域Cは、例えば、三角形の2次元領域20の周囲でもよい。
【0020】
3次元気象現象30を表示する3次元画面50の一例である
図3はまた、標的ボリュームデータおよびコンテキストを可視化して表示する画面の一例でもある。
【0021】
従来、3次元気象現象30は、2次元平面40aに関連付けられておらず、ユーザが所望の3次元空間領域30aを選択することができないため、
図3の左側に示すように、3次元気象現象30の全体が、同等の視認性を与えられて、表示される。
【0022】
一方、本実施形態では、
図3の右側に示すように、3次元気象現象30は2次元平面40aに関連付けられており、2次元領域20に対応する3次元気象現象30のうちの3次元空間領域30aに、3次元空間領域30a以外の領域、すなわち3次元空間領域30b,30c、よりも高い視認性を与えて、3次元気象現象30を表示する。例えば、3次元空間領域30aを濃い色で表示し、3次元空間領域30b,30cを薄い色で表示する。このように、3次元空間領域30aを強調して表示する。
【0023】
より詳細には、標的体積Vは、上述したように、3次元気象現象30aに対応する3次元空間領域であり、
図3に示すように、サーフェスSによって囲まれた3次元空間領域である。また、コンテキストは、上述したように、標的体積Vの周囲のボリュームデータであり、
図3の3次元気象現象30b,30cに対応する。また、コンテキストは、3次元気象現象30aよりも低い視認性を与えられているが、完全に視認性を失うことなく表示される。なお、3次元画面50にサーフェスSを表示しなくてもよい。
【0024】
このように、2次元画面40のように、所望の流域Cをユーザが選択し易く表示し、3次元画面50のように、選択された流域Cに対応する3次元気象現象30を表示する。また、流域Cは、例えば、ユーザがフォーカスしたい地域に相当し、その地域に対応する3次元気象現象30、例えばその地域の上空にある積乱雲等を含む3次元気象現象30、を見やすくフォーカスして表示する。また、流域Cに隣接する流域に対応する3次元気象現象30b,30cをコンテキストとして薄く表示する。
【0025】
再び、
図1に戻り、3次元表示装置10の構成について説明する。
3Dデータ取得部12は、3Dデータ提供部11から気象3Dデータを取得する。
【0026】
制御部13は、3Dデータ取得部12、表示部14、操作部15、記憶部16、および通信部17と接続されており、3Dデータ取得部12、表示部14、操作部15、記憶部16、および通信部17と連携して、3次元気象現象30を表示するために必要な様々な制御を行う。
【0027】
制御部13は、選択部13a、視認性付与部13b、変換部13c、および生成部13dを備える。
【0028】
選択部13aは、3次元気象現象30のうちの任意の3次元空間領域を選択する。また、操作部15からの指示に応じて、例えばユーザ操作に応じて、流域Cを選択する。例えば、2次元平面40a上の任意の領域を囲むように、流域Cを選択する。
【0029】
具体的には、選択部13aは、任意の2次元平面である2次元領域20を含む3次元空間領域を、所定の2次元平面である2次元平面40aに対する法線方向に沿って切り出すことによって、任意の2次元平面の断面を有する3次元空間領域を選択する。
【0030】
または、選択部13aは、所定の2次元平面である2次元平面40aに対して垂直な方向に、選択された任意の2次元平面領域である2次元領域20を所定の2次元平面40aと並行な状態で押し動かし、押し動かさせた2次元領域20と3次元気象現象30とが交わる3次元空間領域を、3次元空間領域30aである標的体積Vとして、選択する。なお、3次元空間領域30aは、標的体積Vの一部の領域でもよい。
【0031】
視認性付与部13bは、3次元気象現象30のうち、選択部13aによって選択された3次元空間領域30aに、それ以外の3次元空間領域30b,30cよりも高い視認性を与える。
【0032】
例えば、視認性付与部13bは、3次元空間領域30aに低い透過率を与え、3次元空間領域30b,30cに高い透過率を与える。または、3次元空間領域30aを、3次元空間領域30bまたは3次元空間領域30cと異なる色で表示することによって、3次元空間領域30aに高い視認性を与えてもよい。
【0033】
変換部13cは、選択部13aによって選択された流域Cに対応する2次元領域20を、標的体積Vに変換する。
【0034】
例えば、変換部13cは、後述する記憶部16に記憶されている2Dデータに関する情報、選択部13aによって選択された流域Cに関する情報、および、後述する生成部13dによって生成された3次元ボリュームデータに関する情報、に基づき、2次元領域20を標的体積Vに変換する。
【0035】
生成部13dは、3Dデータ取得部12によって取得された気象3Dデータに基づき、3次元気象現象30の3次元ボリュームデータを生成する。3次元ボリュームデータは、上述した標的ボリュームデータおよびコンテキストを含む。また、3次元ボリュームデータは、3次元気象現象30を表示させるための中間処理データでもある。
【0036】
また、生成部13dは、後述する記憶部16に記憶される気象2Dデータを生成してもよい。
【0037】
また、変換部13cおよび生成部13dは、連携して標的体積Vを算出する。例えば、後述する
図5に示す処理は、変換部13cおよび生成部13dによって行われ、気象2Dデータから気象3Dデータへの変換のための処理に相当する。なお、変換部13cおよび生成部13dによる詳細な動作については、
図5および
図6を参照して後述する。
【0038】
表示部14は、記憶部16に記憶されている気象2Dデータまたは生成部13dによって生成された気象2Dデータに基づき、2次元画面40に2次元平面40aを表示する。
【0039】
また、表示部14は、制御部13によって3次元表示処理された3次元気象現象30を3次元画面50に表示する。
【0040】
また、制御部13は、視認性付与部13bによって視認性として付与される透過率とは異なる3次元気象現象30の全体の透過率を変更することもできる。例えば、視認性付与部13bによって視認性が付与された3次元気象現象30に対して、さらに、3次元気象現象30の全体の透過率を変更する。
【0041】
操作部15は、マウスまたはキーボード等の上述したユーザ操作を受け付けるインターフェースである。
【0042】
記憶部16は、気象2Dデータ、および3Dデータ取得部12によって取得された気象3Dデータを記憶する。記憶部16は、例えば、不揮発性メモリとして実現できる。
【0043】
通信部17は、制御部13の制御の下で、3Dデータ取得部12と連携し、気象3Dデータを、3Dデータ取得部12を介して3Dデータ提供部11から取得する。また、他の計算処理装置であるクライアント、例えばタブレット型の携帯可能な端末、と通信することもできる。
【0044】
例えば、3次元表示装置10は、上述したように一般的な計算処理装置として実現できるが、例えば、ネットワークを介してクライアントと接続されているサーバとして実現することもできる。この場合、例えば、本実施形態における3次元表示処理はサーバ上で行われ、サーバによる3次元表示処理の結果が通信部17等を介してクライアントに送られ、クライアントにおいて3次元気象現象30が表示される。このように、本実施形態における3次元表示処理は例えば、Webサービスとして提供されてもよい。なお、この場合、表示部14は、3次元表示装置10ではなく、クライアントに設けられていてもよい。
【0045】
なお、請求項において、3次元表示される被表示体のうちの任意の3次元空間領域を選択する選択手段は、例えば、選択部13aに対応する。被表示体のうち、選択手段によって選択された3次元空間領域に、それ以外の3次元空間領域よりも高い視認性を与える視認性付与手段は、例えば、視認性付与部13bに対応する。選択手段によって選択された3次元空間領域に、視認性付与手段によって高い視認性を与えられた被表示体を3次元表示する表示手段は、例えば、表示部14に対応する。
【0046】
次に、
図4を参照して、本実施形態の3次元表示処理手順の一例について説明する。
【0047】
まず、表示部14によって、2次元画面40に2次元平面40aが表示され、3次元画面50に3次元気象現象30が表示される(ステップS40)。なお、ステップS40では、3次元画面50を表示しなくてもよい。また、2次元画面40および3次元画面50は、物理的に同一の画面上に表示せず、個別の画面上に表示してもよい。
【0048】
次に、選択部13aによって、ユーザ操作に応じて、流域Cが選択される(ステップS42)。なお、例えば、2次元平面40aが
図2に示すような地図である場合、予め設定されているユーザに関する地図上の地域を含む流域が、流域Cとして、自動的に選択されてもよい。
【0049】
そして、表示部14によって、ステップS42において選択された流域Cに対応する2次元領域20が、2次元画面上において、他の2次元領域と区別するために色付け等されて、表示される(ステップS44)。これにより、例えば、選択された流域Cを視覚的により見やすくすることができる。
【0050】
次に、変換部13cおよび生成部13dによって、標的体積Vが算出される(ステップS46)。なお、ステップS46の詳細な処理については、
図5および
図6を参照して後述する。
【0051】
そして、表示部14によって、3次元画面50において、算出された標的体積Vが低透過率で表示され、かつ、標的体積V以外のコンテキストに対応する3次元空間領域が高透過率で表示される(ステップS48)。
【0052】
次に、
図5および
図6を参照して、
図4のステップS46の詳細な処理手順の一例について説明する。
【0053】
まず、ステップS44において表示された2次元領域20の流域Cが、標的体積Vを算出するために用いられる論理的な3次元空間60において、選択される(ステップS50)。例えば、3次元空間60において、2次元平面60aにおける2次元領域70に対応する流域Cの位置、例えばxyz空間である3次元空間60におけるxyz座標または2次元平面60a上における2次元座標、が算出される。
【0054】
なお、2次元平面60aは、2次元画面40における2次元平面40aに対応している。また、2次元領域70は、2次元画面40における2次元領域20に対応している。
【0055】
そして、選択された流域Cに対応する2次元領域60aを断面とするように3次元空間領域が、
図6に示す2次元平面60の法線ベクトルLの方向に沿って切り出されることによって、サーフェスSが生成される(ステップS52)。例えば、2次元領域60aで3次元空間領域を切り抜くようにして、サーフェスSが生成される。なお、法線ベクトルLは、2次元平面60aに垂直な方向であって、3次元気象データ30を有する3次元空間領域に向かう方向である。
【0056】
次に、生成されたサーフェスS内のボクセル61が算出される(ステップS54)。例えば、
図6に示すように、複数のボクセル61を有する3次元空間60において、サーフェスS内のボクセル61が算出される。
【0057】
そして、算出されたボクセル61に基づき、標的体積Vのボリュームマスクが生成され、標的体積Vが算出される(ステップS56)。
【0058】
なお、ステップS54において、既に算出されている複数のボクセル61のうちの一部のボクセル61(以下、「共通ボクセル61」と称す。)がさらに算出されてもよい。
【0059】
例えば、2次元平面60aと異なる2次元平面(図示せず)に関して、ステップS50,S52,S54の処理が行われ、既に算出されている複数のボクセル61と異なる新たな複数のボクセル61(以下、「新たなボクセル61」と称す。)が算出される。そして、既に算出されている複数のボクセル61のうち、新たなボクセル61と共通するボクセル61が、共通ボクセル61として、算出される。
【0060】
そして、ステップS56において、この共通ボクセル61に基づき、標的体積Vが算出される。なお、2次元平面60aと異なる2次元平面は、例えば、3次元空間60において、2次元平面60aに垂直な方向に配置された2次元平面である。
【0061】
また、2次元平面60aは、無限遠の平面でもよいし、または、所定数のボクセル61、例えば1辺が10個のボクセル61を含む正方形の複数のボクセル61、に対応する有限の平面でもよい。
【0062】
ここで、
図5および
図6を参照して説明した標的体積Vの算出方法と異なる標的体積Vの算出方法について説明する。例えば、ステップS42において流域Cが選択される代わりに、3次元画面50において3次元気象現象30のうちの任意の3次元空間領域または任意のサーフェスSが選択される。例えば、予め定められた球形等の3次元空間領域またはサーフェスSを3次元気象現象30の所望の3次元空間領域内に移動させ、3次元空間60における移動させた3次元空間領域に対応するボクセル61を算出することによって、標的体積Vを算出してもよい。
【0063】
以上のように、第1の実施形態によれば、ユーザがより見やすいように被表示体を表示することが可能となる。例えば、2次元画面40上でフォーカスしたい流域Cを選択するだけで、選択された流域Cに対応する3次元気象現象30aに高い視認性を与えて、3次元気象現象30を表示することが可能となる。
【0064】
また、従来のボリュームデータの構造上の問題、例えば3次元気象現象30の全体が表示されるという問題、に制限されることなく、3次元気象現象30の任意の3次元空間領域を標的体積Vとして算出することが可能となる。
【0065】
また、任意の標的体積Vを見やすくすることが可能となるだけでなく、3次元気象現象30aの周囲の、例えば任意に選択可能な流域Cに隣接する2次元領域に対応する3次元気象現象30b,30cを、視認性を完全に失うことなく表示することも可能となる。そのため、例えば、3次元気象現象30の時間的な変化を予測することが可能となる。このように、被表示体に関する情報量を増加させるだけでなく、ユーザが必要とするフォーカスしたい情報をユーザに提供することも可能となる。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、3次元気象現象30に関する風向風速情報に基づき、ユーザによって選択される流域Cまたは2次元領域20の風上方向Bを検出する。そして、検出された風上方向Bの3次元空間領域のボリュームデータ(以下、「風上ボリュームデータ」と称す。)を、例えば選択位置82を中心として予め設定された角度θの範囲において、低透過率で表示し、それ以外の3次元空間領域のボリュームデータを高透過率で表示する。
【0066】
なお、選択位置82は、例えば、2次元領域20の中心位置、または、ユーザ操作によって選択された2次元領域20を含む2次元平面40a上の座標等の位置である。
【0067】
具体的に、
図7を参照して、本実施形態の3次元表示装置10の構成例について説明する。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であるので、第1の実施形態と同様の構成および内容については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0068】
3次元表示装置10は、制御部13と接続されている風力情報取得部72をさらに備える。
【0069】
風力情報取得部72は、3次元気象現象30の風向風速情報を提供する風力情報提供部70と接続されており、風力情報提供部70から提供される風向風速情報を取得する。
【0070】
制御部13は、検出部13eをさらに備える。検出部13eは、風力情報取得部72によって取得された風向風速情報に基づき、ユーザ操作によって選択された2次元領域20の風上方向Bを検出する。
【0071】
選択部13aは、2次元画面40に、選択箇所82を中心として、検出部13eによって検出された風上方向Bに向かって角度θの範囲に対応する2次元領域90を選択する。なお、2次元領域90は、例えば、
図8に示すような三角形の領域である。
【0072】
変換部13cおよび生成部13dは、選択部13aによって選択された2次元領域90に基づき、風上ボリュームデータを生成する。
【0073】
視認性付与部13bは、変換部13cおよび生成部13dによって生成された風上ボリュームデータに高い視認性を与える。
【0074】
表示部14は、風上方向Bに応じて、対象となる3次元空間領域の位置を、例えば、第1の実施形態における3次元空間領域aから、2次元領域90に対応する3次元気象現象30dの位置に、変更して、3次元気象現象30を3次元画面50に表示する。または、第1の実施形態における3次元空間領域aとともに3次元気象現象30dを表示する。
【0075】
例えば、表示部14は、視認性付与部13bによって高い視認性が与えられた風上ボリュームデータに対応する3次元気象現象30dを、強調して3次元画面50に表示する。なお、風上方向Bに関する情報を、3次元気象現象30dと関連づけて、2次元画面40に表示してもよい。
【0076】
また、請求項において、3次元気象現象の風向きに関する情報を取得する取得手段は、例えば、風力情報取得部72に対応する。
【0077】
具体的に、
図8および
図9を参照して、第2の実施形態の概要について説明する。なお、
図8および
図9を参照して説明する処理は、3次元表示装置10によって行われる。
【0078】
図8は、第2の実施形態の2次元画面40の一例を示している。
図9は、第2の実施形態の3次元画面50の一例を示している。
【0079】
図8に示すように、2次元画面40に2次元領域90を表示する。なお、
図8では、2次元領域90は、選択箇所82を頂点とする3角形で示しているが、例えば選択箇所82を頂点とする扇形でもよい。
【0080】
また、風力情報取得部72によって新たな風向風速情報が取得された場合、新たに取得された風向風速情報に基づき検出された風上方向に応じて、2次元領域90の位置を変更してもよい。
【0081】
そして、
図9に示すように、3次元画面50において、2次元領域90に対応する標的体積V内の3次元気象現象30dに3次元気象現象30d以外の3次元気象現象30eよりも高い視認性を与えて、3次元気象現象30を表示する。なお、3次元画面50に標的体積Vを表示しなくてもよい。また、標的体積Vは、例えば、
図9に示すような、2次元領域90を底辺とする3角柱の形状になる。
【0082】
また、角度θの大きさは、風力情報取得部72によって取得される風向風速情報のうち風速情報に基づき、変更してもよい。例えば、風速が早い場合、角度θの大きさを大きくし、風速が遅い場合、角度θの大きさを小さくする。また、角度θは、任意に設定可能であり、例えば、ユーザ操作に応じて変更してもよい。
【0083】
以上のように、第2の実施形態によれば、対象とする3次元空間領域だけでなく、例えば風によって流され対象とする3次元空間領域内に移動してくる可能性が高い風上の3次元空間領域の3次元気象現象30のように時間的に変化する被表示体にも、高い視認性を与えることが可能となる。そのため、例えば、時間的に後に、ユーザにとって脅威となるような積乱雲等の3次元気象現象30の有無を可視化することが可能となる。そして、積乱雲等の内部構造を容易に可視化することも可能となる。
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態では、3次元気象現象30を任意の断面でスライスすることによって、所望の3次元気象現象30をさらに見やすくなるように表示する。
【0084】
まず、
図10を参照して、本実施形態の3次元表示装置10の構成例について説明する。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であるので、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成および内容については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0085】
制御部13は、スライス部13fおよび回転部13gをさらに備える。また、制御部13は、後述する視点制御において、ユーザ操作として視点を変更するための操作が行われたか否かを判定する。
【0086】
スライス部13fは、3次元気象現象30が3次元表示されている3次元空間、例えば、3次元画面50または上述したような論理的な3次元空間60において、任意の2次元曲面(図示せず)で3次元気象現象30をスライスしてスライス面を得る。
【0087】
また、スライス部13fは、スライスされた3次元気象現象30の断面Dに対応する2次元曲面の断面式を算出する。断面式は、例えば、2次元曲面が平面である場合、3次元のxyz空間において、一般に、ax+by+cz+d=0と表される。なお、a,b,c、dは、所定の定数である。
【0088】
また、スライス部13fは、後述する視点制御において断面Dの回転が行われた場合、例えば、
図14に示す回転前の断面D1に対応する断面式に対して、回転行列を用いて、回転後の断面D2に対応する断面式を算出してもよい。例えば、
図1で、D1の断面式がax+by+cz+d=0で、a、b、c、dは1.0,0.0,0.0,0.0である。そして、θ1が45°である場合、D2の断面式がax+by+cz+d=0で、a、b、c、dは0.7071、-0.7071、0.0,0.0となる。
【0089】
また、スライス部13fは、ユーザ操作に応じて、既に表示されている3次元気象現象30の断面Dに対応する2次元曲面の形状をさらに変更し、変更された形状の2次元曲面で3次元気象現象30をスライスする。
【0090】
回転部13は、スライス部13fによって得られたスライス面を、任意の回転軸、例えば
図12に示す法線91、を中心として回転させる。
【0091】
表示部14は、スライス部13fによってスライスされた3次元気象現象30の断面Dを表示する。例えば、変換部13cおよび生成部13dは、スライス部13fによって算出された断面式に基づき、3次元空間60における断面Dに対応するボクセル61を算出する。そして、表示部14は、算出されたボクセル61に基づき、3次元画面50に、断面Dを表示する。
【0092】
また、表示部14は、3次元画面50に表示されている3次元気象現象30の断面Dの位置を、ユーザ操作に応じて、任意の角度θ1で視点制御する。なお、視点制御の詳細については、
図13および
図14を参照して後述する。
【0093】
なお、請求項において、被表示体が3次元表示されている3次元空間における任意の2次元曲面で被表示体をスライスしてスライス面を得るスライス手段は、例えば、スライス部13fに対応する。また、スライス面を、任意の回転軸を中心として回転させる回転手段は、例えば、回転部13gに対応する。
【0094】
次に、
図11乃至
図14を参照して、第3の実施形態の3次元表示処理について説明する。なお、以下、
図11乃至
図14を参照して説明する処理は、3次元表示装置10によって行われる。
【0095】
図11および
図13は、第3の実施形態の2次元画面40の一例を示している。
図12および
図14は、第3の実施形態の3次元画面50の一例を示している。
【0096】
図11に示すように、2次元画面40に、選択箇所82を中心として、3次元気象現象30の断面Dの位置を表示する。なお、
図11乃至
図14では、3次元気象現象30をスライスする2次元曲面が平面である場合について説明する。
【0097】
そして、
図12に示すように、3次元画面50において、2次元平面40aに相当する2次元平面92における選択箇所82の法線91を、断面Dの中心線として、3次元気象現象30の断面Dを表示する。
【0098】
具体的には、断面Dに、3次元気象現象30aの断面に相当する2次元領域94a、3次元気象現象30bの断面に相当する2次元領域94b、および3次元気象現象30cの断面に相当する2次元領域94c、を表示する。
【0099】
また、2次元領域94aと2次元領域94bとの境界線92a、および、2次元領域94aと2次元領域94cとの境界線92b、はサーフェスSの断面に相当する。
【0100】
また、
図12では、2次元領域94に、反射強度が高い積乱雲等の断面に相当する2次元領域96が表示されている。このように、断面Dを表示することによって、3次元気象現象30の内部にある積乱雲のような特異な気象現象を表示することもできる。
【0101】
また、2次元領域94aに、2次元領域94b,94cよりも高い視認性を与えて表示する。なお、2次元領域96は、2次元領域94aよりも反射強度が高い領域である。そのため、2次元領域96に2次元領域94aと同等の視認性を与えた場合でも、2次元領域96と2次元領域94aとを区別して表示することができる。なお、この場合、例えば、第1の実施形態において上述したように、制御部13が3次元気象現象30の全体の透過率を変更することによって、2次元領域96をより強調して表示することもできる。
【0102】
また、
図12に示される断面Dの輪郭および境界線92a,92bは表示しなくてもよい。
【0103】
次に、
図13および
図14を参照して、視点制御について説明する。
ユーザは、2次元画面40上で、視点を変更するための操作、例えばユーザによってマウスをA方向にドラッグする操作が行われることによって、断面D1に対応する視点位置1300aから、断面D2に対応する視点位置1300bに、視点を変更することができる。
【0104】
このように、
図13に示すように、断面Dの位置および視点位置1300の位置を、連動して変更する。
【0105】
なお、視点位置1300a,1300bは、2次元画面40における仮想のユーザの視点位置であり、例えばアイコンとして2次元画面40に表示される。例えば、このアイコンをユーザ操作に応じて動かすことによって、視点位置1300と選択箇所82とを結ぶ直線に垂直な方向に断面Dの位置を表示する。
【0106】
また、
図13では、選択箇所82を中心に反時計回りのA方向に、視点位置を変更した場合を示しており、変更する角度θ1は、選択箇所82を中心として、断面D1を反時計回りに断面D2まで回転させた角度を示している。
【0107】
そして、
図14に示すように、2次元画面40における断面Dの位置の変更に応じて、3次元画面50における断面Dの位置を変更する。
【0108】
具体的には、2次元平面92における選択箇所82の法線91を断面D1および断面D2の中心線として、例えば3次元気象現象30の断面D1をA方向に動かして、断面D2を表示する。
図14では、断面D1および断面D2を、2次元平面92に垂直な面になるように表示している。
【0109】
なお、
図13および
図14では、法線91を中心として反時計回りに断面Dを回転させる場合について説明したが、断面Dは、任意の角度で、任意の方向に回転することもできる。例えば、断面Dが正方形である場合、断面Dの中心、すなわち法線91の中点、を回転の中心位置として、断面Dを回転してもよい。
【0110】
また、
図11乃至
図14では、2次元曲面が平面である場合について説明したが、2次元曲面の断面式は、一般に、ax
2+by
2+cz
2+2dxy+2eyz+2fzx+2gx+2hy+2iz+j=0と表される。ここで、a,b,c,d,e,f,g,h,i,jは、任意の定数である。そして、この断面式を用いて、2次元曲面で3次元気象現象30をスライスすることができる。
【0111】
また、例えば、スライス部13eは、3次元画面50において、ユーザ操作に応じて、2次元曲面の形状を変更し、変更された形状を有する任意の2次元曲面で、3次元気象現象30をスライスすることもできる。
【0112】
次に、
図15を参照して、第3の実施形態の3次元表示処理手順の一例について説明する。
まず、上述したステップS40と同様の処理が実行される(ステップS40)。
【0113】
次に、選択部13aによって、例えば標的となる選択箇所82が選択される(ステップS1202)。なお、ステップS1202の代わりに、ステップS42の処理を行ってもよい。
【0114】
そして、選択された標的箇所82に対応する断面Dの位置として、例えば、断面Dの輪郭が、
図11等に示すように、2次元画面40に表示される(ステップS1204)。
【0115】
次に、ステップS1204において表示された断面Dの位置に対応する断面式が計算される(ステップS1206)。
【0116】
そして、計算された断面式に基づき、3次元画面50に断面Dが表示される(ステップS1208)。
【0117】
次に、2次元画面40において、ユーザ等によって視点を変更するための操作、すなわち上述したような視点制御、が行われたか否か判定される(ステップS1210)。視点制御が行われないと判定された場合(ステップS1210:No)、視点制御が行われるまで待機する。
【0118】
一方、視点制御が行われたと判定された場合(ステップS1210:Yes)、断面Dを、例えば断面D1から断面D2に変更することによって、更新する必要があるか否か判定される(ステップS1212)。
【0119】
断面Dを更新する必要がないと判定された場合(ステップS1212:No)、本実施形態における3次元表示処理を終了する。なお、断面Dを更新する必要がないと判定された場合(ステップS1212:No)、本実施形態の3次元表示処理を終了する代わりに、ステップS1210に戻って、ステップS1210の処理を行ってもよい。
【0120】
一方、断面Dを更新する必要があると判定された場合(ステップS1212:Yes)、ステップS1204に戻る。
【0121】
以上のように、第3の実施形態によれば、ユーザは3次元気象現象30を任意の方向から見ることが可能となる。具体的には、3次元気象現象30を任意の2次元曲面でスライスし、3次元気象現象30の任意の断面Dを表示することが可能となる。
【0122】
そして、3次元気象現象30に例えば、3次元気象現象30の内部に積乱雲等が含まれていた場合でも、所望の断面Dを容易に可視化することが可能となるため、ユーザは積乱雲等を容易に視認することが可能となる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
10…3次元表示装置、12…3Dデータ取得部、13…制御部、13a…選択部、13b…視認性付与部、13c…変換部、13d…生成部、13e…検出部、13f…スライス部、13g…回転部、14…表示部、15…操作部、16…記憶部、17…通信部、20…2次元領域、30…3次元気象現象、30a、30b,30c…3次元空間領域、40…2次元画面、40a,60a、92…2次元平面、50…3次元画面、60…3次元空間、61…ボクセル、70,90…2次元領域、72…風力情報取得部、82…選択位置、91…法線、92a,92b…境界線、94a,94b,94c,96…2次元領域、1300a,1300b…視点位置、B…風上方向、C…流域、D,D1,D2…断面、L…法線ベクトル、S…サーフェス、V…標的体積、θ,θ1…角度。