(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20231107BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20231107BHJP
【FI】
G06T19/00 300B
A63F13/79 500
(21)【出願番号】P 2022152560
(22)【出願日】2022-09-26
【審査請求日】2022-10-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509070463
【氏名又は名称】株式会社コロプラ
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】梶山 万悠子
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 篤
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-054190(JP,A)
【文献】特開2019-063325(JP,A)
【文献】特開2020-168132(JP,A)
【文献】特開2001-312745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを
ブロックの対象と
する設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタに加え、前記第1キャラクタのダミーとなる少なくとも1つのダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる設定反映手段
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記設定反映手段は、前
記設定がされたことに基づき、外見が異なる複数の前記ダミーキャラクタを並行して前記仮想空間に出現させる
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
コンピュータを、
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを対象として所定の設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタに加え、前記第1キャラクタのダミーとなる少なくとも1つのダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる設定反映手段として機能させ、
前記設定反映手段は、前記所定の設定がされたことに基づき、前記第2キャラクタを操作するユーザに対する前記第1キャラクタの識別性を変化させる
、プログラム。
【請求項4】
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを
ブロックの対象と
する設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタに加え、前記第1キャラクタのダミーとなる少なくとも1つのダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる設定反映手段
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想空間内で他のユーザと交流が可能なサービス(例えば、ゲーム等)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなサービスにおいては、ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供することが求められている。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に示す一実施形態によれば、
コンピュータを、
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを対象として所定の設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタのダミーとなる少なくとも1つのダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる設定反映手段
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ある実施の形態に従うHMDシステムの構成の概略を表す図である。
【
図2】ある実施の形態に従うコンピュータのハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】ある実施の形態に従うHMDに設定されるuvw視野座標系を概念的に表す図である。
【
図4】ある実施の形態に従う仮想空間を表現する一態様を概念的に表す図である。
【
図5】ある実施の形態に従うHMDを装着するユーザの頭部を上から表した図である。
【
図6】仮想空間において視界領域をX方向から見たYZ断面を表す図である。
【
図7】仮想空間において視界領域をY方向から見たXZ断面を表す図である。
【
図8A】ある実施の形態に従うコントローラの概略構成を表す図である。
【
図8B】ある実施の形態に従うユーザの右手に対して規定されるヨー、ロール、ピッチの各方向の一例を示す図である。
【
図9】ある実施の形態に従うサーバのハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
【
図10】ある実施の形態に従うコンピュータをモジュール構成として表すブロック図である。
【
図11】ある実施の形態に従うHMDセットにおいて実行される処理を示すシーケンスチャートである。
【
図12A】ネットワークにおいて、各HMDがユーザに仮想空間を提供する状況を表す模式図である。
【
図13】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行される処理を示すシーケンスチャートである。
【
図14】ある実施の形態に従うコンピュータのモジュールの詳細構成を表すブロック図である。
【
図15】ある実施の形態に従うサーバをモジュール構成として表すブロック図である。
【
図16】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行される表示変更処理を示すフローチャートである。
【
図17】ある実施の形態に従うアバターオブジェクトの外見およびハンドルネームの一例を示す図であって、(a)は所定の設定がされる前を示し、(b)は所定の設定がされた後を示している。
【
図18】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行されるダミー配置処理を示すフローチャートである。
【
図19】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて、ダミー配置処理が実行された際の仮想空間を示す模式図である。
【
図20】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行される迷惑行為判定処理(その1)を示すフローチャートである。
【
図21】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行される迷惑行為判定処理(その2)を示すフローチャートである。
【
図22】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行される迷惑行為判定処理(その3)を示すフローチャートである。
【
図23】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行される迷惑行為判定処理(その4)を示すフローチャートである。
【
図24】ある実施の形態に従うHMDシステムにおいて実行される迷惑行為判定処理(その5)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この技術的思想の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。本開示において示される1以上の実施形態において、各実施形態が含む要素を互いに組み合わせることができ、かつ、当該組み合わせられた結果物も本開示が示す実施形態の一部をなすものとする。
【0010】
[HMDシステムの構成]
図1を参照して、HMD(Head-Mounted Device)システム100の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に従うHMDシステム100の構成の概略を表す図である。HMDシステム100は、家庭用のシステムとしてあるいは業務用のシステムとして提供される。HMDシステム100は、ユーザに所定のサービスを提供する。
【0011】
HMDシステム100は、サーバ600と、HMDセット110A,110B,110C,110Dと、外部機器700と、ネットワーク2とを含む。HMDセット110A,110B,110C,110Dの各々は、ネットワーク2を介してサーバ600や外部機器700と通信可能に構成される。以下、HMDセット110A,110B,110C,110Dを総称して、HMDセット110とも言う。HMDシステム100を構成するHMDセット110の数は、4つに限られず、3つ以下でも、5つ以上でもよい。HMDセット110は、HMD120と、コンピュータ200と、HMDセンサ410と、ディスプレイ430と、コントローラ300とを備える。HMD120は、モニタ130と、注視センサ140と、第1カメラ150と、第2カメラ160と、マイク170と、スピーカ180とを含む。コントローラ300は、モーションセンサ420を含み得る。
【0012】
ある局面において、コンピュータ200は、インターネットその他のネットワーク2に接続可能であり、ネットワーク2に接続されているサーバ600その他のコンピュータと通信可能である。その他のコンピュータとしては、例えば、他のHMDセット110のコンピュータや外部機器700が挙げられる。別の局面において、HMD120は、HMDセンサ410の代わりに、センサ190を含み得る。
【0013】
HMD120は、ユーザ5の頭部に装着され、動作中に仮想空間をユーザ5に提供し得る。より具体的には、HMD120は、右目用の画像および左目用の画像をモニタ130にそれぞれ表示する。ユーザ5の各目がそれぞれの画像を視認すると、ユーザ5は、両目の視差に基づき当該画像を3次元画像として認識し得る。HMD120は、モニタを備える所謂ヘッドマウントディスプレイと、スマートフォンその他のモニタを有する端末を装着可能なヘッドマウント機器のいずれをも含み得る。
【0014】
モニタ130は、例えば、非透過型の表示装置として実現される。ある局面において、モニタ130は、ユーザ5の両目の前方に位置するようにHMD120の本体に配置されている。したがって、ユーザ5は、モニタ130に表示される3次元画像を視認すると、仮想空間に没入することができる。ある局面において、仮想空間は、例えば、背景、ユーザ5が操作可能なオブジェクト、ユーザ5が選択可能なメニューの画像を含む。ある局面において、モニタ130は、所謂スマートフォンその他の情報表示端末が備える液晶モニタまたは有機EL(Electro Luminescence)モニタとして実現され得る。
【0015】
別の局面において、モニタ130は、透過型の表示装置として実現され得る。透過型のモニタ130としては、例えば、メガネ型のものやコンタクトレンズ型のものがある。HMD120は、
図1に示されるようにユーザ5の目を覆う密閉型ではなく、ユーザ5の目を覆わない開放型のものであってもよい。透過型のモニタ130は、その透過率を調整することにより、一時的に非透過型の表示装置として構成可能であってもよい。モニタ130は、仮想空間を構成する画像の一部と、現実空間とを同時に表示する構成を含んでいてもよい。例えば、モニタ130は、HMD120に搭載されたカメラで撮影した現実空間の画像を表示してもよいし、一部の透過率を高く設定することにより現実空間を視認可能にしてもよい。
【0016】
ある局面において、モニタ130は、右目用の画像を表示するためのサブモニタと、左目用の画像を表示するためのサブモニタとを含み得る。別の局面において、モニタ130は、右目用の画像と左目用の画像とを一体として表示する構成であってもよい。この場合、モニタ130は、高速シャッタを含む。高速シャッタは、画像がいずれか一方の目にのみ認識されるように、右目用の画像と左目用の画像とを交互に表示可能に作動する。
【0017】
ある局面において、HMD120は、図示せぬ複数の光源を含む。各光源は例えば、赤外線を発するLED(Light Emitting Diode)により実現される。HMDセンサ410は、HMD120の動きを検出するためのポジショントラッキング機能を有する。より具体的には、HMDセンサ410は、HMD120が発する複数の赤外線を読み取り、現実空間内におけるHMD120の位置および傾きを検出する。
【0018】
別の局面において、HMDセンサ410は、カメラにより実現されてもよい。この場合、HMDセンサ410は、カメラから出力されるHMD120の画像情報を用いて、画像解析処理を実行することにより、HMD120の位置および傾きを検出することができる。
【0019】
別の局面において、HMD120は、位置検出器として、HMDセンサ410の代わりに、あるいはHMDセンサ410に加えてセンサ190を備えてもよい。HMD120は、センサ190を用いて、HMD120自身の位置および傾きを検出し得る。例えば、センサ190が角速度センサ、地磁気センサ、あるいは加速度センサである場合、HMD120は、HMDセンサ410の代わりに、これらの各センサのいずれかを用いて、自身の位置および傾きを検出し得る。一例として、センサ190が角速度センサである場合、角速度センサは、現実空間におけるHMD120の3軸周りの角速度を経時的に検出する。HMD120は、各角速度に基づいて、HMD120の3軸周りの角度の時間的変化を算出し、さらに、角度の時間的変化に基づいて、HMD120の傾きを算出する。
【0020】
注視センサ140は、ユーザ5の右目および左目の視線が向けられる方向を検出する。つまり、注視センサ140は、ユーザ5の視線を検出する。視線の方向の検出は、例えば、公知のアイトラッキング機能によって実現される。注視センサ140は、当該アイトラッキング機能を有するセンサにより実現される。ある局面において、注視センサ140は、右目用のセンサおよび左目用のセンサを含むことが好ましい。注視センサ140は、例えば、ユーザ5の右目および左目に赤外光を照射するとともに、照射光に対する角膜および虹彩からの反射光を受けることにより各眼球の回転角を検出するセンサであってもよい。注視センサ140は、検出した各回転角に基づいて、ユーザ5の視線を検知することができる。
【0021】
第1カメラ150は、ユーザ5の顔の下部を撮影する。より具体的には、第1カメラ150は、ユーザ5の鼻および口などを撮影する。第2カメラ160は、ユーザ5の目および眉などを撮影する。HMD120のユーザ5側の筐体をHMD120の内側、HMD120のユーザ5とは逆側の筐体をHMD120の外側と定義する。ある局面において、第1カメラ150は、HMD120の外側に配置され、第2カメラ160は、HMD120の内側に配置され得る。第1カメラ150および第2カメラ160が生成した画像は、コンピュータ200に入力される。別の局面において、第1カメラ150と第2カメラ160とを1台のカメラとして実現し、この1台のカメラでユーザ5の顔を撮影するようにしてもよい。
【0022】
マイク170は、ユーザ5の発話を音声信号(電気信号)に変換してコンピュータ200に出力する。スピーカ180は、音声信号を音声に変換してユーザ5に出力する。別の局面において、HMD120は、スピーカ180に替えてイヤホンを含み得る。
【0023】
コントローラ300は、有線または無線によりコンピュータ200に接続されている。コントローラ300は、ユーザ5からコンピュータ200への命令の入力を受け付ける。ある局面において、コントローラ300は、ユーザ5によって把持可能に構成される。別の局面において、コントローラ300は、ユーザ5の身体あるいは衣類の一部に装着可能に構成される。さらに別の局面において、コントローラ300は、コンピュータ200から送信される信号に基づいて、振動、音、光のうちの少なくともいずれかを出力するように構成されてもよい。さらに別の局面において、コントローラ300は、ユーザ5から、仮想空間に配置されるオブジェクトの位置や動きを制御するための操作を受け付ける。
【0024】
ある局面において、コントローラ300は、複数の光源を含む。各光源は例えば、赤外線を発するLEDにより実現される。HMDセンサ410は、ポジショントラッキング機能を有する。この場合、HMDセンサ410は、コントローラ300が発する複数の赤外線を読み取り、現実空間内におけるコントローラ300の位置および傾きを検出する。別の局面において、HMDセンサ410は、カメラにより実現されてもよい。この場合、HMDセンサ410は、カメラから出力されるコントローラ300の画像情報を用いて、画像解析処理を実行することにより、コントローラ300の位置および傾きを検出することができる。
【0025】
モーションセンサ420は、ある局面において、ユーザ5の手に取り付けられて、ユーザ5の手の動きを検出する。ユーザ5の手に取り付けられるとは、例えば、モーションセンサ420が、ユーザ5に把持可能に構成されたコントローラ300に設けられる。把持型のコントローラ300の一例については、
図8を用いて後述する。また、モーションセンサ420は、ユーザ5が装着可能に構成された手袋型のデバイス(換言すると、手袋型のコントローラ300)に設けられてもよい。手袋型のコントローラ300の場合、把持型のコントローラ300に比べ、容易に飛んで行かないため、現実空間における安全を確保できる。モーションセンサ420は、例えば、手の回転速度、回転数、指の動き等を検出する。検出された信号は、コンピュータ200に送られる。なお、手袋型のコントローラ300は、把持型のコントローラ300に比べ、より多くの数の指(例えば全ての指)の動きを検出可能に構成されていてもよい。
別の局面において、ユーザ5に装着されないセンサがユーザ5の手の動きを検出してもよい。例えば、ユーザ5を撮影するカメラの信号が、ユーザ5の動作を表す信号として、コンピュータ200に入力されてもよい。モーションセンサ420とコンピュータ200とは、一例として、無線により互いに接続される。無線の場合、通信形態は特に限られず、例えば、Bluetooth(登録商標)その他の公知の通信手法が用いられる。
【0026】
ディスプレイ430は、モニタ130に表示されている画像と同様の画像を表示する。これにより、HMD120を装着しているユーザ5以外のユーザにも当該ユーザ5と同様の画像を視聴させることができる。ディスプレイ430に表示される画像は、3次元画像である必要はなく、右目用の画像や左目用の画像であってもよい。ディスプレイ430としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELモニタなどが挙げられる。
【0027】
サーバ600は、コンピュータ200にプログラムを送信し得る。別の局面において、サーバ600は、他のユーザによって使用されるHMD120に仮想現実を提供するための他のコンピュータ200と通信し得る。例えば、アミューズメント施設において、複数のユーザが参加型のゲームを行う場合、各コンピュータ200は、各ユーザの動作に基づく信号をサーバ600を介して他のコンピュータ200と通信して、同じ仮想空間において複数のユーザが共通のゲームを楽しむことを可能にする。各コンピュータ200は、各ユーザの動作に基づく信号をサーバ600を介さずに他のコンピュータ200と通信するようにしてもよい。
【0028】
外部機器700は、コンピュータ200と通信可能な機器であればどのような機器であってもよい。外部機器700は、例えば、ネットワーク2を介してコンピュータ200と通信可能な機器であってもよいし、近距離無線通信や有線接続によりコンピュータ200と直接通信可能な機器であってもよい。また、外部機器700は、例えば、ネットワーク2を介してサーバ600と通信可能な機器であってもよい。外部機器700としては、例えば、スマートデバイス、PC(Personal Computer)、およびコンピュータ200の周辺機器などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
[コンピュータのハードウェア構成]
図2を参照して、本実施の形態に係るコンピュータ200について説明する。
図2は、本実施の形態に従うコンピュータ200のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。コンピュータ200は、主たる構成要素として、プロセッサ210と、メモリ220と、ストレージ230と、入出力インターフェイス240と、通信インターフェイス250とを備える。各構成要素は、それぞれ、バス260に接続されている。
【0030】
プロセッサ210は、コンピュータ200に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリ220またはストレージ230に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。ある局面において、プロセッサ210は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics
Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)その他のデバイスとして実現される。
【0031】
メモリ220は、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、ストレージ230からロードされる。データは、コンピュータ200に入力されたデータと、プロセッサ210によって生成されたデータとを含む。ある局面において、メモリ220は、RAM(Random Access Memory)その他の揮発メモリとして実現される。
【0032】
ストレージ230は、プログラムおよびデータを永続的に保持する。ストレージ230は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発記憶装置として実現される。ストレージ230に格納されるプログラムは、HMDシステム100において仮想空間を提供するためのプログラム、シミュレーションプログラム、ゲームプログラム、ユーザ認証プログラム、他のコンピュータ200との通信を実現するためのプログラムを含む。ストレージ230に格納されるデータは、仮想空間を規定するためのデータおよびオブジェクト等を含む。
【0033】
別の局面において、ストレージ230は、メモリカードのように着脱可能な記憶装置として実現されてもよい。さらに別の局面において、コンピュータ200に内蔵されたストレージ230の代わりに、外部の記憶装置に保存されているプログラムおよびデータを使用する構成が使用されてもよい。このような構成によれば、例えば、アミューズメント施設のように複数のHMDシステム100が使用される場面において、プログラムやデータの更新を一括して行うことが可能になる。
【0034】
入出力インターフェイス240は、HMD120、HMDセンサ410、モーションセンサ420およびディスプレイ430との間で信号を通信する。HMD120に含まれるモニタ130,注視センサ140,第1カメラ150,第2カメラ160,マイク170およびスピーカ180は、HMD120の入出力インターフェイス240を介してコンピュータ200との通信を行ない得る。ある局面において、入出力インターフェイス240は、USB(Universal Serial Bus)、DVI(Digital Visual
Interface)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia
Interface)その他の端子を用いて実現される。入出力インターフェイス240は上述のものに限られない。
【0035】
ある局面において、入出力インターフェイス240は、さらに、コントローラ300と通信し得る。例えば、入出力インターフェイス240は、コントローラ300およびモーションセンサ420から出力された信号の入力を受ける。別の局面において、入出力インターフェイス240は、プロセッサ210から出力された命令を、コントローラ300に送る。当該命令は、振動、音声出力、発光等をコントローラ300に指示する。コントローラ300は、当該命令を受信すると、その命令に応じて、振動、音声出力または発光のいずれかを実行する。
【0036】
通信インターフェイス250は、ネットワーク2に接続されて、ネットワーク2に接続されている他のコンピュータ(例えば、サーバ600)と通信する。ある局面において、通信インターフェイス250は、例えば、LAN(Local Area Network)その他の有線通信インターフェイス、あるいは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)その他の無線通信インターフェイスとして実現される。通信インターフェイス250は上述のものに限られない。
【0037】
ある局面において、プロセッサ210は、ストレージ230にアクセスし、ストレージ230に格納されている1つ以上のプログラムをメモリ220にロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。当該1つ以上のプログラムは、コンピュータ200のオペレーティングシステム、仮想空間を提供するためのアプリケーションプログラム、仮想空間で実行可能なゲームソフトウェア等を含み得る。プロセッサ210は、入出力インターフェイス240を介して、仮想空間を提供するための信号をHMD120に送る。HMD120は、その信号に基づいてモニタ130に映像を表示する。
【0038】
図2に示される例では、コンピュータ200は、HMD120の外部に設けられる構成が示されているが、別の局面において、コンピュータ200は、HMD120に内蔵されてもよい。一例として、モニタ130を含む携帯型の情報通信端末(例えば、スマートフォン)がコンピュータ200として機能してもよい。
【0039】
コンピュータ200は、複数のHMD120に共通して用いられる構成であってもよい。このような構成によれば、例えば、複数のユーザに同一の仮想空間を提供することもできるので、各ユーザは同一の仮想空間で他のユーザと同一のアプリケーションを楽しむことができる。
【0040】
ある実施の形態において、HMDシステム100では、現実空間における座標系である実座標系が予め設定されている。実座標系は、現実空間における鉛直方向、鉛直方向に直交する水平方向、並びに、鉛直方向および水平方向の双方に直交する前後方向にそれぞれ平行な、3つの基準方向(軸)を有する。実座標系における水平方向、鉛直方向(上下方向)、および前後方向は、それぞれ、x軸、y軸、z軸と規定される。より具体的には、実座標系において、x軸は現実空間の水平方向に平行である。y軸は、現実空間の鉛直方向に平行である。z軸は現実空間の前後方向に平行である。
【0041】
ある局面において、HMDセンサ410は、赤外線センサを含む。赤外線センサが、HMD120の各光源から発せられた赤外線をそれぞれ検出すると、HMD120の存在を検出する。HMDセンサ410は、さらに、各点の値(実座標系における各座標値)に基づいて、HMD120を装着したユーザ5の動きに応じた、現実空間内におけるHMD120の位置および傾き(向き)を検出する。より詳しくは、HMDセンサ410は、経時的に検出された各値を用いて、HMD120の位置および傾きの時間的変化を検出できる。
【0042】
HMDセンサ410によって検出されたHMD120の各傾きは、実座標系におけるHMD120の3軸周りの各傾きに相当する。HMDセンサ410は、実座標系におけるHMD120の傾きに基づき、uvw視野座標系をHMD120に設定する。HMD120に設定されるuvw視野座標系は、HMD120を装着したユーザ5が仮想空間において物体を見る際の視点座標系に対応する。
【0043】
[uvw視野座標系]
図3を参照して、uvw視野座標系について説明する。
図3は、ある実施の形態に従うHMD120に設定されるuvw視野座標系を概念的に表す図である。HMDセンサ410は、HMD120の起動時に、実座標系におけるHMD120の位置および傾きを検出する。プロセッサ210は、検出された値に基づいて、uvw視野座標系をHMD120に設定する。
【0044】
図3に示されるように、HMD120は、HMD120を装着したユーザ5の頭部を中心(原点)とした3次元のuvw視野座標系を設定する。より具体的には、HMD120は、実座標系を規定する水平方向、鉛直方向、および前後方向(x軸、y軸、z軸)を、実座標系内においてHMD120の各軸周りの傾きだけ各軸周りにそれぞれ傾けることによって新たに得られる3つの方向を、HMD120におけるuvw視野座標系のピッチ軸(u軸)、ヨー軸(v軸)、およびロール軸(w軸)として設定する。
【0045】
ある局面において、HMD120を装着したユーザ5が直立し、かつ、正面を視認している場合、プロセッサ210は、実座標系に平行なuvw視野座標系をHMD120に設定する。この場合、実座標系における水平方向(x軸)、鉛直方向(y軸)、および前後方向(z軸)は、HMD120におけるuvw視野座標系のピッチ軸(u軸)、ヨー軸(v軸)、およびロール軸(w軸)に一致する。
【0046】
uvw視野座標系がHMD120に設定された後、HMDセンサ410は、HMD120の動きに基づいて、設定されたuvw視野座標系におけるHMD120の傾きを検出できる。この場合、HMDセンサ410は、HMD120の傾きとして、uvw視野座標系におけるHMD120のピッチ角(θu)、ヨー角(θv)、およびロール角(θw)をそれぞれ検出する。ピッチ角(θu)は、uvw視野座標系におけるピッチ軸周りのHMD120の傾き角度を表す。ヨー角(θv)は、uvw視野座標系におけるヨー軸周りのHMD120の傾き角度を表す。ロール角(θw)は、uvw視野座標系におけるロール軸周りのHMD120の傾き角度を表す。
【0047】
HMDセンサ410は、検出されたHMD120の傾きに基づいて、HMD120が動いた後のHMD120におけるuvw視野座標系を、HMD120に設定する。HMD120と、HMD120のuvw視野座標系との関係は、HMD120の位置および傾きに関わらず、常に一定である。HMD120の位置および傾きが変わると、当該位置および傾きの変化に連動して、実座標系におけるHMD120のuvw視野座標系の位置および傾きが変化する。
【0048】
ある局面において、HMDセンサ410は、赤外線センサからの出力に基づいて取得される赤外線の光強度および複数の点間の相対的な位置関係(例えば、各点間の距離など)に基づいて、HMD120の現実空間内における位置を、HMDセンサ410に対する相対位置として特定してもよい。プロセッサ210は、特定された相対位置に基づいて、現実空間内(実座標系)におけるHMD120のuvw視野座標系の原点を決定してもよい。
【0049】
[仮想空間]
図4を参照して、仮想空間についてさらに説明する。
図4は、ある実施の形態に従う仮想空間11を表現する一態様を概念的に表す図である。仮想空間11は、中心12の360度方向の全体を覆う全天球状の構造を有する。
図4では、説明を複雑にしないために、仮想空間11のうちの上半分の天球が例示されている。仮想空間11では各メッシュが規定される。各メッシュの位置は、仮想空間11に規定されるグローバル座標系であるXYZ座標系における座標値として予め規定されている。コンピュータ200は、仮想空間11に展開可能なパノラマ画像13(静止画、動画等)を構成する各部分画像を、仮想空間11において対応する各メッシュにそれぞれ対応付ける。
【0050】
ある局面において、仮想空間11では、中心12を原点とするXYZ座標系が規定される。XYZ座標系は、例えば、実座標系に平行である。XYZ座標系における水平方向、鉛直方向(上下方向)、および前後方向は、それぞれX軸、Y軸、Z軸として規定される。したがって、XYZ座標系のX軸(水平方向)が実座標系のx軸と平行であり、XYZ座標系のY軸(鉛直方向)が実座標系のy軸と平行であり、XYZ座標系のZ軸(前後方向)が実座標系のz軸と平行である。
【0051】
HMD120の起動時、すなわちHMD120の初期状態において、仮想カメラ14が、仮想空間11の中心12に配置される。ある局面において、プロセッサ210は、仮想カメラ14が撮影する画像をHMD120のモニタ130に表示する。仮想カメラ14は、現実空間におけるHMD120の動きに連動して、仮想空間11を同様に移動する。これにより、現実空間におけるHMD120の位置および傾きの変化が、仮想空間11において同様に再現され得る。
【0052】
仮想カメラ14には、HMD120の場合と同様に、uvw視野座標系が規定される。仮想空間11における仮想カメラ14のuvw視野座標系は、現実空間(実座標系)におけるHMD120のuvw視野座標系に連動するように規定されている。したがって、HMD120の傾きが変化すると、それに応じて、仮想カメラ14の傾きも変化する。仮想カメラ14は、HMD120を装着したユーザ5の現実空間における移動に連動して、仮想空間11において移動することもできる。
【0053】
コンピュータ200のプロセッサ210は、仮想カメラ14の位置と傾き(基準視線16)とに基づいて、仮想空間11における視界領域15を規定する。視界領域15は、仮想空間11のうち、HMD120を装着したユーザ5が視認する領域に対応する。つまり、仮想カメラ14の位置は、仮想空間11におけるユーザ5の視点と言える。
【0054】
注視センサ140によって検出されるユーザ5の視線は、ユーザ5が物体を視認する際の視点座標系における方向である。HMD120のuvw視野座標系は、ユーザ5がモニタ130を視認する際の視点座標系に等しい。仮想カメラ14のuvw視野座標系は、HMD120のuvw視野座標系に連動している。したがって、ある局面に従うHMDシステム100は、注視センサ140によって検出されたユーザ5の視線を、仮想カメラ14のuvw視野座標系におけるユーザ5の視線とみなすことができる。
【0055】
[ユーザの視線]
図5を参照して、ユーザ5の視線の決定について説明する。
図5は、ある実施の形態に従うHMD120を装着するユーザ5の頭部を上から表した図である。
【0056】
ある局面において、注視センサ140は、ユーザ5の右目および左目の各視線を検出する。ある局面において、ユーザ5が近くを見ている場合、注視センサ140は、視線R1およびL1を検出する。別の局面において、ユーザ5が遠くを見ている場合、注視センサ140は、視線R2およびL2を検出する。この場合、ロール軸wに対して視線R2およびL2が成す角度は、ロール軸wに対して視線R1およびL1が成す角度よりも小さい。注視センサ140は、検出結果をコンピュータ200に送信する。
【0057】
コンピュータ200が、視線の検出結果として、視線R1およびL1の検出値を注視センサ140から受信した場合には、その検出値に基づいて、視線R1およびL1の交点である注視点N1を特定する。一方、コンピュータ200は、視線R2およびL2の検出値を注視センサ140から受信した場合には、視線R2およびL2の交点を注視点として特定する。コンピュータ200は、特定した注視点N1の位置に基づき、ユーザ5の視線N0を特定する。コンピュータ200は、例えば、ユーザ5の右目Rと左目Lとを結ぶ直線の中点と、注視点N1とを通る直線の延びる方向を、視線N0として検出する。視線N0は、ユーザ5が両目により実際に視線を向けている方向である。視線N0は、視界領域15に対してユーザ5が実際に視線を向けている方向に相当する。
【0058】
別の局面において、HMDシステム100は、テレビジョン放送受信チューナを備えてもよい。このような構成によれば、HMDシステム100は、仮想空間11においてテレビ番組を表示することができる。
【0059】
さらに別の局面において、HMDシステム100は、インターネットに接続するための通信回路、あるいは、電話回線に接続するための通話機能を備えていてもよい。
【0060】
[視界領域]
図6および
図7を参照して、視界領域15について説明する。
図6は、仮想空間11において視界領域15をX方向から見たYZ断面を表す図である。
図7は、仮想空間11において視界領域15をY方向から見たXZ断面を表す図である。
【0061】
図6に示されるように、YZ断面における視界領域15は、領域18を含む。領域18は、仮想カメラ14の位置と基準視線16と仮想空間11のYZ断面とによって定義される。プロセッサ210は、仮想空間における基準視線16を中心として極角αを含む範囲を、領域18として規定する。
【0062】
図7に示されるように、XZ断面における視界領域15は、領域19を含む。領域19は、仮想カメラ14の位置と基準視線16と仮想空間11のXZ断面とによって定義される。プロセッサ210は、仮想空間11における基準視線16を中心とした方位角βを含む範囲を、領域19として規定する。極角αおよびβは、仮想カメラ14の位置と仮想カメラ14の傾き(向き)とに応じて定まる。
【0063】
ある局面において、HMDシステム100は、コンピュータ200からの信号に基づいて、視界画像17をモニタ130に表示させることにより、ユーザ5に仮想空間11における視界を提供する。視界画像17は、パノラマ画像13のうち視界領域15に対応する部分に相当する画像である。ユーザ5が、頭に装着したHMD120を動かすと、その動きに連動して仮想カメラ14も動く。その結果、仮想空間11における視界領域15の位置が変化する。これにより、モニタ130に表示される視界画像17は、パノラマ画像13のうち、仮想空間11においてユーザ5が向いた方向の視界領域15に重畳する画像に更新される。ユーザ5は、仮想空間11における所望の方向を視認することができる。
【0064】
このように、仮想カメラ14の傾きは仮想空間11におけるユーザ5の視線(基準視線16)に相当し、仮想カメラ14が配置される位置は、仮想空間11におけるユーザ5の視点に相当する。したがって、仮想カメラ14の位置または傾きを変更することにより、モニタ130に表示される画像が更新され、ユーザ5の視界が移動される。
【0065】
ユーザ5は、HMD120を装着している間、現実世界を視認することなく、仮想空間11に展開されるパノラマ画像13のみを視認できる。そのため、HMDシステム100は、仮想空間11への高い没入感覚をユーザ5に与えることができる。
【0066】
ある局面において、プロセッサ210は、HMD120を装着したユーザ5の現実空間における移動に連動して、仮想空間11において仮想カメラ14を移動し得る。この場合、プロセッサ210は、仮想空間11における仮想カメラ14の位置および傾きに基づいて、HMD120のモニタ130に投影される画像領域(視界領域15)を特定する。
【0067】
ある局面において、仮想カメラ14は、2つの仮想カメラ、すなわち、右目用の画像を提供するための仮想カメラと、左目用の画像を提供するための仮想カメラとを含み得る。ユーザ5が3次元の仮想空間11を認識できるように、適切な視差が、2つの仮想カメラに設定される。別の局面において、仮想カメラ14を1つの仮想カメラにより実現してもよい。この場合、1つの仮想カメラにより得られた画像から、右目用の画像と左目用の画像とを生成するようにしてもよい。本実施の形態においては、仮想カメラ14が2つの仮想カメラを含み、2つの仮想カメラのロール軸が合成されることによって生成されるロール軸(w)がHMD120のロール軸(w)に適合されるように構成されているものとして、本開示に係る技術思想を例示する。
【0068】
[コントローラ]
図8を参照して、コントローラ300の一例について説明する。
図8は、ある実施の形態に従うコントローラ300の概略構成を表す図である。
【0069】
図8に示されるように、ある局面において、コントローラ300は、右コントローラ300Rと図示せぬ左コントローラとを含み得る。右コントローラ300Rは、ユーザ5の右手で操作される。左コントローラは、ユーザ5の左手で操作される。ある局面において、右コントローラ300Rと左コントローラとは、別個の装置として対称に構成される。したがって、ユーザ5は、右コントローラ300Rを把持した右手と、左コントローラを把持した左手とをそれぞれ自由に動かすことができる。別の局面において、コントローラ300は両手の操作を受け付ける一体型のコントローラであってもよい。以下、右コントローラ300Rについて説明する。
【0070】
右コントローラ300Rは、グリップ310と、フレーム320と、天面330とを備える。グリップ310は、ユーザ5の右手によって把持されるように構成されている。たとえば、グリップ310は、ユーザ5の右手の掌と3本の指(中指、薬指、小指)とによって保持され得る。
【0071】
グリップ310は、ボタン340,350と、モーションセンサ420とを含む。ボタン340は、グリップ310の側面に配置され、右手の中指による操作を受け付ける。ボタン350は、グリップ310の前面に配置され、右手の人差し指による操作を受け付ける。ある局面において、ボタン340,350は、トリガー式のボタンとして構成される。モーションセンサ420は、グリップ310の筐体に内蔵されている。ユーザ5の動作がカメラその他の装置によってユーザ5の周りから検出可能である場合には、グリップ310は、モーションセンサ420を備えなくてもよい。
【0072】
フレーム320は、その円周方向に沿って配置された複数の赤外線LED360を含む。赤外線LED360は、コントローラ300を使用するプログラムの実行中に、当該プログラムの進行に合わせて赤外線を発光する。赤外線LED360から発せられた赤外線は、右コントローラ300Rと左コントローラとの各位置や姿勢(傾き、向き)を検出するために使用され得る。
図8に示される例では、二列に配置された赤外線LED360が示されているが、配列の数は
図8に示されるものに限られない。一列あるいは3列以上の配列が使用されてもよい。
【0073】
天面330は、ボタン370,380と、アナログスティック390とを備える。ボタン370,380は、プッシュ式ボタンとして構成される。ボタン370,380は、ユーザ5の右手の親指による操作を受け付ける。アナログスティック390は、ある局面において、初期位置(ニュートラルの位置)から360度任意の方向への操作を受け付ける。当該操作は、たとえば、仮想空間11に配置されるオブジェクトを移動するための操作を含む。
【0074】
ある局面において、右コントローラ300Rおよび左コントローラは、赤外線LED360その他の部材を駆動するための電池を含む。電池は、充電式、ボタン型、乾電池型などを含むが、これらに限定されない。別の局面において、右コントローラ300Rと左コントローラは、たとえば、コンピュータ200のUSBインターフェイスに接続され得る。この場合、右コントローラ300Rおよび左コントローラは、電池を必要としない。
【0075】
図8の状態(A)および状態(B)に示されるように、例えば、ユーザ5の右手に対して、ヨー、ロール、ピッチの各方向が規定される。ユーザ5が親指と人差し指とを伸ばした場合に、親指の伸びる方向がヨー方向、人差し指の伸びる方向がロール方向、ヨー方向の軸およびロール方向の軸によって規定される平面に垂直な方向がピッチ方向として規定される。
【0076】
[サーバのハードウェア構成]
図9を参照して、本実施の形態に係るサーバ600について説明する。
図9は、ある実施の形態に従うサーバ600のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。サーバ600は、主たる構成要素として、プロセッサ610と、メモリ620と、ストレージ630と、入出力インターフェイス640と、通信インターフェイス650とを備える。各構成要素は、それぞれ、バス660に接続されている。
【0077】
プロセッサ610は、サーバ600に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリ620またはストレージ630に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。ある局面において、プロセッサ610は、CPU、GPU、MPU、FPGAその他のデバイスとして実現される。
【0078】
メモリ620は、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、ストレージ630からロードされる。データは、サーバ600に入力されたデータと、プロセッサ610によって生成されたデータとを含む。ある局面において、メモリ620は、RAMその他の揮発メモリとして実現される。
【0079】
ストレージ630は、プログラムおよびデータを永続的に保持する。ストレージ630は、例えば、ROM、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発記憶装置として実現される。ストレージ630に格納されるプログラムは、HMDシステム100において仮想空間を提供するためのプログラム、シミュレーションプログラム、ゲームプログラム、ユーザ認証プログラム、コンピュータ200との通信を実現するためのプログラムを含んでもよい。ストレージ630に格納されるデータは、仮想空間を規定するためのデータおよびオブジェクト等を含んでもよい。
【0080】
別の局面において、ストレージ630は、メモリカードのように着脱可能な記憶装置として実現されてもよい。さらに別の局面において、サーバ600に内蔵されたストレージ630の代わりに、外部の記憶装置に保存されているプログラムおよびデータを使用する構成が使用されてもよい。このような構成によれば、例えば、アミューズメント施設のように複数のHMDシステム100が使用される場面において、プログラムやデータの更新を一括して行うことが可能になる。
【0081】
入出力インターフェイス640は、入出力機器との間で信号を通信する。ある局面において、入出力インターフェイス640は、USB、DVI、HDMI(登録商標)その他の端子を用いて実現される。入出力インターフェイス640は上述のものに限られない。
【0082】
通信インターフェイス650は、ネットワーク2に接続されて、ネットワーク2に接続されているコンピュータ200と通信する。ある局面において、通信インターフェイス650は、例えば、LANその他の有線通信インターフェイス、あるいは、Wi-Fi、Bluetooth、NFCその他の無線通信インターフェイスとして実現される。通信インターフェイス650は上述のものに限られない。
【0083】
ある局面において、プロセッサ610は、ストレージ630にアクセスし、ストレージ630に格納されている1つ以上のプログラムをメモリ620にロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。当該1つ以上のプログラムは、サーバ600のオペレーティングシステム、仮想空間を提供するためのアプリケーションプログラム、仮想空間で実行可能なゲームソフトウェア等を含み得る。プロセッサ610は、入出力インターフェイス640を介して、仮想空間を提供するための信号をコンピュータ200に送ってもよい。
【0084】
[HMDの制御装置]
図10を参照して、HMD120の制御装置について説明する。ある実施の形態において、制御装置は周知の構成を有するコンピュータ200によって実現される。
図10は、ある実施の形態に従うコンピュータ200をモジュール構成として表すブロック図である。
【0085】
図10に示されるように、コンピュータ200は、コントロールモジュール510と、レンダリングモジュール520と、メモリモジュール530と、通信制御モジュール540とを備える。ある局面において、コントロールモジュール510とレンダリングモジュール520とは、プロセッサ210によって実現される。別の局面において、複数のプロセッサ210がコントロールモジュール510とレンダリングモジュール520として作動してもよい。メモリモジュール530は、メモリ220またはストレージ230によって実現される。通信制御モジュール540は、通信インターフェイス250によって実現される。
【0086】
コントロールモジュール510は、ユーザ5に提供される仮想空間11を制御する。コントロールモジュール510は、仮想空間11を表す仮想空間データを用いて、HMDシステム100における仮想空間11を規定する。仮想空間データは、例えば、メモリモジュール530に記憶されている。コントロールモジュール510が、仮想空間データを生成したり、サーバ600などから仮想空間データを取得するようにしたりしてもよい。
【0087】
コントロールモジュール510は、オブジェクトを表すオブジェクトデータを用いて、仮想空間11にオブジェクトを配置する。オブジェクトデータは、例えば、メモリモジュール530に記憶されている。コントロールモジュール510が、オブジェクトデータを生成したり、サーバ600などからオブジェクトデータを取得するようにしたりしてもよい。オブジェクトは、例えば、ユーザ5の分身であるアバターオブジェクト(換言すると、ユーザ5のキャラクタオブジェクト)、キャラクタオブジェクト、コントローラ300によって操作される仮想手などの操作オブジェクト、ゲームのストーリーの進行に従って配置される森、山その他を含む風景、街並み、動物等を含み得る。
【0088】
コントロールモジュール510は、ネットワーク2を介して接続される他のコンピュータ200のユーザ5のアバターオブジェクトを仮想空間11に配置する。ある局面において、コントロールモジュール510は、ユーザ5のアバターオブジェクトを仮想空間11に配置する。ある局面において、コントロールモジュール510は、ユーザ5を含む画像に基づいて、ユーザ5を模したアバターオブジェクトを仮想空間11に配置する。別の局面において、コントロールモジュール510は、複数種類のアバターオブジェクト(例えば、動物を模したオブジェクトや、デフォルメされた人のオブジェクト)の中からユーザ5による選択を受け付けたアバターオブジェクトを仮想空間11に配置する。
【0089】
コントロールモジュール510は、HMDセンサ410の出力に基づいてHMD120の傾きを特定する。別の局面において、コントロールモジュール510は、モーションセンサとして機能するセンサ190の出力に基づいてHMD120の傾きを特定する。コントロールモジュール510は、第1カメラ150および第2カメラ160が生成するユーザ5の顔の画像から、ユーザ5の顔を構成する器官(例えば、口,目,眉)を検出する。コントロールモジュール510は、検出した各器官の動き(形状)を検出する。
【0090】
コントロールモジュール510は、注視センサ140からの信号に基づいて、ユーザ5の仮想空間11における視線を検出する。コントロールモジュール510は、検出したユーザ5の視線と仮想空間11の天球とが交わる視点位置(XYZ座標系における座標値)を検出する。より具体的には、コントロールモジュール510は、uvw座標系で規定されるユーザ5の視線と、仮想カメラ14の位置および傾きとに基づいて、視点位置を検出する。コントロールモジュール510は、検出した視点位置をサーバ600に送信する。別の局面において、コントロールモジュール510は、ユーザ5の視線を表す視線情報をサーバ600に送信するように構成されてもよい。係る場合、サーバ600が受信した視線情報に基づいて視点位置を算出し得る。
【0091】
コントロールモジュール510は、HMDセンサ410が検出するHMD120の動きをアバターオブジェクトに反映する。例えば、コントロールモジュール510は、HMD120が傾いたことを検知して、アバターオブジェクトを傾けて配置する。コントロールモジュール510は、検出した顔器官の動作を、仮想空間11に配置されるアバターオブジェクトの顔に反映させる。コントロールモジュール510は、サーバ600から他のユーザ5の視線情報を受信し、当該他のユーザ5のアバターオブジェクトの視線に反映させる。ある局面において、コントロールモジュール510は、コントローラ300の動きをアバターオブジェクトや操作オブジェクトに反映する。この場合、コントローラ300は、コントローラ300の動きを検知するためのモーションセンサ、加速度センサ、または複数の発光素子(例えば、赤外線LED)などを備えてもよい。また、コントローラ300の動きとは、アナログスティック390の動きやボタン370,380の動き等であってもよい。そして、コントロールモジュール510は、例えば、アナログスティック390の動き(換言すると、アナログスティック390に対するユーザの操作)に基づいてアバターオブジェクトを仮想空間11内で移動させるなどしてもよい。
【0092】
コントロールモジュール510は、仮想空間11においてユーザ5の操作を受け付けるための操作オブジェクトを仮想空間11に配置する。ユーザ5は、操作オブジェクトを操作することにより、例えば、仮想空間11に配置されるオブジェクトを操作する。ある局面において、操作オブジェクトは、例えば、ユーザ5の手に相当する仮想手である手オブジェクト等を含み得る。ある局面において、コントロールモジュール510は、モーションセンサ420の出力に基づいて現実空間におけるユーザ5の手の動きに連動するように仮想空間11において手オブジェクトを動かす。ある局面において、操作オブジェクトは、アバターオブジェクトの手の部分に相当し得る。
【0093】
コントロールモジュール510は、仮想空間11に配置されるオブジェクトのそれぞれが、他のオブジェクトと衝突した場合に、当該衝突を検出する。コントロールモジュール510は、例えば、あるオブジェクトのコリジョンエリアと、別のオブジェクトのコリジョンエリアとが触れたタイミングを検出することができ、当該検出がされたときに、予め定められた処理を行う。コントロールモジュール510は、オブジェクトとオブジェクトとが触れている状態から離れたタイミングを検出することができ、当該検出がされたときに、予め定められた処理を行う。コントロールモジュール510は、オブジェクトとオブジェクトとが触れている状態であることを検出することができる。例えば、コントロールモジュール510は、操作オブジェクトと、他のオブジェクトとが触れたときに、これら操作オブジェクトと他のオブジェクトとが触れたことを検出して、予め定められた処理を行う。
【0094】
ある局面において、コントロールモジュール510は、HMD120のモニタ130における画像表示を制御する。例えば、コントロールモジュール510は、仮想空間11に仮想カメラ14を配置する。コントロールモジュール510は、仮想空間11における仮想カメラ14の位置と、仮想カメラ14の傾き(向き)を制御する。コントロールモジュール510は、HMD120を装着したユーザ5の頭の傾きと、仮想カメラ14の位置に応じて、視界領域15を規定する。レンダリングモジュール520は、決定された視界領域15に基づいて、モニタ130に表示される視界画像17を生成する。レンダリングモジュール520により生成された視界画像17は、通信制御モジュール540によってHMD120に出力される。
【0095】
コントロールモジュール510は、HMD120から、ユーザ5のマイク170を用いた発話を検出すると、当該発話に対応する音声データの送信対象のコンピュータ200を特定する。音声データは、コントロールモジュール510によって特定されたコンピュータ200に送信される。コントロールモジュール510は、ネットワーク2を介して他のユーザのコンピュータ200から音声データを受信すると、当該音声データに対応する音声(発話)をスピーカ180から出力する。
【0096】
メモリモジュール530は、コンピュータ200が仮想空間11をユーザ5に提供するために使用されるデータを保持している。ある局面において、メモリモジュール530は、空間情報と、オブジェクト情報と、ユーザ情報とを保持している。
【0097】
空間情報は、仮想空間11を提供するために規定された1つ以上のテンプレートを保持している。
【0098】
オブジェクト情報は、仮想空間11を構成する複数のパノラマ画像13、仮想空間11にオブジェクトを配置するためのオブジェクトデータを含む。パノラマ画像13は、静止画像および動画像を含み得る。パノラマ画像13は、非現実空間の画像と現実空間の画像とを含み得る。非現実空間の画像としては、例えば、コンピュータグラフィックスで生成された画像が挙げられる。
【0099】
ユーザ情報は、ユーザ5を識別するユーザIDを保持する。ユーザIDは、例えば、ユーザが使用するコンピュータ200に設定されるIP(Internet Protocol)アドレスまたはMAC(Media Access
Control)アドレスであり得る。別の局面において、ユーザIDはユーザによって設定され得る。ユーザ情報は、HMDシステム100の制御装置としてコンピュータ200を機能させるためのプログラム等を含む。また、ユーザ情報は、サービスのアカウント毎(換言すると、ユーザID毎)に管理される情報を含む。
【0100】
メモリモジュール530に格納されているデータおよびプログラムは、HMD120のユーザ5によって入力される。あるいは、プロセッサ210が、当該コンテンツを提供する事業者が運営するコンピュータ(例えば、サーバ600)からプログラムあるいはデータをダウンロードして、ダウンロードされたプログラムあるいはデータをメモリモジュール530に格納する。
【0101】
通信制御モジュール540は、ネットワーク2を介して、サーバ600その他の情報通信装置と通信し得る。
【0102】
ある局面において、コントロールモジュール510およびレンダリングモジュール520は、例えば、ユニティテクノロジーズ社によって提供されるUnity(登録商標)を用いて実現され得る。別の局面において、コントロールモジュール510およびレンダリングモジュール520は、各処理を実現する回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0103】
コンピュータ200における処理は、ハードウェアと、プロセッサ210により実行されるソフトウェアとによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスクその他のメモリモジュール530に予め格納されている場合がある。ソフトウェアは、CD-ROMその他のコンピュータ読み取り可能な不揮発性のデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、インターネットその他のネットワークに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置その他のデータ読取装置によってデータ記録媒体から読み取られて、あるいは、通信制御モジュール540を介してサーバ600その他のコンピュータからダウンロードされた後、メモリモジュール530に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ210によってメモリモジュール530から読み出され、実行可能なプログラムの形式でRAMに格納される。プロセッサ210は、そのプログラムを実行する。
【0104】
[HMDシステムの制御構造]
図11を参照して、HMDセット110の制御構造について説明する。
図11は、ある実施の形態に従うHMDセット110において実行される処理の一部を表すシーケンスチャートである。
【0105】
図11に示されるように、ステップS1110にて、コンピュータ200のプロセッサ210は、コントロールモジュール510として、仮想空間データを特定し、仮想空間11を定義する。
【0106】
ステップS1120にて、プロセッサ210は、仮想カメラ14を初期化する。たとえば、プロセッサ210は、メモリのワーク領域において、仮想カメラ14を仮想空間11において予め規定された中心12に配置し、仮想カメラ14の視線をユーザ5が向いている方向に向ける。
【0107】
ステップS1130にて、プロセッサ210は、レンダリングモジュール520として、初期の視界画像を表示するための視界画像データを生成する。生成された視界画像データは、通信制御モジュール540によってHMD120に出力される。
【0108】
ステップS1132にて、HMD120のモニタ130は、コンピュータ200から受信した視界画像データに基づいて、視界画像を表示する。HMD120を装着したユーザ5は、視界画像を視認すると仮想空間11を認識し得る。
【0109】
ステップS1134にて、HMDセンサ410は、HMD120から発信される複数の赤外線光に基づいて、HMD120の位置と傾きを検知する。検知結果は、動き検知データとして、コンピュータ200に出力される。
【0110】
ステップS1140にて、プロセッサ210は、HMD120の動き検知データに含まれる位置と傾きとに基づいて、HMD120を装着したユーザ5の視界方向を特定する。
【0111】
ステップS1150にて、プロセッサ210は、アプリケーションプログラムを実行し、アプリケーションプログラムに含まれる命令に基づいて、仮想空間11にオブジェクト
を配置する。
【0112】
ステップS1160にて、コントローラ300は、ユーザ5の操作を検出し、その検出された操作を表す検出データをコンピュータ200に出力する。別の局面において、ユーザ5による操作は、ユーザ5の周囲に配置されたカメラからの画像に基づいて検出されてもよい。
【0113】
ステップS1170にて、プロセッサ210は、コントローラ300から取得した検出データに基づいて、ユーザ5によるコントローラ300の操作を検出する。
【0114】
ステップS1180にて、プロセッサ210は、ユーザ5によるコントローラ300の操作に基づく視界画像データを生成する。生成された視界画像データは、通信制御モジュール540によってHMD120に出力される。
【0115】
ステップS1190にて、HMD120は、受信した視界画像データに基づいて視界画像を更新し、更新後の視界画像をモニタ130に表示する。
【0116】
[アバターオブジェクト]
図12(A)、(B)を参照して、本実施の形態に従うアバターオブジェクトについて説明する。以下、HMDセット110A,110Bの各ユーザ5のアバターオブジェクトを説明する図である。以下、HMDセット110Aのユーザをユーザ5A、HMDセット110Bのユーザをユーザ5B、HMDセット110Cのユーザをユーザ5C、HMDセット110Dのユーザをユーザ5Dと表す。HMDセット110Aに関する各構成要素の参照符号にAが付され、HMDセット110Bに関する各構成要素の参照符号にBが付され、HMDセット110Cに関する各構成要素の参照符号にCが付され、HMDセット110Dに関する各構成要素の参照符号にDが付される。例えば、HMD120Aは、HMDセット110Aに含まれる。
【0117】
図12(A)は、ネットワーク2において、各HMD120がユーザ5に仮想空間11を提供する状況を表す模式図である。コンピュータ200A~200Dは、HMD120A~120Dを介して、ユーザ5A~5Dに、仮想空間11A~11Dをそれぞれ提供する。
図12(A)に示される例において、仮想空間11Aおよび仮想空間11Bは同じデータによって構成されている。換言すれば、コンピュータ200Aとコンピュータ200Bとは同じ仮想空間を共有していることになる。仮想空間11Aおよび仮想空間11Bには、ユーザ5Aのアバターオブジェクト6Aと、ユーザ5Bのアバターオブジェクト6Bとが存在する。仮想空間11Aにおけるアバターオブジェクト6Aおよび仮想空間11Bにおけるアバターオブジェクト6BがそれぞれHMD120を装着しているが、これは説明を分かりやすくするためのものであって、実際にはこれらのオブジェクトはHMD120を装着していない。
【0118】
ある局面において、プロセッサ210Aは、ユーザ5Aの視界画像17Aを撮影する仮想カメラ14Aを、アバターオブジェクト6Aの目の位置に配置し得る。
【0119】
図12(B)は、
図12(A)におけるユーザ5Aの視界画像17Aを示す図である。視界画像17Aは、HMD120Aのモニタ130Aに表示される画像である。この視界画像17Aは、仮想カメラ14Aにより生成された画像である。視界画像17Aには、ユーザ5Bのアバターオブジェクト6Bが表示されている。特に図示はしていないが、ユーザ5Bの視界画像にも同様に、ユーザ5Aのアバターオブジェクト6Aが表示されている。
【0120】
図12(B)の状態において、ユーザ5Aは仮想空間11Aを介してユーザ5Bと対話による通信(コミュニケーション)を図ることができる。より具体的には、マイク170Aにより取得されたユーザ5Aの音声は、サーバ600を介してユーザ5BのHMD120Bに送信され、HMD120Bに設けられたスピーカ180Bから出力される。ユーザ5Bの音声は、サーバ600を介してユーザ5AのHMD120Aに送信され、HMD120Aに設けられたスピーカ180Aから出力される。
【0121】
ユーザ5Bの動作(HMD120Bの動きおよびコントローラ300Bの動き)は、プロセッサ210Aにより仮想空間11Aに配置されるアバターオブジェクト6Bに反映される。これにより、ユーザ5Bによって操作されて動くアバターオブジェクト6Bがユーザ5Aから視認される。
【0122】
図13は、本実施の形態に従うHMDシステム100において実行される処理の一部を表すシーケンスチャートである。
図13においては、HMDセット110Dを図示していないが、HMDセット110Dについても、HMDセット110A、110B、110Cと同様に動作する。以下の説明でも、HMDセット110Aに関する各構成要素の参照符号にAが付され、HMDセット110Bに関する各構成要素の参照符号にBが付され、HMDセット110Cに関する各構成要素の参照符号にCが付され、HMDセット110Dに関する各構成要素の参照符号にDが付されるものとする。
【0123】
ステップS1310Aにおいて、HMDセット110Aにおけるプロセッサ210Aは、仮想空間11Aにおけるアバターオブジェクト6Aの動作を決定するためのアバター情報を取得する。このアバター情報は、例えば、動き情報、フェイストラッキングデータ、および音声データ等のアバターに関する情報を含む。動き情報は、HMD120Aの位置および傾きの時間的変化を示す情報や、モーションセンサ420A等により検出されたユーザ5Aの手の動きを示す情報や、コントローラ300等により検出されたユーザの操作を示す情報などを含む。フェイストラッキングデータは、ユーザ5Aの顔の各パーツの位置および大きさを特定するデータが挙げられる。フェイストラッキングデータは、ユーザ5Aの顔を構成する各器官の動きを示すデータや視線データが挙げられる。音声データは、HMD120Aのマイク170Aによって取得されたユーザ5Aの音声を示すデータが挙げられる。アバター情報には、アバターオブジェクト6A、あるいはアバターオブジェクト6Aに関連付けられるユーザ5Aを特定する情報や、アバターオブジェクト6Aが存在する仮想空間11Aを特定する情報等が含まれてもよい。アバターオブジェクト6Aやユーザ5Aを特定する情報としては、ユーザIDが挙げられる。アバターオブジェクト6Aが存在する仮想空間11Aを特定する情報としては、ルームIDが挙げられる。プロセッサ210Aは、上述のように取得されたアバター情報を、ネットワーク2を介してサーバ600に送信する。
【0124】
ステップS1310Bにおいて、HMDセット110Bにおけるプロセッサ210Bは、ステップS1310Aにおける処理と同様に、仮想空間11Bにおけるアバターオブジェクト6Bの動作を決定するためのアバター情報を取得し、サーバ600に送信する。同様に、ステップS1310Cにおいて、HMDセット110Cにおけるプロセッサ210Cは、仮想空間11Cにおけるアバターオブジェクト6Cの動作を決定するためのアバター情報を取得し、サーバ600に送信する。
【0125】
ステップS1320において、サーバ600は、HMDセット110A、HMDセット110B、およびHMDセット110Cのそれぞれから受信したアバター情報を一旦記憶する。サーバ600は、各アバター情報に含まれるユーザIDおよびルームID等に基づいて、共通の仮想空間11に関連付けられた全ユーザ(この例では、ユーザ5A~5C)のアバター情報を統合する。そして、サーバ600は、予め定められたタイミングで、統合したアバター情報を当該仮想空間11に関連付けられた全ユーザに送信する。これにより、同期処理が実行される。このような同期処理により、HMDセット110A、HMDセット110B、およびHMDセット110Cは、互いのアバター情報をほぼ同じタイミングで共有することができる。
【0126】
続いて、サーバ600から各HMDセット110A~110Cに送信されたアバター情報に基づいて、各HMDセット110A~110Cは、ステップS1330A~S1330Cの処理を実行する。ステップS1330Aの処理は、
図11におけるステップS1180の処理に相当する。
【0127】
ステップS1330Aにおいて、HMDセット110Aにおけるプロセッサ210Aは、仮想空間11Aにおける他のユーザ5B,5Cのアバターオブジェクト6B、アバターオブジェクト6Cの情報を更新する。具体的には、プロセッサ210Aは、HMDセット110Bから送信されたアバター情報に含まれる動き情報に基づいて、仮想空間11におけるアバターオブジェクト6Bの位置および向き等を更新する。例えば、プロセッサ210Aは、メモリモジュール530に格納されたオブジェクト情報に含まれるアバターオブジェクト6Bの情報(位置および向き等)を更新する。同様に、プロセッサ210Aは、HMDセット110Cから送信されたアバター情報に含まれる動き情報に基づいて、仮想空間11におけるアバターオブジェクト6Cの情報(位置および向き等)を更新する。
【0128】
ステップS1330Bにおいて、HMDセット110Bにおけるプロセッサ210Bは、ステップS1330Aにおける処理と同様に、仮想空間11Bにおけるユーザ5A,5Cのアバターオブジェクト6A,6Cの情報を更新する。同様に、ステップS1330Cにおいて、HMDセット110Cにおけるプロセッサ210Cは、仮想空間11Cにおけるユーザ5A,5Bのアバターオブジェクト6A,6Bの情報を更新する。
【0129】
[モジュールの詳細構成]
図14を参照して、コンピュータ200のモジュール構成の詳細について説明する。
図14は、ある実施の形態に従うコンピュータ200のモジュールの詳細構成を表すブロック図である。
【0130】
図14に示されるように、コントロールモジュール510は、仮想カメラ制御モジュール1421と、視界領域決定モジュール1422と、基準視線特定モジュール1423と、顔器官検出モジュール1424と、動き検出モジュール1425と、仮想空間定義モジュール1426と、仮想オブジェクト生成モジュール1427と、操作オブジェクト制御モジュール1428と、アバター制御モジュール1429と、を備える。レンダリングモジュール520は、視界画像生成モジュール1438を備える。
【0131】
仮想カメラ制御モジュール1421は、仮想空間11に仮想カメラ14を配置する。仮想カメラ制御モジュール1421は、仮想空間11における仮想カメラ14の配置位置と、仮想カメラ14の向き(傾き)を制御する。視界領域決定モジュール1422は、HMD120を装着したユーザの頭の向きと、仮想カメラ14の配置位置に応じて、視界領域15を規定する。視界画像生成モジュール1438は、決定された視界領域15に基づいて、モニタ130に表示される視界画像17を生成する。
【0132】
基準視線特定モジュール1423は、注視センサ140からの信号に基づいて、ユーザ5の視線を特定する。顔器官検出モジュール1424は、第1カメラ150および第2カメラ160が生成するユーザ5の顔の画像から、ユーザ5の顔を構成する器官(例えば、口、目、眉)を検出する。動き検出モジュール1425は、顔器官検出モジュール1424が検出した各器官の動き(形状)を検出する。
【0133】
仮想空間定義モジュール1426は、仮想空間11を表す仮想空間データを生成することにより、HMDシステム100における仮想空間11を規定する。
【0134】
仮想オブジェクト生成モジュール1427は、仮想空間11に配置されるオブジェクトを生成する。オブジェクトは、例えば、ゲームのストーリーの進行に従って配置される森、山その他を含む風景、動物等を含み得る。
【0135】
操作オブジェクト制御モジュール1428は、仮想空間11においてユーザの操作を受け付けるための操作オブジェクトを仮想空間11に配置する。ユーザは、操作オブジェクトを操作することにより、例えば、仮想空間11に配置されるオブジェクトを操作する。ある局面において、操作オブジェクトは、例えば、HMD120を装着したユーザの手に相当する手オブジェクト等を含み得る。ある局面において、操作オブジェクトは、後述するアバターオブジェクトの手の部分に相当し得る。
【0136】
アバター制御モジュール1429は、ネットワーク2を介して接続される他のコンピュータ200のユーザのアバターオブジェクト6を仮想空間11に配置するためのデータを生成する。ある局面において、アバター制御モジュール1429は、ユーザ5のアバターオブジェクト6を仮想空間11に配置するためのデータを生成する。ある局面において、アバター制御モジュール1429は、ユーザ5を含む画像に基づいて、ユーザ5を模したアバターオブジェクト6を生成する。別の局面において、アバター制御モジュール1429は、複数種類のアバターオブジェクト6(例えば、動物を模したオブジェクトや、デフォルメされた人のオブジェクト)の中からユーザ5による選択を受け付けたアバターオブジェクト6を仮想空間11に配置するためのデータを生成する。
【0137】
アバター制御モジュール1429は、HMDセンサ410が検出するHMD120の動きをアバターオブジェクト6に反映する。例えば、アバター制御モジュール1429は、HMD120が傾いたことを検知して、アバターオブジェクト6を傾けて配置するためのデータを生成する。ある局面において、アバター制御モジュール1429は、コントローラ300の動きをアバターオブジェクト6に反映する。別の局面において、アバター制御モジュール1429は、動き検出モジュール1425が検出した顔器官の動作を、仮想空間11に配置されるアバターオブジェクト6の顔に反映する。つまり、アバター制御モジュール1429は、ユーザ5Aの顔の動作をアバターオブジェクト6に反映する。このように、アバターオブジェクト6は、HMDセンサ410、コントローラ300または動き検出モジュール1425が検出する動きによって操作される(換言すると、動かされる)ようになっている。
【0138】
[サーバのモジュール構成]
図15を参照して、サーバ600のモジュール構成について説明する。
図15は、ある実施の形態に従うサーバ600のモジュールの構成を表すブロック図である。
図15に示されるように、サーバ600は、コントロールモジュール1610と、メモリモジュール1630と、通信制御モジュール1640とを備える。ある局面において、コントロールモジュール1610は、プロセッサ610によって実現される。メモリモジュール1630は、メモリ620またはストレージ630によって実現される。通信制御モジュール1640は、通信インターフェイス650によって実現される。
【0139】
コントロールモジュール1610は、現実情報取得モジュール1731を備えている。
【0140】
メモリモジュール1630は、コンピュータ200が仮想空間11をユーザ5に提供するために使用されるデータを保持している。ある局面において、メモリモジュール1630は、空間情報と、オブジェクト情報と、ユーザ情報とを保持している。メモリモジュール1630の空間情報、オブジェクト情報、およびユーザ情報は、それぞれ上述したメモリモジュール530の空間情報、オブジェクト情報、およびユーザ情報を含み得る。したがって、ここでは説明を省略する。
【0141】
通信制御モジュール1640は、各HMDセット110から、各種の情報、および各種の要求を受信する。一例として、通信制御モジュール1640が各HMDセット110から受信する情報は、空間情報、オブジェクト情報、ユーザ情報、およびアバター情報を含み得る。通信制御モジュール1640は、各HMDセット110に対して、各種の情報、および各種の要求を送信する。一例として、通信制御モジュール1640が各HMDセット110へ送信する情報は、空間情報、オブジェクト情報、ユーザ情報、およびアバター情報を含み得る。
【0142】
サーバ600における処理は、ハードウェアと、プロセッサ610により実行されるソフトウェアとによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスクその他のメモリモジュール1630に予め格納されている場合がある。ソフトウェアは、CD-ROMその他のコンピュータ読み取り可能な不揮発性のデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、インターネットその他のネットワークに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置その他のデータ読取装置によってデータ記録媒体から読み取られて、あるいは、通信制御モジュール1640を介して所定のコンピュータからダウンロードされた後、メモリモジュール1630に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ610によってメモリモジュール1630から読み出され、実行可能なプログラムの形式でRAMに格納される。プロセッサ610は、そのプログラムを実行する。
【0143】
なお、上述したコンピュータ200およびサーバ600のモジュール構成は一例にすぎない。コンピュータ200およびサーバ600の各装置は、他の装置が備えるモジュール(換言すると、機能)の少なくとも一部を備えていてもよい。また、コンピュータ200およびサーバ600等の各装置は、一体の機器により実現されるものでなくてもよく、例えば、ネットワーク等を介して接続される複数の機器によって実現されてもよい。
【0144】
また、本実施形態では、コンピュータ200のプロセッサ210またはサーバ600のプロセッサ610が、HMDシステム100に記憶されているプログラムを実行することによって、上述のまたは後述する各処理を行うものとして説明する。ただし、上述のまたは後述する処理であってプロセッサ210が行う処理のうちの少なくとも一部を、プロセッサ210とは別のプロセッサが実行するようにしてもよい。また、上述のまたは後述する処理であってプロセッサ610が行う処理のうちの少なくとも一部を、プロセッサ610とは別のプロセッサが実行するようにしてもよい。換言すると、本実施形態においてプログラムを実行するコンピュータは、コンピュータ200およびサーバ600のいずれであってもよく、また、複数の装置の組み合わせにより実現されてもよい。
【0145】
[本実施形態に係る処理]
コンピュータ200のコントロールモジュール510は、マイク170を用いた発話を検出すると、当該発話に対応する音声データの送信対象のコンピュータ200を特定し、当該音声データを送信する。また、コントロールモジュール510は、他のユーザのコンピュータ200から音声データを受信すると、当該音声データに対応する音声をスピーカ180から出力する。例えば、
図12(B)に示す状態では、マイク170Aにより取得されたユーザ5Aの音声は、ユーザ5BのHMD120Bに送信され、HMD120Bに設けられたスピーカ180Bから出力される。一方、ユーザ5Bの音声は、ユーザ5AのHMD120Aに送信され、HMD120Aに設けられたスピーカ180Aから出力される。このように仮想空間11において、ユーザ5Aとユーザ5Bとは、アバターオブジェクト6Aとアバターオブジェクト6Bとを介して、対話することが可能となっている。各コンピュータ200のコントロールモジュール510が備えるアバター制御モジュール1429(キャラクタ制御手段)は、仮想空間11にアバターオブジェクト6(キャラクタ)を出現させ、アバターオブジェクト6を介しての対話を可能としている。なお、仮想空間11でのユーザ5Aとユーザ5Bとの対話(換言すると、アバターオブジェクト6Aとアバターオブジェクト6Bとを介しての対話)は、テキストメッセージの交換によるもの等であってもよい。
【0146】
以下、
図12(A)に示すように、各HMD120がユーザ5に仮想空間11を提供している場合について説明する。また、
図12(A)に示す仮想空間11において、アバターオブジェクト6Bが、一方的にアバターオブジェクト6Aにつきまとう行為や、アバターオブジェクト6Bが、アバターオブジェクト6Aと接触はしないが、アバターオブジェクト6Aと一定の距離を確保した状態でアバターオブジェクト6Aをつけまわす行為等の迷惑行為を行っているものとする。当該迷惑行為は、いわゆるストーカー行為である。アバターオブジェクト6Aは、仮想空間11において、ストーカー行為の被害に遭っていると言うことができる。
【0147】
本実施形態では、仮想空間11に関して、アバターオブジェクト6Aを操作するユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bを対象として所定の設定をすると、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの識別性が変化する。識別性(換言すると、識別特性)は、各アバターオブジェクト6(換言すると、各ユーザ5)を識別し得る性質(換言すると、識別し得る情報)ということができ、具体的には、外見、識別用のオブジェクト、声、挙動等がある。
【0148】
(識別性)
外見は、見た目、外観等と言うこともできる。アバターオブジェクト6Aを操作するユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bを対象として所定の設定を行ったことに基づき、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの外見が変化した場合、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bは、仮想空間11においてアバターオブジェクト6Aを見つけることが困難となる。このため、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことが困難となる。換言すると、当該迷惑行為を抑制することができる。
また、識別用のオブジェクトには、例えば、ハンドルネーム表示(以下、ハンドルネーム)がある。本実施形態では、仮想空間11において、各アバターオブジェクト6の周囲(例えば頭上)に、当該アバターオブジェクト6に係るハンドルネームが表示され得るようになっている。ハンドルネームは、各アバターオブジェクト6のユーザ5が設定可能となっている。なお、ハンドルネームは、ユーザIDと同一であってもよい。ハンドルネームは、各ユーザ5(換言すると、各アバターオブジェクト6)を識別可能とする識別名とも言える。なお、識別可能とは、ユーザ5を一意に特定可能なものであってもよく、一意に特定できない可能性があるものであってもよい。換言すると、複数のユーザ5に対して同一のハンドルネームが付され得るようになっていてもよく、付されることがないようになっていてもよい。また、識別名には、アバターオブジェクト6(キャラクタ)と紐付く名称が含まれていてもよい。また、識別用のオブジェクトは、ハンドルネームに限らず、ユーザ5(換言すると、アバターオブジェクト6)のプロフィールに関する表示またはステータスに関する表示等であってもよい。アバターオブジェクト6Aを操作するユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bを対象として所定の設定を行ったことに基づき、ユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aに係る識別用のオブジェクト(例えばハンドルネーム)が変更された場合、ユーザ5Bは、アバターオブジェクト6Aであると思っていたアバターオブジェクトがアバターオブジェクト6Aではないかもしれないと思い、当該アバターオブジェクト6Aに対しての迷惑行為をやめる可能性が高くなる。換言すると、アバターオブジェクト6Aに対する迷惑行為を抑制できる。
【0149】
次に、識別性としての声が変化した場合について説明する。ユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの声が変化した場合、ユーザ5Bには、ユーザ5Aが発した声とは異なる声が聞こえる。声が変化するとは、声質(例えば音の高さ)が変化するものであってもよく、イントネーションや方言等の話し方が変化するものであってもよい。ユーザ5Aが所定の設定を行ったことに基づき、アバターオブジェクト6A(ユーザ5A)の声が変化し、例えば標準語から関西弁に変化した場合、ユーザ5Bは、違和感を覚え、アバターオブジェクト6Aであると思っていたアバターオブジェクトがアバターオブジェクト6Aではないかもしれないと思い、当該アバターオブジェクト6Aに対しての迷惑行為をやめる可能性が高くなる。換言すると、アバターオブジェクト6Aに対する迷惑行為を抑制できる。
次に、識別性としての挙動が変化した場合について説明する。挙動は、振る舞い等と言うこともできる。また、挙動には、行動の癖が含まれてもよい。ユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの挙動が変化した場合、ユーザ5Bに視認されるアバターオブジェクト6Aの動作は、ユーザ5Aの動作とは一部の動作が異なったものとなる。挙動が変化する例としては、ユーザ5Aが右手用のコントローラ300を把持した状態で右腕を動かした場合に、その動きに応じてアバターオブジェクト6Aの左腕が動くように制御されるものがある。また、ユーザ5Aがコントローラ300を把持した手で所定の動作(例えば髪をかき上げる動作)をしていないにも関わらず、アバターオブジェクト6Aが所定の頻度で当該所定の動作を行うように制御されるものがある。アバターオブジェクト6Aの挙動が変化し、例えば、右手を使う頻度が多かったアバターオブジェクト6Aが左手を多く使うようになった場合、ユーザ5Bは、違和感を覚え、アバターオブジェクト6Aであると思っていたアバターオブジェクトがアバターオブジェクト6Aではないかもしれないと思い、当該アバターオブジェクト6Aに対しての迷惑行為をやめる可能性が高くなる。換言すると、アバターオブジェクト6Aに対する迷惑行為を抑制できる。
以下、本実施形態では、ユーザ5Aによる所定の設定に基づき、アバターオブジェクト6Aの識別性として、外見およびハンドルネームが変更される場合について説明するが、当該所定の設定に基づき変更される識別性は、これに限るものではない。
【0150】
(ブロック設定)
アバターオブジェクト6Aを操作するユーザ5Aは、アバターオブジェクト6Bを対象とする所定の設定としてのブロック設定を行うことができる。例えば、ユーザ5Aは、コントローラ300Aを操作してメニュー画像をモニタ130Aに表示させ、メニュー画像から「ブロック設定」を選択し、アバターオブジェクト6Bをブロック対象として決定する操作を入力できる。「ブロック設定」を選択した場合に、例えば、アバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定範囲内に存在している(あるいは所定期間内に所定範囲内に存在したことのある)アバターオブジェクト6が表示され、その中からアバターオブジェクト6Bを選択可能であってもよい。また、「ブロック設定」を選択し、アバターオブジェクト6Bのハンドルネーム等を入力してアバターオブジェクト6Bを検索し、選択することが可能であってもよい。また、仮に、アバターオブジェクト6Aとアバターオブジェクト6Bがフレンドの関係(後述する)である場合、ユーザ5Aは、メニュー画像から「フレンドリスト」を選択し、表示されたフレンドの中からアバターオブジェクト6Bを選択し、アバターオブジェクト6Bをブロック設定してもよい。
【0151】
図13に示すように、HMDセット110A(具体的にはアバター制御モジュール1429A)は、アバター情報を取得し(ステップS1310A)、取得したアバター情報を、サーバ600に送信する。本実施形態では、ユーザ5Aが上述のブロック設定を行った際、アバター制御モジュール1429Aは、ブロック情報を含むアバター情報を、サーバ600に送信する。なお、ブロック情報はアバター情報とは別にサーバ600に送信されてもよい。ブロック情報には、例えば、ブロック設定を行ったユーザ5のIDと、ブロック対象とされたアバターオブジェクト6のユーザ5のIDと、が含まれる。
【0152】
サーバ600は、受信したアバター情報を一旦記憶し、同期処理(ステップS1320)を実行して、アバター情報を各HMDセット110に送信するが、HMDセット110から受信したアバター情報にブロック情報が含まれている場合には、所定のHMDセット110に送信するアバター情報を、次の表示変更処理(識別性変更処理)が反映されたアバター情報とする。
【0153】
(表示変更処理)
図15に示すように、サーバ600のコントロールモジュール1610は、ブロック制御モジュール1741(設定反映手段)を備えている。ブロック制御モジュール1741は、HMDセット110から受信したアバター情報にブロック情報が含まれていると判定すると、表示変更処理を実行する。
図16は、表示変更処理の流れを示すフローチャートである。
【0154】
ブロック制御モジュール1741は、受信したブロック情報に基づき、ブロック設定を行ったユーザ(第1ユーザとする)と、ブロック対象のユーザ(第2ユーザとする)と、を特定する(ステップS1)。
【0155】
次に、ブロック制御モジュール1741は、第2ユーザのHMDセット110に送信するアバター情報における、第1ユーザのアバターオブジェクト6の外見およびハンドルネームを指示する情報(第1情報)を変更する(ステップS2)。ここでは、ブロック制御モジュール1741が、ユーザ5BのHMDセット110Bに送信するアバター情報における、ユーザ5Aのアバターオブジェクト6Aの外見およびハンドルネームを指示する情報を変更するものとする。
【0156】
ステップS2に係る変更後の外見について、外見の変更は、アバターオブジェクト6の外見を、例えば、性別、体格、顔の造形、人種または生物の種類等が異なる別の外見に変更するものであってもよい。例えば、第1ユーザのアバターオブジェクト6が女性の外見を有している場合に、それを男性の外見に変更してもよく、パンダ等の動物の外見に変更してもよい。また、外見の変更は、例えば、現在のアバターオブジェクト6の外見の一部や装備品を変更するものであってもよい。例えば、髪形、服装、アクセサリーまたは眼鏡等を変更してもよい。なお、外見を変更するとは、スキンを変更すると称してもよい。
【0157】
ステップS2に係るアバターオブジェクト6の外見の変更は、変更の前後で同一のアバターオブジェクト6であることが特定できない程度の変更であることが好ましい。例えば、性別や顔の造形等が変更されるものや、仮面等により顔が覆われるように変更されるもの等が好ましい。
【0158】
また、ステップS2に係るハンドルネームの変更も、変更の前後で同一のアバターオブジェクト6であることが特定できない程度の変更であることが好ましい。例えば、現在のアバターオブジェクト6に設定されている性別が女性である場合、男性であることを想起させるハンドルネームに変更されることが好ましい。
【0159】
ステップS2の処理は、ブロック制御モジュール1741が、第1ユーザのアバターオブジェクト6の変更後の外見や変更後のハンドルネームを自動的に選択してもよい。換言すると、ブロック制御モジュール1741は、メモリモジュール1630に記憶されている1または複数の候補の中から、第1ユーザのアバターオブジェクト6の変更後の外見や変更後のハンドルネームを自動的に選択してもよい。
【0160】
また、第1ユーザのアバターオブジェクト6の変更後の外見や変更後のハンドルネームは、第1ユーザがブロック設定を行う際等に選択可能であってもよい。第1ユーザによって選択された場合、第1ユーザのアバター制御モジュール1429は、当該選択された情報を含むブロック情報をサーバ600に送信する。そして、上述のステップS2の処理において、ブロック制御モジュール1741は、第1ユーザのアバターオブジェクト6の外見およびハンドルネームを、第1ユーザによって選択されたものとする。
なお、第1ユーザがブロック対象とする第2ユーザが複数存在している場合、第1ユーザは、自身のアバターオブジェクト6の変更後の外見や変更後のハンドルネームを、第2ユーザごとに変えて設定可能であってもよい。
【0161】
ブロック制御モジュール1741は、表示変更処理を実行した際、第2ユーザのHMDセット110に対して、表示変更処理が反映されたアバター情報を送信する。本実施形態では、ブロック制御モジュール1741は、ユーザ5BのHMDセット110Bに対して、表示変更処理が反映されたアバター情報を送信する。そして、
図13のステップS1330Bにおいて、HMDセット110Bにおけるアバター制御モジュール1429Bは、受信した当該アバター情報(具体的には第1情報)に基づき、変更後の外見および変更後のハンドルネームでアバターオブジェクト6Aを表示させる。ブロック設定がされると、ブロック設定をされたユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの外見が、変更前の外見(換言すると、ブロック設定がされていないユーザに対する外見)とは異なる外見に変化するようになっている。なお、外見(識別性)を変化させるという場合、アバター制御モジュール1429Bが受信した情報に基づき表示を行った結果、アバターオブジェクト6Aの外見(識別性)が異なる外見になるものであればよい。
また、識別性としての声を変化させる場合、ステップS2の処理では、設定反映手段は、第1ユーザ(ユーザ5A)のアバターオブジェクト6の変更後の声(声質、話し方)を設定する。そして、当該設定後、第2ユーザ(ユーザ5B)のHMDセット110(アバター制御モジュール1429B)は、ユーザ5Aの音声データの取得に基づき出力するアバターオブジェクト6Aの声を、変更後の声とする。
また、識別性としての挙動を変化させる場合、ステップS2の処理では、設定反映手段は、第1ユーザ(ユーザ5A)のアバターオブジェクト6の変更後の挙動(癖)を設定する。そして、当該設定後、第2ユーザ(ユーザ5B)のHMDセット110(アバター制御モジュール1429B)は、ユーザ5Aの動作とは一部の動作が異なるものとなるようにアバターオブジェクト6Aの動作を制御する。
【0162】
例えば外見を変化させる場合、ブロック制御モジュール1741は、外見を変化させたアバターオブジェクトを生成する処理を含んで外見を変化させるものであってもよく、外見を変化させたアバターオブジェクトを生成する処理を含まずに外見を変化させるものであってもよい。例えば、HMDセット110のメモリモジュール530またはサーバ600のメモリモジュール1630には、変化前のアバターオブジェクト6Aを示すオブジェクトデータと、変化後のアバターオブジェクト6Aを示すオブジェクトデータとが予め用意されており、設定反映手段は、ユーザ5Aの設定(例えばブロック設定)に基づいて、ユーザ5BのHMDセット110Bに対して送信するオブジェクトデータを異ならせることにより、ユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの外見を変化させるもの等であってもよい。なお、ここで、変化前のアバターオブジェクト6Aを示すオブジェクトデータと、変化後のアバターオブジェクト6Aを示すオブジェクトデータと、とは、ユーザ5Aが用意しておく(換言すると、ユーザ5Aが登録しておく)ものであってもよい。
【0163】
図17(a)は、ユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bをブロック設定する前における、ユーザ5Bの視界画像17Bの例を示している。アバターオブジェクト6Aは、女性アイドルの外見を有し、ハンドルネームは「minamina」となっている。
図17(b)は、ユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bをブロック設定した後における、ユーザ5Bの視界画像17Bの例を示している。アバターオブジェクト6Aは、青年男性の外見を有し、ハンドルネームが「gonzou」となっている。
【0164】
ブロック制御モジュール1741は、アバターオブジェクト6B以外のアバターオブジェクト6を操作するユーザ5に対するアバターオブジェクト6Aの外見およびハンドルネームは変化させないように制御している。換言すると、ユーザ5Aからブロック設定がされたアバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの外見およびハンドルネームは変更するが、ユーザ5Aからブロック設定がされていないアバターオブジェクト(例えばアバターオブジェクト6C)を操作するユーザ(例えばユーザ5C)に対するアバターオブジェクト6Aの外見およびハンドルネームは変更しない。ブロック制御モジュール1741は、ユーザ5Aからブロック設定がされたアバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5BのHMDセット110Bに対して表示変更処理が反映されたアバター情報を送信するが、ユーザ5Aからブロック設定がされていないアバターオブジェクト6を操作するユーザ5のHMDセット110には、当該アバター情報を送信しない。
【0165】
本実施形態では、ブロック設定をされた第2ユーザに対する、ブロック設定をした第1ユーザのアバターオブジェクト6の外見およびハンドルネームが変更されるものとした。この場合に、さらに、第1ユーザに対する、第2ユーザのアバターオブジェクト6の識別性(外見およびハンドルネーム)も変更されるものとしてもよい。換言すると、ユーザ5Aに対する、ユーザ5Bのアバターオブジェクト6Bの識別性(外見およびハンドルネーム)も変更されるものとしてもよい。
【0166】
この場合、
図16のステップS2の処理において、ブロック制御モジュール1741は、(1)第2ユーザのHMDセット110に送信するアバター情報における、第1ユーザのアバターオブジェクト6の外見およびハンドルネームを指示する情報を変更し、(2)第1ユーザのHMDセット110に送信するアバター情報における、第2ユーザのアバターオブジェクト6の外見およびハンドルネームを指示する情報を変更する。そして、第2ユーザのアバター制御モジュール1429は、受信したアバター情報に基づき、変更後の外見および変更後のハンドルネームで第1ユーザのアバターオブジェクト6を表示させ、第1ユーザのアバター制御モジュール1429は、受信したアバター情報に基づき、変更後の外見および変更後のハンドルネームで第2ユーザのアバターオブジェクト6を表示させる。換言すると、第2ユーザに提供される第1ユーザのアバターオブジェクト6の外見が、ブロック設定がされる前の外見から変化したものとなり、第1ユーザに提供される第2ユーザのアバターオブジェクト6の外見が、ブロック設定がされる前の外見から変化したものとなる。
【0167】
アバターオブジェクト6Aを操作するユーザ5A(第1ユーザ)は、アバターオブジェクト6B(第2ユーザのアバターオブジェクト6)に対して恐怖心、嫌悪感等を抱いている可能性がある。そこで、ブロック設定をした際に、アバターオブジェクト6Bの外見およびハンドルネームが変更されるようにすることで、ブロック設定後、ユーザ5Aは、アバターオブジェクト6Bの存在を認識することが困難となる。このため、アバターオブジェクト6Bに対する恐怖心、嫌悪感等を低減できる。
【0168】
本実施形態では、仮想空間11において、アバターオブジェクト6同士が、フレンドの関係になることが可能となっている。例えば、仮想空間11において、アバターオブジェクト6Cを操作するユーザ5Cが、アバターオブジェクト6Aを対象としてフレンドの申請を行い、アバターオブジェクト6Aのユーザ5Aが当該申請を承認すると、アバターオブジェクト6Cとアバターオブジェクト6Aはフレンドの関係となる。なお、フレンドの申請やその承認は、各ユーザ5がコントローラ300を操作して行うことができる。また、アバターオブジェクト6Cとアバターオブジェクト6Aがフレンドの関係であることを、ユーザ5Cとユーザ5Aがフレンドであると称してもよい。
【0169】
本実施形態では、アバターオブジェクト6Cとアバターオブジェクト6Aとがフレンドの関係となると、アバター制御モジュール1429Cまたはアバター制御モジュール1429Aの少なくとも一方が、アバターオブジェクト6Cとアバターオブジェクト6Aとがフレンドであることを示す情報(フレンド情報)を含むアバター情報を、サーバ600に送信する。フレンド情報には、少なくとも、フレンドの申請をしたユーザ5のIDと、当該申請を承認したユーザ5のIDと、が含まれる。
【0170】
図15に示すように、サーバ600のコントロールモジュール1610は、フレンド管理モジュール(フレンド管理手段)1751を備えている。フレンド管理モジュール1751は、アバターオブジェクト6ごとに、当該アバターオブジェクト6とフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6のリスト(具体的にはフレンドリスト)を作成し、メモリモジュール1630に記憶させている。フレンド管理モジュール1751は、フレンド情報の受信に基づき、対応するフレンドリストを更新する。
【0171】
ここで、説明のため、
図17(a)に示すアバターオブジェクト6Aの外見を「真の外見」とし、
図17(b)に示すアバターオブジェクト6Aの外見を「偽の外見」とする。本実施形態では、ユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bを対象とするブロック設定を行った場合、ユーザ5Bにはアバターオブジェクト6Aの偽の外見が視認される。なお、仮にアバターオブジェクト6Aとアバターオブジェクト6Bとがフレンドの関係であったとしても、ブロック設定が優先され、ユーザ5Bにはアバターオブジェクト6Aの偽の外見が視認される。
【0172】
また、本実施形態では、アバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6のユーザ5であるか否かに関わらず、ユーザ5Aにブロック設定をされていないアバターオブジェクト6のユーザ5には、アバターオブジェクト6Aの真の外見が視認される。
なお、ユーザ5Aにブロック設定をされていないアバターオブジェクト6のユーザ5であって、かつアバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6のユーザ5には、アバターオブジェクト6Aの真の外見が視認されるが、ユーザ5Aにブロック設定をされていないアバターオブジェクト6のユーザ5であって、かつアバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にないアバターオブジェクト6のユーザ5には、アバターオブジェクト6Aの偽の外見が視認されるようになっていてもよい。換言すると、コントロールモジュール1610は、例えば、ユーザ5A(アバターオブジェクト6A)がユーザ5C(アバターオブジェクト6C)をフレンドとして設定した場合に、ユーザ5Cに視認されるアバターオブジェクト6Aの外見を、フレンドとして設定する前の偽の外見から真の外見に変化させてもよい。さらに換言すると、各ユーザ5は、自身が特別なユーザ5(例えば、フレンド)として設定したユーザ5に対して見せる外見と、特別なユーザ5として設定していないユーザ5に対して見せる外見と、を含む複数種類の外見を登録しておくことが可能となっており、当該設定に応じて、所定の外見のアバターオブジェクト6が他のユーザ5に提供されるようになっていてもよい。
【0173】
本実施形態において、ユーザ5Aのアバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にあるアバターオブジェクト(ここではアバターオブジェクト6Cとする)は、仮想空間11において、アバターオブジェクト6Aとともに行動する可能性が比較的高い。この場合に、ユーザ5Aにブロック設定をされたアバターオブジェクト6Bのユーザ5Bは、ユーザ5Aのアバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6Cを見て、間接的にアバターオブジェクト6Aの正体を見抜くおそれがある。正体を見抜くとは、
図17(b)の外見(偽の外見)を有するアバターオブジェクト6A(gonzou)が、実際は
図17(a)の外見(真の外見)を有するアバターオブジェクト6A(minamina)であると気付くことである。換言すると、アバターオブジェクト6Aの外見が変化したことに気付くことである。
【0174】
そこで、そのようなフレンドであるアバターオブジェクト6を介しての正体の特定を防ぐために、次のように構成されていてもよい。
図16のステップS2の処理において、ブロック制御モジュール1741は、第2ユーザ(ユーザ5B)のHMDセット110に送信するアバター情報における、(α)第1ユーザ(ユーザ5A)のアバターオブジェクト6の外見およびハンドルネームを指示する情報を変更し、(β)第1ユーザ(ユーザ5A)のアバターオブジェクト6とフレンドの関係にあるすべてのアバターオブジェクト6(アバターオブジェクト6C)の外見およびハンドルネームを指示する情報を変更する。ブロック制御モジュール1741は、メモリモジュール1630に記憶されている第1ユーザ(ユーザ5A)のアバターオブジェクト6のフレンドリストから、当該アバターオブジェクト6とフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6を特定可能である。
【0175】
アバターオブジェクト6Aの外見およびハンドルネームに加え、アバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6Cの識別性(外見およびハンドルネーム)が変更された場合、ユーザ5Bは、フレンドであるアバターオブジェクト6Cを介してアバターオブジェクト6Aの正体を見抜くことが困難となる。このため、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことがより一層困難となる。
【0176】
本実施形態によれば、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bは、仮想空間11においてアバターオブジェクト6Aを見つけることが困難となるが、アバターオブジェクト6B以外のアバターオブジェクト6を操作するユーザ5は、仮想空間11においてアバターオブジェクト6Aを見つけることができる。このため、アバターオブジェクト6Aを操作するユーザ5Aは、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことを抑制しつつ、アバターオブジェクト6B以外のアバターオブジェクト6を操作するユーザ5とは、アバターオブジェクト6を介しての対話等を行うことができる。これにより、ユーザ5が不快感を抱く可能性が低減されたゲーム空間(すなわち仮想空間11)をユーザ5に提供できる。
【0177】
また、仮に、アバターオブジェクト6Aを操作するユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bを対象として所定の設定(例えば、ブロック設定)をした際に、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bが、アバターオブジェクト6Bを仮想空間11に出現させることができない状態になる等、所定の設定をされた場合における制裁が直接的でかつ厳しいものである場合、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bの感情を刺激し、ユーザ5Bが別の形での迷惑行為を企てる等の可能性が高まる。本実施形態では、所定の設定をされた場合における制裁が、ユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの外見を変化させるというものであって、アバターオブジェクト6Bを仮想空間11に出現させることはできるため、比較的厳しすぎず、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5の感情を逆撫でする可能性を低減できる。
【0178】
(変形例)
本実施形態では、ユーザ5Aがアバターオブジェクト6Bを対象とするブロック設定を行った際に、表示変更処理が実行され、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの識別性が変化するものとしたが、表示変更処理に代え、あるいは表示変更処理に加え、表示変更処理とは異なる別の処理が実行されてもよい。以下、表示変更処理の代わりにダミー配置処理が実行される場合について説明する。
【0179】
ダミー配置処理が実行されると、アバターオブジェクト6Aに対応する少なくとも1つのダミーのアバターオブジェクト6A´(以下、ダミーキャラクタ6A´とする)が仮想空間11に配置される。ダミーとは、ゴースト、分身、身代り、替玉、偽物(偽のキャラクタ)等と言うことができる。ダミーキャラクタ6A´は、アバターオブジェクト6Aと同一の外見を有する。換言すると、ダミーキャラクタ6A´は、アバターオブジェクト6Aが複製されたものである。なお、ダミーキャラクタ6A´は、アバターオブジェクト6Aと外見が異なる(外見が類似する)ものであってもよい。外見が異なる(外見が類似する)とは、例えば、顔は同じだが髪形や服装や服の色が異なっているもの等を指す。また、ダミーキャラクタ6A´が複数配置される場合、各ダミーキャラクタ6A´の外見は同一であってもよく、異なっていても(例えば類似であっても)よい。本実施形態では、複数のダミーキャラクタ6A´を配置する場合、ダミーキャラクタ6A´同士が類似し、例えば服の色(外見の一部)が異なるものとする。
【0180】
ダミー配置処理が実行され、ダミーキャラクタ6A´が現れた場合、ユーザ5Bがダミーキャラクタ6A´をアバターオブジェクト6Aであると勘違いし、アバターオブジェクト6Bがダミーキャラクタ6A´をつけまわす可能性が高くなる分、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことが困難となる。また、複数のダミーキャラクタ6A´が現れた場合に、それぞれのダミーキャラクタ6A´の外見が同一である場合よりも、類似である場合の方が、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bがダミーキャラクタ6A´を見て違和感を抱く可能性を低減できる。換言すると、ユーザ5Bがダミーキャラクタ6A´であることに気付かず、ダミーキャラクタ6A´をつけまわす可能性を高くすることができる。
【0181】
また、ダミーキャラクタ6A´は、アバターオブジェクト6Aと同じハンドルネーム(識別用のオブジェクト)を有していてもよい。この場合、ダミーキャラクタ6A´をアバターオブジェクト6Aであると勘違いする可能性がより高くなり、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことが一層困難となる。
【0182】
後述するがダミーキャラクタ6A´は、ユーザ5Aの操作に基づき動作するものではない。また、ダミーキャラクタ6A´は、アバターオブジェクト6Aと異なり、対話をすることができない。なお、本実施形態では対話をすることができないが、例えばAI等によって制御され、応答可能なものであってもよい。ダミーキャラクタ6A´は、実体を伴わないもの(換言すると中身がないもの)となっている。
【0183】
図13に示すように、HMDセット110A(具体的にはアバター制御モジュール1429A)は、アバター情報を取得し(ステップS1310A)、取得したアバター情報を、サーバ600に送信する。サーバ600は、受信したアバター情報を一旦記憶し、同期処理(ステップS1320)を実行して、アバター情報を各HMDセット110に送信するが、HMDセット110から受信したアバター情報にブロック情報が含まれている場合には、ダミー配置処理を実行する。
図18は、ダミー配置処理の流れを示すフローチャートである。
【0184】
(ダミー配置処理)
ブロック制御モジュール1741は、受信したブロック情報に基づき、ブロック設定を行ったユーザ(第1ユーザ)と、ブロック対象のユーザ(第2ユーザ)と、を特定する(ステップS10)。
【0185】
次に、ブロック制御モジュール1741は、第2ユーザのHMDセット110に送信するアバター情報に、第1ユーザのアバターオブジェクト6の少なくとも1つ(換言すると、1体)のダミーキャラクタ6A´の配置を指示する情報(第2情報)を付加する(ステップS20)。なお、本実施形態では、アバター情報に第2情報が付加されるものとするが、第2情報はアバター情報とは別に第2ユーザのHMDセット110に送信されてもよい。ここでは、ブロック制御モジュール1741は、ユーザ5BのHMDセット110Bに、ユーザ5Aのアバターオブジェクト6Aの3体のダミーキャラクタ6A´の配置を指示する情報(第2情報)を送信するものとする。
【0186】
ブロック制御モジュール1741は、ダミー配置処理を実行した際、第2ユーザのHMDセット110に対して、ダミー配置処理が反映されたアバター情報を送信する。本実施形態では、ブロック制御モジュール1741は、ユーザ5BのHMDセット110Bに対して、ダミー配置処理が反映されたアバター情報を送信する。
図13のステップS1330Bにおいて、HMDセット110Bにおけるアバター制御モジュール1429Bは、受信した当該アバター情報に基づき、アバターオブジェクト6Aの3体のダミーキャラクタ6A´を仮想空間11Bに配置する。換言すると、ブロック制御モジュール1741は、アバター制御モジュール1429Bに対して、ダミーキャラクタ6A´の配置を指示する情報(第2情報)を送信し、アバター制御モジュール1429Bは、当該情報に基づいて仮想空間11Bにダミーキャラクタ6A´を配置する。
【0187】
図19は、ユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bをブロック設定した後における、仮想空間11Bの例を示している。アバターオブジェクト6Aとは別に、3体のダミーキャラクタ6A´が仮想空間11Bに出現している。
【0188】
ブロック制御モジュール1741は、アバターオブジェクト6B以外のアバターオブジェクト6を操作するユーザ5には、ダミーキャラクタ6A´が視認されないように制御している。換言すると、ブロック設定をされたアバターオブジェクト6Bのユーザ5Bからは、アバターオブジェクト6Aのダミーキャラクタ6A´が視認されるが、ブロック設定をされていないアバターオブジェクト(例えばアバターオブジェクト6C)を操作しているユーザ(例えばユーザ5C)からは、アバターオブジェクト6Aのダミーキャラクタ6A´は視認されないようになっている。ブロック制御モジュール1741は、ユーザ5Aからブロック設定がされたアバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5BのHMDセット110Bに対して、ダミー配置処理が反映されたアバター情報を送信するが、ユーザ5Aからブロック設定がされていないアバターオブジェクト6を操作するユーザ5のHMDセット110には、当該アバター情報を送信しない。換言すると、例えば、仮想空間11Cには、ダミーキャラクタ6A´が配置されない。
【0189】
本変形例では、アバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6のユーザ5であるか否かに関わらず、ユーザ5Aにブロック設定をされていないアバターオブジェクト6のユーザ5には、ダミーキャラクタ6A´が視認されない。
なお、ユーザ5Aにブロック設定をされていないアバターオブジェクト6のユーザ5であって、かつアバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にあるアバターオブジェクト6のユーザ5にはダミーキャラクタ6A´が視認されないが、ユーザ5Aにブロック設定をされていないアバターオブジェクト6のユーザ5であって、アバターオブジェクト6Aとフレンドの関係にないアバターオブジェクト6のユーザ5には、ダミーキャラクタ6A´が視認されるようになっていてもよい。
また、ダミーキャラクタ6A´は、ブロック設定をしたアバターオブジェクト6Aのユーザ5Aには視認されないものとするが、ユーザ5Aにもダミーキャラクタ6A´が視認されるようになっていてもよい。
【0190】
ユーザ5Aはアバターオブジェクト6Aを操作可能である。一方、ユーザ5Aはアバターオブジェクト6Aのダミーキャラクタ6A´を操作することはできない。ダミーキャラクタ6A´は、ユーザによって操作されるものではなく、プログラムに基づき動作し、仮想空間11内を自動で動き回る。ブロック制御モジュール1741は、仮想空間11におけるダミーキャラクタ6A´の動作を制御する。ブロック制御モジュール1741は、ダミーキャラクタ6A´が仮想空間11内をランダムに動き回るように制御する。ランダムに動き回るとは、常に移動するものに限らず、移動と停止とを交互に繰り返すものであってもよい。なお、ブロック制御モジュール1741は、複数のダミーキャラクタ6A´を仮想空間11に配置する場合、各ダミーキャラクタ6A´を点在させることが好ましい。
【0191】
ブロック制御モジュール1741は、ダミーキャラクタ6A´の動作を指示する情報を少なくとも第2ユーザ(ユーザ5B)のHMDセット110(HMDセット110B)に送信する。当該HMDセット110(HMDセット110B)のアバター制御モジュール1429Bは、受信した情報に基づき、ダミーキャラクタ6A´を動作させる。
【0192】
ブロック制御モジュール1741は、アバターオブジェクト6Aの行動履歴を学習してAIを作成し、AIに基づいて仮想空間11におけるダミーキャラクタ6A´の動作を制御してもよい。この場合、ダミーキャラクタ6A´の行動パターンが、アバターオブジェクト6Aの行動パターンにより近いものとなる。したがって、アバターオブジェクト6Aであるかダミーキャラクタ6A´であるかの判別がより困難なものとなる。これにより、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことが一層困難となる。
【0193】
ユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bを対象とするブロック設定を行った際に、表示変更処理およびダミー配置処理の両方が実行されるように構成されていてもよい。この場合、例えば、変更前(すなわち真の外見)のアバターオブジェクト6Aに対応するダミーキャラクタ6A´が少なくとも1つ配置され、かつ、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの外見が変更後の外見(すなわち偽の外見)となるように制御される。この場合、アバターオブジェクト6Aを見つけることが困難となる分、相対的にダミーキャラクタ6A´をつけまわす可能性がより高くなり、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことが一層困難となる。
なお、表示変更処理およびダミー配置処理の両方が実行され、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bに対するアバターオブジェクト6Aの外見が変更後の外見となり、かつ、その変更後の外見を有するアバターオブジェクト6Aに対応するダミーキャラクタ6A´が少なくとも1つ配置されるように制御されてもよい。
【0194】
また、ユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bを対象とするブロック設定を行った際に、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5B(のみ)が、アバターオブジェクト6Aを視認できない状態となってもよい。
【0195】
本変形例によれば、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bが、仮想空間11においてダミーキャラクタ6A´をアバターオブジェクト6Aであると勘違いし、アバターオブジェクト6Bがダミーキャラクタ6A´をつけまわす可能性が高くなるため、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことが困難となる。これにより、ユーザ5が不快感を抱く可能性が低減されたゲーム空間(すなわち仮想空間11)をユーザ5に提供できる。
【0196】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施形態に係るHMDシステム100は、基本的に第1の実施の形態のHMDシステム100と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態のHMDシステム100と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0197】
図15に示すように、サーバ600のコントロールモジュール1610は、迷惑行為判定モジュール1761(判定手段、検知手段)を備えている。迷惑行為判定モジュール1761は、仮想空間11におけるアバターオブジェクト6同士のコミュニケーションの類型がいずれの類型であるかを判定可能であり、その類型の1つに所定の類型として、所定のアバターオブジェクトが所定のアバターオブジェクトに対して迷惑行為(いわゆるストーカー行為)を行う類型がある。なお、迷惑行為判定モジュール1761が判定するコミュニケーションの類型は、所定のアバターオブジェクトが所定のアバターオブジェクトに対して迷惑行為を行う類型だけであってもよい。迷惑行為判定モジュール1761は、迷惑行為が行われているか否かを自動で判定可能である。迷惑行為判定モジュール1761は、仮想空間11におけるアバターオブジェクトの迷惑行為となる挙動を検知可能である。
【0198】
以下、
図12(A)に示すように、各HMDセット110がユーザ5に仮想空間11を提供している場合について説明する。また、第1の実施の形態と同様に、仮想空間11において、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行っている場合について説明する。
【0199】
図13に示すように、例えば、HMDセット110B(具体的にはアバター制御モジュール1429B)は、アバター情報を取得し(ステップS1310B)、取得したアバター情報をサーバ600に送信する。各HMDセット110がサーバ600に送信するアバター情報には、当該HMDセット110のユーザ5が操作するアバターオブジェクト6の仮想空間11における位置を示す情報(位置情報)が含まれる。
【0200】
また、本実施形態では、HMDセット110Bの視界画像生成モジュール1438Bは、視界領域15Bに基づきモニタ130Bに表示される視界画像17Bを生成する。視界画像生成モジュール1438Bは、ユーザ5Bの視界に関する情報をサーバ600に送信する。ユーザ5Bの視界に関する情報は、例えば、視界画像17Bであってもよく、ユーザ5Bに提示される画像(すなわち視界画像17B)に表示されるオブジェクトを示す情報であってもよい。他のHMDセット110も同様に、当該HMDセット110のユーザ5の視界に関する情報をサーバ600に送信する。以下、ユーザ5の視界に関する情報を視界情報と称する。
【0201】
(視界情報に基づく判定)
迷惑行為判定モジュール1761は、HMDセット110から受信した視界情報に基づき、迷惑行為判定処理を行う。
図20は、迷惑行為判定処理の流れを示すフローチャートである。
図20では、HMDセット110Bから受信した視界情報に基づく迷惑行為判定処理について説明する。
【0202】
迷惑行為判定モジュール1761は、HMDセット110Bから受信した視界情報が、視界にアバターオブジェクト6を含むことを示すものであるか否か判定する(ステップS101)。ステップS101において、視界情報が、視界にアバターオブジェクト6を含むことを示すものでないと判定した場合(ステップS101:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0203】
ステップS101において、視界情報が、視界にアバターオブジェクト6を含むことを示すものであると判定した場合(ステップS101:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、当該アバターオブジェクト6が、HMDセット110Bのユーザ5Bのアバターオブジェクト6Bのフレンドであるか否か判定する(ステップS102)。ステップS102において、当該アバターオブジェクト6がアバターオブジェクト6Bのフレンドであると判定した場合(ステップS102:YES)、ステップS101の処理に戻る。一方、ステップS102において、当該アバターオブジェクト6がアバターオブジェクト6Bのフレンドでないと判定した場合(ステップS102:NO)、ステップS103の処理に進む。ここでは、HMDセット110Bから受信した視界情報にアバターオブジェクト6Aが含まれており、アバターオブジェクト6Aとアバターオブジェクト6Bはフレンドではないものとする。
【0204】
迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Aが視界に含まれている(換言すると、視界に捉えられている)時間の計測を開始する(ステップS103)。
【0205】
次に、迷惑行為判定モジュール1761は、HMDセット110Bから受信した視界情報に基づき、アバターオブジェクト6Aが視界に含まれている状態が継続しているか否か判定する(ステップS104)。ステップS104において、アバターオブジェクト6Aが視界に含まれている状態が継続していると判定した場合(ステップS104:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、時間の計測を継続し、ステップS104の処理を繰り返す。一方、ステップS104において、アバターオブジェクト6Aが視界に含まれている状態が継続していないと判定した場合(ステップS104:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、時間の計測を終了し、計測時間が第1所定時間以上であるか否か判定する(ステップS105)。当該計測時間は、アバターオブジェクト6Aがユーザ5Bの視界に捉えられている時間、と言うことができる。第1所定時間は、例えば1時間である。
なお、ステップS104は、比較的短時間の間、ユーザ5Bがアバターオブジェクト6Aから視線を外しただけでは、アバターオブジェクト6Aが視界に含まれている状態が継続していない(ステップS104:NO)と判定されず、時間の計測が継続されるように構成されていてもよい。換言すると、ユーザ5Bが、短時間(例えば5秒)の間、アバターオブジェクト6Aから視線を逸らし、その後再びアバターオブジェクト6Aに視線を向けた場合には、ステップS104の処理が継続され、ステップS105に進まないように構成されていてもよい。
【0206】
ステップS105において、計測時間が第1所定時間未満であると判定した場合(ステップS105:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型であると判定せず(迷惑行為となる挙動を検知せず)、ステップS101の処理に戻る。一方、ステップS105において、計測時間が第1所定時間以上であると判定した場合(ステップS105:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型と判定し(換言すると、アバターオブジェクト6Bを、迷惑行為を行っているアバターオブジェクト6であると認定し)(さらに換言すると、迷惑行為となる挙動を検知し)、迷惑行為検知情報を、特定制御実行モジュール1771に送信する(ステップS106)。迷惑行為検知情報には、少なくとも、迷惑行為を行っていると判定したアバターオブジェクト(アバターオブジェクト6B)のユーザ(ユーザ5B)のIDと、迷惑行為の被害に遭っていると判定したアバターオブジェクト(アバターオブジェクト6A)のユーザ(ユーザ5A)のIDと、が含まれる。
【0207】
ステップS104において、アバターオブジェクト6Aが視界に含まれている状態が継続していると判定した場合であっても、アバターオブジェクト6Aおよびアバターオブジェクト6Bの両方の位置が停止している状態が一定時間継続すると、時間の計測を一旦止め、いずれか一方が移動を開始したことに伴い時間の計測を再開させてもよい。換言すると、第1所定時間には、アバターオブジェクト6Aおよびアバターオブジェクト6Bの両方が停止した状態において経過した所定時間が含まれないように構成されていてもよい。アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行っておらず、単にアバターオブジェクト6Aのユーザ5Aやアバターオブジェクト6Bのユーザ5Bが操作を行わずに放置していることによりアバターオブジェクト6Aとアバターオブジェクト6Bの両者が停止している場合に、ステップS104に係る時間の計測が継続されると、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Bに対して迷惑行為を行っていると判定されてしまうおそれがある。そこで、両者が停止している時間は第1所定時間に含まれないようにすることで、かかる判定がされる可能性を低減できる。
【0208】
また、ステップS105において、迷惑行為判定モジュール1761は、視界に捉えられているアバターオブジェクト6Aの属性に応じて第1所定時間を変更してもよい。例えば、当該アバターオブジェクト6Aが、他のアバターオブジェクト6を操作するユーザ5の視線を惹き付け得る属性を有している場合には、第1所定時間をより長く設定してもよい(例えば3時間)。当該属性としては、フレンドの数が相対的に多いことや、極めてレアなアイテムを身に付けていること等がある。当該属性を有している場合に第1所定時間を長く設定した場合、アバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行っておらず、仮想空間11において人気を集めているアバターオブジェクト6Aを善意で追いかけているアバターオブジェクト6Bを、迷惑行為を行っていると判定する可能性を低減できる。
【0209】
図20に示す迷惑行為判定処理は、アバターオブジェクト6Aが、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bの視界に連続して捉えられている時間の長さが、第1所定時間以上であるか否かを、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っているか否かの判定条件としている、と言うことができる。
【0210】
(変形例)
図20におけるステップS105以降を、次のように構成してもよい。
図21に示すように、迷惑行為判定モジュール1761は、時間の計測を終了し、メモリモジュール1630に記憶されている合計時間の記憶値を更新する(ステップS105´)。合計時間とは、所定期間における、所定のアバターオブジェクト(アバターオブジェクト6A)が、所定のアバターオブジェクト(アバターオブジェクト6B)を操作するユーザ5Bの視界に捉えられている時間を合計(換言すると累積)した時間である。所定期間は、例えば1日や1週間としてもよい。
【0211】
次に、迷惑行為判定モジュール1761は、メモリモジュール1630に記憶されている合計時間が第2所定時間以上であるか否か判定する(ステップS106´)。所定期間が1日である場合、第2所定時間は例えば3時間である。なお、迷惑行為判定モジュール1761は、第1所定時間と同様に、視界に捉えられているアバターオブジェクト6の属性に応じて第2所定時間を変更してもよい。
【0212】
ステップS106´において、合計時間が第2所定時間未満である判定した場合(ステップS106´:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型であると判定せず(迷惑行為となる挙動を検知せず)、ステップS101の処理に戻る。一方、ステップS106´において、合計時間が第2所定時間以上であると判定した場合(ステップS106´:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型であると判定し(迷惑行為となる挙動を検知し)、迷惑行為検知情報を特定制御実行モジュール1771に送信する(ステップS107)。
【0213】
本変形例は、所定期間において、アバターオブジェクト6Aが、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bの視界に捉えられている時間を合計した時間が第2所定時間以上であるか否かを、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っているか否かの判定条件としている、と言うことができる。
【0214】
なお、所定期間を例えば1週間とし、アバターオブジェクト6Aが、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bの視界に捉えられている時間が所定時間以上である日数が、所定期間において所定の日数以上であるか否かを、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っているか否かの判定条件としてもよい。この場合、アバターオブジェクト6Aが、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bの視界に捉えられている時間が所定時間以上である日数が、所定期間において所定の日数以上である場合に、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っていると判定される。
【0215】
以上のように、迷惑行為判定手段は、ユーザ5の視界にアバターオブジェクト6が捉えられている時間に基づいて、迷惑行為を行っているか否かを判定してもよい。
【0216】
(特定の制御)
サーバ600の特定制御実行モジュール1771(特定制御実行手段)は、迷惑行為検知情報を受信すると、特定の制御を実行する。特定の制御としては、例えば、迷惑行為の被害に遭っていると判定されたアバターオブジェクト6Aのユーザ5Aに対し、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っている旨(あるいは迷惑行為を行っている可能性がある旨)の通知をする制御がある。当該通知は、例えば、特定制御実行モジュール1771がHMDセット110Aのコントロールモジュール510Aに当該通知に係る情報を送り、コントロールモジュール510Aが当該情報に基づいてモニタ130Aに、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っている可能性がある旨の表示(すなわち通知画面)を表示させるものであってもよい。この場合に、通知画面からブロック設定を行うことができるようになっていてもよい。換言すると、通知画面において、ブロック設定に係る所定の操作が受け付けられるようになっていてもよい。
【0217】
当該通知がされることで、ユーザ5Aは、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っている可能性があることに気付くことができる。また、対策を講じる必要があるか否か検討でき、必要な場合にはブロック設定等の対策を行うことができる。
【0218】
また、特定の制御は、アバターオブジェクト6Bを操作するユーザ5Bに対して制裁を加える制御であってもよい。例えば、ユーザ5Bが、迷惑行為を行っていると判定されたアバターオブジェクト6Bを、仮想空間11に出現させることができない状態としてもよい。この制御は、アバターオブジェクト6Bを仮想空間11から追放する制御とも言え、アバターオブジェクト6Bの仮想空間11への配置を禁じる制御とも言える。当該制御が実行された場合、ユーザ5Bは、自身のアバターオブジェクト6Bを仮想空間11に出現させることができない。このため、アバターオブジェクト6Bは、アバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行うことが一切できない状態となる。
【0219】
また、特定の制御は、第1の実施の形態で示した表示変更処理であってもよい。この場合、特定制御実行モジュール1771は、迷惑行為検知情報の受信に基づき、ブロック制御モジュール1741に、アバターオブジェクト6Aの識別性の変更を指示する。この場合、ユーザ5Aのブロック設定に基づくブロック情報の受信を必要とせずに、表示変更処理が実行される。
また、特定の制御は、第1の実施の形態で示したダミー配置処理であってもよい。この場合、特定制御実行モジュール1771は、迷惑行為検知情報の受信に基づき、ブロック制御モジュール1741に、アバターオブジェクト6Aの少なくとも1つのダミーキャラクタ6A´の配置を指示する。この場合、ユーザ5Aのブロック設定に基づくブロック情報の受信を必要とせずに、ダミー配置処理が実行される。
【0220】
本実施形態によれば、アバターオブジェクト6Aに対してアバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行う類型であると判定されると(迷惑行為となる挙動が検知されると)、特定の制御が自動で実行される。ユーザ5による所定の設定に基づいて特定の制御が実行される場合、ユーザ5が所定の設定をするまでの間、迷惑行為が繰り返され、ユーザ5が不快な思いをする可能性がある。本構成によれば、迷惑行為となる挙動が検知されると自動的に特定の制御が実行されるため、ユーザ5が不快な思いをする頻度を低減できる。これにより、ユーザ5が不快感を抱く可能性が低減されたゲーム空間(すなわち仮想空間11)をユーザ5に提供できる。
また、ユーザ5が迷惑行為をされているか否かを自分で判断し、迷惑行為をされていると判断した場合に対策を講じる場合、対策を講じるまでに時間を要する分、迷惑行為を受け、ユーザ5が不快な思いをする可能性が高いものとなる。これに対し、本実施形態によれば、迷惑行為となる挙動が検知されたことに基づき、特定の制御が自動で実行される。このため、比較的短時間で対策を講じることができ、ユーザ5が不快な思いをする可能性を低減できる。これにより、ユーザ5が不快感を抱く可能性が低減された仮想空間11をユーザに提供できる。
【0221】
(位置情報に基づく判定)
迷惑行為判定モジュール1761は、HMDセット110から受信した位置情報に基づき、迷惑行為判定処理を行ってもよい。以下、具体的に説明する。
図22は、迷惑行為判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0222】
迷惑行為判定モジュール1761は、受信した位置情報に基づき、各HMDセット110のユーザ5に対応するアバターオブジェクト6ごとに、仮想空間11において、当該アバターオブジェクト6(基準アバターオブジェクト6とする)の位置を中心とする所定領域内(換言すると所定範囲内)に、他のアバターオブジェクト6が存在するか否か判定する(ステップS201)。所定領域とは、例えば、仮想空間11において基準アバターオブジェクト6を視認することが可能な領域である。
【0223】
ステップS201において、基準アバターオブジェクト6の位置を中心とする所定領域内に他のアバターオブジェクト6が存在していないと判定した場合(ステップS201:NO)、ステップS201の処理を繰り返す。一方、ステップS201において、基準アバターオブジェクト6の位置を中心とする所定領域内に他のアバターオブジェクト6が存在していると判定した場合(ステップS201:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、当該他のアバターオブジェクト6が、基準アバターオブジェクト6のフレンドであるか否か判定する(ステップS202)。ステップS202において、当該他のアバターオブジェクト6が基準アバターオブジェクト6のフレンドであると判定した場合(ステップS202:YES)、ステップS201の処理に戻る。一方、ステップS202において、当該他のアバターオブジェクト6が基準アバターオブジェクト6のフレンドでないと判定した場合(ステップS202:NO)、ステップS203の処理に進む。
【0224】
次に、迷惑行為判定モジュール1761は、基準アバターオブジェクト6が他のアバターオブジェクト6に尾行されているか否か判定する(ステップS203)。迷惑行為判定モジュール1761は、例えば、基準アバターオブジェクト6の移動後に、基準アバターオブジェクト6と同方向に他のアバターオブジェクト6が移動しているか否かに基づき、尾行されているか否か判定する。ステップS203において、基準アバターオブジェクト6が他のアバターオブジェクト6に尾行されていると判定した場合(ステップS203:YES)、ステップS204の処理に進む。一方、ステップS203において、基準アバターオブジェクト6が他のアバターオブジェクト6に尾行されていないと判定した場合(ステップS203:NO)、ステップS201の処理に戻る。
【0225】
ここで、(1)アバターオブジェクト6A(またはアバターオブジェクト6B)の位置を中心とする所定領域内にアバターオブジェクト6B(またはアバターオブジェクト6A)が存在し、(2)アバターオブジェクト6Aとアバターオブジェクト6Bはフレンドではなく、(3)アバターオブジェクト6Aの移動後に、アバターオブジェクト6Aと同方向にアバターオブジェクト6Bが移動しており、アバターオブジェクト6Bの移動後に、アバターオブジェクト6Bと同方向にアバターオブジェクト6Aは移動していない場合を例に、処理の流れを説明する。
【0226】
基準アバターオブジェクト6がアバターオブジェクト6Aである場合、ステップS201において、アバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内にアバターオブジェクト6Bが存在していると判定され、ステップS202において、アバターオブジェクト6Bとフレンドでないと判定され、ステップS203において、アバターオブジェクト6Aがアバターオブジェクト6Bに尾行されていると判定され、ステップS204の処理に進む。
一方、基準アバターオブジェクト6がアバターオブジェクト6Bである場合、ステップS201において、アバターオブジェクト6Bの位置を中心とする所定領域内にアバターオブジェクト6Aが存在していると判定され、ステップS202において、アバターオブジェクト6Aとフレンドでないと判定され、ステップS203において、アバターオブジェクト6Bはアバターオブジェクト6Aに尾行されていないと判定され、ステップS201の処理に戻る。
【0227】
以下、基準アバターオブジェクト6がアバターオブジェクト6Aである場合について示す。迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内に存在している時間の計測を開始する(ステップS204)。
【0228】
次に、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内に存在している状態が継続しているか否か判定する(ステップS205)。ステップS205において、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内に存在している状態が継続していると判定した場合(ステップS205:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、時間の計測を継続し、ステップS205の処理を繰り返す。一方、ステップS205において、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内に存在している状態が継続していないと判定した場合(ステップS205:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、時間の計測を終了し、計測時間が第3所定時間(例えば1時間)以上であるか否か判定する(ステップS206)。
【0229】
ステップS206において、計測時間が第3所定時間未満であると判定した場合(ステップS206:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型であると判定せず(迷惑行為となる挙動を検知せず)、ステップS201の処理に戻る。一方、ステップS206において、計測時間が第3所定時間以上であると判定した場合(ステップS206:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型であると判定し(迷惑行為となる挙動を検知し)、迷惑行為検知情報を、特定制御実行モジュール1771に送信する(ステップS207)。
【0230】
なお、ステップS206において、迷惑行為判定モジュール1761は、第1所定時間と同様に、アバターオブジェクト6Aの属性に応じて第3所定時間を変更してもよい。また、迷惑行為判定モジュール1761は、上述の第2所定時間を用いて判定した場合と同様に、所定期間における合計時間に基づき、迷惑行為を行っているか否かを判定してもよい。
【0231】
また、ステップS205において、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内に存在している状態が継続している場合であっても、アバターオブジェクト6Aおよびアバターオブジェクト6Bの両方の位置が停止している状態が一定時間継続すると、時間の計測を一旦止め、いずれか一方が移動を開始したことに伴い時間の計測を再開させてもよい。換言すると、第3所定時間には、アバターオブジェクト6Aおよびアバターオブジェクト6Bの両方が停止した状態において経過した所定時間が含まれないように構成されていてもよい。
【0232】
本例は、アバターオブジェクト6Bが、アバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内に連続して存在している時間が第3所定時間以上であるか否かを、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っているか否かの判定条件としている、と言うことができる。迷惑行為判定手段は、アバターオブジェクト6Aから所定範囲内にアバターオブジェクト6Bが存在している時間に基づいて、迷惑行為を行っているか否かを判定してもよい。
【0233】
(変形例)
なお、上述のステップS206で、計測時間が第3所定時間以上であると判定した場合(ステップS206:YES)に、次のように構成してもよい。
図23に示すように、迷惑行為判定モジュール1761は、第3所定時間の間に、アバターオブジェクト6B(他のアバターオブジェクト6)とアバターオブジェクト6A(基準アバターオブジェクト6)との間に所定の履歴が存在するか否か判定する(ステップS207´)。サーバ600のコントロールモジュール1610は、履歴管理モジュール(履歴管理手段)1781を備えている。履歴管理モジュール1781は、仮想空間11における各アバターオブジェクト6の行動履歴を含む履歴情報をメモリモジュール1630に記憶する。迷惑行為判定モジュール1761は、履歴情報に基づき、ステップS207´の処理を行う。
【0234】
所定の履歴とは、アバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aとが対面した履歴であってもよく、アバターオブジェクト6Bのユーザ5Bとアバターオブジェクト6Aのユーザ5Aとが会話をした履歴であってもよい。なお、会話をした履歴とは、双方向で音声データのやり取りがされたものに限らず、一方から他方へ向かって一方的に音声データが送信された履歴であってもよい。
【0235】
ステップS207´において、第3所定時間の間に、アバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aとの間に所定の履歴が存在すると判定した場合(ステップS207´:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型であると判定せず(迷惑行為となる挙動を検知せず)、ステップS201の処理に戻る。一方、ステップS207´において、第3所定時間の間に、アバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aとの間に所定の履歴が存在しないと判定した場合(ステップS207´:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bのアバターオブジェクト6Aに対するコミュニケーションの類型が迷惑行為を行う類型であると判定し(迷惑行為となる挙動を検知し)、迷惑行為検知情報を、特定制御実行モジュール1771に送信する(ステップS208)。
【0236】
第3所定時間内に所定の履歴が存在している場合には、アバターオブジェクト6Aのユーザ5Aが、アバターオブジェクト6Bに対して恐怖心や嫌悪感等を抱いていない可能性がある。本構成によれば、そのようなアバターオブジェクト6Bを、迷惑行為を行っていると判定する可能性を低減できる。本変形例は、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aの位置を中心とする所定領域内に連続して存在している時間が第3所定時間以上であり、かつ第3所定時間の間に、アバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aとの間に所定の履歴がないことを、バターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っていると判定する条件としている、と言うことができる。
【0237】
(すり抜け回数に基づく判定)
迷惑行為判定モジュール1761は、視界情報や位置情報に限らず、すり抜け回数情報に基づき、迷惑行為判定処理を行ってもよい。以下、具体的に説明する。本例では、仮想空間11においてアバターオブジェクト6同士の接触(衝突)が検出されず、一方のアバターオブジェクト6が他方のアバターオブジェクト6をすり抜け可能となっているものとする。
【0238】
アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに向かって歩いていき、アバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aとが接触した場合であっても、両者の接触は検出されず、そのままアバターオブジェクト6Bはアバターオブジェクト6Aをすり抜けるようになっている。アバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行っているアバターオブジェクト6Bは、アバターオブジェクト6Aの周囲を歩き回っており、アバターオブジェクト6Aをすり抜ける回数が、当該迷惑行為を行っていない他のアバターオブジェクト6よりも相対的に多くなる可能性が高い。
【0239】
履歴管理モジュール1781は、履歴情報として、アバターオブジェクト6ごとに、当該アバターオブジェクト6が、所定期間に、他のアバターオブジェクト6をすり抜けた回数を示す、すり抜け回数情報をメモリモジュール1630に記憶する。なお、当該他のアバターオブジェクト6が複数存在している場合には、当該他のアバターオブジェクト6ごとに、すり抜け回数情報を記憶可能である。所定期間は、例えば1日としてもよい。迷惑行為判定モジュール1761は、すり抜け回数情報に基づき、迷惑行為判定処理を行う。
【0240】
図24は、迷惑行為判定処理の流れを示すフローチャートである。
迷惑行為判定モジュール1761は、すり抜け回数情報に基づき、所定期間内におけるすり抜け回数が所定の回数(例えば10回)に達したアバターオブジェクト6が存在するか否か判定する(ステップS301)。
【0241】
ステップS301において、すり抜け回数が所定の回数(例えば10回)に達したアバターオブジェクト6が存在しないと判定した場合(ステップS301:NO)、ステップS301の処理を繰り返す。一方、ステップS301において、すり抜け回数が所定の回数(例えば10回)に達したアバターオブジェクト6が存在すると判定した場合(ステップS301:YES)、迷惑行為判定モジュール1761は、すり抜けたアバターオブジェクト6(ここではアバターオブジェクト6B)と、すり抜けられたアバターオブジェクト6(ここではアバターオブジェクト6A)と、を特定する(ステップS302)。
【0242】
次に、迷惑行為判定モジュール1761は、ステップS302で特定したアバターオブジェクト同士、すなわちアバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aが、フレンドであるか否か判定する(ステップS303)。ステップS303において、アバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aがフレンドであると判定した場合(ステップS303:YES)、ステップS301の処理に戻る。一方、ステップS303において、アバターオブジェクト6Bとアバターオブジェクト6Aがフレンドでないと判定した場合(ステップS303:NO)、迷惑行為判定モジュール1761は、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aに対して迷惑行為を行っていると判定し(迷惑行為となる挙動を検知し)、迷惑行為検知情報を、特定制御実行モジュール1771に送信する(ステップS304)。
【0243】
本例は、所定期間において、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aをすり抜けた回数が所定回数に達したか否かを、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っているか否かの判定条件としている、と言うことができる。
なお、所定期間を例えば1週間とし、1週間のうち、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aを所定回数以上すり抜けた日が、所定の日数以上であるか否かを、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っているか否かの判定条件としてもよい。この場合、所定期間において、アバターオブジェクト6Bがアバターオブジェクト6Aを所定回数以上すり抜けた日が、所定の日数以上である場合に、アバターオブジェクト6Bが迷惑行為を行っていると判定される。
【0244】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。本発明はその発明の範囲内において、各構成要素の自由な組み合わせ、任意の構成要素の変形、または任意の構成要素の省略等が可能である。また、本明細書において説明した処理の流れはあくまで一例であり、各処理の順序や構成は異なるものであってもよい。また、各フローチャートに示した各種判定処理等の各処理は存在しないものがあってもよい。換言すると、処理の流れや具体的な判定処理等は本明細書に例示したものと異なっていてもよい。
【0245】
[付記]
以上の実施形態で説明した事項は、以下の付記のようにも記載され得る。
【0246】
(付記1)
コンピュータを、
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを対象として所定の設定がされたことに基づき、前記第2キャラクタ以外のキャラクタを操作するユーザに対する前記第1キャラクタの識別性を変化させることなく、前記第2キャラクタを操作するユーザに対する前記第1キャラクタの識別性を変化させる設定反映手段(例えばブロック制御モジュール1741)
として機能させるプログラム。
このような構成によれば、所定の設定がされたことに基づき、第1キャラクタの識別性が変化するため、第2キャラクタを操作するユーザは、仮想空間において第1キャラクタを特定することが困難となる。一方、第2キャラクタ以外のキャラクタを操作するユーザは、仮想空間において第1キャラクタを特定することができる。このため、第1キャラクタを操作するユーザは、第2キャラクタが第1キャラクタに対して迷惑行為を行うことを抑制できる。また、第1キャラクタを操作するユーザは、第2キャラクタ以外のキャラクタを操作するユーザとは、仮想空間においてキャラクタを介してのコミュニケーションを図ること等ができる。これにより、ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供できる。
【0247】
(付記2)
前記識別性は、外見である
付記1に記載のプログラム。
このような構成によれば、所定の設定がされたことに基づき、第1キャラクタの外見が変化するため、第2キャラクタを操作するユーザは、仮想空間において第1キャラクタを見つけることが困難となる。これにより、第2キャラクタが第1キャラクタに対して迷惑行為を行うことが困難となり、第1キャラクタを操作するユーザが不快感を抱く可能性を低減できる。
【0248】
(付記3)
前記識別性は、前記第1キャラクタとともに表示される前記第1キャラクタに係る識別用のオブジェクトである
付記1または付記2に記載のプログラム。
このような構成によれば、所定の設定がされたことに基づき、第1キャラクタに係る識別用のオブジェクトが変化するため、第2キャラクタを操作するユーザは、仮想空間において第1キャラクタを特定することがより困難となる。これにより、第2キャラクタが第1キャラクタに対して迷惑行為を行うことが困難となり、第1キャラクタを操作するユーザが不快感を抱く可能性を低減できる。
【0249】
(付記4)
前記設定反映手段は、前記所定の設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタを操作するユーザに対する前記第2キャラクタの外見を変化させる
付記1または付記2に記載のプログラム。
このような構成によれば、第1キャラクタを操作するユーザが、仮想空間において第2キャラクタの存在を認識することが困難となる。このため、第1キャラクタを操作するユーザが、第2キャラクタに対して抱く、恐怖心、嫌悪感等を低減できる。
【0250】
(付記5)
前記設定反映手段は、前記所定の設定がされたことに基づき、前記第2キャラクタを操作するユーザに対する、前記第1キャラクタのフレンドのキャラクタの外見を変化させる
付記1または付記2に記載のプログラム。
このような構成によれば、第2キャラクタを操作するユーザが、仮想空間において第1キャラクタのフレンドを介して第1キャラクタの正体を見抜く可能性を低減できる。正体を見抜くとは、第1キャラクタの識別性が変化したことに気付くことである。これにより、第2キャラクタが第1キャラクタに対して迷惑行為を行うことが一層困難となり、第1キャラクタを操作するユーザが不快感を抱く可能性を低減できる。
【0251】
(付記6)
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを対象として所定の設定がされたことに基づき、前記第2キャラクタ以外のキャラクタを操作するユーザに対する前記第1キャラクタの識別性を変化させることなく、前記第2キャラクタを操作するユーザに対する前記第1キャラクタの識別性を変化させる設定反映手段(例えばブロック制御モジュール1741)を備える
情報処理システム。
このような構成によれば、付記1に記載のプログラムと同様の作用効果を奏することができる。
【0252】
(付記7)
コンピュータを、
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを対象として所定の設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタのダミーとなる少なくとも1つのダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる設定反映手段(例えばブロック制御モジュール1741)
として機能させるプログラム。
このような構成によれば、所定の設定がされたことに基づき、ダミーキャラクタが出現するため、第2キャラクタを操作するユーザが、ダミーキャラクタを第1キャラクタであると勘違いし、第2キャラクタがダミーキャラクタをつけまわす可能性が高くなる。このため、第2キャラクタが第1キャラクタに対して迷惑行為を行うことが困難となる。これにより、ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供できる。
【0253】
(付記8)
前記設定反映手段は、前記所定の設定がされたことに基づき、外見が異なる複数の前記ダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる
付記7に記載のプログラム。
このような構成によれば、複数のダミーキャラクタの外見がすべて同一の場合に比べ、ダミーキャラクタを見て第2キャラクタを操作するユーザが違和感を抱く可能性を低減できる。このため、当該ユーザがダミーキャラクタであることに気付かず、第2キャラクタがダミーキャラクタをつけまわす可能性を高くすることができる。これにより、第1キャラクタを操作するユーザが不快感を抱く可能性を低減できる。
【0254】
(付記9)
前記設定反映手段は、前記所定の設定がされたことに基づき、前記第2キャラクタを操作するユーザに対する前記第1キャラクタの識別性を変化させる
付記7または付記8に記載のプログラム。
このような構成によれば、第1キャラクタの識別性が変化するため、仮想空間において第1キャラクタを特定することが困難となる分、相対的にダミーキャラクタをつけまわす可能性がより高くなる。このため、第2キャラクタが第1キャラクタに対して迷惑行為を行うことが一層困難となり、第1キャラクタを操作するユーザが不快感を抱く可能性を低減できる。
【0255】
(付記10)
ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを対象として所定の設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタのダミーとなる少なくとも1つのダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる設定反映手段(例えばブロック制御モジュール1741)を備える
情報処理システム。
このような構成によれば、付記7に記載のプログラムと同様の作用効果を奏することができる。
【0256】
(付記11)
コンピュータを、
複数のユーザのそれぞれに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間における、キャラクタの迷惑行為となる挙動を検知可能な検知手段(例えば迷惑行為判定モジュール1761)と、
前記迷惑行為となる挙動が検知されたことに基づき、特定の制御を実行する特定制御実行手段(例えば特定制御実行モジュール1771)と、
として機能させるプログラム。
例えば、ユーザが迷惑行為をされているか否かを自分で判断し、迷惑行為をされていると判断した場合に対策を講じる場合、対策を講じるまでに時間を要する分、迷惑行為を受け、ユーザが不快な思いをする可能性が高いものとなる。これに対し、本構成によれば、迷惑行為となる挙動が検知されたことに基づき、特定の制御が自動で実行される。このため、比較的短時間で対策を講じることができ、ユーザが不快な思いをする可能性を低減できる。これにより、ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供できる。
【0257】
(付記12)
前記特定制御実行手段は、第1キャラクタに対する第2キャラクタの前記迷惑行為となる挙動が検知されたことに基づき、前記特定の制御として、前記第1キャラクタを操作するユーザに対し、前記第2キャラクタが前記迷惑行為を行っていることを通知する
付記11に記載のプログラム。
このような構成によれば、第1キャラクタを操作するユーザは、第2キャラクタが迷惑行為を行っていることに気付くことができ、早急に対策を講じることができる。
【0258】
(付記13)
前記検知手段は、ユーザが所定のキャラクタを視界に捉えている時間に基づき、前記迷惑行為となる挙動を検知する
付記11または付記12に記載のプログラム。
このような構成によれば、比較的長い間、所定のキャラクタを視界に捉えているユーザの挙動を迷惑行為となる挙動とすることができる。
【0259】
(付記14)
複数のユーザのそれぞれに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間における、キャラクタの迷惑行為となる挙動を検知可能な検知手段と、
前記迷惑行為となる挙動が検知されたことに基づき、特定の制御を実行する特定制御実行手段(例えば特定制御実行モジュール1771)と、を備える
情報処理システム。
このような構成によれば、付記11に記載のプログラムと同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0260】
5 ユーザ、6 アバターオブジェクト、11 仮想空間、100 HMDシステム、110 HMDセット、120 HMD、130 モニタ、200 コンピュータ、210 プロセッサ、220 メモリ、230 ストレージ、240 入出力インターフェイス、250 通信インターフェイス、300 コントローラ、410 HMDセンサ、420 モーションセンサ、510 コントロールモジュール、520 レンダリングモジュール、530 メモリモジュール、540 通信制御モジュール、600 サーバ、610 プロセッサ、620 メモリ、630 ストレージ、640 入出力インターフェイス、650 通信インターフェイス、700 外部機器、1421 仮想カメラ制御モジュール、1422 視界領域決定モジュール、1423 基準視線特定モジュール、1424 顔器官検出モジュール、1425 動き検出モジュール、1426 仮想空間定義モジュール、1427 仮想オブジェクト生成モジュール、1428 操作オブジェクト制御モジュール、1429 アバター制御モジュール、1438 視界画像生成モジュール、1610 コントロールモジュール、1630 メモリモジュール、1640 通信制御モジュール、1741 ブロック制御モジュール、1751 フレンド管理モジュール、1761 迷惑行為判定モジュール、1771 特定制御実行モジュール、1781 履歴管理モジュール
【要約】
【課題】ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供する。
【解決手段】プログラムは、コンピュータを、ユーザに対応するキャラクタを出現させることが可能な仮想空間に関して、第1キャラクタを操作するユーザにより第2キャラクタを対象として所定の設定がされたことに基づき、前記第1キャラクタのダミーとなる少なくとも1つのダミーキャラクタを前記仮想空間に出現させる設定反映手段として機能させる。これにより、ユーザが不快感を抱く可能性が低減された仮想空間をユーザに提供できる。
【選択図】
図19