(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】エレベータの制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20231107BHJP
B66B 1/06 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B66B3/00 J
B66B1/06 F
(21)【出願番号】P 2022190280
(22)【出願日】2022-11-29
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】納田 雄介
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-051617(JP,A)
【文献】実開平05-065973(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111731958(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床間を昇降運転する乗りかご内に自律走行体を搭乗させての占有運転が可能なエレベータの制御システムであって、
前記乗りかごの運転状況を制御する制御部と、
前記制御部に連携させて、前記自律走行体を管理する走行体管理部と、
前記走行体管理部によって管理される前記自律走行体からの要求に伴う、前記制御部による前記占有運転中に、利用者による乗場呼びが行われた場合、該乗場呼びが行われた時点から前記占有運転が完了し、前記制御部による通常運転が可能となるまでの待機時間を算出する算出部と、
前記複数の階床にそれぞれ設けられ、前記算出部で算出された前記待機時間の経過を表示する表示部と、
を備え
、
前記算出部は、前記自律走行体からの要求を、前記待機時間を算出する契機とすることを特徴とするエレベータの制御システム。
【請求項2】
前記算出部が参照する、前記待機時間を算出するための各種の制御データが記憶されている記憶部を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項3】
前記表示部として、前記乗りかごが前記自律走行体による前記占有運転中であることを表示する状況表示用の表示器を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項4】
前記表示部として、前記算出部で算出された前記待機時間の経過を表示する表示用インジケータを有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項5】
前記表示部として、前記算出部で算出された前記待機時間の経過を表示するカウントダウン式の表示器を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項6】
さらに、前記複数の階床には、それぞれ、前記算出部で算出された前記待機時間の経過を音声案内するためのスピーカが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項7】
複数の階床間を昇降運転する乗りかご内に自律走行体を搭乗させての占有運転が可能なエレベータの制御方法であって、
前記乗りかごの運転状況を制御部により制御する工程と、
前記制御部に連携させて、前記自律走行体を走行体管理部により管理する工程と、
前記走行体管理部によって管理される前記自律走行体からの要求に伴う、前記制御部による前記占有運転中に、利用者による乗場呼びが行われた場合、該乗場呼びが行われた時点から前記占有運転が完了し、前記制御部による通常運転が可能となるまでの待機時間を算出部により算出する工程と、
前記複数の階床にそれぞれ設けられ、前記算出部で算出された前記待機時間の経過を表示部により表示する工程と、
を備え
、
前記待機時間を算出する工程は、前記自律走行体からの要求を契機とすることを特徴とするエレベータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの制御システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビルのように複数の階床が存在する建物において、エレベータとロボットとを連携させることにより、人手を介することなく、複数の階床間でのロボットの自律的な走行が可能とされている。
【0003】
ところが、ビルのエレベータは、通常、一般利用者が多く利用するものである。そのため、安全性への配慮などから、一般利用者が乗車中のエレベータには自律走行型のロボットを同乗させないようにする、といった制御(占有運転)が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-196731号公報
【文献】国際公開(WO)第2020/179022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自律走行型のロボットによる占有運転中は、一般利用者によるエレベータの利用が制限されるため、場合によっては、一般利用者が長い時間その場で待たされるという不都合があった。
【0006】
本発明の実施形態は、自律走行体によるエレベータの占有運転中かどうかを一般利用者が容易に認識でき、一般利用者が無駄に待たされるといった利便性の悪さを解消することが可能なエレベータの制御システムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、複数の階床間を昇降運転する乗りかご内に自律走行体を搭乗させての占有運転が可能なエレベータの制御システムであって、前記乗りかごの運転状況を制御する制御部と、前記制御部に連携させて、前記自律走行体を管理する走行体管理部と、前記走行体管理部によって管理される前記自律走行体からの要求に伴う、前記制御部による前記占有運転中に、利用者による乗場呼びが行われた場合、該乗場呼びが行われた時点から前記占有運転が完了し、前記制御部による通常運転が可能となるまでの待機時間を算出する算出部と、前記複数の階床にそれぞれ設けられ、前記算出部で算出された前記待機時間の経過を表示する表示部と、を備え、前記算出部は、前記自律走行体からの要求を、前記待機時間を算出する契機とすることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の実施形態は、複数の階床間を昇降運転する乗りかご内に自律走行体を搭乗させての占有運転が可能なエレベータの制御方法であって、前記乗りかごの運転状況を制御部により制御する工程と、前記制御部に連携させて、前記自律走行体を走行体管理部により管理する工程と、前記走行体管理部によって管理される前記自律走行体からの要求に伴う、前記制御部による前記占有運転中に、利用者による乗場呼びが行われた場合、該乗場呼びが行われた時点から前記占有運転が完了し、前記制御部による通常運転が可能となるまでの待機時間を算出部により算出する工程と、前記複数の階床にそれぞれ設けられ、前記算出部で算出された前記待機時間の経過を表示部により表示する工程と、を備え、前記待機時間を算出する工程は、前記自律走行体からの要求を契機とすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るエレベータの制御システムが適用されるエレベータシステムの概略構成を示すブロック図。
【
図3】エレベータシステムの動作例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係るエレベータの制御システムおよび制御方法について、図面を参照して説明する。
【0011】
実施形態
図1は、本実施形態に係るエレベータの制御システムが適用されるエレベータシステムの概略構成を模式的に示すものである。このエレベータシステムは、例えば、商業施設などの建屋内に設置されるものであって、ここでは、複数の階床を有するビル内に設置した場合を例に説明する。
【0012】
本実施形態のエレベータシステムは、エレベータ1 と自律走行ロボット(自律走行体)3 とを主体に構成されている。エレベータ1 は、一般のエレベータ利用者HMが主に利用する一般的なエレベータ装置であって(
図5参照)、例えばエレベータ利用者HMの非乗車時には、自律走行ロボット3 の搭乗が可能とされている(
図2参照)。即ち、このエレベータシステムでは、エレベータ1 と自律走行ロボット3 との連携により、乗りかご15の通常運転時以外での、自律走行ロボット3 の自律的な利用(占有運転またはロボット連動運転ともいう)が可能とされている。
【0013】
なお、エレベータ1 においては、緊急(管制運転)時などを除いては、自律走行ロボット3 よりも一般のエレベータ利用者HMを優先させる制御(通常運転)が行われる。
【0014】
より詳しくは、例えば
図1に示すように、自律走行ロボット3 を管理するロボット管理サーバ(走行体管理部)4 を備えたビル管理システム6 と、エレベータ1 のエレベータ通信装置31とが、エレベータ監視センタ2 を介して接続されている。エレベータ監視センタ2 は、エレベータ1 を遠隔管理するもので、例えば昇降機クラウド5 を備えている。
【0015】
即ち、エレベータ監視センタ2 の昇降機クラウド5 を介して、ロボット管理サーバ4 とエレベータ1 とが連携されることで、エレベータ制御装置(制御部)30に対する、自律走行ロボット3 の搭乗によるロボット連動運転のための呼び情報の登録が行われる。
【0016】
詳細については後述するが、エレベータ通信装置31につながるエレベータ制御装置30は、一般のエレベータ利用者HMや自律走行ロボット3 による呼び情報の登録のための登録部(図示省略)などを備えている。
【0017】
図1において、ロボット管理サーバ4 は、自律走行ロボット3 に所定の業務として、例えば、ビル内の清掃や荷物の運搬、一般のエレベータ利用者HMの道案内などを行わせるためのものである。このロボット管理サーバ4 は、自律走行ロボット3 の位置確認や動作モードの設定、自律走行ロボット3 と無線通信を行うための機能などを有している。
【0018】
ビル管理システム6 は、ビル全体を管理するもので、防災センタ(図示省略)などに設置されるものである。
【0019】
昇降機クラウド5 は、エレベータ1 とビル管理システム6 との間をつなぐインタフェースであって、例えば、ロボット管理サーバ4 とエレベータ通信装置31との間でのLTE (Long Term Evolution)通信などを可能とする。
【0020】
自律走行ロボット3 は、ロボット制御部300 、位置情報取得部301 、呼び登録要求部302 、ロボット無線通信部303 、および、移動機構部304 などを有している。
【0021】
ロボット制御部300 は、例えば、当該自律走行ロボット3 の各部301 ~304 を制御するとともに、ロボット管理サーバ4 の設定にしたがって、当該自律走行ロボット3 の挙動を制御するものである。
【0022】
位置情報取得部301 は、ロボット制御部300 によって制御され、当該自律走行ロボット3 のビル内での位置情報を常に取得するようになっている。
【0023】
呼び登録要求部302 は、ロボット連動運転を行う際に、ロボット制御部300 に対して、当該自律走行ロボット3 による呼び情報の、エレベータ制御装置30への登録を要求するものである。即ち、この自律走行ロボット3 によるロボット制御部300 への呼び情報の登録により、エレベータ1 のロボット連動運転への運転状況の切り替えが行われる。
【0024】
ロボット無線通信部303 は、ロボット制御部300 によって制御され、呼び登録要求部302 による呼び情報の登録の要求に伴って、ロボット管理サーバ4 や昇降機クラウド5 を介して、エレベータ制御装置30に無線により呼び情報を送信するものである。
【0025】
移動機構部304 は、ロボット制御部300 によって制御され、当該自律走行ロボット3 の位置を移動させるものである。
【0026】
これに対し、エレベータ1 は、例えば
図1に示すように、巻上機13、乗りかご15、エレベータ制御装置30、エレベータ通信装置31、乗車可能時間予測部(算出部)33、および、記憶部35などを備えている。
【0027】
乗りかご15は、巻上機13によって各階の乗場(複数の階床)20間を昇降動作可能に設けられている。
【0028】
乗りかご15内には、例えば、かご扉(図示省略)が設けられた乗降口の近傍に、一般のエレベータ利用者HMが行先階(目的階)を設定するかご呼び操作などを行うための、かご操作盤19が設けられている。かご操作盤19には、いずれも図示していないが、行先階ボタン、かご扉の開閉ボタン、着床階(到着階)などを表示する階床表示器、到着階などを音声案内するためのスピーカ、および、非常時通話ボタンなどが設けられている。
【0029】
巻上機13は、機械室内に配置され、乗りかご15に接続されたロープが架け渡されており、エレベータ制御装置30によって制御される。
【0030】
エレベータ通信装置31は、エレベータ制御装置30によって制御され、当該エレベータ1 を遠隔監視するエレベータ監視センタ2 に設けられた昇降機クラウド5 との間で、例えばLTE 通信を行うものである。
【0031】
エレベータ制御装置30は、乗りかご15の運転状況などを制御するもので、必要に応じて、エレベータ1 の乗りかご15を、通常運転、占有運転、または、管制運転させるようになっている。
【0032】
即ち、一般のエレベータ利用者HMによるかご操作盤19のかご呼び操作に応じて、エレベータ制御装置30によって巻上機13が制御される。また、各階床の乗場20に設けられる乗場操作盤21の、一般のエレベータ利用者HMによる乗場呼び操作に応じて、エレベータ制御装置30によって巻上機13が制御される。これにより、乗りかご15が昇降運転されて、エレベータ利用者HMの行先階への搬送またはエレベータ利用者HMが待つ乗場階への移動が行われる(通常運転)。
【0033】
記憶部35は、エレベータ制御装置30によって制御され、各種の制御データとして、エレベータ1 の定格速度、加速度、乗りかご15の行先階別の移動時間、乗場ドア22の戸開および戸閉時間、自律走行ロボット3 の搭乗および降車時間などを、予め記憶している。また、記憶部35には、例えばエレベータ利用者HMによる乗場呼びの情報や乗場呼びが行われた時点の時刻などが記憶されるようになっている。
【0034】
乗車可能時間予測部33は、エレベータ制御装置30によって制御され、例えば、ロボット連動運転中に、エレベータ利用者HMによる乗場呼びが行われると、乗場呼びが行われた時点からロボット連動運転が完了し、通常運転が可能となるまでの待機時間を算出する。即ち、記憶部35に記憶されている各種の制御データに基づいて、エレベータ利用者HMによる乗場呼びが行われた時点から、エレベータ利用者HMの乗りかご15への乗車が可能となる通常運転までの待ち時間を予測するようになっている。
【0035】
一方、各階床には、例えば
図2に示すように、乗場20ごとに乗場ドア22が設けられている。各乗場ドア22の近傍には、一般のエレベータ利用者HMが乗場呼び操作などを行うための乗場操作盤21や到着の通知ランプ(図示省略)などが設けられている。
【0036】
乗場操作盤21は、例えば
図1に示すように、乗場ボタン211 と、エレベータ利用者HMによる乗場ボタン211 の操作をエレベータ制御装置30に伝え、乗場呼び情報の登録を行うための操作盤無線通信部212 と、乗場表示インジケータ(表示部)215 と、を備える。
【0037】
また、乗場20には、表示部としての乗場表示カウンタ216 およびロボット運転中表示器217 の他、階床表示インジケータ218 やスピーカ219 などが設けられている。
【0038】
乗場表示インジケータ215 は、乗車可能時間予測部33にて算出された待機時間の経過に伴って、残り時間をカウントダウン表示する表示器である。乗場表示カウンタ216 は、乗車可能時間予測部33にて算出された待機時間の経過に伴って、残り時間をランプの点灯数により表示するカウントダウン式の表示器である。ロボット運転中表示器217 は、当該エレベータ1 が現在ロボット連動運転中であることを表示する運転状況表示のための表示器である。階床表示インジケータ218 は、乗りかご15の現在位置を表示する階床表示器である。スピーカ219 は、各種の情報を音声やブザー音などによりアナウンスするためのものであって、例えば、乗車可能時間予測部33にて算出された待機時間の経過に伴う残り時間を音声により案内するようになっている。
【0039】
このように、ロボット連動運転中であることをロボット運転中表示器217 により表示することによって、エレベータ利用者HMは、現在、自律走行ロボット3 がエレベータ1 を使用中であり、すぐには利用できないことを容易に認識できるようになる。
【0040】
また、乗場表示カウンタ216 、および/または、乗場表示インジケータ215 、スピーカ219 によって、通常運転となるまでの待機時間の経過を案内することで、エレベータ利用者HMは乗りかご15への乗車が可能となるまでの待ち時間を確認できるようになる。
【0041】
これにより、エレベータ1 を利用するために、そのまま乗りかご15の到着を待つ場合にも、待ち時間を明確にすることが可能となる。また、移動する階床が少ない場合や急ぎの場合など、エレベータ1 の利用が可能となるまでの待ち時間によっては、階段やエスカレータの利用に切り替えるといった判断の助けとなる。
【0042】
したがって、一般のエレベータ利用者HMが無駄に待たされるといった利便性の悪さを解消できる。
【0043】
特に、スピーカ219 により通常運転となるまでの待機時間をアナウンスするようにした場合には、目に障がいがあったり、スマートフォンなどを操作しているエレベータ利用者HMにとっては有用となる。
【0044】
次に、
図3に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータシステムの動作について説明する。ここでは、ロボット連動運転中に一般のエレベータ利用者HMによる乗場呼びの操作が行われた場合について説明する。
【0045】
例えば、エレベータ1 の通常運転中(ステップST01のNO,ST02)に、ロボット搭乗要求として、エレベータ通信装置31に対して、自律走行ロボット3 の呼び登録要求部302 による呼び情報の登録の要求があったとする(ステップST01のYES )。
【0046】
すると、エレベータ制御装置30において、登録されている呼び情報などに基づいて、乗りかご15内にエレベータ利用者HMが乗車中か否かが判断される。乗車中の場合(ステップST03のYES )、そのまま通常運転が継続されて、全てのエレベータ利用者HMの各行先階への搬送が行われる。そして、搬送が終了するまで、ロボット搭乗要求は保留される。
【0047】
一方、乗車中でない場合(ステップST03のNO)、エレベータ制御装置30において、ロボット搭乗要求による呼び情報の登録が行われて、運転状況が通常運転からロボット連動運転に切り替えられる(ステップST04)。即ち、自律走行ロボット3 からのロボット搭乗要求による呼び情報の登録に伴って、ロボット連動運転が開始される。
【0048】
これにより、ロボット運転中表示器217 によって、当該エレベータ1 が現在ロボット連動運転中であることが表示される。また、自律走行ロボット3 が待つ呼び寄せ階へと乗りかご15が移動され、乗場ドア22の開動作に伴って、自律走行ロボット3 の乗りかご15への搭乗が可能となる。そして、乗りかご15が呼び情報の登録に応じて、行先階へと移動される。このロボット連動運転は、乗りかご15が行先階に着床し、自律走行ロボット3 が乗りかご15内より降車して乗場ドア22が閉じられるまで継続される。こうして、ロボット連動運転がいったん解除される。
【0049】
これに対し、どこかの乗場20にて、エレベータ利用者HMによる乗場呼びが行われたとする(ステップST05のYES )。すると、乗場操作盤21の乗場ボタン211 の操作による乗場呼びの情報が、操作盤無線通信部212 を介して、エレベータ制御装置30に送られる。
【0050】
これにより、エレベータ制御装置30において、ロボット連動運転を継続中かどうかが判断される(ステップST06)。継続中でなければ(ステップST06のNO)、処理はステップST10に移行される。
【0051】
継続中であれば(ステップST06のYES )、エレベータ制御装置30により、乗場呼びの情報とその時刻とが記憶部35内に一時的に記憶される(ステップST07、乗場呼びの仮登録)。
【0052】
そして、乗車可能時間予測部33による、ロボット連動運転が完了し、エレベータ利用者HMの利用が可能となる乗車可能時間の算出が行われて、それまでの待機時間(待ち時間)の予測が行われる(ステップST08)。
【0053】
即ち、乗車可能時間予測部33では、まず、契機として、ロボット連動運転が開始されてから完了するまでの時間を算出する。
【0054】
ここで、ロボット連動運転の開始の時間は、ロボット搭乗要求の情報が呼び登録された時間とされ、ロボット連動運転の完了の時間は、移動により行先階に着床した乗りかご15から自律走行ロボット3 が降車して、乗場ドア22の戸閉が完了するまでの時間とされる。
【0055】
そこで、乗車可能時間予測部33では、例えば
図4に示すように、位置情報取得部301 からの情報に基づいて、エレベータ利用者HMによって乗場呼びが行われた時点の乗りかご15の現在位置を求める。そして、記憶部35に予め記憶されている各種の制御データに基づいて、その乗りかご15の現在位置から、行先階まで移動し、ロボット連動運転が完了するまでの時間を求める。
【0056】
また、記憶部35に予め記憶されている各種の制御データに基づいて、着床中の行先階から、乗りかご15が乗場呼びの操作が行われた階床まで移動し、乗場ドア22の戸開が行われて、エレベータ利用者HMが乗車可能となるまでの時間を求める。
【0057】
求められた、ロボット連動運転が開始されてから完了するまでの時間、乗りかご15の現在位置からロボット連動運転が完了するまでの時間、および、乗りかご15へのエレベータ利用者HMの乗車が可能となるまでの時間に基づいて、最終的に待ち時間が予測される。
【0058】
こうして、予測された待ち時間は、例えば
図5に示すように、エレベータ制御装置30により、乗場呼びの操作が行われた乗場20の、乗場表示インジケータ215 および乗場表示カウンタ216 に表示されるとともに、スピーカ219 より音声案内される(ステップST09)。
【0059】
そして、エレベータ利用者HMの乗りかご15への乗車が可能となるまで(ステップST10のYES ,ST11)、カウントダウン表示が繰り返されて、乗場20で待つエレベータ利用者HMに案内される(ステップST10のNO)。
【0060】
また、エレベータ利用者HMの乗りかご15への乗車が可能となることに伴って、仮登録中の乗場呼びの情報が登録部(図示省略)に登録されて、通常運転が可能となる(ステップST02)。
【0061】
上記したように、本実施形態に係るエレベータシステムによれば、自律走行ロボット3 によるエレベータ1 のロボット連動運転中かどうかを、一般のエレベータ利用者HMが容易に認識でき、無駄に待たされるといった利便性の悪さを解消することが可能となる。
【0062】
即ち、ロボット連動運転中であることをロボット運転中表示器217 により表示することによって、エレベータ利用者HMは、現在、自律走行ロボット3 がエレベータ1 を使用中であり、すぐには利用できないことを容易に認識できるようになる。
【0063】
また、乗場表示インジケータ215 および/または乗場表示カウンタ216 によって、待機時間の経過を案内することで、エレベータ利用者HMは乗りかご15への乗車が可能となるまでの待ち時間を容易に確認できるようになる。
【0064】
これにより、エレベータ1 を利用するために、そのまま乗りかご15の到着を待つ場合にも、待ち時間を明確にすることが可能となる。また、エレベータ1 の利用が可能となるまでの待ち時間によっては、階段やエスカレータの利用に切り替えるといった判断の助けとなる。
【0065】
したがって、一般のエレベータ利用者HMが無駄に待たされるといった利便性の悪さを解消することが可能となるものである。
【0066】
特に、スピーカ219 により通常運転となるまでの待機時間をアナウンスするようにした場合には、目に障がいがあったり、スマートフォンなどを操作しているエレベータ利用者HMに対しても、より確実な案内が可能となる。
【0067】
他の実施形態
なお、上記の実施形態においては、ロボット連動運転時の待ち時間を表示する場合について説明したが、これに限らず、例えば管制運転時や点検中など、他の要因で運転停止中のエレベータの利用再開時間(復帰時間)などを表示するようにしても良い。
【0068】
また、乗場表示インジケータ215 と乗場表示カウンタ216 とを設ける場合に限らず、いずれか一方を設けるようにしても良い。
【0069】
また、ロボット連動運転時の待ち時間などを表示する時間は、例えば45,44,43のような1秒単位、または、例えば45,40,35のような5秒単位などであっても良い。
【0070】
また、アナウンスする時間は、1秒間隔だと対応できない場合もあり得るので、5秒間隔などが望ましい。
【0071】
また、表示は、数字やカウンタ表示に限らず、例えば、赤信号の待ち時間を表示するための棒グラフなどのような形態であっても良い。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 …エレベータ、3 …自律走行ロボット(自律走行体)、4 …ロボット管理サーバ(走行体管理部)、15…乗りかご、20…乗場、21…乗場操作盤、30…エレベータ制御装置(制御部)、33…乗車可能時間予測部(算出部)、35…記憶部、215 …乗場表示インジケータ(表示部)、216 …乗場表示カウンタ(表示部)、217 …ロボット運転中表示器、218 …階床表示インジケータ、219 …スピーカ。
【要約】
【課題】自律走行体によるエレベータの占有運転中かどうかを一般利用者が容易に認識でき、一般利用者が無駄に待たされるといった利便性の悪さを解消する。
【解決手段】複数の乗場20間を昇降運転する乗りかご15内に自律走行ロボット3 を搭乗させてのロボット連動運転が可能なエレベータシステムであって、乗りかご15の運転状況を制御するエレベータ制御装置30と、自律走行ロボット3 を管理するロボット管理サーバ4 と、エレベータ制御装置30によるロボット連動運転中に、エレベータ利用者HMによる乗場呼びが行われた場合、その乗場呼びが行われた時点からロボット連動運転が完了し、エレベータ制御装置30による通常運転が可能となるまでの待機時間を算出する乗車可能時間予測部33と、複数の乗場20に設けられ、乗車可能時間予測部33で算出された待機時間の経過を表示する乗場表示インジケータ215 や乗場表示カウンタ216 を備える。
【選択図】
図1