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特許7379660集積回路のための改善されたレベルシフタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】集積回路のための改善されたレベルシフタ
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H03K19/0175 210
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022507798
(86)(22)【出願日】2020-01-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2020012031
(87)【国際公開番号】W WO2021029905
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】201910733363.9
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】16/732,047
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイ、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ズー、クレア
(72)【発明者】
【氏名】キアン、シャオゾウ
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513914(JP,A)
【文献】国際公開第01/056158(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253210(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0180508(US,A1)
【文献】特開2006-025241(JP,A)
【文献】米国特許第10050524(US,B1)
【文献】米国特許第06650168(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M1/00-3/44
7/42-7/98
H03K17/00-17/70
19/00
19/01-19/082
19/094-19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧領域の入力を受け取り、第2の電圧領域の出力を生成するためのレベルシフタであって、前記第1の電圧領域内の「0」は第1の電圧であり、前記第1の電圧領域の「1」は第2の電圧であり、前記第2の電圧領域の「0」は前記第1の電圧であり、前記第2の電圧領域の「1」は、前記第2の電圧とは異なる第3の電圧であり、前記レベルシフタは、
前記第3の電圧を提供する第1の電源と、
前記第1の電源に結合された第1の端子、ゲート、及び第2の端子を含む、第1のPMOSトランジスタと、
前記第1の電源に結合された第1の端子、前記第1のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合されたゲート、及び前記第1のPMOSトランジスタの前記ゲートと前記出力を提供するための出力ノードとに結合された第2の端子を含む、第2のPMOSトランジスタと、
前記第1のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、第1の信号を受け取るように構成されたゲート、及び前記入力の補数を受け取るように構成された第2の端子を含む、第1のNMOSトランジスタと、
前記第1のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、前記入力を受け取るように構成されたゲート、及び前記第1の電圧に結合された第2の端子を含む、第2のNMOSトランジスタと、
前記出力ノードに結合された第1の端子、前記入力の前記補数を受け取るように構成されたゲート、及び前記第1の電圧に結合された第2の端子を含む、第3のNMOS回路と、
前記出力ノードに結合された第1の端子、第2の信号を受け取るように結合されたゲート、及び前記入力を受け取るように構成された第2の端子を含む、第4のNMOS回路と、を備え、
前記第1の信号は、前記入力が前記第2の電圧にあるとき、前記第2の電圧の2倍であり、かつ、前記入力が前記第1の電圧であるとき、前記第2の電圧であり、
前記第2の信号は、前記入力が前記第1の電圧にあるとき、前記第2の電圧の2倍であり、かつ、前記入力が前記第2の電圧であるとき、前記第2の電圧である、レベルシフタ。
【請求項2】
前記第2の電圧を提供する第2の電源を更に備える、請求項1に記載のレベルシフタ。
【請求項3】
前記第1の信号は第1の回路によって生成される、請求項2に記載のレベルシフタであって、該レベルシフタは、
前記第2の電源に結合された第1の端子、ゲート、及び第2の端子を含む、第3のPMOSトランジスタと、
前記第3のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、ゲート、及び第2の端子を含む、第4のPMOSトランジスタと、
前記第4のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、前記入力の前記補数を受け取るように構成されたゲート、及び前記第4のPMOSトランジスタの前記ゲートに結合された第2の端子を含む、第5のPMOSトランジスタと、
前記第5のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、前記入力の前記補数を受け取るように構成されたゲート、及び前記第1の電圧に結合された第2の端子を含む、第5のNMOSトランジスタと、
前記第3のPMOSトランジスタの前記ゲートに結合された第1の端子、及び前記第4のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第2の端子を含む、第1のコンデンサと、を備える、レベルシフタ。
【請求項4】
前記第2の信号は第2の回路によって生成される、請求項3に記載のレベルシフタであって、該レベルシフタは、
前記第2の電源に結合された第1の端子、ゲート、及び第2の端子を含む、第6のPMOSトランジスタと、
前記第6のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、ゲート、及び第2の端子を含む、第7のPMOSトランジスタと、
前記第7のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、前記入力を受け取るように構成されたゲート、及び前記第7のPMOSトランジスタの前記ゲートに結合された第2の端子を含む、第8のPMOSトランジスタと、
前記第8のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、前記入力を受け取るように構成されたゲート、及び前記第1の電圧に結合された第2の端子を含む、第6のNMOSトランジスタと、
前記第6のPMOSトランジスタの前記ゲートに結合された第1の端子、及び前記第7のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第2の端子を含む、コンデンサと、を備える、レベルシフタ。
【請求項5】
前記第1の電圧はグラウンドである、請求項2に記載のレベルシフタ。
【請求項6】
前記第2の電圧は1Vである、請求項5に記載のレベルシフタ。
【請求項7】
前記第3の電圧は2.5Vである、請求項6に記載のレベルシフタ。
【請求項8】
前記第1の電圧はグラウンドである、請求項3に記載のレベルシフタ。
【請求項9】
前記第2の電圧は1Vである、請求項8に記載のレベルシフタ。
【請求項10】
前記第3の電圧は2.5Vである、請求項9に記載のレベルシフタ。
【請求項11】
前記第1の電圧はグラウンドである、請求項4に記載のレベルシフタ。
【請求項12】
前記第2の電圧は1Vである、請求項11に記載のレベルシフタ。
【請求項13】
前記第3の電圧は2.5Vである、請求項12に記載のレベルシフタ。
【請求項14】
前記第1の電圧はグラウンドである、請求項1に記載のレベルシフタ。
【請求項15】
前記第2の電圧は1Vである、請求項14に記載のレベルシフタ。
【請求項16】
前記第3の電圧は2.5Vである、請求項15に記載のレベルシフタ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2019年8月9日に出願された「Improved Level Shifter For Integrated Circuit」と題する中国特許出願第201910733363.9号、及び2019年12月31日に出願された「Improved Level Shifter For Integrated Circuit」と題する米国特許出願第16/732,047号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
高速で動作することができる改善されたレベルシフタが開示される。
【背景技術】
【0003】
レベルシフタは、集積回路における重要な構成要素である。レベルシフタは、第1の電圧領域から第2の電圧領域にデジタル信号を変換する。これは、集積回路の異なる部分が異なる電圧領域で動作するときの本質的な機能である。
【0004】
図1は、先行技術のレベルシフタ100を示す。この例では、電圧領域101の「1」は1Vで表され、「0」は0Vで表され、電圧領域102の「1」は2.5Vで表され、「0」は0Vで表されている。レベルシフタ100は、電圧領域101の「1」(1V)を電圧領域102の「1」(2.5V)に変換し、電圧領域101の「0」(0V)を電圧領域102の「0」(0V)に変換する。「1」及び「0」を表すために他の電圧を利用する他の電圧領域は既知であり、当業者は、図1及び本明細書で提供される電圧値が単なる例であることを理解するであろう。
【0005】
ここで、図2図4を参照してレベルシフタ100の実施形態について説明する。最初に、図2は、インバータ201及び202を示し、インバータ201は、信号としてINPUTを受け取り、出力としてAを生成し(INPUTの補数である)、インバータ202は、入力としてAを受け取り、出力としてA-BARを生成する(Aの補数であり、論理的にINPUTと同一である)。ここで、「1」値は、例えば1Vであり得る電圧VDDLを有する。VDDLは、低電圧のコア電源電圧であり得る。
【0006】
図3は、レベルシフタ100の一例である先行技術のレベルシフタ300を示す。レベルシフタ300は、NMOSトランジスタ301及び302、PMOSトランジスタ303及び304、並びにインバータ305を含む。図2の信号Aは、NMOSトランジスタ301のゲートに提供され、図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ302のゲートに提供される。
【0007】
Aが高である場合、NMOSトランジスタ301はオンになり、トランジスタ302はオフになる。インバータ305への入力は、NMOSトランジスタ301を介してグラウンドへとプルされ、PMOSトランジスタ304へのゲートをオンにすることにもなる。OUTPUTとラベル付けされたインバータ305の出力は高になり、ここでは電圧VDDHとなり、これは例えば2.5Vであり得る。VDDHは、高電圧のコア電源電圧であり得る。
【0008】
Aが低である場合、NMOSトランジスタ301はオフになり、NMOSトランジスタ302はオンになる。PMOSトランジスタ303は、そのゲートがNMOSトランジスタ302を介してグラウンドへとプルされるためオンになり、それによってインバータ305への入力は、PMOSトランジスタ303を介して高にプルされることになる。次いで、OUTPUTは低になる。
【0009】
先行技術のレベルシフタ300は、著しい制限を有する。具体的には、レベルシフタ300は、約0.5ns未満の切り替え時間で動作することができない。最悪の場合、切り替え時間は、1ns以上にもなり得る。これは、それぞれのトランジスタの電流駆動能力における固有の変動性に起因する。加えて、図2の低供給電圧VDDLが低すぎることからA及びA-BARのピーク電圧が低すぎる場合、レベルシフタ300は完全に失敗し得る。
【0010】
図4は、レベルシフタ100の別の例であり、レベルシフタ300よりも短い切り替え時間を有する先行技術のレベルシフタ400を示す。レベルシフタ400は、NMOSトランジスタ401及び402と、PMOSトランジスタ403、404、405、及び406と、インバータ407と、を含む。図2の信号Aは、NMOSトランジスタ401のゲート及びPMOSトランジスタ405のゲートに提供され、図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ402のゲート及びPMOSトランジスタ406のゲートに提供される。
【0011】
Aが高である場合、NMOSトランジスタ401はオンになり、トランジスタ402はオフになり、PMOSトランジスタ405はオフになり、PMOSトランジスタ406はオンになる。インバータ407への入力は、NMOSトランジスタ401を介してグラウンドへとプルされ、PMOSトランジスタ404のゲートをプルダウンすることにもなり、それによってPMOSトランジスタ404はオンになり、次いで、PMOSトランジスタ403のゲートが、PMOSトランジスタ404及び406を介してVDDHへと高にプルされることになる。OUTPUTとラベル付けされたインバータ407の出力は高になり、ここでは電圧VDDHとなり、これは例えば2.5Vであり得る。
【0012】
Aが低である場合、NMOSトランジスタ401はオフになり、NMOSトランジスタ402はオンになり、PMOSトランジスタ405はオンになり、PMOSトランジスタ406はオフになる。PMOSトランジスタ403は、そのゲートがNMOSトランジスタ402を介してグラウンドへとプルされ、それによってインバータ407への入力は、PMOSトランジスタ403及び405を介してVDDHへと高にプルされることになる。次いで、OUTPUTは低になる。
【0013】
レベルシフタ400はレベルシフタ300よりも速い切り替え時間を有するが、レベルシフタ400は依然として制限される。具体的には、切り替え時間を1ns未満に減少させることはできない。加えて、図2の低供給電圧VDDLが低すぎることからA及びA-BARのピーク電圧が低すぎる場合、レベルシフタ400は完全に失敗し得る。
【0014】
必要とされるのは、先行技術で使用される同じコア電源電圧、VDDL及びVDDHを依然として使用しながら、その切り替え時間を1ns未満まで減少させることができる、改善されたレベルシフト設計である。
【発明の概要】
【0015】
改善されたレベルシフタが開示される。レベルシフタは、先行技術で使用されるコア電源電圧、VDDL及びVDDHを依然として使用しながら、1ns未満の切り替え時間を達成することができる。改善されたレベルシフタは、結合段階及びレベル切り替え段階を含む。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】先行技術のレベルシフタを示す。
図2】先行技術のインバータのセットを示す。
図3】先行技術のレベルシフタを示す。
図4】別の先行技術のレベルシフタを示す。
図5】レベルシフタを示す。
図6図5のレベルシフタの結合段階を示す。
図7図5のレベルシフタのレベルシフト回路を示す。
図8】レベルシフト方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図5は、結合段階600及びレベルシフト段階700を含むレベルシフタ500を示す。レベルシフタ500は、入力として「0」を受け取ると(「0」は第1の電圧である)、「0」、すなわち第1の電圧を出力し、入力として第2の電圧である第1の電圧領域(VDDL)の「1」を入力として受け取ると、第1又は第2の電圧とは異なる第3の電圧である第2の電圧領域(VDDH)の「1」を出力する。
【0025】
図6は、いずれも電圧VDDLを出力する低電圧電源610によって電力供給される第1の回路621及び第2の回路622を含む、結合段階600を示す。第1の回路621は、NMOSトランジスタ602と、PMOSトランジスタ604、606、及び608と、コンデンサ610と、を含む。第2の回路622は、NMOSトランジスタ601と、PMOSトランジスタ603、605、及び607と、コンデンサ609と、を含む。図2の信号Aは、NMOSトランジスタ601のゲート及びPMOSトランジスタ603のゲートに提供され、図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ602のゲート及びPMOSトランジスタ604のゲートに提供される。
【0026】
ここで、第1の回路621の動作について説明する。Aが高である場合、A-BARは低であり、NMOSトランジスタ602はオフであり、PMOSトランジスタ604はオンであり、PMOSトランジスタ608はオフである。電圧AAは、NMOSトランジスタ602がオフであり、PMOSトランジスタ608もオフであるため、浮遊することになり、かつ、コンデンサ610の任意の推定電荷は電源がない状態で消散するため、起動後の初期状態で約0Vとなる。
【0027】
Aが高から低に切り替わると、A-BARは低から高に切り替わり、NMOSトランジスタ602はオンになり、PMOSトランジスタ604はオフになり、PMOSトランジスタ608は、信号AがPMOSトランジスタ608のゲートに提供されるためオンになる。PMOSトランジスタ606はまた、そのゲートがNMOSトランジスタ602を介してグラウンドへとプルされるためオンになる。PMOSトランジスタ606がオンになり、PMOSトランジスタ608を介してVDDLを提供する電源に結合されるため、コンデンサ610は充電を開始し、AAとラベル付けされたノードは電圧VDDLに近づくことになる。上記は、グラウンドに接続されているNMOSトランジスタ602のソースを有するものとして説明されてきたが、これは決して限定することを意味するものではなく、VDDHに関連する任意の復帰電圧は、範囲を超えることなく、この文書全体を通してグラウンドの代わりに利用され得る。第1の電圧、すなわち、第2の電圧領域の「0」は、復帰電圧に近づく電圧である。
【0028】
次いで、Aが低から高に切り替わると、A-BARは高から低に切り替わることになる。NMOSトランジスタ602はオフになり、PMOSトランジスタ604はオンになり、PMOSトランジスタ608は、AがPMOSトランジスタ608のゲートに提供されるためオフになる。PMOSトランジスタ606のゲートは、電圧AA(VDDLで開始する)になり、オフになる。Aは、コンデンサ610の上板を低から高(VDDLである)に駆動しているため、AAは、コンデンサ610によって2*VDDLに駆動されることになる。
【0029】
次いで、Aが高から低に切り替わると、PMOSトランジスタ608はオンになり、NMOSトランジスタ602がオンになって、PMOSトランジスタ606のゲートをグラウンドへとプルし、PMOSトランジスタ606をオンにすることで、ノードAAを電圧VDDLへとプルすることになる。
【0030】
ここで、第2の回路622の動作について説明する。Aが低である場合、A-BARは高になり、NMOSトランジスタ601はオフであり、PMOSトランジスタ603はオンであり、PMOSトランジスタ607は、A-BARがそのゲートに提供されるためオフである。電圧AA-BARは、NMOSトランジスタ601及びPMOSトランジスタ607の両方がオフであるため、浮遊することになり、かつ、コンデンサ610の任意の推定電荷は電源がない状態で消散するため、起動後の初期状態で約0Vとなる。
【0031】
Aが低から高に切り替わると、A-BARは高から低に切り替わり、NMOSトランジスタ601はオンになり、PMOSトランジスタ603はオフになり、PMOSトランジスタ607は、A-BARがそのゲートに提供されるためオンになる。PMOSトランジスタ605はまた、そのゲートがNMOSトランジスタ601を介してグラウンドへとプルされるためオンになる。コンデンサ609の底板は、PMOSトランジスタ607及び605を介してVDDLへとプルされ、AA-BARとラベル付けされたノードは、電圧VDDLを取得することになる。
【0032】
Aが高から低に切り替わると、A-BARは低から高に切り替わり、NMOSトランジスタ601はオフになり、PMOSトランジスタ603はオンになり、PMOSトランジスタ607は、A-BARがそのゲートに提供されるためオフになる。PMOSトランジスタ605のゲートは、PMOSトランジスタ603を介して電圧AA-BAR(VDDLで開始する)になり、したがってオフになる。A-BARは、コンデンサ609の上板を低から高(VDDLである)に駆動しているため、AA-BARは、コンデンサ609によって2*VDDLに駆動されることになる。
【0033】
次いで、Aが低から高に切り替わると、A-BARは高から低に切り替わり、PMOSトランジスタ607はオンになり、NMOSトランジスタ601はオンになって、PMOSトランジスタ605のゲートをグラウンドへとプルし、PMOSトランジスタ605をオンにすることで、ノードAA-BARを、PMOSトランジスタ605及び607を介して電圧VDDLへとプルすることになる。
【0034】
このようにして、ノードAAはVDDLと2*VDDLとの間で発振し、ノードAA-BARは2*VDDLとVDDLとの間で発振することになる。
【0035】
図7は、NMOSトランジスタ701、702、703、及び704、PMOSトランジスタ705及び706、並びに電圧VDDHを出力する高電源710を含むレベルシフト段階700を示す。図2の信号Aは、NMOSトランジスタ701のゲート及びNMOSトランジスタ704の1つの端子に提供される。図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ702のゲート及びNMOSトランジスタ703の1つの端子に提供される。図5のノードAAは、NMOSトランジスタ703のゲートに提供され、図5のノードAA-BARは、NMOSトランジスタ704のゲートに提供される。この場合も、ノードAAはVDDLと2*VDDLとの間で発振し、ノードAA-BARは2*VDDLとVDDLとの間で発振することになる。
【0036】
Aが1(VDDL)から0に切り替わると、A-BARは0から1(VDDL)に切り替わり、AAはVDDLになり、AA-BARは2*VDDLになる。NMOSトランジスタ701はオフになり、NMOSトランジスタ702はオンになり、NMOSトランジスタ703はオフになり(AA及びA-BARが両方ともVDDLになるため)、NMOSトランジスタ704はオンになる。これにより、ノードOUTPUTは、トランジスタ702及び704を介してグラウンドへとプルされることになる。
【0037】
Aが0から1(VDDL)に切り替わると、A-BARは1から0に切り替わり、AAは2*VDDLになり、AA-BARはVDDLになる。NMOSトランジスタ701はオンになり、NMOSトランジスタ702はオフになり、NMOSトランジスタ703はオンになり、NMOSトランジスタ704はオフになり(A及びAA-BARが両方ともVDDLになるため)、NMOSトランジスタ704はオフになる。PMOSトランジスタ706のゲートは、NMOSトランジスタ701及び703を介してグラウンドへとプルされることになり、これにより、PMOSトランジスタ706はオンになり、OUTPUTがVDDHへとプルされることになる。
【0038】
特に、Aが1から0に切り換わると、NMOSトランジスタ704のオーバードライブ電圧は2倍の高さであるため、NMOSトランジスタ702及び704は、レベルシフタ300及び400よりも速くノードOUTPUTをグラウンドへとプルすることができる。具体的には、プルダウンNMOSトランジスタ704のVgsは2*VDDLであり、NMOSトランジスタ302のVgs及びレベルシフタ400のNMOSトランジスタ402のVgsは、VDDLのみである。その結果、レベルシフタ700のOUTPUTは、レベルシフタ400よりも速く「0」にプルされ得る。
【0039】
同様に、Aが0から1に切り替わると、NMOSトランジスタ703のオーバードライブ電圧は2倍の高さであるため、NMOSトランジスタ701及び703は、レベルシフタ300及び400よりも速くPMOSトランジスタ706のゲートをグラウンドへとプルすることができる。その結果、OUTPUTは、非常に短時間でVDDHへとプルされる。具体的には、プルダウンNMOSトランジスタ703のVgsは2*VDDLであり、レベルシフタ300のNMOSトランジスタ301のVgs及びレベルシフタ400のNMOSトランジスタ401のVgsはそれぞれVDDLのみである。その結果、PMOSトランジスタ706のゲートは迅速に「0」へとプルダウンされ、OUTPUTは、レベルシフタ300及び400よりも速くVDDHへとプルアップされることになる。
【0040】
すなわち、レベルシフタ500は、レベルシフタ300及び400よりも速く切り替わることができ、これは、レベルシフタ500に必要な切り替え時間は、レベルシフタ300及び400に必要な切り替え時間よりも小さいことを意味する。
【0041】
出願人は、先行技術のレベルシフタ300及び400に対してレベルシフタ500のシフト速度を比較するための実験を行った。VDDL=0.94~1.26V、VDDH=1.4~2.75V、及び温度=-40℃~160℃という条件では、Aが0から1に切り替わるとき、レベルシフタ500は3.5倍速く、Aが1から0に切り替わるとき、5.7倍速かった。このように、レベルシフタ500は、その切り替え時間においてレベルシフタ300及び400より少なくとも3.5倍速い。
【0042】
図8は、レベルシフタ500を使用して実施され得るレベルシフト方法800を示す。第1のステップは、第1の電圧領域の入力を受け取るステップであり、第1の電圧領域の「0」は第1の電圧(例えば、0V)であり、第1の電圧領域の「1」は第2の電圧(例えば、1V)である(ステップ801)。第2のステップは、第2の電圧の2倍に等しい切り替え電圧を生成するステップである(ステップ802)。第3のステップは、切り替え電圧を使用して第2の電圧領域の出力を生成するステップであって、第2の電圧領域の「0」は、第1の電圧であり、入力が「0」であるときに生成され、第2の電圧領域の「1」は、第3の電圧(例えば、2.5V)であり、入力が「1」であるときに生成される(ステップ803)。
【0043】
本明細書で使用される場合、「の上方に(over)」及び「に(on)」という用語は両方とも、「に直接」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「に間接的に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「に取り付けられた」は、「に直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「に間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「電気的に結合された」は、「に直接電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にない)、及び「に間接的に電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にある)を含む。例えば、要素を「基板の上方に」形成することは、その要素を基板に直接、中間材料/要素をそれらの間に伴わずに形成すること、及びその要素を基板に間接的に1つ以上の中間材料/要素をそれらの間に伴って形成することを含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8