(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】電圧変換器のための電子基板
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H02M3/155 Y
(21)【出願番号】P 2022514857
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020074981
(87)【国際公開番号】W WO2021044062
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-22
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508021716
【氏名又は名称】ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、アッラール
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル、タロン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-263755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧を第2の電圧に変換するために並列に接続された複数のスイッチングアーム(6)を規定する、回路基板(1)であって、これらの電圧のうちの少なくとも一方がDC電圧であり、前記基板が、
- 並列に接続された前記スイッチングアームを作製するために、中間点の両側に一対で直列に実装された複数の制御可能な電子スイッチ(10)と、
- 複数のデカップリングコンデンサ(11、12)であって、これらのコンデンサ(11)が互いに並列に、および前記DC電圧と並列に接続されている、複数のデカップリングコンデンサ(11、12)と、
-
2つの導電層(16、17、18)であって、これらの導電層のうちの一方(16)が電気的に前記DC電圧の最高電位にあり、これらの導電層のうちの他方(18)が前記DC電圧の最低電位にあり、前記デカップリングコンデンサ(11、12)の各々は一方の端子がこれらの導電層のうちの一方(16)に接続されており、その他方の端子がこれらの導電層のうちの他方(18)に接続されている、2つの導電層(16、17、18)と、
を備え、
前記スイッチングアーム(6)の全ての前記中間点を接続するパターンが、3つ以上の数の辺を有する第1の多角形(P1)を規定するように、前記電子スイッチ(10)が前記基板上に配置されており、前記2つの導電層(16、17、18)の各々が、少なくとも、前記第1の多角形(P1)上に重ねられた面の上方に延
び、
前記第1の電圧および前記第2の電圧がDC電圧であり、前記第1の電圧が、前記第2の電圧よりも大きい、回路基板(1)。
【請求項2】
前記2つの導電層(16、17、18)が、互いに平行に配置されている、請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
スイッチングアームの各制御可能な電子スイッチ(10)が、前記アームの前記中間点に対して前記第1の多角形(P1)の中心から遠い位置、または前記中間点に対して前記第1の多角形(P1)の前記中心に近い位置のどちらかを占有する、請求項1
または2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記デカップリングコンデンサ(11)が、全てのこれらのコンデンサを接続するパターンが第2の多角形(P2)を規定するように前記基板上に配置されて
いる、請求項1
から3のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記第2の多角形が、前記第1の多角形(P1)と同じ種類のものである、請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記第2の多角形(P2)が前記第1の多角形(P1)の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包されているか、または前記第1の多角形(P1)が前記第2の多角形(P2)の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包されている、請求項
4または5に記載の回路基板。
【請求項7】
互いに並列に、および前記第1
の電圧と並列に接続された複数のデカップリングコンデンサ(11)と、互いに並列に、および前記第2
の電圧と並列に接続された複数のデカップリングコンデンサ(12)と、を備え、前記複数のコンデンサのうちの一方(11)が、全てのこれらのコンデンサを接続するパターンが前記第2の多角形(P2)を規定するように前記基板上に配置されており、前記複数のコンデンサのうちの他方(12)が、全てのこれらのコンデンサを接続するパターンが第3の多角形(P3)を規定するように前記基板上に配置されて
いる、請求項
4から6のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項8】
前記第3の多角形が、前記第1および前記第2の多角形と同じ種類のものである、請求項7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記第3の多角形(P3)が前記第1の多角形(P1)の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包されているか、または前記第1の多角形(P1)が前記第3の多角形(P3)の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包されている、請求項
7または8に記載の回路基板。
【請求項10】
前記第2の多角形(P2)が前記第1の多角形(P1)の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包されており、前記第1の多角形(P1)が前記第3の多角形(P3)の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包されている、請求項
7または8に記載の回路基板。
【請求項11】
複数のインダクタ(13)を備え、各インダクタ(13)がスイッチングアーム(6)に関連付けられており、前記アームの前記中間点に電気接続されており、前記インダクタ(13)が、全てのこれらのインダクタを接続するパターンが第4の多角形(P4)を規定するように前記基板上に配置されて
いる、請求項
7から
10のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項12】
前記第4の多角形が、前記第1の多角形と同じ種類のものである、請求項11に記載の回路基板。
【請求項13】
前記第1
の電圧が第1の正電位とグラウンドとの間で定義され、前記第2
の電圧が第2の正電位とグラウンドとの間で定義され、前記基板(1)が、
- 前記第1の電位における第1の導電層(16)と、
- 前記第2の電位における第2の導電層(17)と、
- グラウンドにおける第3の導電層(18)と、
を備え、
前記導電層(16、17、18)のうちの少なくとも2
つが、少なくとも、前記第1の多角形(P1)上に重ねられた面の上方に延びている、請求項
11または12のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項14】
全ての前記導電層が、少なくとも、前記第1の多角形(P1)上に重ねられた面の上方に延びている、請求項13に記載の回路基板。
【請求項15】
前記第1、第2、第3、および第4の多角形のうちの1つが全ての他の多角形を内包し、前記導電層のうちの少なくとも2
つが、少なくとも、全ての他の多角形が内部に配置されたこの多角形上に重ねられた面の上方に延びている、請求項
13または1
4に記載の回路基板。
【請求項16】
全ての前記導電層が、少なくとも、全ての他の多角形が内部に配置されたこの多角形上に重ねられた面の上方に延びている、請求項15に記載の回路基板。
【請求項17】
前記第2の多角形(P2)を規定する前記複数のコンデンサ(11)の各コンデンサは一方の端子が前記第1の導電層(16)に電気接続され、その他方の端子が前記第3の導電層(18)に電気接続されており、前記第3の多角形(P3)を規定する前記複数のコンデンサの各コンデンサ(12)は一方の端子が前記第2の導電層(17)に電気接続され、その他方の端子が前記第3の導電層(18)に電気接続されている、請求項1
3から1
6のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項18】
スイッチングアームが前記回路基板の2つの他のスイッチングアームの間に空間的に介在させられないように配置されている、請求項1に記載の回路基板。
【請求項19】
請求項1から1
8のいずれか一項に記載の回路基板を備える、
DC/DC電圧変換器。
【請求項20】
前記DC/DC電圧変換器が、12V/48V電圧変換器である、請求項19に記載のDC/DC電圧変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、電圧変換器を作製するために、複数のスイッチングアームを規定する回路基板に関する。電圧変換器は、例えば、DC/DC電圧変換器、またはさもなければ、インバータ/整流器である。
【背景技術】
【0002】
このようなスイッチングアームは、従来、トランジスタを採用している。窒化ガリウム(GaN)に基づく、または炭化ケイ素(SiC)に基づく新たなトランジスタ技術は、スイッチング速度の点で以前の技術よりもはるかに高い性能を達成し、これは、より高いチョッピング周波数で動作することを可能にする。
【0003】
スイッチングアームは、DC電圧を、同様にDC電圧であってもよいし、DC電圧でなくてもよい、別の電圧に変換するように構成されている。デカップリングコンデンサがこのDC電圧と並列に接続されており、上述のチョッピング周波数のゆえに、高周波高調波が発生される。デカップリングコンデンサの間の接続内における寄生インダクタンスの存在が、これらの高調波のゆえに、電流共振を発生し得、これは、ことによると、回路基板の構成要素を損傷する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の欠点を克服する回路基板を有することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、この必要を満たすことであり、本発明は、その態様のうちの1つによれば、第1の電圧を第2の電圧に変換するために並列に接続された複数のスイッチングアームを規定する、回路基板であって、これらの電圧のうちの少なくとも一方がDC電圧であり、基板が、
- 並列に接続されたスイッチングアームを作製するために、中間点の両側に一対で直列に実装された複数の制御可能な電子スイッチと、
- 複数のデカップリングコンデンサであって、これらのコンデンサが互いに並列に、およびDC電圧と並列に接続されている、複数のデカップリングコンデンサと、
- 2つの導電層であって、これらの導電層のうちの一方が電気的にDC電圧の最高電位にあり、これらの導電層のうちの他方がDC電圧の最低電位にあり、デカップリングコンデンサの各々は一方の端子がこれらの導電層のうちの一方に接続されており、その他方の端子がこれらの導電層のうちの他方に接続されている、2つの導電層と、
を備え、
電子スイッチが、スイッチングアームの全ての中間点を接続するパターンが、3つ以上の数の辺を有する第1の多角形を規定するように基板上に配置されており、これらの2つの導電層の各々が、少なくとも、第1の多角形上に重ねられた面の上方に延びている、回路基板を用いてそれを行う。
【0006】
本発明に係る回路基板は、一方では、配線導体またはプリント回路基板抵抗トラックではなく、重ねられた導電層を介して作られたデカップリングコンデンサの間の接続、ならびに他方では、整列されていない様態で配置されたスイッチングアームを有する。このようにして、デカップリングコンデンサの間の接続の寄生インダクタンス、およびそれゆえ、上述の電流共振が著しく低減される。加えて、電子スイッチを、スイッチングアームの全ての中間点を接続するパターンが第1の多角形を規定するように基板上に位置付けることは、スイッチングアームとデカップリングコンデンサとの間の実際の距離における不均衡を低減することを可能にし得る。
【0007】
以下の本文全体を通じて、別途明示的に断りのない限り:
- 用語「接続される(connected)」は電気的接続を指し、それに対して、用語「配置される(arranged)」は空間的配置を指す、および
- 2つの多角形は、それらが同数の辺を有するときには、同じ種類のものである。
本発明によれば、全てのスイッチングアームは、空間的に言えば互いに向かい合うように、すなわち、スイッチングアームが回路基板の2つの他のスイッチングアームの間に空間的に介在させられないように配置されている。
【0008】
導電層は互いに平行に配置され得る。
【0009】
各導電層はプレートの形態のものであり得、このプレートは、互いに平行である2つの面の間に延びている。
【0010】
回路基板は、例えば、プリント回路基板である。各デカップリングコンデンサおよび電子スイッチは、例えば、このプリント回路基板の同じ端面上に実装されている。
【0011】
第1および/または第2の導電層はプリント回路基板の内部に配置され得る。導電層のうちの一方は、例えば、プリント回路基板の外面、例えば、上面または下面を規定する層であり、それに対して、他方の導電層は、このプリント回路基板の内部に配置された層である。
【0012】
変形例として、導電層の各々はプリント回路基板の内部に配置されている。
【0013】
別の変形例として、導電層の各々は、プリント回路基板の外面を規定する層であり、これらの層のうちの一方はこのプリント回路基板の上面であり、これらの層のうちの他方はこのプリント回路基板の下面である。
【0014】
なおもプリント回路基板の部分の場合において、ならびに第1および第2の導電層が両方ともプリント回路基板の部分の内部に配置されているときには、出願人によって番号第1903457号の下で2019年4月1日に仏国において出願された出願において開示されているように、これらの2つの導電層はそれらの間に、特に、1nH未満の特定のインダクタンスを有する、高周波コンデンサを規定し得る。
【0015】
第1の導電層は、並列に接続された複数の下位層を含み得る。第1の導電層の一部の下位層のみ、またはこれらの下位層の全てがプリント回路基板の内部に配置されていてもよい。第2の導電層は、並列に接続された複数の下位層を含み得る。第2の導電層の一部の下位層のみ、またはこれらの下位層の全てがプリント回路基板の内部に配置されていてもよい。
【0016】
適切な場合には、回路基板は、第2の導電層の下位層と交互になった第1の導電層の下位層を含んでもよく、このとき、これらの下位層は積層されている。
【0017】
上記の本文全体を通じて、および特に、導電層のうちの少なくとも一方がプリント回路基板の内部に配置されているときには、コンデンサの端子を対応する導電層に電気接続することを可能にするために、1つまたは複数のビアが形成されてもよい。各ビアは、例えば、金属化孔によって、またはレーザビアによって形成される。
【0018】
スイッチングアームの各制御可能な電子スイッチは、上記アームの中間点に対して第1の多角形の中心から遠い位置、または上記中間点に対して第1の多角形の中心に近い位置のどちらかを占有し得る。
【0019】
上記の本文全体を通じて、デカップリングコンデンサは、全てのこれらのコンデンサを接続するパターンが第2の多角形を規定するように基板上に配置され得る。この第2の多角形の辺の数は3つ以上であり得る。
【0020】
デカップリングコンデンサの数はスイッチングアームの数に等しくてもよく、この場合には、第1の多角形および第2の多角形は同じ種類のものである。
【0021】
第2の多角形は第1の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得るか、または第1の多角形は第2の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得る。第2の多角形が全体的に、または部分的に第1の多角形の内部にあるという事実は、この第2の多角形を規定するパターンに関連付けられたデカップリングコンデンサの間の実際の距離を低減することを可能にし得る。この位置は、加えて、一対でのこれらのデカップリングコンデンサの間の相互インダクタンスの値を増大させ得る。
【0022】
本発明の特定の例示的な実装形態によれば、第1の電圧および第2の電圧は両方ともDC電圧であり得る。第1のDC電圧は第2のDC電圧よりも大きいものであり得る。スイッチングアームは、このとき、例えば、
- 48Vの第1の電圧を12Vの第2の電圧に変換し、およびその逆に変換するか、または変換せず、
あるいは
- 300Vよりも大きい値を有する第1の電圧を12Vの第2の電圧に変換し、およびその逆に変換するか、または変換しない。
【0023】
スイッチングアームがDC/DC変換を遂行するときには、複数のデカップリングコンデンサが存在し、これらのコンデンサは互いに並列に、および第1のDC電圧と並列に接続されており、複数のデカップリングコンデンサが存在し、これらのコンデンサは互いに並列に、および第2のDC電圧と並列に接続されており、複数のコンデンサのうちの一方は、全てのこれらのコンデンサを接続するパターンが第2の多角形を規定するように基板上に配置されており、複数のコンデンサのうちの他方は、全てのこれらのコンデンサを接続するパターンが第3の多角形を規定するように基板上に配置されている。第2および第3の多角形は両方とも、3つ以上である、第2および第3の多角形の間で等しい、または等しくない数の辺を有し得る。
【0024】
各々の複数のコンデンサは、スイッチングアームの数に等しい数のコンデンサを含み得、この場合には、第3の多角形、第2の多角形、および第1の多角形は同じ種類のものである。
【0025】
なおも、スイッチングアームがDC/DC変換を遂行するときには、第3の多角形は第1の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得るか、または第1の多角形は第3の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得る。第3の多角形が全体的に、または部分的に第1の多角形の内部にあるという事実は、第3の多角形を規定するパターンに関連付けられたデカップリングコンデンサの間の実際の距離を低減することを可能にし得る。
【0026】
上述の多角形の各々がこれらの多角形のうちの別のものの内部に配置されているときには、制御可能な電子スイッチに対するデカップリングコンデンサの入れ子構成が参照されることになる。
【0027】
なおも、スイッチングアームがDC/DC変換を遂行するときには、第2の多角形は第1の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得、第1の多角形は第3の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得る。第1、第2、および第3の多角形のこのような相対位置は、例えば、1MHzよりも大きい、非常に高いチョッピング周波数のために特に有利であり得る。
【0028】
上記の本文全体を通じて、回路基板は複数のインダクタを備え得、各インダクタはスイッチングアームに関連付けられており、上記アームの中間点に電気接続されている。インダクタは、全てのこれらのインダクタを接続するパターンが第4の多角形を規定するように基板上に配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。変形例として、全てのこれらのインダクタを接続するパターンは線を規定する。
【0029】
インダクタの数はスイッチングアームの数に等しくてもよく、この場合には、第4の多角形は第1の多角形と同じ種類のものである。これらのインダクタは、例えば、デカップリングコンデンサおよび電子スイッチと回路基板の同じ面によって支持される。
【0030】
第4の多角形は第1の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得るか、または第1の多角形は第4の多角形の内部に、もしくは少なくとも大部分はその内部に内包され得る。
【0031】
なおも、スイッチングアームがDC/DC変換を遂行する場合において、第1のDC電圧は第1の正電位とグラウンドとの間で定義されてもよく、第2のDC電圧は第2の正電位とグラウンドとの間で定義されてもよく、回路基板は、このとき、
- 第1の電位における第1の導電層と、
- 第2の電位における第2の導電層と、
- グラウンドにおける第3の導電層と、
を備え、
導電層のうちの少なくとも2つ、第1および第2の導電層、ならびに特に、全ての導電層は、少なくとも、第1の多角形上に重ねられた面の上方に延びているか、あるいは
上記導電層のうちの少なくとも2つ、特に、第1および第2の導電層は、少なくとも、第1の多角形上、および第2の多角形上、および第3の多角形上に重ねられた面の上方に延びている。
【0032】
プリント回路基板の内部における、または他の様態での、または複数の下位層の形態での、第1の導電層の、および第2の導電層の配置に関連して上述された全てのことは、3つの導電層が存在するときに依然として当てはまる。
【0033】
DC電圧は、絶縁されたグラウンドを有してもよく、この場合には、互いに絶縁された2つの第3の導電層が設けられ、一方は第1のDC電圧のグラウンドを形成し、他方は第2のDC電圧のグラウンドを形成する。その場合には、回路基板は、第1のDC電圧のグラウンドを形成する第1の導電層および第3の導電層が重ねられた第1の領域と、第2のDC電圧のグラウンドを形成する第2の導電層および第3の導電層が重ねられた、第1の領域とは別個の、基板の第2の領域を備え得る。
【0034】
3つの導電層が設けられる場合には、第1、第2、第3、および第4の多角形のうちの1つは全ての他の多角形を内包してもよく、導電層のうちの少なくとも2つ、特に、第1および第2の導電層、ならびに特に、全ての導電層は、少なくとも、全ての他の多角形が内部に配置されたこの多角形上に重ねられた面の上方に延びていてもよい。
【0035】
設けられる伝導層の数がいくつであれ、1つの多角形はスイッチングアームのセットの全てのコンデンサ、インダクタ、および制御可能な電子スイッチを内包してもよく、導電層のうちの少なくとも2つ、特に、第1および第2の導電層、ならびに特に、全ての導電層は、少なくとも、この多角形上に重ねられた面の上方に延びていてもよい。3つの導電層が設けられる場合には、第2の多角形を規定する複数のコンデンサの各コンデンサは一方の端子が第1の導電層に電気接続され、その他方の端子が第3の導電層に電気接続されていてもよく、第3の多角形を規定する複数のコンデンサの各コンデンサは一方の端子が第2の導電層に電気接続され、その他方の端子が第3の導電層に電気接続されていてもよい。
【0036】
適切な場合には、同じDC電圧と並列に配置された2つのコンデンサは、それらの対応する端子が反対の仕方で電気接続されていてもよく、すなわち、内容が参照により本出願に組み込まれる、出願番号第1908805号を有する本出願人によって仏国において2019年4月1日に出願された出願の教示によれば、これらの2つのコンデンサのうちの一方はその第1の端子が第1の導電層に電気接続され、その第2の端子が第3の導電層に接続されており、それに対して、これらの2つのコンデンサのうちの他方はその第1の端子が第3の導電層に電気接続され、その第2の端子が第1の導電層に接続されている。
【0037】
上記の本文全体を通じて、各導電層は、例えば、銅プレートである、銅から作製され得る。
【0038】
上記の本文全体を通じて、様々な導電層は互いに空間的に平行に配置され得る。
【0039】
上記の本文全体を通じて、各制御可能スイッチは、窒化ガリウム(GaN)、または炭化ケイ素(SiC)、またはシリコンを用いたトランジスタであり得る。
【0040】
上記の本文全体を通じて、それが、例えば、3つ~6つである、3つ以上であることを条件として、任意の数のスイッチングアームが存在し得る。
【0041】
本発明の、その態様のうちの別のものに係る別の主題は、以上において規定されたとおりの回路基板を備える、電圧変換器、特に、DC/DC電圧変換器、および特に、12V/48Vもしくは12V/300V超の電圧のDC電圧変換器である。
【0042】
変形例として、電圧変換器はインバータ/整流器であり、この場合には、DC電圧は、例えば、12Vの、もしくは48Vの値、または300V超の値を有する。
【0043】
電圧変換器は、AC電圧ネットワークからDC電圧源を充電することを可能にし得る。
【0044】
本発明は、その非限定的な例示的な実装形態の以下の説明を読み、添付の図面を精査することで、より深く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の1つの例示的な実装形態に係る回路基板によって形成された回路の回路図を示す。
【
図2】
図1の実施例に係る回路基板の上面図を示す。
【
図3】
図2の回路基板のIII-IIIに沿った部分断面図である。
【
図4】
図2の回路基板のIV-IVに沿った部分断面図である。
【
図5】
図2と同様に、本発明の他の例示的な実装形態に係る回路基板を示す。
【
図6】
図2と同様に、本発明の他の例示的な実装形態に係る回路基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明の1つの例示的な実装形態に係る回路基板1によって支持された電気回路を示す。この回路基板1は、本事例では、考慮中の実施例ではDC/DC電圧変換器である、電圧変換器の部分を形成する。それは、例えば、12V/48V電圧変換器であるが、本発明はこのような例に限定されない。回路基板1は、本事例では、プリント回路基板である。
【0047】
周知の様態において、電圧変換器は、本事例では、第1のDC電圧入力4、第2のDC電圧入力5、ならびに第1のDC電圧入力4における電圧値を、第2のDC電圧入力5において利用可能な別の電圧値に、およびその逆に変換することを可能にする複数のスイッチングアーム6を含む。スイッチングアーム6の数は3つ以上であり、本事例では、3つにちょうど等しい。
【0048】
各スイッチングアーム6は、考慮中の実施例では、直列に接続された2つの制御可能な電子スイッチ10を含み、2つの制御可能な電子スイッチ10は、第2の電圧入力5に接続されたそれらの間の中間点を規定する。
【0049】
各制御可能スイッチ10は、本事例では、例えば、窒化ガリウム、炭化ケイ素、またはシリコンを用いた、MOSFETである。
【0050】
電子構成要素1は、
- 第1の複数のデカップリングコンデンサ11であって、これらのコンデンサ11が全て、並列に、およびスイッチングアーム6と並列に接続されている、第1の複数のデカップリングコンデンサ11と、
- 第2の複数のデカップリングコンデンサ12であって、これらのコンデンサが全て、並列に、および第2のDC電圧入力5と並列に接続されている、第2の複数のデカップリングコンデンサ12と、
をさらに備える。
【0051】
コンデンサ11およびコンデンサ12は、例えば、同じ種類のもの、すなわち、特に、ケミカルコンデンサまたはセラミックコンデンサである。
【0052】
図1において、電気回路は複数のインダクタ13をさらに備え、各インダクタはスイッチングアーム6に関連付けられており、それが関連付けられたアーム6の中間点と第2のDC電圧の最高電位との間に電気接続されていることがさらに観察され得る。
【0053】
考慮中の実施例では、コンデンサ12が存在するのと、およびインダクタ13が存在するのと同数のコンデンサ11が存在し、この共通の値はスイッチングアーム6の数に等しい。しかし、本発明は上述の構成要素のためのこのような共通の値に限定されない。
【0054】
図2において見られ得るように、コンデンサ11、コンデンサ12、インダクタ13、および制御可能な電子スイッチ10は、考慮中の実施例では、回路基板1の外面15上に実装されている。
【0055】
回路基板1は、
図2の実施例では、それぞれ、
- 「第1の正電位」とも呼ばれ、本事例では48Vである、第1のDC電圧の最高電位における第1の導電層16、
- 「第2の正電位」とも呼ばれ、本事例では12Vである、第2のDC電圧の最高電位における第2の導電層17、ならびに
- グラウンドにおける第3の導電層18であって、このグラウンドは、本事例では、第1のDC電圧と、および第2のDC電圧と共通である、第3の導電層18、
である、3つの導電層を受容する。
【0056】
説明されない一変形例では、第1のDC電圧および第2のDC電圧は、絶縁されたグラウンドを有し、この場合には、互いに接続されていない2つの第3の導電層18が設けられ、これらの第3の導電層のうちの一方は第1のDC電圧のグラウンドを形成し、これらの第3の導電層のうちの他方は第2のDC電圧のグラウンドを形成する。
【0057】
コンデンサ11は各々、
図3に示されるように、考慮中の実施例では、一方の端子が第1の導電層16に電気接続され、一方の端子が第3の導電層18に電気接続されており、図において、第2の導電層17は、図面を明瞭にするために省略された。
【0058】
コンデンサ12は各々、
図4に示されるように、考慮中の実施例では、一方の端子が第2の導電層17に電気接続され、一方の端子が第3の導電層18に電気接続されており、図において、第1の導電層16は、図面を明瞭にするために省略された。
【0059】
考慮中の実施例では、第1の導電層16は、第2の導電層17が延びた平面と平行であり、第3の導電層18が延びた平面とも平行である平面内に延びていることが観察され得る。これらの層16、17、および18の各々は、本事例では、銅プレートによって形成されている。これらの層16、17、および18の各々はまた、回路基板1の内部に配置されており、コンデンサ端子は、本事例では、金属化孔であるビア19を用いて、対応する導電層に接続されている。
【0060】
これより説明される実施例では、スイッチングアーム6、ひいてはそれらの電子スイッチ10は、スイッチングアーム6の全ての中間点を接続するパターンが、3つ以上の数の辺を有する第1の多角形P1を規定するように基板1上に配置されており、各導電層16、17、および18は、少なくとも、第1の多角形上に重ねられた面の上方に延びている。
【0061】
図2の実施例では、この第1の多角形は三角形であり、それに対して、それは、
図5および
図6の実施例では、四辺形である。
【0062】
図2において、所与のスイッチングアーム6について、制御可能な電子スイッチ10のうちの一方は第1の多角形P1の外部に配置されており、それに対して、他方の制御可能な電子スイッチ10はこの第1の多角形P1の内部に配置されていることが観察され得る。
【0063】
また、第1のDC電圧入力4に関連付けられたコンデンサ11は、全てのこれらのコンデンサ11を接続するパターンが第2の多角形P2を規定するように基板1上に配置されており、この第2の多角形P2は、本事例では、三角形であることも観察され得る。
【0064】
図2において、この第2の多角形P2は第1の多角形P1の内部に配置されていることが観察され得る。
【0065】
なおも
図2の実施例において、第2のDC電圧入力5に関連付けられたコンデンサ12は、全てのこれらのコンデンサ12を接続するパターンが第3の多角形P3を規定するように基板1上に配置されており、この第3の多角形P3も、本事例では、三角形である。
図2において、第3の多角形P3は、いくつかの部分では、第1の多角形P1の内部に、および他の部分では、この第1の多角形P1の外部に延びていることが観察され得る。
図2の実施例では、第3の多角形P3は大部分は第1の多角形P1の内部に延びている。
【0066】
加えて、
図2の実施例では、インダクタ13は、全てのこれらのインダクタ13を接続するパターンが第4の多角形P4を規定するように基板1上に配置されており、第4の多角形もまた、本事例では、三角形である。この第4の多角形は、いくつかの部分では、第1の多角形P1の内部に、およびいくつかの部分では、この多角形P1の外部に延びていることが観察され得る。
【0067】
導電層16、17、および18の各々は、上述された実施例では、基板の構成要素10、11、12、および13が配置されている多角形P5上に重ねられた面の上方に延びており、全ての多角形P1~P4はこの多角形P5の内部に配置されている。
【0068】
図5および
図6の実施例では、4つのスイッチングアーム6が存在し、4つのコンデンサ11が第1のDC電圧入力4に関連付けられており、4つのコンデンサ12および4つのインダクタ13が第2のDC電圧入力5に関連付けられている。
【0069】
本事例では四辺形である、第1の多角形P1、第2の多角形P2、第3の多角形P3、および第4の多角形P4の存在がここでも観察され得る。
【0070】
図5の実施例では、第1のDC電圧入力4に関連付けられたコンデンサ11に関連する、第2の多角形P2は第1の多角形P1の内部に配置されており、この第1の多角形P1自体は、インダクタ13に関連する、第4の多角形P4の内部に配置されており、この第4の多角形P4は、第2のDC電圧入力5に関連付けられたコンデンサ12に関連する、第3の多角形P3の内部に配置されている。コンデンサ11をできるだけ内部に位置付けることは、一対でのこれらのコンデンサ11の間の相互インダクタンスの値を増大させることを可能にする。
【0071】
図6は、多角形P1~P3が同じく四辺形である、別の例示的な回路基板1を示す。上記の実施例とは対照的に、インダクタ13は、多角形を規定するパターンによるのではなく、線によって接続されている。加えて、多角形P1、P2、およびP3はどれも別の多角形の内部に内包されておらず、多角形P1は多角形P2と部分的に重なっており、多角形P3は多角形P1および多角形P2の両方と部分的に重なっていることが観察され得る。また、
図6では、安全トランジスタ20が回路基板1によって支持されていることも観察され得る。
【0072】
本発明は、説明された実施例だけに限定されない。