(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】テキスタイル複合材料及び履物
(51)【国際特許分類】
B32B 5/02 20060101AFI20231107BHJP
B32B 5/08 20060101ALI20231107BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20231107BHJP
A43B 23/06 20060101ALI20231107BHJP
A43B 7/12 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B32B5/02 C
B32B5/08
A43B23/02 101A
A43B23/06
A43B7/12
(21)【出願番号】P 2022522285
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020078808
(87)【国際公開番号】W WO2021074169
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/077787
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391018178
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アンブロージウス バウアー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン プフィスター
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン シラー
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-314087(JP,A)
【文献】特表2016-532787(JP,A)
【文献】米国特許第05277969(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0002273(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
A43B 23/02
A43B 23/06
A43B 7/12
D06N 1/00-7/06
D06M 17/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)マイクロファイバをベースとするポリマー層、
b)上記
a)とc)との間にある中間不織布層、及び、
c)ポリマーバリア層、
を含むテキスタイル複合材料であって、
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、繊維あたり1デシテックス以下であり、ポリウレタンキャリア材料と組み合わされた10μm未満の直径を有する合成ポリアミドマイクロファイバを含
み、
前記複合材料は、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層が火炎接触表面を形成している状態で、DIN EN 15025:2017に従って火炎試験に合格する、テキスタイル複合材料。
【請求項2】
前記ポリマーバリア層は、フルオロポリマー材料、ポリウレタン材料、ポリオレフィン材料又はポリエステル材料を含むか、又は前記ポリマーバリア層は、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜又は発泡ポリエチレン膜を含む、請求項1記載のテキスタイル複合材料。
【請求項3】
前記ポリマーバリア層はポリオレフィン材料を含み、そして前記ポリオレフィン材料はポリエチレン又はポリプロピレンを含む、請求項
1記載のテキスタイル複合材料。
【請求項4】
前記ポリマーバリア層は、多孔質膜又は非多孔質膜である、請求項1又は2記載のテキスタイル複合材料。
【請求項5】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は多孔質ポリウレタンを含む、請求項1~4のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項6】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層の外面は
、表面コーティングをさらに
含む、請求項1~5のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項7】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、撥水処理剤及び難燃処理剤の一方又は両方を含
む、請求項1~6のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項8】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、250g/m
2を超える、300g/m
2を超える、又は、350g/m
2を超える重量を有する、請求項1~7のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項9】
前記中間不織布層は、0.6mmを超える厚さを有
する、請求項1~8のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項10】
前記中間不織布層は、複数の層を含むラミネートであ
る、請求項1~9のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項11】
前記複合材料は、500g/m
2を超える、600g/m
2を超える、700g/m
2を超える、800g/m
2を超える、又は900g/m
2を超える重量を有する、請求項1~10のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項12】
前記複合材料は1500g/m
2以下の重量を有する、請求項1~11のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項13】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、粒子が前記マイクロファイバをベースとするポリマー層の表面に実質的に侵入しないように、閉じた外面を含む外層であ
る、請求項1~
12のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項14】
前記テキスタイル複合材料は保護層をさらに含み、前記保護層は前記中間不織布層の反対側で前記ポリマーバリア層に取り付けられている、請求項1~
13のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項15】
履物、手袋、フード、ヘッドカバー、ズボン及びジャケットを含む衣服、オーバーオール及びそれらの組み合わせのいずれかのための外側材料である、請求項1~
14のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項16】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、外部環境に面する外層である、請求項1~
15のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料を含む履物。
【請求項17】
内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングを含
む、請求項
16記載の履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、テキスタイル複合材料及び該テキスタイル複合材料を含む履物アッパー、特に、極端な熱、炎、液体、粒子及び摩耗からの使用者の保護を提供するために必要とされる履物に使用される履物アッパー、ならびに外側材料としてのテキスタイル複合材料を含む衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
保護複合材料、例えばテキスタイル複合材料、該テキスタイル複合材料を含む履物アッパー、履物及び衣服は、危険な環境からの保護のためにしばしば着用され、より具体的には、極端な熱、炎、液体、粒子及び摩耗からの保護のために消防士が着用するそのような履物である。
【0003】
保護履物は、着用者を様々な環境上の危険から保護するように設計されており、消防士履物はそのような保護履物の代表的なものである。
【0004】
消防士がしばしば着用する保護履物は、典型的に、履物アッパーが必要な十分なレベルの保護を提供することを確保するために、重くかつ厚い革製アッパーを含む。そのような保護履物の革製アッパーの重量及び厚さにより、履物が重く、可撓性がなく、使用者にとって不快になる可能性がある。さらに、使用中に、革製アッパーは水を受け取り又は吸収する可能性があり、それによって履物の重量が増加し、それに応じて、濡れたより重い履物を着用して作業するために使用者に必要とされる負担及び労力がさらに増加する。使用後に、湿った履物は、典型的に、履物を元の状態に戻すために長い乾燥時間を必要とし、その結果、履物が使用できなくなる期間が長くなる。
【0005】
さらに、使用中に、革製アッパーは、煙の中の粒子などの粒子が履物の内部に侵入し、着用者を潜在的に危険な粒子にさらすことを可能にする。
【0006】
革製アッパーはまた、レザースキンが連続生産プロセスで使用できない不規則な形状及び限られたサイズであるため、履物アッパーの製造に制限を提示する。しかしながら、提案されている代替の合成履物アッパーは、革製アッパーと比較して耐久性が低下している可能性があり、粒子及び極度の熱に対する保護が低下している可能性がある。
【0007】
したがって、保護テキスタイル複合材料、テキスタイル複合材料を含むアッパー材料、及びアッパー材料を含む履物であって、熱及び炎及び粒子侵入に対する良好なレベルの保護を提供すると同時に、改善された可撓性及び軽量化を提供し、低い水吸収性及び短縮された乾燥時間を有するものが必要である。また、天然皮革をベースにせず、履物靴型上で取り扱いがしやすいように十分に薄くかつ十分にしなやかであるようにして、履物の連続製造プロセスで使用できる保護アッパー材料も必要である。
【発明の概要】
【0008】
要旨
第一の態様において、本開示は、a)マイクロファイバをベースとするポリマー層、b)中間不織布層及びc)ポリマーバリア層を含むテキスタイル複合材料に関する。
【0009】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、繊維あたり1デシテックス以下であり、ポリウレタンキャリア材料と組み合わされた10μm未満の直径を有する合成ポリアミドマイクロファイバ又はポリエステルマイクロファイバを含むことができる。
【0010】
前記テキスタイル複合材料は、合成アッパー材料及び該合成アッパー材料を含む履物に特に有用である。前記テキスタイル複合材料は、材料a)及びb)自体ではDIN EN 15090に基づいて耐着火性ではない材料a)及びb)を使用しているにもかかわらず、DIN EN 15090によって測定したときに耐着火性がある。前記テキスタイル複合材料は、ホースの水及び気候などの環境源からの水に忌避性があり、湿気にさらされることで最小限の重量増加を示すことができ、使用の合間にすばやく乾燥する効果的な能力を有する。さらに、本開示は、移動性が改善され(例えば、比較的に薄くかつ軽量のテキスタイル複合材料)、液体侵入に対する耐性、性能の耐久性、及び着用と脱衣の容易性を備え、DIN EN 15090の非着火要件を満たす又は超える能力を有する履物、特に消火用履物の構築を可能にする。
【0011】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、前記中間不織布層に取り付けられることができる。前記中間不織布層は、前記ポリマーバリア層に取り付けられることができる。
【0012】
前記テキスタイル複合材料は比較的に軽量であることができる。例えば、テキスタイル複合材料は、標準的な革製アッパーと比較したときに、単位面積あたりの坪量が半分以下であることができる。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記ポリマーバリア層は、フルオロポリマー材料、ポリウレタン材料、ポリオレフィン材料又はポリエステル材料を含むことができる。幾つかの実施形態において、前記ポリオレフィン材料はポリエチレン又はポリプロピレンを含むことができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記ポリマーバリア層は、多孔質膜又は非多孔質膜であることができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、ポリアミド繊維又はポリエステル繊維を含むことができる。前記マイクロファイバをベースとするポリマー層はポリウレタンを含むことができる。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層の外面は、表面コーティングをさらに含む。表面コーティングは視覚的構造を有することができる。表面コーティングは多孔質コーティングであることができる。表面コーティングはポリウレタンを含むことができる。表面コーティングは多孔質ポリウレタンを含むことができる。
【0017】
幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、撥水処理剤及び難燃処理剤の一方又は両方を含むことができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、0.6mm~1.8mmの厚さを有することができる。
【0019】
幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、250g/m2を超える重量を有することができる。前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、300g/m2を超える重量を有することができる。前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、350g/m2を超える重量を有することができる。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記中間不織布層は、0.6mmを超える厚さを有することができる。前記中間不織布層は、0.6~2.0mmの厚さを有することができる。
【0021】
幾つかの実施形態において、前記中間不織布層は、70g/m2を超える重量を有することができる。前記中間不織布層は、70g/m2~700g/m2の重量を有することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、前記中間不織布層は、ポリエステル、ポリアミド、メラミン、炭素繊維、酸化ポリアクリロニトリル(PAN)又はアラミドを含むことができる。
【0023】
幾つかの実施形態において、前記中間不織布層は、撥水処理剤及び難燃処理剤の一方又は両方を含む。
【0024】
幾つかの実施形態において、前記中間不織布層は、複数の層を含むラミネートであることができる。前記中間不織布層は二層ラミネートであることができる。二層ラミネートは、同じ材料又は異なる材料を含むことができる。
【0025】
幾つかの実施形態において、火炎接触面を形成するマイクロファイバをベースとするポリマー層を備えたテキスタイル複合材料は、DIN EN 15025:2017による火炎試験に合格することができる。したがって、火炎試験中に、テキスタイル複合材料に適用された火炎は、マイクロファイバをベースとするポリマー層に接触する。
【0026】
幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、粒子、例えば煙粒子などの汚染粒子がマイクロファイバをベースとするポリマー層の表面に実質的に侵入しないように、閉じた外面を含む外層であることができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、前記テキスタイル複合材料は、500g/m2を超える、600g/m2を超える、700g/m2を超える、800g/m2を超える、又は900g/m2を超える重量を有することができる。前記テキスタイル複合材料は、500g/m2~1500g/m2の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、600g/m2~1500g/m2の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、700g/m2~1500g/m2の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、800g/m2~1500g/m2の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、900g/m2~1500g/m2の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、500g/m2~1000g/m2の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、500g/m2~900g/m2の重量を有することができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、前記テキスタイル複合材料は保護層をさらに含むことができる。前記保護層は、前記中間不織布層とは反対側にある前記ポリマーバリア層に取り付けられることができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、粒子は、テキスタイル複合材料の厚さに実質的に侵入することができない。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記テキスタイル複合材料は、以下の1つ以上:履物、手袋、ヘッドカバー、フード、ズボン及びジャケットを含む衣服、オーバーオール、及びそれらの組み合わせのための外側材料であることができる。
【0031】
前記テキスタイル複合材料が履物のためのアッパー材料である幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、外部環境に面する履物の外層であることができる。前記履物は、内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングを含むことができる。内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングは、ブーティの形をとることができる。内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングは、取り外し可能なブーティであることができる。したがって、ブーティは履物から取り外すことができる。例えば、ブーティと履物のテキスタイル複合材料とを別々に洗浄することを可能にするために、使用後に履物からブーティを取り外すことができる。ブーティは、製造プロセス中に形成されるシームを含むことができる。シームはシールされていることができる。シームは、シール要素でシールされうる。例えば、シール要素は、シールテープ、シール接着剤又は他のシーリング剤であることができる。
【0032】
典型的に、前記アッパーは履物のシールされた表面を形成し、粒子及び他の汚染物質が履物に侵入するのを防ぐ。ブーティを含む実施形態において、ブーティ及びアッパーは、粒子及び汚染物質が侵入し、それにより、使用中に着用者の足に接触することを防止することができる。
【0033】
本開示はまた、従来の革製履物と比較して着用者に低熱応力で同じ品質を提供し、蒸発輸送に対する低い抵抗性を提供する消防履物などの履物を含む保護衣服の構築を可能にする。特に、構築物の層は、Retによって測定して、50m2Pa/W未満、又は25m2Pa/W未満の蒸発輸送に対する抵抗を提供することができる。
【0034】
幾つかの実施形態において、マイクロファイバをベースとするポリマー層は、マイクロファイバもしくはマイクロファイバの束又はそれらの組み合わせを含むテキスタイル構造を含むことができ、ここで、マイクロファイバもしくはマイクロファイバの束は、ポリマーキャリア材料、例えば、ミクロポーラス又は発泡ポリマーキャリア層によって少なくとも部分的に包囲されている。幾つかの実施形態において、テキスタイル構造は、マイクロファイバテキスタイル構造を少なくとも部分的に含浸するポリマーキャリア材料をさらに含む、絡み合った又は織り合わされたマイクロファイバもしくはマイクロファイバの束であることができる。他の実施形態において、テキスタイル構造は、マイクロファイバテキスタイル構造を少なくとも部分的に含浸するポリマーキャリア材料をさらに含む、ランダム配向された又は非ランダム配向されたマイクロファイバもしくはマイクロファイバの束のシートであることができる。1つの実施形態において、マイクロファイバテキスタイル構造は、ポリマーキャリア材料に完全に埋め込まれている。
【0035】
前記ポリマーキャリア材料は、マイクロファイバもしくはマイクロファイバの束を少なくとも部分的に取り囲むか又はそれに侵入するポリマー、又は、マイクロファイバ間の空隙の少なくとも一部に侵入するポリマーを含むことができる。前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、前記ポリマーキャリア材料内に埋め込まれたマイクロファイバもしくはマイクロファイバの束を含むことができる。
【0036】
幾つかの実施形態において、前記ポリマーキャリア材料は、ポリマー樹脂、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、又は、それらのコポリマー又はブレンドを含むことができる。さらに別の実施形態において、前記ポリマーキャリア材料は、ミクロポーラスポリマーであるか、又はポリマーフォームである。幾つかの実施形態において、ポリマー樹脂はポリウレタン材料を含む。他の実施形態において、前記ポリマーキャリア材料は、ミクロポーラスポリウレタン又はポリウレタンフォームであることができる。代替の実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、前記ポリマーキャリア材料、例えば、発泡ポリマーキャリア材料内に部分的に埋め込まれている。
【0037】
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、コーティングをさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、前記ポリマーキャリア材料から作られた少なくとも1つの表面コーティングを含む。前記コーティングは、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層の表面をシールすることができ、場合により、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層にテクスチャー加工された表面を提供するためにエンボス加工することができる。したがって、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層への、又は前記マイクロファイバをベースとするポリマー層を横切る粒子の侵入を制限するのを助けることができるシールされた表面を有することができる。幾つかの実施形態において、前記表面コーティングはポリウレタンを含む。前記表面コーティングは、革の外観のような特定の表面構造を作成するために処理されうる。
【0038】
本開示の履物アッパー用の比較的に薄いテキスタイル複合材料(例えば、厚さ3.5mm未満)は、所与の厚さの標準革製履物アッパーと比較したときに、実質的に同等の耐火性であり、粒子及び熱放射に対して実質的に同等の耐性であり、また、可撓性があることが見出された。テキスタイル複合材料はインシュレーティング特性を有することができる。
【0039】
前記テキスタイル複合材料はまた、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層に取り付けられた中間不織布層を含み、前記テキスタイル複合材料の耐久性及び難燃性を改善する。前記中間不織布層はインシュレーティング特性を有することができる。
【0040】
前記中間不織布層は、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層に支持、強度、断熱又はそれらの組み合わせを提供することができる。実施形態において、前記中間不織布層は補強層及び強化層であることができる。前記中間不織布層は、前記アッパー材料を横切る熱の輸送を低減するために、前記アッパー材料に断熱性を提供することができる。結果として、前記中間不織布層を含むテキスタイル複合材料は断熱性を提供して、それによって、前記テキスタイル複合材料を横切る熱の輸送を低減することができる。例えば、前記テキスタイル複合材料を含む履物において、前記中間不織布層は、履物の外側から履物の内部への熱の伝達を低減することができる。したがって、履物内の使用者の足は、極度の熱から少なくとも部分的に保護されうる。
【0041】
前記テキスタイル複合材料はポリマーバリア層をさらに含む。好ましい実施形態において、前記ポリマーバリア層はフルオロポリマーを含むことができる。前記ポリマーバリア層はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。前記ポリマーバリア層は多孔質ポリマーを含むことができる。前記ポリマーバリア層は多孔質フルオロポリマーを含むことができる。例えば、前記ポリマーバリア層は、延伸(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)PTFE(ePTFE)などの膨張(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)フルオロポリマーを含むことができる。幾つかの実施形態において、ポリマーバリア層は、多孔質ポリマー、例えば、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、シリコン含有ポリマーもしくはコポリマー、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、前記ポリマーバリア層を他の材料と組み合わせて、履物アッパー内又は衣服内の他の層から分離可能な複合材層を含む分離可能な構成要素を形成することができる。これらの分離可能な構成要素は、一般に、それらの表面の大部分にわたって互いに結合されていないが、縁、周囲又は離散ポイント、例えば、シームで一緒に取り付けられていることがある。代替の実施形態において、分離可能な構成要素は、例えば、フックアンドループファスナ、ボタン、スナップ又はそれらの組み合わせを使用することによって、衣服の他の構成要素に取り外し可能に取り付けることができる。1つの例として、前記テキスタイル複合材料は、1つ以上のスナップ又はボタンを使用することによってインナーライニングに取り外し可能に取り付けられるジャケットの最外層を含むことができる。
【0043】
本明細書に開示されるテキスタイル複合材料は、0.6mm~3.5mmの範囲の厚さを有することができる。前記テキスタイル複合材料は、1.0mm~3.5mmの範囲の厚さを有することができる。前記テキスタイル複合材料は、1.2mm~3.5mmの範囲の厚さを有することができる。
【0044】
前記テキスタイル複合材料は、組み立て後に圧縮されうる。したがって、前記テキスタイル複合材料は、圧縮前のテキスタイル複合材料の各層の厚さの合計よりも薄い厚さを有することができる。
【0045】
本明細書に開示されるテキスタイル複合材料は、550g/m2~1300g/m2の範囲の重量を有することができる。
【0046】
上記の実施形態のいずれにおいても、本明細書に開示されるテキスタイル複合材料は、典型的には、DIN EN 15025:2017に従って難燃性である。
【0047】
上記の実施形態のいずれにおいても、本明細書に開示されるテキスタイル複合材料は、以下に説明されるような水蒸気透過度(MVTR)試験に従って水蒸気透過性である。
【0048】
第二の態様によれば、第一の態様のテキスタイル複合材料を含む履物が提供され、前記履物の履物アッパーはテキスタイル複合材料を含む。「履物アッパー」という用語は前記テキスタイル複合材料が、履物アッパーを形成する最外材料として少なくとも部分的に使用されることを意味し、ここで、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は履物アッパーの外面を形成し、前記ポリマーバリア層は履物アッパーの内面を形成する。
【0049】
第三の態様によれば、第一の態様のテキスタイル複合材料を含む衣服が提供され、ここで、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は少なくとも部分的に外部衣服表面を形成し、前記ポリマーバリア層は少なくとも部分的に内部衣服表面を形成している。
【0050】
前記衣服は、ジャケット、ズボン、手袋、フード、ヘッドカバー及びオーバーオールを含む群から選ばれることができる。
【0051】
前記履物アッパーは、外側テキスタイル層を含むことができる。外側テキスタイル層は、難燃性綿、モダクリルブレンド、ポリエステル、ポリアミド、高靭性ポリエステル又はそれらの混合物を含む天然又は合成繊維を含むことができる。テキスタイルは、商品名NOMEX(登録商標)アラミド繊維、KEVLAR(登録商標)アラミド繊維又はKERMEL(登録商標)アラミド繊維として提供されるものなどのアラミド繊維を含む難燃性繊維、革又はゴムを含むことができる。テキスタイルは、織られていても又は編まれていてもよい。
【0052】
第四の態様によれば、履物アッパー及び取り外し可能なブーティを含む履物が提供され、前記履物アッパーはテキスタイル層を含む。取り外し可能なブーティは、使用後に履物から取り外して、履物のブーティとテキスタイル複合材料との別々の洗浄を可能にすることができる。前記ブーティは、製造プロセス中に形成されるシームを含むことができる。前記シームはシールされていることができる。シームは、シール要素でシールすることができる。例えば、シール要素は、シールテープ、シール接着剤又は他のシーラントであることができる。
【0053】
前記取り外し可能なブーティは、内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングを備えることができる。前記取り外し可能なブーティの内側に、水蒸気透過性の機能性ライニングを設けることができる。前記取り外し可能なブーティは、テキスタイル支持層をさらに含むことができる。前記取り外し可能なブーティは耐液性膜を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図面の簡単な説明
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、非限定的な例として記載する。
【0055】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による履物アッパーの概略断面図である。
【0056】
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による履物アッパーの概略断面図である。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【
図6】
図6は、ポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスの断面のSEMである。
【0061】
【
図7】
図7は、履物アッパー、ソール及びブーティを含む靴の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態の製造及び使用が以下で詳細に論じられるが、本発明は、多種多様な特定の状況で具体化することができる多くの適用可能な発明の概念を提供することを理解されたい。本明細書で論じられる特定の実施形態は、本発明を製造及び使用するための特定の方法の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0063】
本発明の理解を容易にするために、幾つかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解されるような意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単一のもののみを指すことを意図したものではなく、特定の例を例示に使用できる一般的なクラスを含む。本明細書の用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲に概説される場合を除いて、本発明を限定するものではない。
【0064】
本明細書で使用されるときに、「液体水耐性膜」という用語は、0.5psiを超えるSuter静水圧試験機によって測定して、最小の液体水耐性を有する膜又はフィルムを含む層を指す。幾つかの実施形態において、液体水耐性膜は、4psiを超える、あるいは10psiを超える、あるいは20psiを超える、Suter静水圧試験機によって測定して液体水耐性を有する。
【0065】
本開示は、a)マイクロファイバをベースとするポリマー層を、b)中間不織布層に取り付けられ、そしてc)ポリマーバリア層に取り付けられて含む、テキスタイル複合材料に関する。衣服、例えば、履物アッパーの一部として使用されるときに、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は衣服の最外層を構成する。衣服及び/又は履物アッパーの一部として、前記ポリマーバリア層は、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層よりも着用者に近い層であり、中間不織布層は、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層と前記ポリマーバリア層との間にある。
【0066】
「マイクロファイバをベースとするポリマー層」という用語は、ポリマーキャリア材料と組み合わされた非常に微細な合成マイクロファイバ/ヤーンから実質的に作られたマイクロファイバテキスタイル層を意味する。マイクロファイバは、個々のマイクロファイバであることができ、マイクロファイバの束であることができ、又は、個々のマイクロファイバとマイクロファイバの束の両方の組み合わせであることができる。マイクロファイバは、マイクロファイバフィラメントの場合には、長さが数ミリメートルから本質的に無限に変化することができ、マイクロファイバは、ほぼすべてのパターン、例えば、ランダムパターン、非ランダムパターン又はテキスタイル形態でレイダウンされうる。典型的には、マイクロファイバの幾つかの層は、マイクロファイバの層を形成し、マイクロファイバをベースとするポリマー層に厚さを提供するために、重ね合わせて配置される。次に、マイクロファイバをベースとするポリマー層を作製するために、マイクロファイバの層をポリマーキャリア材料でコーティングすることができ、そしてポリマーキャリア材料を場合により発泡させることができる。ポリマーキャリア材料は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル又はそれらのコポリマー又は組み合わせであることができる。幾つかの実施形態において、ポリマー樹脂は、ポリウレタン樹脂、発泡ポリウレタン樹脂又はミクロポーラスポリウレタン樹脂であることができる。マイクロファイバのコーティングは、既知のコーティングプロセス、例えば、トランスファーコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、スプレーコーティング、ホットメルトコーティング、押出コーティング又はローラコーティングのいずれかによって実施することができる。幾つかの実施形態において、マイクロファイバテキスタイル層は、ポリマーキャリア材料、例えば、ポリウレタン樹脂の溶液に沈められる。マイクロファイバテキスタイル層とポリマー溶液の混合物を凝固させて溶媒を除去し、ミクロポーラスポリマーキャリアを形成することができる。他の実施形態において、マイクロファイバをコーティングするポリマーキャリア材料を発泡させて、ポリマーキャリア材料に細孔を導入することができる。他の実施形態において、マイクロファイバテキスタイル層とポリウレタン樹脂との複合材料は、マイクロファイバテキスタイル層の片面又は両面に適用されたポリウレタン樹脂の薄いトップコートを含むことができる。ポリウレタン樹脂の薄いトップコートを機械的に処理して、マイクロファイバをベースとするポリマー層にテクスチャー加工された表面を形成することができる。さらに別の実施形態において、ポリマーキャリア材料は、水蒸気透過性(通気性)であることができる。
【0067】
「マイクロファイバ」という用語は、1デシテックス/ファイバ以下で直径が10マイクロメートル未満である非常に微細な合成繊維/ヤーンを指す。適切なマイクロファイバは、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン、TROGAMID(登録商標)ポリアミド、Evonik, Essen, Germanyから入手可能)、又はポリエステルとポリアミドのマイクロファイバの組み合わせから作ることができる。
【0068】
マイクロファイバをベースとするポリマー層は、マイクロファイバ、マイクロファイバの束、又はそれらの組み合わせを含むことができる。マイクロファイバは、テキスタイルの形態であることができ、マイクロファイバは、織られ、編まれ、不織布又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、マイクロファイバをベースとするポリマー層はポリアミド繊維を含むことができる。ポリアミド繊維は、ナイロンなどの脂肪族ポリアミドを含むことができる。
【0069】
幾つかの実施形態において、マイクロファイバをベースとするポリマー層は、1.8ミリメートル(mm)以下の厚さを有することができる。幾つかの実施形態において、マイクロファイバをベースとするポリマー層は、1.6mm、1.4mm、1.3mm、1.2mm、1.1mm又は1.0mm以下の厚さを有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、0.9mm以下の厚さを有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、約0.6mm~1.8mmの厚さを有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、約0.6mm~1.3mmの厚さを有することができる。例えば、マイクロファイバをベースとするポリマー層は、約0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4又は1.5mm又はそれらの間の値の厚さを有することができる。
【0070】
マイクロファイバをベースとするポリマー層は、平方メートルあたり250グラム(g/m2)以上の重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、300g/m2を超える重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、350g/m2を超える重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、400g/m2を超える重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、450g/m2を超える重量を有することができる。さらに別の実施形態において、マイクロファイバをベースとするポリマー層は、250g/m2~1000g/m2の重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、300g/m2~1000g/m2の重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、300g/m2~750g/m2の重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、300g/m2~500g/m2の重量を有することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、350g/m2~450g/m2の重量を有することができる。
【0071】
マイクロファイバをベースとするポリマー層は可燃性層であることができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、DIN EN 15090の着火要件を満たさないことがある。マイクロファイバをベースとするポリマー層の耐着火性を改善するために及び/又は他の有益な特性を提供するために、マイクロファイバをベースとするポリマー層を処理することができる。例えば、処理は撥水性を提供することができ、及び/又はマイクロファイバをベースとするポリマー層に耐着火性を提供することができる。マイクロファイバをベースとするポリマー層は、撥水性コーティング及び耐着火性コーティングの一方又は両方をさらに含むことができる。適切な撥水性コーティングは、例えば、フルオロケミカル又はフルオロポリマーベースのコーティング、シリコン含有コーティング、又はそれらの組み合わせを含むことができる。耐火性コーティングは、例えば、メラミン、ホスフェート、ポリホスフェート、メラミン-ポリホスフェート、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを含む既知の耐着火性コーティング、又は既知の有機ハロゲン又は有機リンコーティングのいずれか又はそれらの組み合わせを含むことができる。耐着火性コーティングによる処理は、マイクロファイバをベースとするポリマー層の性能を改善する可能性があるが、処理によって、マイクロファイバをベースとするポリマー層自体が、DIN EN 15090の耐着火性基準に合格することができることは期待できない。
【0072】
テキスタイル複合材料はまた、マイクロファイバをベースとするポリマー層に取り付けさせることができる中間不織布層を含む。中間不織布層は、テキスタイル複合材料の耐久性及び難燃性を改善することができる。「不織布層」という用語は、結合され又は絡み合った繊維又はフィラメントのシート又はウェブを意味する。繊維又はフィラメントは、当該技術分野でよく知られているように、機械的、熱的及び/又は化学的手段によって結合され又は絡み合わされることができる。本明細書で使用されるときに、繊維は比較的短い長さを有し、典型的には約20cm未満である。好ましくは、繊維は1cm未満の長さを有する。「フィラメント」という用語は、比較的長い繊維、すなわち、長さ/幅又は直径の比が1000を超える繊維を意味する。
【0073】
幾つかの実施形態において、中間不織布層は、マイクロファイバをベースとするポリマー層に支持、強度、断熱性又はそれらの組み合わせを提供することができる。他の実施形態において、中間不織布層は、補強層及び強化層であることができる。さらに別の実施形態において、中間不織布層は、テキスタイル複合材料に断熱性を提供して、テキスタイル複合材料を横切る熱の輸送を低減することができる。例えば、テキスタイル複合材料を含む履物アッパーを含む履物において、中間不織布層は、履物の外部から履物の内部への熱の伝達を低減することができる。したがって、履物内の使用者の足は、極度の熱から少なくとも部分的に保護されうる。
【0074】
中間不織布層は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、メラミン、炭素繊維、酸化ポリアクリロニトリル(PAN)、アラミド又はそれらの組み合わせを含むことができる。幾つかの実施形態において、中間不織布層は、DIN EN 15090による耐着火性のない材料、例えば、ポリアミド、ポリエステル又はそれらの組み合わせを含むか、又はそれらから本質的になる。中間不織布層のために耐着火性のない材料を使用するときでさえ、本明細書に記載のテキスタイル複合材料自体は、DIN EN 15090による耐着火性があることができる。しかしながら、テキスタイル複合材料に特定の望ましい特性を付与するために、中間不織布層は、耐着火性材料、例えば、炭素繊維及び/又は酸化ポリアクリロニトリルを含むことができる。テキスタイル複合材料の望ましい特性は、耐着火性と、比較的に軽量、柔らかさ、可撓性及びしなやかさの組み合わせであることができる。
【0075】
幾つかの実施形態において、中間不織布層は、複数の不織布層を含むラミネートであることができる。ラミネートの各層は、独立して同じ材料又は異なる材料を含むことができる。複数の層のうちの1つ以上は、ポリエステル、ポリアミド、又は本質的に耐着火性の繊維を含むことができる。本質的に耐着火性の繊維は、メラミン、炭素繊維、アラミド又は酸化ポリアクリロニトリル(PAN)から選択されうる。
【0076】
幾つかの実施形態において、中間不織布層は、0.6mm~2.0mmの厚さを有することができる。中間不織布層は、0.8mm~1.5mmの厚さを有することができる。中間不織布層は、0.6mm~1.3mmの厚さを有することができる。中間不織布層は、0.8mm~1.5mmの厚さを有することができる。不織布層は、1.0mmを超える厚さを有することができる。
【0077】
中間不織布層は、70g/m2より大きく700g/m2以下の重量を有することができる。幾つかの実施形態において、中間不織布層は、70g/m2を超える重量を有することができる。中間不織布層は、80g/m2を超える重量を有することができる。中間不織布インシュレーティング層は、100g/m2を超える重量を有することができる。中間不織布インシュレーティング層は、150g/m2を超える重量を有することができる。中間不織布インシュレーティング層は、200g/m2を超える重量を有することができる。中間不織布インシュレーティング層は、350g/m2を超える重量を有することができる。さらに別の実施形態において、不織布インシュレーティング層は、約70g/m2~約500g/m2の重量を有することができる。不織布インシュレーティング層は、約70g/m2~約475g/m2の重量を有することができる。
【0078】
テキスタイル複合材料はまた、中間不織布層に取り付けられたポリマーバリア層を含む。ポリマーバリア層は、マイクロファイバをベースとするポリマー層の反対側の中間不織布層に取り付けられている。ポリマーバリア層は空気透過性膜であることができ、又は防水性膜であることができる。他の実施形態において、ポリマーバリア層は、空気透過性で防水性の膜であることができる。さらに別の実施形態において、ポリマーバリア層は、防水性かつ水蒸気透過性であることができる。防水性膜であるポリマーバリア層は、液体の水の通過を防ぎながら、水蒸気が膜を通過することを可能にすることができる。幾つかの実施形態において、ポリマーバリア層は多層ポリマーバリア層であることができる。
【0079】
ポリマーバリア層は、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、シリコン含有ポリマー又はそれらのコポリマー又は組み合わせを含むことができる。好ましい実施形態において、ポリマーバリア層はフルオロポリマーを含むことができる。ポリマーバリア層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。ポリマーバリア層は、多孔質ポリマー、例えば、膨張(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)フルオロポリマー又は延伸(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)PTFE(ePTFE)、例えば、米国特許第3,953,566号明細書に見られるePTFE膜を含むことができる。本明細書に記載の実施形態におけるポリマーバリア層は、多孔質構造を提供する、フィブリルによって相互接続されたノードの微細構造を有するフルオロポリマーを含むことができる。幾つかの実施形態において、微細構造は非対称であり、これは、多孔質構造が構造の厚さにわたって複数の領域を含み、少なくとも1つの領域が第二の領域の微細構造とは異なる微細構造を有することを意味する。多孔質構造の2つ以上の領域を有するフルオロポリマーの例は、米国特許第9,944,044号及び米国特許第9,573,339号明細書に提供されている。
【0080】
ポリマーバリア層は、場合により、コーティングを含むことができ、コーティングは、ポリマーバリア層の片面に存在する。幾つかの実施形態において、コーティングは、ポリマーバリア層の両側に存在する。さらに別の実施形態において、ポリマーバリア層は多孔質ポリマー層であることができ、コーティングは、多孔質ポリマー層の細孔を少なくとも部分的に侵入する吸収されたコーティングであることができる。細孔を少なくとも部分的に侵入するコーティングは、細孔を形成する壁上のコーティングであるコーティングであるか、又はコーティングは、多孔質ポリマーバリア層の細孔の少なくとも一部を満たすことができる。コーティングは、シリコーン、水蒸気透過性ポリウレタン又はポリエステル、又はフルオロポリマーを含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティングはポリウレタンを含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、例えば、空気不透過性水蒸気通気性ポリウレタンコーティングなどの水蒸気通気性である。他の任意選択的なコーティングは、ノードアンドフィブリルフルオロポリマーをベースとするコーティングを含む。幾つかの実施形態において、ポリマーバリア層は、含浸されたモノリシック水蒸気透過性ポリマーを含むことができる。コーティングは疎油性であることができる。他の実施形態において、ポリマーバリア層はコーティングされていなくてもよい。
【0081】
ポリマーバリア層として有用な材料の例としては、多孔質及び非多孔質膜が挙げられる。膜は、空気透過性又は空気不透過性であることができる。膜は、水蒸気を膜を通して輸送する能力として定義される通気性を提供することができる。さらに、膜は、液体水の侵入を防ぐために液体水耐性であることができる。幾つかの実施形態において、ポリマーバリア層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、別のフルオロポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリイミド、ポリエステル、シリコーン又はそれらの組み合わせであることができる。
【0082】
テキスタイル複合材料は、場合により、中間不織布層の反対側である、ポリマーバリア層の片面に取り付けられた保護層をさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、ポリマーバリア層の1つの表面を保護層にラミネート化することができる。保護層は、ポリマーバリア層に支持及び/又は耐久性を提供することができる任意の材料であることができる。例えば、保護層は、保護ポリマーコーティング、又は、例えば、編物、織物又は不織布、又はフリースであることができる。他の例において、保護層は、複数のライン、グリッド、モノリシックコーティングなどの形態の保護ポリマーコーティングであることができる。適切な保護ポリマーコーティングは、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン又はそれらの組み合わせであることができる。他の実施形態において、保護層は、天然繊維(例えば、綿、羊毛)、合成繊維、例えば、レーヨン、LYCRA(登録商標)スパンデックス、メラミン、アラミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール(PBI)、モダクリル又はそれらのブレンドから形成されうる。幾つかの実施形態において、保護層は、ポリマーバリア層にラミネート化された編物、織物又は不織布であることができる。
【0083】
実施形態では、ポリマーバリア層を保護層にラミネート化して二層ラミネートを形成することができる。二層ラミネートは、0.2mm~0.5mmの範囲の厚さ及び40g/m2~150g/m2の範囲の重量を有することができる。
【0084】
テキスタイル複合材料は、0.027マイクロメートル以上の直径を有する粒子がテキスタイル複合材料を通って侵入するのを阻害することができる。他の実施形態において、テキスタイル複合材料は、0.03マイクロメートル以上、又は0.04マイクロメートル以上、又は0.05マイクロメートル以上、又は0.06マイクロメートル以上、又は0.08マイクロメートル以上、又は0.09マイクロメートル以上、又は0.1マイクロメートル以上の平均直径を有する粒子の侵入を阻害することができる。これらの粒子は、さもなければ、履物の内部に侵入し、着用者を粒子にさらすことができる。テキスタイル複合材料は、テキスタイル複合材料の厚さを通して特定のサイズの粒子の侵入を阻害することができるが、粒子は、テキスタイル複合材料を含む衣服の内部に接触し、最終的に、他の手段を介して、例えば、靴の上部の上又はジャケットの袖又は頭又は首の開口部を通して着用者に接触することができる。
【0085】
開示されたテキスタイル複合材料は、様々な用途、例えば、履物、手袋、ジャケット、ショーツ、パンツ、ズボン、つなぎ服、スモック、エプロン、ヘッドカバー、フード、ゲートル又はそれらの組み合わせを含む、任意の身体を覆う衣服に使用することができる。幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料は、衣服の外側材料として使用することができる。幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料は、靴又はブーツにおける履物アッパー材料として使用することができる。「外側材料」という用語は、履物を含む衣服の最外層を少なくとも部分的に形成する材料を記載するために使用される。
【0086】
テキスタイル複合材料は、1つ以上の追加の層と組み合わせて使用することができる。しかしながら、1つ以上の追加の層が使用されるならば、本明細書に開示されるテキスタイル複合材料は、テキスタイル複合材料が履物又は衣服に与えることができる難燃性のために、一般に最外層として使用される。
【0087】
1つ以上の追加の層は、1つ以上のテキスタイル層、1つ以上の難燃性(FR)層、1つ以上の追加の膜層、1つ以上のフォーム層、1つ以上の金属グリッドもしくは金属箔層又はそれらの組み合わせを含むことができる。1つ以上の追加の層がテキスタイルを含む実施形態において、テキスタイルは繊維を含むことができる。繊維は、天然繊維、合成繊維又はそれらの組み合わせを含むことができる。繊維は、例えば、アラミド、ポリアミド(PA)、ポリスルホン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアクリレート、綿、羊毛又はそれらの混合物を含むことができる。テキスタイルは、織物、不織布又は編物であることができる。1つ以上の追加の層のうちの1つ以上がフォームを含む実施形態において、フォームは、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン酢酸ビニル(EVA)又はゴムを含むことができる。1つ以上の追加の層が金属グリッド又は金属箔を含む実施形態において、金属グリッドは反射性アルミニウムグリッドを含むことができ、そして金属箔はアルミニウム箔又はアルミニウム通気性箔を含むことができる。
【0088】
1つ以上の追加の層がフォーム層を含む実施形態において、フォーム層は、使用中にテキスタイル複合材料の内側に配置されうる。例えば、テキスタイル複合材料が履物アッパーとして又は履物アッパーの一部として使用されるときに、フォーム層は履物アッパーの内側に配置されうる。
【0089】
1つ以上の追加の層のそれぞれは、最大6mmの厚さであることができる。1つ以上の追加の層のそれぞれは、2mm~5mmの厚さであることができる。テキスタイル複合材料が1つ以上の追加の層と組み合わせて使用される実施形態において、1つ以上の追加の層の厚さは、1mm~6mmの厚さであることができる。1つ以上の追加の層の厚さは、2mm~5mmの厚さであることができる。1つ以上の追加の層は、少なくとも1つの層、少なくとも2つの層、少なくとも3つの層又は少なくとも4つの層を含むことができる。1つ以上の追加の層は、二層、三層、四層又は五層を含むことができる。2つ以上の追加の層が存在するならば、追加の層のそれぞれを互いに独立して選択することができる。
【0090】
1つ以上の追加の層はテキスタイル複合材料と接触していてもよい。1つ以上の追加の層をテキスタイル複合材料に接着することができる。1つ以上の追加の層は、接着剤でテキスタイル複合材料に接着することができる。1つ以上の追加の層は、1つ以上の追加の層とテキスタイル複合材料との間の空気間隙が防止されるように、テキスタイル複合材料と接触することができる。
【0091】
1つ以上の追加の層は、それらの中に、又は、1つ以上の追加の層の表面に埋め込まれた粒子を含むことができる。粒子は、反射性粒子又は再帰反射性粒子であることができる。粒子を含む1つ以上の追加の層は、テキスタイル複合材料の外側に配置することができる。
【0092】
1つ以上の追加の層は、縫製、接着、キャスティング、溶接、印刷又は注入を含む任意の従来の手段によってテキスタイル複合材料に取り付けることができる。
【0093】
1つ以上の追加の層が衣服の外側に配置される実施形態において、1つ以上の追加の層は、テキスタイル複合材料の実質的に全体にわたって延在することができる。1つ以上の追加の層は、テキスタイル複合材料の一部のみに延在することができる。例えば、1つ以上の追加の層は、耐摩耗性であることができ、使用中の摩耗に対して脆弱であるテキスタイル複合材料の部分にわたって延在することができる。
【0094】
テキスタイル複合材料が履物アッパーを形成する実施形態において、1つ以上の追加の層は履物アッパーのつま先部分の少なくとも一部にわたって延在することができる。1つ以上の追加の層は、履物アッパーのかかと部分の少なくとも一部に延在することができる。1つ以上の追加の層は、履物アッパーが履物の底と出会う部分の周りに延在することができる。
【0095】
1つ以上の追加の層は、耐火性であることができる。1つ以上の追加の層は反射性であることができる。1つ以上の追加の層は、使用中に使用者の足又は足首に追加の支持を提供することができる。
【0096】
1つ以上の追加の層は、1つ以上の追加の層が延在している、履物アッパーの少なくとも部分上に連続的な表面を形成することができる。1つ以上の追加の層は、1つ以上の追加の層が延在している、履物アッパーの少なくとも部分の上に不連続な表面を形成することができる。例えば、1つ以上の追加の層は、1つ以上の追加の層が延在している、履物アッパーの表面上にパターンとして提供されうる。パターンはパターン要素を含むことができる。パターン要素は、グリッド又は複数のグリッド、ストリップ又は一連のドットを含むことができる。パターン要素は、ロゴ、デザイン要素又は他の画像要素を含むことができる。パターンは異なるパターン要素の組み合わせを含むことができる。
【0097】
1つ以上の追加の層は、履物アッパーの表面から離れて延在することができる。被覆層の少なくとも一部は、履物アッパーの表面から離れて延在することができる。
【0098】
図1を参照すると、マイクロファイバをベースとするポリマー層2、中間不織布層4、ポリマーバリア層6及び保護層8を含むテキスタイル複合材料1が提供される。マイクロファイバをベースとするポリマー層2は、ポリウレタン樹脂が侵入したポリアミド繊維を含む。中間不織布層4は不織布ポリエステル材料を含む。ポリマーバリア層6は延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む。保護層8は、ポリアミドから作られた編物材料を含む。
【0099】
マイクロファイバをベースとするポリマー層2は、ドットパターンで又は粉末として(図示せず)マイクロファイバをベースとする合成皮革層2の内面にわたって適用されたポリウレタン接着剤を使用して中間不織布層4にラミネート化される。保護層8は、ドットパターンで又は粉末として(図示せず)保護層8に適用されたポリウレタン接着剤を使用して、ポリマーバリア層6にラミネート化される。ポリマーバリア層6及び保護層8のラミネートは、マイクロファイバをベースとするポリマー層2及び中間不織布層4のラミネートに、マイクロファイバをベースとするポリマー層/中間層ラミネートの中間不織布面にわたってドットパターンで又は粉末接着剤として(図示せず)適用されたポリウレタン接着剤を使用してラミネート化され、テキスタイル複合材料1を製造する。
【0100】
テキスタイル複合材料は、2つの二層ラミネートを一緒にラミネートすることによって構築できるが(上記のように)、所望ならば、他の順次構築技術を使用することもできる。例えば、マイクロファイバをベースとするポリマー層を中間不織布層にラミネート化し、続いてバリア層にラミネート化し、場合により、保護層にラミネート化することができる。接着剤が一方の層、他方の層又は両方の層の表面にわたって連続的に適用される任意の適切なラミネート化技術を使用することができる。代替の実施形態において、接着剤は、一方の層、他方の層又は両方の層の表面にわたって不連続に適用することができる。接着剤の不連続な適用としては、例えば、ドット、ライン、グリッド又はそれらの組み合わせを挙げることができる。幾つかの実施形態において、接着剤はFR添加剤を含むことができる。
【0101】
テキスタイル複合材料1のマイクロファイバをベースとするポリマー層の外面は、皮革の外観をシミュレートすることができ、履物アッパーとして使用することができる。他の実施形態において、マイクロファイバをベースとするポリマー層の外面は、他の非皮革様外観を呈することができる。テキスタイル複合材料のマイクロファイバをベースとするポリマー層の外面は、粒子の侵入を防ぐ、シールされた表面をさらに含む。したがって、履物アッパーとしてテキスタイル複合材料1を含む履物は、使用中に着用者の足を粒子から保護する。シールされた表面はまた、液体の取り込みを減らす。
【0102】
図2を参照するさらなる実施形態において、テキスタイル複合材料30は、マイクロファイバをベースとするポリマー層32、中間不織布層34、ポリマーバリア層36及び保護層38を含む。マイクロファイバをベースとするポリマー層32は、ポリウレタン樹脂が侵入したポリアミド繊維を含む。中間不織布層34は、一緒にラミネート化された不織布酸化ポリアクリロニトリル材料の2つの層34a、34bを含む。
【0103】
代替の実施形態(図示せず)において、中間不織布層は、ポリエステル材料の1つの層にラミネート化された不織布酸化ポリアクリロニトリル材料の1つの層を含む。
【0104】
図3は、外側材料102及びソール104を含む履物100を示している。外側材料102は、少なくとも部分的に、最外表面を形成するマイクロファイバをベースとするポリマー層を備えた本開示のテキスタイル複合材料を含む。
【0105】
図4は、アッパー構造を閉じてソールを取り付ける前の中間段階にある履物アッパー構造106を示している。アッパー構造106は、成形されたアッパー材料部品を一緒に取り付けてアッパー構造106を構築することによって製造される。アッパー材料部品は、グルー接着、縫製、溶接又は他の任意の既知の技術によって取り付けることができる。本開示のテキスタイル複合材料を使用することにより、
図5に示すように、防水シームテープ110を使用して、アッパー構造の内側でシームを防水シールすることができる。
【0106】
テキスタイル複合材料は、シームシールして、2つ以上のテキスタイル複合材料片を衣服、例えば、履物アッパーに結合するために使用されるシームに水が侵入するのを防ぐことができる。したがって、テキスタイル複合材料を使用したアッパー材料構造は防水性を持たせることができ、外部の水は靴の内部に入ることができず、低い吸水性靴構造を提供し、靴を素早く乾燥することを可能にする。これは、革製アッパーが厚すぎてシーリングテープの接着剤が厚さ全体に侵入することができず、その結果、水侵入を防止するためにシームシールすることができないため、革製アッパーと比較したときに、開示のテキスタイル複合材料に追加の利点を提供する。幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料は、複合材料の内側で防水シームシールすることができる。本明細書に記載のとおりのテキスタイル複合材料は、マイクロファイバをベースとするポリマー層及び中間不織布層自体ではDIN EN 15090の非着火要件を満たすことができない、マイクロファイバをベースとするポリマー層及び中間不織布層から作られているにもかかわらず、DIN EN 15090の非着火要件を満たすことができる。テキスタイル複合材料は、特に同じ重量の天然皮革製アッパーと比較したときに、DIN EN 15090の要件を満たすことができる比較的に軽量の材料を提供することもできる。幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料は、革製アッパーの半分の重量でありながら、それでもDIN EN 15090の要件を満たすことができる。そのような薄くて軽量の材料を使用することは、アッパーが革製アッパーよりも少量の液体/水/湿気を吸収することができるという利点もある。
【0107】
履物100はまた、内側に面する内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングを、例えば、ブーティの形で、そして耐液性膜を備えた二層又は三層ラミネートとして含むことができる。
【0108】
図7は、アッパー202、ブーティ204、アウトソール206及び靴型ボード208を含む履物200の断面を示す。アッパー202は、マイクロファイバをベースとするポリマー層210、中間不織布層212、ポリマーバリア層214及び編物バッキング層216を含む。ブーティ204は、防水通気性ライニング218及び編物層220を含む。
【0109】
アッパー202は、例えば、ポリウレタン、ポリアミド又はネオプレンなどの適切な接着剤を使用して、靴型ボードに固定される。アッパー202はまた、適切な接着剤を使用してアウトソール206に固定される。アッパー202は、粒子状汚染物質の侵入が履物200に入るのを防ぐためにシールされた表面を形成する。ブーティ204は、アッパー202及び/又は靴型ボードに恒久的に固定されうるか、あるいは、靴型ボード208又はアッパー202に取り外し可能に固定されうる。したがって、使用後に、ブーティを履物から取り外して、ブーティをアッパー202、アウトソール206及び靴型ボード208とは独立して洗浄できるようにすることができる。したがって、第一の洗浄操作を使用して、ブーティ204を洗浄することができ、そして第二の洗浄操作を使用して、アッパー202、アウトソール206及び靴型ボード208を洗浄することができる。例えば、ブーティ204は、洗浄機で、又は乾式洗浄、洗浄極低温溶媒などの水なし洗浄方法を使用して洗浄することができる。アッパーは、高圧水又は洗剤での洗浄を使用して洗浄又は除染することができる。
【0110】
ブーティ204は、製造中に形成されるシームを含む。ブーティはさらに、シームに沿って走る1つ以上のシールテープを含み、それにより、ブーティ204の内部を、シームを通ってブーティ202の内部に侵入する液体又は粒子の侵入に対してシールする。
【0111】
試験方法
水蒸気透過度(MVTR)
水蒸気透過度(MVTR)を測定するために採用された試験の説明を以下に示す。この手順は、フィルム、コーティング及びコーティングされた製品の試験に適していることがわかった。
【0112】
この手順において、35質量部の酢酸カリウム及び15質量部の蒸留水からなる約70mlの溶液を、口の内径が6.5cmの133mlのポリプロピレンカップに入れた。米国特許第4,862,730号明細書(Crosby)に記載されている方法で試験した、最小MVTRが約85,000g/m2/24時間の延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜をカップの縁にヒートシールして、溶液を含む、ぴんと張った漏れ防止性ミクロポーラスバリアを作成した。
【0113】
同様の延伸PTFE膜をウォーターバスの表面に取り付けた。水浴アセンブリを、温度制御された部屋及び水循環浴を利用して、23℃±0.2℃に制御した。
【0114】
試験手順を実行する前に、試験対象のサンプルを23℃の温度及び50%の相対湿度で調整させた。ミクロポーラスポリマー膜が水浴の表面に取り付けられた延伸ポリテトラフルオロエチレン膜と接触するようにサンプルを配置し、カップアセンブリを導入する前に少なくとも15分間平衡化させた。
【0115】
カップアセンブリの重量を1/1000g単位で計量し、逆さまにして試験サンプルの中央に配置した。
【0116】
水輸送は、水浴中の水と飽和塩溶液との間の駆動力によって提供され、その方向への拡散によって水流束を提供した。サンプルを15分間試験し、次いで、カップアセンブリを取り出し、1/1000g以内で再度計量した。
【0117】
サンプルのMVTRを、カップアセンブリの重量増加から計算し、24時間あたりのサンプル表面積1平方メートルあたりの水のグラム数で表した。
【0118】
テキスタイルの蒸発に対する耐性-Ret測定
水蒸気の透過に対する材料又は材料セットの抵抗を評価し、それによって水蒸気透過度を評価する手段。RetをISO 11092、1993年版に従って実施し、m2Pa/Wで表す。Ret値が高いほど、水蒸気透過度が低いことを示す。
【0119】
スーター静水圧試験機
サンプルをインラインフィルタホルダ(ポール、47mm、部品番号1235)に固定した。サンプル膜の片側には、加圧可能な液体があった。大気圧に開放されているサンプル膜の反対側で、一枚の色紙をサンプル膜と支持体(穴あきプレキシガラスディスク)との間に置いた。次に、サンプルを17kPa刻みで加圧し、各圧力が上昇した後に60秒待機した。紙の色の変化が発生する圧力をエントリー圧力として記録した。使用した液体は30%IPA-70%水(vol-vol)で、ペンダントドロップ法で測定した液体の表面張力は約31ダイン/cm(+/-約1)になった。2つのサンプルを測定し、平均化して、初期液体エントリー圧力(EPinitial)を提供した。
【0120】
火炎試験
火炎試験を、幾つかの変更を加えたDIN EN 15025:2017を使用して実行した。第一の変更は、試験されたサンプルが、試験方法で要求されたフルファイアブーツではなく、テキスタイル複合材料の見本であったことである。第二の逸脱は炎の角度であった。DIN EN 15090は、試験対象のサンプルに対して45°の火炎角度を要求する。この場合に試験された個々のサンプルは、バーナーが水平に向けられた状態で、垂直に向けられた。最後に、DIN EN 15090で要求される炎の高さ及び距離を使用した。テキスタイル複合材料の各々について、火炎はマイクロファイバをベースとするポリマー層に向けられ、バリア層を含む側は火炎から離れる方向に向けられた。
【0121】
火炎衝突後のサンプル評価は次のとおりであった。
工程1:炎の衝突を取り除いた後の最大10秒後に見える残光又は炎があるか?:
はい-不合格
いいえ-工程2に進む
【0122】
工程2:サンプルが炎又は残光を示さないならば、穴の形成を探す。
はい(穴)-不合格
穴なし-合格
【0123】
試験されたテキスタイル複合材料の各々について、少なくとも6つの複製物を使用した。複製物のいずれかが試験に合格しなかったならば、テキスタイル複合材料は試験に不合格であると言われた。各複製物が試験手順に合格するならば、テキスタイル複合材料は試験に合格したと言われる。
【0124】
例で使用されている材料の説明:
マイクロファイバ(MF)をベースとするポリマー層:
MF1:LambSkin 0,8ポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスは、Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。MF1の厚さは0.8mmであり、重さは310g/m2である。この層は、非ハロゲン化難燃剤及び標準的な耐水性組成物で処理されている。
【0125】
MF2:LambSkin 1,0ポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスは、Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。MF2の厚さは1mmであり、重さは430g/m2である。この層は、非ハロゲン化難燃剤及び標準的な耐水性組成物で処理されている。
【0126】
MF3:LambSkinポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスは、Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。MF3の厚さは0.78mmであり、重さは310g/m2である。この層は、標準的な耐水性組成物でのみ処理される。
【0127】
MF4:PigSkinポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスは、Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。MF4の厚さは0.87mmであり、重量は266g/m2である。この層は、非ハロゲン化難燃剤及び標準的な耐水性組成物で処理されている。
【0128】
MF5:Microsuedeポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスは、Vela Technologiess.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。この材料はMF1と同じベースを有するが、ベロア表面光学系である。MF5の厚さは0.9mmであり、重量は309g/m2である。この層は、非ハロゲン化難燃剤及び標準的な耐水性組成物で処理されている。
【0129】
MF6:Moron on Steam 2031-Negroポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスは、Grupo Moron Antonio Moron de Blas SL, Arnedo, Spainから入手可能である。MF6の厚さは0.9mmであり、重量は345g/m2である。この層は、標準的な耐水性組成物でのみ処理される。
【0130】
MF7:Moron on Steam 2031-Negro doble hidrofugatoポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスは、Grupo Moron Antonio Moron de Blas SL, Arnedo, Spainから入手可能である。MF6の厚さは0.91mmであり、重量は360g/m2である。この層は、非ハロゲン化難燃剤及び標準的な耐水性組成物で処理されている。
【0131】
適切なLambSkinポリアミドマイクロファイバ/ポリウレタンマトリックスの断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を
図6に示し、マトリックス内の繊維の微細さを示している。
【0132】
中間不織布材料:
不織布1はVelastiff KS Extraflex 350ポリエステルフェルトであり、Vela Technologiess.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。不織布1は厚さが1mmであり、重量は330g/m2である。
【0133】
不織布2はTNT Panox 80ブラックパノックスフェルトであり、Vela Technologiess.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。不織布2は、厚さが1.0mmであり、重量は80g/m2である。
【0134】
不織布3はVelaflex KK550ポリエステルフェルトであり、Vela Technologiess.r.l., Vicenza, Italyから入手可能である。不織布3は厚さが2.70mmであり、重量は525g/m2である。
【0135】
ポリマーバリア層:
以下の例において、ePTFE膜を使用した(W.L. Gore&Associates, Inc., USAから入手可能)。前記多孔質膜は疎油性ポリウレタン(PU)でコーティングされたePTFE膜である。さらに、膜は、ポリアミド6.6編物の形の保護テキスタイル層を含む。膜は厚さが43ミクロンであり、面積重量は31g/m2である。
【0136】
表1に、重量(例で使用されている各布帛材料の1平方メートルあたりのグラム数及び厚さ)を示す。
【0137】
【0138】
例1
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF1を不織布1にラミネートして、二層ラミネートを製造した。
【0139】
次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、二層ラミネートを上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)にラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0140】
得られた複合材料は、厚さが2.0mmであり、重量が866g/m2であり、MVTRは1430g/m2/24時間であった。
【0141】
例2
例2のラミネートは、不織布1の代わりに不織布2が使用されたことを除いて、例1と同じ方法で製造された。
【0142】
例1で上記に記載されたとおりのePTFE膜を、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側に配置した。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0143】
得られた複合材料は、厚さが1.8mmであり、重量が554g/m2であり、MVTRは2030g/m2/24時間であった。
【0144】
例3
MF 2をポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用して不織布1にラミネートし、二層ラミネートを製造した。
【0145】
次に、二層ラミネート複合材料を、ポリウレタンホットメルト接着剤を使用して、ドットラミネーションパターンのグラビアプリンタを使用して、二層ラミネートの不織布側でePTFE膜(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)にラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0146】
得られた複合材料は、厚さが2.33mmであり、重量が980g/m2であり、MVTRが1350g/m2/24時間であった。
【0147】
例4
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa Fr」)を使用してMF2を不織布2にラミネートして、二層ラミネートを製造した。
【0148】
次に、二層ラミネート複合材料を、ポリウレタンホットメルト接着剤を使用して、ドットラミネートパターンのグラビアプリンタを使用して、二層ラミネートの不織布側でePTFE膜(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)にラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0149】
得られたラミネートは厚さが1.8mmであり、重量は670g/m2であり、MVTRは1890g/m2/24時間であった。
【0150】
例5
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF3を不織布1にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0151】
例6
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用して、MF 4を不織布3にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2
日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0152】
例7
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF5を不織布1にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0153】
例8
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF5を不織布2にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0154】
例9
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF6を不織布1にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0155】
例10
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF6を不織布2にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0156】
例11
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF7を不織布1にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0157】
例12
コポリアミドベースの接着剤(Vela Technologies s.r.l., Vicenza, Italyから入手可能な「Velamelt Copa FR」)を使用してMF7を不織布2にラミネートして、二層ラミネートを製造した。次に、ポリウレタンホットメルト粉末接着剤を使用して、二層ラミネートの不織布側で、上記のとおりのePTFE膜ラミネート(W.L. Gore&Associates, Incから入手可能)に二層ラミネートをラミネートした。得られたラミネートを室温で2日間保存した。試験手順の前に、ラミネートを23℃で相対湿度50%にて24時間条件調節した。
【0158】
比較例
HAIX社から履物アッパー材料として市販されている革材料は厚さが約2.5mmであり、重さは1595g/m2である。革材料をスキン表面側を革仕上げ剤で処理し、耐水性を向上させている。革のMVTRは3800g/m2/24時間である。
【0159】
火炎試験(上記の手順)に従って試験したときの結果を以下の表2に示す。
【0160】
【0161】
見てわかるように、例1~12のすべてのラミネートは火炎試験に合格した。
【0162】
したがって、驚くべきことに、本開示による履物アッパーは、アッパーの重量又は厚さの増加を必要とせずに、火炎試験基準に合格するのに十分な火炎保護を提供できることが示された。したがって、本開示の履物アッパーを含む履物は、他の既知の履物と比較して、材料の重量及び厚さが低減されて、良好な防炎を提供し、より可撓性で火炎保護履物をもたらす。
【0163】
本明細書で参照されるすべての文書を、参照によりその全体を組み込む。本発明の承認された実施形態がこれまでに記載されてきたが、部品の形状、設計、構造及び配置における多くの様々な変化及び変更が、本開示から逸脱することなく他の実施形態に対して行われうることは容易に明らかである。そのようなすべての変化及び変更は、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の一部として、他の熱交換器及び熱交換器システムの実施形態として考えられることは理解されるであろう。
(態様)
(態様1)
a)マイクロファイバをベースとするポリマー層、
b)中間不織布層、及び、
c)ポリマーバリア層、
を含むテキスタイル複合材料であって、
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、繊維あたり1デシテックス以下であり、ポリウレタンキャリア材料と組み合わされた10μm未満の直径を有する合成ポリアミドマイクロファイバを含む、テキスタイル複合材料。
(態様2)
前記ポリマーバリア層は、フルオロポリマー材料、ポリウレタン材料、ポリオレフィン材料又はポリエステル材料を含む、態様1記載のテキスタイル複合材料。
(態様3)
前記ポリオレフィン材料はポリエチレン又はポリプロピレンを含む、態様2記載のテキスタイル複合材料。
(態様4)
前記ポリマーバリア層は、多孔質膜又は非多孔質膜である、態様1又は2記載のテキスタイル複合材料。
(態様5)
前記ポリマーバリア層は、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を含む、態様1又は2記載のテキスタイル複合材料。
(態様6)
前記ポリマーバリア層は、膨張ポリエチレン膜を含む、態様1記載のテキスタイル複合材料。
(態様7)
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は多孔質ポリウレタンを含む、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様8)
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層の外面は、視覚的構造を有する表面コーティングをさらに含む、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様9)
前記表面コーティングは多孔質ポリウレタンを含む、態様8記載のテキスタイル複合材料。
(態様10)
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、撥水処理剤及び難燃処理剤の一方又は両方を含む、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様11)
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、0.6mm~1.8mmの厚さを有する、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様12)
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、250g/m
2
を超える、300g/m
2
を超える、又は、350g/m
2
を超える重量を有する、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様13)
前記中間不織布層は、0.6mmを超える厚さを有する、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様14)
前記中間不織布層は、70g/m
2
を超える重量を有する、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様15)
前記中間不織布層は、ポリエステル、ポリアミド、メラミン、炭素繊維、酸化ポリアクリロニトリル(PAN)又はアラミドを含む、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様16)
前記中間不織布層は、撥水処理剤及び難燃処理剤の一方又は両方を含む、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様17)
前記中間不織布層は、複数の層を含むラミネートである、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様18)
二層ラミネートの中間不織布層は、同じ材料又は異なる材料を含む、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様19)
前記複合材料は、500g/m
2
を超える、600g/m
2
を超える、700g/m
2
を超える、800g/m
2
を超える、又は900g/m
2
を超える重量を有する、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様20)
前記複合材料は1500g/m
2
以下の重量を有する、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様21)
前記複合材料は、前記マイクロファイバをベースとするポリマー層が火炎接触表面を形成している状態で、DIN EN 15025:2017に従って火炎試験に合格する、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様22)
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、粒子が前記マイクロファイバをベースとするポリマー層の表面に実質的に侵入しないように、閉じた外面を含む外層である、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様23)
粒子は前記複合材料の厚さに実質的に侵入しない、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様24)
前記テキスタイル複合材料は保護層をさらに含み、前記保護層は前記中間不織布層の反対側で前記ポリマーバリア層に取り付けられている、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様25)
履物、手袋、フード、ヘッドカバー、ズボン及びジャケットを含む衣服、オーバーオール及びそれらの組み合わせのいずれかのための外側材料である、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様26)
前記マイクロファイバをベースとするポリマー層は、外部環境に面する外層である、先行の態様のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料を含む履物。
(態様27)
内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングを含む、態様26記載の履物。
(態様28)
前記内側防水性で水蒸気透過性の機能性ライニングは取り外し可能なブーティである、態様27記載の履物。