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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】車載制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
G01R31/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022532281
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2021004717
(87)【国際公開番号】W WO2021261000
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2020108893
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】十文字 賢太郎
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-219569(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143465(WO,A1)
【文献】特開平5-26937(JP,A)
【文献】特開2003-68525(JP,A)
【文献】特開2006-284463(JP,A)
【文献】特開2019-158432(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0066097(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0299499(US,A1)
【文献】米国特許第10443530(US,B1)
【文献】特開2021-5637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導負荷の通電電流を制御する制御部と、前記電磁誘導負荷を駆動する駆動回路と、前記電磁誘導負荷の通電電流を検出する電流検出器と、を備える車載制御装置であって、
前記制御部は、
バッテリから前記駆動回路に供給される電源電圧と、前記駆動回路の出力DUTYと、前記駆動回路のオン抵抗値と、前記電磁誘導負荷の負荷抵抗値とに基づいて前記電磁誘導負荷に流れる目標電流値を算出し、算出した目標電流値と前記電流検出器により検出された検出電流値とを比較し、前記電流検出器の確からしさを診断する診断部、を有することを特徴とする車載制御装置。
【請求項2】
前記バッテリから前記駆動回路に供給される電源電圧を検出する電圧検出部を更に備え、
前記診断部は、前記電圧検出部により検出された電源電圧を取得する請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記車載制御装置とは異なる制御装置から前記電源電圧を取得する請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項4】
前記診断部は、
前記制御部から前記駆動回路に出力された信号に基づいて前記駆動回路の出力DUTYを算出する出力回路DUTY算出部と、
前記出力回路DUTY算出部により算出された前記駆動回路の出力DUTYと、前記バッテリから前記駆動回路に供給される電源電圧と、前記駆動回路のオン抵抗値と、前記電磁誘導負荷の負荷抵抗値とに基づいて前記電磁誘導負荷に流れる目標電流値を算出する電流算出部と、
前記電流算出部により算出された目標電流値と前記電流検出器により検出された検出電流値とを比較する比較部と、を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の車載制御装置。
【請求項5】
前記出力回路DUTY算出部は、駆動回路入力DUTYと駆動回路出力DUTYとの関係を用いて、前記駆動回路の出力DUTYを算出する請求項4に記載の車載制御装置。
【請求項6】
前記電磁誘導負荷の負荷抵抗値は、前記制御部に予め記憶されている請求項4又は5に記載の車載制御装置。
【請求項7】
前記電磁誘導負荷の負荷抵抗値は、前記電磁誘導負荷の負荷抵抗基準値であり、
前記診断部は、前記電磁誘導負荷の負荷抵抗基準値を算出する抵抗基準値算出部を更に有する請求項4又は5に記載の車載制御装置。
【請求項8】
前記電磁誘導負荷の温度を検出する温度モニタ部を更に備え、
前記診断部は、前記温度モニタ部により検出された温度に基づいて前記電磁誘導負荷の負荷抵抗値を算出する抵抗算出部を更に有する請求項4又は5に記載の車載制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、通電制御が必要とされない前記電磁誘導負荷に対し、影響のない通電電流を算出し、算出した通電電流を通電制御が必要とされない前記電磁誘導負荷に通電し、前記診断部で前記電流検出器の確からしさを診断する請求項4~8のいずれか一項に記載の車載制御装置。
【請求項10】
前記診断部は、前記電流検出器の診断判定時間を算出する判定時間算出部を更に有し、
前記判定時間算出部は、前記電磁誘導負荷への指示電流に基づいて、前記電磁誘導負荷の温度算出値と実際の温度との差を考慮して前記電流検出器の診断判定時間を算出し、
前記比較部は、前記判定時間算出部により算出された診断判定時間と前記電流検出器により検出された検出電流値とを更に比較する請求項4~9のいずれか一項に記載の車載制御装置。
【請求項11】
前記診断部は、前記電流検出器の診断判定閾値を算出する判定閾値算出部を更に有し、
前記判定閾値算出部は、前記電磁誘導負荷への指示電流に基づいて、前記電磁誘導負荷の負荷抵抗算出値と実際の負荷抵抗値との差を考慮して前記電流検出器の診断判定閾値を算出し、
前記比較部は、前記判定閾値算出部により算出された診断判定閾値と前記電流検出器により検出された検出電流値とを更に比較する請求項4~9のいずれか一項に記載の車載制御装置。
【請求項12】
前記診断部は、前記電磁誘導負荷への負荷通電時間に基づいて前記駆動回路のオン抵抗値を算出するオン抵抗算出部を更に有する請求項1~11のいずれか一項に記載の車載制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載制御装置の一例として、車載電気負荷の一部であるリニアソレノイドの制御装置が知られている。このようなリニアソレノイドの制御装置は、リニアソレノイドに流れる電流を調整するリニアソレノイド駆動回路と、リニアソレノイドに流れる電流を検出する電流検出器とで構成されている。そして、リニアソレノイドの電流をより正確に測定できるように、リニアソレノイドの制御装置の生産工程において、電流検出器の確からしさを確認する検査が行われている。具体的には、検査工程において電流検出器に一定電流を流して、規定値の電流が電流検出器から出力されているか否かを検査する。
【0003】
一方、リニアソレノイドの制御装置を車両へ取り付けて出荷した後、車両が使われることによって電流検出器が劣化し、その劣化に起因して電流検出器の確からしさが低下していく問題が生じている。この問題を解決するために、例えば特許文献1に記載された技術を用いることが検討されている。すなわち、特許文献1に記載されたインバータ装置を利用して、走行前に電流検出器の確からしさを診断し、電流検出器の確からしさの低下を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-284752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、以下の問題が新たに生じる。まず、電流検出器の診断時期が車両走行前に限定されているので、例えば車両走行中や走行開始後の停車中などの場合に電流検出器の診断を行えない。このため、電流検出器の確からしさをタイムリーに診断できない問題が発生する。また、電流検出器で検出した電流を制御回路へフィードバックして所定の電流に調整する制御において、電流検出器の確からしさを診断するためには、駆動回路の出力DUTY信号をモニタする回路を追加する必要があるので、車載制御装置が大型化になってしまう問題も発生する。
【0006】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、大型化を抑制できるとともに、電流検出器の確からしさをタイムリーに診断できる車載制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載制御装置は、電磁誘導負荷の通電電流を制御する制御部と、前記電磁誘導負荷を駆動する駆動回路と、前記電磁誘導負荷の通電電流を検出する電流検出器と、を備える車載制御装置であって、前記制御部は、バッテリから前記駆動回路に供給される電源電圧と、前記駆動回路の出力DUTYと、前記駆動回路のオン抵抗値と、前記電磁誘導負荷の負荷抵抗値とに基づいて前記電磁誘導負荷に流れる目標電流値を算出し、算出した目標電流値と前記電流検出器により検出された検出電流値とを比較し、前記電流検出器の確からしさを診断する診断部を有することを特徴としている。
【0008】
本発明に係る車載制御装置では、バッテリから駆動回路に供給される電源電圧と駆動回路の出力DUTYと駆動回路のオン抵抗値と電磁誘導負荷の負荷抵抗値とに基づいて電磁誘導負荷に流れる目標電流値を算出し、算出した目標電流値と電流検出器により検出された検出電流値とを比較し、電流検出器の確からしさを診断する診断部を有するので、電磁誘導負荷への電流制御の期間中であれば、電流検出器の確からしさを診断することができる。このため、電流検出器の診断時期が車両走行前に限定される従来技術と比べて、電流検出器の確からしさをタイムリーに診断することができる。加えて、従来のように駆動回路の出力DUTYをモニタするためのモニタ回路を追加することなく、電流検出器の確からしさの診断を実現できるので、車載制御装置の大型化を抑制することができる。その結果、車載制御装置の大型化を抑制できるとともに、電流検出器の確からしさをタイムリーに診断することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大型化を抑制できるとともに、電流検出器の確からしさをタイムリーに診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の車載制御装置が適用される車両用トランスミッションシステムを示す概略構成図である。
図2】第1実施形態の車載制御装置の内部構成図である。
図3】第1実施形態の車載制御装置による電流検出器の診断に関する機能ブロック図である。
図4】駆動回路入力DUTYと駆動回路出力DUTYとの関係を示すグラフである。
図5】第2実施形態の車載制御装置の内部構成図である。
図6】第2実施形態の車載制御装置による電流検出器の診断に関する機能ブロック図である。
図7】第3実施形態の車載制御装置による電流検出器の診断に関する機能ブロック図である。
図8】負荷通電時間と駆動回路オン抵抗値との関係を示すグラフである。
図9】第4実施形態の車載制御装置に関するフローチャートである。
図10】第5実施形態の車載制御装置による電流検出器の診断に関する機能ブロック図である。
図11】指示電流偏差と診断判定時間との関係を示すグラフである。
図12】第6実施形態の車載制御装置による電流検出器の診断に関する機能ブロック図である。
図13】指示電流偏差と診断判定閾値との関係を示すグラフである。
図14】第7実施形態の車載制御装置による電流検出器の診断に関する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る車載制御装置の実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0012】
本発明に係る車載制御装置は、例えば図1に示す車両用トランスミッションシステムに適用されている。図1に示す車両用トランスミッションシステムにおいて、エンジン10は、変速機20を介して駆動輪30を駆動する。変速機20は、油圧ポンプ40から油圧が供給される油圧回路50によって動作制御される。油圧回路50は、複数のリニアソレノイド(電磁誘導負荷)60により駆動制御される。これらのリニアソレノイド60は、車載制御装置100から出力される駆動信号によって駆動制御される。
【0013】
[第1実施形態]
図2は第1実施形態の車載制御装置の内部構成図である。車載制御装置100は、いわゆるECU(Electronic Control Unit)であって、マイコン(「マイクロコントローラ」の略称である)110と、電圧検出部120と、駆動回路130と、還流ダイオード140と、電流検出器150とを備えている。そして、駆動回路130、還流ダイオード140及び電流検出器150は、リニアソレノイド60を駆動するための電流制御回路170を構成する。また、車載制御装置100は、出力端子(負荷端子ともいう)160、電源端子180及びグランド端子190を備えている。
【0014】
電圧検出部120は、バッテリ80から駆動回路130に供給される電源電圧を検出し、検出した結果をマイコン110に出力する。バッテリ80は、車載制御装置100の外部に設けられている。
【0015】
駆動回路130は、例えばスイッチ素子からなり、マイコン110の制御信号に従ってリニアソレノイド60の駆動を行う。駆動回路130は、電源端子180を介してバッテリ80の正極と接続され、バッテリ80から電源電圧が供給されている。また、駆動回路130は、還流ダイオード140のカソード及びシャント抵抗151(後述する)を介して出力端子160に接続されている。還流ダイオード140のアノードはグランドに接続されている。出力端子160は、リニアソレノイド60の一方端に接続されている。リニアソレノイド60の他方端は、車両のグランドに接続されている。
【0016】
電流検出器150は、リニアソレノイド60に流れる電流を検出し、検出した結果をマイコン110に出力する。この電流検出器150は、シャント抵抗151と、電流検出部152によって構成されている。シャント抵抗151は、リニアソレノイド60に流れる電流を検出する。電流検出部152は、例えばオペアンプICからなり、シャント抵抗151の両端の電位差を増幅してマイコン110に出力する。
【0017】
マイコン110は、特許請求の範囲に記載の「制御部」に相当するものであり、例えば算出を実行するCPU(Central Processing Unit)と、算出のためのプログラムを記録した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、算出経過の記憶や一時的な制御変数を記憶する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなる。マイコン110の内部には、プログラム等のソフトウェア情報等を記憶する記憶部(図示せず)が備えられている。マイコン110は、記憶部に記憶されたソフトウェアによって各制御処理を実行する。
【0018】
また、マイコン110は、駆動回路130にオンオフなどの制御信号を出力する。駆動回路130は、マイコン110からの制御信号に基づいてリニアソレノイド60を駆動する。より具体的には、駆動回路130は、マイコン110からのオンオフ信号に基づいてリニアソレノイド60の通電電流を制御する。従って、例えばマイコン110からのオンオフ信号の出力が停止されると、駆動回路130によるリニアソレノイド60の駆動が停止される。
【0019】
本実施形態では、マイコン110は、電圧検出部120を介して駆動回路130に供給される電源電圧を取得する。しかし、駆動回路130に供給される電源電圧は、電圧検出部120を介して取得する方法の他に、車載制御装置100とは異なる制御装置でモニタされた該電源電圧を通信で取得しても良い。
【0020】
なお、図2には、一つの電流制御回路170と、この電流制御回路170により駆動される一つのリニアソレノイド60を示したが、図1に示したように、リニアソレノイド60は複数設けられ、それぞれを駆動する電流制御回路170も複数設けられている。図2では、図示の簡略化のため、一つの電流制御回路170と、この電流制御回路170により駆動される一つのリニアソレノイド60とを代表として示す。
【0021】
以下、マイコン110がリニアソレノイドの通電電流を制御することを説明する。すなわち、マイコン110は、入力された各パラメータ値に基づいてリニアソレノイド60への目標電流値を算出し、算出した目標電流値と電流検出器150によって検出された検出電流値との差分を算出し、更に駆動回路130を動作させる駆動信号のDUTY(言い換えれば、駆動回路の出力DUTY)を決定し、決定した駆動信号のDUTYを駆動回路130に出力して駆動回路130を動作させる。そして、駆動信号のDUTYが高い場合、駆動回路130から出力される通電電流は大きく、駆動信号のDUTYが低い場合、通電電流は小さくなり、目標電流値と検出電流値の差分が小さくなるように制御される。
【0022】
また、負荷であるリニアソレノイド60に流れる負荷電流は、駆動回路130から出力される通電電流と、還流ダイオード140から出力される還流電流で構成される。通電電流は駆動回路130が動作している期間だけ流れ、非動作中は流れない。一方、還流電流は、駆動回路130が動作から非動作に変わった後の非動作期間中のみ流れる。
【0023】
このようなマイコン110の通電制御は、例えば車両走行中や走行開始後の車両停車中等において、ソフトウェア上で所定の周期で繰り返し実行される。
【0024】
以下、図3を参照して、本実施形態の車載制御装置100による電流検出器150の診断に関する制御処理について、詳細に説明する。
【0025】
図3に示すように、マイコン110は、電流検出器150の確からしさを診断するための診断部200を更に備えている。そして、診断部200は、出力回路DUTY算出部210と、電流算出部220と、比較部230と、判断部240とを有する。
【0026】
出力回路DUTY算出部210は、マイコンDUTY出力に基づいて、出力回路DUTY(言い換えれば、駆動回路出力DUTY)を算出する。マイコンDUTY出力は、すなわちマイコン110から駆動回路130に出力されるオンオフ信号である。より具体的には、出力回路DUTY算出部210は、図4に示す駆動回路入力DUTYと駆動回路出力DUTYとの関係グラフに基づいて、駆動回路130の出力DUTY信号値を算出する。
【0027】
図4において、横軸は駆動回路入力DUTY(言い換えれば、マイコンDUTY出力)、縦軸は駆動回路出力DUTYを示す。図4に示すように、DUTY不感帯を超えると、駆動回路出力DUTYが入力DUTYの増大に従って直線状に増えていく。例えば、入力DUTYがDUTY Aのとき、駆動回路出力DUTYとしてDUTY A’が算出される。そして、出力回路DUTY算出部210は、算出した駆動回路130の出力DUTYを電流算出部220に出力する。
【0028】
電流算出部220は、電圧検出部120によって検出された電源電圧V_monと、出力回路DUTY算出部210によって算出された出力DUTY DUTY_outと、マイコン110の記憶部に記憶された駆動回路オン抵抗値Ron_ic及び負荷抵抗値R_actとを取得し、取得したこれらのパラメータ値に基づいて、下記式1により、リニアソレノイド60に流れる目標電流値I_calを算出する。更に、電流算出部220は、算出した目標電流値I_calを比較部230に出力する。
【0029】
I_cal = V_mon / ( Ron_ic + R_act ) × DUTY_out (式1)
【0030】
駆動回路オン抵抗値Ron_icは、駆動回路130にオン信号が入力されたときのオン抵抗値であり、予めマイコン110の記憶部に記憶されている。負荷抵抗値R_actは、リニアソレノイド60の抵抗値であり、予めマイコン110の記憶部に記憶されている。
【0031】
比較部230は、電流算出部220によって算出された目標電流値I_calと、電流検出器150によって検出された検出電流値(すなわち、実際にリニアソレノイド60に流れる電流の値)とを比較し、目標電流値I_calと検出電流値との乖離を確認する。乖離の確認は、例えば目標電流値I_calに対して電流閾値の上下限値(電流範囲)を設定し、設定した上下限値の範囲に検出電流値が入っているか否かを確認する。
【0032】
また、比較部230は、検出電流値が設定した上下限値の範囲に入っていない間の時間を計測し、その計測した時間が規定時間以上であることを確認し、確認結果を示す信号を判断部240に出力する。なお、上述の電流閾値と規定時間は、例えばマイコン110の記憶部に記憶されている。
【0033】
判断部240は、比較部230から出力された出力信号に基づいて、電流検出器150の確からしさが問題ないか否かを判断する。電流検出器150の確からしさに問題があると判断された場合、マイコン110は、該マイコン110から駆動回路130に出力される駆動信号をオフし、駆動回路130を停止させることにより、リニアソレノイド60の駆動を停止する。
【0034】
このように構成された車載制御装置100では、診断部200は、上述の電源電圧V_monと、出力DUTY値 DUTY_outと、駆動回路オン抵抗値Ron_icと負荷抵抗値R_actとに基づいてリニアソレノイド60に流れる目標電流値I_calを算出し、算出した目標電流値I_calに基づいて設定された電流閾値の上下限値と、電流検出器150によって検出された検出電流値とを比較して電流検出器150の確からしさを診断する。
【0035】
従って、例えば車両走行中や走行開始後の車両停車中においても、リニアソレノイド60への電流制御の期間中であれば、電流検出器150の確からしさを診断することができる。このため、電流検出器150の診断時期が車両走行前に限定される従来技術と比べて、電流検出器150の確からしさをタイムリーに診断することができる。
【0036】
加えて、リニアソレノイド60を電流制御するための現状回路に対して、従来のように駆動回路の出力DUTYをモニタするためのモニタ回路を追加することなく、電流検出器150の確からしさの診断を実現できるので、車載制御装置100の大型化を抑制することができる。
【0037】
その結果、車載制御装置100の大型化を抑制できるとともに、電流検出器150の確からしさをタイムリーに診断することができる。
【0038】
[第2実施形態]
以下、図5及び図6を参照して車載制御装置の第2実施形態を説明する。本実施形態の車載制御装置100Aは、リニアソレノイド60の抵抗値である負荷抵抗値に温度の影響を考慮する点において、上述した第1実施形態と異なっている。
【0039】
具体的には、リニアソレノイド60の抵抗値は、リニアソレノイド60の温度に依存している。リニアソレノイド60の温度が高くなると、リニアソレノイド60の抵抗値は高くなり、リニアソレノイド60の温度が低くなると、リニアソレノイド60の抵抗値は低くなる。そこで、リニアソレノイド60の温度を直接または間接的に測定し、温度の変化に伴うリニアソレノイド60の抵抗値の変化を考慮することで、リニアソレノイド60の抵抗値をより正確に求めることができる。
【0040】
図5に示すように、本実施形態の車載制御装置100Aは、油圧回路50の温度を検出する温度モニタ部250を更に備えている。温度モニタ部250は、検出した結果をマイコン110に出力する。リニアソレノイド60は油圧回路50に取り付けられているので、リニアソレノイド60の温度が油圧回路50の油温とほぼ等しい。従って、本実施形態では、温度モニタ部250を介して油圧回路50の油温を検出し、検出した油温をリニアソレノイド60の温度とする。
【0041】
図6は第2実施形態の車載制御装置による電流検出器の診断に関する機能ブロック図である。本実施形態の診断部201は、出力回路DUTY算出部210、電流算出部220、比較部230及び判断部240に加えて、抵抗算出部260を更に有する。抵抗算出部260は、入力された負荷抵抗値と温度モニタ部250によって検出された温度(ここでは、油温)に基づいて、予め記憶されたリニアソレノイド60の抵抗値と温度との関係式やマップデータ等を利用し、リニアソレノイド60の抵抗値を補正算出し、補正算出した結果を電流算出部220に出力する。
【0042】
本実施形態の車載制御装置100Aによれば、上述の第1実施形態と同様の作用効果を得られるほか、診断部201が抵抗算出部260を更に有するので、温度変化によるリニアソレノイド60の抵抗値への影響を考慮して負荷抵抗値を算出することで、目標電流値I_calの算出精度を向上させることができる。その結果、電流検出器150の確からしさを診断する精度を高めることができる。
【0043】
[第3実施形態]
次に、図7及び図8を参照して車載制御装置の第3実施形態を説明する。本実施形態の車載制御装置は、駆動回路のオン抵抗値に温度の影響を更に考慮する点において、上述した第2実施形態と異なっている。
【0044】
具体的には、駆動回路130のオン抵抗値は、駆動回路130の温度に依存している。
駆動回路130の温度が高くなると、そのオン抵抗値は高くなり、駆動回路130の温度が低くなると、そのオン抵抗値は低くなる。また、駆動回路130を介してリニアソレノイド60へ通電を継続している場合、通電時間が長くなると、駆動回路130の温度が高くなる。なお、駆動回路130の温度は直接測定しても良いが、本実施形態では、通電時間が長くなるにつれて駆動回路130の温度が高くなる関係を利用し、駆動回路130を介してリニアソレノイド60に通電する時間(言い換えれば、負荷通電時間)を基に駆動回路130のオン抵抗値を算出する。
【0045】
従って、本実施形態の診断部202は、図7に示すようにオン抵抗算出部270を更に有する。そして、マイコン110は、駆動回路130を介してリニアソレノイド60へ通電する時間を計測し、計測した結果をオン抵抗算出部270に出力する。オン抵抗算出部270は、図8に示す負荷通電時間(すなわち、リニアソレノイド60への通電時間)と駆動回路オン抵抗値との関係グラフに基づいて、負荷通電時間から駆動回路130のオン抵抗値を算出し、算出した結果を電流算出部220に出力する。
【0046】
本実施形態の車載制御装置によれば、上述の第2実施形態と同様の作用効果を得られるほか、診断部202がオン抵抗算出部270を更に有するので、リニアソレノイド60への通電時間を用い、温度変化による駆動回路130のオン抵抗値への影響を考慮してオン抵抗値を算出することで、目標電流値I_calの算出精度を向上させることができる。その結果、電流検出器150の確からしさを診断する精度を一層高めることができる。
【0047】
[第4実施形態]
図1に示す車両用トランスミッションシステムでは、複数のリニアソレノイド60が取り付けられている。車載制御装置100は、各リニアソレノイドを適切に電流制御したりそれぞれの通電を停止したりすることで、変速機20の変速比等を制御できる。
【0048】
そして、上述の第1実施形態から第3実施形態においては、リニアソレノイド60の通電制御中に、電流検出器150の確からしさの診断を実施することを特徴としているが、変速機20のシステム上、通電制御が必要ないリニアソレノイド60に対応する電流検出器150に対し、電流検出器150の確からしさの診断を行うことができないという問題がある。
【0049】
そこで、本実施形態では変速機20のシステム上、通電制御が必要ないリニアソレノイド60に対応する電流検出器150に対しても、電流検出器150の確からしさの診断を行えることを特徴としている。それを実現するために、本実施形態の車載制御装置は、図9に示すフローチャートで制御処理を行う。
【0050】
図9に示すフローチャートは、例えば車両走行中や走行開始後の車両停車中において、所定の周期で繰り返し実行される。まず、ステップS100では、マイコン110は、変速機システム上において、リニアソレノイド60に関して通電制御が不要か否かを判断する。リニアソレノイド60の通電制御が必要と判断された場合、制御処理はステップS101に移行し、通常の電流制御が行われる。このとき、例えば第1実施形態から第3実施形態のいずれかで述べたように、通電制御が必要なリニアソレノイド60について、それぞれに対応する電流検出器150の確からしさの診断が実行される。ステップS101が終わると、制御処理は終了する。
【0051】
一方、ステップS100でリニアソレノイド60の通電制御が不要と判断された場合(言い換えれば、通電制御が必要とされない場合)、制御処理はステップS102へ移行する。ステップS102では、マイコン110は、変速機システム上において、リニアソレノイド60に対して、電流検出器150の診断が行える微小電流を流しても良いか否かを判断する。ここでの微小電流は、通電しても変速機システム上影響のないと考えられる通電電流であって、マイコン110によって算出されるものである。そして、変速機システム上、リニアソレノイド60に微小電流を流しても問題ないと判断された場合、制御処理はステップS103へ移行する。一方、変速機システム上、リニアソレノイド60に微小電流を流せないと判断された場合、制御処理は終了する。
【0052】
ステップS103では、マイコン110は、対応する電流検出器150の診断を行うために、診断用微小電流を該電流検出器150に通電する。具体的には、マイコン110は、対応する電流検出器150に対し、診断用微小電流となるDUTY出力を行う。ステップS103に続くステップS104では、マイコン110の診断部は、上述の第1実施形態から第3実施形態のいずれかで述べたように電流検出器150の診断処理を行う。ステップS104が終わると、一連の制御処理は終了する。
【0053】
本実施形態の車載制御装置によれば、上述の第1実施形態から第3実施形態と同様の作用効果を得られるほか、変速機のシステム上、通電制御が必要とされないリニアソレノイド60に対応する電流検出器150に対しても、通電制御が必要とされるリニアソレノイド60に対応する電流検出器150と同様の診断を行うことができる。その結果、通電制御が必要とされないリニアソレノイド60に対応する電流検出器150の確からしさも診断できるので、電流検出器150の故障の検出率を改善することができる。
【0054】
[第5実施形態]
続いて、図10及び図11を参照して車載制御装置の第5実施形態を説明する。本実施形態の車載制御装置と第3実施形態との相違点として、診断部203は電流検出器150の診断判定時間を算出する判定時間算出部280を更に有しており、判定時間算出部280は、リニアソレノイド60への指示電流に基づいて、リニアソレノイド60の温度算出値と実際の温度との差を考慮して電流検出器150の診断判定時間を算出する。そして、比較部230は、判定時間算出部280により算出された診断判定時間と電流検出器150により検出された検出電流値とを更に比較する。
【0055】
ここで、本実施形態に至った経緯を説明する。図1に示す車両用トランスミッションシステムでは、リニアソレノイド60は変速機20の油圧回路50に取り付けられている。
油圧回路50内にはオイルが含まれており、オイルによる油圧制御や冷却が行われている。そして、例えばリニアソレノイド60に通電する電流がゼロの状態から1Aへ短時間で急峻に変化した場合、通電開始から通電によってリニアソレノイド60の負荷温度は上昇する。
【0056】
一方、油圧回路50内のオイルは、リニアソレノイド60の負荷温度の上昇に伴って徐々に上昇するので、油圧回路50から出力される油温信号を基にしたリニアソレノイド60の負荷温度の算出値と実際のリニアソレノイド60の負荷温度が一致するには、時間差が生じる。すなわち、リニアソレノイド60の通電量に依存し電流算出部220で算出する目標電流値が時間とともに変化するので、電流検出器150の確からしさの診断をより正しく行って誤診断を避けるためには、上述の時間差の考慮が必要という問題がある。
【0057】
この問題を解決するため、本実施形態では、リニアソレノイド60の通電量の変化に基づく油温信号の時間的変化量が更に考慮される。そして、診断部203は、比較部230を介して電流算出部220から出力された目標電流値と、電流検出器150により検出された検出電流値とを比較したうえ、更に検出電流値が上述した電流閾値の上下限値の範囲に入っていない間の時間を計測し、リニアソレノイド60の通電量に基づいて設定される診断の判定時間を用いて電流検出器150の確からしさの診断を行う。
【0058】
より具体的には、上述の第3実施形態において、比較部230は、電流算出部220から出力された目標電流値と、電流検出器150から出力された検出電流値とを比較し、検出電流値と目標電流値との乖離を判断する構成としている。これに対して、本実施形態の診断部203は、図10に示すように、上記第3実施形態の診断部202の構成に加えて判定時間算出部280を更に有する。判定時間算出部280は、図11に示す指示電流偏差と診断判定時間との関係グラフに基づいて、リニアソレノイド60の通電量を決める指示電流から診断判定時間を算出し、算出した結果を比較部230に出力する。
【0059】
判定時間算出部280は、図11に示すリニアソレノイド60の指示電流偏差と上述の負荷温度が一致するまでの時間差を考慮した判定時間の関係グラフから、判定時間を算出し、算出した判定時間を比較部230に出力する。なお、図11の関係グラフは、リニアソレノイド60の指示電流偏差と負荷温度が一致するまでの時間差が考慮されているため、変速機20を構成する油圧回路50の大きさや油圧回路50で使われるオイルの使用量などを加味して、関係グラフを決めても良い。
【0060】
そして、比較部230は、電流算出部220によって算出された目標電流値I_calと、電流検出器150によって検出された検出電流値とを比較し、更に判定時間算出部280によって算出された診断判定時間を用いて検出電流値と比較し、判断部240へ出力する出力信号を決める。
【0061】
本実施形態の車載制御装置によれば、上述の第3実施形態と同様の作用効果を得られるほか、診断部203が判定時間算出部280を更に有するので、リニアソレノイド60に流れる電流に対する指示電流の偏差に基づき、診断判定時間を算出する。図11に示すように、指示電流偏差が小さいと、電流検出器150の診断判定時間が短く、指示電流偏差が大きくなるにつれ、電流検出器150の診断判定時間が長くなる。このように判定時間算出部280により算出された診断判定時間を用いて、リニアソレノイド60の温度算出値と実際の温度とが一致するための時間差を考慮することで、電流検出器150の確からしさの診断精度を更に高めることができる。
【0062】
[第6実施形態]
次に図12及び図13を参照して車載制御装置の第6実施形態を説明する。本実施形態の車載制御装置は、上述の第5実施形態と同じ問題を解決するためになされるものである。
【0063】
第5実施形態においては、比較部230は、電流算出部220によって算出された目標電流値I_calと、電流検出器150によって検出された検出電流値と、判定時間算出部280によって算出された判定時間とを用いて、電流検出器150の確からしさの確認を行う。これに対して、本実施形態では、図12に示すように、本実施形態の診断部204は、上記第5実施形態の判定時間算出部280に代えて判定閾値算出部290を有する。
【0064】
すなわち、本実施形態の診断部204は、電流検出器150の診断判定閾値を算出する判定閾値算出部290を更に有する。該判定閾値算出部290は、リニアソレノイド60への指示電流に基づいて、リニアソレノイド60の負荷抵抗算出値と実際の負荷抵抗値との差を考慮して電流検出器150の診断判定閾値を算出する。そして、比較部230は、判定閾値算出部290により算出された診断判定閾値と電流検出器150により検出された検出電流値とを更に比較する。
【0065】
より具体的には、判定閾値算出部290は、図13に示す指示電流偏差と診断判定閾値との関係グラフに基づいて、リニアソレノイド60への通電量を決める指示電流から診断判定閾値を算出し、算出した結果を比較部230に出力する。
【0066】
図13に示すように、指示電流偏差が小さいと、電流検出器150の診断判定閾値が小さく、指示電流偏差が大きくなるにつれ、電流検出器150の診断判定閾値が大きくなる。なお、診断判定閾値は、例えば上述のリニアソレノイド60の実際の負荷抵抗と、油圧回路から出力される油温信号を基にして抵抗算出部260で算出される負荷抵抗の偏差を考慮して設定されたものである。
【0067】
比較部230は、電流算出部220によって算出された目標電流値I_calと、電流検出器150によって検出された検出電流値とを比較し、更に判定閾値算出部290によって算出された診断判定閾値を用いて検出電流値と比較し、判断部240へ出力する出力信号を決める。
【0068】
本実施形態の車載制御装置によれば、上述の第3実施形態と同様の作用効果を得られるほか、判定閾値算出部290により算出された診断判定閾値を用いて、リニアソレノイド60の負荷抵抗算出値と実際の負荷抵抗値との差を考慮することで、電流検出器150の確からしさの診断精度を更に高めることができる。
【0069】
[第7実施形態]
次に図14を参照して車載制御装置の第7実施形態を説明する。
【0070】
第1実施形態では、目標電流値の算出に負荷抵抗値は、予め設定されてマイコン110の記憶部に記憶されている。しかし、例えば、記憶部に記憶されている負荷抵抗値のデータが何らかの原因で破損した場合、電流算出部220で算出される目標電流値は正しく求めることができなくなる問題がある。
【0071】
そこで、本実施形態では、リニアソレノイド60の負荷抵抗基準値を各パラメータ値から算出し、算出した負荷抵抗基準値を目標電流値の算出処理に適用することで、上記問題を解決することができる。なお、ここでの負荷抵抗基準値は、上述の負荷抵抗値と同じ意味である。
【0072】
図14に示すように、本実施形態の診断部205は、リニアソレノイド60の負荷抵抗基準値を算出するための抵抗基準値算出部300を有する。抵抗基準値算出部300は、入力される各パラメータ値に基づいて、下記式2により、リニアソレノイド60の負荷抵抗基準値R_act_baseを算出し、算出した結果を電流算出部220へ出力する。
【0073】
R_act_base = (V_mon × DUTY_out - Ron_ic ×I_mon) / I_mon (式2)
【0074】
式2において、V_monは電源電圧、DUTY_outは出力回路DUTY値、Ron_icは駆動回路オン抵抗値、I_monは電流検出器150により検出された検出電流値である。
【0075】
負荷抵抗基準値R_act_baseの算出は、車載制御装置100が起動された直後に行われるのが好ましい。このように車載制御装置100が起動された直後に負荷抵抗基準値を算出しておくことで、それ以後の車両走行中または車両停車中において、算出された負荷抵抗基準値を用いて電流検出器150の確からしさの診断を行うことができる。
【0076】
本実施形態の車載制御装置によれば、上述の第1実施形態から第3実施形態と同様の作用効果を得られるほか、診断部205が抵抗基準値算出部300を更に有するので、仮にマイコン110の記憶部に記憶されている負荷抵抗値のデータが破損しても、抵抗基準値算出部300でリニアソレノイド60の負荷抵抗基準値を算出し、算出した値を用いて、電流検出器150の確からしさの診断を行うことができる。
【0077】
なお、上記第1実施形態から第7実施形態の車載制御装置の一例としては、CVT(Continuously Variable Transmission)の制御装置がある。この場合、複数のリニアソレノイド60が駆動する対象は、プライマリプーリ、セカンダリプーリ等である。
【0078】
また、上記第1実施形態から第7実施形態において、リニアソレノイド60に流れる電流を検出する電流検出器150が1つの例について説明しているが、複数のリニアソレノイドに備えられるそれぞれの電流検出器の確からしさを診断する構成であっても構わない。
【0079】
更に、上記第1実施形態から第7実施形態において、車載制御装置が車両用トランスミッション(車両用自動変速機)システムに適用される例を述べたが、本発明の車載制御装置は車両用自動変速機に限定されず、電磁誘導負荷を駆動する同様の回路構成を備える車両用制御装置(例えば、エンジン制御装置)に適用しても良く、その場合は上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0081】
10 エンジン
20 変速機
30 駆動輪
40 油圧ポンプ
50 油圧回路
60 リニアソレノイド(電磁誘導負荷)
80 バッテリ
100,100A 車載制御装置
110 マイコン(制御部)
120 電圧検出部
130 駆動回路
140 還流ダイオード
150 電流検出器
151 シャント抵抗
152 電流検出部
160 出力端子
170 電流制御回路
200,201,202,203,204,205 診断部
210 出力回路DUTY算出部
220 電流算出部
230 比較部
240 判断部
250 温度モニタ部
260 抵抗算出部
270 オン抵抗算出部
280 判定時間算出部
290 判定閾値算出部
300 抵抗基準値算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14