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特許73797064-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン、保存剤及び/又は酸化防止剤、界面活性剤並びにポリマーを含有する組成物、並びにその組成物を使用してケラチン物質を処理するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン、保存剤及び/又は酸化防止剤、界面活性剤並びにポリマーを含有する組成物、並びにその組成物を使用してケラチン物質を処理するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/35 20060101AFI20231107BHJP
   A01N 35/02 20060101ALI20231107BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20231107BHJP
   A23L 3/3454 20060101ALI20231107BHJP
   A23L 3/3499 20060101ALI20231107BHJP
   A23L 3/3544 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 31/121 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231107BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20231107BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231107BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231107BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231107BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20231107BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231107BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
A61K8/35
A01N35/02
A01P3/00
A23L3/3454
A23L3/3499
A23L3/3544
A61K8/34
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/92
A61K9/107
A61K31/121
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/44
A61P17/00
A61P17/18
A61P31/00
A61Q1/00
A61Q1/14
A61Q17/04
A61Q19/00
A61Q19/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022533582
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2020084343
(87)【国際公開番号】W WO2021110784
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】1913636
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】イザベル・ボッサン
(72)【発明者】
【氏名】ソニア・エイロー
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-509627(JP,A)
【文献】国際公開第2018/115058(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/002396(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/002391(WO,A1)
【文献】特開2014-172908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 31/00-31/22
A61P 17/00-17/18
A23L 3/00- 3/54
A01N 35/00-35/10
A01P 1/00-23/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)1つ若しくは複数の4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン化合物又はその1つ若しくは複数の有機若しくは無機塩基塩及びまたその溶媒和物と、
ii)4-ヒドロキシアセトフェノン、並びに/又は、その塩、及び/もしくは、その溶媒和物である、i)以外の1つ若しくは複数の保存剤及び/又は1つ若しくは複数の酸化防止剤と、
iii)1つ又は複数の界面活性剤と、
iv)1つ又は複数の増粘ポリマーと、任意選択的に、
v)1つ又は複数の脂肪物質と
を含む混合物であって、前記混合物がいかなるカチオン性界面活性剤も含まないか、又は、前記混合物が1つ又は複数のカチオン性界面活性剤を含む場合、前記1つ又は複数のカチオン性界面活性剤は、i)~v)の総質量に対して3質量%未満の量であり、
質量比i)/ii)は、1~4の範囲である、
混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の成分i)、ii)、iii)及びiv)並びに任意選択的にv)の混合物を含む組成物であって、前記組成物は、前記組成物の総質量に対して0.5質量%未満の量のカチオン性界面活性剤む、組成物。
【請求項3】
非イオン性及びアニオン性界面活性剤並びにその混合物から選択される1つ又は複数の界面活性剤を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
(ポリ)エトキシル化脂肪アルコール;グリセロール化脂肪アルコール;アルキルポリグリコシド又はこれらの混合物から選択される1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含む、請求項又はに記載の組成物。
【請求項5】
アルキルカルボン酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、アシルサルコシネート、アシルグルタメート、アルキルスルホスクシナメート、アシルイセチオネート及びN-アシルタウレート、ポリグリコシド-ポリカルボン酸のアルキルモノエステルの塩、ポリグリコシド-ポリカルボン酸のアルキルジエステルの塩、アシルラクチレート、D-ガラクトシド-ウロン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルアリールエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩並びに全ての前記化合物の対応する非塩化形態から選択される1つ又は複数のアニオン性界面活性剤を含み、全ての前記化合物のアルキル及びアシル基は、8~30個の炭素原子を含み、前記アニオン性界面活性剤は、アルカリ金属、アンモニウム、アミノアルコール及びアルカリ土類金属塩又は前記化合物の混合物の形態であり得る、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
界面活性剤の量は本発明の前記組成物の総質量に対して0.5質量%~30質量%の範囲である、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
)バター、
b)ワックス、
)8~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のアルコールから選択される非液体脂肪アルコール並びにこれらの混合物、
d)非液体脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、
e)モノアルコールのエステルであって、前記エステルが由来するアルコール又は酸の少なくとも1つは、分岐状である、モノアルコールのエステル
f)3~7つのケイ素原子を含む環式ポリジアルキルシロキサン、
g)植物起源の油又は合成トリグリセリ
ら選択される1つ又は複数の脂肪物質を含む、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1つ又は複数の脂肪物質を前記組成物の総質量に対して1質量%~40質量%の範囲の量で含む、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
会合性又は非会合性である、1つ又は複数の増粘有機ポリマーを含む、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
- アクリレートモノマーCH=C(R’)-COOR’’’ (VIa)、及び/又は
- アクリルアミドモノマーCH=C(R’)-CO-N(R’’)-LYM (VIb)
(式(VIa)及び(VIb)中、
*同一であるか又は異なり得るR’及びR’’は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、
*R’’’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、水素原子又は1つ若しくは複数のヒドロキシル、カルボキシル若しくはアミノ基で任意選択的に置換されている(C~C)アルキル基を表し、
*Lは、1つ又は複数のヘテロ原子で任意選択的に中断及び/又は置換されており、且つ1~20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の環式又は非環式の二価の炭化水素ベースの基を表し
*Yは、アニオン基をす、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
1つ又は複数の増粘有機ポリマーを含、請求項11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
1つ又は複数の増粘有機ポリマーを前記組成物の総質量に対して0.01質量%~10質量%の範囲の含量で含む、請求項11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項に記載の1つ又は複数の脂肪物質及び請求項のいずれか一項に記載の1つ又は複数の界面活性剤を含み、その脂肪物質/界面活性剤質量比は、両端を含めて、5~20である、請求項12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項又はに記載の1つ又は複数の脂肪物質と、請求項のいずれか一項に記載の1つ又は複数の界面活性剤と、請求項12のいずれか一項に記載の1つ又は複数の増粘有機ポリマーとを含み、前記脂肪物質/界面活性剤及びポリマーの合計[界面活性剤+ポリマー]のその質量比は、両端を含めて、0.8~10である、請求項13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
水性相及び有機又は油性相を含、請求項14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
)C~Cアルカノール、)室温(25℃)において水と混和性のポリオール、c)ポリオールエーテル、及びまたd)芳香族アルコールを含む、請求項15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の総質量に対して、両端を含めて0.1質量%~40質量%の量で存在する1つ又は複数の有機溶媒を含む、請求項16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
ラチン物質をケア、及び/又はメイクアップ、及び/又はクレンジングするための非治療的な美容的処置方法であって、請求項17のいずれか一項に記載の組成物の、前記ケラチン物質への適用を含む方法。
【請求項19】
生理学的に許容される媒体を含む組成物を保存するための方法において、請求項1~のいずれか一項に記載の抗微生物混合物又は請求項17のいずれか一項に記載の組成物を前記組成物中に組み込むことを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、i)少なくとも1つの4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オンと、ii)i)以外の少なくとも1つの保存剤及び/又は少なくとも1つの酸化防止剤と、iii)少なくとも1つの界面活性剤と、iv)少なくとも1つのポリマー、特に好ましくは有機である増粘ポリマーと、v)任意選択的に脂肪物質とを含む組成物であって、組成物がカチオン性界面活性剤を含む場合、カチオン性界面活性剤は、組成物の総質量に対して3質量%未満の濃度であることが理解される、組成物に関する。本発明は、抗微生物剤としてのi)~vi)の使用、i)~vi)を含む組成物を使用してケラチン物質を処理するための方法及び成分i)~vi)を含むキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
微生物は、保存剤を有さない化粧品、医薬製品及び食料製品中で生存及び繁殖することができる。保存剤は、経時的な微生物成長を防止するために、貯蔵又は保存されることを意図する全ての工業調製品に恒常的に加えられる。
【0003】
前記製品中に入れられる出発成分が「清浄」である、すなわち汚染微生物が存在しないときでも、工業製品の生産中の微生物汚染は、一般的である。例えば、大部分の化粧品、医薬製品又は食料製品中に遍在している水は、汚染微生物を含有するべきではない。全ての他の成分はまた、汚染微生物の存在についてスクリーニングされなければならない。これらの工業製品の生産中の清浄度、内容物の加工及び容器の充填は、綿密にモニターされなければならない。これらの注意にもかかわらず、製品の微生物に関する完全性は、製品と適合性である1つ又は複数の保存剤の存在及び組成物の安定性を必要とし得る。製品は、汚染微生物が成長することも存続できることも許容してはならない。加えて、指、化粧品のアプリケータ及び周囲空気が滅菌されていないため、使用中に清浄度を維持することに問題が残る。したがって、通常の使用中に消費者がもたらす微生物による汚染を低減させるために保存剤が必要とされる。
【0004】
一般的な原則として、病原微生物は、販売されている全ての製品、特に化粧品において非存在でなければならない(非特許文献1)。長年にわたり、保存の問題によっても、耐性の汚染微生物をカバーするスペクトラムを伴う保存剤の導入がもたらされてきた。
【0005】
さらに、一般に使用される保存剤のいくつかは、種々の界面活性剤によって不活性化されるようである。保存剤がより疎水性であるほど、これが分子集団系、例えばミセル中に捕捉され、それに続いて微生物、特に病原微生物に対してより有効でなくなるか又はさらに無効となる危険性が大きくなる(非特許文献2)。
【0006】
したがって、これらの課題を満たす新規な抗微生物関連を提案することは、非常に重要である。
【0007】
4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(EZ)は、組成物を微生物汚染に対して保護するための、組成物、特に化粧用組成物の保存剤として公知の成分である(例えば、(特許文献1)を参照されたい)。前記化合物は、単独で又は他の保存剤若しくは非保存剤化合物との混合物として使用されている(例えば、(特許文献2)を参照されたい)。可能な場合、好ましくは、それを含有する組成物の総質量に対して1質量%未満の低下した濃度において、組成物中、特に化粧用又は医薬組成物中、特に皮膚用組成物中でこの保存剤を使用することができることは、高い関心が持たれている。この組成物は、経時的な匂いの変化を回避し、また保存剤としてのその能力、すなわちその抗微生物有効性を保存すると同時に、同一の又はさらに増加した抗微生物効果を有するのみならず、経時的に安定な組成物である。(特許文献3)及び(特許文献4)も、EZ及び芳香族アルコール型の別の保存剤を含む化粧用組成物を記載している。これらの組成物は、特に皮膚への適用後のマット効果及び/又はソフトフォーカス効果に関して、また特に温度に対する配合物安定性に関して満足な外観を必ずしも与えない。
【0008】
加えて、配合物に対して安定なままであり、粘着性が高すぎない、すなわち90ポイズ未満、好ましくは45ポイズ未満であるいくつかの抗微生物剤を含む組成物を有することに高い関心が持たれている。25℃以上、特に37~45℃の温度及び/又は25℃未満、特に1~10℃、例えば4℃の温度において数週間又はさらに数カ月の貯蔵後でも、経時的に特に外観及び/又は粘度に関して組成物が変化しないことも求められている。
【0009】
そのうえ、ケラチン物質、特に皮膚に適用されることが意図される組成物は、可能な場合、化粧用組成物の適用後に非光沢効果又はさらに可能な場合にはマット効果を有さなければならない。
【0010】
ケラチン物質に適用される組成物の感覚に関して、フレッシュな感覚を伴うこともあり得る感触とともに十分長い適用の快適な効果が非常に多くの場合に求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2011/039445号パンフレット
【文献】国際公開第2018/115058号パンフレット
【文献】仏国特許出願公開第1756156号明細書
【文献】国際公開第2019/002400号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【文献】Kirk Othmer Encyclopedia,Cosmetics,Martin M.Rieger,04/12/2000;https://doi.org/10.1002/0471238961.0315191318090507.a01
【文献】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,“Skin Cosmetics”,G.Schneider et al.,volume 33,p.221,2012 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim DOI:10.1002/14356007.a24_219
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
予想外であることに、i)少なくとも1つの4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン又はその有機若しくは無機塩基塩及びまた水和物などのその溶媒和物と、ii)i)以外の少なくとも1つの保存剤及び/又は少なくとも1つの酸化防止剤と、iii)少なくとも1つの界面活性剤と、iv)好ましくは有機である少なくとも1つの増粘ポリマーと、v)任意選択的に、特に室温及び周囲圧力において液体である少なくとも1つの脂肪物質との混合物であって、混合物が1つ又は複数のカチオン性界面活性剤を含む場合、1つ又は複数のカチオン性界面活性剤は、成分i)~v)の総質量に対して3質量%未満の濃度であることが理解される、混合物により、経時的に配合物の物理化学的安定性を保存すると同時に、抗微生物活性の改善又はさらに相乗作用を有する抗微生物混合物を得ることが可能であることが発見された。さらに、上記で定義された成分i)~iv)及び任意選択的にv)を含む、以下で定義される組成物は、室温又はさらに25℃より高い温度(37及び45℃)において数週間又はさらに数カ月間安定なままであることがわかっている。さらに、成分i)~iv)及び任意選択的にv)の組合せ又は組成物のいずれも、経時的に匂いの変化又は不快な臭いを示さないことがわかっている。
【0014】
さらに、本発明の組成物の粘度は、ケラチン物質への良好な適用のために十分であり、且つ/又は経時的に安定である。ケラチン物質、特に皮膚への適用は、快適であり、特に皮膚上で円を描くように指を移動させることによって組成物を適用するときに良好な感覚がある。適用中に皮膚上において快適でフレッシュな感覚も認められ得る。
【0015】
本発明の主題は、上記で定義された成分i)~iv)及び任意選択的にv)を含む組成物、特に化粧用組成物であって、前記組成物は、組成物の総質量に対して0.5質量%未満の量のカチオン性界面活性剤を含むことが理解される、組成物、特に化粧用組成物でもある。
【0016】
本発明の主題は、ケラチン物質の非治療的な美容的処理のための方法であって、上記で定義された成分i)~iv)及び任意選択的にv)を含む組成物、特に化粧用組成物の、前記ケラチン物質、特に皮膚などのヒトケラチン物質への適用を含む方法でもある。この方法は、ケラチン物質をケア、メイクアップ、香り付け又はクレンジングするための美容的方法であり得る。
【0017】
本発明の主題は、特に生理学的に許容可能な媒体を含む組成物、特に化粧用又は医薬組成物を保存するための方法であって、上記で定義された抗微生物混合物i)~iv)及び任意選択的にv)を前記組成物中に組み込むことを含むことを特徴とする方法でもある。
【0018】
下記の実施例の結果は、上記で定義されたi)、ii)、iii)及びiv)並びに任意選択的にv)の組合せの抗微生物活性が、いくつかの混合物で行った最小阻止濃度(MIC)測定によると、等しい量のi)単独又はii)単独と比較して改善することを示す。
【0019】
i)、ii)、iii)及びiv)並びに任意選択的にv)の組合せは、特にアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対して優れた抗微生物活性を有する抗微生物混合物を得ることを可能にする。さらに、組成物は、7日後、15日後又は1カ月後でさえ、室温において抗微生物活性を保持しながら経時的に安定なままである。
【0020】
より正確には、本発明の主題は、上記で定義されたi)、ii)、iii)及びiv)並びに任意選択的にv)を含むか又はそれから構成される(又はそれからなる)抗微生物混合物であって、前記組合せの総質量に対して80質量%~90質量%の組合せである、抗微生物混合物である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的に関して、別段の指定がない限り、以下の通りである。
- 用語「増粘ポリマー」は、1質量%及びpH=7において、30%エタノールを含有する水溶液若しくは含水アルコール溶液中又は液体石油ゼリー、ミリスチン酸イソプロピル若しくはシクロペンタジメチルシロキサンから選択される油中に導入される場合、25℃及び1s-1の剪断速度において100cps以上、好ましくは少なくとも500cpsの粘度を達成することを可能にするポリマーを意味する。この粘度は、コーン/プレート粘度計(Haake R600レオメーターなど)を使用して測定され得る。増粘ポリマーは、水性相及び/又は脂肪相、優先的には水性相を増粘し得る;
- 用語「有機」増粘ポリマーは、炭素及び水素並びに場合により窒素、酸素、硫黄、ハロゲン、例えばフッ素、塩素又は臭素並びにまたリン、アルカリ金属、例えばナトリウム若しくはカリウム又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウム若しくはカルシウムから形成される、上記で定義したような増粘ポリマーを意味する。本発明による有機ポリマーは、ケイ素を含まない;
- 本発明によると、用語「非セルロースベースの有機増粘ポリマー」は、いかなるセルロース単位も含まない有機増粘ポリマーを意味する;
- 用語「界面活性剤」は、2つの表面間の表面張力を変化させることができる化合物である「表面剤」を意味し;界面活性剤は、両親媒性分子であり、すなわち、これらは、異なる極性の2つの部分を含有し、1つは、親油性及び無極性であり、他方は、親水性及び極性である;
- 本発明の目的のために、用語「脂肪物質」は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶性である有機化合物を意味し(5%未満、好ましくは1%未満、より優先的にはさらに0.1%未満の溶解度);さらに、脂肪物質は、同じ温度及び圧力条件下で有機溶媒、例えばハロゲン化溶媒、例えばクロロホルム若しくはジクロロメタン、低級アルコール、例えばエタノール又は芳香族溶媒、例えばベンゼン若しくはトルエンに可溶性である。
- 用語「有機又は無機酸塩」は、特にi)塩酸HCl、ii)臭化水素酸HBr、iii)硫酸HSO、iv)アルキルスルホン酸:Alk-S(O)OH、例えばメタンスルホン酸及びエタンスルホン酸;v)アリールスルホン酸:Ar-S(O)OH、例えばベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸;vi)クエン酸;vii)コハク酸;viii)酒石酸;ix)乳酸;x)アルコキシスルフィン酸:Alk-O-S(O)OH、例えばメトキシスルフィン酸及びエトキシスルフィン酸;xi)アリールオキシスルフィン酸、例えばトルエンオキシスルフィン酸及びフェノキシスルフィン酸);xii)リン酸HPO;xiii)酢酸CHC(O)OH;xiv)トリフリン酸CFSOH;並びにxv)テトラフルオロホウ酸HBFに由来する塩から選択される塩を意味する;
- 用語「有機又は無機塩基塩」は、以下で定義するようなアルカリ性塩基又はアルカリ化剤、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、アンモニア水、アミン又はアルカノールアミンの塩を意味する。
- 用語「カチオン性対イオン」は、式(I’)又は(II’)の成分のアニオン電荷を均衡させる有機又は無機塩基塩に由来するカチオン又はカチオン基を意味し;より特に、カチオン性対イオンは、i)アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム、好ましくはNa、ii)アルカリ土類金属、例えばカルシウム;iii)アンモニウムRから選択され、同一の又は異なり得るRは、水素原子又は1つ若しくは複数のヒドロキシ基で任意選択的に置換されている基(C~C)アルキルを表し、好ましくは、Rは、水素原子又は基(C~C)アルキル、例えばメチルを表す。
- 共役し得る1つ若しくは複数の二重結合及び/又は1つ若しくは複数の三重結合を含む場合、炭化水素ベースの鎖は、「不飽和」であるか、又は環式基は、「不飽和」である;
- 「アルキル基」は、飽和の直鎖状又は分岐状のC~C20、好ましくはC~C、より優先的にはC~C炭化水素ベースの基、例えばメチル又はエチルである;
- 「アルキレン基」は、1~4つの共役又は非共役二重結合-C=C-を含有し得る、従前に記載したような不飽和二価炭化水素ベースの基であり;アルケニレン基は、1つ又は2つの不飽和を特に含有する;
- アルキル基に割り当てられる表現「任意選択的に置換されている」は、前記アルキル基が、以下の基i)ヒドロキシル、ii)C~Cアルコキシ、iii)アシルアミノ、iv)同一の又は異なる1つ又は2つのC~Cアルキル基で任意選択的に置換されているアミノから選択される1つ又は複数の基で置換され得ることを意味する;
- 「アルコキシ基」は、アルキル-オキシ基であり、ここで、アルキル基は、直鎖状又は分岐状のC~C16、優先的にはC~C炭化水素ベースの基である;
- 表現「少なくとも1」は、「1又は複数」と同等である;
- 「複素環」基は、環の少なくとも1つの環員の一部を形成する酸素、硫黄及び窒素から選択される1~5つのヘテロ原子を含む飽和又は不飽和、芳香族又は非芳香族、単環式又は多環式の炭化水素ベースの5~12員環式基であり;特に複素環基は、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、フリル、ピリジル、インドリル及び(ベンズ)イミダゾリルから選択される;
- 「シクロアルキル」基は、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどの4~14個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、非芳香族、単環式又は多環式の4~14員炭化水素ベースの基である;
- 「アリール」基は、フェニル又はジフェニル、好ましくはフェニルなどの6~14個の炭素原子を含む不飽和、芳香族、単環式又は多環式の6~14員炭化水素ベースの基である;
- 用語「包括的」は、濃度の範囲に関して、範囲の限度が定義された間隔に含まれることを意味する。
【0022】
i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オンは、式(I):
[化学式1]
【化1】
の化合物である。
【0023】
i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オンは、溶媒和形態、特に水和形態で見出され得る。
【0024】
i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オンは、以下の式(I’):
[化学式2]
【化2】
(式’(I’)中、Mは、カチオン性対イオン、特にアルカリ金属、例えばナトリウム又はカリウム、アルカリ土類金属、例えばカルシウム又はアンモニウムを表す)
の有機又は無機塩基で塩化された形態で見出され得る。
【0025】
ii)保存剤及び/又は酸化防止剤
本発明の特定の実施形態によると、成分ii)は、1つ又は複数の保存剤を表す。
【0026】
「保存剤」ii)は、上記で定義されたi)以外の保存剤であることが理解される。
【0027】
用語「保存剤(preservative)」又は「保存剤(preserving agent)」は、いずれかの化粧品的に又は医薬的に許容される化合物を意味し、そしてそれは、それらの調製の瞬間から、それらが貯蔵される間、そして消費者によるそれらの従来の使用の時間まで、化粧用又は医薬組成物中で生じ得る微生物成長(又は微生物の成長)を防止することができる。特に挙げられ得る保存剤は、Cosmetics,Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology.John Wiley&Sons,Inc.,Martin M.Rieger;5.2 preservatives&table 3,04/12/2000,https://doi.org/10.1002/0471238961.0315191318090507.a01に記載される保存剤を含む。
【0028】
特定の実施形態によると、保存剤は、芳香族基を有する有機保存剤から選択される。
【0029】
好ましくは、i)以外の保存剤は、a)ヒドロキシル、(C~C10)アルキル及び(C~C10)アルキルカルボニルから選択される1つ又は複数の基でフェニル基上において任意選択的に置換されているベンゼンベースのカルボン酸並びにまた特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属のその塩基塩、b)パラベン、特にメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン及びブチルパラベンなどの(C~C10)アルキルから選択される1つ又は複数の基でフェニル基上において任意選択的に置換されているヒドロキシ安息香酸エステル、c)芳香族アルコールから選択され、好ましくは、i)以外の保存剤は、a)及び特に安息香酸[65-85-0]並びに特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属のその塩基塩;並びにまた(C~C)アルキルカルボニル基で任意選択的に置換されているサリチル酸、好ましくはサリチル酸から選択される。
【0030】
別の実施形態によると、i)以外の保存剤ii)は、フェノキシエタノールなどの芳香族アルコールc)から選択される。
【0031】
本発明の別の有利な実施形態によると、成分ii)は、1つ又は複数の酸化防止剤を表す。
【0032】
用語「酸化防止剤」は、それと接触する他の成分の酸化を防止するか又は遅くする、いずれかの化粧品的に又は医薬的に許容される化合物を意味する。酸化は、特に大気酸素の存在、照射及びフリーラジカルのその場での形成のため、それらの調製の瞬間から、それらが貯蔵される間、そして消費者によるそれらの従来の使用の時間まで、化粧用又は医薬組成物中で生じ得る。特に挙げられ得る酸化防止剤は、Cosmetics,Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology.John Wiley&Sons,Inc.,Martin M.Rieger;5.1 antioxidant&Table 2.Free-Radical-Inhibiting Antioxidants or Reductants Useful in Cosmetics,04/12/2000 https://doi.org/10.1002/0471238961.0315191318090507.a01に記載される酸化防止剤を含む。
【0033】
好ましくは、酸化防止剤は、ケト及び/又はカルボン酸複素環酸化合物、例えばカフェイン、アミノ酸及びヒドロキシル化ベンゼン化合物であって、任意選択的に1つ又は複数の(C~C)アルキル基でフェニル環上において置換されているものから選択され、特にベンゼンベースのアルコール、好ましくはヒドロキシアセトフェノンから選択される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によると、酸化防止剤ii)は、4-ヒドロキシフェニルエタノンとしても知られる4-ヒドロキシアセトフェノン、p-アセトフェノール、p-ヒドロキシフェニルメチルケトン又は式(II):
[化学式3]
【化3】
の化合物であるピセオールから選択される。
【0035】
4-ヒドロキシアセトフェノンは、溶媒和形態で、特に水和形態であり得る。
【0036】
4-ヒドロキシアセトフェノンは、以下の式(II’):
[化学式4]
【化4】
(式’(II’)中、Mは、カチオン性対イオン、特にアルカリ金属、例えばナトリウム又はカリウム、アルカリ土類金属、例えばカルシウム又はアンモニウムを表す)
の有機又は無機塩基で塩化された形態で見出され得る。
【0037】
本発明の別の特定の実施形態によると、成分ii)は、上記で定義された1つ又は複数の保存剤及び1つ又は複数の酸化防止剤の混合物、特にフェノキシエタノールなどの芳香族アルコールc)から選択される保存剤と、カフェインなどのケト及び/又はカルボン酸複素環酸化合物から選択される酸化防止剤との混合物を表す。
【0038】
本発明の別の有利な実施形態によると、成分ii)は、保存剤及び酸化防止剤である1つ又は複数の化合物を表す。
【0039】
本発明の特定の一実施形態によれば、i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン及び成分ii)、特に4-ヒドロキシアセトフェノンは、質量比i)/ii)が0.05~5の範囲であり、好ましくは0.08~5の範囲であり、優先的には0.08~0.25、2~4の範囲であり、より優先的には0.15~0.25、3~3.8の範囲であるような含量で前記混合物又は組成物中に存在する。このような混合物は、かび、特にアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)に対する良好な抗微生物活性を有する。
【0040】
有利には、i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン及び成分ii)、特に4-ヒドロキシアセトフェノンは、質量比i)/ii)が0.08~0.5の範囲であり、優先的には0.08~0.3の範囲であり、優先的には0.08~0.25の範囲であり、より優先的には0.15~0.25の範囲であるような含量で前記混合物又は組成物中に存在する。このような混合物は、かび、特にアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)に対する良好な抗微生物活性を有する。
【0041】
本発明の別の特定の実施形態によれば、i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン及び成分ii)、特に4-ヒドロキシアセトフェノンは、質量比i)/ii)が0.5~5の範囲であり、優先的には1~4、より優先的には3~3.8の範囲であるような含量で前記混合物又は組成物中に存在する。このような混合物は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対して良好な抗微生物活性を有し、これは、数週間(1週間、2週間又はさらに1カ月)後でも長期にわたる。
【0042】
iii)界面活性剤
本発明の混合物は、上記で定義された成分i)~iv)及び任意選択的にv)を含み、混合物が1つ又は複数のカチオン性界面活性剤を含む場合、1つ又は複数のカチオン性界面活性剤は、i)~v)の総質量に対して3質量%未満の量であり、優先的には組成物の総質量に対して2質量%以下のカチオン性界面活性剤、より特に1質量%以下のカチオン性界面活性剤、さらにより優先的には0.5質量%未満の量の界面活性剤であり、さらにより良好には、混合物は、いかなるカチオン性界面活性剤も含まないことが理解される。
【0043】
本発明の組成物は、非イオン性、アニオン性又は双性イオン性又は両性又はカチオン性界面活性剤から選択されるiii)1つ又は複数の界面活性剤を含み、組成物は、組成物の総質量に対して0.5質量%未満の量、優先的には組成物の総質量に対して0.2質量%以下、さらにより特に0.1質量%以下の量を含み、さらにより優先的には、組成物は、0.05%未満の量を含み、さらにより良好には、本発明の組成物は、いかなるカチオン性界面活性剤も含まないことが理解される。本発明の好ましい実施形態によると、界面活性剤は、非イオン性又はアニオン性であり、好ましくは非イオン性である。
【0044】
本発明による非イオン性界面活性剤の中で、単独で又は混合物として、a)脂肪アルコール、b)α-ジオール、及びc)アルキルフェノールが挙げられ得、これらの3タイプの化合物であるa)~c)は、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化及び/又はポリグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む、特に10~22個の炭素原子を含む脂肪鎖を含有し、酸化エチレン又は酸化プロピレン基の数は、場合により特に2~200、特に10~100の範囲であり、グリセロール基の数は、場合により特に2~200、特に10~100の範囲である。酸化エチレン(EO)及び酸化プロピレン(PO)コポリマー、酸化エチレン及び酸化プロピレンと脂肪アルコールとの縮合物;好ましくは2~30モルのEOを有するポリエトキシル化脂肪酸アミド、平均して1~5つ、特に1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪酸アミド、2~200モルのEO、特に10~100EOを含有するソルビタンのオキシエチレン化脂肪酸エステル;スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N-アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド、例えば(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-アシルアミノプロピルモルホリン酸化物が挙げられ得る。
【0045】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、(ポリ)エトキシル化脂肪アルコール;グリセロール化脂肪アルコール;アルキルポリグリコシド、好ましくは2~200モルのEO、特に10~100EOを含有するソルビタンのオキシエチレン化脂肪酸モノ及びジエステルから選択される。
【0046】
より優先的には、界面活性剤は、2~200モルのEO、特に10~100EOを含有するソルビタンのオキシエチレン化脂肪酸モノ及びジエステル、例えば10~30EO、例えば20EOを含有するプロピレングリコールステアレート;グリセリルモノステアレート/ジステアレート/ポリエチレングリコールステアレート(100EO)から選択される。
【0047】
用語「脂肪鎖」は、6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素鎖、例えばステアリルを意味する。
【0048】
アルキルポリグリコシドに関して、これらの化合物は周知であり、より具体的には、次の一般式:RO-(RO)(G) (III)
(式(III)中、
- Rは、約8~24個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキル基及び/若しくはアルケニル基を示すか、又は8~24個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を有するアルキルフェニル基を示し、
- Rは、約2~4つの炭素原子を含むアルキレン基を示し、
- Gは、5~6つの炭素原子を含む糖単位を表し、
- tは、0~10(両端を含む)、好ましくは0~4、好ましくは0~4の整数であり、
- vは、両端を含めて、1~15の整数を示す)
によって表され得る。
【0049】
本発明による好ましいアルキルポリグリコシドは、式(III)の化合物であり、式中、Rは、より特に、8~18個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和のアルキル基を示し、tは、0~3の範囲、より特に0と等しい値を示し、Gは、グルコース、フルクトース又はガラクトース、好ましくはグルコースを示し得る。重合度、すなわち式(III)中のvの値は、1~15、好ましくは1~4の範囲であり得る。平均重合度は、より特に1~2であり、さらにより優先的には1.1~1.5である。
【0050】
糖単位間のグリコシド結合は、1-6又は1-4タイプ、好ましくは1-4タイプのものである。
【0051】
式(III)の化合物の代表的なものとしては、特に、Cognis社からPlantaren(登録商標)(600CS/U、1200及び2000)の名称又はPlantacare(登録商標)(818、1200及び2000)の名称で販売されている製品がある。SEPPIC社からTriton CG 110(又はOramix CG 110)及びTriton CG 312(又はOramix(登録商標)NS10)の名称で販売されている製品、BASF社からLutensol GD 70の名称で販売されている製品又はChem Y社からAG10 LKの名称で販売されている製品を使用することも可能である。
【0052】
例えば、53%水溶液として参照Plantacare(登録商標)818UPでCognisによって販売されている(C/C16)アルキル-1,4-ポリグルコシドを使用することも可能である。
【0053】
モノ又はポリグリセロール化界面活性剤に関して、これらは、好ましくは、平均して1~40個のグリセロール基、より特に10~30個のグリセロール基、例えば20個を含む。
【0054】
本発明の特定の一実施形態によれば、界面活性剤は、モノグリセロール化又はポリグリセロール化されており、好ましくは以下の式:
RO[CHCH(CHOH)O]H、
RO[CHCH(OH)CHO]H、又は
RO[CH(CHOH)CHO]
(式中、
- Rは、8~40個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表し、
- mは、1~30、好ましくは1~10、より特に1.5~6の数である)
を有する化合物から選択される。Rは、ヘテロ原子、例えば酸素及び窒素を任意選択的に含み得る。特に、Rは、1つ又は複数のヒドロキシル、及び/又はエーテル、及び/又はアミド基を任意選択的に含み得る。Rは、好ましくは、任意選択的にモノ又はポリヒドロキシル化C10~C20アルキル及び/又はアルケニル基を示す。
【0055】
好ましくは、本発明の組成物は、本発明を実行するのに適し、且つより特に8~30個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含むアルコールから選択される1つ又は複数の(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールを含む。
【0056】
(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールは、より具体的には、8~30個の炭素原子を含み、特に1つ又は複数の(特に1~4の)ヒドロキシル基で任意選択的に置換されている1つ又は複数の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素系基を含む。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0057】
(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールは、好ましくは、以下の式:
-[O-CH-CH-OH
(式中、
- Rは、直鎖状若しくは分岐状のC~C40アルキル又は直鎖状若しくは分岐状のC~C30アルケニル(優先的にはC~C30アルキル)基を表し、
- nは、両端を含めて、1~200、優先的には2~100、より特に両端を含めて10~50、さらにより特に両端を含めて15~30(両端を含む)、例えば100又は20の整数を表す)
を有する。
【0058】
(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールは、より特に8~22個の炭素原子を含み、且つ1~30モルの酸化エチレン(1~100EO)でオキシエチレン化されている脂肪アルコールである。これらの中で、より特にラウリルアルコール20EO、ラウリルアルコール30EO、デシルアルコール3EO、デシルアルコール5EO及びオレイルアルコール20EOが挙げられ得る。
【0059】
これらの(ポリ)オキシエチレン化脂肪アルコールの混合物も使用され得る。
【0060】
非イオン性界面活性剤の中で、C~C24アルキルポリグルコシド及び(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールが好ましくは使用され、C~C16アルキルポリグルコシドがより特に使用される。
【0061】
非イオン性界面活性剤の量は、本発明の組成物の総質量に対して好ましくは0.5質量%~20質量%、特に1質量%~10質量%、より特に2質量%~5質量%の範囲である。
【0062】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物は、1つ又は複数のアニオン性界面活性剤を含む。
【0063】
用語「アニオン性界面活性剤」は、イオン性を有するか又はイオン化可能な基として、アニオン性基のみを含む界面活性剤を意味する。これらのアニオン基は、好ましくは、基-C(O)OH、-C(O)O、-SOH、-S(O)、-OS(O)OH、-OS(O)、-P(O)OH、-P(O)、-P(O)O 、-P(OH)、=P(O)OH、-P(OH)O、=P(O)O、=POH及び=POから選択され、アニオン性部分は、カチオン性対イオン、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを含み、より優先的には、基は、カルボキシ-C(O)OH又はカルボキシレート-C(O)Oである。
【0064】
本発明による組成物中で使用され得るアニオン性界面活性剤の例として、アルキルカルボン酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、アシルサルコシネート、アシルグルタメート、アルキルスルホスクシナメート、アシルイセチオネート及びN-アシルタウレート、ポリグリコシド-ポリカルボン酸のアルキルモノエステルの塩、ポリグリコシド-ポリカルボン酸のアルキルジエステルの塩、アシルラクチレート、D-ガラクトシド-ウロン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルアリールエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩並びに全てのこれらの化合物の対応する非塩化形態が挙げられ得、全てのこれらの化合物のアルキル及びアシル基は、8~30個の炭素原子、好ましくは10~22個の炭素原子を含み、及びアリール基は、フェニル基を示す。
【0065】
これらの化合物は、オキシエチレン化され得、好ましくは1~50個のエチレンオキシド単位を含む。
【0066】
ポリグリコシド-ポリカルボン酸のC~C24アルキルモノエステルの塩は、C~C24アルキルポリグリコシド-シトレート、C~C24アルキルポリグリコシド-タルトレート及びC~C24アルキルポリグリコシド-スルホサクシネートから選択され得る。
【0067】
アニオン性界面活性剤が塩の形態である場合、これらは、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩、好ましくはナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、特にアミノアルコール塩又はアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩から選択され得る。
【0068】
特に挙げられ得るアミノアルコール塩の例は、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩及びトリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩及びトリイソプロパノールアミン塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール塩、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール塩及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩を含む。
【0069】
好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、特にナトリウム又はマグネシウム塩が使用される。
【0070】
記述したアニオン性界面活性剤の中で、アルカリ金属、アンモニウム、アミノアルコール及びアルカリ土類金属塩又はこれらの化合物の混合物の形態であり得る、好ましくは天然起源、特に植物起源の(C~C24)アルキルカルボン酸、特に(C10~C20)アルキルカルボン酸、例えばステアリン酸を使用することが好ましい。
【0071】
アニオン性界面活性の量は、本発明の組成物の総質量に対して好ましくは0.5質量%~20質量%、特に1質量%~10質量%、より特に2質量%~5質量%の範囲である。
【0072】
界面活性剤の量は、本発明の組成物の総質量に対して好ましくは0.5質量%~30質量%、特に1質量%~20質量%、より特に2質量%~10質量%、さらにより特に3質量%~8質量%、より優先的には4%~6%の範囲である。
【0073】
iv)有機増粘ポリマー:
本発明の特定の一実施形態によれば、組成物は、1つ又は複数の増粘有機ポリマーを含む。
【0074】
用語「増粘ポリマー」は、1質量%及びpH=7において、30%エタノールを含有する水溶液若しくは含水アルコール溶液中又は液体石油ゼリー、ミリスチン酸イソプロピル若しくはシクロペンタジメチルシロキサンから選択される油中に導入される場合、25℃及び1s-1の剪断速度において100cps以上、好ましくは少なくとも500cpsの粘度を達成することを可能にするポリマーを意味する。この粘度は、コーン/プレート粘度計(Haake R600レオメーターなど)を使用して測定され得る。増粘ポリマーは、水性相及び/又は脂肪相、優先的には水性相を増粘のための増粘剤であり得る。
【0075】
用語「有機」増粘ポリマーは、炭素及び水素並びに場合により窒素、酸素、硫黄、ハロゲン、例えばフッ素、塩素又は臭素並びにまたリン、アルカリ金属、例えばナトリウム若しくはカリウム又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウム若しくはカルシウムから形成される、上記で定義したような増粘ポリマーを意味する。本発明による有機ポリマーは、いずれのケイ素も含まない。
【0076】
本発明による有機増粘ポリマーは、天然又は合成起源であり得る。
【0077】
増粘ポリマーは、会合性又は非会合性のアニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性のポリマー、より特にアニオン性ポリマーであり得る。
【0078】
これらは、水性又は油性相のための増粘剤であり得る。
【0079】
水性相増粘ポリマーとして、糖単位を含む会合性又は非会合性、好ましくは非会合性の増粘ポリマーが挙げられ得る。
【0080】
本発明の目的のために、用語「糖」単位は、置換、及び/又は酸化、及び/又は脱水によって任意選択的に修飾され得る、式C(HO)n-1又は(CHO)の炭水化物に由来する単位を意味する。
【0081】
本発明の増粘ポリマーの組成物に含まれ得る糖単位は、好ましくは、以下の糖:グルコース、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、マンノース、キシロース、フコース、アンヒドロガラクトース、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクトーススルフェート、アンヒドロガラクトーススルフェート及びフルクトースに由来する。
【0082】
特に挙げられ得る本発明の増粘ポリマーは、天然のガム、例えば以下:
a)木又は低木の浸出物、例えば、
- アラビアゴム(ガラクトース、アラビノース、ラムノース及びグルクロン酸の分岐ポリマー);
- ガッティガム(アラビノース、ガラクトース、マンノース、キシロース及びグルクロン酸に由来するポリマー);
- カラヤガム(ガラクツロン酸、ガラクトース、ラムノース及びグルクロン酸に由来するポリマー);
- トラガカントガム(ガラクツロン酸、ガラクトース、フコース、キシロース及びアラビノースのポリマー);
b)藻類に由来するガム、例えば、
- 寒天(ガラクトース及びアンヒドロガラクトースに由来するポリマー);
- アルギネート(マンヌロン酸及びグルクロン酸のポリマー);
- カラギーナン及びフルセレラン(ガラクトーススルフェート及びアンヒドロガラクトーススルフェートのポリマー);
c)種子及び塊茎由来のガム、例えば、
- グアーガム(マンノース及びガラクトースのポリマー);
- ローカストビーンガム(マンノース及びガラクトースのポリマー);
- フェヌグリークガム(マンノース及びガラクトースのポリマー);
- タマリンドガム(ガラクトース、キシロース及びグルコースのポリマー);
- コンニャクガム(グルコース及びマンノースのポリマー);
d)微生物に由来するガム、例えば、
- キサンタンガム(グルコース、マンノースアセテート、マンノース/ピルビン酸及びグルクロン酸のポリマー);
- ジェランガム(部分的にアシル化されているグルコース、ラムノース及びグルクロン酸のポリマー);
- スクレログルカンガム(グルコースポリマー);
e)植物抽出物、例えば、
- セルロース(グルコースポリマー);
- デンプン(グルコースポリマー);
- イヌリン
を含む。
【0083】
これらのポリマーは、物理的又は化学的に変性され得る。物理的処理として特に温度が挙げられ得る。
【0084】
化学的処理として、エステル化、エーテル化、アミド化又は酸化反応が挙げられ得る。これらの処理は、特に非イオン性、アニオン性又は両性であり得るポリマーを生成することを可能にし得る。
【0085】
好ましくは、これらの化学的又は物理的処理を、グアーガム、ローカストビーンガム、デンプン及びセルロースに適用する。
【0086】
本発明により使用することができる非イオン性グアーガムはC~C(ポリ)ヒドロキシアルキル基で変性することができる。
【0087】
~C(ポリ)ヒドロキシアルキル基の中でも、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基及びヒドロキシブチル基が挙げられ得る。
【0088】
これらのグアーガムは、従来技術から周知であり、例えばヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得るために、対応するアルケン酸化物、例えば酸化プロピレンとグアーガムとを反応させることによって調製し得る。
【0089】
ヒドロキシアルキル化の程度は、好ましくは、0.4~1.2の範囲であり、グアーガム上に存在する遊離ヒドロキシル官能基の数によって消費されるアルキレンオキシド分子の数に対応する。
【0090】
ヒドロキシアルキル基で任意選択的に変性されているこのような非イオン性グアーガムは、例えば、商品名Jaguar HP8、Jaguar HP60及びJaguar HP120でRhodia Chimieによって販売されている。
【0091】
本発明において使用されるデンプン分子の植物起源は、穀類又は塊茎であり得る。このように、デンプンは、例えば、トウモロコシデンプン、米デンプン、キャッサバデンプン、オオムギデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、ソルガムデンプン又はエンドウマメデンプンから選択される。
【0092】
デンプンは、特に以下の反応:事前ゼラチン化、酸化、架橋、エステル化、エーテル化、アミド化又は熱処理の1つ又は複数によって化学的又は物理的に変性することができる。
【0093】
リン酸架橋デンプン又はリン酸架橋デンプンに富んだ化合物、例えば参照Prejel VA-70-T AGGL(ゼラチン化ヒドロキシプロピルキャッサバリン酸架橋デンプン)、又はPrejel TK1(ゼラチン化キャッサバリン酸架橋デンプン)、又はPrejel200(ゼラチン化アセチルキャッサバリン酸架橋デンプン)でAvebeによって販売されているか、又はStructure ZeaでNational Starch(ゼラチン化トウモロコシリン酸架橋デンプン)から販売されている製品が優先的には使用される。
【0094】
本発明によれば、両性デンプンも使用され得、これらの両性デンプンは、1つ又は複数のアニオン基及び1つ又は複数のカチオン基を含む。アニオン基及びカチオン基は、デンプン分子の同じ反応部位又は異なる反応部位に結合し得、これらは、好ましくは、同じ反応部位に結合している。アニオン基は、カルボン酸、ホスフェート又はスルフェートタイプ、好ましくはカルボン酸タイプのものであり得る。カチオン基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミンタイプのものであり得る。
【0095】
デンプン分子は、デンプンの任意の植物源、特に例えばトウモロコシ、ジャガイモ、オートムギ、イネ、タピオカ、ソルガム、オオムギ又はコムギに由来し得る。上記のデンプンの加水分解産物を使用することも可能である。デンプンは、好ましくは、ジャガイモに由来する。
【0096】
本発明の非会合性増粘ポリマーは、これらの構造内にC10~C30脂肪鎖を含まないセルロースベースのポリマーであり得る。
【0097】
本発明によれば、用語「セルロースベースのポリマー」は、その構造中にβ-1,4結合を介して一緒に連結しているグルコース残基の配列を有する任意の多糖類化合物を意味し、非置換セルロースに加えて、セルロース誘導体は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性であり得る。
【0098】
このように、本発明のセルロースベースのポリマーは、微結晶形態のものを含めた非置換セルロース及びセルロースエーテルから選択され得る。
【0099】
これらのセルロースベースのポリマーの中で、セルロースエーテル、セルロースエステル及びセルロースエーテルエステルが識別される。
【0100】
セルロースエステルの中で、セルロースの無機エステル(硝酸セルロース、スルフェート、ホスフェートなど)、有機セルロースエステル(セルロースモノアセテート、トリアセテート、アミドプロピオネート、アセテートブチレート、アセテートプロピオネート又はアセテートトリメリテートなど)並びにセルロースの混合有機/無機エステル、例えばセルロースアセテートブチレートスルフェート及びセルロースアセテートプロピオネートスルフェートがある。セルロースエステルエーテルの中で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びエチルセルローススルフェートが挙げられ得る。
【0101】
10~C30脂肪鎖を有しない、すなわち「非会合性」の非イオン性セルロースエーテルの中でも、(C~C)アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース及びエチルセルロース(例えば、Dow ChemicalからのEthocel Standard 100 Premium);(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、Aqualonから提供されているNatrosol 250 HHR)及びヒドロキシプロピルセルロース(例えば、AqualonからのKlucel EF);混合(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルキル-(C~C)アルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Dow ChemicalからのMethocel E4M)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース(例えば、Akzo NobelからのBermocoll E481 FQ)及びヒドロキシブチルメチルセルロースを挙げることができる。
【0102】
脂肪鎖を有さないアニオン性セルロースエーテルの中で、(ポリ)カルボキシ(C~C)アルキルセルロース及びその塩が挙げられ得る。挙げられ得る例は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース(例えば、Aqualon社からのBlanose7M)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース及びそのナトリウム塩を含む。
【0103】
脂肪鎖を有さないカチオン性セルロースエーテルの中で、カチオン性セルロース誘導体、例えば水溶性第四級アンモニウムモノマーでグラフトされたセルロースコポリマー又はセルロース誘導体及び特に米国特許第4131576号明細書に記載されているもの、例えば(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルキルセルロース、例えば特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされたヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルセルロースが挙げられ得る。より具体的には、この定義に対応する市販品は、National Starch社からCelquat(登録商標)L200及びCelquat(登録商標)H100の名称で販売されている製品である。
【0104】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明の増粘ポリマーは、アクリレートモノマーCH=C(R’)-COOR’’’(VIa)及び/又はアクリルアミドモノマーCH=C(R’)-CO-N(R’’)-LY(VIb)の(共)重合に由来し、前記式(VIa)及び(VIb)中、同一であるか又は異なり得るR’及びR’’は、水素原子又は(C~C)アルキル基、例えばメチル、好ましくは水素を表し、R’’’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、水素原子又は特に1つ若しくは複数のヒドロキシル、カルボキシル若しくはアミノ基で任意選択的に置換されている(C~C)アルキル基を表し、好ましくは、R’’’は、水素原子を表し、Lは、任意選択的に1つ又は複数のヘテロ原子、例えばO又はNによって中断されており、且つ1~20個の炭素原子、好ましくは1~6つの炭素原子を含む環式又は非環式の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ベースの基を表し、好ましくは、Lは、二価の-[C(R’)(R’’)]-基を表し、ここで、pは、1~4、好ましくは2~3、例えば2の整数を表し、R’及びR’’は、上記で定義されている通りであり、より特に、Lは、-C(R’)(R’’)-CH-又は-CH-C(R’)(R’’)-を表し、ここで、R’及びR’’は、上記で定義されている通りであり、好ましくは、R’及びR’’は、(C~C)アルキル基、例えばメチルを表し、Yは、アニオン基、例えばカルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、スルホネート又はスルフェート、好ましくは-S(O)-Oを表し、Mは、カチオン性対イオン、好ましくはアルカリ金属、例えばナトリウムであり、前記コポリマーは、正エマルジョン又は逆エマルジョン、好ましくは逆エマルジョン中にあることが可能である。より優先的には、本発明の増粘ポリマーは、上記で定義されているようなアクリレートモノマーCH=C(R’)-COOH(VIa)及びアクリルアミドモノマーCH=C(R’)-CO-N(R’’)-LY(VIb)の共重合に由来する。
【0105】
使用され得る糖単位を担持しない非会合性増粘ポリマーの中で、単独で又は混合物として、架橋アクリル酸又はメタクリル酸ホモポリマー又はコポリマー、架橋2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びその架橋又は非架橋のアクリルアミドコポリマー、アクリル酸アンモニウムホモポリマー又はアクリル酸アンモニウム及びアクリルアミドのコポリマーが挙げられ得る。
【0106】
使用に適した非会合性増粘ポリマーの第1のファミリーは、架橋アクリル酸ホモポリマーによって表される。
【0107】
この種のホモポリマーの中でも、糖類のアリルアルコールエーテルで架橋したもの、例えば、Noveon社からCarbopol 980、981、954、2984及び5984の名称で販売されている製品又は3VSA社からSynthalen M及びSynthalen Kの名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0108】
非会合性増粘ポリマーとして、架橋(メタ)アクリル酸コポリマー、例えば、Noveon社からAqua SF1の名称で販売されているポリマーなどを用いることもできる。
【0109】
非会合性増粘ポリマーは、架橋2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びその架橋アクリルアミドコポリマーから選択され得る。
【0110】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びアクリルアミドの部分的又は完全に中和された架橋コポリマーの中で、欧州特許第503853号明細書の実施例1において記載されている生成物が特に挙げられ得、これらのポリマーに関して前記文献が参照され得る。
【0111】
組成物は、非会合性増粘ポリマーとして、アクリル酸アンモニウムホモポリマー又はアクリル酸アンモニウム及びアクリルアミドのコポリマーを同様に含み得る。
【0112】
アクリル酸アンモニウムホモポリマーの例として、SEPPIC社によって販売されている名称Simulgel 600アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマーイソヘキサデカン及びポリソルベート80で販売されている製品及びHoechst社によるMicrosap PAS5193が挙げられ得る。アクリル酸アンモニウム及びアクリルアミドのコポリマーの中で、名称Bozepol C Nouveau又は製品PAS5193でHoechst社によって販売されている製品が挙げられ得る。特に、このような化合物の説明及び調製に関して、仏国特許第2416723号明細書、米国特許第2798053号明細書及び米国特許第2923692号明細書が参照され得る。
【0113】
水性相増粘ポリマーの中で、当業者に周知であり、特に非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の性質の非セルロースベースの会合性ポリマーが挙げられ得る。
【0114】
「会合性ポリマー」とは、水性媒体中で、互いに又は他の分子と可逆的に会合することができるポリマーであることを想起されたい。
【0115】
それらの化学構造は、より特に、少なくとも1つの親水性ゾーン及び少なくとも1つの疎水性ゾーンを含む。
【0116】
用語「疎水性基」は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には18~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0117】
優先的には、炭化水素ベースの基は、単官能基化合物に由来する。例として、疎水性基は、脂肪アルコールに由来し得、例えば、ステアリルアルコール、ドデシルアルコール又はデシルアルコールに由来し得る。また、炭化水素ベースのポリマー(例えばポリブタジエン)も示し得る。
【0118】
挙げられ得るアニオン性会合性ポリマーの中でも、次に示すものを挙げることができる:
- (a)少なくとも1つの親水性単位と、少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位とを含むもの、より具体的には、親水性単位がアニオン性エチレン性不飽和モノマーから形成されているもの、より具体的には、ビニルカルボン酸から形成されているもの、最も具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸又はこれらの混合物から形成されているもの。
【0119】
これらのアニオン性会合性ポリマーの中で、本発明によって特に好ましいものは、20質量%~60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%~60質量%の低級(メタ)アクリル酸アルキル、2質量%~50質量%の脂肪鎖アリルエーテル及び0~1質量%の架橋剤(周知の共重合可能な不飽和ポリエチレン性モノマー、例えばフタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート又はメチルビスアクリルアミドである)から形成されるポリマーである。
【0120】
後者のポリマーの中でも、特に、メタクリル酸と、アクリル酸エチルと、ポリエチレングリコール(10EO)ステアリルアルコールエーテル(Steareth-10)との架橋ターポリマー、特にCiba社からSalcare SC 80(登録商標)及びSalcare SC 90(登録商標)の名称で販売されている、メタクリル酸と、アクリル酸エチルと、steareth-10アリルエーテルとの架橋ターポリマー(40/50/10)の水性30%エマルジョンが最も好ましい。
- (b)i)少なくとも1つの不飽和オレフィン性カルボン酸型の親水性単位と、ii)少なくとも1つの不飽和カルボン酸型の(C10~C30)アルキルエステルの疎水性単位と、を含むもの。
【0121】
本発明において有用な不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルは、例えば、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル及び対応するメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルを含む。
【0122】
この種類のアニオン性ポリマーは、例えば、米国特許第3915921号明細書及び米国特許第4509949号明細書によって説明及び調製される。
【0123】
この種類のアニオン性会合性ポリマーの中でも、95質量%~60質量%のアクリル酸(親水性単位)、4質量%~40質量%のC10~C30アルキルアクリレート(疎水性単位)及び0~6質量%の架橋重合性モノマーからなるもの又は上記されるものなど、98質量%~96質量%のアクリル酸(親水性単位)、1質量%~4質量%のC10~C30アルキルアクリレート(疎水性単位)及び0.1質量%~0.6質量%の架橋重合性モノマーからなるものがより特に使用されるであろう。
【0124】
上記の前記ポリマーの中でも、本発明によると最も特に好ましいものは、Pemulen TR1(登録商標)、Pemulen TR2(登録商標)、Carbopol 1382(登録商標)、さらにより優先的にはPemulen TR1(登録商標)の商品名でGoodrich社によって販売されている製品及びCoatex SX(登録商標)の名称でSEPPIC社から販売されている製品である。
【0125】
ISP社からAcrylidone LMの名称で販売されているアクリル酸/メタクリル酸ラウリル/ビニルピロリドンターポリマーも挙げることができる。
- (c)無水マレイン酸/C30~C38α-オレフィン/マレイン酸アルキルターポリマー、例えば、Newphase Technologies社からPerforma V1608(登録商標)の商品名で販売されている製品である(無水マレイン酸/C30~C38α-オレフィン/マレイン酸イソプロピルコポリマー);
- (d)次に示すものを含むアクリル系ターポリマー:
i)約20質量%~70質量%のα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸[A]、
ii)約20質量%~80質量%の、[A]以外のα,β-モノエチレン性不飽和非界面活性剤モノマー、
iii)約0.5質量%~60質量%の、1つの水酸基を有する界面活性剤とモノエチレン性不飽和モノイソシアネートとの反応生成物である非イオン性モノウレタン。
【0126】
例えば、欧州特許出願公開第A-0173109号明細書で説明されているもの、より具体的には実施例3で説明されているターポリマー、すなわちメタクリル酸/アクリル酸メチル/ベヘニルアルコールジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートエトキシル化物(40EO)のターポリマーの水性25%分散液。
- (e)モノマーとして、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルと、を含むコポリマー。
【0127】
優先的には、これらの化合物は、モノマーとして、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸及びC~Cアルコールのエステルも含む。
【0128】
この種の化合物の例として、メタクリル酸/アクリル酸エチル/オキシアルキレン化メタクリル酸ステアリルのターポリマーであるRoehm&Haas社から販売されているAculyn 22を挙げることができる。
- (f)遊離形態又は一部若しくは全部が中和された形態にあるスルホン酸を有する少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含み、且つ少なくとも1つの疎水性部分を含む、両親媒性ポリマー。これらのポリマーは、架橋していても又はしていなくてもよい。これらは、好ましくは、架橋している。
【0129】
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーは、特に、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C~C22)アルキルスルホン酸、N-(C~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C~C22)アルキルスルホン酸(ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸など)及びまたこれらの一部又は全部が中和された形態から選択される。
【0130】
(メタ)アクリルアミド(C~C22)アルキルスルホン酸、例えばアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸及びまたその部分的又は完全に中和された形態がより優先的には使用される。
【0131】
より特に、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及びまたその部分的又は完全に中和された形態を使用する。
【0132】
この系統のポリマーは、特にC~C22n-モノアルキルアミン又はジ-n-アルキルアミンとの反応によって変性されたランダム両親媒性AMPSポリマー及び例えば国際公開第00/31154号パンフレット(記載内容の不可欠な部分を形成する)に記載されているものから選択され得る。これらのポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、そのβ-置換アルキル誘導体若しくはモノアルコールによって得られるそのエステル又はモノ若しくはポリアルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸又はマレイン酸又はこれらの化合物の混合物から選択される他のエチレン性不飽和親水性モノマーも含有し得る。
【0133】
この系統の好ましいポリマーは、AMPS及び少なくとも1つのエチレン性不飽和疎水性モノマーの両親媒性コポリマーから選択される。
【0134】
これらの同一コポリマーは、脂肪鎖を含まない1つ又は複数のエチレン性不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、そのβ-置換アルキル誘導体若しくはモノアルコールによって得られるそのエステル又はモノ若しくはポリアルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸若しくはマレイン酸又はこれらの化合物の混合物も含有し得る。
【0135】
これらのコポリマーは、欧州特許出願公開第A750899号明細書、米国特許第5089578号明細書及びYotaro Morishimaからの以下の公開資料において特に記載されている:
- Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures,Chinese Journal of Polymer Science,Vol.18,No.40,(2000),323-336;
- Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering-Macromolecules,Vol.33,No.10(2000),3694-3704;
- “Solution properties of micelle networks formed by non-ionic moieties covalently bound to an polyelectrolyte:salt effects on rheological behavior-Langmuir,Vol.16,No.12,(2000)5324-5332”;
- Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers-Polym.Preprint,Div.Polym.Chem.40(2),(1999),220-221。
【0136】
これらのポリマーの中でも、以下が挙げられ得る:
- ポリマーに対して15質量%~60質量%のAMPS単位と、40質量%~85質量%の(C~C16)アルキル(メタ)アクリルアミド又は(C~C16)アルキル(メタ)アクリレート単位とを含む、架橋された又は非架橋の、中和された又は非中和のコポリマー、例えば、欧州特許出願公開第A750899号明細書で説明されているもの。
- 10モル%~90モル%のアクリルアミド単位と、0.1モル%~10モル%のAMPS単位と、5モル%~80モル%のn-(C~C18)アルキルアクリルアミド単位とを含むターポリマー、例えば、米国特許第5089578号明細書で説明されているもの。
【0137】
完全に中和されたAMPS及びメタクリル酸ドデシルのコポリマー並びにまたAMPS及びn-ドデシルメタクリルアミドの架橋及び非架橋のコポリマー、例えば上記のMorishima論文において記載されているものも挙げられ得る。
【0138】
カチオン性会合性ポリマーの中でも、以下が挙げられ得る:
- (I)カチオン性会合性ポリウレタン;
- (II)Noveon社からAqua CCの名称で販売されている、INCI名:Polyacrylate Crosspolymer-1(ポリアクリレートクロスポリマー-1)に対応する化合物。
【0139】
ポリアクリレート-1クロスポリマーは、以下を含むモノマー混合物の重合の生成物である:
*ジ(C~Cアルキル)アミノ(C~Cアルキル)メタクリレート、
*(メタ)アクリル酸の1つ又は複数のC~C30アルキルエステル、
*ポリエトキシル化C10~C30メタクリル酸アルキル(20~25モルの酸化エチレン単位)、
*30/5ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールアリルエーテル、
*ヒドロキシ(C~Cアルキル)メタクリレート、及び
*エチレングリコールジメタクリレート。
- (III)少なくとも8つの炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖、例えばアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基又はこれらの混合物を含めた基で修飾されている四級化された(ポリ)ヒドロキシエチルセルロース。上記四級化セルロース又はヒドロキシエチルセルロースにより保持されたアルキル基は、好ましくは、8~30個の炭素原子を含む。アリール基は、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基又はアントリル基を表す。示され得るC~C30脂肪鎖を含む四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例として、以下が挙げられる:Aqualon社から販売されている製品Quatrisoft LM 200(登録商標)、Quatrisoft LM-X 529-18-A(登録商標)、Quatrisoft LM-X 529-18-B(登録商標)(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(登録商標)(C18アルキル)並びにCroda社から販売されている製品Crodacel QM(登録商標)、Crodacel QL(登録商標)(C12アルキル)及びCrodacel QS(登録商標)(C18アルキル)並びにAqualon社から販売されている製品Softcat SL 100(登録商標)。
- (IV)カチオン性ポリビニルラクタムポリマー。
【0140】
このようなポリマーは、例えば、国際公開第00/68282号パンフレットに記載されている。
【0141】
本発明に係るカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーとして、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ドデシルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ココイルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレート又はクロリドターポリマーが特に使用される。
【0142】
両性会合性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1つの非環式カチオン性単位を含むものから選択される。さらにより具体的には、モノマーの総モル数に対して1~20モル%、好ましくは1.5~15モル%、さらにより具体的には1.5~6モル%の脂肪鎖モノマーから調製されるか又はこれらを含むものが好ましい。
【0143】
本発明に係る両性会合性ポリマーは、例えば、国際公開第98/44012号パンフレットで説明されており且つ調製される。
【0144】
本発明に係る両性会合性ポリマーの中でも、好ましいものは、アクリル酸/(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/メタクリル酸ステアリルターポリマーである。
【0145】
本発明に従って使用され得る非イオン性タイプの会合性ポリマーは、好ましくは、以下から選択される:
(a)ビニルピロリドンと疎水性脂肪鎖モノマーとのコポリマー、この例として、以下が列挙され得る:
- ISP社から販売されている製品Antaron V216(登録商標)又はGanex V216(登録商標)(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、
- ISP社から販売されている製品Antaron V220(登録商標)又はGanex V220(登録商標)(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー);
(b)C~Cアルキルメタクリレート又はアクリレートと、少なくとも1本の脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー、例えば、Goldschmidt社から名称Antil 208(登録商標)で販売されているオキシエチレン化アクリル酸メチル/アクリル酸ステアリルコポリマー;
(c)親水性メタクリレート又はアクリレートと、少なくとも1本の脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート/メタクリル酸ラウリルコポリマー;
(d)鎖中に、通常はポリオキシエチレン化の性質の親水性ブロックと、脂肪族配列単独並びに/又は脂環式及び/若しくは芳香族配列であり得る疎水性ブロックとの両方を含むポリウレタンポリエーテル;
(e)アミノ樹脂(aminoplast)エーテル骨格を有し、少なくとも1本の脂肪鎖を含むポリマー、例えば、Sud-Chemie社から販売されているPure Thix(登録商標)化合物;
(f)少なくとも1つの脂肪鎖、例えばアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基又はこれらの混合物を含む基で変性されたセルロース又はその誘導体であって、アルキル基がCのもの、特に以下のものであるもの:
*非イオン性アルキルヒドロキシエチルセルロース、例えば、Aqualon社から販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS及びPolysurf 67(C16アルキル);
*非イオン性ノノキシニルヒドロキシエチルセルロース、例えば、Amerchol社から販売されている製品Amercell HM-1500;
*非イオン性アルキルセルロース、例えば、Berol Nobel社から販売されている製品Bermocoll EHM100;
(g)会合性グアー誘導体、例えば、脂肪鎖で修飾されているヒドロキシプロピルグアー、例えば、Lamberti社から販売されている製品Esaflor HM 22(C22アルキル鎖で修飾されている);Rhodia Chimieから販売されている製品Miracare XC 95-3(C14アルキル鎖で修飾されている)及び製品RE 205-146(C20アルキル鎖で修飾されている)。
【0146】
好ましくは、ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロックによって分離された6~30個の炭素原子を含有する少なくとも2つの炭化水素ベース親油性鎖を含み、炭化水素ベースの鎖は、場合により、側鎖又は親水性ブロックの末端における鎖である。特に、1つ又は複数の側鎖が予想されることが可能である。さらに、ポリマーは、親水性ブロックの1つの末端又は両方の末端において炭化水素鎖を含み得る。
【0147】
ポリウレタンポリエーテルは、マルチブロック、特にトリブロック形態であり得る。疎水性ブロックは、鎖のそれぞれの末端において存在するか(例えば、親水性中央ブロックを担持するトリブロックコポリマー)又は末端及び鎖中の両方に分布し得る(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらの同じポリマーは、グラフトポリマー又は星形ポリマーでもあり得る。
【0148】
脂肪鎖非イオン性ポリウレタンポリエーテルは、トリブロックコポリマーであり得、その親水性ブロックは、50~1000個のオキシエチレン化基を含むポリオキシエチレン鎖である。非イオン性ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロック間にウレタン結合を含み、それが名称の起源である。
【0149】
その延長として、非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの中でも、親水性ブロックが他の化学結合を介して親油性ブロックに結合しているものも挙げられる。
【0150】
本発明で使用され得る非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの例として、Rheox社から販売されている、尿素基を保持するRheolate 205(登録商標)又はRheolate(登録商標)208、204若しくは212及びまたAcrysol RM 184(登録商標)が使用され得る。
【0151】
Akzoからの、C12~C14アルキル鎖を保持する製品Elfacos T210(登録商標)及びC18アルキル鎖を保持する製品Elfacos T212(登録商標)も列挙され得る。
【0152】
水中20%の固形分で販売されている、Roehm&Haasからの、C20アルキル鎖及びウレタン結合を保持する製品DW 1206B(登録商標)も使用され得る。
【0153】
特に、水中又は水性/アルコール媒体中の、これらのポリマーの溶液又は分散体も使用され得る。列挙され得るそのようなポリマーとして、Rheox社から販売されているRheolate(登録商標)255、Rheolate(登録商標)278及びRheolate(登録商標)244が挙げられる。Roehm&Haas社から販売されている製品DW 1206F及びDW 1206Jという製品も使用され得る。
【0154】
本発明に従って使用され得るポリウレタンポリエーテルは、特に、G.Fonnum,J.Bakke and Fk.Hansen-Colloid Polym.Sci.,271,380389(1993)による論文で説明されているものである。
【0155】
(i)150~180モルの酸化エチレンを含む少なくとも1つのポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコール又はデシルアルコールと、(iii)少なくとも1つのジイソシアネートとを含む少なくとも3つの化合物の重縮合によって得られ得るポリウレタンポリエーテルを使用することがさらにより特に好ましい。
【0156】
この種のポリウレタンポリエーテルは、特に、Roehm&Haas社からAculyn 46(登録商標)及びAculyn 44(登録商標)の名称で販売されている[Aculyn 46(登録商標)はエチレンオキシドを150又は180molを含むポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物であり、マルトデキストリン(4%)及び水(81%)のマトリックス中に15質量%含まれ、Aculyn 44(登録商標)は、エチレンオキシドを150又は180molを含むポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物であり、プロピレングリコール(39%)及び水(26%)の混合物中に35質量%含まれる)]。
【0157】
脂肪相増粘ポリマーも使用され得る。
【0158】
好ましくは、物理的相互作用を介して油性相を構造化するためのポリマーは、ポリアミド、シリコーンポリアミド、糖類若しくは多糖類モノ若しくはポリアルキルエステル、N-アシルアミノ酸アミド誘導体及びアルキレン又はスチレンブロックを含むコポリマーから選択され、これらのコポリマーは、場合により、星形コポリマー又は代わりに櫛型ポリマーとしても公知であるジブロック、トリブロック、マルチブロック若しくはラジアル-ブロックポリマーである。
【0159】
1)骨格中に少なくとも1つの結晶化可能なブロックを担持するポリマー
これらは、それらの融点m.p.超に加熱することによって油又は脂肪相に可溶性又は分散性であるポリマーでもある。これらのポリマーは、特に、その1つが結晶化可能である、異なる化学的性質を有する少なくとも2つのブロックからなるブロックコポリマーである。
【0160】
本発明において使用するのに適した骨格中に少なくとも1つの結晶化可能なブロックを担持するポリマーとして、以下が挙げられ得る:
i)米国特許第A-5156911号明細書に定義されているポリマー;
ii)結晶化可能な鎖を含有するオレフィン又はシクロオレフィンのブロックコポリマー、例えば以下のブロック重合に由来するもの:
- シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン(すなわちビシクロ(2.2.1)ヘプタ-2-エン)、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5-エチリデンノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8a-オクタヒドロナフタレン、ジシクロペンタジエン及びその混合物;
- エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン若しくは1-エイコセン又はこれらの混合物。これらのブロックコポリマーは、特に(エチレン/ノルボルネン)ブロックコポリマー及び(エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン)ブロックターポリマーであり得る。
【0161】
上述したものなど、少なくとも2つのC~C16、さらにより良好にはC~C12、α-オレフィンのブロック共重合に由来するもの、特にエチレン及び1-オクテンのブロックビポリマーも使用され得る。
【0162】
コポリマーは、少なくとも1つの結晶化可能なブロックを含有し、コポリマーの残部は、(室温において)アモルファスである。これらのコポリマーは、異なる化学的性質の2つの結晶化可能なブロックも含有し得る。好ましいコポリマーは、室温において、疎水性及び親油性の両方であり、逐次的に分布している、結晶化可能なブロック及びアモルファスブロックを同時に含有するものであり、例えば、結晶化可能なブロックの1つ及び以下のアモルファスブロックの1つを含有するポリマーが挙げられ得る:
- a)ポリエステルタイプ、例えばポリ(アルキレンテレフタレート)、b)ポリオレフィンタイプ、例えばポリエチレン又はポリプロピレンの、本来結晶化可能であるブロック;
- アモルファス及び親油性ブロック、例えばアモルファスポリオレフィン又はコポリ(オレフィン)、例えばポリ(イソブチレン)、水素化ポリブタジエン又は水素化ポリ(イソプレン)。
【0163】
結晶化可能なブロック及びアモルファスブロックを含有するこのようなコポリマーの例として、以下が挙げられ得る。
a)好ましくは水素化されて使用されるポリ(δ-カプロラクトン)-b-ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー、例えば論文“Melting behavior of poly(δ-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers”from S.Nojima,Macromolecules,32,3727-3734(1999)に記載されているもの、
b)論文“Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT”by B.Boutevin et al.,Polymer Bulletin,34,117-123(1995)に引用されている水素化ブロック又はマルチブロックポリ(ブチレンテレフタレート)-b-ポリ(イソプレン)ブロックコポリマー、
c)論文“Morphology of semicrystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)”by P.Rangarajan et al.,Macromolecules,26,4640-4645(1993)及び“Polymer aggregates with crystalline cores:the system poly(ethylene)poly(ethylene-propylene)”P.Richter et al.,Macromolecules,30,1053-1068 25(1997)に引用されているポリ(エチレン)-b-コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー、
d)一般論文“Crystallization in block copolymers”by I.W.Hamley,Advances in Polymer Science,volume 148,113-137(1999)に記載のポリ(エチレン)-b-ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマー。
【0164】
本発明に関連して使用され得る半結晶性ポリマーは、非架橋又は部分的に架橋し得るが、ただし、架橋度は、それらの融点超で加熱することによって液体油性相中のそれらの溶解又は分散を妨害しない。したがって、これは、重合中の多官能モノマーとの反応による化学的架橋に当てはまり得る。これは、物理的架橋にも当てはまり得、これは、ポリマーによって担持される基間の水素又は双極性タイプの結合、例えばカルボキシレートアイオノマー間の双極性相互作用の確立(これらの相互作用は、少量であり、ポリマー骨格によって担持される)に起因し得るか、又はポリマーによって担持される結晶化可能なブロック及びアモルファスブロック間の相分離に起因し得る。
【0165】
好ましくは、本発明での使用に適した半結晶性ポリマーは、非架橋である。
【0166】
本発明による組成物中で使用することができる半結晶性ポリマーの特定の例として、パンフレット「Intelimer(登録商標)ポリマー」に記載されているLandecからのIntelimer(登録商標)製品が挙げられ得る。これらのポリマーは、室温(25℃)において固体形態である。これらは、結晶化可能側鎖を担持し、モノマーを含有する。室温において粘性で不浸透性でありべとべとしない生成物である56℃の融点m.p.を有するLandec IP22(登録商標)が特に挙げられ得る。
【0167】
アクリル酸及びC~C16(メタ)アクリル酸アルキルの共重合からもたらされる、米国特許第A-5156911号明細書の実施例3、4、5、7及び9に記載されている半結晶性ポリマー、例えば、以下の共重合からもたらされるものを使用することも可能である:
- 1/16/3比のアクリル酸、アクリル酸ヘキサデシル及びアクリル酸イソデシル、
- 1/19比のアクリル酸及びアクリル酸ペンタデシル、
- 2.5/76.5/20比のアクリル酸、アクリル酸ヘキサデシル及びアクリル酸エチル、
- 5/85/10比のアクリル酸、アクリル酸ヘキサデシル及びアクリル酸メチル、
- 2.5/97.5比のアクリル酸及びオクタデシル(メタ)アクリレート。
【0168】
融点44℃の米国特許第A-5736125号明細書に記載される製品などのNational Starch社によって販売されるポリマー「構造O」を使用すること及びまた国際公開第A-01/19333号パンフレットの実施例1、4、6、7及び8に記載のフルオロ基を含む結晶性側鎖を含有する半結晶性ポリマーを使用することも可能である。
【0169】
米国特許第A-5519063号明細書又は欧州特許出願公開第A-0550745号明細書に記載されているようなアクリル酸ステアリル及びアクリル酸若しくはNVPの共重合により、又はアクリル酸ベヘニル及びアクリル酸若しくはNVPの共重合により得られる半結晶性ポリマーを使用することも可能である。
【0170】
特定の実施形態の変形形態によれば、本発明において使用するのに適した半結晶性ポリマーは、特にアクリル酸アルキルであり、これらの中で、Landecコポリマーが挙げられ得る:
- Doresco IPA 13-1(登録商標):アクリル酸ポリステアリル、49℃のm.p.及び145000のMW;
- Doresco IPA 13-3(登録商標):ポリアクリレート/メタクリル酸、65℃のm.p.及び114000のMW;
- Doresco IPA 13-4(登録商標):ポリアクリレート/ビニルピロリドン、44℃のm.p.及び387000のMW;
- Doresco IPA13-5(登録商標):ポリアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート、47℃のm.p.及び397600のMW;
- Doresco IPA 13-6(登録商標):ポリベヘニルアクリレート、66℃のm.p.。
【0171】
2)非シリコーンポリアミド
本発明による組成物中で使用される特定のポリアミドは、好ましくは、Union Camp社からの米国特許第A-5783657号明細書に記載されているものである。
【0172】
これらのポリマーに充てられた米国特許第A-5,783657号明細書のセクションは、参照により組み込まれている。
【0173】
これらのポリアミドのそれぞれは、特に以下の式(V):
【化5】
(式(V)中:
- nは、エステル基の数がエステル及びアミド基の総数の10%~50%を表すようなアミド単位の整数を示し、
- Rは、独立して、いずれの場合にも、少なくとも4つの炭素原子、特に4~24個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル基であり、
- R基の少なくとも50%がC30~C55炭化水素ベースの基を表すことを前提として、Rは、独立して、いずれの場合にも、C~C55炭化水素ベースの基を表し、
- Rは、独立して、いずれの場合にも、少なくとも2つの炭素原子、水素原子及び任意選択的に1つ又は複数の酸素又は窒素原子を担持する有機基を表し、
- Rは、独立して、いずれの場合にも、水素原子、C~C10アルキル基又はR及びRの両方が付着している窒素原子がR-NRによって定義される複素環構造の部分であるように、R又は別のRへの直接結合を表し、R基の少なくとも50%は、水素原子を表す)
を満たす。
【0174】
特に、このポリアミドのエステル基は、エステル及びアミド基の総数の15%~40%、最大で20%~35%を表す。さらに、nは、有利には、1~10、さらにより良好には1~5の範囲の整数(限界を含む)を表す。
【0175】
好ましくは、Rは、C12~C22、好ましくはC16~C22アルキル基である。有利には、Rは、C10~C42炭化水素(アルキレン)基であり得る。R基の好ましくは少なくとも50%、さらにより良好には少なくとも75%は、30~42個の炭素原子を含有する基である。他のRは、水素化C~C19、好ましくはC~C12基である。好ましくは、Rは、C~C36炭化水素ベースの基又はポリオキシアルキレン基を表し、Rは、水素原子を表す。好ましくは、Rは、C~C12炭化水素ベースの基を表す。炭化水素ベースの基は、直鎖状、環式又は分岐状の飽和又は不飽和の基であり得る。さらに、アルキル及びアルキレン基は、直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の基であり得る。
【0176】
油性相の増粘は、上記で定義した1つ又は複数のポリアミドを用いて得ることができる。一般に、これらのポリアミドは、混合物の形態であり、これらの混合物は、上記で定義されているようなポリアミドに対応する合成生成物(nは、0である)、すなわちジエステルも場合により含有する。
【0177】
本発明において使用することができる構造化ポリアミドとして、脂肪族ジカルボン酸及びジアミンの縮合によってもたらされるポリアミド樹脂(それぞれ2つ超のカルボキシル基及び2つ超のアミン基を含有する化合物を含めた)も挙げられ得、隣接する個々の単位のカルボキシル及びアミン基は、アミド結合の形態で縮合している。これらのポリアミド樹脂は、特に、General Mills,Inc.社及びHenkel Corp.社によってブランド名Versamidで販売されている製品、ブランド名Onamid(登録商標)、特にOnamid(登録商標)S又はCで販売されている製品である。これらの樹脂は、6000~9000の範囲の質量平均分子質量を有する。これらのポリアミドに関するさらなる情報について、米国特許第A-3645705号明細書及び米国特許第A-3148125号明細書が参照され得る。より特に、Versamid(登録商標)30又は744が使用される。
【0178】
参照Uni-Rez(2658、2931、2970、2621、2613、2624、2665、1554、2623、2662)でArizona社によって販売又は製造されているポリアミド及び参照Macromelt 6212でHenkel社によって販売されている製品を使用することも可能である。これらのポリアミドに関するさらなる情報について、米国特許第A-5500209号明細書が参照され得る。
【0179】
本発明による組成物中で使用することができる構造化ポリアミドの例として、Arizona Chemical社によって名称Uniclear 80及びUniclear 100で販売又は製造されている市販の製品が挙げられ得る。これらは、それぞれ鉱油中の80%(活性材料)ゲル及び100%(活性材料)ゲルの形態で販売されている。それらは、88~105℃の軟化点を有する。これらの市販製品は、約6000の平均分子質量を有する、エチレンジアミンと組み合わされたC36二酸のコポリマーの混合物である。エステル末端基は、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はこれらの混合物(セチルステアリルアルコールとしても公知である)による残存する酸末端基のエステル化からもたらされる。
【0180】
2)糖類又は多糖類モノ又はポリアルキルエステル
本発明において使用するのに適した糖類又は多糖類モノアルキル又はポリアルキルエステルの中で、デキストリン、又はイヌリンアルキル、又はポリアルキルエステルが挙げられ得る。
【0181】
それは、特に、以下の式(VI):
【化6】
(式(VI)中、
- nは、3~200の範囲、特に20~150の範囲、特に25~50の範囲の整数であり、
- 同一であるか又は異なり得るR、R及びRは、水素及びアシル基(R-C(O)-)から選択され、式中、R基は、7~29個、特に7~21個、特に11~19個、より特に13~17個又はさらに15個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基であり、ただし、前記R、R又はR基の少なくとも1つは、水素以外である)
に特に対応する少なくとも1つの脂肪酸のデキストリンモノエステル又はポリエステルであり得る。
【0182】
特に、R、R及びRは、水素又はアシル基(R-C(O)-)を表し得、式中、Rは、従前に記載したような炭化水素基であり、ただし、前記基R、R又はRの少なくとも2つは、同一であり、水素以外である。
【0183】
、R及びR基の全ては、同一であるか又は異なり得、特に同一であり得るアシル基(R-C(O))を含有し得る。
【0184】
特に、上記のnは、本発明において使用され得る糖類エステルの一般式において、有利には25~50の範囲であり、特に38と等しい。
【0185】
特に、同一であるか又は異なり得るR、R及び/又はR基がアシル基(R-C(O))を含有する場合、これらの基は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、2-エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサン酸、デセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、ゴンドレイン酸、エイコセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、プニカ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸及びステアロール酸基並びにこれらの混合物から選択され得る。
【0186】
好ましくは、少なくとも1つのパルミチン酸デキストリンは、デキストリンの脂肪酸エステルとして使用される。このエステルは、単独で又は他のエステルとの混合物として使用され得る。
【0187】
有利には、デキストリンの脂肪酸エステルは、1つのグルコース単位に基づいて2.5以下、特に1.5~2.5、好ましくは2~2.5の範囲の置換度を有する。デキストリンエステルの質量平均分子量は、特に10000~150000、特に12000~100000、さらに15000~80000であり得る。
【0188】
デキストリンエステル、特にパルミチン酸デキストリンは、名称Rheopearl TL又はRheopearl KLでChiba Flour社から市販されている。
【0189】
3)N-アシルアミノ酸アミド誘導体
使用され得るN-アシルアミノ酸アミドは、例えば、N-アシルアミノ酸と、1~22個の炭素原子を含むアミンとの組合せからのジアミド、例えば仏国特許第2281162号明細書に記載されているものである。これらは、例えば、アルキルグルタミン酸アミド誘導体、例えばAjinomoto社によって名称ゲル化剤GP-1で販売されているラウリルグルタミン酸ジブチルアミド又は代わりにAjinomoto社によって名称ゲル化剤GA-01で販売されている2-エチルヘキシルグルタミン酸ジブチルアミドである。
【0190】
4)アルキレン又はスチレンブロックを含むコポリマー
コポリマーは、櫛型又はジブロック、トリブロック、マルチブロックのブロック構造及び/又はラジアル若しくは星形タイプを有し得、少なくとも2つの熱力学的に不適合性のセグメントを含み得る。
【0191】
構造化剤は、例えば、欧州特許第0497144号明細書、国際公開第98/42298号パンフレット、米国特許第6225690号明細書、米国特許第6174968号明細書及び米国特許第6225390号明細書において記載されているようなスチレンセグメントブロック、米国特許第6225690号明細書、米国特許第6174968号明細書及び米国特許第6225390号明細書において記載されているようなエチレン/ブチレンセグメント又はエチレン/プロピレンセグメント;ブタジエンセグメント、イソプレンセグメント、ポリビニルセグメント、例えばポリ(メタ)アクリル酸アルキル又はポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニル、米国特許第5468477号明細書及び米国特許第5725882号明細書において記載されているようなシリコーンセグメント又はこれらのセグメントの組合せを含み得る。
【0192】
ジブロックコポリマーは、通常、硬質セグメント(A)に続いて軟質セグメント(B)が存在する、A-Bタイプのものであると定義される。
【0193】
トリブロックコポリマーは、通常、A-B-Aタイプのもの又は硬質セグメント、軟質セグメント及び硬質セグメントの比として定義される。
【0194】
マルチブロック、ラジアル又は星形コポリマーは、硬質セグメント及び軟質セグメントの任意のタイプの組合せを含み得るが、ただし、硬質セグメント及び軟質セグメントの特徴は保存される。
【0195】
挙げられ得るブロックコポリマーの硬質セグメントの一例は、スチレンであり、挙げられ得るブロックコポリマーの軟質セグメントの一例は、エチレン、プロピレン及びブチレン並びにこれらの組合せを含む。
【0196】
本発明における使用に適したトリブロックコポリマー、特にポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエンタイプのものは、参照Luvitol HSBでBASF社によって販売されているものであり得る。ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)又はポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)タイプのトリブロックコポリマー、例えば参照KratonでShell Chemical Co.社により、又は参照Gelled Permethyl99AでPenrecoにより販売されているものが挙げられ得る。このようなトリブロックコポリマーは、本発明によって特に好ましい。
【0197】
本発明における使用に適し得るブロックコポリマーのさらなる例として、参照VersagelでPenreco社によって販売されているブロックコポリマー、参照KratonでShell社によって販売されているもの及び参照Gel BaseでBrooks Industries社によって販売されているものが挙げられ得る。
【0198】
脂肪相増粘ポリマーの中で、骨格中で少なくとも1つの結晶化可能なブロックを担持するポリマーが好ましい。
【0199】
水性相又は脂肪相増粘ポリマーは、単独で又は全ての割合の混合物として使用され得る。
【0200】
好ましくは、増粘剤は、水性相増粘剤である。
【0201】
好ましくは、本発明による化粧用組成物中のポリマーは、有利には、溶液又は分散液中において、水中の1%活性材料で25℃においてRheomat RM180レオメーターを使用して測定して、200s-1の剪断速度で0.1ps超、さらにより有利には0.2cp超の粘度を有する。
【0202】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の増粘ポリマーは、非会合性であり、優先的にはアクリレートモノマーCH=C(R’)-COOR’’’(VIa)及び/又はアクリルアミドモノマーCH=C(R’)-CO-N(R’’)-L-Y(VIb)の(共)重合に由来し、前記式(VIa)及び(VIb)中、同一であるか又は異なり得るR’及びR’’は、水素原子又は(C~C)アルキル基、例えばメチル、好ましくは水素を表し、R’’’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、水素原子又は特に1つ若しくは複数のヒドロキシル、カルボキシ若しくはアミノ基で任意選択的に置換されている(C~C)アルキル基を表し、Lは、1つ又は複数のヘテロ原子、例えばO又はNで任意選択的に中断及び/又は置換されており、且つ1~20個の炭素原子、好ましくは1~6つの炭素原子を含む環式又は非環式の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状の二価の炭化水素ベースの基を表し、好ましくは、Lは、二価の-[C(R’)(R’’)]-基を表し、ここで、pは、1~4、好ましくは2~3、例えば2の整数を表し、R’及びR’’は、上記で定義されている通りであり、より特に、Lは、-C(R’)(R’’)-CH-又は-CH-C(R’)(R’’)-を表し、ここで、R’及びR’’は、上記で定義されている通りであり、好ましくは、R’及びR’’は、(C~C)アルキル基、例えばメチルを表し、Y-は、アニオン基、例えばカルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、スルホネート又はスルフェート、好ましくは-S(O)-Oを表し、Mは、カチオン性対イオン、好ましくはアルカリ金属、例えばナトリウムであり、前記コポリマーは、正エマルジョン又は逆エマルジョン、好ましくは逆エマルジョン中にあることが可能である。より優先的には、本発明の増粘ポリマーは、上記で定義されているようなアクリレートモノマーCH=C(R’)-COOH(VIa)及びアクリルアミドモノマーCH=C(R’)-CO-N(R’’)-L-Y(VIb)の共重合に由来する。増粘ポリマーの中でも、以下が挙げられ得、好ましくは、有機増粘ポリマーは、単独で又は混合物として、架橋又は非架橋のアクリル酸又はメタクリル酸コポリマー、架橋又は非架橋の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びその架橋又は非架橋のアクリルアミドコポリマー、アクリル酸アンモニウムホモポリマー又はアクリル酸アンモニウム及びアクリルアミドのコポリマーから選択される。
【0203】
有利な変形形態によれば、本発明の組成物は、特に以下の糖:グルコース;ガラクトース;アラビノース;ラムノース;マンノース;キシロース;フコース;アンヒドロガラクトース;ガラクツロン酸;グルクロン酸;マンヌロン酸;ガラクトーススルフェート;アンヒドロガラクトーススルフェート及びフルクトース、好ましくはアンヒドロガラクトースガラクトース、好ましくは寒天に由来する糖単位を含む1つ又は複数の会合性又は非会合性増粘ポリマー、好ましくは非会合性のものを含む。
【0204】
好ましくは、有機増粘ポリマーは、組成物の総質量に対して0.01質量%~10質量%、より優先的には0.1質量%~5質量%の範囲の含量で本発明による組成物中に存在する。
【0205】
特定の実施形態によれば、脂肪物質/界面活性剤の質量比は、両端を含めて、5~20、好ましくは8~15、さらにより優先的には10~13、例えば11.8である。
【0206】
本発明の一実施形態によれば、脂肪物質/界面活性剤及びポリマーの合計[界面活性剤+ポリマー]の質量比は、両端を含めて、0.8~10、特に1~5、より特に1.5~2.5、例えば1.8又は1.9,優先的には1.9である。
【0207】
脂肪物質
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、v)1つ又は複数の脂肪物質も含む。特に、本発明の脂肪物質は、オキシアルキレン化されていない。
【0208】
好ましくは、本発明の脂肪物質は、炭化水素、脂肪アルコール、脂肪エステル、シリコーン及び脂肪エーテル又はこれらの混合物から選択される。
【0209】
本発明の脂肪族物質は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち1.013×105Pa)下で液体又は非液体であり得る。
【0210】
本発明の液体脂肪物質は、好ましくは、25℃の温度及び1s-1の剪断速度において2Pa.s以下、さらにより良好には1Pa.s以下、またさらにより良好には0.1Pa.s以下の粘度を有する。
【0211】
用語「液体炭化水素」は、炭素原子及び水素原子のみから構成され、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち1.013×10Pa)下において液体である炭化水素を意味する。
【0212】
より特に、液体炭化水素は、以下から選択される:
- 直鎖状若しくは分枝状、任意選択的に環式のC~C16アルカン。挙げられ得る例として、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンを挙げることができる;
- 16個超の炭素原子を含有する鉱物、動物又は合成起源の直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)及びスクアラン。
【0213】
好ましい変形形態において、液体炭化水素は、流動パラフィン及び流動ワセリンから選択される。
【0214】
用語「液体脂肪アルコール」は、標準温度(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち1.013×10Pa)で液体である、非グリセロール化及び非オキシアルキレン化脂肪アルコールを意味する。
【0215】
好ましくは、本発明の液体脂肪アルコールは、8~30個の炭素原子を含み、より優先的にはC10~C22、さらにより優先的にはC14~C20、さらにより良好にはC16~C18である。
【0216】
本発明の液体脂肪アルコールは、飽和又は不飽和であり得る。
【0217】
飽和液体脂肪アルコールは、好ましくは分枝状である。それらは、それらの構造内に、少なくとも1つの芳香環又は非芳香環を任意選択的に含み得る。好ましくは、それらは、非環式である。
【0218】
より特に、本発明の液体飽和脂肪アルコールは、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール又は2-ヘキシルデカノールから選択される。
【0219】
本発明の別の変形形態によれば、脂肪物質は、液体不飽和脂肪アルコールから選択される。これらの不飽和液体脂肪アルコールは、それらの構造内に少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含有する。好ましくは、本発明の脂肪アルコールは、それらの構造において、1つ又は複数の二重結合を有する。いくつかの二重結合が存在する場合、好ましくは2つ又は3つの二重結合が存在し、これらは、共役されていても又はいなくてもよい。
【0220】
これらの不飽和脂肪アルコールは、直鎖又は分岐鎖であり得る。
【0221】
それらは、それらの構造内に、少なくとも1つの芳香環又は非芳香環を任意選択的に含み得る。好ましくは、それらは、非環式である。
【0222】
より詳細には、本発明の不飽和液体脂肪アルコールは、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール又はウンデシレニルアルコールから選択される。
【0223】
オレイルアルコールがその中でも最も好ましい。
【0224】
用語「液体脂肪エステル」は、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールに由来し、且つ常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)において液体であるエステルを意味する。
【0225】
エステルは、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のC~C26脂肪族モノ又はポリ酸及び飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のC~C26脂肪族モノ又はポリアルコールの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は、10以上である。
【0226】
好ましくは、モノアルコールのエステルに関して、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸の少なくとも1つは、分枝状である。
【0227】
モノ酸及びモノアルコールのモノエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル及びC10~C22、好ましくはC12~C20アルキル(イソ)ステアレート、例えばイソステアリン酸イソプロピルが挙げられ得る。
【0228】
~C22ジ又はトリカルボン酸及びC~C22アルコールのエステル並びにモノ、ジ又はトリカルボン酸及び非糖ジ、トリ、テトラ又はペンタヒドロキシC~C26アルコールのエステルも使用され得る。
【0229】
特に、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、三乳酸グリセリル、三オクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコールが挙げられ得る。
【0230】
組成物は、液体脂肪エステルとしてC~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルも含むことができる。「糖」という用語は、酸素を含有する炭化水素ベースの化合物であって、アルデヒド又はケトン官能基を含み又は含まずにいくつかのアルコール官能基を含有し、且つ少なくとも4つの炭素原子を含む化合物を指すことを想起されたい。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であり得る。
【0231】
適切な糖の例として、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース並びにこれらの誘導体、とりわけメチル誘導体、例えばメチルグルコースなどのアルキル誘導体を挙げることができる。
【0232】
脂肪酸の糖エステルは、特に上述の糖と、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択され得る。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0233】
この変形形態によるエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、ポリエステル並びにこれらの混合物からも選択され得る。
【0234】
これらのエステルは、例えば、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート及びアラキドネート又はそれらの混合物、例えば具体的にはオレオパルミテート、オレオステアレート及びパルミトステアレートの混合エステルであり得る。
【0235】
より特に、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレエート若しくはジオレエート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレエート、リノレネート又はオレオステアレートが使用される。
【0236】
挙げられ得る例は、Glucate(登録商標)DOの名称でAmerchol社から販売されている製品であり、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0237】
最後に、一酸、二酸若しくは三酸の天然又は合成グリセロールエステルも利用され得る。
【0238】
これらの中で植物油が挙げられ得る。
【0239】
本発明の組成物で使用され得る、植物起源又は合成トリグリセリド油として、挙げられ得る例は、以下を含む。
- 植物又は合成起源のトリグリセリド油、例えば6~30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又は例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、グレープシード油、セサミシード油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されるもの又はDynamit Nobel社によってMiglyol(登録商標810、812及び818の名称で販売されるもの、ホホバ油及びシアバター油。
【0240】
好ましくは、モノアルコールからもたらされる液体脂肪エステルは、本発明によるエステルとして使用される。
【0241】
ミリスチン酸イソプロピル又はパルミチン酸イソプロピルが好ましい。
【0242】
用語「液体シリコーン」は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)で液体であるオルガノポリシロキサンを意味する。
【0243】
好ましくは、シリコーンは、少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリジアルキルシロキサン、特に液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0244】
これらのシリコーンはまた、有機変性され得る。本発明に従って使用され得る有機変性シリコーンは、上記で定義した液体シリコーンであり、炭化水素ベースの基を介して結合した1つ又は複数の有機官能基をその構造に含む。
【0245】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll’s Chemistry and Technology of Silicones(1968),Academic Pressにおいてより詳細に定義される。これらは、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0246】
オルガノポリシロキサンが揮発性である場合、シリコーンは、より具体的には60℃~260℃の沸点を有するものから、さらに一層具体的には、以下から選択される。
【0247】
(i)3~7つ、好ましくは4~5つのケイ素原子を含む環式ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特に名称Volatile Silicone(登録商標)7207でUnion Carbideにより、又はSilbione(登録商標)70045V2でRhodiaにより販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、名称Silicone Volatile(登録商標)7158でUnion Carbideにより、Silbione(登録商標)70045V5でRhodiaにより販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン及び名称Silsoft 1217でMomentive Performance Materialsにより販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン又はシクロヘキサジメチルシロキサン並びにまたこれらの混合物である。
【0248】
ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型の環式コポリマー、例えばUnion Carbide社によって販売されている、式:
【化7】
のSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109も挙げることができる。
【0249】
有機ケイ素化合物を有する環式ポリジアルキルシロキサンの混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサン及びオキシ-1,1’-ビス(2,2,2’,2’,3,3’-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンの混合物も挙げられ得る。
【0250】
(ii)2~9つのケイ素原子を含有し25℃で5×10-6/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。一例は、特にToray Silicone社からSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーの範囲に入るシリコーンは、Cosmetics and Toiletries,Vol.91,Jan.76,pages 27-32-Todd&Byers Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて発表されている論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、標準ASTM 445 Appendix Cに準拠して25℃で測定される。
【0251】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンも使用され得る。
【0252】
これらの不揮発性シリコーンは、より特にポリジアルキルシロキサンから選択され、これらの中で、トリメチルシリル末端基を担持するポリジメチルシロキサンが主に挙げられ得る。
【0253】
これらのポリジアルキルシロキサンのうち、以下の市販の製品が非限定的に挙げられ得る:
- 47及び70047シリーズのSilbione(登録商標)油又はRhodiaによって販売されているMirasil(登録商標)油、例えば油70047V500000;
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社の200シリーズの油、例えば、粘度が60000mm/sの粘度であるDC200;
- General ElectricからのViscasil(登録商標)油及びGeneral ElectricからのSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0254】
名称ジメチコノール(CTFA)で公知のジメチルシラノール末端基を担持するポリジメチルシロキサン、例えばRhodiaからの48シリーズの油が挙げられ得る。
【0255】
アリール基を含有するシリコーンの中に、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンがある。挙げられ得る例としては、以下の名称で販売されている製品が含まれる。
- Rhodiaの70 641シリーズのSilbione(登録商標)油;
- RhodiaからのRhodorsil(登録商標)70633及び763シリーズの油;
- Dow Corningの油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid;
- BayerのPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20;
- General ElectricのSFシリーズのいくつかの油、例えば、SF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0256】
有機変性液体シリコーンは、特に、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有し得る。したがって、Shin-Etsuによって販売されるシリコーンKF-6017及びUnion Carbideからの油Silwet(登録商標)L722及びL77が挙げられ得る。
【0257】
液体脂肪エーテルは、液体ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテルから選択される。
【0258】
脂肪物質は、室温及び大気圧において非液体であり得る。
【0259】
「非液体」という用語は、好ましくは、固体化合物又は温度25℃及び剪断速度1s-1で粘度が2Pa.sを超える化合物を意味する。
【0260】
より特に、非液体脂肪物質は、脂肪アルコール、脂肪酸及び/若しくは脂肪アルコールエステル、非シリコーンワックス、非液体、好ましくは固体であるシリコーン又は脂肪エーテルから選択される。
【0261】
本発明での使用に適した非液体脂肪アルコールは、より特に、より優先的にはC10~C22、さらにより優先的にはC14~C20、さらにより良好にはC16~C18である、8~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のアルコールから選択される。
【0262】
セチルアルコール及びステアリルアルコール並びにそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)が最も特に好ましい。
【0263】
脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの非液体エステルに関して、C~C26脂肪酸及びC~C26脂肪アルコールに由来する固体エステルが特に挙げられ得る。
【0264】
これらのエステルの中で、ベヘン酸オクチルドデシル;ベヘン酸イソセチル;乳酸セチル;オクタン酸ステアリル;オクタン酸オクチル;オクタン酸セチル;オレイン酸デシル;ステアリン酸ミリスチル;パルミチン酸オクチル;ペラルゴン酸オクチル;ステアリン酸オクチル;ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル又はミリスチン酸ステアリル;ステアリン酸ヘキシル、より特にミリスチン酸ミリスチルが挙げられ得る。
【0265】
また、この変形形態に関連して、C~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸及びC~C22アルコールのエステル並びにモノ、ジ又はトリカルボン酸及びC~C26ジ、トリ、テトラ又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用され得る。
【0266】
セバシン酸ジエチル;セバシン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジ-n-プロピル;アジピン酸ジオクチル;マレイン酸ジオクチルが特に挙げられ得る。
【0267】
上記の全てのさらなるエステルの中で、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル又はパルミチン酸ステアリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸セチル及びミリスチン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチルを使用することが好ましい。
【0268】
非シリコーンワックスは、特にカルナウバワックス、カンデリラワックス、エスパルトワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、植物ワックス、例えばオリーブワックス、コメワックス、水添ホホバワックス又は無水花ワックス、例えばBertin社(France)によって販売されているクロフサスグリの花のエッセンシャルワックス又は動物蝋、例えば蜜蝋若しくは修飾蜜蝋(セラベリナ(cerabellina));白蜜蝋、例えばKoster Keunenによって販売されているものから選択される。本発明によって使用することができる他のワックス又はワックス状原料は、特にマリーンワックス、例えば参照M82でSophim社によって販売されている製品、一般にポリエチレンワックス又はポリオレフィンワックスである。
【0269】
本発明による非液体シリコーンは、ワックス、樹脂又はガムの形態であり得る。
【0270】
好ましくは、非液体シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)並びにポリ(オキシアルキレン)基、アミノ基及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を含む有機修飾ポリシロキサンから選択される。
【0271】
本発明に従って使用され得るシリコーンゴムは、特にポリジアルキルシロキサンであり、好ましくは200000~1000000の高い数平均分子質量を有するポリジメチルシロキサンであるが、これらは、単独で使用され得るか、又は溶媒中の混合物として使用され得る。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン及びトリデカン又はこれらの混合物から選択され得る。
【0272】
より詳細には、本発明に従って使用され得る製品は、混合物、例えば、
- ヒドロキシ末端鎖を有するポリジメチルシロキサン又はジメチコノール(dimethiconol)(CTFA)から、及び環式ポリジメチルシロキサン(シクロメチコン(cyclomethicone)(CTFA)としても知られる)から生成する混合物、例えばDow Corning社によって販売されている製品であるQ21401;
- ポリジメチルシロキサンガム及び環式シリコーンの混合物、例えばGeneral Electric社からの製品であるSF 1214 Silicone Fluid;この製品は、数平均分子量が500000であるジメチコンに対応するSF 30ガムを、デカメチルシクロペンタシロキサンに対応する油であるSF 1202 Silicone Fluid中に溶解したものである;
- 異なる粘度を有する2つのPDMS、より詳細にはPDMSガム及びPDMS油の混合物、例えばGeneral Electric社からの製品であるSF 1236。製品SF1236は、20m/sの粘度を有する上記で定義されたガムSE30及び5×10/sの粘度を有する油SF96の混合物である。この製品は、好ましくは、15%のガムSE30及び85%の油SF96を含む。
【0273】
本発明に従って使用され得るオルガノポリシロキサン樹脂は、以下の単位:
SiO2/2、RSiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2
(式中、同一であるか又は異なり得る、好ましくは同一であり得るRは、1~16個の炭素原子を含有するアルキルを表す)
を含む架橋シロキサン系である。これらの生成物の中でも、RがC~C低級アルキル基、より詳細にはメチルを表すものが特に好ましい。
【0274】
これらの樹脂の中で、Dow Corning 593の名称で販売されている製品又はGeneral Electric社からSilicone Fluid SS 4230及びSS 4267の名称で販売されている製品が挙げられ得るが、これらはジメチル/トリメチルシロキサン構造のシロキサンである。
【0275】
Shin-Etsu社から特にX22-4914、X21-5034及びX21-5037という名称で販売されているトリメチルシロキシシリケート型の樹脂も挙げられ得る。
【0276】
有機変性シリコーンの中で、以下を含むポリオルガノシロキサンが挙げられ得る:
- 置換又は非置換アミン基、例えば名称Q2 8220及びDow Corning 929又は939でDow Corning社によって販売されている製品。置換アミノ基は、特にC~Cアミノアルキル基である;
- アルコキシル化基、例えば名称Abil Wax(登録商標)2428、2434及び2440でGoldschmidt社によって販売されている製品。
【0277】
非液体脂肪族エーテルは、ジアルキルエーテル、特にジセチルエーテル及びジステアリルエーテルが、単独で又は混合物として選択される。
【0278】
本発明による組成物は、好ましくは、植物起源の同一であるか又は異なり得る1つ又は複数のバターを含み得る。
【0279】
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるバター中の脂肪酸トリグリセリドの総量に対して表されるC16脂肪酸トリグリセリドの質量含量は、23%未満である。
【0280】
本発明の目的のために、用語「バター」(「ペースト状脂肪物質」としても公知である)は、可逆的な固体/液体の状態変化を受け、且つ25℃の温度及び大気圧(760mmHg)において液体フラクション及び固体フラクションを含む親油性脂肪化合物を意味する。言い換えると、ペースト状化合物の出発融点は、25℃未満であり得る。25℃において測定されたペースト状化合物の液体フラクションは、化合物の9質量%~97質量%を表し得る。25℃において液体であるこのフラクションは、好ましくは、15質量%~85質量%、より好ましくは40質量%~85質量%を表す。
【0281】
好ましくは、バターは、60℃未満の最終融点を有する。
【0282】
好ましくは、バターは、6MPa以下の硬度を有する。
【0283】
好ましくは、ペースト状脂肪物質は、固体状態で異方性結晶組織を有し、これは、X線観察によって可視である。
【0284】
本発明の目的のための融点は、ISO規格11357-3;1999に記載されている熱分析(DSC)により観測される最も高い(most)吸熱ピークの温度に対応する。ペースト状物質又はワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば名称DSC Q2000でTA Instruments社によって販売されている熱量計を使用して測定され得る。
【0285】
融点の測定及び最終融点の決定に関して、試料の調製及び測定プロトコルは、以下の通りである。
【0286】
80℃に事前加熱され、且つまた加熱したスパチュラを使用して磁気撹拌で取り出された5mgのペースト状脂肪物質の試料を気密性のアルミニウムカプセル又はるつぼ中に入れる。2つの試験を行い、結果の再現性を確実にする。
【0287】
測定は、上記の熱量計上で行う。オーブンを窒素でフラッシュする。RCS90熱交換器によって冷却を行う。次いで、試料を以下のプロトコルに供する。これを20℃の温度において最初に配置し、次いで20℃から80℃に5℃/分の加熱速度で通過する第1の温度上昇に供し、次いで80℃から-80℃に5℃/分の冷却速度で冷却し、最終的に-80℃から80℃に5℃/分の加熱速度で通過する第2の温度上昇に供する。第2の温度上昇中、空のるつぼ及びバターの試料を含有するるつぼによって吸収されるパワーにおける差異の変動を温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数として、吸収されるパワーにおける差異の変動を表す曲線のピークのトップに対応する温度値である。
【0288】
最終融点は、試料の95%が融解した温度に対応する。
【0289】
25℃でのバターの質量による液体フラクションは、25℃において消費される融解熱と、バターの溶解のエンタルピーとの比に等しい。
【0290】
ペースト状化合物の融解熱は、固体状態から液体状態に通過するために化合物によって消費される熱である。バターは、その塊の全てが結晶性固体形態である場合、固体状態であると言われる。バターは、その塊の全てが液体形態である場合、液体状態であると言われる。
【0291】
バターの融解熱は、規格ISO11357-3:1999により、5℃/分又は10℃/分の温度上昇を伴って、上述の熱量計を使用して得た全融解曲線の積分と等しい。バターの融解熱は、固体状態から液体状態への化合物の変化を起こすのに必要とされるエネルギーの量である。これは、J/gで表される。
【0292】
25℃において消費される融解熱は、固体状態から、液体フラクション及び固体フラクションから構成される25℃での状態に変化する際に試料によって吸収されるエネルギーの量である。
【0293】
32℃で測定したバターの液体フラクションは、好ましくは、化合物の30質量%~100質量%、好ましくは化合物の50質量%~100質量%、より好ましくは60質量%~100質量%を表す。32℃において測定したバターの液体フラクションが100%と等しい場合、ペースト状化合物の融解範囲の最終の温度は32℃以下である。
【0294】
32℃で測定したバターの液体フラクションは、32℃において消費される融解熱とペースト状化合物の融解熱との比に等しい。32℃において消費される融解熱は、同様に、23℃において消費される融解熱として計算される。
【0295】
硬度の測定に関して、試料調製及び測定プロトコルは、以下の通りである。
【0296】
本発明による組成物又はバターを直径75mmのモールド中に入れ、その高さの約75%まで充填する。熱履歴を克服し、結晶化を制御するために、モールドをVoetsch VC0018プログラム可能オーブン中に入れ、ここで、これを最初に80℃の温度において60分間入れ、次いで5℃/分の冷却速度で80℃から0℃に冷却し、次いで0℃の安定化温度において60分間静置し、次いで0℃から20℃の範囲の温度上昇に5℃/分の加熱速度において供し、次いで20℃の安定化温度において180分間静置する。
【0297】
SwantechからのTA/TX2iテクスチュロメーターを使用して、圧縮力測定を行う。使用するスピンドルは、テクスチャによって選択される:
- 非常に硬い出発材料に対して、直径2mmの円柱状のスチール製スピンドル;
- あまり硬くない出発材料に対して、直径12mmの円柱状のスチール製スピンドル。
【0298】
測定には3つのステップが含まれる。
- 試料の表面の自動検出後の第1のステップ、ここで、スピンドルは、0.1mm/秒の測定スピードで動き、本発明による組成物又はバター中に0.3mmの貫通深さまで貫通し、ソフトウェアは、到達した最大力値を記録し、
- 弛緩として知られている第2のステップ、ここで、スピンドルは、この位置に1秒間とどまり、1秒の弛緩後、力を記録し、最終的に、
- 引抜きとして知られている第3のステップ、ここで、スピンドルは、その当初の位置に1mm/秒のスピードで戻り、スピンドルの引抜きエネルギー(負の力)を記録する。
【0299】
第1のステップ中に測定する硬度値は、ニュートンで測定した最大圧縮力を、バター又は本発明による組成物と接触したmmで表されたテクスチュロメーターシリンダーの面積で除したものに対応する。得られる硬度値は、メガパスカル又はMPaで表される。
【0300】
本発明の好ましい態様によると、特定のバターは植物起源であり、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(“Fats and Fatty Oils”,A.Thomas,published online:JUN 15,2000,DOI:10.1002/14356007.a10_173,point 13.2.2.2.Shea Butter,Borneo Tallow,and Related Fats(Vegetable Butters))に記載されるものである。
【0301】
より特に、シアバター、ニロティカ(ブチロスパーマム・パーキー(Butyrospermum parkii))シアバター、ガラムバター、(ブチロスパーマム・パーキー(Butyrospermum parkii))、ボルネオバター又は脂肪又はテンカワン獣脂(ショレア・ステノプテラ(Shorea stenoptera))、ショレアバター、イリッペバター、マフアバター又はバッシア・マフア・ロンギホリア(Bassia madhuca longifolia)バター、モーラバター(マフア・ロンギフォリア(Madhuca latifolia))、カチアウバター(マフア・モットレヤナ(Madhuca mottleyana))、プルワラバター(M.ブチラセア(M.butyracea))、マンゴーバター(マニフィーラ・インディカ(Mangifera indica))、ムルムルバター(アストロカリウム・ムルムル(Astrocaryum murumuru))、コカムバター(ガルシニア・インディカ(Garcinia indica))、ウクウババター(ビロラ・セビフェラ(Virola sebifera))、ツクマバター、パインヤバター(クパニャン)(ペンタデスマ・ブチラセア(Pentadesma butyracea))、コーヒーバター(コーヒーノキ(Coffea arabica))、アンズバター(アンズ(Prunus armeniaca))、マカダミアバター(マカデミア・ターニフォリア(Macadamia ternifolia))、ブドウ種子バター(ブドウ(Vitis vinifera))、アボカドバター(パーシア・グラティッシマ(Persea gratissima))、オリーブバター(オリーブ(Olea europaea))、甘扁桃バター(プルヌス・アミグダルス・ズルシス(Prunus amygdalus dulcis))及びヒマワリバターが挙げられ得る。優先的には、本発明によるバターは、ムルムルバター、ウクウババター、ショレアバター、イリッペバター、シアバター及びクプアスバター及びさらにより優先的にはシアバターから選択される。
【0302】
本発明の1つの好ましい変形形態において、脂肪酸トリグリセリドの総量に対して表されるC16脂肪酸トリグリセリドの質量含量は、0~22%、さらにより良好には0~15%、またさらにより良好には2%~12%の範囲である。
【0303】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、特に両端を含めて0.01質量%~30質量%、より特に両端を含めて0.1質量%~20質量%、優先的には両端を含めて0.5質量%~10質量%、より優先的には両端を含めて1質量%~5質量%の量で1つ又は複数のバターを含む。
【0304】
好ましくは、本発明の組成物は、同じ条件下で非液体である1つ又は複数の脂肪物質と任意選択的に合わせた、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)において液体である1つ又は複数の脂肪物質を含有する。
【0305】
好ましくは、脂肪物質は、以下から選択される。
a)バター、好ましくはシアバター;
b)ワックス、好ましくは蜜蝋;
c)優先的にはC10~C22、より優先的にはC14~C20、さらにより良好にはC16~C18である、特に8~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のアルコールから選択される非液体脂肪アルコール、例えばセチルアルコール及びステアリルアルコール並びにこれらの混合物;
d)非液体脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、特にC~C26脂肪酸及びC~C26脂肪アルコールに由来する固体エステル、特にミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル又はミリスチン酸ステアリル;ステアリン酸ヘキシル、より特にミリスチン酸ミリスチル;
e)モノアルコールのエステルであって、前記エステルが由来するアルコール又は酸の少なくとも1つは、分岐状である、モノアルコールのエステル、例えばパルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル及びC10~C22、好ましくはC12~C20アルキル(イソ)ステアレート、例えばイソステアリン酸イソプロピル;
f)3~7つ、好ましくは4~5つのケイ素原子を含む環式ポリジアルキルシロキサン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン又はシクロヘキサジメチルシロキサン及びまたこれらの混合物、好ましくはシクロヘキサジメチルシロキサン;
g)植物起源の油又は合成トリグリセリド、例えば6~30個の炭素原子を含有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又は代わりにヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、マロー油、グレープシード油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミア油、アララ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ホホバ油、シアバター油、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド。
【0306】
本発明による組成物中で使用される脂肪物質は、組成物の総質量に対して1%~40%の範囲の量、好ましくは5%~30%の範囲の量、さらにより優先的には10質量%~20質量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0307】
vi)アルカリ化剤:
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、vi)1つ又は複数のアルカリ化剤(塩基とも称される)を含む。この薬剤は、無機若しくは有機若しくはハイブリッドアルカリ化剤又はこれらの混合物から選択され得る。
【0308】
無機アルカリ化剤は、好ましくは、アンモニア水、アルカリカーボネート若しくはバイカーボネート、例えば炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム及び炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム又はこれらの混合物から選択される。
【0309】
本発明の有利な実施形態によれば、アルカリ化剤は、有機アミンであり、すなわち、これらは、少なくとも1つの置換又は非置換アミノ基を含有する。
【0310】
有機アルカリ化剤は、25℃において12未満、好ましくは10未満、さらにより有利には6未満のpKを有する有機アミンからより優先的には選択される。これは、最も高い塩基性度を有する官能基に対応するpKであることに留意すべきである。
【0311】
挙げられ得るハイブリッド化合物は、酸、例えば炭酸又は塩酸を有する上記のアミンの塩を含む。
【0312】
有機アルカリ化剤は、例えば、アルカノールアミン、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、アミノ酸並びに以下の式(IV):
【化8】
(式(IV)中:
- Wは、ヒドロキシル基で任意選択的に置換されている二価C~Cアルキレン基又はC~Cアルキル基であり、且つ/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子、例えば酸素若しくはNRで任意選択的に中断されており、
- 同一であるか又は異なり得るR、R、R、R及びRは、水素原子又はC~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル若しくはC~Cアミノアルキル基を表す)
の化合物から選択される。
【0313】
挙げられ得るこのようなアミンの例は、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンを含む。
【0314】
用語「アルカノールアミン」は、第一級、第二級又は第三級アミン官能基及び1つ又は複数のヒドロキシル基を保持する、1つ又は複数の直鎖状又は分岐状C~Cアルキル基を含む有機アミンを意味する。
【0315】
1~3つの同一の又は異なるC~Cヒドロキシアルキル基を含むアルカノールアミン、例えばモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミンは、本発明を行うのに特に適している。
【0316】
このタイプの化合物の中で、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンが挙げられ得る。
【0317】
より詳細には、使用できるアミノ酸は、L、D又はラセミ形態における天然又は合成起源のものであり、より詳細にはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸及びリン酸官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む。このアミノ酸は、中性又はイオン形態であり得る。
【0318】
本発明で使用され得るアミノ酸としては、特にアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられ得る。
【0319】
有利には、アミノ酸は、特にヒスチジン、リシン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンから選択される、環又はウレイド官能基中に任意選択的に含まれるさらなるアミン官能基を含む塩基性アミノ酸である。
【0320】
有機アミンは、複素環式タイプの有機アミンからも選択され得る。アミノ酸において既に記載されたヒスチジンに加えて、特にピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びベンゾイミダゾールが挙げられ得る。
【0321】
有機アミンは、アミノ酸ジペプチドからも選択され得る。本発明で使用され得るアミノ酸ジペプチドとしては、特にカルノシン、アンセリン及びバレニンが挙げられる。
【0322】
有機アミンは、グアニジン官能基を含む化合物から選択される。本発明で使用され得るこのタイプのアミンとして、アミノ酸で既に挙げたアルギニンに加えて、特にクレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、n-アミジノアラニン、3-グアニジノプロピオン酸、4-グアニジノ酪酸及び2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸が挙げられ得る。
【0323】
ハイブリッド化合物として炭酸グアニジン又はモノエタノールアミンヒドロクロリドの使用が特に挙げられ得る。
【0324】
本発明の組成物は、好ましくは、1つ若しくは複数のアルカノールアミン及び/又は1つ若しくは複数の塩基性アミノ酸、より有利には1つ又は複数のアルカノールアミンを含有する。さらにより優先的には、有機アミンは、モノエタノールアミンである。
【0325】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、アルカリ化剤として1つ又は複数のアルカノールアミンを含む。
【0326】
好ましくは、アルカノールアミンは、トリエタノールアミンである。
【0327】
有利には、本発明による組成物は、前記組成物の質量に対して0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、さらにより良好には0.1質量%~1質量%の範囲のアルカリ化剤の含量を有する。
【0328】
組成物
本発明の主題は、
i)上記で定義された1つ又は複数の4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン化合物と、
ii)i)以外の1つ又は複数の保存剤及び/又は上記で定義された1つ又は複数の酸化防止剤、好ましくは4-ヒドロキシアセトフェノンと、
iii)非イオン性、アニオン性及び双性イオン性界面活性剤から選択される1つ又は複数の界面活性剤と、
iv)上記で定義された1つ又は複数の、好ましくは有機である増粘ポリマーと、
v)任意選択的に、上記で定義された1つ又は複数の脂肪物質と
を含む組成物である。
【0329】
本発明の1つの変形形態によると、組成物は、
i)上記で定義された1つ又は複数の4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン化合物と、
ii)i)以外の1つ又は複数の保存剤と、
iii)非イオン性、アニオン性及び双性イオン性界面活性剤から選択される1つ又は複数の界面活性剤と、
iv)上記で定義された1つ又は複数の、好ましくは有機である増粘ポリマーと、
v)任意選択的に、上記で定義された1つ又は複数の脂肪物質と
を含む組成物である。
【0330】
本発明の1つの変形形態によると、組成物は、
i)上記で定義された1つ又は複数の4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン化合物と、
ii)上記で定義された1つ又は複数の酸化防止剤、好ましくは4-ヒドロキシアセトフェノンと、
iii)非イオン性、アニオン性及び双性イオン性界面活性剤から選択される1つ又は複数の界面活性剤と、
iv)上記で定義された1つ又は複数の、好ましくは有機である増粘ポリマーと、
v)任意選択的に、上記で定義された1つ又は複数の脂肪物質と
を含む組成物である。
【0331】
本発明のさらに別の実施形態によれば、組成物は、
i)上記で定義された1つ又は複数の4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン化合物と、
ii)i)以外の1つ又は複数の保存剤及び上記で定義された1つ又は複数の酸化防止剤、好ましくは4-ヒドロキシアセトフェノンと、
iii)非イオン性、アニオン性及び双性イオン性界面活性剤から選択される1つ又は複数の界面活性剤と、
iv)上記で定義された1つ又は複数の、好ましくは有機である増粘ポリマーと、
v)任意選択的に、上記で定義された1つ又は複数の脂肪物質と
を含む組成物である。
【0332】
組成物は、生理学的に許容される媒体である。組成物は、特に化粧用、又は医薬、又は皮膚用組成物である。組成物は、食品(栄養)組成物であることも可能である。
【0333】
生理学的に許容される媒体:
用語「生理学的に許容される媒体」は、フォーミュラサポートとしても知られている、ケラチン物質に適用されるのに適した媒体を意味し、これは、水又は水及び1つ若しくは複数の有機溶媒の混合物或いは有機溶媒の混合物から一般に構成される化粧用又は医薬媒体である。好ましくは、組成物は、組成物の総質量に対して、両端を含めて特に5%~99.9%、組成物の総質量に対してより優先的には10%~90%、さらにより優先的には20%~80質量%の含量で水を含む。
【0334】
有機溶媒:
用語「有機溶媒」は、化学的に変性することなく別の物質を溶解することができる有機物質を意味する。
【0335】
挙げられ得る有機溶媒の例として、a)C~Cアルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール、b)特に2~10個の炭素原子、好ましくは2~6つの炭素原子を有するポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール又はジグリセロールから選択される、室温(25℃)において水と混和性のポリオール、c)ポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジエチレングリコールモノメチルエーテル、並びにまたd)芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール及びこれらの混合物が含まれる。
【0336】
特定の実施形態によれば、組成物は、特に2~10個の炭素原子、好ましくは2~6つの炭素原子を有するポリオール、例えばグリセロールから選択される1つ又は複数のポリオールも含む。
【0337】
好ましい実施形態では、4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オンは、エタノール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、PEG-8(8つのエチレングリコール単位を含有するポリエチレングリコール)、炭酸プロピレン、ジプロピレングリコール、1,2-ヘキシレングリコール、PEG-4から選択され得る、有効量の少なくとも1つの有機溶媒と組合せて使用される。
【0338】
好ましくは、有機溶媒は、エタノール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、PEG-8及び炭酸プロピレンから選択される。
【0339】
有利には、本発明に係る組成物は、特に、組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%の範囲、好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲、優先的には0.5質量%~5質量%の範囲の含量で1,3-プロパンジオールを含む。
【0340】
食品組成物について、水及び有機溶媒として消費に適したもの、例えばエタノールが好ましい。
【0341】
有機溶媒は、好ましくは、組成物の総質量に対して、好ましくは両端を含めて約0.1質量%~40質量%、組成物の総質量に対してより優先的には約1質量%~20質量%、さらにより特に両端を含めて5質量%~10質量%の割合で存在する。
【0342】
pH:
本発明による組成物のpHは、一般に、両端を含めて約2~12、好ましくは約3~11である。これは、ケラチン繊維の染色において通常使用される酸性化剤若しくはアルカリ化剤を用いて又は代わりに標準的な緩衝系を使用して望ましい値に調節され得る。
【0343】
組成物のpHは、優先的には、両端を含めて4.5~10,特に6~9、より特に7~9、さらにより特に概ね中性のpH7である。
【0344】
酸性化剤の中でも、挙げられ得る例は、上記で定義されたような鉱酸又は有機酸、特に塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸又は乳酸及びスルホン酸を含む。
【0345】
塩基又はアルカリ化剤の中でも、挙げられ得る例として、アンモニア水、アルカリ金属カーボネート、アルカノールアミン及び以下で定義するような他のアルカリ化剤、好ましくはアルカノールアミン、例えばモノ、ジ及びトリエタノールアミンが含まれる。
【0346】
好ましくは、組成物は、組成物の総質量に対して0.02質量%~2質量%の範囲、優先的には0.03質量%~1質量%の範囲、さらにより良好には0.04質量%~0.8質量%の範囲の含量でi)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン並びにまたその有機又は無機の酸性又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物を含む。
【0347】
本発明の主題は、生理学的に許容される媒体中において、上記された抗微生物混合物を含む組成物でもある。
【0348】
用語「生理学的に許容される媒体」は、ヒトケラチン物質、例えば皮膚、頭皮、爪及びケラチン繊維、例えば毛髪と適合性である媒体を意味する。
【0349】
前記媒体は、成分i)及びii)とは異なる1つ又は複数のさらなる成分を含み得る。
【0350】
組成物は、上記で定義された有機増粘ポリマー以外のゲル化剤、非アニオン性、カチオン性、非イオン性又は双性イオン性の天然又は合成皮膜形成又は非皮膜形成非増粘ポリマー、着色材料、例えば有機又は無機の顔料、香料、充填剤、UV遮断剤、植物抽出物、化粧用及び皮膚用活性成分並びに塩から選択される1つ又は複数のさらなる成分又はアジュバントを含み得る。
【0351】
本発明による組成物は、水中油型(O/W)エマルジョン、油中水型(W/O)エマルジョン又は多重エマルジョン(三重、W/O/W若しくはO/W/O)、油性溶液、油性ゲル、水性溶液、水性ゲル又は固体組成物の形態であり得る。本発明の組成物は、通常の方法によって調製される。
【0352】
本発明による組成物は、好ましくは、水を含み、すなわち水性である。本発明の一実施形態によれば、組成物は、水性相及び有機又は油性相を含む。好ましくは、本発明の組成物は、O/W型のダイレクトエマルジョンである。
【0353】
本発明による組成物は、程度の差はあるが液体であり得、白色若しくは有色のクリーム、軟膏、乳液、ローション、セラム、ペースト又はフォームの外観を有し得る。それらは、任意選択的に、エアロゾル形態で皮膚に適用され得る。それらは、固体形態、例えばスティック又はコンパクトパウダーの形態でもあり得る。
【0354】
本発明による組成物は、特に以下の形態であり得る:
- 特に顔、身体の皮膚又は唇若しくはまつげをメイクアップするためのメイクアップ製品;
- アフターシェーブジェル又はローション;シェービング製品;
- デオドラント(スティック、ロールオン又はエアロゾル);
- 脱毛クリーム;
- シャワージェル又はシャンプーなどの身体衛生組成物;
- 医薬組成物;
- 石鹸又はクレンジングバーなどの固体組成物;
- 加圧噴射剤も含むエアロゾル組成物;
- ヘアセット用ローション、ヘアスタイリング用クリーム若しくはジェル、染料組成物、パーマネントウェーブ用組成物、抜け毛を防ぐためのローション若しくはジェル又はヘアコンディショナー;
- 皮膚をケア又はクレンジングするための組成物。
【0355】
組成物を調製するための方法:
本発明の主題は、i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン又はその塩基塩若しくは溶媒和物、ii)4-ヒドロキシアセトフェノン又はその塩基塩若しくは溶媒和物及び任意選択的に1つ又は複数のさらなる成分又はアジュバント、特に化粧又は医薬又は食品成分又はアジュバント、例えば従前に記載したもの並びに任意選択的に水及び1つ又は複数の有機溶媒を混合するステップを含む、組成物、特に化粧用、又は医薬、又は食品組成物を調製するための方法でもある。
【0356】
その抗微生物活性及び使用:
真菌、特にカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)種に対する本発明による混合物i)及びii)の抗微生物活性、特に相乗的な抗微生物活性は、水処理において価値がある。具体的には、真菌は、論文“Fungal Contaminants in drinking water regulation?A tale of ecology,exposure,purification and clinical relevance”,Int.J.Environ.Res.Public Health 2017,14,636中に挙げられる水の汚染の起源の1つを表す。
【0357】
本発明は、水処理における抗微生物混合物の使用にも関し、ここで、前記水は、生活用水又は工業用水、水媒質からの水、スイミングプール/スパの水及び空気調和系統からの水から選択される。
【0358】
用語「水処理」は、汚染物質による水の汚染の防止又は処理される前記水からの前記汚染物質の部分的若しくは完全な汚染除去の目的のために、物質を、処理される水試料又は処理される水流に加えることからなる、連続的又は非連続的(バッチタイプ)処理を指す。
【0359】
好ましくは、本発明に関連して行われる水処理は、処理される前記水からの汚染物質を部分的又は完全に汚染除去するために、処理される水の試料又は処理される水流に物質を連続的又は非連続的に加えることからなる。
【0360】
汚染物質は、微生物、特に細菌及び/又は真菌であり得る。
【0361】
さらにより優先的には、前記水処理は、1つ又は複数の微生物、好ましくはグラム陽性菌若しくはグラム陰性菌又はエンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)若しくは緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)種の真菌によって汚染された水の処理である。
【0362】
用語「水性媒体からの水」は、湖、河川支流、プール、河川本流、海又は海洋浴場の水、井戸水及び地下水(groundwater)などの地下水(underground water)並びに水槽の水を意味する。
【0363】
本発明の目的に関して、「家庭用水又は工業用水」は、浄水場で処理される前の廃水、浄水場で処理を受けている水、飲料水処理施設で処理される前の水、飲料水処理施設で処理を受けている水及びまた飲料水又は非飲料水都市網中で循環する水、例えば配管中で循環する水を含む。
【0364】
本発明は、処理される水試料又は処理される水流を配置する少なくとも1つのステップを含む連続的又は非連続的水処理方法にも関し、処理される前記水は、本発明による抗微生物混合物と接触する生活用水又は工業用水、水媒質からの水、水泳プール/スパの水及び空気調和系統からの水から選択される。
【0365】
好ましくは、処理される水を本発明による抗微生物混合物と接触させる前記ステップは、特に前記化合物の液体形態での注入により、前記化合物を含むフィルター若しくは濾過カートリッジを通すことにより、又は特に顆粒、タブレット若しくはペレットの形態の前記化合物の固体形態での投与によって行われ得る。
【0366】
i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン並びにまたその有機又は無機の酸性又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物は、処理される水の総質量に対して少なくとも0.06質量%、好ましくは少なくとも0.1質量%、またさらにより良好には少なくとも0.5質量%の割合で使用することができる。特定の一実施形態において、式(I)若しくは(I’)の化合物又は水和物などのその溶媒和物は、処理される水の総質量に対して少なくとも1質量%の割合で使用することができる。
【0367】
i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン並びにまたその有機又は無機の酸性又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物は、処理される水の総質量に対して0.06質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、またさらにより良好には0.5質量%~2質量%の範囲の濃度で使用することができる。好ましい一実施形態において、4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オンは、処理される水の総質量に対して0.1質量%~1質量%の範囲の濃度で使用することができる。
【0368】
溶媒は、処理される水の総質量に対して0.05質量%~10質量%の範囲、処理される水の総質量に対して好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲、優先的には0.1質量%~2.5質量%の範囲の含量で使用され得る。
【0369】
本発明は、以下に続く実施例において、より詳細に例示される。成分の含量は、質量パーセントとして表される。
【実施例
【0370】
実施例1:MICとしての相乗的な抗微生物活性の決定
4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン(物質Aと称される)及びアルコール化合物(物質Bと称される)の混合物による相乗的な抗微生物活性効果の表示を、以下の式による相乗作用インデックス(又はFICインデックス)を計算することによって行った。
[数式1]
FICインデックス=(Bと合わせたAのMIC/AのMIC)+(Aと合わせたBのMIC/BのMIC)
式中、
- Bと合わせたAのMIC:阻害効果を得ることを可能にする組合せA+Bにおける生成物Aの最小濃度;
- Aと合わせたBのMIC:阻害効果を得ることを可能にする組合せA+Bにおける生成物Bの最小濃度;
- AのMIC:生成物A単独の最小発育阻止濃度;
- BのMIC:生成物B単独の最小発育阻止濃度。
【0371】
この式は、最初に、F.C.Kull,P.C.Eisman,H.D.Sylwestrowka及びR.L.Mayerによる論文、Applied Microbiology 9:538-541,1961に記載された。
【0372】
単独で試験された各化合物に関して、MICは、25%以下の微生物成長パーセンテージを得ることを可能にする最初の濃度であると考えられる。
【0373】
試験された組合せに関して、Bと合わせたAのMIC及びAと合わせたBのMICは、25%以下の微生物成長パーセンテージを得ることを可能にする組合せにおけるA及びBのそれぞれの濃度である。
【0374】
FICインデックスの解釈:
FICインデックス値が1以下である場合、試験化合物の組合せは相乗効果を有すると考えられる。
【0375】
得られた結果の要約を以下の表に示す。
【0376】
化合物A及びBの組合せ並びにそれらを含有する組成物を、以下の株菌又はその一部について試験した:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)。
【0377】
微生物菌株アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)ATCC 6275並びにポリオキシエチレン化(20OE)ソルビタンモノパルミテート(Croda製のTween 40)及びPhytagel(著作権)BioReagentを補充した2倍濃度サブローブロス液体培養培地を使用した(すなわち5gのPhytagel+0.6gのTween 40+60gのサブローブロスの混合物)。
【0378】
微生物菌株スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)ATCC 6538及び二重濃度の栄養ブロス液体培養培地を使用した。
【0379】
微生物菌株カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)ATCC 10231及び二重濃度のサブローブロス液体培養培地を使用した(すなわち5gのPhytagel+0.6gのTween 40+60gのサブローブロスの混合物)。
【0380】
32.5℃のインキュベーション温度で、96ウェルマイクロプレートを使用する。
【0381】
マイクロプレートのインキュベーション時間は、以下の通りである。
- 微生物アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)ATCC 6275について好気条件下で24~30時間;
- カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)ATCC 10231、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC 9027及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC 6538について好気条件下で18~24時間。
【0382】
試験
各化合物について、
A=化合物i)4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン
B=化合物ii)保存剤及び/又は酸化防止剤:
B1:4-ヒドロキシアセトフェノン、B2:サリチル酸。
【0383】
化合物A及びB単独の試験
化合物A又はBを含有する得られた娘溶液のそれぞれ50μlをマイクロプレートウェルに加える。アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株による二重濃度で接種した100μlのサブロー液体栄養ブロス及び50μlの溶液もそれに加える。
【0384】
混合物としての化合物A及びBの試験
化合物Aを含有する得られた娘溶液のそれぞれ50μl及び化合物Bを含有する得られた娘溶液のそれぞれ50μlを、マイクロプレートウェルに加える。菌株アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)による二重濃度で接種した100μlのサブロー液体栄養ブロスもそれに加える。
【0385】
微生物成長対照
陽性微生物成長対照も調製した。陽性微生物成長対照は、化合物A及びBの非存在下において、100μlの1‰寒天水溶液及び菌株アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)による二重濃度で接種した100μlのサブロー液体栄養ブロスの混合物に対応する。
【0386】
化合物A及びB単独についての吸光度対照
吸光度対照は、化合物A及びB単独に対して並行して行った。この対照は、100μlの2倍濃度滅菌サブロー液体栄養ブロス+100μlの2倍濃度化合物A又はBに対応する。
【0387】
3つの場合(吸光度対照、成長対照及び試験)において、マイクロプレートウェルのそれぞれに存在する最終体積は200μlである。
【0388】
2つのケース(試験対象物及び対照)において、接種材料は、ウェルの最終容量(200μl)中に存在するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株の濃度を表し、2~6×10cfu/mlのアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)である。
【0389】
各化合物A及びB単独並びに組合せの最小発育阻止濃度(MIC)を620nmの波長での光学密度測定によって公知の方法で決定した。
【0390】
上記の試験(試験、吸光度対照及び成長対照)を再び行って、以下の菌株:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対する組合せA+Bを試験した。
【0391】
以下の結果は、化合物B1=4-ヒドロキシアセトフェノンによって得られた。
【0392】
他の組成物、例えば、以下の表3に記載されるものでも抗微生物特性を評価した。ここでは、組成物100gあたりの質量(g)によって成分を示す。7日、14日及び1カ月における特性を評価した。
【0393】
【表1】
【0394】
7日目における微生物菌株大腸菌(Escherichia coli)に対する結果を以下の表に示す。
【0395】
【表2】
【0396】
7日及び14日目における微生物菌株スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対する結果を以下の表に示す。
【0397】
【表3】
【0398】
7日目、14日目、次いで1カ月目における他の微生物菌株に対する結果を以下の表に示す。
【0399】
【表4】
【0400】
上記の表における結果から、本発明によるA及びB1の組合せが顕著な抗微生物改善を可能にすることがわかる。これは、多様な微生物菌株(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans))について7日後、15日後又はさらに1カ月後のものである。
【0401】
ii)化合物B2=サリチル酸を用いて以下の組成物を調製した。
【0402】
【表5】
【0403】
カチオン性界面活性剤を含む比較組成物5が本発明による組成物4ほど安定ではないことがわかる。加えて、本発明による組成物4の粘度は32.5ポイズであるが、比較組成物5の粘度は51.5ポイズであり、より粘着性である。これらの粘度値は25℃及び大気圧において測定された。
【0404】
他の比較試験:
以下の2つの組成物を調製した。組成物100gあたりのgで成分の量を示す。
【0405】
【表6】
【0406】
本発明による組成物は、光沢があり、空気を含み、白色であり、「ベース」臭気を有する。
【0407】
組成物の顕微鏡評価:
400倍の倍率を用いて、白色光の顕微鏡下(Archimed Microvisionソフトウェアを備えたLeica DM2500)、比較組成物6は空胞を含むが、本発明による組成物7はより組織化され、目に見える空胞を含まず、そのためより安定となっていることがわかる。
【0408】
感覚評価:
本発明の組成物7の適用は、よりフレッシュであり、より容易であり、より粘着性であり、組成物6によって得られる場合よりも有意に長い間、皮膚上で指を回転させることによって快適な感覚を伴ってより良好に適用される。
【0409】
また、皮膚への本発明による組成物7の適用後、比較組成物6によって得られる場合よりもはるかにマットであり、ソフトフォーカスな外観があることもわかる。
【0410】
ケラチン物質に対するソフトフォーカス/マット効果の測定:
透過率、曇り及び明度を測定するために、Bykヘイズメーター、モデル:HazeGard Plusが使用された。
【0411】
評価装置のパネルによって判断される、皮膚への適用後のマット効果ソフトフォーカス結果を、透過率、曇り、明度及び光沢測定によって補強する。配合物を透過した光及びまたそのソフトフォーカス能力を定量化するために、「曇り」パラメーターを測定する。曇り測定は、試料によってそれらの軌道から逸脱する光線の量を決定することからなる。それにより、材料のソフトフォーカス力を定量化することが可能となる。
【0412】
調査条件:室温:25℃、フィルム乾燥温度:25℃、フィルム乾燥時間:1時間。
【0413】
Elcometerスプレッダー、モデル:4340-透明な100ミクロンシートをスプレッダー上に配置し、所与の位置において25ミクロンの厚さに調整して、次いで試料を加え、次いでフィルムを室温で1時間乾燥させる。次いで、厚さ25ミクロンの試料がその上に散布された透明シートを装置のレンズ上に配置し、H(曇り)及びB(明度)値を測定する。
【0414】
光沢を測定するために、Byk光沢計モデル:Micro TRI glossが使用される。散布は上記されたものと同一であるが、測定は、黒色表面上に配置された透明シート及び光沢計を直接使用して実行された。
【0415】
【表7】
【0416】
表7の結果から、本発明による組成物、組成物7は、比較組成物に対して、ソフトフォーカス及びマット効果を有意に改善することができることがわかる。