(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】難燃性に優れた薄板ガラス接合プリント鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/04 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
B32B15/04 B
(21)【出願番号】P 2022534706
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2020018047
(87)【国際公開番号】W WO2021118254
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0163733
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジュン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 ヤン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン-テ
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020052(JP,A)
【文献】特表2019-507203(JP,A)
【文献】実開昭60-191330(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板、及び前記金属板の表面に300dpi以上の解像度のデザイン又はパターンが
印刷された印刷層を含むプリント鋼板と、
前記プリント鋼板上に難燃剤を含み、厚さが10~100μmの透明な紫外線硬化型接
着層と、
前記接着層によって付着された薄板ガラスと、
を含
み、
前記難燃剤は、平均粒度0.5~5μmであり、接着層の総重量を基準に10~20重量%含まれる、薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項2】
前記薄板ガラスの厚さは0.1~2mmである、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリ
ント鋼板。
【請求項3】
前記薄板ガラスは、無アルカリボロシリケートガラス、ソーダライムガラス又は強化ガ
ラスである、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項4】
前記プリント鋼板は、金属板と印刷層との間にベースカラー層、プライマー層及び前処
理層のうち少なくとも一つ以上をさらに含む、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント
鋼板。
【請求項5】
前記プリント鋼板はインクジェットプリント鋼板である、請求項1に記載の薄板ガラス
接合プリント鋼板。
【請求項6】
前記印刷層の解像度は300~2400dpiである、請求項1に記載の薄板ガラス接
合プリント鋼板。
【請求項7】
前記難燃剤は窒素-リン系難燃剤である、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼
板。
【請求項8】
前記窒素-リン系難燃剤は、メラミンホスフェート(melamine phosph
ate)、メラミンピロホスフェート(melamine pyrophosphate
)、メラミンポリホスフェート(melamine polyphosphate)、ア
ンモニウムホスフェート(ammonium phosphate)及びアンモニウムポ
リホスフェート(ammonium polyphosphate)からなる群から選択
される少なくとも一つである、請求項
7に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項9】
前記薄板ガラス接合プリント鋼板は、分光光度計を用いた色濃度評価(Dmax Co
mparison)の値が1.6超である、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼
板。
【請求項10】
薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法であって、
金属板、及び前記金属板の表面に300dpi以上の解像度のデザイン又はパターンが
印刷された印刷層からなるプリント鋼板を準備する段階と、
準備されたプリント鋼板の表面に難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を塗布して接着層
を形成する段階と、
前記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液が塗布されたプリント鋼板に薄板ガラスを付着
する段階と、
付着された前記薄板ガラスに対して圧力を加える段階と、
紫外線を照射して前記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を硬化させ
て接着層の厚さを10~100μmで形成する段階と、
を含
み、
前記難燃剤は、平均粒度0.5~5μmであり、接着層の総重量を基準に10~20重量%含まれる、薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記薄板ガラスの厚さは0.1~2mmである、請求項
10に記載の薄板ガラス接合プ
リント鋼板の製造方法。
【請求項12】
前記圧力は2~10kgfである、請求項
10に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の
製造方法。
【請求項13】
前記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液は、
窒素-リン系難燃剤と、
6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基以上のウレタンアクリ
レートオリゴマー又はこれらの混合物と、
光硬化型モノマー
(ただし、6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー及び2官能基以上のウレタンアクリレートオリゴマーは除く)、光開始剤又はこれらの混合物と、
を含む、請求項
10に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項14】
前記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液は、
窒素-リン系難燃剤10~20重量%と、
6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基以上のウレタンアクリ
レートオリゴマー又はこれらの混合物40~60重量%と、
光硬化型モノマー、光開始剤又はこれらの混合物30~40重量%と、
を含む、請求項
13に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント鋼板上に印刷されたパターンが鮮明に観察され、さらに難燃性に優れた薄板ガラス接合プリント鋼板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パターンが印刷された表面処理鋼板は、建築外装、家電外装などに使用され、様々なクリア塗装によって光沢を調節して使用されている。このようなプリント鋼板は、表面に様々なイメージや形状をデザインして、所望の製品の審美的な効果や建物のインテリア効果を増大させるために使用される。
【0003】
生活の質が次第に高まるにつれて、消費者が家電製品や建築資材などを購入するとき、製品の機能だけでなく、製品の外観品質やデザインも製品を選択する上で重要な要因として作用してきている。このような消費者のニーズに合わせて、最近は、一つの色で塗装されているカラー鋼板や、インクを使用して多様なパターンを実現することにより、美麗な外観とともに質感を付与するプリント鋼板が主流として浮上している。このように、表面外観の視覚的機能に優れたカラー鋼板とプリント鋼板は、個性化及び高級化に合わせて防火扉、エレベーターの内装用、高級建築物、室内インテリア、家電製品、キッチン及び家具などに広く適用されている。特にプリント鋼板は、消費者が求める多様なデザインを適用することができ、高解像度の高品質のデザインを表現することができるため、その需要が徐々に増えている傾向にある。
【0004】
しかし、一般的に建築用に使用される壁体の内部には、発泡ポリスチレン、ウレタン、ガラスウールなどが主に使用されており、壁体パネルには、各種のセラミックボード、石膏ボード、セラミックタイルなどの無機材料が多く使用されている。発泡ポリスチレンは難燃性がなく、火災時に大きな人命被害が発生するおそれがあるため、使用に対する規制が強化されてきており、ウレタンは断熱性に優れ、ある程度の難燃性があり、建築及び断熱市場における使用が拡大しているものの、依然として火災発生時における火炎の拡散や有毒ガスの発生に対する問題点があった。そこで、難燃性又は不燃性を有する建築用壁体、天井材の開発が求められている実情である。
【0005】
従来、難燃性又は不燃性を有する建築用仕上げ材に関する先行技術文献としては、韓国公開特許第10-2018-0053082号が提案されている。上記公開特許は「準不燃熱硬化性樹脂複合パネル及びその製造方法」に関するものであって、それ自体に難燃性が付与され、表面強度と弾性を高めてジム等でも使用可能な複合パネルを開示している。しかし、上記技術は透明な薄板ガラス接合プリント鋼板を製造する場合、プリントされたパターンが鮮明に観察され、優れた難燃性を提供できる技術については開示していないため、鋼板とガラスとの接着による高硬度、高鮮映の複合素材製品に必要な接合塗料に対する難燃性の実現が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の問題点を解消するために提案されたものであって、様々なデザイン又はパターンが印刷されたプリント鋼板に10~100μmの厚さで透明な接着層を介在させ、その上に0.1~2mm厚さの薄板ガラスを接合することにより、高硬度、高光沢、高鮮映の優れた表面品質を有し、さらに優れた難燃性を有する薄板ガラス接合プリント鋼板及びその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点において、本発明は、金属板、及び上記金属板の表面に300dpi以上の解像度のデザイン又はパターンが印刷された印刷層を含むプリント鋼板と、上記プリント鋼板上に難燃剤を含み、厚さが10~100μmの透明な紫外線硬化型接着層と、上記接着層によって付着された薄板ガラスと、を含む、薄板ガラス接合プリント鋼板を提供するものである。
【0008】
本発明の他の観点において、本発明は、薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法であって、金属板、及び上記金属板の表面に300dpi以上の解像度のデザイン又はパターンが印刷された印刷層からなるプリント鋼板を準備する段階と、準備されたプリント鋼板の表面に難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を塗布して接着層を形成する段階と、上記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液が塗布されたプリント鋼板に薄板ガラスを付着する段階と、付着された上記薄板ガラスに対して圧力を加える段階と、紫外線を照射して上記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を硬化させる段階と、を含む、薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、プリント鋼板上に美麗な粗さを有する薄板ガラスを接合することにより、プリント鋼板の様々なイメージを高い鮮明度で実現することができ、印刷層を保護することができるだけでなく、変色、脱落などを防止することができる高硬度、高光沢、高鮮映の優れた表面品質及び良好な光学特性を有し、難燃性に優れた薄板ガラス接合プリント鋼板を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板の様々な変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本発明は、鋼板に印刷された印刷層が鮮明に観察されながら、難燃性に優れた薄板ガラス接合プリント鋼板を提供する。
【0013】
詳細に本発明は、金属板、及び上記金属板の表面に300dpi以上の解像度のデザイン又はパターンが印刷された印刷層を含むプリント鋼板と、上記プリント鋼板上に難燃剤を含み、厚さが10~100μmの透明な紫外線硬化型接着層と、上記接着層によって付着された薄板ガラスと、を含む、薄板ガラス接合プリント鋼板を提供する。
【0014】
上記プリント鋼板は特に限定されず、現在、製造又は市販されているプリント鋼板であれば、本発明に好ましく適用することができる。また、上記プリント鋼板は、金属板及び上記金属板の表面にデザイン又はパターンが印刷された印刷層を含んでもよく、上記デザイン又はパターンの解像度は300dpi以上の解像度であってもよく、場合によっては300~2400dpiであってもよい。
【0015】
例えば、上記プリント鋼板はインクジェットプリント鋼板であってもよい。インクジェット印刷によってデザイン又はパターンを印刷する場合、300dpi以上の解像度でフルカラー(full color)の印刷が容易であり、微細な明暗差、鮮やかな彩度及び実写に近い色味の実現が可能である。また、本発明によってインクジェットプリント鋼板上に薄板ガラスを接する場合、実際の自然素材と類似した表面外観の実現が可能であり、美麗な装飾素材が得られるという利点がある。
【0016】
さらに、上記プリント鋼板は、上記金属板及び印刷層の間にカラー層、プライマー層及び/又は前処理層を含むことができる。
図1には、上記変形例による薄板ガラス接合プリント鋼板の構造が示されている。上記カラー層はプリント鋼板のカラーを表現する役割を果たし、その厚さは5~30μmであってもよい。また、印刷層との密着のためにカラー層にプラズマ処理を行うことができる。一方、プライマー層は、金属板とカラー層との密着を増進させる役割を果たし、その厚さは1~10μmであってもよい。
【0017】
また、上記金属板及び上記プライマー層の間には前処理層が含まれてもよい。上記前処理層は、金属板の基本耐食性を向上させ、金属板とプライマー層との密着を向上させる役割を果たし、その厚さは0.1~2μmであってもよい。
【0018】
一方、上記プリント鋼板の印刷層上には、薄板ガラスとの接合のための透明な接着層を形成することができ、上記接着層は、上記プリント鋼板に紫外線硬化型接着溶液を塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0019】
上記接着層は、紫外線硬化型接着溶液で形成されることが好ましい。従来技術では、一般的に建築素材にガラスを接合する際に、フィルム接着剤又は熱硬化型接着剤を使用していた。しかし、プリント鋼板、特に、インクジェットプリント鋼板は数~数十μmの表面粗さを有するため、上記のようなプリント鋼板にフィルム接着剤又は熱硬化型接着剤を使用すると、美麗な表面鮮映性及び平坦度が得られない。詳細には、上記のようなインクジェットプリント鋼板に付着されるフィルム接着剤の場合、インク滴による特定の表面粗さがそのまま接着フィルムとガラスに転移して屈曲が発生することがあり、これにより、表面平坦度の不良が発生するようになる。熱硬化型接着剤の場合、通常、接着塗料内に溶媒(solvent)が含まれるが、硬化のための熱処理時にこのような溶媒が気化して抜けることができず、接着塗膜内に残存して気泡が発生し得るという問題がある。したがって、プリント鋼板の表面粗さをガラスに転移させないためには、固形のフィルム接着剤よりは溶液状の接着剤が好適であり、熱硬化型接着剤よりも紫外線硬化型接着溶液を使用するとき、より良好な表面品質特性を得ることができる。したがって、本発明は、プリント鋼板としてインクジェットプリント鋼板を使用することができる。
【0020】
上記接着層は、プリント鋼板のイメージがそのまま透過して示されなければならないため、優れた透明特性を有することが好ましい。詳細には、上記接着層は、透過率が550nmの波長帯において約85%以上の高い透過率を有することが好ましく、且つ、黄変度(Yellowness Index)が2以下であることが好ましい。
【0021】
一方、上記接着層は、10~100μmの厚さで形成されることが好ましい。上記接着層の厚さが10μm未満であると、インクジェット印刷面(印刷層)の粗さを相殺することができず、表面品質、すなわち、鮮映性の問題が生じる可能性がある。これに対し、上記接着層の厚さが100μmを超えると、接着層の厚さが過度に厚くなるため、色具現性能や硬化効率の問題が発生する可能性があり、さらに、相対的に大量の接着溶液が使用され、製造コストが上昇するという問題が発生する可能性がある。
【0022】
さらに、上記接着層は、本発明の薄板ガラス接合プリント鋼板に難燃性を付与するために難燃剤を含むことができる。このとき、上記難燃剤は、窒素-リン系難燃剤であってもよく、例えば、メラミンホスフェート(melamine phosphate)、メラミンピロホスフェート(melamine pyrophosphate)、メラミンポリホスフェート(melamine polyphosphate)、アンモニウムホスフェート(ammonium phosphate)及びアンモニウムポリホスフェート(ammonium polyphosphate)からなる群から選択される少なくとも一つであってもよいが、これらに限定されない。
【0023】
また、上記難燃剤の平均粒度は0.5~5μm、好ましくは1~4μmであり、上記平均粒度が0.5μm未満の場合には、接着層内での分散がよく起こらないという問題が生じる可能性があり、5μmを超える場合には、接着剤の硬化時に硬化効率が低下するなどの問題が生じる可能性がある。
【0024】
このとき、上記難燃剤は、接着層の総重量を基準に5~20重量%、好ましくは10~15重量%含まれ、上記難燃剤の含量が5重量%未満の場合には、難燃剤が燃焼する時に難燃性を提供するための炭化膜を形成しにくく、上記炭化膜による空気との接触を遮断する役割を十分に行い難いという問題が生じる可能性があり、20重量%を超える場合には、紫外線の硬化効率が低下し、プリント鋼板に印刷されたパターンが鮮明に示されず、ガラスと鋼板との密着力が低下するという問題が発生する。
【0025】
上記のように形成された透明な接着層上に厚さ0.1~2mmの薄板ガラスを接合することができる。上記薄板ガラスの材料は特に限定されないが、例えば、無アルカリボロシリケートガラス、ソーダライムガラス又は強化ガラスが好ましく適用できる。
【0026】
上記薄板ガラスは自由に曲がることができ(flexible)、厚さが0.1~2mmと薄いもの(薄板)が好ましい。自由に曲がる可撓性(flexible)の薄板ガラスは、従来の厚い板ガラスとは異なり、プリント鋼板に接合(laminating)が可能であり、軽いだけでなく、光透過性に優れた利点がある。また、その柔軟な特性により、ガラスの付着後にもラウンド加工が可能であるという特徴が得られる。一方、薄板ガラスの厚さが0.1mm未満の場合、ハンドリングが難しく、ガラスの接着時に表面の屈曲や外力により平坦度が低下するという問題が発生する可能性がある。これに対し、薄板ガラスの厚さが2mmを超えると、厚くなるため十分に圧力が伝達されず、又は重量も重くなり、経済的に適していない。例えば、ガラスの厚さが5mmの場合には、ラウンド加工時に80%以上の生産品が不良になるおそれがある。
【0027】
特に、本発明に適用される薄板ガラスは、可視光線波長帯領域はもちろん、それ以下の波長帯領域の紫外線及び放射線が透過できなければならない。本発明では、接着層を介在させて金属板と薄板ガラスとを接合し、紫外線又は放射線硬化器を通過させて上記接着層を硬化させるためである。
【0028】
上述の構成を備える本発明による薄板ガラス接合プリント鋼板は、光沢度が60度の光沢計を基準に85%以上であり、且つ、鮮映性が鮮映性測定器を基準にSW30以下、LW10以下である。また、表面硬度が鉛筆硬度を基準に9H以上であってもよい。
【0029】
一方、分光光度計(Spectrophotometer)を用いて380~780nm領域の光を測定して評価した光学特性であって、本発明の薄板ガラス接合プリント鋼板は、白色点の評価(White Point Comparison)時にL値(Lightness、白色の明るさ)が75以上であってもよく、色領域体積の評価(Gamut Volume、HSL Comparison)時に、最大彩度(Saturation=1)を基準にHSL(H:Hue、S:Saturation、L:Lightness)値を評価するとき、その値が440,000超であってもよく、色濃度の評価(Dmax Comparison)時に、その値が1.6超であってもよく、色領域体積の絶対値(Gamut Volume、Cubic Volume Comparison)時に、その値が200,000超であってもよい。特に、本発明は、色濃度の評価時にその値が1.6超を満たすため、薄板ガラス及び接着層が形成されているにもかかわらず、プリント鋼板の解像度イメージが実写レベルに実現できることを特徴とする。
【0030】
本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板は、解像度のプリント鋼板上に薄板ガラスが接合されているため、ガラス特性に応じた高硬度、高鮮映、耐汚染性及び耐化学性の実現が可能であり、薄い薄板ガラスを使用することにより、界面接着性が良好であると同時に、優れた色感を実現することができ、さらに、優れた難燃性を有することができる。
【0031】
さらに、本発明は、薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法を提供する。
【0032】
詳細に本発明は、薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法であって、金属板、及び上記金属板の表面に300dpi以上の解像度のデザイン又はパターンが印刷された印刷層からなるプリント鋼板を準備する段階と、準備されたプリント鋼板の表面に難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を塗布して接着層を形成する段階と、上記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液が塗布されたプリント鋼板に薄板ガラスを付着する段階と、付着された上記薄板ガラスに対して圧力を加える段階と、紫外線を照射して上記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を硬化させる段階と、を含む薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法を提供する。
【0033】
上記金属板及び解像度の様々なデザインが印刷されたプリント鋼板を準備し、上記プリント鋼板の上に透明な紫外線硬化型接着溶液を塗布する。上記紫外線硬化型接着溶液を塗布する方法は、別途のロールコーターやスロットナイフのような塗布装置を用いて塗布したり、作業者がブラシ又はスプレーガンのような装置で手動で塗布したりすることもできる。ただし、これに限定されるものではなく、上記プリント鋼板に接着溶液を全体的に均一に塗布可能な手段であれば、従来公知の手段のいずれでも使用可能である。
【0034】
このとき、上記紫外線硬化型接着溶液は、難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液であって、紫外線により硬化し、接着力を有する接着剤であれば、本発明に好ましく適用することができる。また、放射線により硬化する接着溶液を使用することもできる。
【0035】
例えば、上記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液は、窒素-リン系難燃剤と、6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基以上のウレタンアクリレートオリゴマー又はこれらの混合物と、光硬化型モノマー、光開始剤又はこれらの混合物と、を含むことができ、好ましくは、窒素-リン系難燃剤10~20重量%と、6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基以上のウレタンアクリレートオリゴマー又はこれらの混合物40~60重量%と、光硬化型モノマー、光開始剤又はこれらの混合物30~40重量%と、を含むことができる。
【0036】
上記難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液において、上記難燃剤は、前述した難燃剤の特徴を有することができる。
【0037】
さらに、6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基以上のウレタンアクリレートオリゴマー又はこれらの混合物は、プリント鋼板と薄板ガラスとを接着させる役割を果たすものであって、接着溶液の総重量を基準に40重量%未満の場合には、密着性の低下の問題が生じる可能性があり、60重量%を超える場合には、粘度が高くなって接着層に気泡が抜けない等の表面品質の低下の問題が生じる可能性がある。
【0038】
また、光硬化型モノマー、光開始剤又はこれらの混合物は、本発明の接着溶液が紫外線によって硬化するように助ける役割を果たすものであって、例えば、上記光硬化型モノマーは、TMPTA、THFA、PETA、IBOA又はこれらのうちいずれか一つ以上の混合物を含むことができ、上記光開始剤は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン(2-Hydroxy-2-methyl-1-phenyl-propane)、オキシ-フェニル-酢酸2-[2オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル(oxy-phenyl-acetic acid 2-[2oxo-2phenyl-acetoxy-ethoxy]-ethyl ester)又はこれらの混合物を含むことができる。このとき、接着溶液の総重量を基準に30重量%未満の場合には、粘度が高くなって接着力及び塗布時に問題が生じる可能性があり、40重量%を超える場合には、粘度が低くなって接着界面の溶液が滲み出して製品表面品質の問題が生じる可能性がある。
【0039】
一方、本発明の接着溶液は、その他の添加剤を含むことができ、例えば、鋼板との接着性能の向上のためにアクリレートリン酸(Phosphoric acid acrylate,acid value 250)、ガラスと接着性能の向上のためにポリエーテルシロキサン化合物(polyether siloxane compound)、接着層の耐変色性の向上のためにフルオロアルキル化合物(Fluoroalkyl compound)又はこれらのうちいずれか一つ以上の混合物が含まれてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0040】
上記紫外線硬化型接着溶液は、プリント鋼板の全面積に均一に塗布されなければならない。このためには、プリント鋼板の全面積に一定の厚さとなるように塗布することが好ましく、例えば、一定の間隔をおいて一定量の接着溶液を塗布することがより好ましい。一定の間隔をおいて塗布する場合、以後、薄板ガラスを付着して圧着する段階を通じて圧力により上記接着溶液がプリント鋼板の全面積に均一に拡散しながら分散され、接着溶液の無駄を最小化することができる。
【0041】
また、上記紫外線硬化型接着溶液を塗布する際に、上記プリント鋼板を支持可能なロール又はベッドが構成されていることが好ましい。コイル状態の鋼板の場合、ゴム又は金属からなるロールが備えられていることが好ましく、シート材の場合、プラスチック、金属又は木材材質からなるベッドが備えられてシート材の全面を支持する構造からなることが好ましい。このようなロール又はベッド上で難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を塗布する場合、より容易に均一に塗布することができる。
【0042】
さらに、プリント鋼板の上に紫外線硬化型接着溶液を塗布した後、その上に薄板ガラス、例えば、0.1~2mm厚さの薄板ガラスを付着する。そして、薄板ガラスを付着した後、上記薄板ガラスに対して2~10kgfの圧力を加えて圧着する。薄板ガラスに対して適切な圧力を加えることにより、接着層の厚さを適切に調節することができ、且つ、難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液及び薄板ガラスに形成された気泡を容易に除去することができる。
【0043】
上記薄板ガラスに加わる圧力が2kgf未満である場合、圧力の低下により接着界面に残存する気泡がトラップされたり、圧力が全体的に伝達されず、薄板ガラスと接着層との間に未付着部が発生する不良が生じたりする可能性がある。これに対し、圧力が10kgfを超える場合、高い圧力により接着層の厚さが減少し、印刷層の粗さ面にそのまま接着され、鮮映性の不良が発生する可能性があり、接着溶液が外に漏れて装置に汚染を起こす可能性がある。したがって、上記圧力は2~10kgfに制御することが好ましい。
【0044】
圧力を加える方法は、従来通常に使用されるガラス圧着方法であれば、本発明に制限なく適用することができる。例えば、プリント鋼板の上下面に位置する合紙ロールを用いて圧力を加えるロールプレス方法によって圧着することができる。また、薄板ガラス付着及び圧力を加える段階で使用される付着機構及び圧着機構は、例えば、プリント鋼板の上下面に位置するように備えられた合紙ロールを含むロールプレスと、上記ロールプレスの上側に備えられた薄板ガラス引出機構と、上記薄板ガラスと接着層が形成されたプリント鋼板との間に備えられて上記薄板ガラスを平坦な状態に保持させるように支持する部材と、を含むことができる。
【0045】
上記合紙ロールは、ゴム材質で作製されたロールからなることが好ましく、プリント鋼板と薄板ガラス層間の圧着時に母材の長さ方向に圧着ロールの移動が可能なようにコンベアベルトを用いて移動しながら圧着が行われることが好ましい。また、上記合紙ロールには、昇降高さと圧力を制御して上記プリント鋼板に塗布される接着層の厚さを調節できるようにする昇降アクチュエータと圧力調節装置とを含むことができる。また、上記部材は、薄板ガラスの幅方向の角に備えられ、薄板ガラスを平坦に保持させるようにする。上記部材は、コンベアベルトやローラ等で備えられてもよいが、これに限定されるものではなく、上記透明薄板ガラスを平坦に保持できる手段であれば、如何なるものでも使用できる。
【0046】
その後、圧着された薄板ガラス接合プリント鋼板を紫外線硬化器に通過させて難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液を硬化させることにより、10~100μm厚さの塗膜を形成することができる。このとき、照射される紫外線は300~400nmの波長帯領域であってもよい。ただし、これに限定されるものではなく、紫外線硬化型接着溶液を硬化させることができる手段であれば、従来公知の如何なる手段でも制限なく適用することができる。
【0047】
また、追加的に、紫外線硬化時に減圧器などの減圧手段を用いて縁部分の微細気泡を除去することもできる。
【0048】
以下では、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
実施例1
コーターパンに収容された難燃剤を含む紫外線硬化型接着溶液(窒素-リン系難燃剤であるメラミンホスフェートを10重量%、ポリエステルアクリレートオリゴマー(Miramer PS420、Miwon社、4官能基、Mw1,800)12重量%、フェノキシエチルアクリレート(2-PEA)20重量%、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)20重量%、イソボルニルアクリレート(IBOA)20重量%、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)10重量部、光開始剤Irgacure184(BASF社)2重量%、光開始剤Irgacure369(BASF社)3重量%、アクリレートリン酸(Phosphoric acid acrylate, acid value 250)1重量%、ポリエーテルシロキサン化合物(polyether siloxane compound)1重量%、フルオロアルキル化合物(Fluoroalkyl compond)1重量%)をコーティングロールに付けた後、厚さ1mmの解像度のパターンが印刷されたインクジェットプリント鋼板の上に上記接着溶液を厚さ30~40μmで塗布してから、その上に厚さ400μmで光透過率90%以上の薄板ガラスを付着した。その後、圧着ロールを用いて3kg/fの圧力でフィルムを圧着させて接着溶液とフィルムとを密着させた後、紫外線硬化器を通過させて接着溶液を硬化させて接着し、ガラス接合鋼板を製造した。
【0050】
比較例1
実施例1において、上記難燃剤の含量を25重量%、ポリエステルアクリレートオリゴマー(Miramer PS420、Miwon社、4官能基、Mw1,800)12重量%、フェノキシエチルアクリレート(2-PEA)15重量%、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)15重量%、イソボルニルアクリレート(IBOA)15重量%、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)10重量%、光開始剤Irgacure184(BASF社)2重量%、光開始剤Irgacure369(BASF社)3重量%、アクリレートリン酸(Phosphoric acid acrylate, acid value 250)1重量%、ポリエーテルシロキサン化合物(polyether siloxane compound)1重量%、フルオロアルキル化合物(Fluoroalkyl compound)1重量%で含まれた紫外線硬化型接着溶液を使用したことを除いては、実施例1と同様にガラス接合鋼板を製造した。
【0051】
比較例2
実施例1において、上記難燃剤の含量を3重量%、ポリエステルアクリレートオリゴマー(Miramer PS420、Miwon社、4官能基、Mw1,800)15重量%、フェノキシエチルアクリレート(2-PEA)20重量%、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)22重量%、イソボルニルアクリレート(IBOA)22重量%、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)10重量%、光開始剤Irgacure184(BASF社)2重量%、光開始剤Irgacure369(BASF社)3重量%、アクリレートリン酸(Phosphoric acid acrylate, acid value 250)1重量%、ポリエーテルシロキサン化合物(polyether siloxane compound)1重量%、フルオロアルキル化合物(Fluoroalkyl compound)1重量%で含まれた紫外線硬化型接着溶液を使用したことを除いては、実施例1と同様にガラス接合鋼板を製造した。
【0052】
比較例3
実施例1において、紫外線硬化型接着溶液ではなく、高光沢透明接着液(PPG SSC社の高光沢クリアポリエステル塗料、難燃剤(窒素-リン系難燃剤であるメラミンホスフェート)15重量%を含有)を使用し、熱硬化方式によって接着溶液を硬化し、プリント鋼板とガラスとを接着させたことを除いては、実施例1と同様にガラス接合鋼板を製造した。
【0053】
比較例4
実施例1において、紫外線硬化型接着溶液に難燃剤が含まれないことを除いては、実施例1と同様にガラス接合鋼板を製造した。
【0054】
実験例1
上記実施例1、比較例1~3及び参考例1のガラス接合鋼板について、下記の測定方法により光沢度、鮮映性、硬度、耐汚染性、耐化学性、加工性、光学特性、密着性、鮮明性及び難燃性を試験し、その結果を比較するために下記の表1に結果をまとめた。
【0055】
[光沢度の測定]
光沢計(glossmeter、BYK-Gardner社)を用いて測定角度60°で測定した。光沢度は、ガラスの反射率を100としたとき、これを基準に相対的な値で表した。
【0056】
[鮮映性の測定]
鮮映性は、鮮映性測定器(Wavescan、BYK-Gardner社)を用いて1×10cmの試片の表面を20°の角度で光を照射し、3750個の点をスキャンして塗膜の凹凸の程度と鮮映性の程度を0(good)~100(bad)の等級で区分して表す。このとき、測定範囲は0.1~1.2mmのshort wave(SW)と1.2~12mmのlong wave(LW)に分けて測定した。
【0057】
鮮映性の測定値がSW20以下、LW5以下の場合は◎、SW21~30、LW6~15の場合は○、SW31~40、LW16~20の場合は△、SW41以上、LW21以上の場合は×と表した。
【0058】
[光学特性の測定]
分光光度計(Spectrophotometer)を用いて880個のサンプルカラーを印刷した後、色彩測定のために380~780nm領域の光を測定し、下記の評価方法に従って色濃度に対する評価を行い、その結果を下記の表1に示した。
【0059】
- 色濃度の評価(Dmax Comparison)
色濃度において、暗転(blackness)あるいはクロマ(chroma)のように飽和した状態の割合を示し、値が1.6を超える場合は◎、1.3~1.6の場合は○、1.3未満の場合は△と表した。
【0060】
[密着性の測定]
ASTM D100-10規格試験法に基づいてLab.Shearテストにより密着力を測定した。
【0061】
[鮮明性の測定]
ガラス接合前後の色差(色差計はMacbeth 7000A機種を使用)を測定し、前後の色差値が3.0以下の場合は○、3.0超5.0以下の場合は△、5.0超の場合は×と判断した。
【0062】
[難燃性の測定]
ガラス接合鋼板を750℃のオーブンで20分間加熱を行ったとき、火炎が発生していない場合を○、火炎が発生した場合を×と判断した。
【0063】
【0064】
上記表1から確認できるように、難燃剤を15重量%含む紫外線硬化型接着溶液を使用したガラス接合鋼板は、密着性に優れ、光沢性、鮮明性及び難燃性に全て優れていることが確認できた。一方、難燃剤の含量が30重量%と、過量の難燃剤が含有された場合には、難燃性には優れているものの、密着性及び鮮明性が著しく減少したことが確認でき、難燃剤の含量が5重量%と少量の難燃剤が含有された場合には、密着性には優れているものの、難燃性、光沢性が著しく減少したことが確認できた。
【0065】
また、比較例3を見ると、熱硬化接着時には、難燃剤の含量が本発明の範囲に属していても、光沢度、密着性、鮮明性、難燃性及び色濃度ともに本発明に比べて著しく低下することが確認できた。
【0066】
以上のように、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは当技術分野における通常の知識を有する者には自明なものである。