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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ディスプレイおよび端末装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20231107BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G09F9/00 347A
G09F9/00 313
H04M1/02 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022539252
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 CN2019128348
(87)【国際公開番号】W WO2021128068
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】曹 ▲華▼俊
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 波
(72)【発明者】
【氏名】蔡 学江
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼ 洪睿
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-266008(JP,A)
【文献】特開2017-005091(JP,A)
【文献】特表2019-527934(JP,A)
【文献】特開2007-065020(JP,A)
【文献】特表2015-537234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0036047(US,A1)
【文献】特開平09-068722(JP,A)
【文献】特開2000-019983(JP,A)
【文献】特開2004-191645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/20-5/28
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H01L31/04-31/06
H02S10/00-10/40
30/00-99/00
H04M1/02-1/23
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K30/00
30/50-30/57
39/00-39/18
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された、第1のソーラーフィルム層と、表示層と、第2のソーラーフィルム層と、第3のソーラーフィルム層と、を備えるディスプレイであって、
前記第1のソーラーフィルム層は、前記表示層の表示面に面する側に位置し、前記第1のソーラーフィルム層は、可視光を透過可能で、非可視光を吸収可能なソーラーフィルムであり、
前記第2のソーラーフィルム層は、前記表示層の前記表示面から離れた側に位置し、前記第2のソーラーフィルム層は、可視光を吸収するソーラーフィルム層であり、
前記第3のソーラーフィルム層と前記表示層とが並んで配置される、
ディスプレイ。
【請求項2】
前記ディスプレイは、表示領域および非表示領域を備え、
前記表示層および前記第2のソーラーフィルム層は、前記表示領域に位置し、
前記第1のソーラーフィルム層は、前記表示領域に位置し、かつ、前記非表示領域まで延びる、
請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記ディスプレイは、前記表示層を支える基板をさらに備え、
前記第2のソーラーフィルムは、前記基板の前記表示層から離れた面に配置される、
請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記ディスプレイは、透明カバープレートをさらに備え、前記透明カバープレートは、前記表示層の前記表示層に面する側に配置され、
前記第1のソーラーフィルム層は、前記透明カバープレートの前記表示層に面する側に固定される、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記第2のソーラーフィルム層は、ペロブスカイトを用いて作製されたソーラーフィルム層である、請求項1から4のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記第1のソーラーフィルム層は、有機ソーラーフィルム層である、請求項1から5のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記第1のソーラーフィルム層は、前記第3のソーラーフィルム層を覆っている、請求項に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記第3のソーラーフィルム層を支持する支持構造体をさらに備える、請求項に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記第3のソーラーフィルム層は、シリコン系材料を用いて作製されたソーラーフィルム層である、請求項1、7及び8のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項10】
筐体と、前記筐体に固定されたバッテリと、請求項1からのいずれか1項に記載のディスプレイと、さらに、エネルギー・マネージャと、を備える端末装置であって、前記ディスプレイ内のソーラーフィルムは、前記エネルギー・マネージャを用いて前記バッテリに電気的に接続される、端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、表示技術の分野に関し、詳細には、ディスプレイおよび端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、端末装置用のディスプレイは、主に、LCD、OLED、およびmicroLEDの3つのタイプに分類されている。上記の3種類のディスプレイは、使用時に大きなエネルギーで駆動する必要がある。端末装置の多機能開発により、増加する機能が端末装置に統合される。ユーザが端末装置を使用すると、画面の表示時間が長くなる。画面を使用することによって大量の電力を消費する必要があるため、画面が長時間使用されると、端末装置の電力消費が継続的に増加し、端末装置の待機時間効果が影響を受ける。
【発明の概要】
【0003】
本出願は、ディスプレイの機能を改善し、端末装置の待機時間を増加させるためのディスプレイおよび端末装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、ディスプレイが提供される。ディスプレイは、携帯電話またはタブレット・コンピュータなどの端末装置に適用される。ディスプレイは、積層された、第1のソーラーフィルム層、表示層、第2のソーラーフィルム層などの複数の層構造を含む。第1のソーラーフィルム層は、表示層の表示面に面する側に位置し、第1のソーラーフィルム層は、可視光を透過可能で、非可視光を吸収可能なソーラーフィルムである。第2のソーラーフィルム層は、表示層の表示面から離れた側に位置しており、第2のソーラーフィルム層は、可視光を吸収するソーラーフィルム層である。上記の技術的解決策では、太陽エネルギーを吸収するために2層のソーラーフィルムがディスプレイに追加され、ディスプレイの表示に影響を与えることなく可視光と非可視光の両方を電気エネルギーに変換することができる。これにより、光エネルギーの利用が改善され、ディスプレイの待機時間効果が改善され、端末装置の待機時間効果がさらに改善される。
【0005】
具体的な実現可能な実装解決策では、ディスプレイは表示領域と非表示領域とを含み、表示層および第2のソーラーフィルム層は、表示領域に位置し、第1のソーラーフィルム層は、表示領域に位置し、非表示領域まで延びている。第1のソーラーフィルム層は、ディスプレイ全体を覆うことができ、それによって、太陽エネルギーを吸収する効果を向上させることができる。
【0006】
具体的な実現可能な実装解決策では、ディスプレイは、表示層を支える基板をさらに含み、第2のソーラーフィルムは、基板の表示層から離れた面に配置されている。ディスプレイ内の基板上に第2のソーラーフィルム層を一体化することによって、追加の支持構造体は必要とされない。
【0007】
具体的な実現可能な実装解決策では、ディスプレイは透明カバープレートをさらに含み、透明カバープレートは、表示層の表示層に面する側に配置され、第1のソーラーフィルム層は、透明カバープレートの表示層に面する側に固定されている。第1のソーラーフィルム層は、第1のソーラーフィルム層を固定するのを助けるために、透明カバープレートの下に一体化される。
【0008】
具体的な実現可能な実施解決策では、第2のソーラーフィルム層は、ペロブスカイトを使用して作製されたソーラーフィルム層である。これにより、良好な変換効果が得られる。
【0009】
具体的な実現可能な実施解決策では、第1のソーラーフィルム層は有機ソーラーフィルム層である。これにより、良好な変換効果が得られる。
【0010】
具体的な実現可能な実施解決策では、第1のソーラーフィルム層は、赤外光を吸収するソーラーフィルム層である。これにより、赤外光をエネルギーに変換することができる。
【0011】
具体的な実現可能な実装解決策では、ディスプレイは、第3のソーラーフィルム層をさらに含み、第3のソーラーフィルム層と表示層とが並んで配置されている。第3のソーラーフィルムを用いることにより、太陽エネルギーの利用率が向上する。
【0012】
具体的な実現可能な実施解決策では、第1のソーラーフィルム層は第3のソーラーフィルム層を覆う。第1のソーラーフィルム層および第3のソーラーフィルム層を用いることにより、より多くの太陽エネルギーを吸収することができる。
【0013】
具体的な実現可能な実施解決策では、第3のソーラーフィルム層はディスプレイの非表示領域に位置する。これにより、ソーラーフィルムのレイアウト面積が増加し、太陽エネルギーの利用率が向上する。
【0014】
具体的な実現可能な実装解決策では、ディスプレイは、第3のソーラーフィルム層を支持するための支持構造体をさらに含む。これは、第3のソーラーフィルム層を固定するのに役立つ。
【0015】
具体的な実現可能な実装解決策では、支持構造体は、端末装置の中間フレームまたは突起などの既存の構造であってもよい。
【0016】
具体的な実現可能な実施解決策では、第3のソーラーフィルム層は、シリコン系材料を使用して作製されたソーラーフィルム層である。これにより、良好なエネルギー変換効果が得られる。
【0017】
第2の態様によれば、端末装置が提供される。端末装置は、筐体と、筐体内に固定されたバッテリと、上記の実装解決策のいずれか1つによるディスプレイと、を含む。端末装置は、エネルギー・マネージャをさらに含む。ディスプレイ内のソーラーフィルムは、エネルギー・マネージャを使用してバッテリに電気的に接続される。上記の技術的解決策では、太陽エネルギーを吸収するために2層のソーラーフィルムがディスプレイに追加され、ディスプレイの表示に影響を与えることなく可視光と非可視光の両方を電気エネルギーに変換することができる。これにより、光エネルギーの利用が改善され、ディスプレイの待機時間効果が改善され、端末装置の待機時間効果がさらに改善される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本出願の一実施形態による携帯電話の構造の概略図である。
図2】本出願の一実施形態によるディスプレイの構造のブロック図である。
図3】本出願の一実施形態による基板の構造の概略図である。
図4】本出願の一実施形態によるソーラーフィルムの吸収帯の概略図である。
図5】本出願の一実施形態による別のディスプレイの構造の概略図である。
図6】本出願の一実施形態による別のディスプレイの構造の概略図である。
図7】本出願の一実施形態による別のディスプレイの構造の概略図である。
図8】本出願の一実施形態による端末装置のソーラーフィルム層とバッテリとの間の接続のブロック図である。
図9】本出願の一実施形態による腕時計の構造のブロック図である。
図10】本出願の一実施形態による腕時計に対応する第3のソーラーフィルムの構造の概略図である。
図11】本出願の一実施形態による腕時計に対応する別の第3のソーラーフィルムの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願の一実施形態で提供されるディスプレイの理解を容易にするために、ディスプレイの適用シナリオが最初に説明される。本出願のこの実施形態で提供されるディスプレイは、端末装置、例えば、腕時計、携帯電話、タブレット・コンピュータ、またはノートブックなどの一般的な端末装置に適用される。一例として携帯電話が使用される。図1に示すように、携帯電話は、筐体100と、筐体100内に配置されたバッテリ、メインボードおよびディスプレイ200とを備える。ディスプレイ200は筐体100内に固定されており、ディスプレイ200の表示面が露出しており、バッテリとメインボードは筐体100内に固定されている。その具体的な接続方法は従来技術と同じであり、ここでは詳細を述べない。図1に示すように、表示面は、非表示領域202と表示領域201との2つの領域に分割されている。表示領域201は、表示面の中央位置に位置している。非表示領域202は、ディスプレイ200の周囲に配置され、表示領域201を囲む。表示領域201は、写真を表示するように構成され、非表示領域202は、ディスプレイ200の内部の構造および経路を遮蔽するように構成される。従来技術における携帯電話に適用される機能が増え続けると、携帯電話の電力消費が増大し、携帯電話の待機時間効果が影響を受ける。これを考慮して、本出願は、端末装置の待機時間効果を改善するためのディスプレイ200を提供する。
【0020】
本出願のこの実施形態で提供されるディスプレイの理解を容易にするために、まずディスプレイの具体的な原理について説明する。本出願のこの実施形態におけるディスプレイでは、端末装置の待機時間効果を改善するために、ディスプレイの層構造にソーラーフィルムが追加される。図2は、本出願の本実施形態で提供されるディスプレイの内部構造のブロック図である。理解を容易にするために、図2に示すディスプレイでは、第1の方向、例えば図2に矢印で示す方向が定義される。第1の方向は、ディスプレイの表示面を指す。本出願のこの実施形態で提供されるディスプレイは、第1の方向に積層された複数の層構造、例えば、保護層10、基板30、表示層40、および透明カバープレート60などの異なる層構造を含む。保護層10、基板30、表示層40および透明カバープレート60は、第1の方向に積層されている。表示層40および基板30は、ディスプレイの表示領域201内に位置する。また、上記複数の層構成は、第1のソーラーフィルム層50、第2のソーラーフィルム層20、および第3のソーラーフィルム層70のソーラーフィルム層を含む。図2に示すように、ディスプレイの層構造には、上記の3枚のソーラーフィルムが挿入されている。以下、図2を参照して、その具体的な構造を詳述する。
【0021】
さらに図2を参照すると、本出願のこの実施形態における保護層10は、樹脂層、ゴム層、または発泡層などの、保護機能を有する共通の層であってもよい。第2のソーラーフィルム層20は、保護層10上に配置されており、第2のソーラーフィルム層20と基板30とは、一体的に配置されていてもよい。なお、図2では、便宜上、基板30と第2のソーラーフィルム層20とを2層で図示している。しかし、実際の作製プロセスでは、第2のソーラーフィルム層20を基板30上に一体化して、一体構造部材として用いてもよい。例えば、図3は、基板30と第2のソーラーフィルム層20とが一体化された構造の模式図である。基板30は、支持層31および薄膜トランジスタ層32を含む。薄膜トランジスタ層32は、支持層31の表示層に面する側に位置している。第2のソーラーフィルム層20は、支持層31の薄膜トランジスタ層32から離れた側に配置されている。具体的には、第2のソーラーフィルム層20を支持層31に、接着剤を用いて、直接接着してもよい。図2に示す構造を参照して、第2のソーラーフィルム層20は、基板30の表示層40から離れた側に位置しており、基板30における支持層31および薄膜トランジスタ層32は、透明材料を用いて作製されている。照射時には、基板30内の表示層40、支持層31、および薄膜トランジスタ層32を貫通して、第2のソーラーフィルム層20に光が照射される。もちろん、第2のソーラーフィルム層20を配置する位置は、図2および図3に示す態様に限定されず、第2のソーラーフィルム層20を薄膜トランジスタ層32上に配置してもよい。この場合、表示層40を透過した後に、第2のソーラーフィルム層20に光を照射することができる。基板30における薄膜トランジスタ層32および支持層31の両方は、不透明材料を使用することによって作製されてもよい。
【0022】
さらに図2を参照すると、本出願のこの実施形態で提供される第2のソーラーフィルム層20は、ディスプレイの表示領域201内に位置するが、表示層40の下にある。したがって、第2のソーラーフィルム層20は、ディスプレイの表示に影響を与えることなく可視光を吸収するソーラーフィルムであってもよい。第2のソーラーフィルム層20は、例えば、ペロブスカイト材料を用いて作製される。ペロブスカイト(perovskite)は、新しいタイプの太陽電池材料であり、低コストおよび高効率で有利である。また、第2のソーラーフィルム層20は、ディスプレイの内部(保護層10と表示層40との間)に配置されており、外部環境に曝されないため、使用時に、第2のソーラーフィルム層20の信頼性が確保される。PV電極は、第2のソーラーフィルム層20の縁部から引き出されており、PV電極は、配線を介して、端末装置内のエネルギー・マネージャに接続されてもよい。
【0023】
さらに図2を参照すると、表示層40は、基板30上に配置される。保護層10、第2のソーラーフィルム層20、基板30および表示層40は、第1の方向に沿って順に配置されている。本出願のこの実施形態におけるディスプレイは、異なる表示タイプ、例えば、microLED、OLED、およびLCDのディスプレイであってもよい。したがって、本出願のこの実施形態で提供される表示層40は、従来技術における既知の表示タイプのディスプレイの表示層に対応することができる。例えば、microLEDにおける表示層は、microLEDにおける表示に使用される層構造であり、OLEDにおける表示層は、OLEDにおける表示に使用される層構造であり、LCDにおける表示層は、LCDディスプレイにおける表示に使用される層構造である。上記の層構造は共通の構造であり、本出願では詳細を説明しない。加えて、表示層40と基板30との間の接続の具体的な方法も既知の一般的な接続方法であり、ここでは詳細を説明しない。
【0024】
さらに図2を参照すると、本出願のこの実施形態で提供されるディスプレイは、保護層10上に配置された支持構造体80と、第3のソーラーフィルム層70とをさらに含む。図2に示すように、保護層10、支持構造体80および第3のソーラーフィルム層70は、第1の方向に積層されている。積層された、第2のソーラーフィルム層20、基板30および表示層40と、積層された、支持構造体80および第3のソーラーフィルム層70、とが、保護層10上に、並んで配置されている。積層された、支持構造体80および第3のソーラーフィルム層70は、ディスプレイの非表示領域202に位置する。非表示領域202は、表示領域201の周囲(図1に示すように)に配置されているため、第3のソーラーフィルム層70には、表示層40を収容するための貫通穴が設けられている。第1のソーラーフィルム層50、第2のソーラーフィルム層20、および第3のソーラーフィルム層70は、表示層40上に一緒にスリーブが付けられており、第3のソーラーフィルム層70は、表示層40の周囲に配置されている。支持構造体80は、ディスプレイに支持を提供することができる、ベゼルなどの一般的な構造であってもよい。第3のソーラーフィルム層70が非表示領域202に位置しているため、第3のソーラーフィルム層70で吸収された光は、表示領域201の表示に影響を与えない。そのため、第3のソーラーフィルム層70は、可視光を吸収するソーラーフィルムであってもよい。例えば、第3のソーラーフィルム層70は、シリコン系材料(例えば、aSi)であってもよい。第3のソーラーフィルム層70が可視光を吸収するソーラーフィルムである場合には、第3のソーラーフィルム層70を光が透過することを遮ることができ、非表示領域202における経路やチップを遮蔽する効果が実現される。第3のソーラーフィルム層70が端末装置内のエネルギー・マネージャに接続されると、第3のソーラーフィルム層70の縁部からPV電極が引き出され、PV電極は配線を介して、エネルギー・マネージャに接続される。
【0025】
さらに図2を参照すると、ディスプレイは、第1のソーラーフィルム層50をさらに含み、第1のソーラーフィルム層50は、表示層40と透明カバープレート60との間に位置する。図2に示すように、第1のソーラーフィルム層50は、透明カバープレート60に支持されており、第1のソーラーフィルム層50は、透明カバープレート60の表示層40に面する側に配置されている。例えば、第1のソーラーフィルム層50は、接着剤を用いて透明カバープレート60に直接接着されている。あるいは、第1のソーラーフィルム層50と透明カバープレート60とが一体構造として直接形成されている。もちろん、図2は、第1のソーラーフィルム層50の具体例を示しているに過ぎない。本出願のこの実施形態では、第1のソーラーフィルム層50は別の方法で支持されてもよい。
【0026】
さらに図2を参照すると、第1のソーラーフィルム層50は表示層40の上方に位置しているため、設けられた第1のソーラーフィルム層50がディスプレイの使用効果に影響を及ぼすことを回避するために、第1のソーラーフィルム層50は透明ソーラーフィルムである。透明ソーラーフィルムは、太陽光の可視光を透過し、非可視光を吸収することができる。第1のソーラーフィルム層50は、例えば、赤外線のみを吸収する有機ソーラーフィルム層(IR-only OPV膜)である。フィルム層は、光学接着剤を用いて透明カバープレート60に接着される。接着は従来のプロセスであり、ここでは詳細を説明しない。第1のソーラーフィルム層50が端末装置内のエネルギー・マネージャに接続されると、第1のソーラーフィルム層50の縁部からPV電極が引き出され、PV電極は配線を介してエネルギー・マネージャに接続される。
【0027】
さらに図2を参照すると、第1のソーラーフィルム層50は、表示領域201内に位置し、非表示領域202まで延びている。また、第1のソーラーフィルム層50が表示層40および第2のソーラーフィルム層20を覆うことで、第1のソーラーフィルム層50の面積が大きくなり、光エネルギーの利用率が向上する。ただし、図2の第1のソーラーフィルム層50は一例に過ぎないことを理解されたい。第1のソーラーフィルム層50は、表示層40のみを覆っていてもよいし、第2のソーラーフィルム層20のみを覆っていてもよい。これは本明細書では限定されない。しかし、第1のソーラーフィルム層50が第2のソーラーフィルム層20のみを覆っていても、第1のソーラーフィルム層50は非可視光を吸収するソーラーフィルムであるため、第2のソーラーフィルム層20は可視光を吸収することができる。
【0028】
さらに図2を参照すると、上記の説明から、本出願の本実施形態で提供されるソーラーフィルムがディスプレイに組み込まれると、ディスプレイが中心として機能することが分かる。3つのソーラーフィルムが、3つの異なる位置に配置され、それぞれ、表示層40(microLED、OLED等)の上層(第1のソーラーフィルム層50)、表示層40と同じ層(第3のソーラーフィルム層70)、表示層40の下層(第2のソーラーフィルム層20)である。
【0029】
ディスプレイの使用時には、第1のソーラーフィルム層50(太陽光の可視光スペクトルの光に対して透明であり、可視光部以外のスペクトルの光を吸収する)が表示層40の上層に位置するため、太陽光は、第1のソーラーフィルム層50に最初に照射され、第1のソーラーフィルム層50が非可視光部を吸収する。第2のソーラーフィルム層20(ペロブスカイト材料など)は、表示層40の下方に位置する。第2のソーラーフィルム層20は、表示層40を透過した分光エネルギー(可視光)を吸収する。また、表示層40(microLEDやOLED)と同層の第3のソーラーフィルム層70(アモルファス・シリコン膜等)は、透明カバープレート60を透過して表示領域201外に位置する太陽光の分光エネルギー(可視光)を吸収する。
【0030】
例えば、図4は、上記の3つのソーラーフィルムの対応するスペクトル曲線を示す。図4において、実線は、第3のソーラーフィルム層70に対応する光の帯域を示し、一点鎖線は、第2のソーラーフィルム層20に対応する光の帯域を示し、破線は、第1のソーラーフィルム層50に対応する光の帯域を示す。図4から、異なる太陽エネルギー材料を用いて作製されたソーラーフィルムは、異なるバンドに対応することが分かる。例えば、第3のソーラーフィルム層70に対応する光の帯域は、150 nm以上750 nm以下(図中実線で示す)であり、第2のソーラーフィルム層20に対応する光の帯域は、350 nm以上2400 nm以下(図中一点鎖線で示す)であり、第1のソーラーフィルム層50に対応する光の帯域は、750 nm超(図中一点鎖線で示す)である。3枚のソーラーフィルムを組み合わせることで、太陽スペクトルの主なエネルギーバンド(400 nm~1200 nm)を十分に覆うことができる。3枚のソーラーフィルムが協働して作業を行うことで、低コストで最大の太陽エネルギー利用を実現することができる。
【0031】
例えば、図5は、別のディスプレイの構造の概略図である。図5の参照番号については、図2の同じ参照番号を参照されたい。図5に示すディスプレイは、2枚のソーラーフィルムのみを含む。第2のソーラーフィルム層20は基板30上に一体化されており、第3のソーラーフィルム層70は非表示領域202に配置されたソーラーフィルムである。
【0032】
例えば、図6は、別のディスプレイの構造の概略図である。図6の参照番号については、図2の同じ参照番号を参照されたい。図6に示すディスプレイは、2枚のソーラーフィルムのみを含む。第2のソーラーフィルム層20は基板30上に一体化されており、第1のソーラーフィルム層50は透明カバープレート60の下方に配置されたソーラーフィルムである。
【0033】
例えば、図7は、別のディスプレイの構造の概略図である。図7の参照番号については、図2の同じ参照番号を参照されたい。図7に示すディスプレイは、ソーラーフィルム層を1つだけ有しており、基板30上に第2のソーラーフィルム層20が一体化されている。図7は、1枚のソーラーフィルムを用いた例に過ぎない。1枚のソーラーフィルムを用いる場合、ディスプレイは透明カバープレートの下方に配置された第1のソーラーフィルムを用いてもよいし、非表示領域に配置された第3のソーラーフィルムを用いてもよい。
【0034】
上記の説明から、本出願の本実施形態で提供されるソーラーフィルムは、必要に応じて配置されてもよいことが分かる。例えば、図8は、ソーラーフィルム層と端末装置のバッテリとの間の接続のブロック図である。第1のソーラーフィルム層50、第2のソーラーフィルム層20、および第3のソーラーフィルム層70は、端末装置のエネルギー・マネージャ300(チップ)に接続されてもよい。エネルギー・マネージャ300の基本的な機能は、3つの太陽エネルギー・モジュールの出力を組み合わせて集約し、シリアル・パラレル変換などを行うことであり、集約された電気エネルギーを、端末装置のバッテリ400に出力する。バッテリ400は、既存の携帯電話バッテリ、既存のコンピュータ・バッテリなどであってもよく、従来の構成要素である。
【0035】
上記の説明から、本出願のこの実施形態で提供されるディスプレイでは、3つのソーラーフィルム層、および、その機構、ならびに、3つのソーラーフィルム層に接続されたエネルギー・マネージャは、柔軟に組み合わされ得ることが分かる。これらの構成要素は、特定の製品設計要件に基づいて追加または削除してもよい。組み合わせの選択は、実際の製品の太陽エネルギー収集に対する全体的な需要に依存する。
【0036】
本出願の一実施形態は、端末装置をさらに提供する。端末装置は、腕時計、携帯電話、またはタブレット・コンピュータなどの一般的な端末装置であってもよい。しかしながら、どの端末装置が使用されるかにかかわらず、端末装置は、筐体と、筐体に固定されたバッテリと、上記の実施形態のいずれか1つによるディスプレイとを含む。端末装置は、エネルギー・マネージャをさらに含む。ディスプレイ内のソーラーフィルムは、エネルギー・マネージャを使用してバッテリに電気的に接続される。以下では、添付の図面を参照して説明するための例として腕時計を使用する。
【0037】
例えば、図9は、腕時計の内部構造の模式図である。腕時計は、筐体100、バッテリ400、ディスプレイなどの構造を備える。3つの黒色のボックスは、3つのソーラーフィルムを表す。第1のソーラーフィルム層50は、太陽光の可視光部分を透過するように構成されたソーラーフィルムである。第3のソーラーフィルム層70は、シリコン系材料を用いて作製されたソーラーフィルムである。第2のソーラーフィルム層20は、OLEDと基板を共有するソーラーフィルム(本実施形態ではペロブスカイト材料を用いる)である。腕時計のエネルギー・マネージャ300はチップで実現され、主な機能は、集電、電荷蓄積、DC-DC変換(直流-直流変換)、および負荷出力を含む。ここでの負荷は、バッテリ400(腕時計のリチウム電池)であってもよい。上記の機能は、既知のチップを使用して実施されてもよい。したがって、チップの具体的な構造はここでは詳述しない。
【0038】
図9に示すように、第1のソーラーフィルム層50は、太陽光の可視光部分を透過するように構成されたソーラーフィルムである。このとき、赤外線のみを吸収する有機ソーラーフィルム(IR-only OPVフィルム)を用い、光学接着剤を用いて透明カバープレート60に接着される。接着は、従来のプロセスである。腕時計文字盤の縁部からPV電極が引き出され、電極はエネルギー・マネージャ300に接続されている。
【0039】
さらに図9を参照すると、第3のソーラーフィルム層70は、シリコン系材料(例えば、aSi)を用いて作製されたソーラーフィルムである。腕時計の内部運動構造は、第3のソーラーフィルム層70の機械的支持として機能する。第3のソーラーフィルム層70は、接着プロセスを用いて、移動機械支持構造体に接続される。接着プロセスは、一般的なプロセスである。第3のソーラーフィルム層70は、特定の形状に加工されており、例えば、正方形や円形などの内部が規則的な形状の構造に加工されている。下記の図10に示すように、第3のソーラーフィルム層70は、内側に円形の穴を有する。図11に示すように、第3のソーラーフィルム層70は、中央に矩形の穴を有している。第3のソーラーフィルム層70における適合された形状は、対応する表示層40の形状と同じである。必要に応じて異なる配置方法が使用されてもよい。
【0040】
さらに図9を参照すると、第2のソーラーフィルム層20は、表示層40の下方に配置されている。ここで、OLEDはガラス基板を用いており、第2のソーラーフィルム層20はペロブスカイト材料を用いて作製されている。この実施形態では、UV cut材料がディスプレイに特に導入される。材料、OLED、およびペロブスカイト・ソーラーフィルム材料は共に、共基板構造の完全な実施形態を構成する。
【0041】
上記の説明から、本出願の本実施形態では、既存のディスプレイ(携帯電話ディスプレイ、腕時計ディスプレイなど)のいずれも、収集のためのソーラーフィルムの統合を構造的にサポートしていないことが分かる。実用的で低コストで高効率の太陽エネルギー収集ソリューションから、本発明は、収集のためにソーラーフィルムを一体化する将来の端末ディスプレイ構造を定義する。構造は、表示にプロセスに対応可能な範囲で実現してもよい。
【0042】
上記の説明は、本出願の特定の実装形態に過ぎず、本出願の保護範囲を限定するものではない。本出願に開示されている技術的範囲内で、当業者によって容易に考え出されるいかなる変形または置換も、本出願の保護範囲内にあるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0043】
10 保護層
20 第2のソーラーフィルム層
30 基板
31 支持層
32 薄膜トランジスタ層
40 表示層
50 第1のソーラーフィルム層
60 透明カバープレート
70 第2のソーラーフィルム層
80 支持構造
100 筐体
200 ディスプレイ
201 表示領域
202 非表示領域
300 エネルギー・マネージャ
400 バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11