(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】バッテリーユニット保管用倉庫
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231107BHJP
B65G 1/14 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
B65G1/14 E
(21)【出願番号】P 2022555963
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2022020952
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004411
【氏名又は名称】日揮ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】寺久保 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】井戸 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 智浩
(72)【発明者】
【氏名】谷川 圭史
(72)【発明者】
【氏名】高石 紘佑
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/004753(WO,A1)
【文献】特許第3435749(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B65G 1/00 - 1/133
B65G 1/14 - 1/20
B60K 1/00 - 6/12
B60K 7/00 - 8/00
B60K 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーユニット保管用倉庫であって、
複数のバッテリーユニットをそれぞれ縦向きにまとめて保持することが可能なパレットと、
前記パレット毎に設置され、前記複数のバッテリーユニットのケーブルを集約するジャンクションボックスと、
前記パレットと前記ジャンクションボックスの対を複数設置することが可能なラックと、
を備えることを特徴とするバッテリーユニット保管用倉庫。
【請求項2】
前記パレットに設置された前記バッテリーユニットに電力を貯蔵することが可能であり、前記ジャンクションボックスを通じて前記バッテリーユニットから電力を供給することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーユニット保管用倉庫。
【請求項3】
前記ジャンクションボックスと接続されたパワーコンディショナーおよび変圧器を備えることを特徴とする請求項2に記載のバッテリーユニット保管用倉庫。
【請求項4】
前記ラックは移動式であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のバッテリーユニット保管用倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーユニット保管用倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
電力消費量の拡大と共に、太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギーによる発電量が増加することにより、電力需給バランスの安定化が求められている。その一方で、電気自動車(EV)等のバッテリー(蓄電池)を使用する機器が普及することにより、バッテリーの供給量が増加している。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の容器の積み重ねの上方に格子パターンで配置される複数のレールまたは軌道を備える保管システムが記載されている。
特許文献2には、複数のバッテリーを収納したトレイがクレーンにより棚に保管された状態でバッテリー電圧を測定する倉庫が記載されている。
特許文献3には、ラックに含まれるバッテリー収納部のうちにバッテリーの充電が可能な充電用収納部を備えた倉庫が記載されている。
特許文献4には、中古バッテリーユニットの保管装置に接続部を設け、電池状態を認識して充放電を管理する保管システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2020-186133号公報
【文献】日本国特許第3435749号公報
【文献】日本国特開2011-193690号公報
【文献】日本国特許第6912125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のバッテリー保管方法では無駄なスペースがあり、高密度化が難しかった。
【0006】
本発明の課題は、複数のバッテリーユニットを高密度に保管することが可能なバッテリーユニット保管用倉庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、バッテリーユニット保管用倉庫であって、複数のバッテリーユニットをそれぞれ縦向きにまとめて保持することが可能なパレットと、前記パレット毎に設置され、前記複数のバッテリーユニットのケーブルを集約するジャンクションボックスと、前記パレットと前記ジャンクションボックスの対を複数設置することが可能なラックと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記パレットに設置された前記バッテリーユニットに電力を貯蔵することが可能であり、前記ジャンクションボックスを通じて前記バッテリーユニットから電力を供給することが可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記ジャンクションボックスと接続されたパワーコンディショナーおよび変圧器を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の態様は、第1~3のいずれか1の態様において、前記ラックは移動式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様によれば、複数のバッテリーユニットを高密度に保管することが可能になる。
【0012】
第2の態様によれば、複数のバッテリーユニットを用いて、電力の貯蔵と供給が可能になる。
【0013】
第3の態様によれば、バッテリーユニットを他の電力システムに接続する際に必要な調整が容易になる。
【0014】
第4の態様によれば、ラックに対するパレットの出し入れに際して、フォークリフト等を用いた作業スペースの確保が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫を例示する正面図である。
【
図2】ラックと通路の配置を例示する配置図である。
【
図3】複数のラックの外側に作業スペースを配置した例の平面図である。
【
図4】複数のラックの間に作業スペースを配置した例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0017】
図1に、実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫10を例示する。バッテリーユニット保管用倉庫10は、パレット20とジャンクションボックス15の対を複数設置することが可能なラック12を備える。
【0018】
図示例のラック12は、倉庫の床11に設置されている。ラック12は、床11に対してラック12を支持する支柱13と、パレット20を設置する棚板14を備える。
【0019】
ラック12は、少なくとも1段の棚板14を備えてもよく、2段以上の棚板14を備えてもよい。ラック12の最下段において棚板14を省略する場合、パレット20が床11の上に設置されてもよい。ラック12の段数は特に限定されないが、床11または棚板14の上に設置可能なパレット20の合計で、2段以上が好ましく、例えば3~5段等でもよい。
【0020】
パレット20は、複数のバッテリーユニット23をそれぞれ縦向きにまとめて保持することが可能である。パレット20に保持されるバッテリーユニット23は、占有面積に含まれるバッテリーユニット23の幅および奥行きに比べて、バッテリーユニット23の高さがより大きい寸法となるように配置されている。バッテリーユニット23を縦置きすることにより、パレット20により形成される設置面積に対して、バッテリーユニット23の占有面積を抑制することができる。
【0021】
ラック12は、パレット20毎にジャンクションボックス15を設置することができる。ジャンクションボックス15は、パレット20に含まれる複数のバッテリーユニット23のケーブル24を集約するように接続されている。
【0022】
バッテリーユニット23を保持したパレット20をラック12に設置したときは、ケーブル24とジャンクションボックス15との接続作業を実施してもよい。バッテリーユニット23を保持したパレット20をラック12から取り出すときは、ジャンクションボックス15に対するケーブル24の接続解除作業を実施してもよい。
【0023】
ラック12は、パレット20の上方に配線ダクト16を保持している。ラック12の各段に複数のパレット20が設置されてもよい。配線ダクト16は、ラック12の各段に設置されてもよい。この場合、同一の配線ダクト16に対して、ラック12の同じ段に設置された複数のパレット20に保持された各バッテリーユニット23がジャンクションボックス15を介して接続されている。
【0024】
実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫10によれば、バッテリーユニット23を保持したパレット20をラック12に設置することにより、ラック12で荷重を支えることができる。上下のバッテリーユニット23が相互に負荷を及ぼすことなく、複数のバッテリーユニット23を高密度に保管することが可能になる。
【0025】
パレット20に保持されたバッテリーユニット23の周囲には、空冷用の気流が通過可能な隙間を有することが好ましい。バッテリーユニット保管用倉庫10は、送風機、空調設備などの冷却用機器(図示せず)を備えてもよい。
【0026】
パレット20に設置されたバッテリーユニット23には電力を貯蔵することが可能である。また、ジャンクションボックス15を通じてバッテリーユニット23から電力を供給することが可能である。これにより、複数のバッテリーユニット23を用いて、電力の貯蔵と供給が可能になる。
【0027】
図示例のパレット20は、バッテリーユニット23を保持する保持部21を備える。保持部21は、フォークリフトがパレット20を取り扱う際にフォークが差し込まれる差込口22を有してもよい。
【0028】
パレット20の保持部21は、バッテリーユニット23の下側に配置される積載面と、バッテリーユニット23を側方から支持する支持部を備えてもよい。パレット20の積載面はデッキボード等の板状でもよい。
【0029】
パレット20の支持部は、柱状、かご状、格子状、柵状、板状、壁状などの1種または2種以上から構成されてもよい。パレット20の支持部は積載面に対して固定式でもよく、積載面からの取り外しや折り畳みが可能でもよく、ゲート等の開閉構造を有してもよい。バッテリーユニット23の空冷の観点では、パレット20の支持部が通風機能を備えることが好ましい。
【0030】
パレット20がバッテリーユニット23を保持できる個数(保持能力)は特に限定されないが、例えば2~10個、3~5個等が挙げられる。パレット20にバッテリーユニット23が保持されている個数は保持能力以内であれば特に限定されない。保持能力と同数のバッテリーユニット23を保持したパレット20を用いてラック12に対する設置および取り出しを行うと、より効率的である。
【0031】
バッテリーユニット23は、機能的または物理的に分離可能なバッテリー構造体のまとまりを表す単位である。バッテリーユニット23が内部に複数のバッテリーを含んでもよい。
【0032】
ラック12は、移動式でも固定式でもよい。ラック12が固定式の場合、例えば
図2に示すように、ラック12と通路43を配置してもよい。この例では、床11上にラック12が設置されるラックスペース41,42が通路43の両側に設置されている。通路43には、フォークリフト50を運行させることができる。フォークリフト50は特に限定されないが、有人で操作されてもよく、無人運転でもよい。
【0033】
フォークリフト50は、フォーク51を上下可能なマスト52に対して、フォーク51の向きを前方、左方、右方に変更することが可能な3way式であることが好ましい。フォークリフト50を通路43上に停止させたまま、フォーク51をラック12に向けることにより、ラック12に対するパレット20の出し入れが可能になる。すなわち、ラック12に対するパレット20の交換等の作業スペースとして、ラック12に隣接する通路43を利用することができる。
【0034】
ラック12が移動式の場合、例えば
図3および
図4の平面図に示すように、複数のラック12A,12B,12C,12D,12Eを並べたとき、ラック12に隣接する箇所またはラック12間の任意の箇所に作業スペース40を確保してもよい。これにより、ラック12に対するパレット20の出し入れに際して、フォークリフト50等を用いた作業スペース40の確保が容易になる。
【0035】
図3ではラック12Eに隣接して作業スペース40が確保され、
図4ではラック12B,12Cの間に作業スペース40が確保された場合が例示されている。図示例に限られず、ラック12A,12Bの間、ラック12C,12Dの間、ラック12D,12Eの間など任意に作業スペース40の位置を変更することができる。
【0036】
各ラック12は、ジャンクションボックス15と接続されたパワーコンディショナー31および変圧器32を備えてもよい。これにより、ラック12に保管されたバッテリーユニット23を他の電力システムに接続する際に必要な調整が可能になる。
【0037】
パワーコンディショナー31は、バッテリーユニット23における直流と、外部の電力システムにおける交流とを変換する機能を有してもよい。変圧器32は、バッテリーユニット23における電圧と、外部の電力システムにおける電圧とを変圧する機能を有してもよい。
【0038】
ラック12とパワーコンディショナー31および変圧器32との間は、例えば接続ケーブル33により接続することができる。接続ケーブル33は可撓性を有するので、ラック12とパワーコンディショナー31および変圧器32との間で任意の向きに敷設することができる。
【0039】
上述した電力需給バランスの安定化においては、電力の需要量と供給量の調整が必要になる。電力需給調整は、送電または配電に関与する事業者(送配電事業者)と、調整用の電力(調整力)を供給する事業者との間で適宜のタイミングによりなされる。
【0040】
一般的な調整力は、周波数を制御する一次調整力、周波数を基準に回復させる二次調整力、需給バランスを調整する三次調整力に区分されている。調整速度は送配電事業者から調整力の供給が依頼されてから調整力が供給されるまでの応動時間により設定される。高速な調整速度を要する場合は、通信回線を要せずに自端で検知した情報に基づき、調整力が供給される場合もある。
【0041】
一次調整力では、例えば、10秒以内の応動時間が求められる場合がある。二次調整力では、例えば、5分以内の応動時間が求められる場合がある。三次調整力では、例えば比較的高速な設定では15分以内、比較的低速な設定では45分以内の応動時間が求められる場合がある。
【0042】
実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫10によれば、あらかじめバッテリーユニット23に電力を貯蔵しておき、調整力が必要になったときにバッテリーユニット23から電力を供給するので、応動時間の高速化が可能になる。調整力の供給先は特に限定されないが、例えば電力系統の送電網、配電網等が挙げられる。
【0043】
バッテリーユニット保管用倉庫10に保管されるバッテリーユニット23は、特に限定されないが、例えば電気自動車(EV)に使用されるバッテリーユニット23または中古のバッテリーユニット23であってもよい。例えば、中古のバッテリーユニット23の販売、貸与、リサイクル等の過程で保管が必要となるバッテリーユニット23をバッテリーユニット保管用倉庫10に保管し、電力の供給用に利用してもよい。
【0044】
バッテリーユニット保管用倉庫10に複数のバッテリーユニット23が保管されている場合、そこから特定のバッテリーユニット23を取り出すタイミングは、適宜設定することができる。
【0045】
例えば、バッテリーユニット23の老朽化等による性能の低下を検知したときに、バッテリーユニット23をラック12またはパレット20から取り出してもよい。バッテリーユニット23の譲渡、貸与等の需要が発生する等の人為的な原因により、バッテリーユニット23をラック12またはパレット20から取り出してもよい。
【0046】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、バッテリーユニットを用いた電力の貯蔵および供給に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10…バッテリーユニット保管用倉庫、11…床、12,12A,12B,12C,12D,12E…ラック、13…支柱、14…棚板、15…ジャンクションボックス、16…配線ダクト、20…パレット、21…保持部、22…差込口、23…バッテリーユニット、24…ケーブル、31…パワーコンディショナー、32…変圧器、33…接続ケーブル、40…作業スペース、41,42…ラックスペース、43…通路、50…フォークリフト、51…フォーク、52…マスト。
【要約】
バッテリーユニット保管用倉庫であって、複数のバッテリーユニットをそれぞれ縦向きにまとめて保持することが可能なパレットと、前記パレット毎に設置され、前記複数のバッテリーユニットのケーブルを集約するジャンクションボックスと、前記パレットと前記ジャンクションボックスの対を複数設置することが可能なラックと、を備えることを特徴とするバッテリーユニット保管用倉庫。