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特許7379743ハイスループットな実験室環境において複数の走査装置を管理するためのシステムおよび方法
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  • 特許-ハイスループットな実験室環境において複数の走査装置を管理するためのシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ハイスループットな実験室環境において複数の走査装置を管理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
G02B21/00
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023032524
(22)【出願日】2023-03-03
(62)【分割の表示】P 2020524868の分割
【原出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2023065612
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】62/593,126
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503293765
【氏名又は名称】ライカ バイオシステムズ イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Biosystems Imaging, Inc.
【住所又は居所原語表記】1360 Park Center Dr., Vista, CA 92081, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー デイリー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン スティアレット
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-053701(JP,A)
【文献】特開2003-330655(JP,A)
【文献】特開2008-226238(JP,A)
【文献】特表2012-527633(JP,A)
【文献】特表2015-515013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G01N 21/62-21/74
G01N 33/48-33/98
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置を用いてファームウェアをアップデートする方法であって、
前記サーバ装置は、非一時的データ記憶装置を有し、第1のネットワークを介して複数のデジタルスライド走査装置と通信可能に結合され、第2のネットワークを介してユーザ装置と通信可能に結合され、前記方法は、
前記第2のネットワークを介して前記ユーザ装置から現在の動作ファームウェアを受け取り、前記現在の動作ファームウェアを前記非一時的データ記憶装置に記憶するステップと、
前記複数のデジタルスライド走査装置の各々から動作情報を受け取り、前記動作情報を前記非一時的データ記憶装置に記憶するステップと、
前記複数のデジタルスライド走査装置のそれぞれについて、前記第1のネットワークを介して前記デジタルスライド走査装置上のネットワークブート操作を実行するするステップと、
を含み、
前記ネットワークブート操作は、前記デジタルスライド走査装置をリブートする命令を前記デジタルスライド走査装置に送信して、前記デジタルスライド走査装置において、前記サーバ装置から前記デジタルスライド走査装置への現在の動作ファームウェアのダウンロードをトリガすることを含む、
方法。
【請求項2】
前記動作情報は、デジタルスライド画像データを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作情報は、それぞれの前記デジタルスライド走査装置に関する現在の構成データを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記第2のネットワークを介して前記ユーザ装置から、前記複数のデジタルスライド走査装置から第1のデジタルスライド走査装置を識別する命令を受け取るステップと、
前記ユーザ装置から受け取った前記命令に対応する命令を前記第1のデジタルスライド走査装置に送信するステップと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記非一時的データ記憶装置に記憶された前記動作情報を分析するステップと、
前記分析に基づいて、前記複数のデジタルスライド走査装置のうちの少なくとも1つに関するメンテナンスの予約をスケジュール設定するステップと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のネットワークは、ローカルエリアネットワークであり、前記第2のネットワークはワイドエリアネットワークを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のネットワークは、インターネットを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記動作情報は、ステージおよびライン走査カメラのための同期情報を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記動作情報は、少なくとも1つの連続的なデジタル画像を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記動作情報は、少なくとも1つのライン走査カメラのための情報を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記動作情報は、撮像センサに関連する情報を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記動作情報は、フォーカシングセンサに関連する情報を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記動作情報は、焦点情報を含む、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/593,126号の優先権を主張しており、この出願は、あたかもそれが完全に記載されているかのように参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、デジタルスライド走査装置(例えば病理学のための)に関し、より詳細には、ハイスループットな実験室環境において複数のデジタルスライド走査装置を管理することに関する。
【背景技術】
【0003】
デジタルパソロジーは、物理的なスライドから生成される情報の管理を可能にするコンピュータ技術によって可能になる、画像に基づいた情報環境である。デジタルパソロジーは、バーチャル顕微鏡法によってある程度可能になり、これは、物理的なスライドガラス上の標本を走査すること、およびコンピュータモニタ上で記憶する、観察する、管理する、および分析することができるデジタルスライド画像を形成することの実践である。スライドガラス全体を画像化する機能により、デジタルパソロジーの分野は爆発的な成長を遂げ、例えば、がんなどの重大な疾患のさらに優れた、より迅速でより安価な診断、予後および予測を達成するための最も有望な診断医療の手段の一つと今やみなされている。
【0004】
ハイスループットな実験室環境や複数のデジタルスライド走査装置を備える環境では、それぞれの個々の走査装置の管理は煩雑であり、時間がかかり、重複しており、コストもかかる。従来のハイスループットな実験室環境では、各走査装置は、個別に構成され、サポートされ、更新する必要がある。したがって、上記に記載したこれらの重大な問題を打開するシステムおよび方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、上記に記載した問題を解決するためには、ハイスループットな実験室環境において複数の走査装置を管理するためのシステムおよび方法が本明細書に記載されている。一実施形態では、複数の走査装置の各々は、ローカルネットワークを介して複数の走査装置と通信可能に結合されている管理サーバからのリモートブート操作のために構成されている。リモートブートによって、管理サーバが複数の走査装置の各々の動作ファームウェアを定期的に更新することが可能になる。走査装置はまた、管理サーバのデータ記憶領域に記憶するために管理サーバに動作情報を定期的に提供するように各々構成されている。複数の走査装置の各々のリブートを始動して走査装置の全体の動作ファームウェアの更新をもたらす管理サーバの能力と合わせて、複数の走査装置の各々に関する動作情報を集中して記憶することによって、構成、サポート、画像データの記憶および/または外部サーバとの通信を促進する、複数の走査装置の集中した管理が可能になる。
【0006】
一実施形態では、非一時的データ記憶装置を有しており、第1のネットワークを介して複数のデジタルスライド走査装置と通信可能に結合され、また第2のネットワークを介してユーザ装置と通信可能に結合されるサーバ装置を備えるシステムが開示されており、該サーバ装置は、第2のネットワークを介してユーザ装置から現在の動作ファームウェアを受け取り、現在の動作ファームウェアを非一時的データ記憶装置に記憶し、複数のデジタルスライド走査装置の各々から動作情報を受け取り、動作情報を非一時的データ記憶装置に記憶し、また複数のデジタルスライド装置の各々に対して、第1のネットワークを介してデジタル走査装置に対してネットワークブート操作を実行するように構成されており、ネットワークブート操作は、デジタルスライド走査装置をリブートするための命令をデジタルスライド走査装置に送信して、デジタルスライド走査装置において、サーバ装置からデジタルスライド走査装置への現在の動作ファームウェアすべてのダウンロードをトリガすることを含む。動作情報には、デジタルスライド画像データ、および/または、それぞれのデジタルスライド走査装置に関する現在の構成データが含まれてよい。第1のネットワークは、ローカルエリアネットワークであってよく、第2のネットワークは、ワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット)を含んでもよい。
【0007】
一実施形態では、サーバ装置は、第2のネットワークを介してユーザ装置から複数のデジタルスライド走査装置から第1のデジタルスライド走査装置を識別する命令を受け取り、ユーザ装置から受け取った命令に対応する命令を第1のデジタルスライド走査装置に送信するようにさらに構成される。追加的または代替的に、サーバ装置は、非一時的データ記憶装置に記憶された動作情報を分析し、この分析に基づいて、複数のデジタルスライド走査装置のうちの少なくとも1つに関するメンテナンスの予約をスケジュール設定するようにさらに構成される。
【0008】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を再考した後、当業者にとってさらに容易に明らかになるであろう。
【0009】
本発明の構造および動作は、以下の詳細な説明および添付図面の再考から理解され、これらの図面では、同一の参照番号は同一の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による、ハイスループットな実験室環境において複数の走査装置を管理するための例示的なシステムを示すネットワーク図である。
図2A】本明細書で説明されるさまざまな実施形態に関連して使用され得る例示的なプロセッサ対応デバイスを示すブロック図である。
図2B】一実施形態による、単一のリニアアレイを有する例示的なライン走査カメラを示すブロック図である。
図2C】一実施形態による、3つのリニアアレイを有する例示的なライン走査カメラを示すブロック図である。
図2D】一実施形態による、複数のリニアアレイを有する例示的なライン走査カメラを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される特定の実施形態は、ハイスループットな実験室環境における複数の走査装置の管理を実現する。この説明を読んだ後には、さまざまな代替実施形態および代替応用例において本発明をどのように実施するのかが当業者に明らかになるであろう。しかしながら、本発明のさまざまな実施形態が本明細書で説明されるが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されており、限定ではないことが理解されよう。したがって、さまざまな代替的な実施形態のこの詳細な説明は、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲または広さを限定するものと解釈されるべきではない。
【0012】
1.装置の管理
【0013】
図1は、一実施形態による、ハイスループットな実験室環境において複数のデジタルスライド走査装置を管理するための例示的なシステムを示すネットワーク図である。図示の実施形態では、ローカルデータ記憶領域112を有する複数のデジタルスライド走査装置110は、第1のネットワーク120を介して、ローカルデータ記憶領域132を有する管理サーバ130と通信可能に結合されている。一実施形態では、第1のネットワークはローカルエリアネットワークであり、ネットワークブート操作124が、管理サーバ130と組み合わせた各走査装置110によって実行されることを可能にする単一のネットワークセグメントである。
【0014】
一実施形態では、ネットワークブート操作124には、走査装置110がローカルネットワーク120上で動作命令を求める要求をブロードキャストすることと、管理サーバ130が、走査装置110が従うための命令で応答することとが含まれる。一実施形態では、ブロードキャストされた要求に応答して管理サーバ130によって走査装置110に提供される命令は、要求の発行元のデジタルスライド走査装置110のすべての動作ファームウェアを含む。管理サーバ130からの応答を受け取った後、要求の発行元の走査装置110は、新たに受け取った動作ファームウェアを使用して動作を開始する。
【0015】
例えば、一実施形態では、スキャナ装置110がブートする際、それは、ローカルネットワーク120を通じて管理サーバ130から装置ファームウェアを要求し、管理サーバ130は、実行のためにローカルネットワーク120を通じてスキャナ110に装置ファームウェアを提供する。スキャナ110のための全体の動作ソフトウェアは、装置ファームウェアに含まれている。このことにより、管理サーバ130が、装置ファームウェアのどのバージョンが所与のスキャナ装置110に提供されるかを管理することが可能になる。これに加えて、認証された装置ファームウェアのみが走査装置110上で実行することが許可されるように、スキャナ装置110のファームウェアに暗号で署名することもできる。管理サーバ130はまた、各スキャナ装置110を遠隔式にリブートすることで、そのスキャナ装置110にあるファームウェアを強制的に更新させることもできる。
【0016】
一実施形態では、管理サーバ130はまた、第2の通信ネットワーク160を介して、ローカルデータ記憶領域142を有する1つまたは複数のリモート認証されたユーザシステム140にも通信可能に結合されている。第2のネットワーク160はワイドエリアネットワークであってもよいし、インターネットを含む場合もある。動作中、リモート認証されたユーザシステム140のユーザは、管理サーバ130に遠隔式にログインし、動作データ、および管理サーバ130のデータ記憶領域132に記憶されている複数の走査装置110に関する他の情報を確認することができる。加えて、管理サーバ130にログインしている間、リモート認証されたユーザシステム140のユーザは、走査装置110のための動作ファームウェアの更新後のバージョンなど、管理サーバ130に新たな情報をアップロードしてもよい。管理サーバ130にログインしている間、リモート認証されたユーザシステム140のユーザはまた、動作ファームウェアの更新後のバージョンをリブート後の走査装置110のそれぞれに配布するために、複数の走査装置110の1つまたは複数のリブートを開始する場合もある。管理サーバ130にログインしている間、リモート認証されたユーザシステム140のユーザはまた、リモート認証されたユーザによる確認のために複数の走査装置110の1つまたは複数それぞれに関する追加情報を生成するために、複数の走査装置110の1つまたは複数に対して診断手順を開始する場合もある。
【0017】
一実施形態では、管理サーバ130は、複数の走査装置110のリモートトラブルシューティングを促進する。リモートトラブルシューティングには、ログファイル、スキャナの動作状態、デバイス警告および/または警報の表示および/または処理が含まれてよい。走査装置110に関するすべての構成情報は、各走査装置110によって定期的かつ自動的に管理サーバ130に提供されてよい。このような構成情報は、管理サーバ130の非一時的データ記憶領域132に記憶されてよい。複数の走査装置110の各々に関する動作情報を管理サーバ130で集中して記憶することは、複数の走査装置110の効率的なメンテナンスを促進し、また単一の走査装置110自体から情報を獲得する必要なしに、単一の走査装置110を保守する、および/または修理することを可能にする。複数の走査装置110の各々に関する動作情報を管理サーバ130で集中して記憶することはまた、ひとつの場所に備わる複数の走査装置110のサポートも簡素化する。例えば、走査装置110の構成は、各々の走査装置110に対して個別に実行される代わりに、複数の走査装置110の各々にプロパゲーションする前に、管理サーバ130において一度実行する必要があるのみである。
【0018】
一実施形態では、管理サーバ130にログインしている間、リモート認証されたユーザシステム140のユーザは、ログファイル情報を確認し、特定の走査装置110の特定のハードウェアコンポーネントが間欠故障していると判断する場合もある。リモート認証されたユーザシステム140のユーザはこのとき、特定のハードウェアコンポーネントが所望のパラメータの範囲内で動作しているか否かを判断する際にリモート認証されたユーザシステム140のユーザを支援するために、特定の走査装置110上で実行されるハードウェア診断テキストを開始してもよい。特定のハードウェアコンポーネントが所望のパラメータの範囲内で動作していない場合、リモート認証されたユーザシステム140は、特定のハードウェアコンポーネントの代替品が届けられ、インストールされるように命じる場合もある。
【0019】
さらに、特定のハードウェアコンポーネントが、例えば特定の走査装置110のその場所においてフィールド担当者によって交換される際、管理サーバ130にログインしている間、リモート認証されたユーザシステム140のユーザまたはフィールド担当者は、代わりとなるコンポーネントの構成を支援するために特定の走査装置110で実行されるセットアップ手順を開始する場合もある。リモート認証されたユーザシステム140のユーザまたはフィールド担当者はまた、管理サーバ130にログインしている間、特定の走査装置110上で実行されるテスト手順を開始して、ハードウェアコンポーネントの適切な交換を検証し、交換されたハードウェアコンポーネントが所望のパラメータの範囲内で動作していることを確認してもよい。
【0020】
したがって、複数の走査装置110を有する走査環境では、管理サーバ130は、複数のスキャナ装置110の集中した管理を促進することで、構成、インストールサポート、画像データ記憶、および外部システム150との通信を実現する。管理サーバ130はまた、第2のネットワーク160を介して、ローカルデータ記憶領域152を有する1つまたは複数の外部システム150とも通信可能に結合されている。動作中、外部システム150は、デジタルパソロジースライド画像および/または複数のスキャナ装置110の1つまたは複数によって生成された他の情報を遠隔式に記憶するために使用されてよい。
【0021】
2.例示的実施形態
【0022】
一実施形態では、ハイスループットな実験室環境において複数のデジタルスライド走査装置を管理するためのシステムは、非一時的データ記憶装置を有するサーバ装置を含んでおり、該サーバ装置は、第1のネットワークおよび第2のネットワークと通信可能に結合されており、第1のネットワークはローカルネットワークセグメントである。システムはまた、第1のネットワークを介してサーバ装置と通信可能に結合された複数のデジタルスライド走査装置を含む。複数のデジタルスライド走査装置の各々は、第1のネットワークを介してサーバ装置からのネットワークブート動作を実行するように構成される。ネットワークブート動作は、ブート中のデジタルスライド走査装置の全体の動作ファームウェアを置き換える。システムはまた、第1のネットワークを介してサーバ装置と通信可能に結合されたリモート認証されたユーザ装置を含んでよい。
【0023】
一実施形態において、サーバ装置は、複数のデジタルスライド走査装置の各々から動作情報を受け取り、この動作情報を非一時的記憶装置に記憶するように構成されている。サーバ装置はまた、リモート認証されたユーザ装置から現在の動作ファームウェアを受け取り、現在の動作ファームウェアを非一時的記憶装置に記憶するように構成されている。サーバ装置はまた、複数のデジタルスライド走査装置の各々の動作ファームウェアを現在の動作ファームウェアに更新するように構成されている。
【0024】
一実施形態において、サーバ装置は、複数のデジタルスライド走査装置の各々のリブートを開始して複数のデジタルスライド走査装置の各々の動作ファームウェアを現在の動作ファームウェアに更新するように構成されている。
【0025】
一実施形態において、動作情報には、デジタルスライド画像データが含まれる。一実施形態において、動作情報には、それぞれのデジタルスライド走査装置に関する現在の構成データが含まれる。
【0026】
一実施形態では、サーバ装置は、リモート認証されたユーザ装置から、第1のデジタルスライド走査装置を識別する命令を受け取るように構成されている。この命令を受信した後、サーバ装置は、対応する命令を第1のデジタルスライド走査装置に送信するように構成されている。
【0027】
一実施形態において、サーバ装置は、非一時的データ記憶装置に記憶された動作情報を分析し、この分析に基づいて、複数のデジタルスライド走査装置のうちの少なくとも1つに関するメンテナンスの予約をスケジュール設定するように構成される。
【0028】
3.例示的デジタルスライド走査装置
【0029】
図2Aは、本明細書に記載される種々の実施形態に関連して使用され得る例示的なプロセッサ利用可能装置550を例示するブロック図である。装置550の代替的な形式が当業者によって理解されるように使用されてもよい。例示される実施形態では、装置550は、1つまたは複数のプロセッサ555、1つまたは複数のメモリ565、1つまたは複数の動きコントローラ570、1つまたは複数のインタフェースシステム575、1つまたは複数の試料590を有する1つまたは複数のスライドガラス585を各々が支持する1つまたは複数の可動ステージ580、試料を照射する1つまたは複数の照明システム595、光学軸に沿って進む光路605を各々が定める1つまたは複数の対物レンズ600、1つまたは複数の対物レンズポジショナ630、1つまたは複数の任意選択の落射照明システム635(例えば、蛍光発光ベースのスキャナシステムに含まれる)、1つまたは複数のフォーカシング光学系610、1つまたは複数のライン走査カメラ615、および/または1つまたは複数のエリア走査カメラ620を備え、その各々が試料590および/またはスライドガラス585上で別々の視野625を定めるデジタル撮像装置(本明細書ではスキャナシステム、走査システム、デジタルスライド走査装置、走査装置などとも称される)として提示される。スキャナシステム550のさまざまな要素は、1つまたは複数の通信バス560を介して通信可能に結合される。簡易化のために、スキャナシステム550のさまざまな要素の各々の1つまたは複数が存在してもよいが、それらの要素は、適切な情報を搬送するために複数で説明される必要があるときを除いて、単数で説明される。
【0030】
1つまたは複数のプロセッサ555は、命令を処理することが可能な中央処理装置(CPU)と、別個のグラフィックプロセシングユニット(GPU)とを含んでもよい。一実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ555は、並行して命令を処理することが可能なマルチコアプロセッサを含んでもよい。特定のコンポーネントを制御する、または画像処理などの特定の機能を実行するために追加の別個のプロセッサが設けられてもよい。例えば、追加のプロセッサには、データ入力を管理する補助プロセッサ、浮動小数点数学演算を実行する補助プロセッサ、信号処理アルゴリズムの高速実行に適切なアーキテクチャを有する専用プロセッサ(例えば、デジタルシグナルプロセッサ)、メインプロセッサに従属するスレーブプロセッサ(例えば、バックエンドプロセッサ)、および/またはライン走査カメラ615、ステージ580、対物レンズ225、および/またはディスプレイ(図示せず)を制御する追加のプロセッサが含まれてよい。そのような追加のプロセッサは、別個の離散プロセッサであってもよい、またはプロセッサ555と統合されてもよい。
【0031】
メモリ565は、プロセッサ555によって実行することができるプログラムに関するデータおよび命令の記憶を行う。メモリ565は、データおよび命令を記憶する1つまたは複数の揮発性および永続的コンピュータ可読記憶媒体を含んでもよく、限定でなく、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、ハードディスクドライブ、着脱可能記憶ドライブなどが含まれる。プロセッサ555は、メモリ565に記憶された命令を実行し、スキャナシステム550のすべての機能を実行するために、スキャナシステム550のさまざまな要素と通信バス560を介して通信するように構成される。
【0032】
1つまたは複数の通信バス560は、アナログ電気信号を搬送するように構成された通信バス560を含んでもよく、またデジタルデータを搬送するように構成された通信バス560を含む場合もある。したがって、1つまたは複数の通信バス560を介したプロセッサ555、動きコントローラ570、および/またはインタフェースシステム575からの通信は、電気信号およびデジタルデータの両方を含む場合がある。プロセッサ555、動きコントローラ570、および/またはインタフェースシステム575はまた、無線通信リンクを介して、走査システム550のさまざまな要素のうちの1つまたは複数と通信するように構成されてよい。
【0033】
動きコントロールシステム570は、ステージ580および/または対物レンズ600のXーYーZ移動を正確に制御および調整する(例えば、対物レンズポジショナ630を介して)ように構成される。一実施形態において、ステージ580は、X軸およびY軸に沿って移動することが可能であり、対物レンズ600は、Z軸に沿った移動が可能である。動きコントロールシステム570はまた、スキャナシステム550における任意の他の可動部分の移動を制御するように構成される。例えば、蛍光発光ベースのスキャナの実施形態では、動きコントロールシステム570は、落射照明システム635内の光学フィルタなどの移動を調整するように構成される。
【0034】
一実施形態において、インタフェースシステム575は、スキャナシステム550が、他のシステムおよび人間のオペレータと相互に作用することを可能にする。例えば、インタフェースシステム575は、オペレータに情報を直接提供する、および/またはオペレータからの直接の入力を可能にするユーザインタフェースを含んでもよい。インタフェースシステム575はまた、走査システム550と、直接接続された1つまたは複数の外部デバイス(例えば、プリンタ、取り外し可能記憶媒体など)、あるいはネットワーク(図示せず)を介してスキャナシステム550に接続された画像サーバシステム、オペレータステーション、ユーザステーション、管理サーバシステムなどの外部デバイスとの間の通信およびデータ転送を促進するようにも構成されてよい。
【0035】
照明システム595は、試料590の一部を照射するように構成される。照明システムは、例えば光源および照明光学系を含んでもよい。光源は、光出力を最大化する凹型反射ミラーおよび熱を抑制するKG-1フィルタを有する可変強度ハロゲン光源であってもよい。光源はまた、任意のタイプのアークランプ、レーザ、または他の光源である場合もある。一実施形態では、照明システム595は、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620が試料590を通して透過された光エネルギーを検知するように透過モードにおいて試料590を照明する。代わりに、または組み合わせて、照明システム595はまた、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620が試料590から反射された光エネルギーを検知するように反射モードにおいて試料590を照射するように構成されてもよい。より一般的には、照明システム595は、光学顕微鏡検査法のいずれかの既知のモードにおいて顕微鏡の試料590の検査に適するように構成されてよい。
【0036】
一実施形態では、スキャナシステム550は、蛍光発光ベースの走査のためにスキャナシステム550を最適化するための落射照明システム635を含む。蛍光発光ベースの走査は、蛍光分子を含む試料590の走査であり、蛍光分子は、特定の波長において光を吸収する(励起)ことができる感光性分子である。それらの感光性分子はまた、より高い波長においては光を放射する(放射)。このフォトルミネセンス現象の効率が非常に低いために、放射される光の量は非常に少ないことが多い。このように放射される光の量が少ないことは典型的には、試料590を走査してデジタル化するための従来の技術(例えば、透過モード顕微鏡検査)の妨げとなる。有利なことに、スキャナシステム550の蛍光発光ベースの実施形態は、複数のリニアセンサアレイを含むライン走査カメラ615(例えば、時間遅延積分(TDI)ライン走査カメラ)を使用し、ライン走査カメラ615の複数のリニアセンサアレイのそれぞれに試料590の同じ領域を露光することによってライン走査カメラの光に対する感度を高める。これは、わずかに蛍光性である試料を少ない放射光で走査する際にとりわけ有益である。
【0037】
したがって、蛍光発光ベースのスキャナシステムの実施形態では、ライン走査カメラ615は好ましくは、モノクロTDIライン走査カメラである。有利なことに、モノクロ画像は、それらが試料に存在するさまざまなチャネルからの実信号のさらなる正確な表現を提供するために、蛍光顕微鏡検査法において理想である。当業者によって理解されるように、蛍光発光試料590は、異なる波長で光を放射する複数の蛍光染料で標識付けすることができ、このような異なる波長は「チャネル」とも称される。
【0038】
さらに、さまざまな蛍光発光試料のローエンドおよびハイエンド信号レベルは、検知するライン走査カメラ615に対して広いスペクトルの波長を提示するため、ライン走査カメラ615が検知することができるローエンドおよびハイエンド信号レベルも同様に広いことが望ましい。したがって、蛍光発光ベースのスキャナの実施形態では、蛍光発光ベースの走査システム550において使用されるライン走査カメラ615は、モノクロの10ビットの64個のリニアアレイTDIライン走査カメラである。ライン走査カメラ615についてのさまざまなビット深度が、走査システム550の蛍光発光ベースのスキャナの実施形態による使用のために使用され得ることに留意すべきである。
【0039】
可動ステージ580は、プロセッサ555または動きコントローラ570の制御の下での正確なXーY移動のために構成される。可動ステージはまた、プロセッサ555または動きコントローラ570の制御の下でのZ軸での移動のために構成されてよい。可動ステージは、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラによる画像データの取り込みの間、所望の位置に試料を位置づけるように構成される。可動ステージはまた、試料590を走査方向に実質的に一定の速度まで加速させ、次いで、ライン走査カメラ615による画像データの取り込みの間、実質的に一定の速度を維持するように構成される。スキャナシステム550は、可動ステージ580上の試料590の位置において支援するために高精度におよび厳密に調整されたX-Y格子を採用してもよい。一実施形態では、可動ステージ580は、X軸およびY軸の両方において採用された高精度エンコーダを有するリニアモータに基づくXーYステージである。例えば、非常に精密なナノメートルエンコーダは、走査方向の軸上で、および走査方向に垂直な方向の軸上で、ならびに走査方向と同一の平面上で使用することができる。ステージはまた、スライドガラス585を支持するようにも構成され、その上に試料590が配置される。
【0040】
試料590は、光学顕微鏡検査法によって調べることができる任意のものとすることができる。例えば、顕微鏡スライドガラス585は、組織および細胞、染色体、DNA、タンパク質、血液、骨髄、尿、バクテリア、ビーズ、生検材料、または死亡か生存、染色か非染色、標識か非標識のいずれかの他のタイプの生物学的材料または物質を含む標本のための観察用の基板として頻繁に使用される。試料590はまた、マイクロアレイとして一般に知られているありとあらゆる試料を含む、任意のタイプのDNAのアレイ、または、例えばcDNA、RNA、または任意のタイプのスライドまたは他の基板に堆積されるタンパク質などのDNA関連材料のアレイであってもよい。試料590は、マイクロタイタープレート、例えば、96個のウェルプレートであってもよい。試料590の他の例には、集積回路基板、電気泳動レコード、ペトリ皿、フィルム、半導体材料、法医学材料および機械加工部品が含まれる。
【0041】
対物レンズ600は、一実施形態において対物レンズ600によって定められた光軸に沿って対物レンズ600を移動させるために非常に精密なリニアモータを使用する対物レンズポジショナ630に取り付けられる。例えば、対物レンズポジショナ630のリニアモータは、50ナノメートルのエンコーダを含んでもよい。X軸、Y軸およびZ軸におけるステージ580および対物レンズ600の相対位置は、包括的な走査システム550の動作のためのコンピュータ実行可能なプログラムされたステップを含め、情報および命令を記憶するためのメモリ565を採用するプロセッサ555の制御の下で動きコントローラ570を使用して閉ループ方式で調整および制御される。
【0042】
一実施形態において、対物レンズ600は、望ましい最高空間分解能に対応する開口数を有するプランアポクロマティック(「APO」)無限補正対物レンズであり、対物レンズ600は、透過モード照明顕微鏡検査法、反射モード照明顕微鏡検査法、および/または落射照明モード蛍光顕微鏡検査法(例えばOlympusの40X、0.75NAまたは20X、0.75NA)に適する。有利なことに、対物レンズ600は、色収差および球面収差を補正することが可能である。対物レンズ600は無限に補正されるため、対物レンズを通過する光ビームが平行光ビームになる、対物レンズ600の上方の光路605内にフォーカシング光学系610を配置することができる。フォーカシング光学系610は、対物レンズ600によって取り込まれた光学信号をライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620の光応答性素子上にフォーカシングさせ、フィルタ、倍率変換器レンズ、および/または同様のものなどの光学構成要素を含んでもよい。フォーカシング光学系610と組み合わせた対物レンズ600は、走査システム550のための全倍率を提供する。一実施形態では、フォーカシング光学系610は、チューブレンズおよび任意選択の2Xの倍率変換器を包含してもよい。有利なことに、2Xの倍率変換器は、本来の20Xの対物レンズ600が40Xの倍率で試料590を走査することを可能にする。
【0043】
ライン走査カメラ615は、画像要素(「ピクセル」)の少なくとも1つのリニアアレイを含む。ライン走査カメラは、白黒またはカラーであってよい。カラーライン走査カメラは典型的には、少なくとも3つのリニアアレイを有し、モノクロライン走査カメラは、単一のリニアアレイまたは複数のリニアアレイを有する場合がある。カメラの一部としてパッケージ化されるか、撮像電子モジュールにカスタム統合されるかに関わらず、いずれかのタイプの単数または複数のリニアアレイも使用することができる。例えば、3つのリニアアレイ(「赤-緑―青」すなわち「RGB」)のカラーライン走査カメラまたは96のリニアアレイ単色TDIも使用されてよい。TDIライン走査カメラは典型的には、以前に撮像された標本の領域からの強度データを合計することによって、出力信号における大幅に良好な信号対雑音比(「SNR」)を提供し、積分ステージの数の平方根に比例するSNRの増加をもたらす。TDIライン走査カメラは、複数のリニアアレイを含む。例えば、24個、32個、48個、64個、96個、またはさらに多くのリニアアレイを有するTDIライン走査カメラが利用可能である。スキャナシステム550はまた、512個のピクセルを有するもの、1024個のピクセルを有するもの、および4096個のピクセルと同数のピクセルを有するその他のものを含むさまざまなフォーマットで製造されたリニアアレイを支持する。同様に、さまざまなピクセルサイズを有するリニアアレイをスキャナシステム550において使用することもできる。いずれかのタイプのライン走査カメラ615の選択についての主要な要件は、ステージ580の動きをライン走査カメラ615のライン速度と同期させることができることで、試料590のデジタル画像の取り込みの間、ステージ580がライン走査カメラ615に対して動くことができることである。
【0044】
ライン走査カメラ615によって生成された画像データは、メモリ565の一部に記憶され、試料590の少なくとも一部の連続するデジタル画像を生成するためにプロセッサ555によって処理される。連続するデジタル画像はさらにプロセッサ555によって処理されてもよく、修正された連続したデジタル画像もまた、メモリ565に記憶されてよい。
【0045】
2つ以上のライン走査カメラ615を有する一実施形態では、ライン走査カメラ615のうちの少なくとも1つは、撮像センサとして機能するように構成されたライン走査カメラ615のうちの少なくとも1つと組み合わせて動作するフォーカシングセンサとして機能するように構成されてもよい。フォーカシングセンサは、撮像センサと同一の光軸上に論理上配置することができ、またはフォーカシングセンサは、スキャナシステム550の走査方向に対して撮像センサの前または後に論理上配置することができる。フォーカシングセンサとして機能する少なくとも1つのライン走査カメラ615を有する一実施形態では、フォーカシングセンサによって生成された画像データは、メモリ565の一部に記憶され、スキャナシステム550が、試料590と対物レンズ600との間の相対距離を調節して、走査の間、試料上で焦点を維持することを可能にするために焦点情報を生成するように1つまたは複数のプロセッサ555によって処理される。加えて、一実施形態では、フォーカシングセンサとして機能する少なくとも1つのライン走査カメラ615は、フォーカシングセンサの複数の個々のピクセルの各々が、光路605に沿って異なる論理上の高さに位置決めされるように配向されてもよい。
【0046】
動作中、スキャナシステム550のさまざまな構成要素およびメモリ565に記憶されたプログラムモジュールによって、スライドガラス585上に配置された試料590の自動走査およびデジタル化が可能になる。スライドガラス585は、試料590を走査するためのスキャナシステム550の可動ステージ580上に固定して配置される。プロセッサ555の制御の下で、可動ステージ580は、ライン走査カメラ615による検知のための実質的に一定の速度まで試料590を加速させ、この場合、ステージの速度は、ライン走査カメラ615のライン速度と同期される。画像データの1つのストライプを走査した後、可動ステージ580は、試料590を減速させ、ほぼ完全に停止させる。可動ステージ580は次いで、画像データの後続のストライプ(例えば、隣接したストライプ)の走査のために試料590を位置付けるように走査方向に直交して移動する。試料590の全部分または試料590全体が走査されるまで、追加のストライプがその後走査される。
【0047】
例えば、試料590のデジタル走査の間、試料590の連続したデジタル画像は、画像ストライプを形成するように一緒に組み合わされた複数の連続した視野として取得される。複数の隣接する画像ストライプを同じように組み合わせて、試料590の一部または試料590全体の連続するデジタル画像を形成する。試料590の走査は、垂直画像ストライプまたは水平画像ストライプを取得することを含んでもよい。試料590の走査は、上から下、下から上、またはその両方(双方向)のいずれであってもよく、試料590上のいずれの地点で開始してもよい。あるいは、試料590の走査は、左から右、右から左、または両方(双方向)のいずれであってもよく、試料590上のいずれの地点で開始してもよい。加えて、画像ストライプは隣接する方式または連続する方式において取得される必要はない。さらに、結果として生じる試料590の画像は、試料590全体または試料590の一部のみの画像であってもよい。
【0048】
一実施形態では、コンピュータ実行可能命令(例えば、プログラムされたモジュールおよびソフトウェア)が、メモリ565に記憶され、実行される際、走査システム550が本明細書で説明されるさまざまな機能を実行することを可能にする。この説明では、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、コンピュータ実行可能命令を記憶し、プロセッサ555による実行のために走査システム550に提供するために使用される任意の媒体を指すものとして使用される。それらの媒体の例には、メモリ565、および、例えばネットワーク(図示せず)を介して直接または間接的のいずれかで走査システム550と通信可能に結合されたいずれかの着脱可能な記憶媒体または外部の記憶媒体(図示せず)が含まれる。
【0049】
図2Bは、電荷結合素子(「CCD」)アレイとして実装され得る単一のリニアアレイ640を有するライン走査カメラ615を示す。単一のリニアアレイ640は、複数の個々のピクセル645を含む。示される実施形態では、単一のリニアアレイ640は、4096個のピクセルを有する。代替的な実施形態では、リニアアレイ640は、より多くのまたはより少ないピクセルを有する場合もある。例えば、リニアアレイの共通フォーマットには、512個、1024個、および4096個のピクセルが含まれる。ピクセル645は、リニアアレイ640についての視野625を定めるためにリニア方式で配置される。視野のサイズは、スキャナシステム550の倍率に従って変化する。
【0050】
図2Cは、3つのリニアアレイを有するライン走査カメラを示しており、各リニアアレイはCCDアレイとして実装されてよい。3つのリニアアレイは、カラーアレイ650を形成するように組み合わされる。実施形態では、カラーアレイ650内の各々の個々のリニアアレイは、異なるカラー強度(例えば、赤、緑、または青)を検出する。カラーアレイ650内の各々の個々のリニアアレイからのカラー画像データは、カラー画像データの単一の視野625を形成するように組み合わされる。
【0051】
図2Dは、それぞれがCCDアレイとして実装され得る、複数のリニアアレイを有するライン走査カメラを示す。複数のリニアアレイは、TDIアレイ655を形成するように組み合わされる。有利なことに、TDIライン走査カメラは、以前に撮像された標本の領域からの強度データを合計することによって、その出力信号における大幅に良好なSNRを提供し、リニアアレイ(統合ステージとも称される)の数の平方根に比例したSNRの増加をもたらしてよい。TDIライン走査カメラは、より多様な数のリニアアレイを含む場合もある。例えば、TDIライン走査カメラの一般的なフォーマットには、24個、32個、48個、64個、96個、120個およびそれ以上のリニアアレイが含まれる。
【0052】
開示される実施形態の上記の説明は、任意の当業者が本発明を作成または使用することを可能にするために提供される。それらの実施形態に対するさまざまな修正は、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書で説明された一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用することができる。よって、本明細書で提示される説明および図面は、本発明の現時点で好ましい実施形態を表しており、したがって、本発明によって広く企図されている主題を表すことを理解されたい。さらに、本発明の範囲は、当業者にとって明白になり得る他の実施形態を完全に包含しており、したがって、本発明の範囲は限定されないことが理解されよう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D