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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】空気分離装置および空気分離方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/04 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
F25J3/04 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022127139
(22)【出願日】2022-08-09
【審査請求日】2023-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 献児
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107726732(CN,A)
【文献】特開平09-303959(JP,A)
【文献】特開平10-122740(JP,A)
【文献】特開2022-029786(JP,A)
【文献】特開2016-188751(JP,A)
【文献】特開平03-230080(JP,A)
【文献】中国実用新案第210512327(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度酸素液中の不揮発性不純物を低減あるいは除去する方法であって
高純度酸素液を製造する空気分離装置における高純度酸素精留塔から得られる高純度酸素液を蒸発させる酸素蒸発工程と、
前記酸素蒸発工程で蒸発された酸素ガスを再凝縮する酸素再凝縮工程と、を含み、
前記酸素再凝縮工程は、蒸発された酸素ガスを酸素ミストセパレータよりも下方に導入することを含み
前記方法は、さらに前記酸素ミストセパレータよりも上方から凝縮液を取り出す工程を含む、方法
【請求項2】
高沸点成分が濃縮される第一窒素精留部(21)と、低沸点成分が濃縮される第二窒素精留部(22)とを有する窒素精留塔(2)と、
前記第一窒素精留部(21)から導出される酸素含有液が導入される高純度酸素精留塔(5)と、
第二窒素精留塔(22)の底部(221)に貯留する酸素富化液を第一窒素精留部(21)の塔頂(213)へ送るために液送ポンプ(8)と、
前記高純度酸素精留塔(5)の下部に設置され、酸素ガスの蒸気流を発生させるための酸素蒸発器(55)と、
前記酸素蒸発器(55)で発生される酸素ガス一部が導入され、当該酸素ガスを凝縮する酸素再凝縮部(7)と、を備える、
空気分離装置。
【請求項3】
窒素精留塔(200)と、
高沸点成分が濃縮される第一酸素精留部(51)と低沸点成分が濃縮される第二酸素精留部(52)を有する高純度酸素精留塔(5)と、
第一酸素精留部(51)の底部(511)に貯留する酸素富化液を第二酸素精留部(52)の塔頂(523)へ送るために液送ポンプ(81)と、
前記第二酸素精留部(52)の下部に設置され、酸素ガスの蒸気流を発生させるための酸素蒸発器(55)と、
前記酸素蒸発器(55)で発生される酸素ガス一部が導入され、当該酸素ガスを凝縮する酸素再凝縮部(7)と、を備える、
空気分離装置。
【請求項4】
前記酸素再凝縮(7)の一次側に酸素ミストセパレータ(75)をさらに備え、
前記酸素蒸発器(5)で発生される酸素ガス(蒸気流)一部が、前記酸素ミストセパレータ(75)より下方に導入される、
請求項またはに記載の空気分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度酸素を製造する空気分離装置および空気分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高純度酸素とは、例えば99.9999%以上の純度を持つ酸素であって、例えば半導体産業用の需要があるが、不純物として高沸点成分(例えばメタン等炭化水素)や低沸点成分(窒素、アルゴン、水素等)が取り除かれたものである。
不純物として、不揮発性成分(金属粒子やシロキサン等)の除去も求められる。不揮発性成分からなる不純物の粒径が十分大きい場合は、フィルターによるろ過処理によって除去可能であるが、ナノメートルオーダーの粒子除去は技術的に困難であるため、高純度酸素の製造プロセスから汚染源になる可能性がある材料を除外することが一般的であった。
【0003】
高純度の空気分離ガスを得るためには、空気分離装置の精留塔の理論段数は大きくなり、結果的に精留塔の高さは高くなるが、空気分離装置の輸送に係る長さの制限や、設置場所の設置高さ制限によって、精留塔を分割することが妥当になる場合がある。
高さは、クレーン等を使用した工法の制限の他にも、航空法、電気事業法、景観条例等による法規制によって制限され得る。
高さ制限のために分割された精留塔は同じ高さ水準に設置することが望ましい。この場合、上部に相当する精留塔の底部液は、還流液として下部に相当する精留塔の頂部に供給する必要があるから、上部精留塔底部から下部精留塔頂部へ液送するポンプが必要となる。
空気分離装置の精留プロセスは、窒素の液化点である-196℃付近の低温で使用されるため、使用される材料は低温脆性を示さない、オーステナイト系ステンレス鋼やアルミニウム合金、銅合金等が使用される。静的な使用環境下では材料表面に酸化膜が形成されるため、材料の腐食は生じないが、駆動部を有するポンプのような動的な機械に適用される材料の場合、摺動部や回転部に摩耗的腐食が起きる場合がある。腐食によって流体中に混入する金属不純物は、不揮発性のため基本的に液相に移動するが、空気分離装置においては酸素に濃縮されていくことになる。
このような腐食によって生じる金属や金属酸化物粒子は、数十ナノメートルオーダーの大きさになりえるが、半導体製造にとっては致命的な不純物となり得、一度半導体製造工程に不具合を起こして工程停止が発生すると、多額の損失を招き、特に半導体の回路幅が数ナノメートルとなるような先端半導体製造においては顕著である。
従って、半導体製造工程に用いられる高純度酸素中の不純物除去は必須であるが、数十ナノメートルオーダーの粒子をフィルター等で除去することは技術的に難しく、空気分離装置による処理技術を開発する必要性があった。
【0004】
特許文献1は、既存の窒素製造プロセスへの影響を小さく抑え、高純度の酸素ガス及び高純度の液体酸素の少なくとも一方を効率的に製造することのできる酸素製造システムを開示している。特許文献2、3は、高純度の酸素の製造装置を開示している。しかしながら、特許文献1から3では、酸素に濃縮される金属不純物の問題については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6546504号公報
【文献】特許第3719832号公報
【文献】特許第3929799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、高純度酸素液中の不揮発性不純物を低減あるいは除去する空気分離装置および高純度酸素液中の不揮発性不純物を低減あるいは除去する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の高純度酸素液中の不揮発性不純物を低減あるいは除去する方法は、
高純度酸素液を製造する空気分離装置における高純度酸素精留塔から得られる高純度酸素液を(酸素蒸発器で)蒸発させる酸素蒸発工程と、
前記酸素徐発工程で蒸発された酸素ガスを(酸素再凝縮器で)再凝縮(液化)する酸素再凝縮工程と、を含んでいてもよい。
前記酸素再凝縮工程は、蒸発された酸素ガスを酸素ミストセパレータよりも下方に導入することを含んでいてもよい。
前記方法は、前記酸素再凝縮工程で得られた凝縮液(高純度酸素液)を取り出す高純度酸素液取出工程を含んでいてもよい。
前記高純度酸素液取出工程は、前記酸素ミストセパレータよりも上方から凝縮液(高純度酸素液)を取り出す工程を含んでいてもよい。
前記高純度酸素液取出工程は、凝縮液を加圧する加圧工程を含んでもよく、凝縮液を蒸発しガス化する工程を含んでいてもよい。
「高純度酸素」は、例えば99.9999%以上の純度を持つ酸素をいう。
【0008】
本開示の空気分離装置(A1、A2)は、高沸点成分が濃縮される第一窒素精留部(21)と、低沸点成分が濃縮される第二窒素精留部(22)とを有する窒素精留塔(2)と、高純度酸素精留塔(5)とを備える。高さ制限などの制約から第一窒素精留部(21)と第二窒素精留部(22)が分離されていてよい。第二窒素精留塔(22)の底部(221)に貯留する酸素富化液を第一窒素精留部(21)の塔頂(213)へ送る(還流液を送る)ために液送ポンプ(8)を有していてもよい。ヘッド差があるため、液送ポンプ(8)が使用される。
【0009】
前記空気分離装置(A1、A2)は、
原料空気を熱交換する主熱交換器(1)と、
前記主熱交換器(1)を通過した原料空気が導入される(中間あるいは下部精留部を有する)第一窒素精留部(21)と、
前記第一窒素精留部(21)の塔頂(213)から導出されるガス(蒸発ガス)が導入される精留部(222)(下部精留部)を有する第二窒素精留部(22)と、
前記第二窒素精留部(22)の塔頂(223)から導出されるガス(蒸発ガス)が導入されて凝縮(冷却)し、前記塔頂(223)へ戻す第一、第二凝縮器(3、4)と、
前記第一凝縮器(3)の塔頂(31)から導出され、前記主熱交換器(1)(の一部)を通過した後でガスを膨張するエキスパンダー(92)と、
前記第二凝縮器(4)の塔頂(41)から導出されるガスを圧縮するコンプレッサー(91)と、
前記第一窒素精留部(21)(の中間あるいは上部精留部)から導出される酸素含有液(ガス状と液状を含む)が導入される(酸素精留部あるいは塔頂を有する)高純度酸素精留塔(5)と、
前記高純度酸素精留塔(5)の(酸素精留部の)下部に設置され、酸素ガスの蒸気流を発生させるための酸素蒸発器(55)と、
前記酸素蒸発器(55)で発生される酸素ガス(蒸気流)一部が導入され、当該酸素ガスを凝縮(再液化)する酸素再凝縮部(7)と、を備えていてもよい。
【0010】
前記空気分離装置(A1、A2)は、
前記主熱交換器(1)を通過させ前記第一窒素精留部(21)の中間あるいは下部精留部へ導入される原料空気のための原料空気配管ライン(L1)と、
前記第一窒素精留部(21)の塔頂(213)から導出されるガス(蒸発ガス)が前記第二窒素精留部(22)へ送るための配管ライン(L213)と、
前記第一窒素精留部(21)の底部(211)から導出される富化酸素液が前記第二凝縮器(4)(の冷熱に使用されるため)に送るための配管ライン(L211a)と、
前記第二窒素精留部(22)の底部(221)から導出され前記液送ポンプ(8)によって富化酸素液が前記第一窒素精留部(21)(の塔頂あるいは上部精留部)に送るための配管ライン(L221)と、
前記第二凝縮器(4)から前記第一凝縮器(3)へ富化酸素液を送る配管ラインと、
前記第二窒素精留部(22)の塔頂(223)から導出され前記第一凝縮(3)へガス(蒸発ガス)を送り凝縮(冷却)され前記塔頂(223)へ戻す配管ラインと、
前記第二窒素精留部(22)の塔頂(223)から導出され前記第二凝縮(4)へガス(蒸発ガス)を送り凝縮(冷却)され前記塔頂(223)へ戻す配管ラインと、
前記第一凝縮器(3)の塔頂(31)から導出され前記主熱交換器(1)(の一部)を通過させ前記エキスパンダー(92)で膨張され前記主熱交換器(1)を通過させて導出されるガスのための廃ガス配管ライン(L31)と、
前記第二凝縮器(4)の塔頂(41)から導出され前記コンプレッサー(91)で圧縮され前記主熱交換器(1)(の一部)を通過し前記第一窒素精留部(21)へ導入されるガスのためのリサイクル配管ライン(L41)と、
前記第二窒素精留部(22)の塔頂(223)から導出される富化窒素ガスを前記主熱交換器(1)を通過させて導出するための窒素ガスライン(L223)と、
前記第一窒素精留部(21)(の中間あるいは上部精留部)から導出され、高純度酸素精留塔(5)((酸素精留部(52)あるいは塔頂(53))へ酸素含有液(ガス状と液状を含む)を導入するための配管ライン(L212)と、
前記酸素蒸発器(55)で発生される酸素ガス(蒸気流)一部が導入され、前記酸素再凝縮部(7)へ導入するための配管ライン(L522)と、
を備えていてもよい。
【0011】
前記空気分離装置(A1、A2)は、
前記第一窒素精留部(21)の底部(211)から導出される富化酸素液が前記酸素蒸発器(55)へ導入され、次いで前記第二凝縮器(4)へ送るための配管ライン(L211b)と、
前記酸素蒸発器(55)で使用された後の富化酸素液が前記配管ライン(L211b)から分岐して前記酸素再凝縮器(7)に送られ、前記主熱交換器(1)よりも上流側の前記廃ガス配管ライン(L31)に合流する配管ライン(L211b1)と、
前記高純度酸素精留塔(5)の塔頂(53)から導出されるガスを前記主熱交換器(1)よりも上流側の前記廃ガス配管ライン(L31)に合流する配管ライン(L53)と、
を備えていてもよい。
【0012】
前記空気分離装置(A1)は、
前記酸素再凝縮部(7)の底部(71)で再液化される高純度酸素液を取り出す第一取出配管ライン(L71)を備えていてもよい。
前記第一取出配管ライン(L71)で取り出される高純度酸素液は、加圧装置で所定圧に加圧してから需要ポイントへ送られてもよい。
前記第一取出配管ライン(L71)で取り出される高純度酸素液は、前記主熱交換器(1)を通過させて(蒸発させて)酸素ガスにしてから需要ポイントへ送られてもよい。
【0013】
前記空気分離装置(A2)は、
前記酸素再凝縮器(7)の一次側(下部)に酸素ミストセパレータ(75)を備えていてもよい。
前記配管ライン(L522)は、前記酸素蒸発器(5)で発生される酸素ガス(蒸気流)一部を、酸素ミストセパレータ(75)より下方に導入されるように設定されていてもよい。
前記空気分離装置(A2)は、
前記酸素再凝縮部(7)の前記酸素ミストセパレータ(75)よりも上方から高純度酸素液を取り出す第二取出配管ライン(L72)と、
前記酸素再凝縮部(7)の底部(71)に貯留している高純度酸素液を導出し、前記高純度酸素精留塔(5)(の前記酸素蒸発器(55)の上方)へ導入するための配管ライン(L711)を備えていてもよい。
前記第二取出配管ライン(L72)で取り出される高純度酸素液は、加圧装置で所定圧に加圧してから需要ポイントへ送られてもよい。
前記第二取出配管ライン(L72)で取り出される高純度酸素液は、前記主熱交換器(1)を通過させて(蒸発させて)酸素ガスにしてから需要ポイントへ送られてもよい。
【0014】
別の開示の空気分離装置(B1、B2)は、窒素精留塔(200)と、高沸点成分が濃縮される第一酸素精留部(51)と低沸点成分が濃縮される第二酸素精留部(52)を有する高純度酸素精留塔(5)とを備える。高さ制限などの制約から第一酸素精留部(51)と第二酸素精留部(52)が分離されていてよい。第一酸素精留部(51)の底部(511)に貯留する酸素富化液を第二酸素精留部(52)の塔頂(523)へ送るために液送ポンプ(81)を有していてもよい。ヘッド差があるため、液送ポンプ(81)が使用される。
【0015】
前記空気分離装置(B1、B2)は、
原料空気を熱交換する主熱交換器(1)と、
前記主熱交換器(1)を通過した原料空気が導入される(中間あるいは下部精留部を有する)窒素精留塔(200)と、
前記窒素精留塔(200)の塔頂(203)から導出されるガス(蒸発ガス)が導入されて凝縮(冷却)し、前記塔頂(203)へ戻す第一、第二凝縮器(3、4)と、
前記第一凝縮器(3)の塔頂(31)から導出され、前記主熱交換器(1)(の一部)を通過した後でガスを膨張するエキスパンダー(92)と、
前記第二凝縮器(4)の塔頂(41)から導出されるガスを圧縮するコンプレッサー(91)と、
前記窒素精留塔(200)(の中間202あるいは上部精留部)から導出される酸素含有液(ガス状と液状を含む)が導入される(精留部あるいは塔頂を有する)第一酸素精留部(51)と、
前記第一酸素精留部(51)の底部(511)に貯留する酸素富化液が導入される塔頂(523)を有する第二酸素精留部(52)と、
前記第二酸素精留部(52)の(酸素精留部の)下部に設置され、酸素ガスの蒸気流を発生させるための酸素蒸発器(55)と、
前記酸素蒸発器(55)で発生される酸素ガス(蒸気流)一部が導入され、当該酸素ガスを凝縮(再液化)する酸素再凝縮部(7)と、を備えていてもよい。
前記酸素再凝縮部(7)の底部(71)から導出される高純度酸素液を加圧する加圧装置(10)を備えていてもよい。
【0016】
前記空気分離装置(B1、B2)は、
前記主熱交換器(1)を通過させ前記窒素精留塔(200)の中間あるいは下部精留部へ導入される原料空気のための原料空気配管ライン(L1)と、
前記窒素精留塔(200)の底部(201)から導出される富化酸素液が前記第二凝縮器(4)(の冷熱に使用されるため)に送るための配管ライン(L201a)と、
前記第二凝縮器(4)から前記第一凝縮器(3)へ富化酸素液(冷熱)を送る配管ライン(不図示)と、
前記窒素精留塔(200)の塔頂(203)から導出され前記第一凝縮(3)へガス(蒸発ガス)を送り凝縮(冷却)され前記塔頂(203)へ戻す配管ライン(不図示)と、
前記窒素精留塔(200)の塔頂(203)から導出され前記第二凝縮(4)へガス(蒸発ガス)を送り凝縮(冷却)され前記塔頂(203)へ戻す配管ライン(不図示)と、
前記第二凝縮器(4)の塔頂(41)から導出され前記コンプレッサー(91)で圧縮され前記主熱交換器(1)(の一部)を通過し前記窒素精留塔(200)へ導入されるガスのためのリサイクル配管ライン(L41)と、
前記第一凝縮器(3)の塔頂(31)から導出され前記主熱交換器(1)(の一部)を通過させ前記エキスパンダー(92)で膨張され前記主熱交換器(1)を通過させて導出されるガスのための廃ガス配管ライン(L31)と、
前記窒素精留塔(200)の塔頂部(203)から導出される富化窒素ガスを前記主熱交換器(1)を通過させて導出するための窒素ガスライン(L203)と、
前記窒素精留塔(200)(の中間あるいは上部精留部)から導出され、第一酸素精留塔(51)(上部精留部あるいは塔頂(513))へ酸素含有液(ガス状と液状を含む)を導入するための配管ライン(L202)と、
前記第一酸素精留部(51)の底部(511)から導出され前記液送ポンプ(81)によって富化酸素液が前記第二酸素精留部(52)(の塔頂(523)あるいは上部精留部)に送るための配管ライン(L511)と、
前記第二酸素精留部(52)の塔頂(523)からガスを前記第一酸素精留部(51)の下部精留部あるいは底部(511)の気相へ送るための配管ライン(L523)と、
前記酸素蒸発器(55)で発生される酸素ガス(蒸気流)一部が導入され、前記酸素再凝縮部(7)へ導入するための配管ライン(L522)と、
を備えていてもよい。
【0017】
前記空気分離装置(B1、B2)は、
前記窒素精留塔(200)の底部(201)から導出される富化酸素液が前記酸素蒸発器(55)へ導入され、次いで前記第二凝縮器(4)へ送るための配管ライン(L201b)と、
前記酸素蒸発器(55)で使用された後の富化酸素液が前記配管ライン(L201b)から分岐して前記酸素再凝縮(7)に送られ、前記主熱交換器(1)よりも上流側の前記廃ガス配管ライン(L31)に合流する配管ライン(L201b1)と、
前記第一酸素精留塔(51)の塔頂(513)から導出されるガスを前記主熱交換器(1)よりも上流側の前記廃ガス配管ライン(L31)に合流する配管ライン(L513)と、を備えていてもよい。
【0018】
前記空気分離装置(B1、B2)は、
前記加圧装置(10)の底部から、加圧された高純度酸素液を取り出す第三取出配管(L101)と、
前記加圧装置(10)から導出される酸素ガスを前記第二酸素精留部(52)の前記酸素蒸発器(55)より上方へ導入するための配管ライン(L102)と、を備えていてもよい。
また、前記空気分離装置(B1、B2)は、
前記加圧装置(10)から導出される酸素ガスを前記酸素再凝縮(7)へ導入するための配管ライン、を備えていてもよい。
前記第三取出配管ライン(L101)で取り出される高純度酸素液は、前記主熱交換器(1)を通過させて(蒸発させて)酸素ガスにしてから需要ポイントへ送られてもよい。
【0019】
前記空気分離装置(B1)は、
前記酸素再凝縮部(7)の底部(71)で再液化される高純度酸素液を前記加圧装置(10)へ導入するための配管ライン(L712)を備えていてもよい。
【0020】
前記空気分離装置(B2)は、
前記酸素再凝縮(7)の一次側(下部)に酸素ミストセパレータ(75)を備えていてもよい。
前記配管ライン(L522)は、前記酸素蒸発器(5)で発生される酸素ガス(蒸気流)一部を、酸素ミストセパレータ(75)より下方に導入されるように設定されていてもよい。
前記空気分離装置(B2)は、
前記酸素再凝縮部(7)の底部(71)に貯留している高純度酸素液を導出し、前記第二酸素精留塔(52)(の前記酸素蒸発器(55)の上方)へ導入するための配管ライン(L711)と、
前記酸素再凝縮(7)の前記酸素ミストセパレータ(75)よりも上方から高純度酸素液を導出し、前記加圧装置(10)へ送るための配管ライン(L721)と、を備えていてもよい。
【0021】
前記空気分離装置(A1、A2、B1、B2)は、
流量測量器、圧力測定器、温度測定器、液レベル測定器などの各種計測器と、
制御弁、仕切弁などの各種弁と、
各要素間を連結する配管と、
ガスをサブクールするサブクーラと、
を有していてもよい。
【0022】
前記空気分離装置(A1、A2、B1、B2)は、
前記エキスパンダー(91)と前記コンプレッサー(92)とを有するエキスパンダーコンプレッサー(9)を備えていてもよい。エキスパンダー(91)で得られた動力の少なくとも一部をコンプレッサー(10)の動力に利用することで、エキスパンダー(91)で回収されうる動力を効率的に利用できる。
【0023】
(作用効果)
(1)液送ポンプなどによる不揮発性不純物が濃縮されている高純度酸素液を酸素蒸発器で不揮発性不純物を分離して蒸発させ、酸素再凝縮に送り再凝縮させることで、不揮発性不純物の含まない(実質的に含まない)高純度酸素液を取り出すことができる。需要ポイントの要求に応じた高純度酸素となるように不揮発性不純物を除去できる。
(2)高純度酸素精留塔から酸素再凝縮へ高純度酸素を送る際に、高純度酸素ガスに不純物を含む液が仮に随伴していたとしても、酸素ミストセパレータで遮断され、酸素再凝縮の底部に貯まる。底部から酸素蒸発器に配管ラインL711で戻される。そして、酸素ミストセパレータより上方から高純度酸素液を製品として取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態1の空気分離装置を示す図である。
図2】実施形態2の空気分離装置を示す図である。
図3】実施形態3の空気分離装置を示す図である。
図4】実施形態4の空気分離装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本開示のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本開示の一例を説明するものである。本開示は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本開示の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本開示の必須の構成であるとは限らない。上流や下流はガス流の流れ方向を基準にしている。
【0026】
(実施形態1)
実施形態1の空気分離装置A1について図1を用いて説明する。
空気分離装置A1は、高沸点成分が濃縮される第一窒素精留部21と、低沸点成分が濃縮される第二窒素精留部22とを有する窒素精留塔2と、高純度酸素精留塔5とを備える。高さ制限などの制約から第一窒素精留部21と第二窒素精留部22が分離され、第二窒素精留塔22の底部221に貯留する酸素富化液を第一窒素精留部21の塔頂213へ送るために液送ポンプ8を備える。
【0027】
空気分離装置A1は、原料空気を熱交換する主熱交換器1と、エキスパンダーコンプレッサー9と、酸素再凝縮部7を備える。
第一窒素精留部21は、主熱交換器1を通過した原料空気が導入される。本実施形態では、下部精留部へ導入される。原料空気配管ラインL1は、原料空気を主熱交換器1を通過させ第一窒素精留部21の下部精留部へ導入する。
第二窒素精留部22は、第一窒素精留部21の塔頂213から導出されるガス(蒸発ガス)が導入される。本実施形態では、精留部222の下方または底部221の気相へ導入される。配管ラインL213は、第一窒素精留部2)の塔頂213から導出されるガス(蒸発ガス)を第二窒素精留部22へ送る。
第一、第二凝縮器3、4は、第二窒素精留部22の塔頂223から導出されるガス(蒸発ガス)が導入されて凝縮(冷却)し、塔頂223へ戻す。本実施形態では、第一凝縮3よりも上方に第二凝縮4が配置されている。配管ラインL211aは、第一窒素精留部21の底部211から導出される富化酸素液を第二凝縮器4の冷熱に使用させるために送る。第二凝縮器4から第一凝縮器3へ冷熱を送る配管ラインも設けられている。
【0028】
エキスパンダーコンプレッサー9のエキスパンダー92は、第一凝縮器3の塔頂31から導出され、主熱交換器1の一部を通過した後でガスを膨張する。膨張させたガスは、主熱交換器1通過させて廃ガスとして処理される。廃ガス配管ラインL31は、第一凝縮器3の塔頂31から導出されるガスを、主熱交換器1の一部を通過させエキスパンダー92で膨張させた後に主熱交換器1を通過させて導出させる。
エキスパンダーコンプレッサー9のコンプレッサー91は、第二凝縮器4の塔頂41から導出されるガスを圧縮する。圧縮したガスは、主熱交換器1の一部を通過し第一窒素精留部21の底部211の気相へ導入される。リサイクル配管ラインL41は、第二凝縮器4の塔頂41から導出されるガスを、コンプレッサー91で圧縮させ主熱交換器1の一部を通過させ第一窒素精留部21へ導入する。
第二窒素精留部22の塔頂223から導出される富化窒素ガスは、窒素ガスラインL223を介して、主熱交換器1を通過させて導出される。
【0029】
高純度酸素精留塔5は、第一窒素精留部21の中間212から導出される酸素含有液(ガス状と液状を含む)が導入され、高純度酸素液を精留する。配管ラインL212は、第一窒素精留部21の中間212から酸素含有液を導出し、高純度酸素精留塔5の塔頂53へ導入する。
高純度酸素精留塔5の酸素精留部の下部に、酸素ガスの蒸気流を発生させるための酸素蒸発器55が設けられている。配管L211bは、第一窒素精留部21の底部211から富化酸素液を導出し、酸素蒸発器55の冷熱として使用した後、第二凝縮器4へ送り、冷熱として使用する。
酸素再凝縮部7は、酸素蒸発器55で発生される酸素ガス(蒸気流)一部が導入され、酸素ガスを凝縮(再液化)する。配管ラインL522は、酸素蒸発器55で発生した酸素ガス(蒸気流)一部を導出し、酸素再凝縮部7へ導入する。配管ラインL211bから分岐される配管ラインL211b1は、酸素蒸発器55で使用された後の富化酸素液を、酸素再凝縮7に送り冷熱として使用し、主熱交換器1よりも上流側の廃ガス配管ラインL31に合流する。
酸素蒸発器55で不揮発性不純物を分離した高純度酸素ガスが配管ラインL522を介して酸素再凝縮7に送られ、不揮発性不純物を含まない高純度酸素液として再凝縮させることができる。
配管ラインL53は、高純度酸素精留塔5の塔頂53からガスを導出し、主熱交換器1よりも上流側の廃ガス配管ラインL31に合流する。
【0030】
第一取出配管ラインL71は、酸素再凝縮部7の底部71で再液化された高純度酸素液を取り出す。第一取出配管ラインL71で取り出される高純度酸素液は、加圧装置で所定圧に加圧してから需要ポイントへ送られてもよい。第一取出配管ラインL71で取り出される高純度酸素液は、主熱交換器1を通過させて(蒸発させて)酸素ガスにしてから需要ポイントへ送られてもよい。
【0031】
(実施形態2)
実施形態2の空気分離装置A2について図2を用いて説明する。実施形態2の空気分離装置A2は、実施形態1の空気分離装置A1との違う構成として主に酸素ミストセパレータを備える。実施形態1と同様の構成は説明を省略あるいは簡単に説明する。
【0032】
酸素ミストセパレータ75は、酸素再凝縮7の一次側(下部)に設けられている。配管ラインL522は、酸素蒸発器55で発生される酸素ガス(蒸気流)一部を、酸素ミストセパレータ75より下方に導入される。
第二取出配管ラインL72は、酸素再凝縮部7の酸素ミストセパレータ75よりも上方から高純度酸素液を取り出す。配管ラインL711は、酸素再凝縮部7の底部71に貯留している高純度酸素液を導出し、高純度酸素精留塔5の酸素蒸発器55の上方へ導入する。第二取出配管ラインL72で取り出される高純度酸素液は、加圧装置で所定圧に加圧してから需要ポイントへ送られてもよい。第二取出配管ラインL72で取り出される高純度酸素液は、主熱交換器1を通過させて(蒸発させて)酸素ガスにしてから需要ポイントへ送られてもよい。
【0033】
酸素ミストセパレータ75は、例えば、水(適)分離器、ミストエリミネータ、規則充填物、不規則充填物などを使用できる。蒸気流の酸素ガスから液分および液分中の不純物を取り除く。酸素ミストセパレータ75の下方に蒸気流が導入され、蒸気流は上昇し酸素ミストセパレータ75を通過するときに、底部71の高濃度酸素液が蒸気流と共に上昇するが、この酸素ミストセパレータ75で遮断され、それより上にはいかない。
【0034】
(実施形態3)
実施形態3の空気分離装置B1について図3を用いて説明する。実施形態3の空気分離装置B1は、窒素精留塔200と、高沸点成分が濃縮される第一酸素精留部51と低沸点成分が濃縮される第二酸素精留部52を有する高純度酸素精留塔5とを備える。高さ制限などの制約から第一酸素精留部51と第二酸素精留部52が分離され、第一酸素精留部51の底部511に貯留する酸素富化液を第二酸素精留部52の塔頂523へ送るために液送ポンプ81を備える。
【0035】
空気分離装置B1は、原料空気を熱交換する主熱交換器1と、エキスパンダーコンプレッサー9と、酸素再凝縮部7を備える。
窒素精留塔200は、配管L1を介して、主熱交換器1を通過した原料空気が導入される。
窒素精留塔200の底部201から導出される富化酸素液は、配管ラインL201aを介して第二凝縮器4へ送られ、冷熱として使用される。また、第二凝縮器4から第一凝縮器3へ富化酸素液が送られる。
第一、第二凝縮器3、4は、窒素精留塔200の塔頂203から導出されるガス(蒸発ガス)が導入されて凝縮(冷却)し、塔頂203へ戻す。
エキスパンダーコンプレッサー9のエキスパンダー92は、廃ガス配管ラインL31を介して第一凝縮器3の塔頂31から導出され、主熱交換器1の一部を通過した後でガスを膨張する。膨張させたガスは、廃ガス配管ラインL31を介して主熱交換器1通過させて廃ガスとして処理される。
エキスパンダーコンプレッサー9のコンプレッサー91は、リサイクル配管ラインL41を介して第二凝縮器4の塔頂41から導出されるガスを圧縮する。圧縮したガスは、リサイクル配管ラインL41を介して主熱交換器1の一部を通過し窒素精留塔200の底部201の気相へ導入される。
窒素精留塔2の塔頂23から導出される富化窒素ガスは、窒素ガスラインL203を介して、主熱交換器1を通過させて導出される。
【0036】
第一酸素精留部51は、配管L202を介して、窒素精留塔200の中間202から酸素含有液(ガス状と液状を含む)がその塔頂513へ導入される。配管ラインL513は、第一酸素精留塔51の塔頂513から導出されるガスを主熱交換器1よりも上流側の廃ガス配管ラインL31に合流する。
第二酸素精留部52は、配管L511を介して、第一酸素精留部51の底部511から酸素富化液から導出されて液送ポンプ81を使用して導入される塔頂523を有する。配管ラインL523は、第二酸素精留部52の塔頂523からガスを第一酸素精留部51の底部511の気相へ送る。
配管ラインL201bは、窒素精留塔200の底部201から導出される富化酸素液を、冷熱として使用させるために酸素蒸発器55へ導入し、第二凝縮器4へ送る。配管ラインL201bから分岐する配管ラインL201b1は、酸素蒸発器55で使用された後の富化酸素液を、酸素再凝縮7に送り冷熱として使用した後で、主熱交換器1よりも上流側の廃ガス配管ラインL31に合流する。
第二酸素精留部52の酸素精留部の下部に、酸素ガスの蒸気流を発生させるための酸素蒸発器55が設けられる。
酸素再凝縮部7は、配管L522を介して、酸素蒸発器55で発生される酸素ガス(蒸気流)一部が導入され、酸素ガスを凝縮(再液化)する。
【0037】
加圧装置10は、配管L712を介して、酸素再凝縮部7の底部71から導出される高純度酸素液を加圧する。
第三取出配管L101は、加圧装置10の底部から、加圧された高純度酸素液を取り出す。第三取出配管ラインL101で取り出される高純度酸素液は、主熱交換器1を通過させて(蒸発させて)酸素ガスにしてから需要ポイントへ送られてもよい。
配管ラインL102は、加圧装置10から導出される酸素ガスを第二酸素精留部52の酸素蒸発器55より上方へ導入する。
【0038】
(実施形態4)
実施形態4の空気分離装置B2について図4を用いて説明する。実施形態4の空気分離装置B2は、実施形態3の空気分離装置B1との違う構成として主に酸素ミストセパレータを備える。実施形態3と同様の構成は説明を省略あるいは簡単に説明する。
【0039】
酸素ミストセパレータ75は、酸素再凝縮7の一次側(下部)に設けられている。配管ラインL522は、酸素蒸発器55で発生される酸素ガス(蒸気流)一部を、酸素ミストセパレータ75より下方に導入される。
配管ラインL721は、酸素再凝縮部7の酸素ミストセパレータ75よりも上方から高純度酸素液を取り出す。配管ラインL711は、酸素再凝縮部7の底部71に貯留している高純度酸素液を導出し、高純度酸素精留塔5の酸素蒸発器55の上方へ導入する。配管ラインL721で取り出される高純度酸素液は、加圧装置10に送られる。
加圧装置10は、高純度酸素液を所定圧に加圧する。第三取出配管L101は、加圧装置10の底部から、加圧された高純度酸素液を取り出す。第三取出配管ラインL101で取り出される高純度酸素液は、主熱交換器1を通過させて(蒸発させて)酸素ガスにしてから需要ポイントへ送られてもよい。
配管ラインL102は、加圧装置10から導出される酸素ガスを第二酸素精留部52の酸素蒸発器55より上方へ導入する。
【0040】
(実施形態1、図1の実施例)
原料空気が10.31barA、温度55℃、流量1050Nm/hで主熱交換器1の温端に供給され、-164.2℃まで冷却された後に窒素精留塔2の第一窒素精留部21に供給される。第二窒素精留部22の頂部223からは、窒素ガスが532Nm/h導出され、主熱交換器1で加温された後導出される。
第一窒素精留部21の底部211からは酸素を39%含む富化液が802Nm/h導出され、その内137Nm/hは第二窒素凝縮器4に供給され、その他の655Nm/hは、酸素蒸発器55でー175.4℃まで冷却された後、さらに、その内の644Nm/hは第二窒素凝縮器4に供給され、残りの11Nm/hは酸素再凝縮器7に冷媒として供給され、加温された後にエキスパンダー92(膨張タービン)から供給される廃ガスと混合された後に主熱交換器1で加温され、排出される。
第二窒素凝縮器4では、リサイクル空気が6.2barAで390Nm/h発生され、コンプレッサー91で10.2barAまで昇圧された後、主熱交換器1で冷却されてから第一窒素精留部21にリサイクルされる。
第一窒素凝縮器3では、さらに廃ガスが4.7barAで399Nm/h発生され、
主熱交換器1で-141℃まで加温された後エキスパンダー92(膨張タービン)で膨張と同時に冷却され、再度主熱交換器1で加温された後に排出される。
高純度酸素製造のために、第一窒素精留部21から酸素を18%含む酸素含有液が106Nm/h導出され、1.5barAに減圧された後に高純度酸素精留塔5の頂部53に供給される。頂部53からは廃ガスが97Nm/h導出され、エキスパンダー92(膨張タービン)から供給される廃ガスと混合された後に主熱交換器1で加温され、排出される。
高純度酸素精留塔5の酸素蒸発器55の上方(52)からは、酸素ガスが9Nm/h導出され、酸素再凝縮7で液化されて高純度酸素液が底部71に貯留する。
窒素精留塔2は上下2分割されており、中間に液送ポンプ8(還流液ポンプ)が配置される。本実施例では、窒素精留塔2の理論段数は68で、分割点を理論段数で中間の34の点とすると、液送ポンプ8で処理する還流液量は998Nm/hである。理論段数は、精留塔の最下点の段を1段目として、最上点を68段目とする。この場合、酸素含有液の導出点は理論段数15段目の点であり、この点に供給される還流液量は933Nm/hである。
液送ポンプ8から1ppb相当の金属不純物(不揮発性不純物)が還流液に混入した場合、酸素含有液の金属不純物量は、以下となる。
1[ppb] × 998[Nm/h] ÷ 933[Nm/h] = 1.07 [ppb ]
さらに酸素含有液は106Nm/h で高純度酸素精留塔5に導入されて、底部51では9Nm/h相当の酸素が濃縮される。酸素液としては、以下の金属不純物が含まれる。
1.07[ppb]×106[Nm/h]÷9[Nm/h]=12.6[ppb]
本実施形態1では、図1のように酸素ガスとして、高純度酸素精留塔5の底部51から導出するに際しては、金属不純物は不揮発性であるため、金属不純物は酸素ガス中に含まれることはなく、酸素再凝縮7で凝縮することによって、金属不純物を含まない高純度酸素液を得ることができる。
液体酸素は、ポンプや圧縮機を使用することなく、外部からの入熱で加圧することができるので、高純度酸素を供給するのに適している。この方法では、金属不純物は高純度酸素精留塔の下部に蓄積されるが、高純度酸素精留塔の底部には十分な空間があるので、酸素精留塔の運転期間にわたって蓄積しても、熱交換器内の酸素流路を閉塞するような問題になることはなく、または定期的に液体酸素をパージすることで不純物を排出することもできる。
【0041】
(実施形態2、図2の実施例)
酸素再凝縮7の下部にミストセパレータ75が配置されている。高純度酸素精留塔5の酸素蒸発器55の上方(52)からガスを導出する配管を設計する際、導出配管入り口付近に液滴が存在する可能性がある。この液滴は還流液として高純度酸素精留塔5に供給され、降下してきたものも含まれるし、高純度酸素精留塔5の底部に貯められた高純度酸素液(金属不純物含む)が酸素蒸発器55から供給される酸素ガスに同伴するように吹き上げられたものも含まれるので、不揮発性の不純物を含みうる。
したがって、このような液滴(微小飛沫)が導出される酸素ガスに同伴して酸素再凝縮7内に入りこまないように、液滴の物性と酸素ガス流速を考慮して十分な飛沫同伴防止高さに設定する。しかしながら、酸素再凝縮7からの高純度酸素液の導出や、酸素ガスの凝縮に伴って酸素再凝縮器7の内部が減圧することで、高純度酸素精留塔5と酸素再凝縮7の間で差圧が大きくなり(酸素再凝縮7の内圧>酸素精留塔5の内圧)、結果的に高速で酸素ガスが配管内に流れ、液滴が酸素再凝縮7の内部に運ばれる場合がありうる。ミストセパレータ75は、このように酸素再凝縮7の内部に運ばれた液滴を酸素ガスから分離することができ、酸素再凝縮7で液滴を含まない酸素ガスを凝縮させることができる。
【0042】
(実施形態3、図3の実施例)
高純度酸素精留塔5を上下2分割する。中間に液送ポンプ81(還流液ポンプ)が配置される。高純度酸素精留塔5の理論段数は59で、分割点を理論段数で中間の30の点とすると、液送ポンプ81で処理する還流液量は69Nm3/hである。液送ポンプ81から1ppb相当の金属不純物が還流液に混入した場合、高純度酸素精留塔5から導出され得る酸素液としては、以下の金属不純物を含む。
1[ppb]×69[Nm/h]÷9[Nm/h]=7.7[ppb]
実施形態3では、図3のように酸素ガスとして、第二酸素精留部52の底部521から導出するに際しては、金属不純物は不揮発性であるため、酸素蒸発器55で蒸発させた酸素ガス中には金属不純物が含まれることはなく、これを酸素再凝縮7に送り凝縮することによって、金属不純物を含まない高純度酸素液を得ることができる。
【0043】
(実施形態4、図4の実施例)
酸素再凝縮器7の下部にミストセパレータ75が配置されている。作用効果は実施形態2と同様である。
【0044】
(別実施形態)
特に明示していないが、各配管ラインに圧力調整装置、流量制御装置などが設置され、圧力調整または流量調整が行われていてもよい。
特に明示していないが、各ラインに制御弁、仕切弁などが設置されていてもよい。
特に明示していないが、各塔に圧力調整装置、温度測定装置などが設置され、圧力調整または温度調整が行われていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 主熱交換器
2 窒素精留塔
3 第一凝縮器
4 第二凝縮器
5 高純度酸素精留塔
55 酸素蒸発器
7 酸素再凝縮
8 液送ポンプ
9 エキスパンダーコンプレッサー
【要約】
【課題】高純度酸素液中の不揮発性不純物を低減あるいは除去する方法を提供する。
【解決手段】高純度酸素液中の不揮発性不純物を低減あるいは除去する方法は、高純度酸素液を製造する空気分離装置における高純度酸素精留塔から得られる高純度酸素液を蒸発させる酸素蒸発工程と、前記酸素徐発工程で蒸発された酸素ガスを再凝縮する酸素再凝縮工程と、を含む。前記方法は、前記酸素再凝縮工程で得られた凝縮液を取り出す高純度酸素液取出工程を含んでいてもよい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4