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  • 特許-積層セラミックキャパシタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201D
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020040248
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021013010
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0081138
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、タク ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン マン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ジン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ド ヘウン
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187289(JP,A)
【文献】特開平08-017675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0027656(US,A1)
【文献】特開2018-129499(JP,A)
【文献】特開2012-009813(JP,A)
【文献】特開2014-131006(JP,A)
【文献】特開2004-095685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで配置され、互いに点対称をなす第1及び第2内部電極を含む本体と、
前記誘電体層と直交する方向に本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1及び第2連結電極と、
前記誘電体層と直交する方向に本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第3及び第4連結電極と、
前記本体の両面に配置され、前記第1及び第2連結電極と連結される第1及び第2外部電極と、
前記第1及び第2外部電極と離隔し、前記第3及び第4連結電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、
前記第1内部電極は第3及び第4ビアホールを含み、第2内部電極は第1及び第2ビアホールを含み、
前記第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1及び第2連結電極の間隔または第3及び第4連結電極の間隔D1の割合(D1/D3)は1.9以上であり、
前記第1及び第2内部電極は長方形の形状であり、
前記第1及び第2連結電極は、前記第1内部電極の長手方向に並んで形成され、前記第3及び第4連結電極は、前記第2内部電極の長手方向に並んで形成される
積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1及び第2連結電極は、第2内部電極の第1及び第2ビアホールを貫通し、
前記第3及び第4連結電極は、第1内部電極の第3及び第4ビアホールを貫通する、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1及び第2連結電極の間隔または第3及び第4連結電極の間隔D1の割合(D1/D3)は5.0以下である、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1~第4連結電極のいずれかの直径D2の割合(D2/D3)は0.35以上である、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1~第4連結電極のいずれかの直径D2の割合(D2/D3)は0.6以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1及び第2内部電極はニッケルを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1~第4外部電極はニッケルを含む焼成電極である、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1~第4外部電極は中心線平均粗さ(Ra)が1nm~100nmの範囲内である、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記第1~第4外部電極は焼成電極上に順に積層された第1めっき層及び第2めっき層を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記第1~第4外部電極の厚さは1μm~10μmの範囲内である、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記本体は厚さが100μm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックキャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、MLCC(Multi Layer Ceramic Capacitor)を用いた電子機器の使用が急増している。特に、スマートフォン(Smart Phone)の場合は、5G時代が到来してキャパシタ(Capacitor)の数量が増加し、高容量化が必要となった。一方、技術的には、セット製品の小型化によってMLCC及びインダクタのような受動素子の実装面積が減少し、これにより、受動素子の小型化及び薄型化がさらに求められている状況である。したがって、積層セラミックキャパシタ及びインダクタをIC及びAPとパッケージ化するか、基板の内部に内蔵(Embedding)するか、またはAP下端部にLSCタイプで実装して実装自由度を高める方法が提示されている。
【0003】
上述の場合、単に実装面積の減少にとどまらず、基板内で発生するESLの減少にも効果が大きいため、厚さの薄い積層セラミックキャパシタ製品に対する需要が増加している実情である。
【0004】
このうち、ビア型(via type)キャパシタは、一般のMLCCとは異なり、貫通孔を用いた構造である。これは、上下部にカバー層が配置され、内部に容量を形成する活性層が配置された本体に貫通孔を形成した後、ビア電極を充填して電気的に連結する。
【0005】
かかるビア型(via type)キャパシタは、ビアの存在により、キャパシタのESL及びESRに影響を与えるだけでなく、容量が減少するなどの問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、相互インダクタンス相殺効果による等価直列インダクタンス(ESL)を改善させることができる積層セラミックキャパシタを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、内部ビア構造に比べて容量を向上させた積層セラミックキャパシタを提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、絶縁破壊電圧(BDV)を改善させた積層セラミックキャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで配置され、互いに点対称をなす第1及び第2内部電極を含む本体と、上記誘電体層と直交する方向に本体を貫通して上記第1内部電極と連結される第1及び第2連結電極と、上記誘電体層と直交する方向に本体を貫通して上記第2内部電極と連結される第3及び第4連結電極と、上記本体の両面に配置され、上記第1及び第2連結電極と連結される第1及び第2外部電極と、上記第1及び第2外部電極と離隔し、上記第3及び第4連結電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、上記第1及び第2内部電極は電極未形成領域を含む積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によると、積層セラミックキャパシタの容量を向上させることができる。
【0011】
本発明の他の実施形態によると、積層セラミックキャパシタの絶縁破壊電圧(BDV)を向上させることができる。
【0012】
本発明のさらに他の実施形態によると、相互インダクタンス相殺効果による等価直列インダクタンス(ESL)を改善させることができる積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0013】
但し、本発明の多様であり、有意義な利点及び効果は、上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3a図1のX及びY方向の断面図であり、第1内部電極の断面を観察した図である。
図3b図1のX及びY方向の断面図であり、第2内部電極の断面を観察した図である。
図4図1のS1方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0016】
そして、本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一の構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図面において、X方向は、第1方向、L方向または長さ方向、Y方向は、第2方向、W方向または幅方向、Z方向は、第3方向、T方向または厚さ方向と定義することができる。
【0018】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタについて詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ200は、誘電体層211、及び上記誘電体層211を間に挟んで配置され、互いに点対称をなす第1及び第2内部電極221、222を含む本体210と、上記誘電体層211と直交する方向に本体210を貫通して上記第1内部電極221と連結される第1及び第2連結電極231、234と、上記誘電体層211と直交する方向に本体210を貫通して上記第2内部電極222と連結される第3及び第4連結電極232、233と、上記本体210の両面に配置され、上記第1及び第2連結電極231、234と連結される第1及び第2外部電極241、244と、上記第1及び第2外部電極241、244と離隔し、上記第3及び第4連結電極232、233と連結される第3及び第4外部電極242、243と、を含むことができ、上記第1及び第2内部電極221、222は電極未形成領域221a、222aを含むことができる。
【0020】
本体210は、誘電体層211と内部電極221、222が交互に積層されている。上記本体210の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体210は、六面体形状や類似した形状からなることができる。上記本体210は、焼成過程において、上記本体210に含まれているセラミック粉末の収縮により、完全な直線の六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0021】
本体210は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面S1、S2、上記第1及び第2面S1、S2と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第3及び第4面S3、S4、上記第1及び第2面S1、S2と連結され、且つ上記第3及び第4面S3、S4と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第5及び第6面S5、S6を有することができる。このとき、上記第1、第2、第3及び第4面S1、S2、S3、S4のうちから選択された一面が実装面になることができる。
【0022】
本体を形成する複数の誘電体層は、焼成された状態であり、隣接する誘電体層の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層211を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末は、例えば、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶した(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを挙げることができる。上記誘電体層211を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0024】
本体210の最下部の内部電極の下部及び最上部の内部電極の上部には、所定の厚さの第1及び第2カバー部212、213が形成されることができる。このとき、第1及び第2カバー部212、213は、誘電体層211と同一の組成からなることができ、内部電極を含まない誘電体層を本体210の最上部の内部電極の上部と最下部の内部電極の下部にそれぞれ少なくとも一層以上積層して形成されることができる。
【0025】
本発明の一例において、第1カバー部212または第2カバー部213上に、必要に応じて識別部250を配置することもできる。上記識別部250は、上記第1カバー部212及び第2カバー部213のいずれか一つに形成され、明るさまたは色の差によって本体210の上下部を識別する機能を果たすことができる。上記識別部250は、一つのセラミックグリーンシートが焼成されるか、または複数のセラミックグリーンシートが積層された誘電体層であることができ、第1カバー部212または第2カバー部213内に含まれることができる。
【0026】
上記識別部250が上記第1または第2カバー部と明るさまたは色の差を有するようにする方法は、特に制限されない。上記識別部250は、本体に含まれるセラミック粒子とサイズが異なるセラミック粒子を用いて形成するか、またはセラミック成分にNi、Mn、Cr、Mg、Y、及びVのうち選択された一つ以上の金属の酸化物、BaSiOまたはCaSiOなどの成分を追加して形成することができ、レーザーでマーキングする方法などを用いることができるが、これに制限されるものではない。上記識別部が配置される場合、本体の上部及び下部を区別することができ、上述の貫通電極が突出する突出部の方向を確認することができるため、本発明による積層セラミックキャパシタを基板に実装する際に、固着力により優れた方向を選択して実装することができる。
【0027】
本発明の一例において、本体210の厚さは100μm以下であることができる。上記本体210の厚さは、第1面と第2面の間の垂直距離であることができ、下限は特に制限されるものではないが、例えば、5μm以上であってもよい。本体210の厚さが100μm以下になるよう製作することにより、基板内蔵用積層セラミックキャパシタ、及び/またはAP下端部にLSCタイプで実装することができる積層セラミックキャパシタに適用することができる。
【0028】
図3a及び図3bは第1内部電極421及び第2内部電極422の形状を示す断面図である。図3a及び図3bを参照すると、第1内部電極421及び第2内部電極422は、互いに点対称をなす形状を有することができる。上記内部電極421、422が点対称をなすとは、内部電極421、422の4ヶ所の角に仮想の線を引いたとき、内部電極421、422の中心点を基準に、第1内部電極421と第2内部電極422が対称をなすことを意味することができる。このように、第1内部電極421及び第2内部電極422が点対称をなす形状を有することにより、相互インダクタンス相殺効果が発生し、積層セラミックキャパシタの等価直列インダクタンス(ESL)を改善させることができる。
【0029】
一例において、内部電極は、長方形の第1及び第2内部電極421、422を含むことができる。このとき、第1内部電極421は、第3及び第4ビアホールを含むことができ、第2内部電極422は、第1及び第2ビアホールを含むことができる。上記ビアホールはそれぞれ、第1及び第2内部電極421、422を貫通する孔を意味し、第1及び第2内部電極421、422がそれぞれ異なる極性の外部電極にのみ連結できるようにする役割を果たすことができる。
【0030】
すなわち、第1及び第2連結電極431、434は第1及び第2ビアホールによって第2内部電極422と離隔し、第3及び第4連結電極432、433は第3及び第4ビアホールによって第1内部電極421と離隔する。上記第1及び第2連結電極431、434が上記第2内部電極422の第1及び第2ビアホールを貫通して配置されることにより、上記第1及び第2連結電極431、434は、上記第2内部電極422とは電気的に絶縁されることができる。また、上記第3及び第4連結電極432、433が上記第1内部電極421の第3及び第4ビアホールを貫通して配置されることにより、上記第3及び第4連結電極432、433は、上記第1内部電極422とは電気的に絶縁されることができる。
【0031】
第1及び第2内部電極が第1~第4連結電極によって第1~第4外部電極241、242、243、244とそれぞれ連結されるようにすることにより、誘電体層211を間に挟んで第1及び第2内部電極221、222が互いに重なる面積を最大限にすることができる。これにより、積層セラミックキャパシタ200のキャパシタ容量が大幅に増加することができる。
【0032】
第1及び第2内部電極221、222は、ニッケル(Ni)を最も多く含有することができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタ200は、第1連結電極231、第2連結電極234、第3連結電極232、及び第4連結電極233を含み、上記第1及び第2連結電極231、234は、第1及び第2外部電極241、244と電気的に連結され、上記第3及び第4連結電極232、233は、第3及び第4外部電極242、243と電気的に連結されることができる。
【0034】
上記のように、第1外部電極241と第2外部電極244を連結する連結電極、及び第3外部電極242と第4外部電極243を連結する連結電極がそれぞれ複数配置されることにより、外部電極と本体の固着力をより向上させることができる。
【0035】
図4は、第1及び第2連結電極431、434の間隔または第3及び第4連結電極432、433の間隔D1、第1~第4連結電極431、432、433、434の直径D2、及び第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3を示す図である。
【0036】
上記第1及び第2連結電極431、434の間隔または第3及び第4連結電極432、433の間隔D1は、各連結電極の中心を基準に測定した値であることができる。また、上記第1~第4連結電極431、432、433、434の直径D2は、各連結電極のいずれかの最大直径を意味することができる。そして、上記第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3は、各ビアホール間の最短距離を意味することができる。
【0037】
図4を参照すると、本実施形態の第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1及び第2連結電極431、434の間隔または第3及び第4連結電極432、433の間隔D1の割合(D1/D3)は、例えば、1.90以上、1.94以上、1.98以上、2.02以上、2.06以上、または2.08以上であることができる。第1ビアホールと第3ビアホールの間隔D3に対する第1及び第2ビアの間隔D1の割合(D1/D3)が上記範囲を満たす場合、等価直列インダクタンス(ESL)が減少し、特に上記割合が3.125以上の場合には、ESLの減少効果が最大限になることができる。
【0038】
本発明の他の実施形態において、上記割合(D1/D3)の上限は、5.0以下であることができる。上記割合(D1/D3)は、5.0以下、4.9以下、4.8以下、4.700以下、4.695以下、4.690以下、または4.688以下であることができるが、これに制限されるものではない。上記割合(D1/D3)が上記範囲を満たす場合、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0039】
本発明の他の実施形態において、第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1~第4連結電極431、432、433、434の直径D2の割合(D2/D3)は、0.375以上であることができる。上記割合(D2/D3)は、0.375以上、0.380以上、0.385以上、0.390以上、0.395以上、0.400以上、0.405以上、または0.410以上であることができるが、これに制限されるものではない。上記割合(D2/D3)が上述した範囲を満たす場合、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができ、特に、上記割合が0.41以上の場合には、ESL減少効果を最大限にすることができる。
【0040】
本発明の他の実施形態において、第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1~第4連結電極431、432、433、434の直径D2の割合(D2/D3)は、0.6以下であることができる。上記割合(D2/D3)は、0.60以下、0.58以下、0.56以下、0.54以下、または0.52以下であることができるが、これに制限されるものではない。上記割合(D2/D3)が上述した数値範囲を超えると、キャパシタの容量が減少することができる。
【0041】
下記表1は、第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1及び第2連結電極431、434の間隔または第3及び第4連結電極432、433の間隔D1の割合(D1/D3)によるESL特性を示す。下記表1は、長さが890μmであり、第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3が192μmであるプロトタイプキャパシタを製造し、上記プロトタイプキャパシタ100個の平均値を求めた。
【0042】
【表1】
【0043】
上記表1を参照すると、連結電極間の間隔が長くなるほどESL特性が改善されることを確認することができ、D1/D3が2.08のときにESLが大幅に減少し、3.125であるときにESL減少効果がさらに大きくなることを確認することができる。
【0044】
下記表2は、第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3に対する第1~第4連結電極431、432、433、434の直径D2の割合(D2/D3)によるESL特性を示す。下記表2は、長さが890μmであり、第1ビアホールと第3ビアホールの間隔または第2ビアホールと第4ビアホールの間隔D3が192μmであり、第1及び第2連結電極431、434の厚さ、または第3及び第4連結電極432、433の間隔が600μmであるプロトタイプキャパシタを製造し、上記プロトタイプキャパシタ100個の平均値を求めた。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表2を参照すると、連結電極の直径が長くなるほどESL特性が改善されることを確認することができ、D2/D3が0.375を超えるとESLが減少することを示す。また、 約0.416の場合にはESL減少効果がさらに大きくなることが確認できる。
【0047】
一例において、連結電極231、232、233、234は、ニッケル(Ni)を最も多く含有することができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記連結電極231、232、233、234を形成する方法は、特に制限されず、例えば、誘電体層211、第1内部電極221及び第2内部電極222が積層された積層体を形成し、その後、レーザードリル(Laser Drill)、穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを用いて本体210を第3方向(Z方向)に貫通し、上述の導電性ペーストを充填して第1及び第2連結電極231、232、233、234を形成することができる。
【0048】
一例において、第1及び第2内部電極221、222、ならびに第1及び第2貫通電極231、232、233、234は、同一の金属成分を含むことができる。上記同一の金属成分は、ニッケル(Ni)であることができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上であることができる。本発明による積層セラミックキャパシタの第1及び第2内部電極221、222、ならびに第1及び第2連結電極231、232、233、234が同一の金属成分を含む場合、焼成開始温度及び/または焼成収縮率を一致させることができるため、クラックやデラミネーションなどの発生を防止することができる。
【0049】
本発明の一実施形態において、連結電極231、232、233、234は、Z方向に突出していることができる。図2を参照すると、連結電極231は、本体210の第2面に突出していることができる。これは、連結電極を形成する過程で、焼成収縮などによって本体210の貫通孔の外部に連結電極が押し出されて発生する現象である。上記突出部のサイズに応じて、基板の内部または表面への実装時に電極の浮き上がりが発生して固着力が低下することがある。本発明の積層セラミックキャパシタは、外部電極を本体の第1面及び第2面の両方に形成することにより、突出部による固着力の低下を防止することができる。
【0050】
本発明の一実施形態によると、第1~第4外部電極241、242、243、244は、本体210の両面に配置されることができる。上記第1及び第2外部電極241、244は、本体210の第1面S1及び第2面S2にそれぞれ配置され、上述した第1連結電極231及び第2連結電極234によって電気的に連結されることができる。また、上記第3及び第4外部電極242、243は、上記第1及び第2外部電極241、244と離隔し、本体210の第1面S1及び第2面S2にそれぞれ配置されることができ、上述した第3連結電極232及び第4連結電極233によって電気的に連結されることができる。
【0051】
上記構造の積層セラミックキャパシタ200は、本体210の上面及び下面を連結する側面のマージン部を減少させることにより、第1及び第2内部電極221、222が形成される領域を増加させることで積層セラミックキャパシタ200のキャパシタ容量を大幅に向上させることができる。すなわち、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ200は、側面に外部電極が配置されていない電極構造を有し、内部電極が本体を貫通する連結電極によって外部電極と連結される構造を有するため、キャパシタの容量をさらに著しく向上させることができる。
【0052】
以下、図2を参照して、第1外部電極241を基準に、外部電極の構造について説明する。但し、これは、第2~第4外部電極242、243、244に同様に適用することができる。
【0053】
図2を参照すると、第1外部電極241は、第1焼成電極241aと、第1及び第2めっき層241b、241cと、を含むことができる。上記第1焼成電極241aは、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上の物質を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストを焼成して形成された焼成電極であることができる。上記第1焼成電極241aのように、外部電極を焼成電極として形成する場合には、本体と内部電極の同時焼成が可能となるという利点があり、本体と外部電極の間の固着強度をさらに向上させることができる。
【0054】
一例において、本発明の第1~第4外部電極241、242、243、244は、表面の中心線平均粗さ(Ra)が1nm~100nmの範囲内であってもよい。本明細書において、「中心線平均粗さ(Ra)」とは、仮想の中心線に対する距離の平均値を意味することができる。上記中心線平均粗さ(Ra)が1nm~100nmの範囲内である外部電極は、上述の範囲の表面粗さを有する外部電極を意味することができ、上述の範囲を満たす表面粗さを人為的に形成した外部電極を意味することができる。
【0055】
上記中心線平均粗さ(Ra)は、第1~第4外部電極241、242、243、244の表面上に形成されている粗さに対して仮想の中心線を想定し、上記粗さの仮想の中心線を基準にそれぞれの距離(例えば、r1、r2、r3・・・rn)を測定した後、下記式のように各距離の平均値を求めて算出された値から誘電体層の中心線平均粗さ(Ra)を算出することができる。
【0056】
【数1】
【0057】
上記範囲を満たす中心線平均粗さ(Ra)を有する外部電極は、物理的または化学的方法で表面改質(Surface modification)して形成することができる。上述の粗さを付与することができれば、表面改質方法は特に制限されず、例えば、酸性または塩基性溶液による表面処理または研磨剤を用いた物理的研磨などの方法を用いることができる。
【0058】
一般に、ニッケルなどを含む焼成電極は、焼成過程で表面に酸化層が形成されるため、めっき層を形成することが困難であり、形成されためっき層が簡単に剥離されるなどの問題点がある。しかし、本発明の一実施形態による外部電極が上述の範囲の中心線平均粗さ(Ra)を満たすように表面改質された場合には、酸化層が除去されるか、または所定の粗さを有する表面が形成されるため、外部電極とめっき層の密着力を強化することができ、めっき層の剥離を防止することができる。
【0059】
本発明の一実施形態による第1めっき層241bは、ニッケルを含むめっき層であることができ、第2めっき層241cは、銅またはスズを含むめっき層であることができる。上記第1めっき層241bは、ニッケルを含むことにより、第1焼成電極241aとの密着性を向上させることができる。また、上記第2めっき層241cが銅またはスズを含むことにより、導電性、めっき密着性、及び半田付け性に優れた外部電極を形成することができる。
【0060】
本発明の他の実施形態において、第1めっき層241bは、スズを含むめっき層であることができ、第2めっき層241cは、ニッケルを含むめっき層であることができる。上記第1めっき層241bは、スズを含むことにより、第1焼成電極241aとの密着性を向上させることができる。また、上記第2めっき層241cがニッケルを含むことにより、均一なめっき層を形成することができる。
【0061】
一例において、本発明の第1~第4外部電極241、242、243、244は、厚さが3μm~30μmの範囲内であってもよい。上記第1~第4外部電極241、242、243、244の厚さとは、上述の焼成電極、第1めっき層及び第2めっき層が積層された全体の厚さを意味することができ、本体から外部電極の表面に対する垂直距離を意味することができる。外部電極の厚さを上記範囲に調節することにより、表面実装用または基板内蔵用としての使用時に多くのスペースを占めることなく、優れた実装性を有することができる。
【0062】
本発明による積層セラミックキャパシタは、次のような方法で製造することができる。まず、誘電体層からなるセラミックグリーンシートの一面に所定の厚さに導電性金属を含むペーストを印刷したシートを積層した誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで配置される第1及び第2内部電極を含む本体を用意する。
【0063】
本体210の上下部には、内部電極が含まれていない誘電体層を積層することで、第1カバー部212及び第2カバー部213を形成することができる。このとき、必要に応じて、識別部250を形成することができる。
【0064】
上記カバー部を形成した後、レーザードリル(Laser Drill)や穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを用いて本体にビアHを形成する。その後、ビアHに導電性ペーストを塗布するか、またはめっきなどの方法を用いて導電性物質を充填し、第1~第4連結電極231、232、233、234を形成する。
【0065】
その後、本体210の一面に、第1及び第2連結電極231、234と連結される第1及び第2外部電極241、244と、第3及び第4連結電極232、233と連結される第3及び第4外部電極242、243とを形成する。
【0066】
具体的には、第1~第4外部電極を形成する段階は、上記本体上にニッケルを含む第1~第4焼成電極を形成する段階と、上記第1~第4焼成電極層上にそれぞれ第1めっき層を形成する段階と、上記第1めっき層上にそれぞれ第2めっき層を形成する段階と、を含んで行われる。
【0067】
焼成電極は、ニッケルを含む導電性ペーストを塗布し、これを焼成して形成されることができ、第1めっき層はニッケルを含み、電気的または化学的めっき法によって形成されることができる。第2めっき層は、銅またはスズを含み、電気的または化学的めっき法によって形成されることができる。
【0068】
焼成電極層を形成した後、仮焼及び焼成を行い、上記第1めっき層及び第2めっき層を形成して、図1に示された積層セラミックキャパシタを完成する。
【0069】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0070】
200 積層セラミックキャパシタ
210 本体
211、411 誘電体層
212、213 カバー部
250 識別部
221、222、421、422 内部電極
231、232、233、234、431、432、433、434 連結電極
241、242、243、244 外部電極
241a、242a、243a、244a 焼成電極
241b、242b、243b、244b 第1めっき層
241c、242c、243c、244c 第2めっき層
図1
図2
図3a
図3b
図4