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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】用紙排出装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/04 20060101AFI20231108BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231108BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231108BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20231108BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B65H31/04
G03G21/16 195
B41J29/00 A
B65H29/52
G03G15/00 460
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019021355
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020128281
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】本多 史幸
(72)【発明者】
【氏名】市来 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】原 創太
(72)【発明者】
【氏名】石倉 研一
(72)【発明者】
【氏名】飛田 和広
(72)【発明者】
【氏名】小川 祥世
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-334968(JP,A)
【文献】特開2005-298213(JP,A)
【文献】特開2017-071501(JP,A)
【文献】特開平03-182458(JP,A)
【文献】特開平05-338899(JP,A)
【文献】特開平11-165935(JP,A)
【文献】特開2002-087682(JP,A)
【文献】特開2010-58851(JP,A)
【文献】特開2010-224283(JP,A)
【文献】特開2007-176616(JP,A)
【文献】特開2010-38984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/04-31/18
B65H 29/52
B41J 29/00
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を排出する排出部と、
排出された用紙を順次積層された状態に収容する収容部と、
排出前の用紙を湾曲させながら前記排出部に案内する案内部と、
排出前の用紙を加熱する加熱部とを備え、
前記収容部が、前記排出部との間の、前記案内部による湾曲とは逆向きであって該案内部による湾曲よりも強く湾曲させながら収容する位置を少なくとも一部に含み、該収容部が、該収容部に収容された用紙の重みで該収容部へ用紙を多く収容するほど、前記排出部から離れる向きに平行移動するように調整されたばね部材で支持されていることを特徴とする用紙排出装置。
【請求項2】
前記収容部が、移動可能な距離範囲内の全ての位置において、前記案内部による湾曲とは逆向きであって該案内部による湾曲よりも強く湾曲させながら収容することを特徴とする請求項1に記載の用紙排出装置。
【請求項3】
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
画像が形成された用紙を排出する、請求項1または2に記載の用紙排出装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙排出装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に処理を施して排出する装置が知られている。例えば、用紙上に画像を形成する画像形成装置の場合、画像を形成した用紙が装置外に排出される。ここで、装置のコンパクト性や装置内の部材の配置等の制約から、用紙を湾曲させながら用紙排出口に案内する構造の装置が存在する。
【0003】
用紙を湾曲させながら用紙排出口に案内する構造の装置の場合、排出口から排出された用紙に排出時の湾曲を原因とするカールが残ったままとなるおそれがある。
【0004】
特許文献1には、装置上部に斜めに配置した排紙トレイを備え、排出されつつある用紙をその排紙トレイに押し当てることにより用紙を逆向きにカールさせ、これにより用紙のカールを解消させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-140245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
用紙排出時の湾曲に起因するカールの程度は、用紙の厚みや温湿度環境等によって大きく異なる。また、ユーザによって、あるいは排出された用紙の用途によって、カールを矯正する必要があるかどうかが異なり、あるいは矯正すべきカールの程度が異なる。
【0007】
本発明は、上記の排紙トレイ等の、排出された用紙を収容する収容部の位置や角度が固定された構造と比べ、カールの矯正に柔軟性を持たせた用紙排出装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1は、
用紙を排出する排出部と、
排出された用紙を順次積層された状態に収容する収容部と、
排出前の用紙を湾曲させながら前記排出部に案内する案内部と、
排出前の用紙を加熱する加熱部とを備え、
前記収容部が、前記排出部との間の、前記案内部による湾曲とは逆向きであって該案内部による湾曲よりも強く湾曲させながら収容する位置を少なくとも一部に含み、該収容部が、該収容部に収容された用紙の重みで該収容部へ用紙を多く収容するほど、前記排出部から離れる向きに平行移動するように調整されたばね部材で支持されていることを特徴とする用紙排出装置である。
【0016】
請求項は、前記収容部が、移動可能な距離範囲内の全ての位置において、前記案内部による湾曲とは逆向きであって該案内部による湾曲よりも強く湾曲させながら収容することを特徴とする請求項1に記載の用紙排出装置である。
【0021】
請求項は、
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
画像が形成された用紙を排出する、請求項1または2に記載の用紙排出装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0028】
請求項の用紙排出装置によれば、収容部の位置が固定されている場合と比べ、カールの矯正に関する柔軟性が高い。
【0029】
また、請求項1および請求項の用紙排出装置によれば、用紙の収容量に応じては位置が変化しない収容部の場合と比べ、収容部に収容された複数枚の用紙のカールの矯正の程度が均一化される。
【0033】
請求項の画像形成装置によれば、固定された構造の収容部を備えている場合と比べ、
カールの矯正に関する柔軟性が高い。

【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
図2】本発明の第2実施形態の用紙排出装置の模式図である。
図3】本発明の第3実施形態の用紙排出装置の模式図である。
図4】本発明の第4実施形態の用紙排出装置の模式図である。
図5】本発明の第5実施形態の用紙排出装置の模式図である。
図6】本発明の第6実施形態の用紙排出装置の模式図である。
図7】湾曲の強さの説明図である。
図8図7と同様、湾曲の強さの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。このプリンタには、本発明の第1実施形態としての用紙排出装置が含まれている。
【0037】
図1に示すプリンタ10は、いわゆる電子写真方式のモノクロプリンタであり、このプリンタ10とは別の装置、例えばパーソナルコンピュータ等で作成された、画像を表す画像信号が、不図示の信号ケーブル等を介してこのプリンタ10に入力される。プリンタ10には、このプリンタ10内の各構成要素の動きを制御する制御部11が備えられており、画像信号はこの制御部11に入力される。そして、プリンタ10では、この制御部11の制御の下で画像信号に基づく画像の形成が行われる。
【0038】
この制御部11は、プログラムを実行するCPUやメモリなどからなる情報処理装置としての機能を備えている。そして、このプリンタ10は、制御部11内での制御プログラムの実行により、画像形成のための動作が制御される。
【0039】
プリンタ10の下部には用紙トレイ21が備えられていて、用紙トレイ21には、用紙Pが積み重なった状態に収容されている。用紙トレイ21は、用紙Pの補給のために、引出し自在に構成されている。用紙トレイ21に収容される用紙Pのサイズはユーザによって変更される場合があり、複数の用紙トレイ21に異なるサイズや厚みの用紙Pが収容される場合もある。そして、実際に用紙トレイ21に収容されている用紙Pのサイズや厚みを制御部11が認識して各部の制御に用いる。図示は省略するが、このプリンタ10には、この認識のために必要となるセンサなどによる自動認識の機構、あるいはユーザの入力などによる認識の機構が組み込まれている。
【0040】
用紙トレイ21内の用紙Pは、ピックアップロール22およびさばきロール23により待機ロール24へと送られる。待機ロール24に到達した用紙Pは、搬送のタイミングが調整されてさらに搬送される。
【0041】
このプリンタ10には、矢印Aで示す向きに回転する円筒状の感光体12が備えられ、その感光体12の周囲に、帯電器13、露光器14、現像器15、転写器16、および感光体クリーナ17が配備されている。
【0042】
帯電器13は、感光体12の表面を帯電させ、露光器14は、制御部11から送られてくる画像信号に従って感光体12の表面を露光して静電潜像を形成する。静電潜像は現像器15により現像されてトナー像が形成される。このプリンタ10には、トナーが収容されたトナーボトル151が備えられており、現像器15によりトナーが消費されるとトナーボトル151から現像器15にトナーが補給される。
【0043】
ここで、上記の待機ロール24は、感光体12上のトナー像が、転写器16に対面した位置に達するタイミングに合わせてその位置に到達するように用紙Pを送り出す。そして、感光体12上に形成されたトナー像は、転写器16の作用を受け、その送り出されてきた用紙P上に転写される。これにより、用紙P上に未定着トナー像が形成される。
【0044】
未定着トナー像が形成された用紙Pは、さらに矢印B方向に進み、定着器18を通過する。この定着器18は、内部に熱源111を備えた加熱ロール110と、加熱ロール110に圧力を加える加圧ロール120とを有する。そして、定着器18を通過する用紙Pは、それらの加熱ロール110と加圧ロール120とに挟まれて加熱および加圧され、その結果、用紙P上には定着トナー像からなる画像が形成される。
【0045】
定着器18を通過した用紙Pは、シュート19に案内されながら矢印C方向に進み、さらに、排出器20によって排紙トレイ25の上に排出されてその排紙トレイ25に収容される。
【0046】
ここで、定着器18を通過した用紙Pは、シュート19に沿って湾曲した形状を強いられながら排出器20に向かう。このため、用紙Pの種類などによっては、その湾曲に起因したカールを持ったまま排紙トレイ25上に排出されることがある。このプリンタ10は、電子写真方式のプリンタであって定着器18を備えている。このため、用紙Pは加熱されてからシュート19によって湾曲し常温に戻りながら排紙トレイ25上に排出されて常温に戻る。このため、用紙Pにカールが残りやすい。
【0047】
そこで、このプリンタ10には、着脱式の第2の排紙トレイ30が備えられている。この着脱式の排紙トレイ30は、固定式の排紙トレイ25の上に載置するだけで安定する構造を有する。そして、この着脱式の排紙トレイ30は、固定式の排紙トレイ25の上に載置されると、固定式の排紙トレイ25に代わって、排出された用紙の収容を担うことになる。
【0048】
この着脱式の排紙トレイ30の、用紙Pを受ける面31は、斜めではあるものの、固定式の排紙トレイ25と比べるとかなり垂直に近づいている。また、この面31は、固定式の排紙トレイ25と比べ排出器20にかなり近づいている。このため、排出器20から排出された用紙Pは、着脱式の排紙トレイ30の面31に接触して湾曲しながら、その面31に沿って進む。用紙Pの、面31に接触したときの湾曲は、シュート19に接触して進むときの湾曲とは逆向きである。このため、用紙Pは、シュート19に起因するカールが矯正されて排紙トレイ30に収容される。ここで、上記の通り、用紙Pは定着器18で加熱されて冷却されながら排出される。熱せられているとカールが生じやすく、冷却されるとカールが矯正されにくくなる。そのため、排紙トレイ30では、シュート19による湾曲よりも強く湾曲させることが好ましい。湾曲の強さについての考察は後に譲る。
【0049】
ここで、定着器18は、本発明にいう加熱部の一例に相当する。また、排出器20は、本発明にいう排出部の一例に相当する。また、シュート19は、本発明にいう案内部の一例に相当する。さらに、固定式の排紙トレイ25と着脱式の排紙トレイ30とを合わせた構成が、本発明にいう収容部の一例に相当する。また、固定式の排紙トレイ25は、本発明にいう第1の収容部の一例に相当し、着脱式の排紙トレイ30は、本発明にいう第2の収容部の一例に相当する。
【0050】
この図1の構成によれば、用紙のカールを矯正する必要があるときは、着脱式の排紙トレイ30を使うことによりカールを矯正することができる。一方、カールが生じにくい用紙を使う場合、あるいはカールがあっても構わない場合などは、着脱式の排紙トレイ30を取り外しておくことができ、その場合の装置構成が簡素化される。この第1実施形態によれば、排紙トレイ30の着脱により排紙トレイが変更されるため、排紙トレイ25のみの装置と比べ、カールの矯正に関する柔軟性が高い。
【0051】
以下、第2実施形態以降の各実施形態の用紙排出装置について説明する。以下では、プリンタの全体についての説明は省略し、定着器から排紙トレイに至る用紙排出装置についてのみ、その概要を図示して説明する。以下に説明する各実施形態の用紙排出装置では、着脱式ではなく、排紙トレイは装置に取り付けられていることを想定している。ただし、図1の構成と組み合わせて、着脱式の構成としてもよい。
【0052】
図2は、本発明の第2実施形態の用紙排出装置の模式図である。
【0053】
定着器18を矢印C1の向きに通過した用紙は、シュート19に沿って湾曲しながら矢印C2の向きに進み、排出器20により排出される。排出された用紙は、排紙トレイ40に接して矢印C3の向きに湾曲しながら進み、さらに矢印C4の向きに進んで排紙トレイ40に収容される。
【0054】
この排紙トレイ40は、プリンタの筐体10Aに、下端部の回転軸401を中心にして回転可能に支持されている。また、プリンタの筐体10Aには、支持アーム41が備えられている。この支持アーム41もまた、プリンタの筐体10Aに、下端部の回転軸411を中心にして回転可能に支持されている。排紙トレイ40の側面には、2か所に突起402,403が設けられている。一方、支持アーム41には、その上端部に孔412が設けられている。排紙トレイ40が図2に実線で示す姿勢にあるときは、排紙トレイ40の側面の中央付近にある一方の突起402が支持アーム41の孔412に嵌まり込んでいる。これにより、排紙トレイ40は、実線で示した(A)の姿勢で安定的に支持される。
【0055】
また、この排紙トレイ40は、(B)の姿勢、および(C)の姿勢に角度を変えることができる。(B)の姿勢のときは、排紙トレイ40の側面の、上端に近い位置にある突起403が支持アーム41の孔412に嵌まり込んでいる。これにより、排紙トレイ40は、(B)の姿勢で安定的に支持される。排紙トレイ40を(C)の姿勢にするときは、排紙トレイ40から支持アーム41を取り外して排紙トレイ40をプリンタの筐体10Aの上に寝かせる。こうすることで、排紙トレイ40を(C)の姿勢とすることができる。
【0056】
このように、この図2に示す第2実施形態の場合、排紙トレイ40は、(A),(B),(C)の3つの姿勢に角度を調整することができる。(A)の姿勢は、用紙をシュート19での湾曲よりも強く湾曲させることで用紙のカールを強く矯正する場合に用いられる。(B)の姿勢にある排紙トレイ40は、用紙をシュート19での湾曲よりも弱く湾曲させる角度となっている。この(B)の姿勢は、用紙のカールの強い矯正は不要であるが、ある程度は矯正する必要があるときに用いられる。(C)の姿勢は、用紙のカールの矯正については考慮する必要がないときに使用される。
【0057】
なお、この第2実施形態の場合、排紙トレイ40の角度は、用紙のカールの矯正については考慮する必要がない角度まで広がっているが、排紙トレイ40の角度を、用紙のカールの矯正の強弱の範囲内に留めて、カールを常に矯正する構成としてもよい。
【0058】
図3は、本発明の第3実施形態の用紙排出装置の模式図である。
【0059】
定着器18を矢印C1の向きに通過した用紙は、シュート19に沿って湾曲しながら矢印C2の向きに進み、排出器20により排出される。排出された用紙は、排紙トレイ50に接して矢印C3の向きに湾曲しながら進み、さらに矢印C4の向きに進んで排紙トレイ50に収容される。
【0060】
この排紙トレイ50は、プリンタの筐体10Aに固定された支持台51の上に載っている。そして、この排紙トレイ50は、その両側がガイド板52で挟まれている。ガイド板52は、等間隔に形成された5つの孔521を有する。また、排紙トレイ50には、支持台51の上に置いたときのガイド板52の孔521と同じ高さ位置であって、孔521の2つ分の間隔を空けた位置に2つの穴(不図示)が設けられている。この排紙トレイ50を支持台51の上に置いてガイド板52の孔521と排紙トレイ50の穴の位置を合わせてその孔にピン522を差し込む。こうすることにより、排紙トレイ50が支持台51上に安定的に支持される。
【0061】
この排紙トレイ50は、(A)の位置、(B)の位置、および(C)に位置の3か所に移動可能である。ただし、どの位置に移動しても、この排紙トレイ50の用紙を受ける面501の角度は変化しない。この排紙トレイ50は、排出器20との距離を変えることによってカールの矯正の強弱を変えている。
【0062】
このように、この図3に示す第3実施形態の場合、排紙トレイ50は、(A),(B),(C)の3か所に位置を調整することができる。(A)の位置は、用紙をシュート19での湾曲よりも強く湾曲させることで用紙のカールを強く矯正する場合に用いられる。(B)の位置は、用紙をシュート19での湾曲よりも弱く湾曲させる位置であり、用紙のカールの強い矯正は不要であるが、ある程度は矯正する必要があるときに用いられる。(C)の位置は、用紙のカールの矯正については考慮する必要がないときに使用される。
【0063】
なお、上述の第2実施形態の場合と同様、この第3実施形態においても、排紙トレイ50の位置は、用紙のカールの矯正については考慮する必要がない位置まで広がっているが、排紙トレイ50の位置を、用紙のカールの矯正の強弱の範囲内に留めて、カールを常に矯正する構成としてもよい。
【0064】
図4は、本発明の第4実施形態の用紙排出装置の模式図である。
【0065】
定着器18を矢印C1の向きに通過した用紙は、シュート19に沿って湾曲しながら矢印C2の向きに進み、排出器20により排出される。排出された用紙は、排紙トレイ60に接して矢印C3の向きに湾曲しながら進み、さらに矢印C4の向きに進んで排紙トレイ60に収容される。
【0066】
この排紙トレイ60は、プリンタの筐体10Aに、下端部の回転軸601を中心にして回転可能に支持されている。また、この排紙トレイ60の上部はコイルバネ62を介してプリンタの筐体10Aに支持されている。この排紙トレイ60は、用紙をシュート19による湾曲よりも強く湾曲させる角度に設定されている。
【0067】
ここで、排紙トレイ60に、複数枚の用紙が順次に収容された場合を考える。その場合に、排紙トレイ60の位置や角度が固定のままだと、後の用紙ほど排出器20との間の距離が近づき、カールが強く矯正され、後の用紙が逆向きにカールするおそれがある。
【0068】
この図4に示す第4実施形態は、最初の1枚の用紙であっても排紙トレイ60に多数枚の用紙が収容された後の用紙であっても、カールの矯正の強さをほぼ一定に保つ工夫がなされている。すなわち、排紙トレイ60に用紙が溜まると、その重みでコイルバネ62が縮み、排紙トレイ60の角度が緩やかになる。これにより、角度が一定の場合と比べ、カールの矯正力が弱まる。コイルバネ62の強さは、排紙トレイ60に用紙が溜まって排出器20との間の距離が近づくことによりカールの矯正力が強まることと、排紙トレイ60の角度が緩やかになることによりカールの矯正力が弱まることとのバランスが取れる強さに調整されている。あるいは、排出器20から排出された用紙が、排紙トレイ60の用紙Pを受ける面に突き当たることでコイルバネ62が縮み、排紙トレイ60の角度が緩やかになる構成であっても良い。この場合、排紙トレイ60の角度が緩やかになるので、用紙の搬送不良を抑制することができる。
【0069】
この図4に示す第4実施形態では、排紙トレイ60の角度が調整される全範囲で、用紙をシュート19による湾曲よりも強く湾曲させて、用紙のカールを矯正している。
【0070】
図5は、本発明の第5実施形態の用紙排出装置の模式図である。
【0071】
定着器18を矢印C1の向きに通過した用紙は、シュート19に沿って湾曲しながら矢印C2の向きに進み、排出器20により排出される。排出された用紙は、排紙トレイ70に接して矢印C3の向きに湾曲しながら進み、さらに矢印C4の向きに進んで排紙トレイ70に収容される。
【0072】
この排紙トレイ70は、プリンタの筐体10Aに固定されている支持部材73にコイルバネ71,72を介して支持され、また、それらのコイルバネ71,72を伸縮させる方向にスライド自在に支持部材73の上に載っている。
【0073】
この図5に示す第5実施形態は、図4に示した第4実施形態の場合と同様、最初の1枚の用紙であっても排紙トレイ70に多数枚の用紙が収容された後の用紙であっても、カールの矯正の強さをほぼ一定に保つ工夫がなされている。すなわち、排紙トレイ70に用紙が溜まると、その重みでコイルバネ71,72が縮み、排紙トレイ70と排出器20との間の距離が離れる。これにより、排紙トレイ70の位置が固定の場合と比べ、カールの矯正力が弱まる。コイルバネ71,72の強さは、排紙トレイ70に用紙が溜まって1番上に重なった用紙と排出器20との間の距離が近づくことによりカールの矯正力が強まることと、排紙トレイ70が排出器20から離れることによりカールの矯正力が弱まることとのバランスが取れる強さに調整されている。あるいは、排出器20から排出された用紙が、排紙トレイ30の用紙Pを受ける面に突き当たることでコイルバネ71,72が縮み、排紙トレイ70と排出器20との間の距離が離れる構成であっても良い。この場合、排紙トレイ70と排出器20との距離が離れるので、用紙の搬送不良を抑制することができる。
【0074】
図4に示した第4実施形態と同様、この図5に示す第5実施形態でも、排紙トレイ60の位置が調整される全範囲で、用紙をシュート19による湾曲よりも強く湾曲させて、用紙のカールを矯正している。
【0075】
図6は、本発明の第6実施形態の用紙排出装置の模式図である。
【0076】
定着器18を矢印C1の向きに通過した用紙は、シュート19に沿って湾曲しながら矢印C2の向きに進み、排出器20により排出される。排出された用紙は、排紙トレイ80に接して矢印C3の向きに湾曲しながら進み、さらに矢印C4の向きに進んで排紙トレイ80に収容される。
【0077】
この排紙トレイ80は、排紙受け部801と台部802とを有し、排紙受け部801は台部802に回転軸803を中心に回転自在に支持されている。この排紙トレイ80は、排紙受け部801が、プリンタの筐体10Aに固定されている支持部材83にコイルバネ81,82を介して支持され、また、台部802が、それらのコイルバネ81,82を伸縮させる方向にスライド自在に支持部材83の上に載っている。
【0078】
この図6に示す第6実施形態は、図4図5に示した第4実施形態および第5実施形態の場合と同様、最初の1枚の用紙であっても排紙トレイ80に多数枚の用紙が収容された後の用紙であっても、カールの矯正の強さをほぼ一定に保つ工夫がなされている。すなわち、排紙トレイ80に用紙が溜まると、その重みでコイルバネ81,82が縮む。ここで、上側のコイルバネ81は下側のコイルバネ82よりもバネ力が弱いバネである。このため用紙の重みでコイルバネ81,82が縮むにあたっては、上側のコイルバネ81の方が下側のコイルバネ82よりも縮み方が激しい。したがって、排紙トレイ80に用紙が溜まると、その重みで排紙トレイ80と排出器20との間の距離が離れるとともに、排紙トレイ80の排紙受け部801が傾いてその角度が変わる。これにより、排紙トレイ80の位置や排紙受け部801の角度が固定の場合と比べ、カールの矯正力が弱まる。コイルバネ81,82の強さは、排紙トレイ80に用紙が溜まって1番上に重なった用紙と排出器20との間の距離が近づくことによりカールの矯正力が強まることと、排紙トレイ80が排出器20から離れることおよび排紙受け部801の角度が変わることによりカールの矯正力が弱まることとのバランスが取れる強さに調整されている。
【0079】
図4図5に示した第4実施形態および第5実施形態と同様、この図6に示す第6実施形態も、排紙トレイ80の位置や角度が調整される全範囲で、用紙をシュート19による湾曲よりも強く湾曲させて、用紙のカールを矯正している。
【0080】
なお、図4図6に示した各実施形態では、排紙トレイの角度や位置を、バネを使って調整している。ここで、排紙トレイの角度や位置を調整するにあたり、モータ等の駆動源からの駆動力で調整することも考えられる。駆動源からの駆動力で調整することを否定するものではないが、バネを使い、排紙された用紙の重みで調整する構成の方が、駆動源へ供給する電力等も不要であり、排紙トレイの角度や位置を簡易に調整することができる。
【0081】
次に、湾曲の強さについて考察する。
【0082】
図7は、湾曲の強さの説明図である。排紙トレイ90は、これまで説明してきた排紙トレイを代表させている。
【0083】
ここでは、湾曲の曲率が大きいほど、すなわち、湾曲の曲率半径が小さいほど、湾曲が強いと表現している。シュート19による湾曲の強さは、シュート19の、用紙を案内する側の面の、用紙案内方向の曲率で規定される。シュート19の用紙案内方向の曲率が、用紙案内方向の場所ごとに異なるときは、最大の曲率(最小の曲率半径)で定義される。
【0084】
排紙トレイ90側の湾曲は、排出器20から排出された用紙が排紙トレイ90に接することにより形成される円弧Sの曲率で定義される。この円弧Sは、以下のように定義することができる。
【0085】
ここでは、矢印Zで排出器20からの用紙排出位置および用紙排出方向を表している。排出器20の用紙排出位置を通り、用紙排出方向に対し直角に延びる線L1上に中心Oを持ち、矢印Zに接するとともに排紙トレイ90の用紙受け面91にも接する円R1を考える。この円R1の、排出器20から排紙トレイ90に至る円弧Sが、用紙の排紙トレイ90側の湾曲の強さを決めている。
【0086】
円R1と同じ寸法の円R2を考えて、その円R2が、シュート19の、用紙が接する側の面の、用紙が接する範囲の全長に亘って接することができれば、シュート19による湾曲の強さよりも排紙トレイ90による湾曲の強さの方が強いことになる。
【0087】
図8は、図7と同様、湾曲の強さの説明図である。
【0088】
この図8は、図7と比べたとき、シュート19の形状のみが異なっている。
【0089】
この図8の場合、円R1と同じ半径の円R2を考えたとき、このシュート19の、用紙が接する側の面には、その円R2では接することができない領域が存在する。この場合は、排紙トレイ90による湾曲の強さよりもシュート19による湾曲の強さの方が強いことになる。
【0090】
以上の通り、本発明の各実施形態は、収容部の位置や角度が固定されている場合と比べ、カールの矯正に関する柔軟性が高い用紙排出装置および画像形成装置となっている。
【符号の説明】
【0091】
10 プリンタ
10A プリンタの筐体
12 感光体
18 定着器
19 シュート
20 排出器
25 排紙トレイ
30 着脱式の排紙トレイ
31 排紙トレイの用紙を受ける面
40 排紙トレイ
401 回転軸
402,403 突起
41 支持アーム
411 回転軸
412 孔
50 排紙トレイ
501 排紙トレイの用紙を受ける面
51 支持台
52 ガイド板
521 孔
522 ピン
60 排紙トレイ
601 回転軸
62 コイルバネ
70 排紙トレイ
71,72 コイルバネ
73 支持部材
80 排紙トレイ
801 排紙受け部
802 台部
803 回転軸
81,82 コイルバネ
83 支持部材
90 排紙トレイ
91 排紙トレイの用紙受け面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8