(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】機器管理装置、機器管理システム、機器管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20231108BHJP
【FI】
G06Q10/30
(21)【出願番号】P 2019047569
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】波多野 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】柴村 純平
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-57069(JP,A)
【文献】国際公開第02/008979(WO,A1)
【文献】特開2010-257384(JP,A)
【文献】特開2012-243245(JP,A)
【文献】特開2012-64101(JP,A)
【文献】特開2018-106653(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109377004(CN,A)
【文献】高橋 智信,”RFタグを使用した固定資産などの棚卸・所在管理が可能な物品管理システム”,月刊自動認識,日本,日本工業出版株式会社,2009年09月10日,第22巻第11号,p.31-34,ISSN:0915-1060, 特に、第1図に関連するSmartAssetの構成,第3図に関連するSmartAssetの特徴の欄
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器との通信が可能な管理エリア内に存在する機器を管理する機器管理装置であって、
前記管理エリア内に存在する1以上の機器から、各機器に固有の情報である機器固有情報を受信する第1通信部と、
前記各機器の配置場所に紐付く情報である機器付属情報を記憶する記憶部と、
前記管理エリア内に新たに配置された機器が存在するか否かを判定し、前記新たに配置された機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新する制御部と、
前記機器固有情報及び前記機器付属情報をサーバに送信する第2通信部と、
を備え、
前記機器付属情報は、前記機器の配置エリアを示す名称
ごとに種別される、
前記機器のライフサイクルを示す情報を有することを特徴とする機器管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記管理エリア内から消失した機器が存在するか否かを判定し、前記消失した機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新することを特徴とする、請求項1に記載の機器管理装置。
【請求項3】
前記機器付属情報は、前記機器を一意に識別可能なタグ名を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の機器管理装置。
【請求項4】
前記タグ名は、前記機器の配置場所の座標に基づくことを特徴とする、請求項3に記載の機器管理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の機器管理装置と、
前記サーバと、を備え、
前記サーバは、1以上の前記機器管理装置から、前記機器固有情報及び前記機器付属情報を受信することを特徴とする機器管理システム。
【請求項6】
前記サーバは、ユーザ端末からの要求に応じて、前記機器固有情報及び前記機器付属情報のアクセスを許可することを特徴とする、請求項5に記載の機器管理システム。
【請求項7】
1以上の機器管理装置との通信が可能な1以上の管理エリア内に存在する機器の情報をサーバを用いて管理する機器管理方法であって、
前記機器管理装置により、前記管理エリア内に存在する1以上の機器から、各機器に固有の情報である機器固有情報を受信するステップと、
前記機器管理装置により、前記機器の配置場所に紐付く情報である機器付属情報の初期設定を記憶するステップと、
前記機器管理装置により、前記管理エリア内に新たに配置された機器が存在するか否かを判定し、前記新たに配置された機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新するステップと、
前記サーバにより、前記機器固有情報及び前記機器付属情報を受信するステップと、を含み、
前記機器付属情報は、前記機器の配置エリアを示す名称
ごとに種別される、
前記機器のライフサイクルを示す情報を有することを特徴とする機器管理方法。
【請求項8】
機器との通信が可能な管理エリア内に存在する機器を管理する機器管理装置として機能するコンピュータに、
前記管理エリア内に存在する1以上の機器から、各機器に固有の情報である機器固有情報を受信するステップと、
前記各機器の配置場所に紐付く情報である機器付属情報を記憶するステップと、
前記管理エリア内に新たに配置された機器が存在するか否かを判定し、前記新たに配置された機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新するステップと、
前記機器固有情報及び前記機器付属情報をサーバに送信するステップと、
を実行させ、
前記機器付属情報は、前記機器の配置エリアを示す名称
ごとに種別される、
前記機器のライフサイクルを示す情報を有することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器管理装置、機器管理システム、機器管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラントや工場などにおいて、設備の管理及び保全を支援するために、設備の情報を管理する設備保全管理システム(CMMS:Computerized Maintenance Management System)が導入されることがある。また、オフィスにおいても機器の固定資産を管理する固定資産情報管理システムが導入されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の管理システムでは、管理されている機器の情報を更新する際には、人が入力を行う必要があった。例えば、特許文献1に開示されたシステムでは、機器の配置場所などが変更されて固定資産情報を変更すべき場合には、サーバのキーボードで固定資産情報のうちの変更すべき情報を入力することによって、固定資産情報を変更することができる。しかしながら、人の操作に頼ると、入力ミスが発生するおそれや、情報更新を忘れるおそれがあるため、情報の信頼性が高いとはいえない。また、機器が多くなるほど、機器の情報更新や棚卸しの際の作業負荷が大きくなる。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、機器の情報更新を自動で行うことが可能な機器管理装置、機器管理システム、機器管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る機器管理装置は、機器との通信が可能な管理エリア内に存在する機器を管理する機器管理装置であって、前記管理エリア内に存在する1以上の機器から、各機器に固有の情報である機器固有情報を受信する第1通信部と、前記各機器の配置場所に紐付く情報である機器付属情報を記憶する記憶部と、前記管理エリア内に新たに配置された機器が存在するか否かを判定し、前記新たに配置された機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新する制御部と、前記機器固有情報及び前記機器付属情報をサーバに送信する第2通信部と、を備え、前記機器付属情報は、前記機器の配置エリアを示す名称ごとに種別される、前記機器のライフサイクルを示す情報を有する。
このような構成によれば、機器の情報の更新を自動で行うことができる。
また、機器のライフサイクルを示す状態を管理することができる。
【0007】
一実施形態において、前記制御部は、前記管理エリア内から消失した機器が存在するか否かを判定し、前記消失した機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新してもよい。
このような構成によれば、機器の移動等で機器が管理エリア内から消失した場合に、機器の情報の更新を自動で行うことができる。
【0009】
一実施形態において、前記機器付属情報は、前記機器を一意に識別可能なタグ名を有してもよい。
このような構成によれば、ユーザは機器を容易に識別することができる。
【0010】
一実施形態において、前記タグ名は、前記機器の配置場所の座標に基づいてもよい。
このような構成によれば、機器の配置変更や交換があった場合でも、最新の配置場所に基づいて機器を容易に識別することができる。
【0011】
幾つかの実施形態に係る機器管理システムは、上記の機器管理装置と、前記サーバと、を備え、前記サーバは、1以上の前記機器管理装置から、前記機器固有情報及び前記機器付属情報を受信する。
このような構成によれば、機器の情報の更新を自動で行い、サーバで一括管理することができる。
【0012】
一実施形態において、前記サーバは、ユーザ端末からの要求に応じて、前記機器固有情報及び前記機器付属情報のアクセスを許可してもよい。
このような構成によれば、ユーザは、サーバにアップロードされた情報を、ユーザ端末を用いて参照することができる。
【0013】
幾つかの実施形態に係る機器管理方法は、1以上の機器管理装置との通信が可能な1以上の管理エリア内に存在する機器の情報をサーバを用いて管理する機器管理方法であって、前記機器管理装置により、前記管理エリア内に存在する1以上の機器から、各機器に固有の情報である機器固有情報を受信するステップと、前記機器管理装置により、前記機器の配置場所に紐付く情報である機器付属情報の初期設定を記憶するステップと、前記機器管理装置により、前記管理エリア内に新たに配置された機器が存在するか否かを判定し、前記新たに配置された機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新するステップと、前記サーバにより、前記機器固有情報及び前記機器付属情報を受信するステップと、を含み、前記機器付属情報は、前記機器の配置エリアを示す名称ごとに種別される、前記機器のライフサイクルを示す情報を有する。
このような動作によれば、機器の情報の更新を自動で行うことができる。そして、機器の情報をサーバで一括管理することできる。
また、機器のライフサイクルを示す状態を管理することができる。
【0014】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、機器との通信が可能な管理エリア内に存在する機器を管理する機器管理装置として機能するコンピュータに、前記管理エリア内に存在する1以上の機器から、各機器に固有の情報である機器固有情報を受信するステップと、前記各機器の配置場所に紐付く情報である機器付属情報を記憶するステップと、前記管理エリア内に新たに配置された機器が存在するか否かを判定し、前記新たに配置された機器が存在すると判定した場合には、前記機器付属情報を更新するステップと、前記機器固有情報及び前記機器付属情報をサーバに送信するステップと、を実行させ、前記機器付属情報は、前記機器の配置エリアを示す名称ごとに種別される、前記機器のライフサイクルを示す情報を有する。
このようなプログラムによれば、機器の情報の更新を自動で行うことができる。
また、機器のライフサイクルを示す状態を管理することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る機器管理装置、機器管理システム、機器管理方法、及びプログラムによれば、機器の情報更新を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る機器管理システムの概要を示す図である。
【
図2】機器の運用状態の状態遷移の一例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る機器管理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る機器管理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】異なる管理エリア間を機器が移動した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、一実施形態に係る機器管理システムを示す図である。機器管理システム1は、機器管理装置10と、1以上の機器20と、サーバ30と、ユーザ端末40とを備える。機器管理装置10、サーバ30、及びユーザ端末40は、それぞれネットワーク50に接続される。
【0019】
図1の管理エリアは、機器管理装置10が機器20と通信可能な範囲を示しており、管理エリア内には1以上の機器20が存在する。
図1では、管理エリアA内に存在する機器管理装置10として機器管理装置10aを示し、管理エリアB内に存在する機器管理装置10として機器管理装置10bを示し、管理エリアC内に存在する機器管理装置10として機器管理装置10cを示している。また、管理エリアA内に存在する機器20として機器20a及び20bを示し、管理エリアB内に存在する機器20として機器20c及び20dを示し、管理エリアC内に存在する機器20として機器20eを示している。
【0020】
機器20は、機器固有情報を記憶する記憶部(例えば、チップ)を有する。ここで、機器固有情報とは、機器20に固有の情報であり、シリアルナンバー(製造番号)、製造業者名、機器IDなどである。例えば、機器20は、流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントの現場に設置される機器である。また、例えば、機器20が設置されるプラントとしては、石油の精製や化学製品の生産を行う工業プラントの他、ガス田や油田などの井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光や風力などの環境発電を管理制御するプラント、上下水やダムなどを管理制御するプラントなどが含まれる。
【0021】
また、機器20は通信機能を有する。各管理エリアに存在する機器20は、機器固有情報に機器付属情報を付加した機器情報を、同じ管理エリアに存在する機器管理装置10を経由してサーバ30にアップロードする。機器付属情報の詳細については後述する。
図1に示す例では、機器管理装置10aは機器20a及び20bの機器情報をネットワーク50を介してサーバ30に送信し、機器管理装置10bは機器20c及び20dの機器情報をネットワーク50を介してサーバ30に送信し、機器管理装置10cは機器20eの機器情報をネットワーク50を介してサーバ30に送信する。なお、機器管理装置10は1以上あればよく、機器20は1以上あればよい。
【0022】
サーバ30は、通信機能を有しており、ネットワーク50に接続される。そして、サーバ30は、ネットワーク50を介して、機器管理装置10及びユーザ端末40と通信する。サーバ30は、機器管理装置10と通信することで、全ての機器20について機器情報(機器固有情報及び機器付属情報)を収集し、一括管理する。そして、サーバ30は、収集した機器20の機器情報を、ユーザ端末40に送信する。
【0023】
サーバ30は、ユーザ端末40に対してオンデマンドで必要な情報を提供することで、設備保全管理システム(CMMS)として機能する。具体的には、ユーザ端末40がサーバ30に対してアクセスを試み、そのアクセスがサーバ30によって認証されると、ユーザ端末40はブラウザからサーバ30の持つ情報にアクセス可能となる。すなわち、サーバ30は、ユーザ端末40からの要求に応じて、機器固有情報及び前記機器付属情報のアクセスを許可する。これにより、ユーザはブラウザを機器20の管理台帳として使用することができる。
【0024】
ユーザ端末40は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末などの端末である。ユーザ端末40は、通信機能を有しており、ネットワーク50に接続される。そして、ユーザ端末40は、ネットワーク50を介して、サーバ30と通信する。
【0025】
ユーザはユーザ端末40を用いてサーバ30にアクセスすることにより、サーバ30にアップロードされた機器情報を参照することができる。例えば、ユーザは機器20のロケーション名及びタグ名により機器20を識別したり検索したりすることができ、機器20の運用状態の種別により、各機器20のライフサイクルを示す状態を管理することができる。
【0026】
機器管理装置10は、機器20との通信可能な範囲(エリア)に存在する、1以上の機器20から機器固有情報を受信し、該機器20に付属する機器付属情報を付加して、サーバ30に送信する。
【0027】
次に、機器付属情報について説明する。機器付属情報とは、機器20の配置場所に紐付く情報であり、ロケーション名、運用状態の種別、タグ名などである。
【0028】
機器付属情報に含まれるロケーション名は、機器20の配置エリアを示す名称である。配置エリアは管理エリアと同一であってもよいし、管理エリア内の所定のエリアであってもよい。例えば、ロケーション名は、機器20が配置される管理エリアの名称としてもよいし、管理エリア内に建物・設備が複数存在する場合には機器20が配置される建物・設備の名称としてもよい。
【0029】
機器付属情報に含まれる運用状態の種別について、
図2を参照して説明する。
図2は、運用状態の状態遷移の一例を示す図である。
図2では運用状態の種別を、機器20の配置場所に紐付く「納入」、「保管」、「設置」、及び「廃棄」の4つとしている。
【0030】
この状態遷移は、機器20のライフサイクルを示す状態を表したものである。各機器20は、納品場所に「納入」された後、一旦、倉庫に「保管」され、その後プラントや工場で稼働する場所に「設置」される。「設置」された機器20は、その後不要になれば再び倉庫に「保管」される。また、「設置」された機器20は、その後故障すると廃棄場所に「廃棄」される。また、不要となって倉庫に「保管」されている機器20は、調整等が行われて再度「設置」される場合もあるし、そのまま「廃棄」される場合もある。運用状態は一般的に、ロケーション名が倉庫であれば「保管」、ロケーション名が「プラント」であれば「設置」というように、ロケーション名ごとに種別される。すなわち、運用状態の種別は、ロケーション名に対応する運用状態を示す情報である。
【0031】
次に、機器付属情報に含まれるタグ名について説明する。機器20は機器固有情報によって識別可能であるが、機器固有情報は人間(機器のユーザー等)にとっては識別が容易な情報ではない。そこで、機器20の別名として、機器20を一意に識別可能であり、人間にとって識別容易な名称がタグ名として付される。例えば、タグ名は、機器20の種類(例えば、流量計や温度センサ等)に番号を付けたもので表すことがある。
【0032】
タグ名の他の例を、
図3を参照して説明する。
図3は、タグ名の一例を示す図であり、プラントP内に存在する20個の機器20を模式的に示している。プラントPは、機器管理装置10の管理エリア内に存在するプラントである。X及びYは、機器管理装置10の配置場所を原点とする、2次元直交座標系の座標軸である。X軸の下に記す1~5はX軸の座標値であり、Y軸の横に記す1~4はY軸の座標値である。図中に示す(1,1)、(2,1)・・・は、機器20の配置場所を座標で表したものであり、タグ名は、このような機器20の配置場所の座標に基づく名称であってもよい。
【0033】
図3では、機器20の配置場所を2次元直交座標で表したものをタグ名としているが、タグ名はこれに限られるものではない。例えば、タグ名として、座標にプラントPの名称などのロケーション名を加えてもよい。タグ名は機器20に対する別名であるが、配置場所に紐付けられた名称にすることにより、機器20の配置変更や交換後もタグ名は継承される。例えば、タグ名(4,2)の機器20が別の機器20’に交換された場合、機器20’のタグ名が(4,2)となる。なお、機器20の配置場所を一意に特定する必要が無い場合には、タグ名をヌルとする。一方、機器20をプラントに設置するような場合には、機器20の配置場所はあらかじめ定まっているため、タグ名が付される。
【0034】
図4は、機器管理装置10の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、機器管理装置10は、第1通信部11と、第2通信部12と、機器付属情報取得部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0035】
第1通信部11は、管理エリア内に存在する機器20と定期的に無線通信を行い、各機器20から機器固有情報を受信する。第1通信部11が受信した機器固有情報は、記憶部14に格納される。
【0036】
機器付属情報取得部13は、管理エリア内に存在する機器20の機器付属情報を取得するためのインターフェースであり、ユーザからの機器付属情報の入力を受け付ける。例えば、機器付属情報取得部13は、機器付属情報が格納されたファイルをユーザから取得する。機器付属情報取得部13が取得した機器付属情報は、記憶部14に格納される。なお、機器付属情報は機器の運用に応じて更新される情報であるため、機器付属情報取得部13が取得するのは機器付属情報の初期設定である。
【0037】
記憶部14は、半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される。記憶部14は、機器管理装置10が管理するエリア内の全ての機器20について、機器付属情報の初期設定、及び機器固有情報を記憶する。記憶部14は、更新後の機器付属情報を記憶してもよい。
【0038】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、機器管理装置10の動作を制御する。例えば、制御部15は、記憶部14に記憶された各構成ブロック(第1通信部11、第2通信部12、及び機器付属情報取得部13)の動作プログラムを読み出して実行することにより、各構成ブロックの動作を制御する。
【0039】
また、制御部15は、管理エリア内に新たに配置された機器20が存在するか否かを判定する。制御部15は、管理エリア内に新たに配置された機器20が存在すると判定した場合には、記憶部14から該機器20の機器付属情報を読み出し、機器付属情報を更新する。例えば、制御部15は、新たに配置された機器20の機器固有情報及び機器付属情報を記憶部14に追加する。そして、制御部15は、更新によって追加した、新たな機器20の機器固有情報に、該機器20の機器付属情報を付加した機器情報を、第2通信部12に出力する。
【0040】
また、制御部15は、管理エリア内から消失した機器20が存在するか否かを判定してもよい。制御部15は、管理エリア内管理エリア内から消失した機器20が存在すると判定した場合には、記憶部14から該機器20の機器付属情報を読み出し、機器付属情報を更新する。例えば、機器付属情報をヌルに変更して記憶部14に記憶する。そして、制御部15は、消失した機器20の機器固有情報に、該機器20の更新(変更)後の機器付属情報(例えば、ヌル)を付加した機器情報を、第2通信部12に出力する。なお、制御部15は、第1通信部11が定期的に受信する機器固有情報を確認することにより、管理エリア内に新たに配置された機器20が存在するか否か、及び管理エリア内から消失した機器20が存在するか否かを判定することができる。
【0041】
第2通信部12は、ネットワーク50を介してサーバ30と通信を行い、機器固有情報及び機器付属情報をサーバ30に送信する。上述したように、制御部15が機器付属情報を更新した場合には、第2通信部12は更新後の機器付属情報をサーバ30に送信する。
【0042】
タグ名を、上述したように機器20の配置場所の座標に基づく名称とする場合には、機器管理装置10は、機器20の配置場所を把握する。例えば、位置があらかじめ分かっている無線ノードを複数用意し、各無線ノードは各機器20から所定の信号を受信し、受信した信号の電波強度を機器管理装置10に送信する。第1通信部11は、該電波強度を取得し、制御部15に出力する。制御部15は、該電波強度に基づいて各無線ノードと各機器20との間の距離を推定することにより、各機器20の配置場所を把握する。無線ノードは少なくとも2つあれば、三辺測量により機器20の配置場所を検出可能である。他の方法として、機器管理装置10は、超音波やレーザを照射した際の反射をセンシングすることで位置を計測する位置計測センサを用いて、機器20の配置場所を把握してもよい。
【0043】
次に、機器管理装置10の動作について、
図5を参照して説明する。
図5は、機器管理装置10による機器管理方法の一例を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS101において、機器管理装置10は起動時に初期化処理を行い、処理をステップS102に進める。具体的には、機器付属情報取得部13はユーザから機器付属情報を取得し、記憶部14はこの機器付属情報を記憶して、初期設定を行う。以降、ステップS102からステップS108のループ処理が行われる。
【0045】
ステップS102において、機器管理装置10は管理エリア内に存在する機器20を検索し、処理をステップS103に進める。具体的には、第1通信部11は、管理エリア内に存在する全ての機器20と通信を行って機器固有情報を受信することにより、管理エリア内に存在する機器20を把握する。記憶部14はこの機器固有情報を記憶する。
【0046】
ステップS103において、機器管理装置10は管理エリア内に新たに配置された機器20(新たな機器20)が存在するか否かを判定し、新たな機器20が存在すると判定した場合には処理をステップS104に進め、新たな機器20が存在しないと判定した場合には処理をステップS105に進める。具体的には、ステップS102において第1通信部11が記憶部14に記憶されていない機器固有情報を受信した場合には、制御部15は新たな機器20が存在すると判定する。一方、ステップS102において第1通信部11が記憶部14に記憶されていない機器固有情報を受信しなかった場合には、制御部15は新たな機器20が存在しないと判定する。
【0047】
ステップS104において、機器管理装置10は管理エリア内に新たに配置された機器20の存続時間を計測し、処理をステップS105に進める。具体的には、ステップS103において制御部15が新たな機器20を検出すると、制御部15は存続時間の計測を開始する。新たな機器20の機器固有情報は、ステップS107において存続時間が規定時間を経過したと判定された後に、記憶部14に格納される。したがって、ループ処理を行ってステップS103において新たな機器20が存在すると判定される間、存続時間の計測が継続して行われる。
【0048】
ステップS105において、機器管理装置10は管理エリア内から消失した機器20が存在するか否かを判定し、消失した機器20が存在すると判定した場合には処理をステップS106に進め、消失した機器20が存在しないと判定した場合には処理をステップS107に進める。具体的には、ステップS102において第1通信部11が記憶部14に記憶されている機器固有情報を受信しなかった場合には、制御部15は消失した機器20が存在すると判定する。一方、ステップS102において第1通信部11が記憶部14に記憶されている機器固有情報を全て受信した場合には、制御部15は消失した機器20が存在しないと判定する。
【0049】
ステップS106において、機器管理装置10は管理エリア内から消失した機器20の消失時間の計測を開始し、処理をステップS107に進める。具体的には、ステップS105において制御部15が消失した機器20を検出すると、制御部15は消失時間の計測を開始する。消失した機器20の機器固有情報は、ステップS107において消失時間が規定時間を経過したと判定された後に、記憶部14から消去される。したがって、ループ処理を行ってステップS105において機器20が消失したと判定される間、消失時間の計測が継続して行われる。
【0050】
ステップS107において、機器管理装置10は存続時間又は消失時間が規定時間を経過したか否かを判定し、規定時間を経過したと判定した場合には処理をステップS108に進め、規定時間を経過していないと判定した場合には処理をステップS102に戻す。具体的には、制御部15はステップS104において計測した存続時間、又はステップS106において計測した消失時間が所定の規定時間を経過したか否かを判定する。
【0051】
具体的に、規定時間を経過していないと判定した場合に処理をステップS102に戻した後の処理を説明する。ステップS103において、前回の処理時に新たな機器20として存在を確認した機器20の機器固有情報が再度受信された場合、その機器20は存在し続けているため、ステップS104に進み、その機器20の存在時間の計測を継続する。つぎに、ステップS105において、前回の処理時に消失した機器20として確認した機器20の機器固有情報が再度受信されなかった場合、その機器20は消失し続けているため、ステップS106に進み、その機器20の消失時間の計測を継続する。そして、ステップS107において、計測した存続時間又は計測した消失時間が所定の規定時間を経過していない場合、再度ステップS102に戻り、同様の処理を繰り返し行い、ステップS107において、計測した存続時間又は計測した消失時間が所定の規定時間を経過していた場合、ステップS108へ進む。
【0052】
ステップS108において、機器管理装置10は機器情報を更新し、処理をステップS102に戻す。具体的には、制御部15は、新たな機器20を検出した場合には該機器20の機器付属情報を更新し、消失した機器20を検出した場合には該機器20の機器付属情報をヌルに変更して更新する。そして、第2通信部12は、新たな機器20の機器固有情報及び機器付属情報をサーバ30に送信する。例えば、制御部15は、新たな機器20を検出した場合には、ロケーション名を新たな機器20が存在する管理エリアの名称とし、新たな機器20がプラントに配置された場合には運用状態の種別を「設置」とし、タグ名を新たな機器20の配置場所の座標に基づく名称とする。
【0053】
例えば、プラントの大規模な改修が行われた場合には、機器管理装置10は、ステップS102からS108の間で行っているループ処理を中断して、ステップS101において、機器付属情報取得部13はユーザから改修後の機器付属情報を取得し、記憶部14はこの機器付属情報を記憶して、初期設定を行ってもよい。以降、ステップS102からステップS108のループ処理が行われる。
【0054】
図6は、機器20が異なる管理エリア間を移動した例を示す図である。ここでは、
図1に示した管理エリアA内の機器20bが管理エリアCに移動した例を示している。機器20bが管理エリアAから管理エリアCに移動すると、機器管理装置10aは機器20bの消失を検出し、機器管理装置10cは新たな機器20bを検出する。機器管理装置10a及び機器管理装置10cは、規定時間が経過すると、機器20bの機器情報が更新され、更新した機器情報がサーバ30に送信される。その結果、機器20bは管理エリアC内に存在するものとしてユーザに認識される。なお、機器管理装置10が管理エリアに新たに配置された機器20だけでなく、管理エリアから消失した機器20も検出することにより、機器20が管理エリア間を移動した場合に、サーバ30は、機器20の移動元及び移動先の管理エリアを把握することができる。
図6の例では、サーバ30は機器20bが管理エリアAから管理エリアCに移動したということを把握することができる。
【0055】
上述したように、機器管理装置10は、管理エリア内に存在する1以上の機器20から機器固有情報を受信する第1通信部11と、機器付属情報の初期設定を記憶する記憶部14と、管理エリア内に新たに配置された機器が存在するか否かを判定し、新たに配置された機器20が存在する場合には、機器付属情報を更新する制御部15と、機器固有情報及び機器付属情報をサーバ30に送信する第2通信部12と、を備える。
【0056】
かかる構成により、従来人手で行っていた機器の情報を、自動且つリアルタイムで更新することができるようになる。とくに、プラントのように多くの機器が設置される場合において情報更新を自動化することにより、ユーザの機器管理の負担を大幅に軽減することができる。そして、情報更新を自動化することで、人的ミスが無くなり正確な情報を維持することができるため、情報の信頼性が高く、保全計画の精度も向上する。さらに、全ての機器の所在が分かるので、棚卸作業を不要とすること、あるいは棚卸作業の回数を減らすことが可能となる。なお、情報更新にGPS情報を利用しない場合、機器が屋内に配置されている場合でも対応可能である。
【0057】
なお、機器管理装置10として機能させるために、コンピュータを用いることも可能である。そのようなコンピュータは、機器管理装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUやDSP(Digital Signal Processor)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0058】
また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0059】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、複数の構成ブロック又はステップを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロック又はステップを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 機器管理システム
10 機器管理装置
11 第1通信部
12 第2通信部
13 機器付属情報取得部
14 記憶部
15 制御部
20 機器
30 サーバ
40 ユーザ端末
50 ネットワーク