(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】配線基板および素子付配線基板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20231108BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20231108BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L21/60 311S
H05K3/34 501E
(21)【出願番号】P 2019068160
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】成田 祐治
(72)【発明者】
【氏名】古庄 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】榊 真史
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/073417(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/60
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板の一方の面側に形成され、パッド部を含む複数の配線を有する配線層と、
前記配線層を覆い、前記パッド部に対応する位置に開口部を有するカバー絶縁層と、
を備える配線基板であって、
前記配線基板は、素子を実装するための素子実装領域を有し、
前記配線は、前記パッド部として、前記素子実装領域の領域内に位置する内部パッド部を少なくとも有し、
前記開口部により露出した前記内部パッド部の面積は、2.0×10
-3mm
2以下であり、
前記配線層は、前記複数の配線として、配線Aおよび配線Bを有し、
前記配線Bにおける、前記開口部により露出した前記パッド部の総面積が、前記配線Aにおける前記総面積よりも大きく、
前記配線Aにおける前記総面積をS
Aとし、前記配線Bにおける前記総面積をS
Bとした場合に、前記S
Aに対する前記S
Bの割合(S
B/S
A)が、10
3以上、10
6以下である、配線基板であって、
前記配線Aおよび前記配線Bは、それぞれ、前記パッド部として、前記素子実装領域の領域外に位置する外部パッド部を
有する、配線基板。
【請求項2】
前記内部パッド部を有する前記複数の配線において、前記配線Aが前記総面積の最も小さい配線であり、前記配線Bが前記総面積の最も大きい配線である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記配線基板は、前記開口部により露出した前記内部パッド部上に、接続部をさらに有する、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記接続部が、無電解めっき部である、請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
支持基板と、
前記支持基板の一方の面側に形成され、パッド部を含む複数の配線を有する配線層と、
前記配線層を覆い、前記パッド部に対応する位置に開口部を有するカバー絶縁層と、
を備える配線基板であって、
前記配線基板は、素子を実装するための素子実装領域を有し、
前記配線は、前記パッド部として、前記素子実装領域の領域内に位置する内部パッド部を少なくとも有し、
前記開口部により露出した前記内部パッド部の面積は、2.0×10
-3mm
2以下であり、
前記配線層は、前記複数の配線として、配線Aおよび配線Bを有し、
前記配線Bにおける、前記開口部により露出した前記パッド部の総面積が、前記配線Aにおける前記総面積よりも大きく、
前記配線Aにおける前記総面積をS
Aとし、前記配線Bにおける前記総面積をS
Bとした場合に、前記S
Aに対する前記S
Bの割合(S
B/S
A)が、10
3以上、10
6以下である、配線基板であって、
前記配線基板は、前記開口部により露出した前記内部パッド部上に、接続部をさらに有し、
前記支持基板の前記配線層側の面を基準として、前記配線Aの前記接続部の頂点までの高さh
Aとし、前記配線Bの前記接続部の頂点までの高さh
Bとした場合に、前記h
Aおよび前記h
Bの差(Δh)が、1.5μm以下である、配線板。
【請求項6】
前記内部パッド部を有する前記複数の配線において、前記配線Aが前記総面積の最も小さい配線であり、前記配線Bが前記総面積の最も大きい配線である、請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記配線Aおよび前記配線Bは、それぞれ、前記パッド部として、前記素子実装領域の領域外に位置する外部パッド部を有する、請求項5または請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記接続部が、無電解めっき部である、請求項5から請求項7までのいずれかの請求項に記載の配線基板。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の配線基板と、
前記素子実装領域に実装された素子と、
を有する、素子付配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板および素子付配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の素子を実装するための配線基板が知られている。配線基板の電極パッドと、素子の電極パッドとは、例えば、UBM(Under Bump Metal)、はんだバンプ等の接続部を介して電気的に接続される。
【0003】
例えば、特許文献1には、配線パターンと、複数のパッド電極と、パッド電極上に形成された導電膜と、導電膜上に形成されたバンプとを有する実装基板が開示されている。また、配線基板ではなく、半導体装置(半導体チップ)に関する技術であるものの、特許文献2には、光起電力を生じ得る半導体装置に無電解メッキ処理を施して電極を形成する半導体装置の電極の製造方法であって、光起電力を取り除いた状態で、無電解メッキ処理を施す、半導体装置の電極の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-111419号公報
【文献】特開2000-150422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配線基板は、素子が実装される領域に、複数の電極パッドを有する。複数の電極パッドには、それぞれ接続部が形成されるが、それらの高さのバラつきが大きいと、実装される素子が傾き、実装不良が生じる。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、接続部の高さのバラつきを小さくすることが可能な配線基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示においては、支持基板と、上記支持基板の一方の面側に形成され、パッド部を含む複数の配線を有する配線層と、上記配線層を覆い、上記パッド部に対応する位置に開口部を有するカバー絶縁層と、を備える配線基板であって、上記配線基板は、素子を実装するための素子実装領域を有し、上記配線は、上記パッド部として、上記素子実装領域の領域内に位置する内部パッド部を少なくとも有し、上記開口部により露出した上記内部パッド部の面積は、2.0×10-3mm2以下であり、上記配線層は、上記複数の配線として、配線Aおよび配線Bを有し、上記配線Bにおける、上記開口部により露出した上記パッド部の総面積が、上記配線Aにおける上記総面積よりも大きく、上記配線Aにおける上記総面積をSAとし、上記配線Bにおける上記総面積をSBとした場合に、上記SAに対する上記SBの割合(SB/SA)が、103以上、106以下である、配線基板を提供する。
【0008】
本開示によれば、SB/SAが所定の範囲にあることから、接続部の高さのバラつきを小さくすることが可能な配線基板とすることができる。
【0009】
上記開示では、上記内部パッド部を有する上記複数の配線において、上記配線Aが上記総面積の最も小さい配線であり、上記配線Bが上記総面積の最も大きい配線であってもよい。
【0010】
上記開示では、上記配線Aおよび上記配線Bは、それぞれ、上記パッド部として、上記素子実装領域の領域外に位置する外部パッド部を有していてもよい。
【0011】
上記開示では、上記配線基板は、上記開口部により露出した上記内部パッド部上に、接続部をさらに有していてもよい。
【0012】
上記開示では、上記接続部が、無電解めっき部であってもよい。
【0013】
上記開示では、上記支持基板の上記配線層側の面を基準として、上記配線Aの上記接続部の頂点までの高さhAとし、上記配線Bの上記接続部の頂点までの高さhBとした場合に、上記hAおよび上記hBの差(Δh)が、1.5μm以下であってもよい。
【0014】
また、本開示においては、上述した配線基板と、上記素子実装領域に実装された素子と、を有する、素子付配線基板を提供する。
【0015】
本開示によれば、上述した配線基板を用いることにより、実装された素子に傾きが生じることが抑制された素子付配線基板とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示における配線基板は、接続部の高さのバラつきを小さくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示における配線基板および素子付配線基板を説明する模式図である。
【
図2】本開示における課題を説明する概略断面図である。
【
図3】本開示における配線基板を例示する概略断面図である。
【
図4】本開示における配線基板を例示する概略断面図である。
【
図5】本開示における配線基板を例示する概略断面図である。
【
図6】本開示における配線基板を例示する概略断面図である。
【
図7】本開示における配線基板を例示する概略断面図である。
【
図8】本開示における接続部を例示する概略断面図である。
【
図9】本開示における素子付配線基板を例示する概略断面図である。
【
図10】実験例1~3を説明する概略平面図である。
【
図11】実験例1~3で得られた配線基板における、S
B/S
AおよびΔhの関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
下記に、図面等を参照しながら本開示における実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示における解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0019】
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。同様に、本明細書において、「ある部材の面側に」と表記する場合、特段の断りのない限りは、ある部材の面に接するように直接、他の部材を配置する場合と、ある部材の面に別の部材の介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
【0020】
A.配線基板
図1は、本開示における配線基板および素子付配線基板を説明する模式図である。
図1(a)は本開示における配線基板を例示する概略断面図であり、
図1(b)は
図1(a)のA-A線断面図である。
図1(c)は本開示における素子付配線基板を例示する概略断面図であり、
図1(d)は
図1(c)のA-A線断面図である。
【0021】
図1(a)、(b)に示される配線基板10は、支持基板1と、層間絶縁層2と、配線層3とを、この順に有する。さらに、配線層3を覆うカバー絶縁層4には開口部Xが設けられており、開口部Xにより露出した配線層3に、接続部5(配線基板側接続部5)が形成されている。一方、
図1(c)、(d)に示される素子付配線基板30は、配線基板10と、素子側接続部25を有する素子20とを備える。
図1(c)、(d)では、配線基板側接続部5および素子側接続部25が接触することにより、配線基板10および素子20が電気的に接続されている。
【0022】
図1(b)では、配線基板10の素子20が実装される領域に、複数の接続部5が形成されているが、複数の接続部5の高さのバラつきが大きいと、実装される素子が傾き、実装不良が生じる。例えば
図2では、中央に位置する接続部5の高さが、左右の接続部5の高さよりも大きいため、素子20が傾き、実装不良が生じる。なお、後述するように、接続部の高さ(厚さ)にバラつきが生じるという課題は、比較的大きな配線基板が、微小な電極パッド(パッド部)を有する場合、より具体的には、カバー絶縁層の開口部により露出したパッド部の総面積が配線によって大きく異なる場合に特有の課題であり、従来知られていない課題である。
【0023】
本開示においては、カバー絶縁層の開口部により露出したパッド部の総面積を、複数の配線において所定の範囲に調整することで、接続部の高さのバラつきを小さくすることができる。
図3および
図4を用いて、本開示における配線基板をさらに詳細に説明する。
図3は、本開示における配線基板を例示する概略断面図である。
図3に示される配線基板10は、支持基板1と、支持基板1の一方の面側に形成され、複数の配線A、Bを有する配線層3と、を備える。配線Aは、パッド部P
A1と、パッド部P
A2と、パッド部P
A1およびパッド部P
A2を電気的に接続するリード部L
Aとを有する。配線Bは、パッド部P
B1と、パッド部P
B2と、パッド部P
B1およびパッド部P
B2を電気的に接続するリード部L
Bとを有する。さらに、配線基板10は、配線層3を覆い、パッド部(P
A1、P
A2、P
B1、P
B2)に対応する位置に開口部Xを有するカバー絶縁層4を備える。なお、
図3に示される配線基板10は、支持基板1および配線層3の間に、層間絶縁層2を備えているが、例えば支持基板1の絶縁性が高い場合、配線基板10は、支持基板1および配線層3の間に、層間絶縁層2を備えていなくてもよい。
【0024】
また、
図3に示される配線基板10は、素子(図示せず)を実装するための素子実装領域Mを有する。配線Aにおけるパッド部P
A1、および、配線Bにおけるパッド部P
B1は、素子実装領域Mの領域内に位置する内部パッド部に該当する。一方、配線Aにおけるパッド部P
A2、および、配線Bにおけるパッド部P
B2は、素子実装領域Mの領域外に位置する外部パッド部に該当する。また、配線層Aにおいて開口部Xにより露出したパッド部(P
A1、P
A2)の総面積をS
Aとし、配線層Bにおいて開口部Xにより露出したパッド部(P
B1、P
B2)の総面積をS
Bとする。本開示においては、S
Aに対するS
Bの割合(S
B/S
A)が所定の範囲にあることを一つの特徴とする。
【0025】
本開示によれば、S
B/S
Aが所定の範囲にあることから、接続部の高さのバラつきを小さくすることが可能な配線基板とすることができる。具体的には、
図4に例示するように、開口部Xにより露出した内部パッド部(P
A1、P
B1)上に接続部5を形成した場合に、接続部5の高さのバラつき(Δh)を小さくすることができる。なお、接続部の高さのバラつきが小さいことは、接続部の高さの均一性(コプラナリティ)が高いことと同義である。
【0026】
上述したように、接続部の高さ(厚さ)にバラつきが生じるという課題は、比較的大きな配線基板が、微小な電極パッド(パッド部)を有する場合に特有の課題である。比較的大きな配線基板では、例えばグランド用のパッド部の面積を大きく取ることが可能であるため、グランド用のパッド部の総面積(厳密には、開口部により露出したパッド部の総面積)が相対的に大きい。これに対して、グランド用のパッド部を有しない配線は、パッド部の総面積が相対的に小さい。このように、比較的大きな配線基板では、パッド部の総面積が、配線によって大きく異なりやすい。特に、微小なパッド部を有する配線が存在する場合、配線によって、パッド部の総面積の違いが顕著になる。
【0027】
一方、電子機器の小型化、高性能化に伴い、配線パターンの高密度化が生じている。そのため、接続部の形成方法として、給電用の配線パターンを必要としない無電解めっき法が採用される場合がある。本発明者等は、無電解めっき法を用いた場合に、パッド部の総面積の違いによって、接続部の高さ(厚さ)にバラつきが生じるという新たな課題を知見した。そこで、開口部により露出したパッド部の総面積の比率を所定の範囲にすることで、接続部の高さ(厚さ)のバラつきを小さくすることができた。
【0028】
接続部の高さ(厚さ)にバラつきが生じる理由は、以下のように推測される。配線は、電気的にC(静電容量)成分を有するが、パッド部の表面における化学反応により電荷Qが発生し、それにより配線に電位Vが発生する(V=Q/C)。電荷Qは、開口部により露出したパッド部の総面積Sに比例することから、総面積Sが大きいと、電位Vも大きくなる。電位Vが大きいと、平衡状態になるまでに多くの金属イオン(例えばNiイオン)が析出するため、接続部が高く(厚く)なると推測される。
【0029】
特許文献1には、半導体チップのパッド電極上に、バンプの下地となる導電膜を無電解めっき法により形成する場合に、形成される導電膜の膜厚にバラつきが生じることが記載されている。同様に、特許文献2には、半導体素子に対して、無電解めっき法を用いて、下地電極等を形成しようとすると、核となる金属の表面に析出する析出金属の厚みあるいは高さにバラつきを生じることが記載されている。しかしながら、この記載は、半導体チップ等の微小な素子に関する記載であり、素子を実装する配線基板に関する記載ではない。むしろ、特許文献2には、無電解めっき法を用いる場合でも、半導体パッケージ用のリードフレーム等においては、析出金属のめっき厚さのバラつきが特に問題となることはなかったことが明記されている。そのため、これらの記載を考慮しても、本開示における課題は、従来知られていない課題であるといえる。
【0030】
1.配線基板の構成
本開示における配線基板は、素子を実装するための素子実装領域を有する。素子実装領域とは、平面視上、素子と重複する配線基板の領域であって、素子が実装される側の領域をいう。なお、平面視上、素子と重複する配線基板の領域であっても、素子が実装される側とは反対側(支持基板を基準として配線層とは反対側)の領域は、素子実装領域には該当しない。素子実装領域の面積は、例えば、4.0×10-3mm2以上、2500mm2以下である。
【0031】
配線層は、複数の配線を有する。さらに、各配線は、通常、複数のパッド部を有する。配線は、パッド部として、素子実装領域の領域内に位置する内部パッド部を少なくとも有する。例えば、
図3におけるパッド部P
A1およびパッド部P
B1は、内部パッド部に該当する。内部パッド部の数は、特に限定されないが、通常、2個以上であり、4個以上であってもよく、6個以上であってもよく、8個以上であってもよく、15個以上であってもよい。一方、内部パッド部の数は、例えば10
6個以下である。内部パッド部の数は、例えば2個以上10
6個以下であり、4個以上10
6個以下であってもよく、6個以上10
6個以下であってもよく、8個以上10
6個以下であってもよく、15個以上10
6個以下であってもよい。
【0032】
本開示においては、開口部により露出した内部パッド部の面積が小さい。開口部により露出した内部パッド部の面積は、通常、2.0×10-3mm2以下である。上記面積は、1.26×10-3mm2以下であってもよく、0.71×10-3mm2以下であってもよく、0.31×10-3mm2以下であってもよい。一方、上記面積は、例えば2.0×10-5mm2以上である。上記面積は、例えば2.0×10-5mm2以上2.0×10-3mm2以下であり、2.0×10-5mm2以上1.26×10-3mm2以下であってもよく、2.0×10-5mm2以上0.71×10-3mm2以下であってもよく、2.0×10-5mm2以上0.31×10-3mm2以下であってもよい。
【0033】
開口部により露出した内部パッド部の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、円、矩形が挙げられる。開口部により露出した内部パッド部の平面視形状が円である場合、2.0×10-3mm2は、直径が50μmである内部パッド部の面積に該当する。上記直径は、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。一方、上記直径は、例えば5μm以上である。上記直径は、例えば5μm以上50μm以下であり、5μm以上40μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよい。
【0034】
配線層は、配線Aおよび配線Bを少なくとも有する。配線Bは、開口部により露出したパッド部の総面積が配線Aよりも大きい。例えば
図3では、配線Aは、パッド部P
A1およびパッド部P
A2を有する。そのため、開口部により露出したパッド部P
A1およびパッド部P
A2の面積の合計が、総面積になる。また、パッド部の面積とは、接続部が形成される部分の面積をいう。そのため、パッド部の側面にも接続部が形成される場合には、パッド部の側面も含めて総面積を求める。
【0035】
配線Aにおける上記総面積をSAとし、配線Bにおける上記総面積をSBとする。SAに対するSBの割合(SB/SA)は、通常、103以上であり、104以上であってもよい。一方、SB/SAは、通常、106以下であり、105以下であってもよい。本開示においては、SB/SAがある程度大きい場合であっても、SB/SAを所定の範囲にすることで、接続部の高さ(厚さ)のバラつきを小さくできる。SB/SAは、例えば103以上106以下であり、104以上105以下であってもよい。
【0036】
内部パッド部を有する複数の配線において、配線Aが上記総面積の最も小さい配線であってもよい。また、内部パッド部を有する複数の配線において、配線Bが上記総面積の最も大きい配線であってもよい。
【0037】
また、
図4に示すように、支持基板1の配線層3側の面を基準として、配線Aの接続部5の頂点までの高さh
Aとし、配線Bの接続部5の頂点までの高さh
Bとする。h
Aは、h
Bより小さくてもよく、h
Bと同じであってもよく、h
Bより大きくてもよい。h
Aおよびh
Bの差(Δh)は、例えば1.5μm以下であり、1μm以下であってもよく、0.8μm以下であってもよく、0.6μm以下であってもよい。h
Aおよびh
Bは、配線基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、求めることができる。具体的には、配線基板を樹脂封止し、その後、内部パッド部P
A1および内部パッド部P
B1を含む領域に対して、イオンミリング装置(日本電子製、IB-19530CP)を用いて、断面出しを行う。その後、SEM(Carl Zeiss社製、Ultra55)を用いて、加速電圧5kVにて観察する。その後、支持基板の配線層側の面から接続部の頂点までの高さh
Aおよびh
Bを、SEMの計測機能(校正後)に用いて測定する。これにより、h
Aおよびh
Bを求めることができる。
【0038】
接続部の厚さは、例えば0.5μm以上であり、1.0μm以上であってもよく、1.5μm以上であってもよく、2.0μm以上であってもよく、2.5μm以上であってもよい。一方、接続部の厚さは、例えば10μm以下であり、8μm以下であってもよく、6μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。接続部の厚さは、例えば0.5μm以上10μm以下であり、1.0μm以上8μm以下であってもよく、1.5μm以上6μm以下であってもよく、2.0μm以上5μm以下であってもよく、2.5μm以上5μm以下であってもよい。
【0039】
配線は、パッド部として、内部パッド部のみを有していてもよく、内部パッド部に加えて、外部パッド部を有していてもよい。外部パッド部は、素子実装領域の領域外に位置するパッド部である。例えば、配線Aは、内部パッド部のみを有していてもよく、内部パッド部および外部パッド部を有していてもよい。一方、配線Bは、内部パッド部および外部パッド部を有することが好ましい。
【0040】
外部パッド部は、支持基板を基準として、素子実装領域側に形成されていてもよく、素子実装領域とは反対側に形成されていてもよい。例えば
図5では、配線Bが、支持基板1を基準として、素子実装領域Mとは反対側に、外部パッド部P
B2を有している。
【0041】
配線は、内部パッド部を一つのみ有していてもよく、二以上有していてもよい。同様に、配線は、外部パッド部を一つのみ有していてもよく、二以上有していてもよい。例えば
図6では、配線Bが、支持基板1を基準として、素子実装領域M側に外部パッド部P
B21を有し、素子実装領域Mとは反対側に外部パッド部P
B22を有している。
【0042】
2.配線基板の部材
本開示における配線基板は、支持基板、配線層、カバー絶縁層を少なくとも有する。さらに、層間絶縁層等の他の層を有していてもよい。
【0043】
(1)支持基板
支持基板は、後述する配線層等を支持する層である。支持基板は、柔軟性を有していてもよく、有していなくてもよい。支持基板としては、例えば、ガラス基板、セラミックス基板等の無機基板、樹脂基板、紙基板、金属基板が挙げられる。ガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラスが挙げられる。樹脂基板としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリル樹脂、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレ)、ポリシクロオレフィン(例えばポリノルボルネン)、液晶性高分子化合物が挙げられる。また、支持基板として、ガラス-エポキシ樹脂、紙エポキシ、紙フェノール等の複合材を用いてもよい。さらに、支持基板として、TFT(Thin Film Transistor)基板を用いることもできる。
【0044】
支持基板の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、長方形、正方形等の矩形が挙げられる。支持基板が矩形である場合、一辺の長さは、例えば10mm以上であり、100mm以上であってもよい。一方、一辺の長さは、例えば2000mm以下である。一辺の長さは、例えば10mm以上2000mm以下であり、100mm以上2000mm以下であってもよい。また、支持基板の厚さは、例えば3μm以上であり、10μm以上であってもよく、100μm以上であってもよく、300μm以上であってもよい。一方、支持基板の厚さは、例えば、1000μm以下である。支持基板の厚さは、例えば3μm以上1000μm以下であり、10μm以上1000μm以下であってもよく、100μm以上1000μm以下であってもよく、300μm以上1000μm以下であってもよい。
【0045】
(2)配線層
配線層は、支持基板の一方の面側に形成され、パッド部を含む複数の配線を有する。配線基板は、配線層を一層のみ有していてもよく、二層以上有していてもよい。後者の場合、支持基板および層間絶縁層の少なくとも一方を介して、二層の配線層が厚さ方向に積層されていることが好ましい。例えば
図7では、層間絶縁層2yを介して、第一配線層3xおよび第二配線層3yが厚さ方向に積層されている。厚さ方向に積層された配線層は、ビアを介して、電気的に接続されていてもよい。また、配線層は、支持基板の一方の面側のみに形成されていてもよく、支持基板の両方の面側に形成されていてもよい。
【0046】
配線層における配線の数は、通常、2個以上であり、4個以上であってもよく、6個以上であってもよく、8個以上であってもよく、15個以上であってもよい。一方、配線層における配線の数は、例えば、106個以下である。配線層における配線の数は、例えば2個以上106個以下であり、4個以上106個以下であってもよく、6個以上106個以下であってもよく、8個以上106個以下であってもよく、15個以上106個以下であってもよい。また、各々の配線は、通常、複数のパッド部を有する。さらに、各々の配線は、複数のパッド部を電気的に接続するリード部を有することが好ましい。
【0047】
配線の材料としては、例えば、金属単体、合金、金属化合物の金属材料が挙げられる。金属材料に含まれる金属元素としては、例えは、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウムが挙げられる。中でも、配線の材料は、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属単体、または、これらの金属元素の少なくとも一種を含む合金が好ましい。また、配線として、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の金属酸化物を用いることもできる。
【0048】
配線の具体例としては、例えば、グランド用配線、電源用配線、共通(コモン)配線、信号配線、ゲート配線、ドレイン配線、ソース配線、走査配線が挙げられる。配線Aおよび配線Bが、上記のいずれかの配線であることが好ましい。中でも、配線Bは、グランド用配線、電源用配線または共通(コモン)配線であることが好ましい。また、配線Aの面積をTAとし、配線Bの面積をTBとする。TBは、通常、TAよりも大きい。TAに対するTBの割合(TB/TA)は、例えば102以上であり、103以上であってよい。一方、TB/TAは、例えば108以下であり、107以下であってよい。TB/TAは、例えば102以上108以下であり、103以上107以下であってもよい。配線の面積は、パッド部およびリード部を含む配線表面の総面積をいう。
【0049】
配線層の形成方法は、アディティブ法であってもよく、サブトラクティブ法であってもよい。アディティブ法では、例えばフォトリソグラフィー法によりレジストパターンを作製し、レジストパターンから露出した部分に、めっき法を行うことにより、パターン状の配線層が得られる。電解めっき法を用いる場合は、レジストパターンを作製する前に、配線層を形成する基材(例えば支持基板、層間絶縁層)上に導電層を形成してもよい。サブトラクティブ法では、例えば、全面形成した配線層上にレジストパターンを作製し、レジストパターンから露出した部分をエッチングすることにより、パターン状の配線層が得られる。
【0050】
配線層の厚さは、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよい。一方、配線層の厚さは、例えば20μm以下であり、15μm以下であってもよい。配線層の厚さは、例えば0.1μm以上20μm以下であり、0.5μm以上15μm以下であってもよく、1μm以上15μm以下であってもよく、3μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよい。例えばスパッタリング法により配線層を形成する場合、比較的薄い配線層を得ることができる。また、例えばめっき法により配線層を形成する場合には、比較的厚い配線層を得ることができる。
【0051】
(3)カバー絶縁層
カバー絶縁層は、配線層を覆い、パッド部に対応する位置に開口部を有する。カバー絶縁層は、配線層の劣化および短絡を防止する機能を有する。カバー絶縁層は、支持基板の一方の面側のみに形成されていてもよく、支持基板の両方の面側に形成されていてもよい。
【0052】
カバー絶縁層の材料は、感光性材料であってもよく、非感光性材料であってもよい。また、カバー絶縁層の材料は、絶縁性樹脂であることが好ましい。絶縁性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリル樹脂、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレ)、ポリシクロオレフィン(例えばポリノルボルネン)、液晶性高分子化合物が挙げられる。カバー絶縁層の厚さは、例えば、2μm以上8μm以下である。
【0053】
カバー絶縁層の形成方法は、カバー絶縁層の材料に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、カバー絶縁層の材料が感光性材料である場合、全面形成したカバー絶縁層に対して、露光現像を行うことにより、パターン状のカバー絶縁層が得られる。一方、カバー絶縁層の材料が非感光性材料である場合、全面形成したカバー絶縁層上にレジストパターンを作製し、レジストパターンから露出した部分をエッチングすることにより、パターン状のカバー絶縁層が得られる。また、例えば、カバー絶縁層に対して、レーザー加工を行うことにより、パターン状のカバー絶縁層を形成してもよい。
【0054】
(4)層間絶縁層
配線基板は、層間絶縁層を有していてもよく、有していなくてもよい。配線基板は、層間絶縁層を一層のみ有していてもよく、二層以上有していてもよい。層間絶縁層は、支持基板および配線層の間に形成されていてもよく、二層の配線層の間に形成されていてもよい。例えば
図7では、支持基板1および第一配線層3xの間に層間絶縁層2xが形成され、さらに、第一配線層3xおよび第二配線層3yの間に層間絶縁層2yが形成されている。また、層間絶縁層は、支持基板の一方の面側のみに形成されていてもよく、支持基板の両方の面側に形成されていてもよい。
【0055】
層間絶縁層の材料は、絶縁性樹脂であることが好ましい。絶縁性樹脂については、上述したカバー絶縁層に用いられる絶縁性樹脂と同様である。層間絶縁層の厚さは、例えば1.5μm以上であり、2.5μm以上であってもよい。一方、層間絶縁層の厚さは、例えば6μm以下である。層間絶縁層の厚さは、例えば1.5μm以上6μm以下であり、2.5μm以上6μm以下であってもよい。層間絶縁層の形成方法については、上述したカバー絶縁層の形成方法と同様である。
【0056】
(5)接続部
配線基板は、開口部により露出した内部パッド部上に、接続部を有していてもよい。接続部は、平面視上、開口部により露出した内部パッド部と重複する位置において、カバー絶縁層から突出していることが好ましい。また、接続部は、凸部形状を有することが好ましい。
【0057】
接続部は、無電解めっき部であることが好ましい。さらに、無電解めっき部は、カバー絶縁層から突出していることが好ましい。無電解めっき部は、例えば、PdおよびNiを含有することが好ましい。具体的には、内部パッド部から順に、Pd部およびNi部が形成されていることが好ましい。無電解めっき法では、最初にPdが内部パッド部の表面に吸着し、その後、Pdが触媒として機能してNiが析出する。そのため、内部パッド部から順に、Pd部およびNi部が形成される。また、無電解めっき法では、通常、次亜リン酸等の還元剤を用いるため、無電解めっき部は、Pをさらに含有していてもよい。
【0058】
また、接続部上に、保護めっき部が形成されていてもよい。例えば
図8(a)では、接続部5上に保護めっき部6が形成されている。保護めっき部を設けることで、接続部の劣化(例えば腐食)を防止できる。保護めっき部としては、例えば、金めっき部が挙げられる。金めっき部を設けることで、接続信頼性が向上する。金めっき部は、例えば、無電解金めっき法により形成することができる。
【0059】
また、接続部上に、はんだ部が形成されていてもよい。例えば
図8(b)では、接続部5上に保護めっき部6が形成され、さらに、保護めっき部6上にはんだ部7が形成されている。はんだ部は、例えば、Sn、Cu、Pbの少なくとも一種を含有することが好ましい。はんだ部は、例えば、印刷法または無電解めっき法により形成することができる。
【0060】
B.素子付配線基板
図9は、本開示における素子付配線基板を例示する概略断面図である。
図9に示される素子付配線基板30は、配線基板10と、配線基板10の素子実装領域Mに実装された素子20と、を有する。配線基板10は、内部パッド部(P
A1、P
B1)上に形成された接続部5(配線基板側接続部5)を有し、素子20は、素子側接続部25を有する。
図9では、配線基板側接続部5および素子側接続部25が接触することにより、配線基板10および素子20が電気的に接続される。
【0061】
本開示によれば、上述した配線基板を用いることにより、実装された素子に傾きが生じることが抑制された素子付配線基板とすることができる。電子機器の小型化、高性能化に伴い、配線基板に実装される素子間のピッチが狭くなっている。そのため、実装される素子が傾くことを抑制することが重要である。本開示における素子付配線基板は、接続部の高さのバラつきが小さいため、実装された素子に傾きが生じることを抑制することができる。
【0062】
1.配線基板
本開示における配線基板については、上記「A.配線基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0063】
2.素子
本開示における素子は、配線基板の素子実装領域に実装される部材である。素子は、能動素子であってもよく、受動素子であってもよく、機構素子であってもよい。また、素子は、半導体素子であることが好ましい。素子としては、例えば、トランジスタ、集積回路(例えばLSI)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、発光素子(例えばLED、OLED)、センサ、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バッテリーが挙げられる。
【0064】
3.素子付配線基板
本開示における素子付配線基板の用途は、特に限定されないが、例えば、表示装置、情報処理端末(例えばパソコン、タブレット、スマートフォン)、車用品(例えば車用内装品、車用外装品)、プリント配線基板、電磁波シールド材、アンテナ、パワー半導体、ノイズフィルタが挙げられる。
【0065】
本開示における素子付配線基板は、例えば、配線基板に素子を実装することにより得ることができる。素子を実装する方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。素子を実装する方法としては、例えば、転写法を用いて複数の素子を一括して実装する方法が挙げられる。転写法の一例としては、転写用基板に複数の素子を仮固定した転写用積層体を準備し、転写用積層体における複数の素子を、配線基板に転写する方法が挙げられる。
【0066】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0067】
[実験例1]
(配線基板の作製)
ガラス基板(AGC社製、AN100、300mm×400mm)に紫外線を照射し、洗浄した。洗浄後、クロムスパッタ処理および銅スパッタ処理を行い、その上に、ドライフィルムレジスト(旭化成エレクトロニスク社製、サンフォート AQ4038)を用いてレジストパターンを形成した。次に、レジストパターンの開口部に、硫酸銅電解めっき(奥野製薬社製、トップルチナSF)を行い、第一配線層(厚さ3μm)を形成した。次に、ドライフィルムレジストを、50℃の水酸化ナトリウム水溶液にて剥離し、露出したクロム層および銅層を、それぞれ、クロム用エッチング液(佐々木化学薬品工業社製、エスクリーンS-24)および銅用エッチング液(メルテック社製、AD-331)にて除去した。
【0068】
その後、感光性レジスト(東レ社製、フォトニースPW-1000)を用いて、第一配線層を覆うように層間絶縁層(厚さ3μm)を形成した。その後、クロムスパッタ処理および銅スパッタ処理を行い、その上に、ドライフィルムレジスト(旭化成エレクトロニスク社製、サンフォート AQ4038)を用いて、レジストパターンを形成した。次に、レジストパターンの開口部に、硫酸銅電解めっき(奥野製薬社製、トップルチナSF)を行い、第二配線層(厚さ3μm)を形成した。第二配線層の平面視上形状は、
図10(a)に示すように、配線Aについては、幅40μm、長さ10mmの長方形とした。一方、配線Bについては、幅40μm、長さ10mmの長方形と、幅115mm、長さ115mmの正方形とが接合された形とした。また、配線Aおよび配線Bの間隔は30μmとした。なお、配線面積比T
B/T
Aは、約3.3×10
4であった。次に、ドライフィルムレジストを、50℃の水酸化ナトリウム水溶液にて剥離し、露出したクロム層および銅層を、それぞれ、クロム用エッチング液(佐々木化学薬品工業社製、エスクリーンS-24)および銅用エッチング液(メルテック社製、AD-331)にて除去した。
【0069】
その後、感光性レジスト(東レ社製、フォトニースPW-1000)を用いて、第二配線層を覆うようにカバー絶縁層(厚さ3μm)を形成した。カバー絶縁層には開口部を設けた。具体的には、
図10(b)に示すように、内部パッド部P
A1、外部パッド部P
A2および内部パッド部P
B1では、カバー絶縁層4に直径25μmの開口部を設けた。一方、外部パッド部P
B2では、以下の水準A~Fに基づいて、それぞれカバー絶縁層4に開口部を設けた。これにより、配線基板(接続部形成前)を得た。
水準A:0.31mm×0.31mm(S
B/S
A≒10
2)
水準B:1.0mm×1.0mm(S
B/S
A≒10
3)
水準C:3.1mm×3.1mm(S
B/S
A≒10
4)
水準D:10mm×10mm(S
B/S
A≒10
5)
水準E:31mm×31mm(S
B/S
A≒10
6)
水準F:100mm×100mm(S
B/S
A≒10
7)
【0070】
(接続部の形成)
得られた配線基板のパッド部に、無電解ニッケルめっきを行い、接続部を形成した。まず、パッド部の表面を酸性クリーナー(奥野製薬工業社製、ICPクリーンS-135K)を用いて脱脂した。次に、銅用エッチング液(メルテック社製、AD-331)にてソフトエッチングを行った。次に、活性化剤(奥野製薬工業社製、ICPアクセラ)を用いて、パッド部表面にPdを付与し、無電解ニッケルめっき(奥野製薬工業社製、ICPニコロンGM-SE)を行い、接続部(厚さ2.5μm)を形成した。その後、接続部の表面に、無電解金めっき(奥野製薬工業社製、フラッシュゴールドNC)を行い、保護めっき部(厚さ0.05μm)を形成した。これにより、接続部を有する配線基板を得た。
【0071】
[実験例2]
内部パッド部PA1における接続部の厚さを5μmに変更したこと以外は、実験例1と同様にして、接続部を有する配線基板を得た。
【0072】
[実験例3]
内部パッド部PA1における接続部の厚さを6μmに変更したこと以外は、実験例1と同様にして、接続部を有する配線基板を得た。
【0073】
[評価]
実験例1~3で得られた配線基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、S
B/S
AおよびΔh(=h
B-h
A)の関係を求めた。その結果を
図11に示す。
図11に示すように、S
B/S
Aが10
3以上になると、Δhが大きくなった。具体的には、h
Aが一定のときに、h
BはS
B/S
Aの増加とともに大きくなり、結果として、Δhが大きくなった。一方、S
B/S
Aが10
6以下であれば、Δhが1.5μm以下にできることが確認された。
【符号の説明】
【0074】
1…支持基板
2…層間絶縁層
3…配線層
4…カバー絶縁層
5…接続部
10…配線基板
20…素子
30…素子付配線基板