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特許7379893支持基板付配線基板、配線基板、素子付配線基板積層体、および素子付配線基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】支持基板付配線基板、配線基板、素子付配線基板積層体、および素子付配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20231108BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H01L23/12 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019131652
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021018997
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】古庄 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】千吉良 敦子
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 宏
(72)【発明者】
【氏名】笹生 恵大
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-207262(JP,A)
【文献】特開2007-123524(JP,A)
【文献】特開2009-188324(JP,A)
【文献】特開平07-147483(JP,A)
【文献】特開2007-73766(JP,A)
【文献】特開2009-32918(JP,A)
【文献】特開2015-15285(JP,A)
【文献】特開2016-63217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、前記支持基板の一方の面側に配置され、電極層、および樹脂を含有する絶縁層を有する配線基板と、を備え、前記配線基板は前記支持基板から剥離されてコアレス構造を有する配線基板として用いられる、支持基板付配線基板であって、
前記電極層は、前記支持基板に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、
前記絶縁層は、前記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ前記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、
前記第1電極層の側面と、前記第1絶縁層との間の、少なくとも前記支持基板側領域に、密着層が配置されており、
前記第1絶縁層がビアホールを有し、前記第1電極層が前記ビアホールの内部に配置されたビア電極層である、あるいは、前記第1電極層が前記ビアホールの前記支持基板側に配置されたランド部であり、
前記密着層が、無機酸化物で構成されている、支持基板付配線基板。
【請求項2】
支持基板と、前記支持基板の一方の面側に配置され、電極層、および樹脂を含有する絶縁層を有する配線基板と、を備え、前記配線基板は前記支持基板から剥離されてコアレス構造を有する配線基板として用いられる、支持基板付配線基板であって、
前記電極層は、前記支持基板に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、
前記絶縁層は、前記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ前記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、
前記第1電極層の側面と、前記第1絶縁層との間の、少なくとも前記支持基板側領域に、密着層が配置されており、
前記第1絶縁層がビアホールを有し、前記第1電極層が前記ビアホールの内部に配置されたビア電極層である、あるいは、前記第1電極層が前記ビアホールの前記支持基板側に配置されたランド部であり、
前記密着層が、導電性を有しない、支持基板付配線基板。
【請求項3】
支持基板と、前記支持基板の一方の面側に配置され、電極層、および樹脂を含有する絶縁層を有する配線基板と、を備え、前記配線基板は前記支持基板から剥離されてコアレス構造を有する配線基板として用いられる、支持基板付配線基板であって、
前記電極層は、前記支持基板に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、
前記絶縁層は、前記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ前記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、
前記第1電極層の側面と、前記第1絶縁層との間の、少なくとも前記支持基板側領域に、密着層が配置されており、
前記第1絶縁層がビアホールを有し、前記第1電極層が前記ビアホールの内部に配置されたビア電極層であり、
前記第1電極層の側面と前記密着層との間にシード層が配置されており、
前記密着層がTiで構成されている、支持基板付配線基板。
【請求項4】
記第1電極層がめっき層である、請求項に記載の支持基板付配線基板。
【請求項5】
前記密着層が無機酸化物で構成されていることを特徴とする請求項に記載の支持基板付配線基板。
【請求項6】
前記密着層が、前記第1電極層側面と、前記第1絶縁層との間の全領域に形成されている、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の支持基板付配線基板。
【請求項7】
電極層と、樹脂を含有する絶縁層とを有し、支持基板を有しないコアレス構造を有する配線基板であって、
前記配線基板は、表裏面の一方の面が前記支持基板と接していた平滑面であり、
前記電極層は、前記平滑面に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、
前記絶縁層は、前記平滑面に最も近い位置に配置され、かつ前記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、
前記第1電極層の側面と、前記第1絶縁層との間の、少なくとも前記支持基板側領域に、密着層が配置されており、
前記第1絶縁層がビアホールを有し、前記第1電極層が前記ビアホールの内部に配置されたビア電極層である、あるいは、前記第1電極層が前記ビアホールの前記支持基板側に配置されたランド部であり、
前記密着層が、無機酸化物で構成されている、配線基板。
【請求項8】
電極層と、樹脂を含有する絶縁層とを有し、支持基板を有しないコアレス構造を有する配線基板であって、
前記配線基板は、表裏面の一方の面が前記支持基板と接していた平滑面であり、
前記電極層は、前記平滑面に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、
前記絶縁層は、前記平滑面に最も近い位置に配置され、かつ前記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、
前記第1電極層の側面と、前記第1絶縁層との間の、少なくとも前記支持基板側領域に、密着層が配置されており、
前記第1絶縁層がビアホールを有し、前記第1電極層が前記ビアホールの内部に配置されたビア電極層である、あるいは、前記第1電極層が前記ビアホールの前記支持基板側に配置されたランド部であり、
前記密着層が、導電性を有しない、配線基板。
【請求項9】
電極層と、樹脂を含有する絶縁層とを有し、支持基板を有しないコアレス構造を有する配線基板であって、
前記配線基板は、表裏面の一方の面が前記支持基板と接していた平滑面であり、
前記電極層は、前記平滑面に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、
前記絶縁層は、前記平滑面に最も近い位置に配置され、かつ前記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、
前記第1電極層の側面と、前記第1絶縁層との間の、少なくとも前記支持基板側領域に、密着層が配置されており、
前記第1絶縁層がビアホールを有し、前記第1電極層が前記ビアホールの内部に配置されたビア電極層であり、
前記第1電極層の側面と前記密着層との間にシード層が配置されており、
前記密着層がTiで構成されている、配線基板。
【請求項10】
記第1電極層がめっき層である、請求項に記載の配線基板
【請求項11】
前記密着層が無機酸化物で構成されていることを特徴とする請求項に記載の配線基板
【請求項12】
前記密着層が、前記第1電極層側面と、前記第1絶縁層との間の全領域に形成されている、請求項7から請求項11までのいずれかに記載の配線基板
【請求項13】
請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の支持基板付配線基板と、前記支持基板付配線基板の前記支持基板と反対側の面に実装された素子とを有する、素子付配線基板積層体。
【請求項14】
請求項7から請求項12までのいずれかの請求項に記載の配線基板と、前記配線基板に実装された素子とを有する、素子付配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持基板付配線基板、配線基板、素子付配線基板積層体、および素子付配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、高性能化に伴い、配線基板の薄膜化が求められている。配線基板を薄膜化する技術の一つとして、例えば、ビルドアップ法を用いて、支持基板上に電極層および絶縁層等を有する積層体を形成した後、得られた積層体を支持基板から剥離して配線基板として用いる技術の開発が進められている。上記技術により得られた配線基板は、支持基板を有しない、コアレス構造を有する。
【0003】
コアレス構造を有する配線基板に関して、例えば、特許文献1には、半導体パッケージ基板の初期の積層段階で銅ポストを表裏同時に形成する技術が開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、半導体チップを内蔵する半導体装置の製造に用いられる配線基板積層体であって、上記配線基板積層体は、ガラス支持基板と上記ガラス支持基板上に形成された配線基板とを備え、上記配線基板と上記ガラス支持基板とは、剥離可能な接着層を介して接着されており、上記配線基板は、上記ガラス支持基板上の上記接着層上に形成されている外部接続端子と、上記外部接続端子の上層に設けられる1層または多層の電極層と、上記外部接続端子と上記電極層との層間及び上記多層の電極層の層間に設けられる絶縁層と、上記外部接続端子と上記電極層との層間及び上記多層の電極層の層間を電気的に接続するためのビアホールと、最上層の電極層に設けられる絶縁膜と、上記絶縁膜の一部を除去して上記最上層の電極層の一部を露出させることによって形成され、上記半導体チップとの接続箇所となるチップ接続端子とを含む、配線基板積層体が開示されている。
【0005】
また例えば、特許文献3には、絶縁層と、上記絶縁層に内蔵された電子部品と、上記絶縁層に形成され、上記絶縁層の一方の面側に開口し、上記電子部品の電極を露出するビアホールと、上記絶縁層に埋め込まれ、一方の面が上記絶縁層の一方の面から露出する第1電極層と、上記第1電極層の一方の面に形成された配線パターン、及び上記配線パターンから上記ビアホール内に延在して上記電子部品の電極と直接接続されたビア配線、を含む第2電極層と、を有する配線基板が開示されている。
【0006】
また例えば、特許文献4には、交互に積層されている導体層および樹脂絶縁層により構成されていて2以上の樹脂絶縁層を含んでいる積層体を有するコアレス構造のプリント配線板であって、上記積層体は、上記積層体の表裏それぞれの最表層の樹脂絶縁層の一面それぞれからなる第1面および第2面を有し、かつ、上記第2面上に複数の導体パッドを含む導体層を有しており、上記積層体の第1面を構成する第1樹脂絶縁層は補強材を含む材料で形成され、上記第1樹脂絶縁層以外の上記積層体内の樹脂絶縁層は補強材を含まない材料で形成され、上記積層体の第2面上の導体層は、外部の第1電子部品と接続される複数の第1導体パッド、および上記第1電子部品よりも大型の外部の第2電子部品と接続される複数の第2導体パッドを含んでおり、上記複数の第2導体パッドは、上記複数の第1導体パッドよりも上記第2面の外周側に、上記複数の第1導体パッドの配置ピッチよりも大きいピッチで配置されているプリント配線基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-220402号公報
【文献】特開2017-50464号公報
【文献】特開2018-6712号公報
【文献】特開2018-82084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したようなコアレス構造を有する配線基板は、上記配線基板の支持基板側であった面に露出している電極層に金メッキ等の処理を施した場合、上記電極層の内部が腐食する場合があり、最終的には断線にいたる可能性があるといった不具合があった。また、上記配線基板の支持基板側であった面に他の配線基板や部材等を実装する可能性がある。しかしながら、上述した実装を行う際に上記配線基板の支持基板側であった面の平滑性が悪く、上述した他の部材との接続に問題が生じる可能性があるといった課題があった。
【0009】
本開示は上記実情に鑑みてなされた発明であり、支持基板側であった面に金メッキ等の後処理を施した場合でも不具合が生じず、かつ支持基板側であった面の平滑性が良好なコアレス構造を有する配線基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、コアレス構造を有する配線基板は、支持基板から剥離する際に、上記配線基板の支持基板側に存在する電極層と絶縁層との間に剪断応力が加わり、剥離してしまうといった不具合が発生していることを見出した。
【0011】
このような不具合があった場合、その後の金メッキ処理等において処理液が上記剥離部分に侵入することから、内部の電極層を継続的に腐食し、結果として断線等の課題が生じる。また、上記剥離が生じた場合、電極層が凹んでしまったり、剥離部分の絶縁層が突出してしまったりするため、平滑性を維持することができない場合があり、その後の実装に課題が生じる。
【0012】
本発明者等は、これらの新たな課題を解決すべく検討を行った結果、上記支持基板との剥離面における電極層と絶縁層との界面における密着性を向上させることにより上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0013】
すなわち、本開示は、支持基板と、上記支持基板の一方の面側に配置され、電極層、および樹脂を含有する絶縁層を有する配線基板と、を備え、上記配線基板は上記支持基板から剥離されてコアレス構造を有する配線基板として用いられる、支持基板付配線基板であって、上記電極層は、上記支持基板に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、上記絶縁層は、上記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ上記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、上記第1電極層の側面と、上記第1絶縁層との間の、少なくとも上記支持基板側領域に、密着層が配置されている、支持基板付配線基板を提供する。
【0014】
本開示によれば、第1電極層の側面と第1絶縁層との間の、少なくとも上記支持基板側領域に、密着層が配置されていることにより、支持基板から配線基板を剥離したときに、剥離面またはその近傍に位置する電極層の側面が絶縁層から剥離することを抑制可能な支持基板付配線基板とすることができる。したがって、支持基板を剥離した後に得られる配線基板が、上述したような不具合の無い配線基板とすることが可能となる。
【0015】
本開示においては、上記密着層が、上記第1電極層側面と、上記第1絶縁層との間の全領域に形成されていることが好ましい。第1電極層と第1絶縁層との密着力をより強固とすることができるからである。
【0016】
本開示においては、上記密着層がシード層であり、上記第1電極層がめっき層であることが好ましい。電極層をめっきにより形成する場合、密着層形成工程をシード層形成工程と同一の工程で行うことができるので、工程の簡略化が可能となるからである。
【0017】
本開示においては、上記密着層が、金属または無機酸化物で構成されていることが好ましい、第1電極層と第1絶縁層との密着性を向上させることができるからである。
【0018】
また、本開示においては、上記第1絶縁層がビアホールを有し、上記第1電極層が上記ビアホールの内部に配置されたビア電極層であってもよく、また、上記第1絶縁層がビアホールを有し、上記第1電極層が上記ビアホールの上記支持基板側に配置されたランド部であってもよい。
【0019】
本開示は、電極層と、樹脂を含有する絶縁層とを有し、支持基板を有しないコアレス構造を有する配線基板であって、上記配線基板は、表裏面の一方の面が上記支持基板と接していた平滑面であり、上記電極層は、上記平滑面に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、上記絶縁層は、上記平滑面に最も近い位置に配置され、かつ上記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、上記第1電極層の側面と、上記第1絶縁層との間の、少なくとも上記支持基板側領域に、密着層が配置されている、配線基板を提供する。
【0020】
本開示によれば、上記支持基板付配線基板と同様の理由から、剥離面またはその近傍に位置する電極層の側面が絶縁層から剥離することを抑制された配線基板とすることができる。
【0021】
本開示においては、上記密着層が、上記第1電極層側面と、上記第1絶縁層との間の全領域に形成されていることが好ましく、また、上記密着層がシード層であり、上記第1電極層がめっき層であることが好ましく、さらには、上記密着層が、金属または無機酸化物で構成されていることが好ましい。上記支持基板付配線基板の場合と同様の理由によるものである。
【0022】
また、本開示においては、上記第1絶縁層がビアホールを有し、上記第1電極層が上記ビアホールの内部に配置されたビア電極層であってもよく、また、上記第1絶縁層がビアホールを有し、上記第1電極層が上記ビアホールの上記支持基板側に配置されたランド部であってもよい。
【0023】
さらに、本開示は、上述した支持基板付配線基板と、上記支持基板付配線基板の上記支持基板と反対側の面に実装された素子とを有する、素子付配線基板積層体を提供する。さらにまた、本開示は、上述した配線基板と、上記配線基板に実装された素子とを有する、素子付配線基板を提供する。いずれも、上述した支持基板付配線基板の場合で説明した利点と同様の利点を有するものとなる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の支持基板付配線基板は、支持基板から配線基板を剥離したときに、剥離面またはその近傍に位置する電極層の側面が絶縁層から剥離することを抑制することができることから、得られるコアレス構造を有する配線基板における断線等の不具合や、支持基板が剥離された面における実装不良等の問題の発生を抑えることができるといった効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の支持基板付配線基板および配線基板の一例を示す概略断面図である。
図2】本開示の支持基板付配線基板および配線基板の他の例を示す概略断面図である。
図3】本開示の支持基板付配線基板の他の例を示す概略断面図である。
図4】本開示の支持基板付配線基板の他の例を示す概略断面図である。
図5】本開示の支持基板付配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
図6】本開示の支持基板付配線基板の製造方法の他の例を示す工程図である。
図7】本開示の配線基板の他の例を示す概略断面図である。
図8】本開示の素子付配線基板積層体の一例を示す概略断面図である。
図9】本開示の素子付配線基板の一例を示す概略断面図である。
図10】比較例の配線基板の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0027】
「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
【0028】
以下、本開示の支持基板付配線基板、配線基板、素子付配線基板積層体、および素子付配線基板の詳細を説明する。
【0029】
A.支持基板付配線基板
本開示の支持基板付配線基板は、支持基板と、上記支持基板の一方の面側に配置され、電極層、および樹脂を含有する絶縁層を有する配線基板と、を備え、上記配線基板は上記支持基板から剥離されてコアレス構造を有する配線基板として用いられる、支持基板付配線基板であって、上記電極層は、上記支持基板に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、上記絶縁層は、上記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ上記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、上記第1電極層の側面と、上記第1絶縁層との間の、少なくとも上記支持基板側領域に、密着層が配置されていることを特徴とするものである。
【0030】
本開示の支持基板付配線基板について図を用いて説明する。図1(a)は本開示の支持基板付配線基板の一例を示す概略断面図であり、図1(b)および(c)は図1(a)の支持基板付配線基板から得られるコアレス構造を有する配線基板の一例および他の例を示す概略断面図である。
【0031】
図1(a)に示す支持基板付配線基板10は、支持基板1と、支持基板1の一方の面側に配置された配線基板2とを備える。図1(b)および(c)に示すように、配線基板2は支持基板1から剥離されて用いられる。配線基板2は、支持基板1の一方の面側に配置された電極層21と、支持基板1の電極層21側の面側に配置され、樹脂を含有する絶縁層22とを有する。この例の配線基板2に示す通り、最も支持基板1側に位置する電極層21が第1電極層21aとなり、最も支持基板1側に位置する絶縁層22が第1絶縁層22aとなる。上記第1電極層21aの側面と上記第1絶縁層22との間に密着層23が配置されている。ここで、第1電極層21aは、第1絶縁層22aに設けられたビアホールV内に配置されたビア電極層である。上記ビア電極層である第1電極層21aは、上記第1絶縁層22aの上記支持基板1とは反対側の面に設けられた面内配線層である電極層21bと一体に形成されている。この例では、上記面内配線層である電極層21bと第1絶縁層22aとの間にも密着層23が配置されている。
【0032】
図1(a)、(b)、および(c)では、配線基板2が、2層の電極層(21aおよび21b、ならびに21c)と3層の絶縁層22a、22b、および22cが積層されている例を示している。また、この例では、配線基板2が、支持基板1側とは反対側の面側に接続部24を有しており、さらにまた、図1(a)に示すように、支持基板1と配線基板2との間に剥離層3が配置されている。
【0033】
本開示によれば、第1電極層の側面と第1絶縁層との間の、少なくとも上記支持基板側領域に、密着層が配置されていることにより、支持基板から配線基板を剥離したときに、剥離面またはその近傍に位置する電極層の側面が絶縁層から剥離することを抑制可能な支持基板付配線基板とすることができる。
【0034】
通常、コアレス構造を有する配線基板においては、剥離面またはその近傍に位置する電極層の側面および絶縁層の間に隙間を生じると、後工程で処理液を用いる場合に、処理液が上述した剥離面の隙間に浸み込んで電極層が腐食するといった課題が生じるが、本開示の支持基板付配線基板は、上述した隙間の発生を抑制して支持基板から配線基板を剥離することができるため、電気信頼性の高い配線基板を得ることができる。
【0035】
さらに、本開示の支持基板付配線基板は、上述した隙間の発生を抑制して支持基板から配線基板を剥離することができるため、上記支持基板付配線基板から支持基板を剥離して得られるコアレス構造を有する配線基板において、上記支持基板側の面を平滑な面とすることが可能となる。これにより、上記コアレス構造を有する配線基板の支持基板が配置されていた面側に他の部材を実装する際に不具合が生じる可能性を抑えることができる。
以下、本開示の支持基板付配線基板の各構成について詳細に説明する。
【0036】
1.配線基板
本開示における配線基板は、支持基板の一方の面側に配置される部材であり、支持基板から剥離して用いられる部材であり、支持基板を有しないコアレス構造を有する配線基板として用いられるものである。このような配線線基板は、電極層、絶縁層、および密着層を少なくとも有する。以下、それぞれについて説明する。
【0037】
(1)密着層
本開示における密着層は、上記支持基板に最も近い位置に配置された電極層を第1電極層とし、上記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ上記第1電極層の側面に配置された絶縁層を第1絶縁層としたとき、上記第1電極層の側面と、上記第1絶縁層との間の、少なくとも上記支持基板側領域に配置される部材である。密着層は第1電極層の側面と第1絶縁層との間の密着性を高める機能を有する。
【0038】
本開示において、上記第1電極層の側面と上記第1絶縁層との間の少なくとも上記支持基板側領域とは、上記配線基板の上記支持基板側の面における上記第1電極層の側面と上記第1絶縁層との境界が含まれる領域を示すものであり、その範囲は特に限定されるものではないが、上記第1電極層側面と、上記第1絶縁層との間の全領域であることが、密着性向上の面から好ましいものとなる。
本開示における密着層は、さらに上記第1電極層の側面と上記第1絶縁層との間以外の領域に配置されていてもよい。
【0039】
例えば、図1(a)に示すように、密着層23は、ビア電極層である第1電極層21aの側面および面内配線層である電極層21bの支持基板1側の面、すなわち、支持基板1と電極層21bとの間に配置されていてもよい。上記密着層をシード層として用いる場合に、電解めっきにより上記電極層を形成しやすいといった利点を有する。
【0040】
また例えば、図2(a)に示すように、密着層23は、ランド部である第1電極層21aの側面および第1電極層21aの支持基板1側とは反対側の面に配置されてもよい。なお、図示はしないが、密着層が第1電極層の支持基板側とは反対側の面に配置される場合であって、密着層が導電性を有しない場合、上記第1電極層の上記支持基板とは反対側の面には密着層は形成されない。
【0041】
密着層の材料としては、第1電極層の側面および第1絶縁層の間の密着性を高くすることができれば、特に限定されるものではなく、いかなる材料であっても用いることが可能であるが、本開示においては、金属材料もしくは無機酸化物が好適に用いられる。
【0042】
密着層に用いられる金属材料としては、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)等の金属、ニッケルクロム合金(Ni-Cr)等の合金が挙げられる。上述した金属材料を用いた場合に第1電極層および第1絶縁層の間の密着性が高くなる理由については以下のように推定される。
【0043】
すなわち、第1電極層および第1絶縁層の材質によって、密着層として最適な材料は異なるが、表面エネルギー、弾性率、および熱膨張率等の少なくとも一つの特性について、各層の間を取り持つような特性を有する金属材料を上述の金属材料から選択して用いることにより、第1電極層および第1絶縁層の間の層間応力が小さくなり、良好な接着性(密着性)を得ることができると推定される。具体例の一つとして、配線材料として好適に用いられるCuを含む第1電極層と、絶縁材料として好適に用いられるポリイミドを含む第1絶縁層の間では、熱膨張率の低いTi、Crを密着層として介在させることで密着性を向上させることができる。
金属材料としては、中でも、Tiが好ましい。CuやAlなど拡散しやすい配線材料を第1電極層として用いた場合にマイグレーション耐性を付与することができるからである。
【0044】
密着層に用いられる無機酸化物としては、例えば、シリコーン、酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム)(Indium Tin Oxide、ITO)、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide、IZO)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化銅等を挙げることができる。上述した無機酸化物を用いた場合に第1電極層および第1絶縁層の間の密着性が高くなる理由は、密着層に無機酸化物を用いることで絶縁層に含まれる水酸基と水素結合を結び密着性を向上させることができるためであると推定される。
【0045】
密着層に用いられる無機酸化物がシリコーンである場合、例えばシランカップリング剤を用い、加水分解および縮合反応により密着層を形成することができる。得られた密着層のSi-O-Si基が金属材料または無機酸化物を含有する第1電極層と親和性を有し、密着層に含まれる有機官能基が樹脂を含有する第1絶縁層と親和性を有することで、第1電極層の側面および第1絶縁層の間の密着性を高くすることができる。
【0046】
本開示において後述する第1電極層をめっき法で形成する場合、めっき層を形成する際に形成されるシード層を密着層として用いることができる。めっき法におけるシード層を用いる場合、密着層の材料としては、例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、これらの化合物、これらの合金等を挙げることができる。
【0047】
また、密着層に用いられる材料としては、その線膨張係数が、第1電極層の材料の線膨張係数と第1絶縁層の線膨張係数との間の値を有する材料であることが好ましい。第1電極層と第1絶縁層との密着性を良好にすることができるからである。密着層に用いられる材料の線膨張係数は、例えば、1(10-6/℃)以上、100(10-6/℃)以下であることが好ましく、3(10-6/℃)以上、17(10-6/℃)以下であることがより好ましい。線膨張係数は、JIS Z 2285「金属材料の線膨張係数の測定方法」に準拠した測定方法を用いて測定することができる。
【0048】
密着層の厚さは、第1電極層の側面および第1絶縁層の間の密着性を高くすることができる程度の厚さであれば特に限定されず、密着層の材料に応じて適宜選択することができる。密着層の厚さは、例えば、0.001μm以上であってもよく、0.01μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよい。また、密着層の厚さは、例えば、10μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、0.1μm以下であってもよい。密着層の厚さが上記範囲より薄い場合または厚い場合は、密着層の形成が困難となる可能性があるからである。また、密着層の厚さが上記範囲より薄い場合、第1電極層の側面および第1絶縁層の間の密着性を十分に高くすることが困難となる可能性があるからである。また、密着層は後述する第1電極層よりも厚さが薄いことが好ましい。
【0049】
密着層の形成方法としては、第1電極層の側面および第1絶縁層の間に密着層を配置することが可能な方法であれば特に限定されない。密着層の形成方法としては、ウェットプロセスであってもよく、ドライプロセスであってもよい。ウェットプロセスとしては、例えば、無電解めっき法、シランカップリング剤を用いる方法等を挙げることができる。一方、ドライプロセスとしては、例えば、スパッタ法、物理的蒸着法(PVD法)や化学的蒸着法(CVD法)といった蒸着法を用いて密着層を形成した後、フォトリソグラフィ法等を用いて不要な密着層を除去する方法を挙げることができる。
【0050】
(2)電極層
本開示における電極層は、支持基板の一方の面側に配置され、後述する絶縁層と共に配線基板を構成する部材である。本開示における電極層は、支持基板に最も近い位置に配置された第1電極層と、上記第1電極層以外の電極層とに分けることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0051】
(a)第1電極層
本開示における第1電極層は、配線基板において、支持基板に最も近い位置に配置された電極層であり、絶縁層と接触する側面が配線基板の支持基板側の面まで延びて配置された電極層である。このような第1電極層としては、具体的には、上記第1絶縁層に形成されたビアホール内に形成されたビア電極層(図1(a)におけるビアホールV内に配置されたビア電極層21a)、上記第1絶縁層に形成されたビアホールの上記支持基板側に配置されたランド部(図2(a)に示すランド部21a)、さらには、上記第1絶縁層と支持基板との間に配置された面内配線層を挙げることができる。
本開示においては、第1電極層が上記ビア電極層および上記ランド部であることが、密着性向上の観点から好ましいものであるといえる。
【0052】
上記ビア電極層は、通常、絶縁層に設けられたビアホールの内部の側面に連続して配置される。ビア電極層は、少なくともビアホールの内部の側面に配置されていればよく、中空構造を有していてもよく、中空構造を有していなくてもよい。中空構造を有する場合、中空部には充填層が配置されていることが好ましい。配線基板の強度を高くすることができるからである。充填層の材料としては、例えば、樹脂を挙げることができる。
【0053】
なお、例えば上記ビア電極層が、上記第1絶縁層の上記支持基板と反対側の面に配置されたランド部や面内配線層と一体に形成されていた場合であっても、本開示における第1電極層はビア電極層のみを示すものとする。
【0054】
本開示においては、このような第1電極層の側面に上記密着層が形成されるものであるが、上記配線基板において、上記第1電極層が複数形成されていた場合は、少なくとも一つの第1電極層の側面に上記密着層が形成されていればよい。なお、通常は不具合を防止する観点からは、全ての第1電極層の側面に上記密着層が形成されていることが好ましい。
【0055】
本開示における第1電極層の材料は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。第1電極層の材料としては、例えば、金属材料に含まれる金属元素としては、例えは、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)が挙げられる。中でも、配線の材料は、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属単体、または、これらの金属元素の少なくとも一種を含む合金が好ましく、銅単体または銅を含む合金がより好ましい。銅は電気抵抗が低いため、第1電極層の導電性を良好にすることができるからである。また、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の金属酸化物を用いることもできる。
【0056】
また、第1電極層がめっき層である場合、第1電極層の材料としては、例えば、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属又はこれらを用いた合金など、あるいはこれらを積層したものを使用することができる。第1電極層がめっき層である場合、密着層がシード層であることが好ましい。
【0057】
第1電極層の材料の線膨張係数は、特に限定されないが、例えば、3(10-6/℃)以上、50(10-6/℃)以下であってもよく、5(10-6/℃)以上、17(10-6/℃)以下であってもよい。第1電極層の材料の線膨張係数の測定方法については、密着層の材料の線膨張係数の測定方法と同様とすることができる。
【0058】
第1電極層の厚さは、配線基板の用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。第1電極層の厚さは、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよい。一方、第1電極層の厚さは、例えば20μm以下であり、15μm以下であってもよい。
【0059】
第1電極層の形成方法は、所望の電極層を形成することができれば特に限定されず、アディティブ法であってもよく、サブトラクティブ法であってもよい。アディティブ法では、例えばフォトリソグラフィ法によりレジストパターンを作製し、レジストパターンから露出した部分に、めっき法を行うことにより、パターン状の第1電極層が得られる。電解めっき法を用いる場合は、レジストパターンを作製する前に、支持基板上にシード層を形成してもよい。また、上記シード層を密着層として用いてもよい。サブトラクティブ法では、例えば、全面形成した第1電極層上にレジストパターンを作製し、レジストパターンから露出した部分をエッチングすることにより、パターン状の第1電極層が得られる。
【0060】
(b)他の電極層
本開示における配線基板は、少なくとも第1電極層を有していればよいが、通常、他の電極層を有するものである。このような他の電極層としては、上記第1絶縁層の上記支持基板とは反対側の主面に形成されるランド部や面内配線層等、さらには、第1絶縁層の上記支持基板とは反対側にさらに設けられた他の絶縁層に設けられたビアホールに充填されたビア電極層、ランド部、面内配線層等の種々のものを挙げることができる。
これらの他の電極層については、その数や種類については特に限定されず、配線基板の用途等に応じて適宜選択することができる。
【0061】
(3)絶縁層
絶縁層は、支持基板の一方の面側に配置され、上記電極層と共に配線基板を構成する部材であり、上記電極層を保護する機能や、電極層間に配置されて、電極層の短絡を防止する機能を有する。本開示における絶縁層は、上記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ上記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層と、上記第1絶縁層以外の絶縁層とに分けることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0062】
(a)第1絶縁層
本開示における第1絶縁層は、上記支持基板に最も近い位置に配置され、かつ上記第1電極層の側面に配置された絶縁層を示すものである。本開示における配線基板が、1層の絶縁層のみを有する場合は、上記絶縁層が第1絶縁層に該当する。また、2層以上の絶縁層が積層された多層配線基板を有する場合は、多層絶縁層のうち、最も支持基板側に配置される絶縁層が、第1絶縁層に該当する。
【0063】
本開示における第1絶縁層は、支持基板の全面に配置されていてもよく、特定のパターン状に配置されていてもよい。また、第1絶縁層は、第1絶縁層を貫通するビアホールを有していてもよい。第1絶縁層がビアホールを有する場合、上記ビアホール内部に配置されたビア電極層が上述した第1電極層となり、上述したようにビア電極層の側面とビアホールの側面との間に密着層が配置されていることが好ましい。
【0064】
第1絶縁層に設けられるビアホールの縦断面(支持基板の表面に直角方向の断面)形状は、ビア電極層を配置して第1絶縁層の表裏を導通させることができれば特に限定されない。例えば、図3に示すように、ビアホールVの縦断面形状は矩形形状であってもよく、図4に示すように、ビアホールVの縦断面形状は支持基板1側の開口部の大きさが支持基板1側とは反対側の開口部よりも小さくなるようなテーパー形状であってもよい。ビアホールが上述したテーパー形状である場合は、第1電極層の側面および第1絶縁層の間の剥離をより抑制することができる。
【0065】
本開示における第1絶縁層は樹脂を含有するものであり、通常は樹脂で構成されるものである。上記絶縁層に用いられる樹脂としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、感光性樹脂であってもよく、非感光性樹脂であってもよい。具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリル樹脂、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリシクロオレフィン(例えばポリノルボルネン)、液晶性高分子化合物が挙げられる。
【0066】
第1絶縁層の材料の線膨張係数は、特に限定されないが、例えば、1(10-6/℃)以上、100(10-6/℃)以下であってもよく、3(10-6/℃)以上、50(10-6/℃)以下であってもよい。第1絶縁層の材料の線膨張係数は、JIS K7197 「プラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法」に準拠した測定方法により測定することができる。
【0067】
絶縁層の厚さは、配線基板の用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。絶縁層の厚さは、例えば、層間絶縁層の厚さは、例えば1.5μm以上であり、2.0μm以上であってもよく、2.5μm以上であってもよい。一方、絶縁層の厚さは、例えば、8μm以下であってもよく、6μm以下であってもよい。
【0068】
第1絶縁層の形成方法は、第1絶縁層の材料に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、第1絶縁層の材料が感光性材料である場合、全面形成した第1絶縁層に対して、露光現像を行うことにより、パターン状の第1絶縁層が得られる。一方、第1絶縁層の材料が非感光性材料である場合、全面形成した第1絶縁層上にレジストパターンを作製し、レジストパターンから露出した部分をエッチングすることにより、パターン状の第1絶縁層が得られる。また、例えば、第1絶縁層に対して、レーザー加工を行うことにより、パターン状の第1絶縁層を形成してもよい。
【0069】
第1絶縁層上に密着層が直接配置される場合、第1絶縁層の表面を粗面化して密着層との密着性を高める粗面化処理(アンカー処理)を行ってもよい。この場合、第1絶縁層の表面粗さRaは、例えば、0.005μm以上、1μm以下である。表面粗さRaは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。粗面化処理の方法としては、例えば、プラズマアッシング法を挙げることができる。
【0070】
(b)他の絶縁層
本開示における配線基板は、少なくとも第1絶縁層を有していればよく、第1絶縁層のみを有していてもよい。また、多層の配線基板とする場合には、さらに上記第1絶縁層の上記支持基板とは反対側に他の絶縁層を設けてもよい。このような絶縁層の数、絶縁層の形状については特に限定されず、配線基板の用途等に応じて適宜選択することができる。
【0071】
(4)その他の部材
本開示における配線基板は、電極層、絶縁層および密着層を有していれば特に限定されず、必要な部材を適宜選択して形成することができる。
【0072】
(a)アンカー層
本開示においては、密着層と絶縁層との間に配置されたアンカー層を有していてもよい。アンカー層は、密着層と絶縁層との間の密着層を高めるために用いられる部材である。
【0073】
アンカー層は、表裏面の少なくとも一方に粗面を有する層であることが好ましい。アンカー層の表面粗さRaは、例えば、例えば、0.005μm以上、1μm以下である。アンカー層の材料としては、例えば、上述した「(1)密着層」の項で説明した金属材料、無機酸化物、上述した「(3)絶縁層 (a)第1絶縁層」の項で説明した樹脂を挙げることができる。
【0074】
アンカー層の厚さとしては、密着層と絶縁層との間の密着性を高めることができれば特に限定されず、上述した密着層の厚さと同程度とすることができる。アンカー層の形成方法としては、例えば、金属層または無機酸化物層を形成した後、逆スパッタ法を用いてその表面を粗面化する方法、また例えば、樹脂層を形成した後、プラズマアッシング法等でその表面を粗面化する方法等を挙げることができる。
【0075】
(b)接続部
本開示における配線基板は、素子を搭載する際に素子と接続させるための接続部を有していてもよい。例えば、図1(a)等に示すように、接続部24は配線基板2の支持基板1側とは反対側の最表面に配置されていてもよい。接続部は、例えば、絶縁層の開口部により露出した電極層上に配置されていてもよい。この場合、接続部は絶縁層から突出していることが好ましい。また、接続部は凸部形状を有することが好ましい。
【0076】
接続部の材料としては導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、PdおよびNiを含有することが好ましい。また、接続部は無電解めっき法により形成された無電解めっき部であることが好ましい。また、接続部は金めっき部であってもよい。
【0077】
(c)はんだ部
配線基板は、素子を実装する際に素子と接続させるためのはんだ部を有していてもよい。はんだ部は、例えば、上述した接続部上に配置されていることが好ましい。はんだ部は、例えば、Sn、Cu、Pbの少なくとも一種を含有することが好ましい。はんだ部は、例えば、印刷法または無電解めっき法により形成することができる。
【0078】
2.支持基板
支持基板は、配線基板を形成する際に、配線基板の各部材を支持するために用いられる部材である。
【0079】
支持基板の材質としては、支持基板上に所望の配線基板を形成することができれば特に限定されず、例えば、有機材料であってもよく、無機材料であってもよく、有機材料および無機材料を含有する複合材料であってもよい。本開示においては、中でも支持基板は無機材料であることがこのましく、ガラスであることが特に好ましい。耐熱性が高く、寸法安定性が良好であるため、配線基板を精度よく形成することができるからである。
【0080】
支持基板がガラス基板である場合、用いられるガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等を挙げることができる。
【0081】
支持基板の厚さは、特に限定されず、配線基板の層構成、用途等に合わせて適宜選択することができる。支持基板は、フレキシブル性を有していてもよく、フレキシブル性を有していなくてもよい。
【0082】
3.剥離層
本開示の支持基板付配線基板は、支持基板と配線基板との間に配置された剥離層を有していてもよい。剥離層を有することにより、支持基板から配線基板を容易に剥離することができる。
【0083】
剥離層は、支持基板から配線基板を剥離しやすくすることが可能であれば特に限定されない。例えば、レーザー照射により剥離層が焼切られることにより、支持基板から配線基板を剥離しやすくする層であってもよい。この場合、剥離層に用いられる材料としては樹脂が挙げられる。剥離層に用いられる樹脂としては、例えば、「(3)絶縁層 (a)第1絶縁層」の項で説明した樹脂を挙げることができる。剥離層に用いられる樹脂としては、レーザー光の波長の吸収率が高い樹脂であることが好ましい。
【0084】
また、剥離層は、機械的な剥離方法により支持基板から配線基板を剥離する際に、支持基板から配線基板をはがれやすくする層であってもよい。この場合、剥離層の材料としては再剥離可能な接着剤が挙げられる。ここで、「再剥離可能」とは、接着剤を用いて貼り合せた部材を剥離した際に、各部材を損傷せずに剥離できることをいう。
【0085】
再剥離可能な接着剤としては、例えば、熱、光等を照射することで再剥離性を発現する接着剤であってもよい。このような接着剤としては、例えば、シリコーン系接着剤、セラミック系接着剤等の無機径接着剤、ポリマー系接着剤、ゴム系接着剤等の有機系接着剤、シリコーンポリマー系接着剤等の無機系―有機系ハイブリッド接着剤が挙げられる。なお、無機系接着剤及び有機系接着剤を混合させた接着剤等も用いることができる。
【0086】
剥離層の厚さについては、特に限定されず、剥離層の材料、配線基板および支持基板の材料等に応じて適宜調整することができる。
【0087】
4.製造方法
本開示の支持基板付配線基板の製造方法は、支持基板の一方の面側に所望の配線基板を形成することができれば特に限定されず、配線基板の材料、層構成に応じて適宜選択することができる。また、配線基板の各部材の形成方法については、上述した「1.配線基板」の各部材の項で説明した形成方法から適宜選択することができる。
【0088】
本開示の支持基板付配線基板の製造方法の例示として、以下に図1(a)および図2(a)に示される支持基板付配線基板10の製造方法について、図5および図6を用いて説明する。
【0089】
図5(a)~(e)は本開示の支持基板付配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。図5では、図1(a)に示される支持基板付配線基板10を製造する例を示している。まず、図5(a)に示すように、支持基板1上の全面に剥離層3を形成する。次に図5(b)に示すように、剥離層3上に所定のパターンを有する第1絶縁層22aを形成する。次に、図5(c)に示すように、第1絶縁層22aが配置された剥離層3上の全面に密着層23を形成する。次に、密着層23をシード層として用い、電解めっき法によりビアホール内に第1電極層となるビア電極層、第1絶縁層の上記支持基板とは反対側の表面に、他の電極層となる配線層を形成する。これにより図5(d)に示すように、所定のパターンを有する密着層23、ビア電極層である第1電極層21a、および面内配線層21bを形成する。さらに絶縁層および電極層の形成を繰り返し行い、さらに接続部を形成することにより、図5(e)に示すように、複数層の電極層21、複数層の絶縁層22、密着層23および接続部24を有する配線基板2を形成する。以上の工程により、支持基板付配線基板10を得ることができる。
【0090】
図6(a)~(e)は本開示の支持基板付配線基板の製造方法の他の例を示す工程図であり、図2に示される支持基板付配線基板10を製造する例を示している。まず、図6(a)に示すように、支持基板1上に剥離層3を形成する。次に図6(b)に示すように、剥離層3上にランド部となるパターンを有する第1電極層21aを形成する。次に、図6(c)に示すように、第1電極層21aが配置された剥離層3上の全面に密着層23を形成する。次に、図6(d)に示すように、密着層23上に所定のパターンを有する第1絶縁層22aを形成する。さらに絶縁層および電極層の形成を繰り返し行い、さらに接続部を形成することにより、図6(e)に示すように、複数層の電極層21、複数層の絶縁層22、密着層23および接続部24を有する配線基板2を形成する。以上の工程により、支持基板付配線基板10を得ることができる。
【0091】
配線基板の各部材の形成方法については、上述した「1.配線基板」の各部材の項で説明した形成方法から適宜選択することができる。
【0092】
B.配線基板
本開示の配線基板は、電極層と、樹脂を含有する絶縁層とを有し、支持基板を有しないコアレス構造を有する配線基板であって、上記配線基板は、表裏面の一方の面が上記支持基板と接していた平滑面であり、上記電極層は、上記平滑面に最も近い位置に配置された第1電極層を有し、上記絶縁層は、上記平滑面に最も近い位置に配置され、かつ上記第1電極層の側面に配置された第1絶縁層を有し、上記第1電極層の側面と、上記第1絶縁層との間の、少なくとも上記支持基板側領域に、密着層が配置されていることを特徴とするものである。
【0093】
本開示の配線基板について図を用いて説明する。図1(b)および(c)、並びに図2(b)および(c)は本開示の配線基板の一例を示す概略断面図である。図1(b)および(c)、並びに図2(b)および(c)に示す配線基板2は、電極層21と、樹脂を含有する絶縁層22とを有し、支持基板を有しないコアレス構造の配線基板である。配線基板2は、一方の面側に、配線基板を形成する際に上記支持基板と接していた面である平滑面Sを有し、最も平滑面S側に位置する電極層21を第1電極層21aとし、最も平滑面S側に位置し、上記第1電極層の側面に配置された絶縁層22を第1絶縁層22aとしたとき、第1電極層21aの側面と第1絶縁層22aとの間に密着層23が配置されている。
【0094】
本開示によれば、上記「A.支持基板付配線基板」の項で説明したものと同様の作用効果を奏することができる。すなわち、第1電極層の側面と第1絶縁層との間に密着層が配置されていることにより、支持基板から配線基板を剥離する際に第1電極層の側面が第1絶縁層から剥離することを抑制できる。
【0095】
本開示の配線基板においては、剥離面またはその近傍に位置する電極層の側面および絶縁層の間に隙間を生じると、後工程で処理液を用いる場合に、処理液が上述した剥離面の隙間に浸み込んで電極層が腐食するといった課題が生じる。これに対し、本開示の配線基板は、上述した隙間の発生を抑制することができるため、電気信頼性の高い配線基板を得ることができる。
【0096】
さらに、支持基板から配線基板を剥離する際に第1電極層の側面が第1絶縁層から剥離することを抑制できるので、本開示の配線基板は、上記支持基板側であった面を平滑面とすることが可能となり、上記平滑面側に他の部材を実装する際に不具合が生じる可能性を抑えることができる。
【0097】
1.平滑面
配線基板は、表裏面の一方の面側に平滑面を有する。本開示の配線基板においては、通常、平滑面は、配線基板を構成する少なくとも2層の部材が面一で配置されることにより構成される。例えば図1(b)に示すように、平滑面Sは、密着層23と第1絶縁層22aとが面一で配置されて構成されていてもよい。また例えば図1(c)および図2(c)に示すように、平滑面Sは、第1電極層21aと密着層23と第1絶縁層22aとが面一で配置されて構成されていてもよい。また例えば図2(b)に示すように、平滑面Sは、第1電極層21aと密着層23とが面一で配置されて構成されていてもよい。
【0098】
2.配線基板の部材
本開示の配線基板の部材については、上述した「A.支持基板付配線基板 1.配線基板」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。また、本開示の配線基板は、平滑面側に以下の構成を有していてもよい。
【0099】
(1)保護めっき層
例えば図7に示すように、配線基板2は、第1電極層21aの平滑面S側に配置された保護めっき層25を有していてもよい。保護めっき層は第1電極層を保護する機能を有する。また、保護めっき層は、配線基板の平滑面側に搭載される素子と、第1電極層とを接続させるための接続部として機能する。保護めっき層は、通常、平滑面Sから突出するように配置される。
【0100】
保護めっき層に用いられるめっき層としては、特に限定されないが、例えば、金、ニッケル、パラジウムおよび銀の少なくともいずれかを含む金属めっき層であることが好ましく、金めっき層であることがより好ましい。保護めっき層の形成方法としては、電解めっき法であってもよく、無電解めっき法であってもよい。
【0101】
(2)はんだ部
本開示の配線基板は、第1電極層の平滑面側に配置されたはんだ部を有していてもよい。はんだ部は第1電極層上に直接配置されていてもよく、上述した保護めっき層上に直接配置されていてもよい。はんだ部については、上述した「A.支持基板付配線基板 1.配線基板 (4)その他の部材 (ii)はんだ部」の項で説明した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
3.その他
本開示の配線基板は、例えば、上述した「A.支持基板付配線基板」の項で説明した支持基板付配線基板から配線基板を剥離することにより得ることができる。配線基板の剥離方法については、一般的なコアレス基板の製造方法において用いられる剥離方法として公知の方法を用いることができる。
【0103】
また、支持基板付配線基板から剥離された配線基板が、剥離面に密着層が配置された構成を有する場合、例えば図1(c)および図2(c)に示すように、必要に応じて剥離面の密着層を除去してもよい。密着層の除去方法は、一般的な金属層、無機酸化物層の除去方法として公知の方法を用いることができる。
【0104】
C.素子付配線基板積層体
本開示の素子付配線基板積層体は、上記「A.支持基板付き配線基板」で説明した支持基板付配線基板と、上記支持基板付配線基板の上記支持基板と反対側の面に実装された素子とを有することを特徴とする。
【0105】
本開示の素子付配線基板積層体について図を用いて説明する。図8は本開示の素子付配線基板積層体の一例を示す概略断面図である。図8に示される素子付配線基板積層体100は、支持基板付配線基板10と、支持基板付配線基板10の配線基板2に搭載された素子20とを有する。
【0106】
本開示によれば、上述した支持基板付配線基板を有することにより、素子が搭載された配線基板を支持基板から剥離した際に、剥離面または剥離面近傍の第1電極層の側面が第1絶縁層から剥離することを抑制することができる。
【0107】
1.支持基板付配線基板
支持基板付配線基板については、上述した「A.支持基板付配線基板」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0108】
2.素子
本開示における素子は、配線基板に搭載される部材である。素子は、能動素子であってもよく、受動素子であってもよく、機構素子であってもよい。また、素子は、半導体素子であることが好ましい。素子としては、例えば、トランジスタ、集積回路(例えばLSI)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、発光素子(例えばLED、OLED)、センサ、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バッテリーが挙げられる。
【0109】
3.その他
本開示の素子付配線基板積層体においては、上記素子付配線基板積層体から支持基板を剥離することにより、配線基板に搭載された素子とを有する素子付配線基板を得ることができる。素子付配線基板の用途としては、特に限定されないが、例えば、表示装置、情報処理端末(例えばパソコン、タブレット、スマートフォン)、車用品(例えば車用内装品、車用外装品)、プリント配線基板、電磁波シールド材、アンテナ、パワー半導体、ノイズフィルタが挙げられる。
【0110】
D.素子付配線基板
本開示の素子付配線基板は、上述した「B.配線基板」の項で説明した配線基板と、上記配線基板に実装された素子とを有することを特徴とする。
【0111】
本開示の素子付配線基板について図を用いて説明する。図9は本開示の素子付配線基板の一例を示す概略断面図である。図9に示される素子付配線基板200は、配線基板2と、配線基板2に搭載された素子20とを有する。
【0112】
本開示によれば、上述した配線基板を有することにより、例えば、配線基板の平滑面側とは反対側の面側に素子を搭載した場合は、素子付配線基板の平滑面側を他の部材と対向させて安定的に配置することができる。また、例えば、配線基板の平滑面側に素子を搭載した場合は、素子の傾きを抑制して配線基板に搭載することができる。
【0113】
本開示に用いられる配線基板については、上述した「B.配線基板」の項で説明した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本開示に用いられる素子、および素子付配線基板の用途については、上述した「C.素子付配線基板積層体 3.その他」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0114】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【実施例
【0115】
[実施例1]
図5(a)~(e)に示される手順により支持基板付配線基板10を作製した。支持基板1に無アルカリガラスを使用し、剥離層3としてポリイミド樹脂膜を形成した(図5(a))。その上に第1絶縁層21aとしてアクリル樹脂膜を形成し、所定のビアホールが形成できるようにフォトリソグラフィ法によって加工した(図5(b))。その上に、スパッタにより密着層23としてのTi層と、シード層(図示せず)としてのCu層を成膜した(図5(c))。その上にポジ型レジストを塗布し、同じくフォトリソ法で所定の配線形状が得られるように加工した。めっき法により、レジスト除去部にCuめっき配線を形成し、レジストを除去してビア電極層(第1電極層)21aおよび面内配線層21bとしてのCuめっき配線を得た。不要な部分のシード層と密着層を除去した(図5(d))。以上の工程により、支持基板上に第1絶縁層22a、密着層23、ビア電極層(第1電極層)21a、および面内電極層21bを形成した。上記と同様にフォトリソ法により絶縁層と配線層を繰り返し形成することで配線基板2を得た。以上の手順により、支持基板付配線基板10を得た(図5(e))。
【0116】
支持基板付配線基板の支持基板側よりレーザーを照射し、剥離層を除去した。配線基板の剥離面の逆面側にキャリアテープを張り付け、90°ピール試験に準拠した方法で配線基板を剥離し、コアレス構造の配線基板(コアレス基板)を得た。得られたコアレス基板を無電解めっき液で処理したところ、電極近傍にめっき液の染み込みは見られなかった。
【0117】
[比較例]
図10(a)~(e)に示される手順により支持基板付配線基板10’を作製した。支持基板1に無アルカリガラスを使用し、剥離層3としてポリイミド樹脂膜を形成した。その上にスパッタにより金属シード層4としてのCu層を形成した(図10(a))。その上にポジ型レジストを塗布し、フォトリソ法で所定のパッド形状が得られるように加工し、めっき法で第1電極層21aを形成した(図10(b))。次に、第1絶縁層22aとしてアクリル樹脂膜を形成し、所定のビアホールが形成できるようにフォトリソグラフィ法によって加工した(図10(c))。次に、スパッタによりシード層としてのCu層を成膜した。その上にポジ型レジストを塗布し、同じくフォトリソ法で所定の配線形状が得られるように加工した。めっき法により、レジスト除去部にCuめっき配線を形成し、レジストを除去した。不要な部分のシード層を除去した。これにより第1電極層21aとしてCuめっき配線を得た(図10(d))。上記と同様にフォトリソ法により絶縁層と配線層を繰り返し形成することで配線基板2を得た。以上の手順により、支持基板付配線基板10’を得た(図10(e))。
【0118】
支持基板付配線基板の支持基板側よりレーザーを照射し、剥離層3を除去した(図10(f)。配線基板2の剥離面の逆面側にキャリアテープを張り付け、90°ピール試験に準拠した方法で配線基板2を剥離しコアレス基板を得た(図10(g)。得られたコアレス基板の剥離面のシード層を除去したのち、無電解めっき液で処理したところ、電極近傍にめっき液の染み込みが見られた。
【0119】
[実施例2]
第1絶縁層を含む絶縁層としてポリイミド樹脂膜を形成し、密着層としてCr層を形成した点以外は、実施例1と同様にして支持基板付配線基板を得た。また、実施例1と同様にして支持基板から配線基板を剥離してコアレス基板を得た。得られたコアレス基板を無電解めっき液で処理したところ、電極近傍にめっき液の染み込みは見られなかった。
【符号の説明】
【0120】
1 … 支持基板
2 … 配線基板
3 … 剥離層
10 … 支持基板付配線基板
20 … 素子
21、21b、21c … 電極層
21a … 第1電極層
22、22b、22c … 絶縁層
22a … 第1絶縁層
23、23a、23b … 密着層
100 … 素子付配線基板積層体
200 … 素子付配線基板
S … 平滑面
図1
図2
図3
図4
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図10