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特許7379905配線基板、素子付配線基板および配線基板の製造方法
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  • 特許-配線基板、素子付配線基板および配線基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】配線基板、素子付配線基板および配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/40 20060101AFI20231108BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20231108BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231108BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H05K3/40 D
H05K3/42 620B
H01L23/12 F
H01L23/12 Q
H05K3/00 X
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019138040
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021022650
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】笹生 恵大
(72)【発明者】
【氏名】千吉良 敦子
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 宏
(72)【発明者】
【氏名】古庄 宏樹
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-97842(JP,A)
【文献】特開2000-114715(JP,A)
【文献】特開2000-173807(JP,A)
【文献】特開2000-307200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、
前記溝の内壁に配置され、前記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、
前記基板の表裏両面に配置され、前記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板であって、
前記側面導体および前記ランド部は、同一の導電材料で構成された導電層で一体に形成され、
前記側面導体および前記ランド部は、前記凹状の溝の内壁および前記基板の表裏両面における前記基板の側面側の領域には配置されていなく、
平面視において前記溝の深さが最も大きい部分を溝の最深部としたとき、前記基板の厚さ方向の中心部を含み、前記基板の表裏両面に平行な断面において、前記溝の最深部に配置された前記導電層の厚さが、前記溝の他の部分に配置された前記導電層の厚さよりも厚い、配線基板。
【請求項2】
前記側面導体および前記ランド部を構成する導電層が、ドライプロセスによる成膜層である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記側面導体および前記ランド部を構成する導電層が、めっき層を有するものである、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記溝部の形状が、楕円もしくは長円の短軸に沿って切断された形状である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の配線基板。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の配線基板に、機能性素子が搭載された、機能性素子付配線基板。
【請求項6】
切断により切断面に凹状の溝を形成する貫通孔が形成された被切断基板と、
前記貫通孔の内壁に配置され、前記被切断基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、
前記被切断基板の表裏両面に配置され、前記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板中間品であって、
前記側面導体および前記ランド部は、同一の導電材料で構成された導電層で一体に形成され、
前記側面導体および前記ランド部は、前記貫通孔が切断される切断領域には配置されていなく、
平面視において前記溝の深さが最も大きい部分を溝の最深部としたとき、前記被切断基板の厚さ方向の中心部を含み、前記被切断基板の表裏両面に平行な断面において、前記溝の最深部に配置された前記導電層の厚さが、前記溝の他の部分に配置された前記導電層の厚さよりも厚い、配線基板中間品。
【請求項7】
表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、
前記溝の内壁に配置され、前記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、
前記基板の表裏両面に配置され、前記側面導体と導通するランド部と、
前記ランド部と導通する面内配線と、を有する配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、
切断することにより前記凹状の溝が構成される貫通孔を有する被切断基板を準備する工程と、
切断することにより前記配線基板となる側の貫通孔の内壁、および切断することにより前記配線基板となる側の被切断基板の表面領域に、ドライプロセスによりシード層を形成する工程と、
前記被切断基板の主面における前記シード層が形成された領域の、平面視でランド部形成領域および面内配線形成領域を除いた領域に、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから露出しているシード層にめっき層を形成する工程と
前記レジストパターン及び前記レジストパターン直下の前記シード層を除去することにより、側面導体、ランド部、および面内配線を形成する工程と、
前記シード層および前記めっき層が形成されていない切断面で前記被切断基板を切断することで、前記側面導体、前記ランド部、および前記面内配線が形成された配線基板を製造する工程と、
を有し、前記配線基板において、平面視における前記溝の深さが最も大きい部分を溝の最深部としたとき、前記基板の厚さ方向の中心部を含み、前記基板の表裏両面に平行な断面において、前記溝の最深部に配置された前記シード層および前記めっき層の合計厚さが、前記溝の他の部分に配置された前記シード層および前記めっき層の合計厚さよりも厚い、配線基板の製造方法。
【請求項8】
表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、
前記溝の内壁に配置され、前記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、
前記基板の表裏両面に配置され、前記側面導体と導通するランド部と、
を有する配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、
切断することにより前記凹状の溝が構成される貫通孔を有する被切断基板を準備する工程と、
切断することにより前記配線基板となる側の貫通孔の内壁、および切断することにより前記配線基板となる側の被切断基板の表面領域に、ドライプロセスにより導電層を成形する工程と、
前記被切断基板の主面における前記導電層が形成された領域の、平面視でランド部形成領域に、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから露出している導電層を除去することにより、側面導体、およびランド部を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程と、
前記導電層が形成されていない切断面で前記被切断基板を切断することで、前記側面導体、および前記ランド部が形成された配線基板を製造する工程と、
を有し、前記配線基板において、平面視における前記溝の深さが最も大きい部分を溝の最深部としたとき、前記基板の厚さ方向の中心部を含み、前記基板の表裏両面に平行な断面において、前記溝の最深部に配置された前記導電層の厚さが、前記溝の他の部分に配置された前記導電層の厚さよりも厚い、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、側面導体を有する配線基板、素子付配線基板および配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機能素子を実装するための配線基板として、基板に形成された貫通電極の一部を切断し、表裏の導通を取るための側面導体が形成された配線基板を製造する方法が知られている。しかし、切断領域に金属層を有すると、切断時に金属層を巻き込み、側面導体の剥がれを引き起こしたり、切断自体が困難となるという問題があった。
【0003】
このような問題に対し、特許文献1では、表裏両面に至る凹溝状の切欠きが側面に設けられたセラミック基板と、上記切欠き内の壁面に設けられた導体とを備える配線基板において、上記セラミック基板の上記切欠きが、その幅方向両端部に位置して上記導体に被覆されない一対の露出壁面と、これら一対の露出壁面の間に位置して上記導体によって被覆される被覆壁面とを有し、この被覆壁面に設けられた上記導体が上記露出壁面を介して上記側面と離隔している配線基板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-153441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の配線基板は、導体の形成に導電ペーストを使用しており、充填後に導電ペーストに対して貫通孔を穿設している。本発明者らは、この方法では、穿設の際に導体に力が加わるため導体にひびが入ったり、剥れにより配線基板の信頼性が低下する恐れがあることを知見した。また、上記導体と基板面内の面内配線とを接続する際、接続界面において高抵抗となったり、破壊強度が低下する問題等が生じる可能性があることを知見した。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされた発明であり、貫通電極を有する被切断基板を切断して得られる側面導体を有する配線基板において、製造が容易で、側面導体の剥がれや高抵抗化等が抑制された、信頼性の高い側面導体を有する配線基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は、表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、上記溝の内壁に配置され、上記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板であって、上記側面導体および上記ランド部は、同一の導電材料で構成された導電層で一体に形成され、上記側面導体および上記ランド部は、上記凹状の溝の内壁および上記基板の表裏両面における上記基板の側面側の領域には配置されていない、配線基板を提供する。
【0008】
本開示によれば、製造が容易であり、側面導体の剥がれや高抵抗化等が抑制された、信頼性の高い側面導体を有する配線基板を提供することができる。
【0009】
本開示においては、上記側面導体および上記ランド部を構成する導電層が、ドライプロセスによる成膜層であることが好ましい。ドライプロセスにより成膜された導電層は、基板との密着性が高く、均質な膜となる。そのため、配線剥がれによる断線を確実に防止することができ、また、低抵抗な配線を形成できるため、信頼性の高い配線が形成可能となる。
【0010】
また、上記側面導体および上記ランド部を構成する導電層が、めっき層を有するものであることが好ましい。導電層の膜厚を厚くすることが可能であり、抵抗を下げることができるからである。
【0011】
さらに、上記溝部の平面視形状が、楕円もしくは長円の短軸に沿って切断された形状であることが好ましい。上記溝部が複数形成され、そのピッチが極めて狭い場合でも、上記側面導体の形成を容易とするからである。
【0012】
また、本開示では、上述の配線基板に、機能性素子が搭載されたことを特徴とする、素子付配線基板を提供する。
【0013】
また、本開示では、切断により切断面に凹状の溝を形成する貫通孔が形成された被切断基板と、上記貫通孔の内壁に配置され、上記被切断基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記被切断基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板中間品であって、上記側面導体および上記ランド部は、同一の導電材料で構成された導電層で一体に形成され、上記側面導体および上記ランド部は、上記貫通孔が切断される切断領域には配置されていない、配線基板中間品を提供する。
【0014】
このような配線基板中間品であれば、被切断基板の切断面に導電層が形成されていないため、被切断基板の切断工程の際に、導電層は切断せずに、被切断基板のみを切断することとなる。そのため、切断時に側面導体の剥がれ等が発生するのを防止でき、切断自体も容易となる。
【0015】
また、本開示では、表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、上記溝の内壁に配置され、上記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、上記ランド部と導通する面内配線と、を有する配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、切断することにより上記凹状の溝が構成される貫通孔を有する被切断基板を準備する工程と、切断することにより上記配線基板となる側の貫通孔の内壁、および切断することにより上記配線基板となる側の被切断基板の表面領域に、ドライプロセスによりシード層を形成する工程と、上記被切断基板の表面における上記シード層が形成された領域の、平面視でランド部形成領域および面内配線領域を除いた領域に、レジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンから露出しているシード層にめっき層を形成する工程と、上記レジストパターン及び上記レジストパターン直下の上記シード層を除去することにより、側面導体、ランド部、および面内配線を形成する工程と、上記シード層および上記めっき層が形成されていない切断面で上記被切断基板を切断することで、上記側面導体、上記ランド部、および上記面内配線が形成された配線基板を製造する工程と、を有する配線基板の製造方法を提供する。
【0016】
また、本開示では、表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、上記溝の内壁に配置され、上記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、切断することにより上記凹状の溝が構成される貫通孔を有する被切断基板を準備する工程と、切断することにより上記配線基板となる側の貫通孔の内壁、および切断することにより上記配線基板となる側の被切断基板の表面領域に、ドライプロセスにより導電層を成形する工程と、上記被切断基板の表面における上記導電層が形成された領域の、平面視でランド部形成領域に、レジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンから露出している導電層を除去することにより、側面導体、およびランド部を形成する工程と、上記レジストパターンを除去する工程と、上記導電層が形成されていない切断面で上記被切断基板を切断することで、上記側面導体、および上記ランド部が形成された配線基板を製造する工程と、を有する配線基板の製造方法を提供する。
【0017】
このような本開示の配線基板の製造方法であれば、被切断基板の切断工程の際に、導電層は切断せずに、被切断基板のみを切断することとなるため、側面導体の剥がれを防止でき、切断自体も容易となる。そして、側面導体の剥がれや接続界面における高抵抗化等が抑制された、信頼性の高い側面導体を有する配線基板を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の配線基板は、製造が容易であり、側面導体の剥がれ等が生じにくい、信頼性の高い側面導体を有する配線基板となる、といった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の配線基板の側面近傍の斜視図(A)と側面近傍の上面図(B)、及び図1(B)のa-b-cの展開図(C)、図1(C)のA-A’の膜厚分布を示すグラフ(D)である。
図2】本開示の素子付配線基板の一例を示す概略断面図である。
図3】本開示の配線基板の製造方法の一例を例示する工程図である。
図4】本開示の配線基板の製造方法の他の例を例示する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0021】
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
【0022】
上述のように、従来の側面導体を有する配線基板は、側面導体の剥がれ等を十分に抑制できるものではなかった。また、側面導体を基板面内の面内配線と接続する場合には、接続界面において高抵抗となったり、破壊強度の低下等が生じる恐れがあり、信頼性に劣るものであった。
【0023】
本発明者らは、側面導体、および上記側面導体と接続されるランド部とが一体成形された導電層からなるものとし、かつ、上記側面導体と上記ランド部とが、上記凹状の溝の内壁および上記基板の表裏両面における上記基板の側面側の領域には配置されていない配線基板とすることで、製造が容易で、側面導体の剥がれや接続界面における高抵抗化等が抑制された、信頼性の高い側面導体を有する配線基板となることを見出した。
【0024】
本開示は、配線基板、素子付配線基板、配線基板中間体、および配線基板の製造方法に関する技術である。以下、詳細を説明する。
【0025】
A.配線基板
本開示の配線基板は、表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、上記溝の内壁に配置され、上記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板であって、上記側面導体および上記ランド部は、同一の導電材料で構成された導電層で一体に形成され、上記側面導体および上記ランド部は、上記凹状の溝の内壁および上記基板の表裏両面における上記基板の側面側の領域には配置されていない、配線基板である。
【0026】
本開示の配線基板について図を用いて説明する。図1(A)は本開示の配線基板における側面近傍を示す斜視図であり、図1(B)は、図1(A)に示す側面近傍の概略上面図である。図1(C)は、図1(A)に示す本開示の配線基板の側面のa-b-cの展開図である。また、図1(D)は、図1(C)のA-A’線における導電層の厚み分布を示すグラフである。なお、図1(D)に示す厚み分布は、ドライプロセスで成膜した場合のものであり、導電層がドライプロセスによる成膜層である場合や、めっき層を用いる場合のシード層がドライプロセスで成膜された層である場合の厚み分布を示すものである。
【0027】
図1(A)、(B)、(C)に示すように、本開示の配線基板10は、表裏両面に至る凹状の溝Hが側面に設けられた基板1と、上記溝の内壁の少なくとも一部の領域に形成された側面導体2と、上記側面導体2と連続的に形成されたランド部4とを有する。本開示においては、上記側面導体2と上記ランド部4とは一体成形された導電層からなり、上記側面導体2と上記ランド部4は、上記溝が設けられた上記基板の側面の上記溝を除く側面端面(図1中1a)には形成されない。図1(A)、(B)、(C)では、配線基板10は、さらに、側面導体2とランド部4で電気的に接続される面内配線3を有する。
【0028】
本開示によれば、上記凹状の溝の内壁および上記基板の表裏両面における上記基板の側面側の領域に導電層を有さないため、上記基板の側面には導電層が露出していない。このため、実装工程、輸送工程等で外部と接触する際に導電層の剥がれ等の発生を抑制することができる。また、側面導体とランド部とが一体で形成されているため、接続界面等における高抵抗化や、破壊強度の低下を防止することができる。さらに、このような配線基板は、その製造工程中の被切断基板の切断工程の際に、導電層は切断せずに、基板のみを切断することで製造することができるため、製造が容易である。
以下、本開示の配線基板の各構成について説明する。
【0029】
1.基板
本開示における基板は、表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板である。基板としては、一般的な配線基板に用いられる基板の材料と同様とすることができ、特に限定されない。例えば、ガラス基板、セラミック基板、樹脂基板、シリコン基板、石英基板、サファイア基板等の無機材料からなる基板を挙げることができる。基板がガラス基板である場合、用いられるガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等を挙げることができる。また、基板が樹脂基板である場合、用いられる樹脂としては、例えば、ポリイミドを挙げることができる。基板は、機械強度を有することから無機材料からなる基板が好ましく、中でも汎用性があることから、ガラス基板が好適に用いられる。
上記基板の形状は、配線基板の用途等に応じて任意の形状とすることができ、通常は矩形状のものが用いられる。
【0030】
上記基板の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.1mm~1mmであり、中でも、0.3mm~0.7mmである。
このような厚さの基板であれば、側面導体の信頼性に更に優れ、かつ、強度の高い配線基板となる。
また、後述するように、基板は大判基板である被切断基板を切断面で切断することにより得られるものである。そのため、被切断基板の切断面が基板の側面端面となる。
【0031】
2.溝
溝は、基板の側面に設けられた、基板の表裏両面に至る凹状のものである。溝は、基板の側面のうち、少なくとも一面に設けられており、基板の一側面に、1以上、通常は2以上設けられていることが好ましい。すなわち、基板の一側面には、後述する側面導体が通常2以上形成される。
【0032】
溝の上面視形状としては、後述する「D.配線基板の製造方法 (1)第一実施形態 (1)貫通孔を有する被切断基板準備工程」で説明する貫通孔の開口部を、所定の位置で切断した形状となる。具体的には、特に限定させるものではないが、円を切断した半円形状、楕円や長円等のオーバル形状をその短軸に沿って切断した形状等を挙げることができる。
【0033】
具体的には、溝の深さ(図1中 D)としては、特に限定されないが、5μm以上500μm以下、特には、10μm以上150μm以下が好ましい。また、溝の幅(図1中 W)としては、特に限定されないが、5μm以上500μm以下、特には、20μm以上300μm以下が好ましい。
【0034】
また、溝のピッチ(即ち、隣り合う溝の最深部間の距離)は、特に限定されないが、20μm以上10mm以下、特には、30μm以上500μm以下が好ましい。
【0035】
3.側面導体
図1(A)、(C)に示すように、側面導体2は、基板1の上下両面(表裏両面)に至る溝の内壁1bに形成されているが、溝が設けられた基板の側面の、溝を除く側面端面1aには形成されない。中でも、上記凹状の溝の内壁における上記基板の側面側の領域に導電層を有さないものである。すなわち、上記溝内で、導電層からなる側面導体が、基板が露出した領域を上記基板の側面側に有し、上記領域で両側を囲まれて形成されていることが好ましい。
【0036】
したがって、溝内壁に形成された導電層からなる側面導体は、基板が露出した領域により基板の側面と離隔されたものとなり、この領域が、導電層からなる側面導体が配置されない溝内壁における上記基板の側面側の領域となる。この場合、導電層と基板側面との最短距離、即ち上記側面側の領域の最短幅(図1中(L))は、1μm以上500μm以下、特には、5μm以上100μm以下が好ましい。
【0037】
後述するように、側面導体とランド部とを導電層で一体形成する方法がドライプロセスによる場合、導電層は、図1(C)に示されるように、展開図において上記基板の厚み方向中心付近の幅が狭く形成される。また、図1(D)に示す導電層の厚み分布に示されるように、溝の内壁に形成される導電層の厚みは、溝の最深部となる部分の厚みが最も厚くなり、側面端面に近いほど薄くなる。
【0038】
すなわち、側面導体は、溝の最深部(図1中b)が、溝の内壁の側面導体の他の部分の厚みよりも厚いものとなる。なお、側面導体が、ドライプロセスによる成膜層をシード層としてめっき層を成長させた層である場合、めっき層の厚さは溝内壁の場所に関わらず通常一定であるため、溝の内壁に形成される導電層の厚み分布は、ドライプロセスによる成膜層(シード層)の膜厚分布に依存し、溝の最深部となる部分の厚みが最も厚くなり、側面端面に近いほど薄くなる。
【0039】
本開示における側面導体を構成する導電層がこのような厚み分布を有することにより、例えば、ドライプロセスにより形成されたシード層が、溝最深部が厚く、側壁端面に近いほど薄くなるため、シードエッチングする際に、断線なく切断領域付近の金属層を除去し易いという利点、切断時や使用時において溝端部にチッピングが発生し配線に達した際にも溝最深部の導電層の厚みが厚いことで抵抗値への影響を抑えることができる、といった利点を有する。
【0040】
4.ランド部
本開示におけるランド部は、上記側面導体と、同一の導電材料で構成された導電層で一体に形成される部位であり、典型的には、上記側面導体と、基板の主面上に形成された面内配線とを電気的に接続する部位である。上記ランド部は、上記基板の両主面上に形成され、さらに上記ランド部は、上記基板の表裏両面における上記基板の側面側の領域には配置されていない。
【0041】
具体的に、上記基板の側面から上記ランド部までの距離、すなわち上記基板の表裏両面における上記基板の側面側の上記ランド部が配置されていない領域の距離としては、1μm~500μmの範囲内、中でも、5μm~100μmの範囲内であることが好ましい。
上記範囲より小さい場合は、切断精度によっては、切断の際にランド部を構成する導電層が切断されてしまう可能性が生じるからであり、上記範囲より大きい場合は、上記ランド部の大きさが小さくなってしまうからである。
【0042】
上記ランド部の平面視外形形状としては、配線基板の用途等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。ランド部の平面視外形形状は、例えば、後述する貫通孔の外周形状を切断した外周形状(半円弧、楕円弧等)を有する形状とすることができる。
【0043】
ランド部の厚みとしては、特に限定されないが、0.1μm以上50μm以下、特には、0.2μm以上5μm以下が好ましい。
このような厚みであれば、側面導体と面内配線との電気的接続性が良好となる。
【0044】
5.側面導体およびランド部
上記側面導体および上記ランド部は、一体成形された導電層からなる。この導電層は、好ましくは、ドライプロセスによる成膜層、または、ドライプロセスによる成膜層をシード層としてめっき層を成長させた層であることが好ましい。
【0045】
本開示における上記側面導体および上記ランド部を構成する導電層が、このように少なくともドライプロセスによる成膜層を有するものであることで、配線剥がれによる断線を確実に防止することができ、また、低抵抗な導電層を形成できるため、信頼性の高い導電層が形成可能となる。これは、ドライプロセスにより成膜された導電層は、基板との密着性が高く、均質な膜であるためである。ドライプロセスとしては、蒸着法、スパッタリング法等が挙げられ、中でもスパッタリング法が密着性の観点から好ましい。
【0046】
ドライプロセスによる成膜層の材料としては、シード層の場合は、一般的なめっき法におけるシード層に用いられる材料から適宜選択することができる。シード層の材料は、基板に対して密着性を有する導電性材料であることが好ましく、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ニッケル、クロム、アルミニウム、これらの化合物、これらの合金等を挙げることができる。めっき層が銅を含む場合、シード層の材料は、銅が基板の内部に拡散するのを抑制することができる材料であることが好ましく、例えば、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タンタル等を挙げることができる。めっき層の材料としては、シード層に対して密着性を有する導電性材料であることが好ましい。例えば、めっき層の材料として、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属又はこれらを用いた合金など、あるいはこれらを積層したものを使用することができる。
【0047】
一方、ドライプロセスによる成膜層を、導電層として用いる場合の材料としては、例えば、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズなどを含む金属又はこれらを用いた合金等を挙げることができる。
【0048】
6.面内配線
本開示の配線基板では、少なくとも一方の基板主面上に、上記ランド部により上記側面導体と電気的に接続される、面内配線が設けられたものであることが好ましい。面内配線を構成する導電層は、導電性材料を含む導電性構造物であればよく、所望される機能や目的に応じて、線状の配線層や、各種端子、電極、センサ等として、任意の寸法において設けることができる。
【0049】
上記面内配線を構成する材料は導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、金属の単体や合金、金属化合物などを用いることができる。
本開示においては、面内配線は、上記側面導体および上記ランド部と、一体成形された導電層からなることが好ましい。そのため、面内配線も、側面導体及びランド部と同一
の導電体材料からなるものであることが好ましく、ドライプロセスによる成膜層、該成膜層とめっき層との積層体が挙げられる。
【0050】
このように、面内配線が、上記側面導体および上記ランド部と一体形成されたものであれば、特に、ランド部と面内配線との接続界面等における高抵抗化や、破壊強度の低下を防止することができる。
【0051】
7.その他
本開示の配線基板は、上述した面内配線が、絶縁層を介して多層に形成された多層配線層を有するものであってもよい。また、後述する機能性素子と接続するための端子部等を有するものであってもよい。
【0052】
B.素子付配線基板
本開示では、上述した「A.配線基板」に機能性素子が搭載されたことを特徴とする、素子付配線基板を提供する。素子付配線基板について、図2に本開示の素子付配線基板の一例を示す概略図を挙げて説明する。
【0053】
図2に示す本開示の素子付配線基板100は、上述の側面導体4を有する配線基板10と、多層配線層20と、多層配線層20と電気的に接続される機能性素子30とを有するものである。側面導体4によって配線基板の表裏面の導通を取っている。以下、図2に示す素子付配線基板について詳述する。
【0054】
1.配線基板
配線基板としては、上述した「A.配線基板」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0055】
2.多層配線層
多層配線板は、複数の絶縁層及び配線層を有する。配線層は、下方から上方に向けて順次に配置されており、それぞれが絶縁層によって電気的に絶縁されている。なお、絶縁層は、樹脂等の絶縁材料で構成される層である。また、配線層は、金属等の導電性材料のパターンで構成される配線を有する層である。配線層間は、導電性ビア等の層間接続部で電気的に接続されている。
【0056】
3.機能性素子
機能性素子としては、例えば、トランジスタ、ダイオード、IC等の半導体素子およびセンサ、受動素子、バイオチップ等を挙げることができる。
【0057】
C.配線基板中間品
本開示では、切断により切断面に凹状の溝を形成する貫通孔が形成された被切断基板と、上記貫通孔の内壁に配置され、上記被切断基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記被切断基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板中間品であって、上記側面導体および上記ランド部は、同一の導電材料で構成された導電層で一体に形成され、上記側面導体および上記ランド部は、上記貫通孔が切断される切断領域には配置されていない、配線基板中間品を提供する。
【0058】
このような配線基板中間品であれば、被切断基板の切断面には上記側面導体および上記ランド部を構成する導電層が形成されていないため、被切断基板の切断工程の際に、導電層は切断せずに、被切断基板のみを切断することとなる。そのため、切断時に上記側面導体の剥がれ等が発生するのを防止でき、切断自体も容易なものものとなる。
【0059】
1.貫通孔が形成された被切断基板
貫通孔が形成された被切断基板は、切断により切断面に凹状の溝を形成する基板であり、後述する「D.配線基板の製造方法 (1)貫通孔を有する被切断基板準備工程」で説明するものと同様のものが挙げられる。
【0060】
2.側面導体
本開示における側面導体は、切断面に対して配線基板となる側の、貫通孔の一部領域に形成された導電層からなるものである。側面導体は、ランド部と一体成形された導電層であり、このような導電層材料としては、前述した「A.配線基板 5.側面導体及びランド部」で説明したものと同様のものが挙げられる。
側面導体を構成する導電層の形成状態については、上述した前述した「A.配線基板 3.側面導体」で説明したのと同様とすることができる。
【0061】
3.ランド部
本開示におけるランド部は、側面導体と連続的に形成された部位であり、典型的には、上記側面導体と、基板の少なくとも一方の主面上に形成された面内配線とを電気的に接続する部位である。ランド部の平面視外形形状、厚み、材質等は、上述した「A.配線基板 4.ランド部」、「A.配線基板 5.側面導体及びランド部」と同様のものが挙げられる。
【0062】
4.面内配線
面内配線は、上述した「A.配線基板 6.面内配線」と同様のものが挙げられる。
【0063】
5.その他
本開示における配線基板中間品は、後述する「D.配線基板の製造方法」において説明する、図3(H)および図4(G)において、配線基板中間品50として示されるものでる。なお、これらの例では、貫通孔Hの一方の側にのみ、上記側面導体、上記ランド部、および上記面内配線を形成しているが、本開示においてはこれに限定されるものではなく、貫通孔Hの他方の側に同様の上記側面導体、上記ランド部、および上記面内配線を形成してもよい。一つの被切断基板から、切断により二つの配線基板を得ることができるからである。この点は、後述する「D.配線基板の製造方法」においても、同様である。
【0064】
D.配線基板の製造方法
以下、本開示の配線基板の製造方法について、図3(第一実施形態)、図4(第二実施形態)を用いて詳述する。第一実施形態は、配線の形成を、スパッタリング層等のドライプロセスによる成膜層をシード層として用い、めっき層を形成して配線とする方法、第二実施形態は、スパッタリング層等のドライプロセスによる成膜層をのみを導電層として形成して配線とする方法である。
【0065】
1.第一実施形態
本実施形態では、表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、上記溝の内壁に配置され、上記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、上記ランド部と導通する面内配線と、を有する配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、切断することにより上記凹状の溝が構成される貫通孔を有する被切断基板を準備する工程と、切断することにより上記配線基板となる側の貫通孔の内壁、および切断することにより上記配線基板となる側の被切断基板の表面領域に、ドライプロセスによりシード層を形成する工程と、上記被切断基板の表面における上記シード層が形成された領域の、平面視でランド部形成領域および面内配線形成領域を除いた領域に、レジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンから露出しているシード層にめっき層を形成する工程と、上記レジストパターン及び上記レジストパターン直下の上記シード層を除去することにより、側面導体、ランド部、および面内配線を形成する工程と、上記シード層および上記めっき層が形成されていない切断面で上記被切断基板を切断することで、上記側面導体、上記ランド部、および上記面内配線が形成された配線基板を製造する工程と、を有する配線基板の製造方法を提供する。以下、各工程について詳述する。
【0066】
(1)貫通孔を有する被切断基板準備工程
本工程は、切断することにより上記凹状の溝が構成される貫通孔Hを有する被切断基板1を準備する工程である(図3(A)、(B))。被切断基板は、後工程において、切断ラインによって切断される基板である。被切断基板の形状としては、特に限定されないが、通常は矩形状のものが用いられる。また、被切断基板の大きさとしては、特に限定されず、製造される配線基板の使用用途に応じて適宜選択することができる。
【0067】
被断面基板の材質としては、上述した「A.配線基板 1.基板」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0068】
貫通孔の開口部の平面視形状としては、例えば、円形状や、楕円形状、長円形状等を挙げることができる。貫通孔の大きさは、適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、円形状であれば直径が、20μm以上300μm以下が好ましい。
また、楕円形状や長円形状であれば、その短軸直径が20μm以上300μm以下であり、長軸直径が20μm以上500μm以下が好ましい。
【0069】
貫通孔の形成方法としては、例えば、プラズマエッチングやウェットエッチング等のエッチング、レーザ照射、またはサンドブラストや超音波ドリル等の機械的な加工法が挙げられる。
【0070】
(2)シード層形成工程
本工程は、切断することにより上記配線基板となる側の貫通孔の内壁、および切断することにより上記配線基板となる側の被切断基板の表面領域に、ドライプロセスによりシード層を形成する工程である。
具体的方法としては、まず、図3(C)に示さすように、レジスト層5を基板の主面全体に形成し、リソグラフィにより、切断面に対し、配線基板となる側の基板表面上に形成されたレジスト層を基板上から除去する。
【0071】
レジスト層としては、液体レジストでも良いが、ドライフィルムレジストから形成された層であることが好ましい。ドライフィルムレジストであれば、基板に貼合した際に貫通孔の内部にレジストが侵入する恐れがないからである。
【0072】
ドライフィルムレジストは、典型的には、フィルム層と、上記フィルム層の一方の面側に配置され樹脂組成物を含有するレジスト層とを有する。フィルム層としてはドライフィルムレジストに用いられる一般的なフィルムを挙げることができる。また、レジスト層に用いられる樹脂組成物としては、感光性を有する樹脂からなるものであれば良く、ポジ型であっても、ネガ型であっても良く、具体的には、エポキシ系DFRや、アクリル系DFRを挙げることができる。
【0073】
尚、上記では、感光性を有するレジスト層を基板の主面全体に形成し、リソグラフィにより、切断面に対し配線基板となる側の基板表面上に形成されたレジスト層を基板上から除去する場合を示しているが、本工程では、このような感光性を有するレジスト層に限定されない層やフィルムも使用することができる。具体的には、図3(C)のように配線基板となる側とは反対側の基板表面のみを覆うことができ、かつ、後工程で除去することができる層やフィルムであれば、特に限定されず、例えば、感光性を有さないフィルムも使用することができる。
【0074】
感光性を有さないフィルムとしては、例えば、接着面を有するポリエチレンテレフタレート(PET)系、ポリイミド(PI)系、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系、ポリプロピレン(PP)系、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)系、エポキシ系、アクリル系のフィルムなど挙げられる。
【0075】
次いで、切断面に対し配線基板となる側の、貫通孔の内壁の少なくとも一部の領域と、上記被切断基板の主面上にシード層6を一体成形する(図3(D)、(E))。本工程では、まず、PVD法やCVD法などの蒸着法、スパッタリング等を含むドライプロセスによる成膜法にてシード層を主面全面に形成する。次いで、貼合していたドライフィルムを除去(リフトオフ)する。これにより、切断面に対し配線基板となる側の、被切断基板に設けられた貫通孔の内壁の少なくとも一部と、上記被切断基板の主面上に導電層を一体成形する。
【0076】
シード層材料としては、上述した「A.配線基板 5.側面導体及びランド部」と同様のものが例示される。
【0077】
(3)レジストパターン形成工程
本工程は、上記被切断基板の主面における上記シード層が形成された領域の、平面視でランド部形成領域および面内配線形成領域を除いた領域に、レジストパターン7を形成する工程である(図3(F))。具体的には、ドライフィルムレジストを貼合し、フォトリソグラフィ等によりパターニングして、ランド部形成領域、および面内配線形成領域のレジスト層を除去する。ドライフィルムとしては、上記「(2)シード層形成工程」で説明したものと同様のものが挙げられる。
【0078】
(4)めっき工程
次いで、上記レジストパターンから露出しているシード層にめっき層8を形成する工程を施す(図3(G))。具体的には、基板をめっき液に浸漬し、レジストパターンから露出した領域に電解めっき法でめっきを成長させる。これにより、側面導体、ランド部、および面内配線が形成される。
めっき材料としては、前述した「A.配線基板 5.側面導体及びランド部」で説明したものと同様のものが挙げられる。
【0079】
(5)レジストパターン及びシード層除去工程
次いで、上記レジストパターン及び上記レジストパターン直下の上記シード層を除去することにより、側面導体、ランド部、および面内配線を形成する工程を行う(図3(H))。具体的には、レジストパターンを除去し、レジストパターン直下のシード層をエッチング等により除去する。これにより、側面導体、ランド部、及び面内配線が形成される。レジストパターンの除去、及びシード層のエッチングとしては、従来公知の方法を採用することができる。
【0080】
(6)切断工程
次いで、貫通孔を分断するように、上記シード層および上記めっき層が形成されていない切断面で上記被切断基板を切断する(図3(I))。これにより、側面導体、ランド部4、および面内配線3が形成された配線基板10が製造される。
被切断基板の切断方法としては、特に限定されないが、レーザー切断、スクライブ切断、およびダイシング切断等が挙げられる。
【0081】
このような本実施形態の配線基板の製造方法であれば、被切断基板の切断工程の際に、導電層は切断せずに、被切断基板のみを切断することとなるため、側面導体の剥がれを防止でき、切断自体も容易となる。
【0082】
2.第二実施形態
本実施形態では、表裏両面に至る凹状の溝が側面に設けられた基板と、上記溝の内壁に配置され、上記基板の表裏両面間に連続して形成された側面導体と、上記基板の表裏両面に配置され、上記側面導体と導通するランド部と、を有する配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、切断することにより上記凹状の溝が構成される貫通孔を有する被切断基板を準備する工程と、切断することにより上記配線基板となる側の貫通孔の内壁、および切断することにより上記配線基板となる側の被切断基板の表面領域に、ドライプロセスにより導電層を成形する工程と、上記被切断基板の表面における上記導電層が形成された領域の、平面視でランド部形成領域に、レジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンから露出している導電層を除去することにより、側面導体、およびランド部を形成する工程と、上記レジストパターンを除去する工程と、上記導電層が形成されていない切断面で上記被切断基板を切断することで、上記側面導体、および上記ランド部が形成された配線基板を製造する工程と、を有する配線基板の製造方法を提供する。
【0083】
(1)貫通孔を有する被切断基板準備工程
本工程は、切断することにより上記凹状の溝が構成される貫通孔を有する被切断基板を準備する工程である(図4(A)、(B))。本工程で準備する貫通孔を有する被切断基板は、上述した「D.配線基板の製造方法 1.第一実施形態 (1)貫通孔を有する被切断基板準備工程」の工程で説明したのと同様の手法で準備することができる。
【0084】
(2)導電層形成工程
本工程は、切断面に対し配線基板となる側の、被切断基板に設けられた貫通孔の内壁の少なくとも一部の領域と、被切断基板の少なくとも一方の主面上にドライプロセスによる導電層6を一体成形する工程である(図4(C)、(D)、(E))。具体的方法としては、上述した「D.配線基板の製造方法 1.第一実施形態 (2)シード層形成工程」の工程で説明したドライプロセスによるシード層の形成方法と同様の方法とすることができる。
【0085】
(3)レジストパターン形成工程
本工程は、上面視で少なくともランド部形成領域に、レジストパターン7を形成する工程である(図4(F)。具体的には、ドライフィルムレジストを少なくとも一方の主表面全面に貼合し、フォトリソグラフィ等によりパターニングして、ランド部形成領域に、レジストパターンを形成する。この際、ランド部領域に加え、面内配線形成領域にも、レジストパターンを形成することが好ましい。ドライフィルムとしては、「D.配線基板の製造方法 1.第一実施形態 (2)シード層形成工程」で説明したものと同様のものが挙げられる。
【0086】
(4)側面導体、ランド部、および面内配線形成工程
本工程は、レジストパターンから露出している導電層を除去することにより、上記側面導体、およびランド部を形成する工程である。
この際、通常は上記面内配線も同時に形成される。
【0087】
(5)レジストパターンの除去工程
本工程は、レジストパターンを除去する工程である(図4(G))。レジストパターンの除去方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
【0088】
(6)切断工程
本工程は、貫通孔を分断するように、導電層が形成されていない切断面で被切断基板を切断する工程である(図4(H))。これにより、側面導体、ランド部4、及び必要に応じて面内配線3が形成された配線基板10が製造される。
切断方法としては、上述した「D.配線基板の製造方法 1.第一実施形態 (6)切断工程」と同様の方法を用いることができる。
【0089】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0090】
1 … 基板
2 … 側面導体
3 … 面内配線
4 … ランド部
10 … 配線基板
100… 素子付配線基板
図1
図2
図3
図4