(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電気駆動車両の冷却装置
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20231108BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20231108BHJP
B60K 6/22 20071001ALI20231108BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20231108BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20231108BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231108BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20231108BHJP
B60L 53/22 20190101ALI20231108BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20231108BHJP
【FI】
B60K1/04 Z ZHV
B60K11/02
B60K6/22
B60K6/46
B60L9/18 J
B60L15/20 Z
B60L50/61
B60L53/22
B60L58/10
(21)【出願番号】P 2019151312
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清見原 辰典
(72)【発明者】
【氏名】泉 裕郷
(72)【発明者】
【氏名】長野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】北岡 宏隆
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-312325(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045771(WO,A1)
【文献】特開2005-333747(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041961(WO,A1)
【文献】特開2013-074642(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108340759(CN,A)
【文献】特開2017-004919(JP,A)
【文献】特開2011-068188(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015122196(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0050605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 11/02
B60K 6/22
B60K 6/46
B60L 9/18
B60L 15/20
B60L 50/61
B60L 53/22
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータルーム内に配設されかつ、車両を駆動させるための電気モータと、
前記電気モータを含む電気回路に対して接続される電気機器と、
前記電気モータ及び前記電気機器に接続されかつ、前記電気モータ及び前記電気機器を冷却する冷却液が循環する冷却液回路と、
前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を送り出すポンプと、
前記冷却液回路に接続されかつ、気泡を前記冷却液から分離するデガスタンクと、を備え、
前記冷却液回路は、前記電気モータ、前記電気機器、前記ポンプ、及び、前記デガスタンクを直列に接続し、
前記デガスタンクは、上下方向の上段に配設され、
前記電気モータ
、及び、前記ポン
プは、前記上段よりも低い下段に配設され、
前記電気機器は、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設され、
前記冷却液回路は、前記デガスタンク、前記
電気機器、
前記ポンプ、及び、前記
電気モータを、この順番に接続し、
前記冷却液は、前記デガスタンクから、前記
電気機器、
前記ポンプ、及び、前記
電気モータの順に流れる電気駆動車両の冷却装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の電気駆動車両の冷却装置において、
前記電気機器は、直流電流の電圧を変更するDC/DCコンバータと、前記電気モータへ交流電流を出力するインバータと、を含んでおり、
前記インバータは、前記DC/DCコンバータよりも下に配設され、
前記DC/DCコンバータと前記インバータとは、前記冷却液回路において順番に並ぶように接続され、
前記冷却液は、前記DC/DCコンバータから前記インバータへ流れる電気駆動車両の冷却装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の電気駆動車両の冷却装置において、
エンジンに結合したジェネレータと、前記ジェネレータが発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータと、を備え、
前記エンジン及び前記ジェネレータは、前記下段に配設され、
前記コンバータは、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設され、
前記冷却液回路は、前記電気機器、前記コンバータ、及び、前記ジェネレータを、この順番に接続し、
前記冷却液は、前記電気機器、前記コンバータ、及び、前記ジェネレータの順番に流れる電気駆動車両の冷却装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の電気駆動車両の冷却装置において、
前記電気モータ、前記エンジン、及び、前記ジェネレータは、前記下段において、水平方向に並ぶことによって、パワーユニットを構成し、
前記DC/DCコンバータと前記コンバータとは、前記パワーユニットの上において、水平方向に並んでいる電気駆動車両の冷却装置。
【請求項5】
請求項
2~4のいずれか1項に記載の電気駆動車両の冷却装置において、
前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を放熱させるラジエータを備え、
前記DC/DCコンバータ、前記デガスタンク、及び、前記ラジエータは、前記モータルームの内方から外方に向かって水平方向に、この順番で配設されている電気駆動車両の冷却装置。
【請求項6】
請求項
2~5のいずれか1項に記載の電気駆動車両の冷却装置において、
前記電気機器は、前記モータルーム外に配設されかつ、バッテリを充電する充電器を含んでおり、
前記冷却液回路は、前記DC/DCコンバータ、前記インバータ、及び、前記充電器を、この順番に、直列に接続し、
前記冷却液は、前記DC/DCコンバータ、前記インバータ、及び、前記充電器の順番に流れる電気駆動車両の冷却装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の電気駆動車両の冷却装置において、
前記電気モータ及び前記ポンプは、前記下段に配設され、
前記DC/DCコンバータ、前記インバータ、及び前記充電器はそれぞれ、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設されている電気駆動車両の冷却装置。
【請求項8】
モータルーム内に配設されかつ、車両を駆動させるための電気モータと、
前記電気モータを含む電気回路に対して接続される電気機器と、
前記電気モータ及び前記電気機器に接続されかつ、前記電気モータ及び前記電気機器を冷却する冷却液が循環する冷却液回路と、
前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を送り出すポンプと、
前記冷却液回路に接続されかつ、気泡を前記冷却液から分離するデガスタンクと、
前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を放熱させるラジエータと、を備え、
前記冷却液回路は、前記電気モータ、前記電気機器、前記ポンプ、前記デガスタンク、及び、前記ラジエータを直列に接続し、
前記デガスタンクは、上下方向の上段に配設され、
前記電気モータ、前記電気機器、及び、前記ポンプの内の少なくとも一の、第1デバイスは、前記上段よりも低い下段に配設され、
残りの第2デバイスは、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設され、
前記冷却液回路は、前記デガスタンク、前記第2デバイス、及び、前記第1デバイスを、この順番に接続し、
前記冷却液は、前記デガスタンクから、前記第2デバイス、及び、前記第1デバイスの順に流れ、
前記電気機器は、直流電流の電圧を変更するDC/DCコンバータと、前記電気モータへ交流電流を出力するインバータと、を含んでおり、
前記インバータは、前記DC/DCコンバータよりも下に配設され、
前記DC/DCコンバータと前記インバータとは、前記冷却液回路において順番に並ぶように接続され、
前記冷却液は、前記DC/DCコンバータから前記インバータへ流れ、
前記DC/DCコンバータ、前記デガスタンク、及び、前記ラジエータは、前記モータルームの内方から外方に向かって水平方向に、この順番で配設され、
前記デガスタンクは、前記DC/DCコンバータに固定されかつ、前記デガスタンクの一部が、前記DC/DCコンバータに対し、前後方向に対向している電気駆動車両の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、電気駆動車両の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車両の冷却装置が記載されている。冷却装置は、モータと、ジェネレータ、及び、電気機器を、冷却液によって冷却する。
【0003】
冷却装置は、冷却液回路と、ポンプと、ラジエータと、リザーバタンクとを備えている。冷却液回路は、モータ、ジェネレータ、及び、電気機器を接続する。ポンプは、冷却液を送り出す。ラジエータは、冷却液を放熱させる。リザーバタンクは、冷却液を貯留する。冷却液は、冷却液回路を循環する。循環する冷却液中の気泡は、リザーバタンクへ送られる。リザーバタンクにおいて、気泡は、冷却液から分離される。リザーバタンクは、デガスタンクである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記冷却装置の冷却液回路は、ポンプ、電気機器、モータ、ジェネレータ、ラジエータ、及び、リザーバタンクを接続する第1回路と、ポンプ、電気機器、モータ、及び、リザーバタンクを接続する第2回路と、を含んでいる。第1回路と第2回路とは並列である。
【0006】
冷却液が気泡を含んでいると、冷却液回路の通水抵抗は高い。第1回路と第2回路とは並列であるため、例えば第1回路に気泡があると、冷却液は、気泡を含む第1回路において流れ難く、気泡を含まない第2回路において流れ易い。気泡を含む第1回路において、気泡はリザーバタンクへ送られ難い。気泡を含む第1回路は、気泡が残ったままになるから、冷却性能が低下したままになる。
【0007】
また、気泡がリザーバタンクへ送られ難いと、ポンプが気泡を吸い込んでしまう恐れがある。気泡を吸い込んだポンプは、効率が低下する。ポンプの効率低下を抑制するために、特許文献1に記載された冷却装置は、ポンプをリザーバタンクの直ぐ下流の位置に配置している。リザーバタンクが冷却液と気泡とを分離するから、リザーバタンクからポンプへ流れる冷却液は気泡を含まない。ポンプが気泡を吸い込むことが抑制される。しかしながら、特許文献1に記載された冷却装置は、ポンプをリザーバタンクの直ぐ下流の位置に配置しなければならない、という制約を受ける。
【0008】
ここに開示する技術は、電気駆動車両の冷却装置において、冷却液中の気泡に起因する冷却性能の低下を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示する技術は、電気駆動車両の冷却装置に係る。冷却装置は、
モータルーム内に配設されかつ、車両を駆動させるための電気モータと、
前記電気モータを含む電気回路に対して接続される電気機器と、
前記電気モータ及び前記電気機器に接続されかつ、前記電気モータ及び前記電気機器を冷却する冷却液が循環する冷却液回路と、
前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を送り出すポンプと、
前記冷却液回路に接続されかつ、気泡を前記冷却液から分離するデガスタンクと、を備える。
【0010】
前記冷却液回路は、前記電気モータ、前記電気機器、前記ポンプ、及び、前記デガスタンクを直列に接続し、
前記デガスタンクは、上下方向の上段に配設され、
前記電気モータ、前記電気機器、及び、前記ポンプの内の少なくとも一の、第1デバイスは、前記上段よりも低い下段に配設され、
残りの第2デバイスは、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設され、
前記冷却液回路は、前記デガスタンク、前記第2デバイス、及び、前記第1デバイスを、この順番に接続し、
前記冷却液は、前記デガスタンクから、前記第2デバイス、及び、前記第1デバイスの順に流れる。
【0011】
冷却液回路は、電気モータ、電気機器、ポンプ、及び、デガスタンクを直列に接続している。ポンプが運転すると、冷却液が、冷却液回路内を強制的に流れる。冷却液に気泡が含まれていても、気泡は、デガスタンクへ送られやすい。デガスタンクが冷却液と気泡とを分離するから、気泡は、冷却液回路に残り難い。冷却装置は、気泡に起因する冷却性能の低下が抑制される。
【0012】
尚、冷却液回路の気泡は、主に、冷却装置の製造時に混入した気泡である。また、車両の走行中に、冷却液中に気泡が発生することもあり得る。
【0013】
前述したように、気泡は、冷却液回路に残り難い。気泡の吸い込みを抑制するために、ポンプを、デガスタンクの直ぐ下流の位置に配置する必要がない。この冷却装置は、ポンプの配置の自由度が高い。ポンプを冷却液回路のどこに配置しても、ポンプ効率は悪化しない。ポンプは、安定的に冷却液を送り出せる。ポンプ効率が高いため、冷却装置の冷却性能は、高い。
【0014】
冷却液回路は、デガスタンク、第2デバイス、及び、第1デバイスを、この順番に接続し、冷却液は、デガスタンク、第2デバイス、及び、第1デバイスの順番に流れる。冷却液回路は、デガスタンクからの、気泡を含まない冷却液を、第2デバイス、及び、第1デバイスの順に流すことができる。冷却装置は、第2デバイス、及び、第1デバイスを効率的に冷却する。冷却装置の高い冷却性能が維持される。
【0015】
デガスタンク、第2デバイス、及び、第1デバイスは、上から順番に配置されている。冷却液は、上から下へ順次、流れる。冷却液回路の配管には、上下方向の折り返し部分が設けられない、又は、設けられ難い。折り返し部分に気泡が溜まることが抑制される。冷却装置の冷却性能が低下し難い。
【0016】
また、デガスタンクを上段に配設することによって、冷却液中の気泡は、デガスタンクに集まりやすい。気泡は、冷却液回路に残り難い。
【0017】
前記電気モータ及び前記ポンプは、前記下段に配設され、
前記電気機器は、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設され、
前記冷却液回路は、前記デガスタンク、前記電気機器、前記ポンプ、及び、前記電気モータを、この順番に接続し、
前記冷却液は、前記デガスタンク、前記電気機器、前記ポンプ、及び、前記電気モータの順番に流れる。
【0018】
電気機器は、電気モータよりも発熱量が低い。冷却液が、電気機器から電気モータへ流れることによって、冷却装置は、各デバイスを効率的に冷却できる。冷却装置の冷却性能が高まる。
【0019】
電気モータは、重量物である。電気モータは下段に配設される。ポンプは、電気モータの近くに配置される。ポンプが、重量物である電気モータの近くに配置されることによって、車両の走行中に、ポンプに入力される振動加速度が小さくなる。ポンプの信頼性が向上する。
【0020】
デガスタンク、電気機器、電気モータ、及び、ポンプは、上下方向に並ぶ。これらのデバイスをコンパクトに配置できる。各デバイスが互いに近いから、冷却液回路の配管全長は短い。配管全長が短いため、冷却液回路の通水抵抗が低い。ポンプは小型にできる。また、冷却液回路の重量が軽くなる。車両重量が軽くなるから、電気駆動車両の航続距離の延長に有利である。
【0021】
前記電気機器は、直流電流の電圧を変更するDC/DCコンバータと、前記電気モータへ交流電流を出力するインバータと、を含んでおり、
前記インバータは、前記DC/DCコンバータよりも下に配設され、
前記DC/DCコンバータと前記インバータとは、前記冷却液回路において順番に並ぶように接続され、
前記冷却液は、前記DC/DCコンバータから前記インバータへ流れる、としてもよい。
【0022】
DC/DCコンバータは、インバータよりも発熱量が低い。冷却液が、DC/DCコンバータからインバータへ流れることによって、冷却装置は、各デバイスを効率的に冷却できる。冷却装置の冷却性能が高まる。
【0023】
冷却液は、上方のDC/DCコンバータから、下方のインバータへ流れる。冷却液回路の配管には、上下方向の折り返し部分が設けられない、又は、設けられ難い。折り返し部分に気泡が溜まることが抑制される。
【0024】
前記冷却装置は、エンジンに結合したジェネレータと、前記ジェネレータが発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータと、を備え、
前記エンジン及び前記ジェネレータは、前記下段に配設され、
前記コンバータは、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設され、
前記冷却液回路は、前記電気機器、前記コンバータ、及び、前記ジェネレータを、この順番に接続し、
前記冷却液は、前記電気機器、前記コンバータ、及び、前記ジェネレータの順番に流れる、としてもよい。
【0025】
電気機器は、コンバータよりも発熱量が低い。コンバータは、ジェネレータよりも発熱量が低い。冷却液が、電気機器、コンバータ、及び、電気モータの順番に流れることによって、冷却装置は、各デバイスを効率的に冷却できる。冷却装置の冷却性能が高まる。
【0026】
また、冷却液は、上方のコンバータから、下方のジェネレータへ流れる。冷却液回路の配管には、上下方向の折り返し部分が設けられない、又は、設けられ難い。折り返し部分に気泡が溜まることが抑制される。
【0027】
また、エンジン及びジェネレータが、下段に配置され、コンバータは、エンジン及びジェネレータよりも上に配置される。各デバイスをコンパクトに配置できる。冷却液回路の配管全長は短い。ポンプの小型化及び冷却液回路の軽量化に有利である。
【0028】
前記電気モータ、前記エンジン、及び、前記ジェネレータは、前記下段において、水平方向に並ぶことによって、パワーユニットを構成し、
前記DC/DCコンバータと前記コンバータとは、前記パワーユニットの上において、水平方向に並んでいる、としてもよい。
【0029】
DC/DCコンバータとコンバータとが、パワーユニットの上において、水平方向に並ぶため、DC/DCコンバータ、コンバータ、電気モータ、エンジン、及び、ジェネレータをコンパクトに配置できる。冷却液回路の配管全長は短い。ポンプの小型化及び冷却液回路の軽量化に有利である。
【0030】
前記冷却装置は、前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を放熱させるラジエータを備え、
前記DC/DCコンバータ、前記デガスタンク、及び、前記ラジエータは、前記モータルームの内方から外方に向かって水平方向に、この順番で配設されている、としてもよい。
【0031】
デガスタンクは、DC/DCコンバータとラジエータとの間に介在している。車両衝突時に、デガスタンクは、DC/DCコンバータへ入力される衝突荷重を緩和できる。
【0032】
前記電気機器は、前記モータルーム外に配設されかつ、バッテリを充電する充電器を含んでおり、
前記冷却液回路は、前記DC/DCコンバータ、前記インバータ、及び、前記充電器を、この順番に、直列に接続し、
前記冷却液は、前記DC/DCコンバータ、前記インバータ、及び、前記充電器の順番に流れる、としてもよい。
【0033】
DC/DCコンバータ、インバータ、及び、充電器の順番に冷却液が流れることによって、冷却装置は、各デバイスを効率的に冷却できる。
【0034】
充電器は、充電プラグの差込口の近くに配設することが好ましい。充電器は、モータルーム外の、適切な位置に配設される。DC/DCコンバータ、及び、インバータは、モータルーム内に配設することによって、電気モータ及び電気機器をコンパクトに配置できる。
【0035】
尚、モータルームは、車両の前部に設けてもよい。この場合、充電器は、車両の後部に設けてもよい。モータルームは、車両の後部に設けてもよい。この場合、充電器は、車両の前部に設けてもよい。
【0036】
前記電気モータ及び前記ポンプは、前記下段に配設され、
前記DC/DCコンバータ、前記インバータ、及び、前記充電器はそれぞれ、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設されている、としてもよい。
冷却液は、上段に配設されたデガスタンクから、DC/DCコンバータ、インバータ、
及び、充電器を介して、下段に配設されたポンプ及び電気モータへ流れる。冷却液回路の配管には、上下方向の折り返し部分が設けられない、又は、設けられ難い。折り返し部分に気泡が溜まることが抑制される。
【0037】
ここに開示する電気駆動車両の冷却装置は、
モータルーム内に配設されかつ、車両を駆動させるための電気モータと、
前記電気モータを含む電気回路に対して接続される電気機器と、
前記電気モータ及び前記電気機器に接続されかつ、前記電気モータ及び前記電気機器を冷却する冷却液が循環する冷却液回路と、
前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を送り出すポンプと、
前記冷却液回路に接続されかつ、気泡を前記冷却液から分離するデガスタンクと、
前記冷却液回路に接続されかつ、前記冷却液を放熱させるラジエータと、を備え、
前記冷却液回路は、前記電気モータ、前記電気機器、前記ポンプ、前記デガスタンク、及び、前記ラジエータを直列に接続し、
前記デガスタンクは、上下方向の上段に配設され、
前記電気モータ、前記電気機器、及び、前記ポンプの内の少なくとも一の、第1デバイスは、前記上段よりも低い下段に配設され、
残りの第2デバイスは、前記下段よりも上でかつ、前記デガスタンクと同じか、又は、前記デガスタンクよりも低い位置に配設され、
前記冷却液回路は、前記デガスタンク、前記第2デバイス、及び、前記第1デバイスを、この順番に接続し、
前記冷却液は、前記デガスタンクから、前記第2デバイス、及び、前記第1デバイスの順に流れ、
前記電気機器は、直流電流の電圧を変更するDC/DCコンバータと、前記電気モータへ交流電流を出力するインバータと、を含んでおり、
前記インバータは、前記DC/DCコンバータよりも下に配設され、
前記DC/DCコンバータと前記インバータとは、前記冷却液回路において順番に並ぶように接続され、
前記冷却液は、前記DC/DCコンバータから前記インバータへ流れ、
前記DC/DCコンバータ、前記デガスタンク、及び、前記ラジエータは、前記モータルームの内方から外方に向かって水平方向に、この順番で配設され、
前記デガスタンクは、前記DC/DCコンバータに固定されかつ、前記デガスタンクの一部が、前記DC/DCコンバータに対し、前後方向に対向している。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、前記の電気駆動車両の冷却装置によると、冷却液中の気泡に起因する冷却性能の低下が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、電気駆動車両の冷却装置の構成を例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、電気駆動車両の電気回路の構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、モータルーム内に配設されたパワーユニット及び冷却装置を示す平面図である。
【
図4】
図4は、モータルーム内に配設されたパワーユニット及び冷却装置を前方から見た正面図である。
【
図5】
図5は、モータルーム内に配設されたパワーユニット及び冷却装置を後方から見た背面図である。
【
図6】
図6は、モータルーム内に配設されたパワーユニット及び冷却装置と、車両後部に配設された充電器とを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、電気駆動車両の冷却装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する冷却装置は例示である。
【0041】
(パワーユニット及び冷却装置の構成)
図1は、電気駆動車両の冷却装置2の構成を例示するブロック図である。
図2は、電気駆動車両のパワーユニット10及び電気回路20の構成を例示するブロック図である。車両1は、いわゆるEV(Electric Vehicle)である。パワーユニット10は、電気モータ21と、インバータ25と、バッテリ28と、を有している。後述するレンジエクステンダーユニット3は、パワーユニット10に含まれる。電気回路20には、電気モータ21と、インバータ25と、バッテリ28と、が含まれている。
【0042】
電気モータ21は、車両1の駆動用モータである。電気モータ21は、減速機17及び車軸16を介して、左右の駆動輪15に接続されている。
【0043】
インバータ25は、電気モータ21に接続されている。インバータ25は、電気モータ21に交流電流を供給する。電気モータ21は、インバータ25からの交流電流を受けて、運転する。インバータ25は、電気機器の一例である。
【0044】
インバータ25はまた、バッテリ28に接続されている。インバータ25は、バッテリ28からの直流電流を交流電流に変換する。
【0045】
バッテリ28には、充電器26が接続されている。充電器26は、差込口261を有している。差込口261には、充電プラグ262が差し込まれる。充電器26は、車両1の外部電源からの電流を受け、バッテリ28を充電する。充電器26は、電気機器の一例である。
【0046】
バッテリ28にはまた、DC/DCコンバータ24が接続されている。DC/DCコンバータ24は、バッテリ28からの直流電流の電圧を変更する。DC/DCコンバータ24は、降圧した直流電流を、車両1に搭載されている各種の電装品29へ供給する。DC/DCコンバータ24は、電気機器の一例である。
【0047】
車両1は、いわゆるレンジエクステンダーEV(Range Extender EV)である。車両1には、ジェネレータ38と、エンジン31とが搭載されている。エンジン31とジェネレータ38とは結合している。エンジン31は、発電用のエンジンである。ジェネレータ38は、エンジン31の動力を受けて発電する。
【0048】
ジェネレータ38には、コンバータ37が接続されている。コンバータ37は、ジェネレータ38が発電した交流電流を直流電流に変換する。コンバータ37は、バッテリ28に接続されている。コンバータ37は、ジェネレータ38の発電電流を、バッテリ28に充電する。
【0049】
エンジン31、ジェネレータ38及びコンバータ37は、一体化したレンジエクステンダーユニット3を構成する。レンジエクステンダーユニット3を搭載しない車両1は、いわゆるBEV(Battery EV)である。
【0050】
図1に示すように、冷却装置2は、電気モータ21、電気機器、コンバータ37、及び、ジェネレータ38の冷却を行う。電気機器は、前述したDC/DCコンバータ24、インバータ25、及び、充電器26を含む。図示は省略するが、電気モータ21、DC/DCコンバータ24、インバータ25、充電器26、コンバータ37、及び、ジェネレータ38はそれぞれ、冷却液の入口、冷却液の出口、及び、冷却液が流れる通路を有している。
【0051】
冷却装置2は、第1冷却液回路40を有している。電気モータ21、DC/DCコンバータ24、インバータ25、充電器26、コンバータ37、及び、ジェネレータ38は、第1冷却液回路40に接続されている。第1冷却液回路40は、閉回路である。第1冷却液は、第1冷却液回路40内を循環する。
【0052】
冷却装置2はまた、第1ポンプ27、第1ラジエータ22、及び、第1デガスタンク23を有している。第1ポンプ27は、第1冷却液を送り出す。第1ラジエータ22は、第1冷却液を放熱させる。第1デガスタンク23は、気泡を第1冷却液から分離する。尚、第1冷却液中の気泡は、主に、冷却装置2の製造時に混入した気泡である。また、車両1の走行中に、冷却液中に気泡が発生することもあり得る。
【0053】
第1ポンプ27は、電動ポンプである。第1ポンプ27は、第1冷却液回路40において、ジェネレータ38と電気モータ21との間に介設されている。第1配管41は、第1ポンプ27の出口27bと電気モータ21の冷却液の入口21aとをつないでいる。第9配管49は、ジェネレータ38の冷却液の出口38bと第1ポンプ27の入口27aとをつないでいる(
図4も参照)。
【0054】
第1ラジエータ22及び第1デガスタンク23は、第1冷却液回路40において、電気モータ21とDC/DCコンバータ24との間に介設されている。第2配管42は、電気モータ21の冷却液の出口21bと第1ラジエータ22の入口22aとをつないでいる。第3配管43は、第1ラジエータ22の出口22bと第1デガスタンク23の入口23aとをつないでいる。第4配管44は、第1デガスタンク23の出口23bとDC/DCコンバータ24の冷却液の入口24aとをつないでいる(
図4及び
図6も参照)。
【0055】
第5配管45は、DC/DCコンバータ24の冷却液の出口24bとインバータ25の冷却液の入口25aとをつないでいる。第6配管46は、インバータ25の冷却液の出口25bと充電器26の冷却液の入口26aとをつないでいる。第7配管47は、充電器26の冷却液の出口26bとコンバータ37の冷却液の入口37aとをつないでいる。第8配管48は、コンバータ37の冷却液の出口37bとジェネレータ38の冷却液の入口38aとをつないでいる(
図4、
図5及び
図6も参照)。
【0056】
第1冷却液回路40は、各デバイスを直列に接続する。第1冷却液は、第1デガスタンク23から、DC/DCコンバータ24、インバータ25、充電器26、コンバータ37、ジェネレータ38、第1ポンプ27、電気モータ21、第1ラジエータ22、及び、第1デガスタンク23の順番に流れる。
【0057】
ここで、充電器26は、車両1の後部に配設されている。差込口261は、車両1の後部における側面に設けられている。充電器26は、差込口261の近くに配設することが好ましい。充電器26をモータルーム11の外に配設することによって、充電プラグ262の差込口261を、車両1の適切な位置に設けることができる。充電器26以外の各デバイスは、モータルーム11内に配設することによって、パワーユニット10がコンパクト化する。
【0058】
冷却装置2はまた、エンジン31の冷却を行う。
図1に示すように、冷却装置2は、第1冷却液回路40から独立した第2冷却液回路30を有している。第2冷却液回路30には、エンジン31及びオイルクーラ32が接続されている。エンジン31と電気モータ21とは、許容温度が相違する。第1冷却液回路40と第2冷却液回路30とが独立することで、第1冷却液回路40は、電気モータ21及びその他のデバイスを、適切に冷却でき、第2冷却液回路30は、エンジン31を、適切に冷却できる。
【0059】
第2冷却液回路30には、第2ポンプ36、第2ラジエータ33、第2デガスタンク34、及び、サーモバルブ35が接続されている。第2ポンプ36は、第2冷却液を送り出す。エンジン31は、第2ポンプ36を駆動する。第2ラジエータ33は、第2冷却液を放熱させる。第2デガスタンク34は、気泡を第2冷却液から分離する。サーモバルブ35は、第2冷却液の温度に応じて開閉する開閉弁である。サーモバルブ35は、第2冷却液が低温の場合、第2冷却液が第2ラジエータ33をバイパスするよう開弁する。第2冷却液が高温の場合、サーモバルブ35は、第2冷却液が第2ラジエータ33を通過するよう閉弁する。
【0060】
第2冷却液回路30は、各デバイスを直列に接続する。第2冷却液は、第2デガスタンク34から、サーモバルブ35、第2ポンプ36、エンジン31、オイルクーラ32、第2ラジエータ33、及び、第2デガスタンク34の順番に流れる。また、エンジン31、オイルクーラ32、第2ラジエータ33、第2デガスタンク34、サーモバルブ35、及び、第2ポンプ36は、モータルーム11の中に配設されている。これらのデバイスは互いにコンパクトに配置される。第2冷却液回路30は、配管全長が短い。このため、冷却液回路の通水抵抗が低い。第2ポンプ36は小型にできる。また、第2冷却液回路30の重量が軽くなる。車両重量が軽くなるから、電気駆動車両の航続距離の延長に有利である。
【0061】
レンジエクステンダーユニット3は、
図1に破線で囲んだように、エンジン31、オイルクーラ32、第2ラジエータ33、第2デガスタンク34、サーモバルブ35、第2ポンプ36、コンバータ37、及び、ジェネレータ38を含んでいる。
【0062】
レンジエクステンダーユニット3を搭載しないBEVは、図示は省略するが、冷却装置の構成が、
図1の冷却装置2とは相違する。具体的に、第1冷却液回路40は、充電器26の冷却液の出口26bと、第1ポンプ27の入口27aとを接続する。
【0063】
(パワーユニット及び冷却装置のレイアウト)
次に、前記構成のパワーユニット10、及び、冷却装置2のレイアウトについて、
図3~6を参照しながら説明する。
図3は、モータルーム11内に配設されたパワーユニット10及び冷却装置2を示す平面図である。
図4は、モータルーム11内に配設されたパワーユニット10及び冷却装置2を前方から見た正面図である。
図5は、モータルーム11内に配設されたパワーユニット10及び冷却装置2を後方から見た背面図である。
図6は、モータルーム11内に配設されたパワーユニット10及び冷却装置2と、車両後部に配設された充電器26とを示す側面図である。尚、
図3~6には、冷却装置2について、第1冷却液回路40のみを図示し、第2冷却液回路30の図示を省略している。また、
図4~6の矢印は、冷却液の流れる方向を示している。
【0064】
尚、以下の説明において、車両1の車長方向を前後方向と呼び、車両1の前を「前」、車両1の後を「後」と呼ぶ。また、車両1の車長方向に直交する方向を、車幅方向と呼ぶ。車両1の車室18(
図3参照)内において着座した乗員を基準にした右を「右」と呼び、当該乗員を基準にした左を「左」と呼ぶ。
【0065】
前述したように、パワーユニット10は、モータルーム11内に配設されている。モータルーム11は、車室18よりも前に設けられている。モータルーム11内には、フレーム12が配設されている。フレーム12は、車幅方向、つまり、
図3の紙面左右方向に間隔を空けて、二本配設されている。各フレーム12は、車両1の前後方向、つまり、
図3の紙面上下方向に延びている。
【0066】
図3に示すように、パワーユニット10は、電気モータ21と、減速機17と、レンジエクステンダーユニット3とを含む。レンジエクステンダーユニット3は、前述したように、エンジン31とジェネレータ38とを含む。電気モータ21は、モータルーム11内の右側に配置され、レンジエクステンダーユニット3は、モータルーム11内の左側に配置されている。
図4及び
図5に示すように、電気モータ21と、減速機17と、エンジン31と、ジェネレータ38とは、車幅方向に並んでいる。電気モータ21と、減速機17と、エンジン31と、ジェネレータ38とは一体化している。パワーユニット10は、車幅方向に比較的長い。
【0067】
パワーユニット10は、フレーム12とフレーム12との間に配設されている。パワーユニット10の右端は、マウント13を介して右側のフレーム12に支持されている。パワーユニット10の左端は、マウント14を介して左側のフレーム12に支持されている。
図4及び
図5に示すように、フレーム12に固定されたマウント13、14はそれぞれ、パワーユニット10を吊り下げている。
【0068】
パワーユニット10の前方には、第1ラジエータ22が配設されている。第1ラジエータ22は、モータルーム11の前端部に位置している。
【0069】
図4及び
図5に示すように、第1デガスタンク23は、モータルーム11内の上段に配設されている。換言すると、第1デガスタンク23が配設されている高さ位置を、「上段」と呼ぶ。
【0070】
第3配管43は、第1デガスタンク23の下部の前部に接続されている。また、第4配管44は、第1デガスタンクの下部の側部に接続されている。第1デガスタンク23の入口23aの高さと出口23bの高さとは、同じ、又は、ほぼ同じである。第1デガスタンク23の入口23a及び出口23bは、上段に位置している。
【0071】
第1デガスタンク23の後に、DC/DCコンバータ24が配設されている。
図6に示すように、第1デガスタンク23は、前後方向について、第1ラジエータ22と、DC/DCコンバータ24との間に介在する。
【0072】
図6に拡大して示すように、第1デガスタンク23は、ブラケット231及びボルト232によって、DC/DCコンバータ24に固定されている。第1デガスタンク23の一部は、DC/DCコンバータ24に対し、前後方向に対向している。
【0073】
DC/DCコンバータ24は、上下方向及び車幅方向に広がる箱状である。DC/DCコンバータ24は、上段から中段にかけての高さに配設されている。中段は、上段よりも低くかつ、後述する下段よりも高い位置を意味する。つまり、DC/DCコンバータ24は、第1デガスタンク23と同じか、又は、第1デガスタンク23よりも低い位置に配設されている。
【0074】
第4配管44は、DC/DCコンバータ24の前部の左上部に接続されている。DC/DCコンバータ24の入口24aの高さと第1デガスタンク23の出口23bの高さとは、同じ、又は、ほぼ同じである。第4配管44は、水平方向に延びている。第5配管45は、DC/DCコンバータ24の前部の左下部に接続されている。DC/DCコンバータ24の出口24bの高さは、入口24aの高さよりも低い。
【0075】
インバータ25は、中段に配設されている。より詳細に、インバータ25は、電気モータ21及び減速機17よりも上でかつ、DC/DCコンバータ24の下に配設されている。インバータ25は、車幅方向及び前後方向に広がる箱状である。
【0076】
第5配管45は、インバータ25の前部の左上部に接続されている。インバータ25の入口25aの高さは、DC/DCコンバータ24の出口24bの高さよりも低い。第5配管45は、斜め下向きに延びている。第6配管46は、インバータ25の左側部に接続されている。インバータ25の入口25aの高さと出口25bの高さとは、同じ、又は、ほぼ同じである。インバータ25の入口25a及び出口25bは、中段に位置している。
【0077】
充電器26は、
図6に示すように、車両1の後部に配設されている。充電器26は、中段に配設されている。第6配管46は、モータルーム11から、車両1のフロア下を通って、車両1の後部にまで延びている。第6配管46は、前部から後部に向かうに従い、一旦、下方へ下がった後、再び上方へ上がって、充電器26に至る。充電器26は、車幅方向及び前後方向に広がる箱状である。第6配管46は、充電器26の側部に接続されている。
【0078】
第7配管47は、充電器26の側部に接続されている。充電器26の入口26aの高さと出口26bの高さとは、同じ、又は、ほぼ同じである。充電器26の入口26a及び出口26bは、中段に位置している。
【0079】
第7配管47も、第6配管46と同様に、車両後部から、車両1のフロア下を通って、車両1の前部のモータルーム11にまで延びている。第7配管47は、車両1の後部から前部に向かうに従い、一旦、下方へ下がった後、再び上方へ上がって、モータルーム11に至る。
【0080】
コンバータ37は、上段から中段にかけての位置に配設されている。コンバータ37は、エンジン31の上に位置している。コンバータ37と、DC/DCコンバータ24とは、水平方向、より詳細には車幅方向に並んでいる。コンバータ37は、上下方向に延びる箱状である。第7配管47は、
図5に示すように、コンバータ37の後部の下部に接続されている。
【0081】
第8配管48は、コンバータ37の後部の中部に接続されている。コンバータ37の冷却液の出口37bの高さは、入口37aの高さよりも高い。コンバータ37の冷却液の入口37a及び出口37bは共に、中段に位置している。第8配管48は、パワーユニット10の後側から前側へ延びている。
【0082】
ジェネレータ38は、パワーユニット10の左端に位置している。ジェネレータ38の右隣りには、エンジン31が配設されている。ジェネレータ38及びエンジン31は、中段から下段にかけて配設されている。第8配管48は、ジェネレータ38の前部の中部に接続されている。ジェネレータ38の冷却液の入口38aの高さは、コンバータ37の出口37bの高さよりも低い。
【0083】
第9配管49は、ジェネレータ38の前部の中部に接続されている。ジェネレータ38の冷却液の出口38bの高さは、入口38aの高さよりも低い。
【0084】
第1ポンプ27は、下段に配設されている。第1ポンプ27は、電気モータ21及び減速機17の前に位置している。第9配管49は、第1ポンプ27に上部に接続される。第1ポンプ27の入口27aの高さは、ジェネレータ38の出口38bの高さよりも高い。第1ポンプ27の入口27aの高さと、出口27bの高さとは、同じ、又は、ほぼ同じである。第1ポンプ27の入口27a及び出口27bは、下段に位置している。
【0085】
電気モータ21は、パワーユニット10の右端に配設されている。電気モータ21は、下段に配設されている。換言すると、電気モータ21が配設されている高さ位置を、「下段」と呼ぶ。電気モータ21と減速機17とは、水平方向、つまり、車幅方向に並んでいる。インバータ25は、前述したように、電気モータ21及び減速機17の上に配設されている。
【0086】
第1配管41は、第1ポンプ27の出口27bと、電気モータ21の冷却液の入口21aとをつないでいる。入口21aは、電気モータ21の前部の上部左側に位置している。電気モータ21の冷却液の入口21aの高さは、第1ポンプ27の出口27bの高さよりも高い。電気モータ21の冷却液の出口21bは、電気モータ21の前部の上部右側に位置している。出口21bの高さは、入口21aの高さと同じ、又は、ほぼ同じである。入口21a及び出口21bは、下段に位置している。
【0087】
第2配管42は、出口21bに接続されている。第2配管42は、
図6に示すように、前方へ延びている。第2配管42は、第1ラジエータ22の冷却液の入口22aに接続される。入口22aは、第1ラジエータ22の側部に設けられている。入口22aの高さは、電気モータ21の冷却液の出口21bの高さよりも低い。入口22aは、下段に位置している。
【0088】
第3配管43は、第1ラジエータ22の出口22bに接続されている。出口22bは、第1ラジエータ22の上端部に設けられている。第3配管43は、後方の斜め上方へ延びている。第3配管43は、前述したように、第1デガスタンク23の入口23aに接続される。入口23aの高さは、第1ラジエータ22の出口22bの高さよりも高い。
【0089】
第1冷却液回路40は、
図1に示すように、電気モータ21、第1ラジエータ22、第1デガスタンク23、DC/DCコンバータ24、インバータ25、充電器26、コンバータ37、ジェネレータ38、及び、第1ポンプ27を直列に接続している。第1ポンプ27が運転すると、第1冷却液が第1冷却液回路40内を強制的に流れる。第1冷却液が気泡を含んでいても、気泡は、第1デガスタンク23へ送られやすい。第1デガスタンク23が第1冷却液と気泡とを分離するから、気泡は、第1冷却液回路40に残り難い。冷却装置2は、電気モータ21及び電気機器の冷却について、気泡に起因する冷却性能の低下が抑制される。
【0090】
直列構成の第1冷却液回路40は、気泡が残り難いから、気泡の吸い込みを抑制するために、第1ポンプ27を、第1デガスタンク23の直ぐ下流の位置に配置する必要がない。この冷却装置2は、第1ポンプ27の配置の自由度が高い。第1ポンプ27を第1冷却液回路40上のどこに配置しても、ポンプ効率は悪化しない。第1ポンプ27は、安定的に第1冷却液を送り出せる。ポンプ効率が高いため、冷却装置2の冷却性能は、高い。
【0091】
尚、レンジエクステンダーユニット3を有しないBEVにおいても、前記と同様に、気泡は、第1冷却液回路40に残り難い。冷却装置2は、電気モータ21及び電気機器の冷却について、気泡に起因する冷却性能の低下が抑制される。また、第1ポンプ27は、気泡を吸い込み難く、ポンプ効率が高いため、冷却装置2の冷却性能は、高い。
【0092】
また、第2冷却液回路30も、エンジン31,オイルクーラ32、第2ラジエータ33、第2デガスタンク34、サーモバルブ35、及び、第2ポンプ36を直列に接続している。第2冷却液が気泡を含んでいても、気泡は、第2デガスタンク34へ送られやすい。第2デガスタンク34が第2冷却液と気泡とを分離するから、気泡は、第2冷却液回路30に残り難い。冷却装置2は、エンジン31の冷却についても、気泡に起因する冷却性能の低下が抑制される。
【0093】
また、第2冷却液回路30も、気泡が残り難いから、第2ポンプ36の配置の自由度が高い。第2ポンプ36を第2冷却液回路30上のどこに配置しても、ポンプ効率は悪化しない。ポンプ効率が高いため、第2冷却液回路30は、エンジン31の冷却性能が高い。
【0094】
第1ラジエータ22において放熱しかつ、第1デガスタンク23において気泡が分離した第1冷却液は、DC/DCコンバータ24、インバータ25、充電器26、コンバータ37、ジェネレータ38、及び、電気モータ21の順番に流れる。DC/DCコンバータ24は、インバータ25よりも発熱量が低く、インバータ25は、コンバータ37よりも発熱量が低く、コンバータ37は、ジェネレータ38よりも発熱量が低く、ジェネレータ38は、電気モータ21よりも発熱量が低い。第1冷却液は、発熱量の低い順番に各デバイスを通過するから、冷却装置2は、各デバイスを効率的に冷却できる。
【0095】
また、各デバイスを通過する第1冷却液は、気泡を含まないから、冷却装置2は、冷却性能の低下が抑制される。
【0096】
また、第1ラジエータ22は、第1冷却液回路40において、発熱量が多い電気モータ21の直ぐ下流に位置している。第1ラジエータ22が、電気モータ21から受熱した第1冷却液を放熱させることで、第1冷却液の温度が効果的に低下する。冷却装置2の冷却性能が高まる。
【0097】
また、第2冷却液回路30においてエンジン31の冷間時は、潤滑油の温度も低い。第2冷却液回路30においては、第2冷却液が、エンジン31からオイルクーラ32へ流れる。このことによって、エンジン31の冷間時に、オイルクーラ32は、エンジン31の熱を利用して潤滑油を温めることができる。エンジン31の燃費性能が向上する。
【0098】
また、第1冷却液回路40において、第1デガスタンク23が上段に配置されることにより、第1冷却液中の気泡は、第1デガスタンク23に集まりやすい。それによって、第1冷却液回路40は、気泡を含み難い。
【0099】
また、DC/DCコンバータ24は、上段から中段にかけての位置に配設され、インバータ25及び充電器26は中段に配設され、コンバータ37の冷却液の入口37a及び出口37bは中段に配設されている。さらに、ジェネレータ38の入口38a及び出口38bは下段に配設され、第1ポンプ27及び電気モータ21は下段に配設されている。これにより、第1冷却液は、上から下へ順次、流れる。第1冷却液回路40を構成する各配管41~49には、上下方向の折り返し部分が設けられない、又は、設けられ難い。折り返し部分に気泡が溜まることが抑制される。冷却装置2の冷却性能が低下し難い。
【0100】
また、第1デガスタンク23、DC/DCコンバータ24、インバータ25、電気モータ21、第1ポンプ27、コンバータ37、エンジン31、ジェネレータ38は、上下方向に並ぶ。さらに、DC/DCコンバータ24及びコンバータ37が、パワーユニット10の上において、水平方向に並んでいる。これらのデバイスの配置がコンパクトになる。また、デバイス同士が近いため、第1冷却液回路40の配管41~49の全長は短い。このため、第1冷却液回路40の通水抵抗は低い。第1冷却液回路40の通水抵抗が低いと、第1ポンプ27を小型化できる。また、第1冷却液回路40の重量が軽くなる。車両重量が軽くなるから、車両1の航続距離の延長に有利である。
【0101】
また、第1ポンプ27が、重量物である電気モータ21、エンジン31及びジェネレータ38と共に、下段に配置されることで、車両1の走行中に、第1ポンプ27に入力される振動加速度が小さくなる。第1ポンプ27の信頼性が向上する。
【0102】
また、
図6に示すように、第1デガスタンク23は、前後方向に対して、DC/DCコンバータ24と第1ラジエータ22との間に介在している。車両衝突時に、第1デガスタンク23は、DC/DCコンバータ24へ入力される衝突荷重を緩和できる。
【0103】
尚、モータルームは、車両1の後部に設けてもよい。充電器26は、車両の前部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 車両
10 パワーユニット
11 モータルーム
2 冷却装置
20 電気回路
21 電気モータ
22 第1ラジエータ
23 第1デガスタンク
24 DC/DCコンバータ(電気機器)
25 インバータ(電気機器)
26 充電器(電気機器)
27 第1ポンプ
28 バッテリ
30 第2冷却液回路
31 エンジン
32 オイルクーラ
34 第2デガスタンク
36 第2ポンプ
37 コンバータ
38 ジェネレータ
40 第1冷却液回路