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特許7379975インクジェット印刷装置、印刷制御方法およびプログラム
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  • 特許-インクジェット印刷装置、印刷制御方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置、印刷制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 305
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019166249
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021041642
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本橋 克也
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/009941(WO,A1)
【文献】特開2016-144895(JP,A)
【文献】特開2011-240491(JP,A)
【文献】米国特許第08419144(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0256178(US,A1)
【文献】特開2020-049862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
前記印刷媒体への前記吐出ヘッドによる印刷を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記離間距離が前記設定距離から変わっている間も前記吐出ヘッドによる印刷を継続するともに、前記吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する、
インクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記離間距離が第1閾値以上である場合、前記印刷距離を補正する、
請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
前記印刷媒体への前記吐出ヘッドによる印刷を制御する制御部と、
前記離間距離が第1閾値以上である間に、前記印刷媒体が搬送される搬送距離である、ヘッド退避搬送距離を計測する搬送距離計測部と、
を備え、
前記制御部は、前記離間距離が前記第1閾値以上である場合、計測された前記ヘッド退避搬送距離に基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する、
インクジェット印刷装置。
【請求項4】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
前記印刷媒体への前記吐出ヘッドによる印刷を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正し、
前記制御部は、前記印刷距離を補正するための外部入力を受け付ける、
インクジェット印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記吐出ヘッドの動作状態に基づいて、前記印刷距離を補正するための外部入力を受け付ける、
請求項4に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記印刷距離を補正するための必要条件を満たすか否かについて判定する、
請求項4または5に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記必要条件を満たすか否かについて、印刷処理の進捗状況に基づいて判定する、
請求項6に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項8】
前記印刷媒体の表面部と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を計測する移動位置計測部をさらに備え、
前記制御部は、計測された前記離間距離に基づいて、前記吐出ヘッドを移動する制御を実行する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1閾値の変更を受け付ける、
請求項2または3に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項10】
前記吐出ヘッドは、前記印刷媒体にインクを吐出した画像を形成する吐出ヘッドであり、
前記制御部は、前記離間距離が前記第1閾値以上である場合、前記インクを吐出するか否かについて選択するための外部入力を受け付ける、
請求項2、3または9のいずれか一項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項11】
前記吐出ヘッドは、前記印刷媒体にインクを吐出した画像を形成する吐出ヘッドであり、
前記制御部は、前記インクが一時的に吐出されない間に前記印刷媒体が搬送された搬送距離である、吐出中断搬送距離を、前記ヘッド退避搬送距離に加算するか否かについて選択するための外部入力を受け付ける、
請求項3項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項12】
前記吐出ヘッドは、前記印刷媒体にインクを吐出した画像を形成する吐出ヘッドであり、
前記制御部は、前記インクが吐出されない時間が所定の時間以上継続した場合、所定の距離を、前記印刷距離に加算するか否かについて選択するための外部入力を受け付ける、
請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項13】
前記制御部は、ユーザーの入力を受け付ける入力受付部を介して、前記外部入力を受け付ける、
請求項4、5、10、11または12のいずれか一項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項14】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
を有するインクジェット印刷装置において実行される印刷制御方法であって、
前記印刷媒体と前記複数の吐出ヘッドとの間の離間距離を変えるように、前記複数の吐出ヘッドを移動し、
前記離間距離が前記設定距離から変わっている間も前記吐出ヘッドによる印刷を継続するともに、前記複数の吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する、
印刷制御方法。
【請求項15】
コンピューターに、
印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う吐出ヘッドと前記印刷媒体との間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する処理と、
前記離間距離が前記設定距離から変わっている間も前記吐出ヘッドによる印刷を継続するともに、前記吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項16】
前記制御部は、計測された前記ヘッド退避搬送距離を前記印刷距離に加算し、印刷距離を加算した値に更新する、
請求項3に記載のインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷装置、印刷制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布帛にインクを吐出して画像を形成する吐出ヘッドを備えたインクジェット印刷装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、所定の一方向に搬送される布帛の搬送方向に沿って配置された複数の吐出ヘッドと、吐出ヘッドを上下方向に移動させることにより、布帛と吐出ヘッドとの間の距離を変える昇降機構とを備えたインクジェット印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-128130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、布帛が通常の高さに位置し、吐出ヘッドが通常位置(布帛に印刷を行う場合に設定される位置)に位置している場合、布帛と吐出ヘッドとの間の距離は適正な距離(設定距離)にある。しかし、例えば、布帛同士のつなぎ目の部分は、他の部分に比べて厚みが増しているため、布帛と吐出ヘッドとの間の距離が減少して、布帛と吐出ヘッドとが互いに干渉するおそれがある。また、例えば、綿布上に異物がある場合、異物と吐出ヘッドとが互いに干渉するおそれがある。
【0006】
つなぎ目又は異物と吐出ヘッドとの干渉を回避するために、昇降機構は、吐出ヘッドを通常位置から上方向の退避位置に移動する。これにより、布帛と吐出ヘッドとの間の離間距離は、設定距離より大きくなる。離間距離が設定距離より大きい状態で布帛に印刷を行うと、画質劣化につながる可能性がある。画質の劣化部分が発生することにより、目標とする印刷量の中に正常な画質の部分(図1に示す部分A)ばかりでなく、画質の劣化部分(図1に示す部分B)も含まれるため、目標とする正常な画質での印刷量を得ることができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、画質の劣化部分が発生した場合でも、目標とする正常な画質での印刷量を得ることが可能なインクジェット印刷装置、印刷制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明におけるインクジェット印刷装置は、
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
前記印刷媒体への前記吐出ヘッドによる印刷を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記離間距離が前記設定距離から変わっている間も前記吐出ヘッドによる印刷を継続するともに、前記吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する。
インクジェット印刷装置は、
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
前記印刷媒体への前記吐出ヘッドによる印刷を制御する制御部と、
前記離間距離が第1閾値以上である間に、前記印刷媒体が搬送される搬送距離である、ヘッド退避搬送距離を計測する搬送距離計測部と、
を備え、
前記制御部は、前記離間距離が前記第1閾値以上である場合、計測された前記ヘッド退避搬送距離に基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する。
インクジェット印刷装置は、
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
前記印刷媒体への前記吐出ヘッドによる印刷を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正し、
前記制御部は、前記印刷距離を補正するための外部入力を受け付ける。
【0009】
印刷制御方法は、
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う複数の吐出ヘッドと、
前記印刷媒体と前記吐出ヘッドとの間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する移動部と、
を有するインクジェット印刷装置において実行される印刷制御方法であって、
前記印刷媒体と前記複数の吐出ヘッドとの間の離間距離を変えるように、前記複数の吐出ヘッドを移動し、
前記離間距離が前記設定距離から変わっている間も前記吐出ヘッドによる印刷を継続するともに、前記複数の吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する。
【0010】
プログラムは、
コンピューターに、
印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、前記印刷媒体にインクを吐出して前記印刷媒体への印刷を行う吐出ヘッドと前記印刷媒体との間の離間距離を設定距離から変えるように、前記吐出ヘッドを移動する処理と、
前記離間距離が前記設定距離から変わっている間も前記吐出ヘッドによる印刷を継続するともに、前記吐出ヘッドが前記離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、前記吐出ヘッドによる前記印刷媒体への印刷距離を予め定められた印刷距離から補正する処理と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のインクジェット印刷装置によれば、画質の劣化部分が発生した場合でも、目標とする正常な画質での印刷量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】印刷量と画質の劣化部分との関係を示す図である。
図2】本発明の実施の形態におけるインクジェット印刷装置を概略的に示す図である。
図3】インクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。
図4】制御部の構成を示すブロック図である。
図5A】高さ方向に移動するインクジェットヘッドを示す図である。
図5B】高さ方向に移動するインクジェットヘッドを示す図である。
図6】印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図7】変形例1における離間距離と時刻との関係を示す図である。
図8】変形例1における離間距離と時刻との関係をグラフで表した図である
図9】変形例2に係るインクジェット印刷装置を概略的に示す図である。
図10】変形例2における印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図11】印刷処理の進捗状況を表す画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置1について図2から図6を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態におけるインクジェット印刷装置1を概略的に示す図である。図3は、インクジェット印刷装置1の構成を示すブロック図である。図4は、制御部の構成を湿すブロック図である。図2にはX軸、Y軸及びZ軸が描かれている。図2において左右方向をX方向又は印刷媒体の搬送方向(以下、「搬送方向」)といい、右方向を「+X方向」又は搬送方向上流側、左方向を「-X方向」又は搬送方向下流側という。また、図2において上下方向をY方向又は高さ方向といい、上方向を「+Y方向」又は上昇方向、下方向を「-Y方向」又は下降方向という。また、図2において紙面と直交する奥行き方向をZ方向といい、手前の方向を「+Z方向」、奥方向を「-Z方向」という。なお、図2では、印刷媒体が省略されている。
【0014】
図2および図3に示すように、インクジェット印刷装置1は、所定の一方向に搬送される印刷媒体にインクを吐出して画像を形成する。インクジェット印刷装置1は、搬送部10と、検出部15と、印刷ユニット20と、昇降機構30(本開示の「移動部」に対応する)と、制御部40と、移動位置計測部61と、搬送距離計測部62とを備えている。
【0015】
搬送部10は、駆動ローラー11および従動ローラー12と、これらのローラー11,12の間に架け渡された無端状の搬送ベルト13とを備えている。搬送ベルト13は、例えば、駆動ローラー11に取り付けられた搬送用モーター(不図示)により駆動ローラー11が回転駆動された場合、駆動ローラー11と従動ローラー12との間を周回してその上面に載置された印刷媒体を搬送する。一方、搬送ベルト13は、駆動ローラー21が回転停止された場合、周回を停止して印刷媒体の搬送を停止する。ここで、印刷媒体としては、例えば、布帛や紙のほか、樹脂フィルムや金属類等を用いることが可能である。
【0016】
搬送部10は、制御部40から供給される制御信号に基づいて搬送用モーターに駆動信号を供給して搬送ベルト13を所定の速度およびタイミングで搬送する。制御部40から搬送部10に供給される制御信号には、印刷ジョブに基づいて印刷が行われる場合において印刷媒体が搬送される予定の距離(以下、印刷距離L1)が含まれる。
【0017】
検出部15は、搬送ベルト13上の印刷媒体の表面部を計測する。ここで、印刷媒体の表面部とは、印刷媒体の各部分領域における最も高い部分の集合をいい、印刷媒体上に凸部(例えば、印刷媒体同士のつなぎ目の部分や、異物など)がある場合には凸部、印刷媒体上に凸部ない場合には印刷媒体の表面をいう。検出部15は、例えば、レーザー光を印刷媒体の表面部に搬送方向と直交する水平方向(Z方向)から照射し、光量変化に基づいて印刷媒体の表面部を計測するレーザーセンサである。
【0018】
複数(ここでは、6つ)の印刷ユニット20は、印刷媒体の搬送方向に沿って所定の間隔で並ぶように配列されている。6つの印刷ユニット20は、6色のインクに応じて設けられている。
【0019】
各印刷ユニット20は、ヘッド駆動部201およびインクジェットヘッド202(本開示の「印刷ヘッド」に対応する)を備える。
【0020】
ヘッド駆動部201は、制御部40の制御に基づいてインクジェットヘッド202の記録素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を出力する。ヘッド駆動部201は、駆動信号を出力することで、インクジェットヘッド202のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0021】
インクジェットヘッド202には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0022】
インクジェットヘッド202に含まれるノズルの直交方向についての配置範囲は、搬送される印刷媒体のうち画像が記録される領域の直交方向の幅をカバーしている。印刷ユニット20は、画像の記録時には固定されて用いられる。すなわち、インクジェット印刷装置1は、シングルパス形式のインクジェット印刷装置である。なお、インクジェット印刷装置1は、スキャン形式のインクジェット印刷装置であってもよい。
【0023】
昇降機構30(移動部)は、制御部40から供給される制御信号に基づいて昇降用モーター(不図示)に駆動信号を供給してインクジェットヘッド202を高さ方向(上下方向)に移動する。制御部40から昇降機構30に供給される制御信号には、インクジェットヘッド202の移動方向(上方向/下方向)および移動量が含まれる。昇降機構30は、インクジェットヘッド202を高さ方向に移動することで、インクジェットヘッド202を搬送ベルト13上の印刷媒体に対して接近又は離間させる。
【0024】
図5Aおよび図5Bは、高さ方向に移動するインクジェットヘッド202を示す図である。なお、図5Aおよび図5Bには、印刷媒体が省略されている。図5Aに、搬送方向上流側から1番目に位置するインクジェットヘッド202が上方向に移動する様子を示す。図5Bに、1番目のインクジェットヘッド202が下方向に移動し、搬送方向上流側から2番目に位置するインクジェットヘッド202が上方向に移動する様子を示す。
【0025】
昇降機構30は、図5Aおよび図5Bからわかるように、印刷媒体の搬送時に異物Fがインクジェットヘッド202の下方位置を通過する前にインクジェットヘッド202を通常位置から上方向の退避位置に移動し、異物Fがインクジェットヘッド202の下方位置を通過した後にインクジェットヘッド202を退避位置から下方向の通常位置に移動する。つまり、昇降機構30は、印刷媒体の表面部(印刷媒体同士のつなぎ目の部分や、印刷媒体上の異物など)とインクジェットヘッド202との間の離間距離に応じて、インクジェットヘッド202を印刷媒体から退避させる。また、例えば、昇降機構30は、厚さの異なる種々の印刷媒体に対応して、インクジェットヘッド202のノズルを印刷に適した高さに調節することが可能である。
【0026】
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)および記憶部44を有する。
【0027】
CPU41は、ROM43に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM42に記憶させ、当該プログラムを実行して制御部40の各機能を実行する。また、CPU41は、インクジェット印刷装置1の全体動作を統括制御する。ここで、制御部40の各機能は、例えば、図4に示すように、第1制御部、第2制御部および第3制御部である。第1制御部、第2制御部および第3制御部は、一つのCPUによって一体的に構成されてもよく、それぞれのCPUによって別体に構成されてもよい。
【0028】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAM24は、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
【0029】
ROM34は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM43に代えて、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0030】
記憶部44には、入出力インターフェース52を介して外部装置2から入力された印刷ジョブ(印刷距離L1などの種々のユーザー設定情報を含む)および当該印刷ジョブに係る画像データが記憶される。記憶部44としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されてもよい。
【0031】
入出力インターフェース52は、外部装置2と制御部40との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース52は、例えば、各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか、または、これらの組み合わせで構成される。
【0032】
外部装置2は、例えば、パーソナルコンピュータであり、入出力インターフェース52を介して印刷ジョブおよび画像データ等を制御部40に供給する。
【0033】
ところで、昇降機構30は、印刷媒体の表面部(例えば印刷媒体同士のつなぎ目の部分や、印刷媒体上の異物)とインクジェットヘッド202との間の離間距離に応じて、インクジェットヘッド202を上方向に移動する。これにより、つなぎ目の部分等とインクジェットヘッド202との干渉を回避することができる。しかし、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離が設定距離より大きくなる。離間距離が設定距離より大きい状態で印刷媒体に印刷を行うと、画質劣化につながる可能性がある。画質の劣化部分が発生することにより、目標とする正常な画質での印刷量を得ることができないという問題がある。
【0034】
そこで、本実施の形態におけるインクジェット印刷装置1は、移動位置計測部61および搬送距離計測部62を備える。
【0035】
移動位置計測部61は、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離を計測する。また、移動位置計測部61は、印刷媒体の表面部とインクジェットヘッド202との間の離間距離を計測する。
【0036】
搬送距離計測部62は、搬送部10により印刷媒体が搬送される搬送距離を計測する。なお、搬送距離計測部62は、例えば、搬送用モーターの回転量に基づいて搬送距離を計測してよく、また、制御部40から搬送用モーターに供給される制御信号に基づいて計測してもよい。
【0037】
搬送距離計測部62は、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離が第1閾値以上である間に、搬送部10により印刷媒体が搬送される距離である搬送距離L2(ヘッド退避搬送距離)を計測する。
【0038】
制御部40(第1制御部)は、搬送距離L2に基づいて印刷距離L1を補正する。具体的には、制御部40は、印刷距離L1に搬送距離L2を加算し、印刷距離L1を加算した値に更新する。制御部40は、更新した印刷距離L1に基づいて、搬送部10を制御する。
【0039】
次に、印刷処理の一例について図6を参照して説明する。図6は、印刷処理の一例を示すフローチャートである。本フローは、印刷ジョブの開始に応じて開始される。なお、ここでは、インクジェットヘッド202が通常位置から少しでも移動した場合、インクジェットヘッド202が通常位置から移動している間に印刷媒体が搬送された搬送距離L2に基づいて、印刷距離L1を補正する場合について説明する。
【0040】
先ず、ステップS100において、制御部40は、インクジェットヘッド202の位置情報を取得する。
【0041】
次に、ステップS110において、制御部40は、インクジェットヘッド202が通常位置より移動しているか否かについて判定する。インクジェットヘッド202が通常位置より移動している場合(ステップS110:YES)、処理はステップS120に遷移する。インクジェットヘッド202が通常位置より移動していない場合(ステップS110:NO)、処理はステップS220に遷移する。
【0042】
ステップS120において、制御部40は、印刷距離を初期化する(length=0)。
【0043】
次に、ステップS130において、搬送距離の計測を開始する。
【0044】
次に、ステップS140において、制御部40は、計測値を初期化する(temp=0)。
【0045】
次に、ステップS150において、所定時間(例えば、1秒間)待機する。
【0046】
次に、ステップS160において、制御部40は、計測値を更新する(temp更新)。
【0047】
次に、ステップS170において、制御部40は、印刷距離に計測値を加算する(length=length+temp)。
【0048】
次に、ステップS180において、制御部40は、インクジェットヘッド202の位置情報を取得する。
【0049】
次に、ステップS190において、制御部40は、インクジェットヘッド202が通常位置より移動しているか否かについて判定する。インクジェットヘッド202が通常位置より移動している場合(ステップS190:YES)、処理はステップS140の前に遷移する。インクジェットヘッド202が通常位置より移動していない場合(ステップS190:NO)、処理はステップS200に遷移する。
【0050】
ステップS200において、搬送距離の計測を終了する。
【0051】
次に、ステップS210において、制御部40は、印刷距離を記憶部44に記憶させる。その後、図6に示す処理は、終了する。
【0052】
ステップS220において、所定時間(例えば、1秒間)待機する。その後、処理は、ステップS110の前に戻る。
【0053】
上記実施の形態におけるインクジェット印刷装置1によれば、印刷媒体を搬送する搬送部10と、印刷媒体の搬送方向に沿って配置され、印刷媒体にインクを吐出して印刷媒体への印刷を行う複数のインクジェットヘッド202と、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離を変えるように、インクジェットヘッド202を移動する昇降機構30と、印刷媒体を予め定められた印刷距離L1に基づいて搬送する制御を実行する制御部40と、を備え、制御部40は、インクジェットヘッド202が印刷媒体との間の離間距離を変えるよう移動されたことに基づいて、印刷距離L1を補正する。これにより、インクジェットヘッド202が離間距離を設定距離から変えるよう移動することで、画質の劣化部分が発生した場合でも、インクジェットヘッド202の移動に基づいて、印刷距離L1が補正されるため、目標とする正常な画質での印刷量を得ることができる。
【0054】
<変形例1>
次に、本実施の形態の変形例1について図7および図8を参照して説明する。図7は、印刷媒体とインクジェットヘッド202の間の離間距離と、時刻との関係を示す図である。図8は、離間距離と時刻との関係をグラフで表した図である。図8の横軸は時刻t(sec)を示し、縦軸は離間距離(mm)を示す。
【0055】
図7および図8に示すように、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離は、時刻1では3mm、時刻2では3.5mm、時刻3では4mm、時刻4では4mm、時刻5では3.5mm、時刻6では3mmである。
【0056】
変形例1においては、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離が第1閾値(例えば、3.5mm)以上である場合、画質の劣化部分が発生すると推定する。したがって、離間距離が第1閾値以上である時間(図7および図8に示す時刻2から時刻5までの経過時間、つまり、3秒間)に、印刷媒体が搬送される距離(搬送距離L2)は、画質が劣化すると推定される部分の距離に相当する。なお、第1閾値は、実験やシミュレーションにより求めることが可能である。
【0057】
移動位置計測部61は、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離を計測する。制御部40は、計測された離間距離が第1閾値以上であるか否かについて判定する。搬送距離計測部62は、上記の時間(例えば、3秒間)に印刷媒体の搬送速度(例えば、搬送用モーターの回転速度に基づいて算出可能)を乗算して、搬送距離L2(画質の劣化部分の距離)を算出する。制御部40は、印刷距離L1に搬送距離L2を加算し、印刷距離L1を加算した値に更新する。
【0058】
変形例1によれば、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離が第1閾値以上である場合、画質の劣化部分が発生すると推定した。これにより、搬送距離L2(画質の劣化部分の距離)を算出することが可能となり、搬送距離L2に基づいて印刷距離L1を補正することで、目標とする正常な画質での印刷量を確実に得ることが可能となる。
【0059】
なお、制御部40は、ユーザーの入力を受け付ける入力受付部(不図示)を介して、第1閾値を変更するための外部入力を受け付けてもよい。これにより、ユーザーは、印刷条件(例えば、印刷媒体の種類)に応じて第1閾値を変更することが可能となる。なお、印刷条件に対応する第1閾値は、実験やシミュレーションにより求めることが可能である。
【0060】
変形例1においては、制御部40は、移動位置計測部61により計測された離間距離に基づいて、インクジェットヘッド202を移動する制御を実行する。具体的には、制御部40(第2制御部)は、例えば異物Fが検出された場合、移動位置計測部61の計測結果に基づいて、離間距離が第1閾値以上になるように昇降機構30を制御する。これにより、インクジェットヘッド202を確実に退避させることが可能となる。
【0061】
<変形例2>
次に、本実施の形態の変形例2について図9および図10を参照して説明する。図9は、変形例2に係るインクジェット印刷装置1を概略的に示す図である。例えば、図9に示すように、搬送方向で上流側から3番目から6番目のインクジェットヘッド202が1ジョブ目を行っている場合であっても、1番目および2番目のインクジェットヘッド202が2ジョブ目に移っている場合、印刷距離L1を補正する状況が発生しても、1ジョブ目の印刷距離L1の補正を設定することはできない。印刷中に印刷距離L1を補正する場合の条件として、例えば、隣接するインクジェットヘッド202間の距離に色数(ここでは、6色)を乗じた分の長さが残っていること、又は、1番目のインクジェットヘッド202において印刷残りが一定距離残っていることのいずれかを満たす必要がある。
【0062】
上記の場合に限らず、印刷処理の進捗状況によっては、印刷距離L1を補正できない場合がある。
【0063】
そこで、変形例2では、制御部40は、印刷距離L1を補正する際の必要条件を満たすか否かについて判定する。制御部40は、判定結果に基づいて、印刷距離L1を補正する。変形例2においては、必要条件は、印刷処理の進捗状況の判断基準となる第2閾値を含む。第2閾値は、例えば、図10に示す閾値A[m]から閾値D[m]である。
【0064】
図10は、変形例2における印刷処理の一例を示すフローチャートである。本フローは、印刷ジョブの開始に応じて開始される。
【0065】
先ず、ステップS300において、制御部40は、各種距離の情報を取得する。ここで、各種距離は、最初に設定された印刷距離L1、残りの距離、印刷済みの距離、搬送距離L2である。残りの距離は、印刷距離L1から印刷済みの距離を減算した値である。また、搬送距離L2は、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離が第1閾値以上である間に、印刷媒体が搬送される距離である。
【0066】
次に、ステップS310において、制御部40は、印刷距離L1を補正する設定がオンであるか否かについて判定する。印刷距離L1を補正する設定がオンである場合(ステップS310:YES)、処理はステップS320に遷移する。印刷距離L1を補正する設定がオンでない場合(ステップS310:NO)、図10に示す処理は終了する。
【0067】
ステップS320において、制御部40は、残りの距離が閾値A以上であるか否かについて判定する。残りの距離が閾値A以上である場合(ステップS320:YES)、処理はステップS330に遷移する。残りの距離が閾値A以上でない場合(ステップS320:NO)、図10に示す処理は終了する。
【0068】
ステップS330において、制御部40は、最初に設定した印刷距離L1が閾値B以上であるか否かについて判定する。最初に設定した印刷距離L1が閾値B以上である場合(ステップS330:YES)、処理はステップS340に遷移する。最初に設定した印刷距離L1が閾値B以上でない場合(ステップS330:NO)、図10に示す処理は終了する。
【0069】
ステップS340において、制御部40は、印刷済みの距離が閾値C以上であるか否かについて判定する。印刷済みの距離が閾値C以上である場合(ステップS340:YES)、処理はステップS350に遷移する。印刷済みの距離が閾値C以上でない場合(ステップS340:NO)、図10に示す処理は終了する。
【0070】
ステップS350において、制御部40は、計測された搬送距離L2が閾値D以上であるか否かについて判定する。搬送距離L2が閾値D以上である場合(ステップS350:YES)、処理はステップS360に遷移する。搬送距離L2が閾値D以上でない場合(ステップS350:NO)、図10に示す処理は終了する。
【0071】
ステップS360において、制御部40は、印刷距離L1を補正する。その後、図10に示す処理は、終了する。
【0072】
変形例2によれば、印刷距離L1を補正する際の必要条件を満たした場合、印刷距離L1を補正するため、確度の高い情報に基づいて、目標とする正常な画質での印刷量を得ることができる。
【0073】
なお、上記変形例2では、制御部40は、ユーザーの入力を受け付ける入力受付部(不図示)を介して、印刷距離L1を補正するための外部入力を受け付ける。制御部40は、印刷距離L1を補正する設定がオンであるか否かについて判定する。印刷距離L1を補正する設定がオンである場合、印刷距離L1を補正することが可能となり、印刷距離L1を補正する設定がオフである場合、印刷距離L1を補正することが不可となる。これに限らず、本発明では、制御部40は、インクジェットヘッド202の動作状態(例えば、エラー時、ジョブ中断時、印刷中など動作状態)に基づいて、印刷距離L1の補正を受け付けてもよい。これにより、どのような状況で印刷距離L1を補正するかについて、ユーザーが選択することが可能となる。
【0074】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0075】
なお、上記実施の形態においては、制御部40(第3制御部)は、印刷媒体とインクジェットヘッド202との間の離間距離が第1閾値以上である場合、インクを吐出するか否かについて選択するための外部入力を受け付けてもよい。ここで、制御部40は、ユーザーの入力を受け付ける入力受付部を介して、インクを吐出するか否かについて選択するための外部入力を受け付ける。これにより、インクを吐出しない選択がされた場合、インクの消費量を抑えることが可能となる。
【0076】
また、上記実施の形態においては、インクが一時的に吐出されない間に印刷媒体が搬送された場合でも、ユーザーによっては、印刷媒体が搬送された距離を印刷距離L1に加算することを望まない場合がある。そこで、制御部40は、インクが一時的に吐出されない間に印刷媒体が搬送された距離である吐出中断距離を、搬送距離L2に加算するか否かについて選択するための外部入力を受け付ける。これにより、ユーザーの要望に対応することが可能となる。
【0077】
また、印刷途中で一定時間以上、一時停止を継続した場合、インクの浸透や、乾燥時間の差異により、印刷を継続している箇所と画質が異なる場合がある。例えば、印刷ユニット20において、1色目のみ印刷が行われた場所があるとする。2色目を印刷するまでの時間が異なることで、1色目のインクが通常より浸透する。これにより、印刷を継続していた場合と比較して、画質が異なる場合がある。また、例えば、乾燥時間が長くなると、尿素が反応を起こして黄色くなる黄変などが起こり、画質が異なる場合がある。そこで、制御部40は、インクが吐出されない時間が所定の時間以上継続した場合、所定の距離を印刷距離L1に加算するか否かについて選択するための外部入力を受け付ける。所定の時間は、実験やシミュレーションによって求めることが可能となる。これにより、正常な画質での印刷量を得ることが可能となる。なお、インクが吐出されない時間においては、離間距離を設定距離から変えるようインクジェットヘッド202を移動してもよく、移動しなくてもよい。また、上記の所定の距離を搬送距離L2に加算してもよい。上記の所定の距離を搬送距離L2に加算することで、結果的に印刷距離L1に加算することになるためである。
【0078】
なお、上記実施の形態においては、インクジェット印刷装置1の表示部(不図示)に、印刷処理の進捗状況を表す画面が表示されてもよい。図11に示すように、表示部には、残りの印刷距離を表示する画面71、印刷距離L1(搬送距離L2に基づいて補正される印刷距離を含む)を表示する画面72、正常に印刷された距離を表示する画面73、および、搬送距離(搬送距離計測部62によって計測された搬送距離)を表示する画面74が表示される。各画面の表示により、ユーザーは、印刷処理の進捗状況を容易に視認することが可能となる。
【0079】
また、制御部40は、ユーザーの入力を受け付ける入力ダイアログボックス75(入力受付部)を介して、印刷距離L1を補正するための外部入力を受け付けてもよい。これにより、ユーザーは、画質の程度を見て、画質が劣化していると判断した部分の長さを、印刷距離L1として入力ダイアログボックス75に入力することが可能となる。
【0080】
なお、上記実施の形態においては、一つのデザイン又はパターンが搬送方向に連続的に繰り返される場合、一つのデザイン又はパターンの搬送方向の長さを単位として、単位数で搬送距離L2を算出してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 インクジェット印刷装置
2 外部装置
10 搬送部
15 検出部
20 印刷ユニット
30 昇降機構
40 制御部
61 移動位置計測部
62 搬送距離計測部
202 インクジェットヘッド

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11