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特許7379986見守り装置、見守りシステム、見守り方法、および見守り装置制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】見守り装置、見守りシステム、見守り方法、および見守り装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20231108BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20231108BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231108BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019171161
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021047767
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健史
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0119276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B19/00-31/00
G16Z99/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守り対象者と、前記見守り対象者が装着する装着端末との対応を取得する装着端末管理手段と、
前記見守り対象者の歩行の特徴を表す歩行データの基準となる基準歩行データを取得する基準歩行データ取得手段と
前記装着端末から送信された前記歩行データを受信する歩行データ受信手段と、
受信した前記歩行データと前記基準歩行データとを照合して前記装着端末の装着者が正当な前記見守り対象者であるか判定する装着者正当性判定手段と、
前記装着端末から送信された前記装着端末の位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報を監視する位置情報監視手段と、
を有し、
前記基準歩行データ取得手段が、
前記見守り対象者の関係者の前記基準歩行データを取得し、
前記装着者正当性判定手段が、
前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記歩行データと類似した前記基準歩行データを類似歩行データとして前記基準歩行データ取得手段から抽出する類似歩行データ抽出手段と、
前記類似歩行データに該当する前記関係者を不正装着候補者として出力する不正装着候補者出力手段と
を有することを特徴とする見守り装置。
【請求項2】
前記装着者正当性判定手段が前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記装着端末が不正に装着されていることを報知する不正装着報知手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の見守り装置。
【請求項3】
前記装着者正当性判定手段が、前記装着者を正当な前記見守り対象者であると判定した場合に、前記見守り対象者に関する情報を、予め登録された正規の情報受取端末に送信する情報送信手段を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の見守り装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の見守り装置と、
前記見守り対象者が装着する前記装着端末とを有し、
前記装着端末が、
前記歩行データを取得する歩行データ取得手段と、
前記装着端末の前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記歩行データと前記位置情報とを前記装着端末の識別情報に紐付けて前記見守り装置に送信する
ことを特徴とする見守りシステム。
【請求項5】
見守り対象者と、前記見守り対象者が装着する装着端末との対応を取得し、
前記見守り対象者の歩行の特徴を表す歩行データの基準となる基準歩行データを取得し、
前記装着端末から送信された前記歩行データを受信し、
受信した前記歩行データと前記基準歩行データとを照合して前記装着端末の装着者が正当な前記見守り対象者であるか判定し、
前記装着端末から送信された前記装着端末の位置情報を受信し、
前記位置情報を監視し、
前記見守り対象者の関係者の前記基準歩行データを取得し、
前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記歩行データと類似した前記基準歩行データを類似歩行データとして抽出し、
前記類似歩行データに該当する前記関係者を不正装着候補者として出力する、
ことを特徴とする見守り方法。
【請求項6】
前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記装着端末が不正に装着されていることを報知する
ことを特徴とする請求項5に記載の見守り方法。
【請求項7】
見守り対象者と、前記見守り対象者が装着する装着端末との対応を取得するステップと、
前記見守り対象者が歩行した時に前記装着端末で取得される歩行データの基準となる基準歩行データを取得するステップと、
前記装着端末から送信された前記歩行データを受信するステップと、
受信した前記歩行データと前記基準歩行データとを照合して前記装着端末の装着者が正当な前記見守り対象者であるか判定するステップと、
前記装着端末から送信された前記装着端末の位置情報を受信するステップと、
前記位置情報を監視するステップと、
前記見守り対象者の関係者の前記基準歩行データを取得するステップと、
前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記歩行データと類似した前記基準歩行データを類似歩行データとして抽出するステップと、
前記類似歩行データに該当する前記関係者を不正装着候補者として出力するステップと、
を有する処理を見守り装置に実行させるための見守り装置制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り装置および見守り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者の徘徊や子供の迷子などによる事故を防ぐための見守り手段として、無線で位置情報を発信する装置を持たせる方法がある。この方法では、見守り対象者が確実に装置を身に着けている必要があるが、スマートフォンなどを用いた場合、装置を持ち歩くのを忘れたり、装置を落としたりといった事態が発生する恐れがある。一方で、確実に装置を身に着けることを重視してバンドなどで体に巻き付ける方法は、見守り対象者が不快感を覚える可能性がある。そのため、装置を確実に身に着けることと、見守り対象者がそのことを意識せずに所持し続けることができるように、小型/薄型化して身の回りのものに違和感なく取り付けられるようにする工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、個人情報記憶部と、現在位置取得部と、送信部と、振動発電部および蓄電部を備えた中敷きの発明が開示されている。見守り対象者がこの中敷きを装着し、監視者が中敷きから送信されたデータを受信することにより、見守り対象者の居場所を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5978477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の中敷きを用いた見守り方法では、見守り対象者でない別人が中敷きを装着していても分からないという問題があった。例えば、他者が誤って装着したり、悪意をもって故意に他者に装着させたりすると、その人の位置情報が、意図せぬ相手に開示されてしまったり、成り済ましを見逃したりすることになる。また、別人を見守り対象者だと認識し続けているため、真の見守り対象者の居場所が不明であることに気付くのが遅れてしまうという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、見守り対象者が不快感を覚えることなく、見守っている者が正当な見守り対象者か否かを判別できる見守りシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、見守り装置は、装着端末管理手段と、基準歩行データ取得手段と、歩行データ受信手段と、装着者正当性判定手段とを有している。装着端末管理手段は、見守り対象者と、見守り対象者が装着する装着端末との対応情報を取得する。基準歩行データ取得手段は、見守り対象者の歩行の特徴を表す歩行データの基準となる基準歩行データを取得する。歩行データ受信手段は、装着端末から送信された歩行データを受信する。装着者正当性判定手段は、受信した歩行データと基準歩行データとを照合して装着端末の装着者が正当な見守り対象者であるか判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果は、見守り対象者が不快感を覚えることなく、見守っている者が正当な見守り対象者か否かを判別できる見守りシステムを提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の見守り装置を示すブロック図である。
図2】第2の実施形態の見守りシステムを示すブロック図である。
図3】第2の実施形態の基準歩行データの記憶テーブルの一例を示す表である。
図4】第2の実施形態の位置情報記憶テーブルの一例を示す表である。
図5】第2の実施形態の見守りサーバの動作を示すフローチャートである。
図6】第3の実施形態の見守りシステムを示すブロック図である。
図7】第3の実施形態の見守りサーバの動作を示すフローチャートである。
図8】第4の実施形態の見守りシステムを示すブロック図である。
図9】第4の実施形態の適用例を示す模式図である。
図10】第5の実施形態の装着端末の実装例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の見守り装置10を示すブロック図である。見守り装置10は、装着端末管理手段1と、基準歩行データ取得手段2と、歩行データ受信手段3と、装着者正当性判定手段4とを有している。
【0012】
装着端末管理手段1は、見守り対象者と、見守り対象者が装着する装着端末との対応を取得する。
【0013】
基準歩行データ取得手段2は、見守り対象者の歩行の特徴を表す歩行データの基準となる基準歩行データを取得する。
【0014】
歩行データ受信手段3は、装着端末から送信された歩行データを受信する。
【0015】
装着者正当性判定手段4は、受信した歩行データと基準歩行データとを照合して装着端末の装着者が正当な見守り対象者であるか判定する。
【0016】
以上の構成では、装着端末で取得される歩行データを用いて、装着端末の装着者が正当な見守り対象者であるか、別人であるかを判定することができる。このため、装着端末を違和感なく装着できるものにすれば、見守り対象者が不快感を覚えることなく、見守りを行うことができる。
【0017】
(第2の実施形態)
図2は本実施形態の見守りシステム1000を示すブロック図である。見守りシステム1000は、装着端末100と、見守りサーバ200とを有している。見守りサーバ200は、第1の実施形態の見守り装置10に相当する。
【0018】
装着端末100は、装着端末識別情報記憶部110と、歩行データ取得部120と、位置情報取得部130と、装着端末データ送信部140とを有する。装着端末識別情報記憶部110は、装着端末の識別情報を記憶する。歩行データ取得部120は、装着端末を装着している装着者の歩行データを取得する。歩行データは、装着端末100の装着者が歩行する時に計測される加速度や振動の推移等のデータである。歩行データには個人に固有の特徴が表れるため、歩行データを用いて個人を特定することが可能である。個人の特定方法についての説明は、ここでは省略するが、歩行データ(歩行に伴う振動計測データ)を解析して歩行者を特定する方法が、例えば国際公開第2017/188418号に開示されている。位置情報取得部130は、装着端末100の位置情報を取得する。具体的には、衛星や通信基地局からの電波を受信して装着端末100の位置を測位する。装着端末データ送信部140は、装着端末識別情報と紐付けて歩行データと位置情報を含む装着端末データを、見守りサーバ200に、例えば無線を用いて送信する。
【0019】
見守りサーバ200は、装着端末管理部210と、基準歩行データ取得部220と、装着端末データ受信部230と、歩行データ照合部240と、位置情報監視部250と、不正装着報知部260とを有している。
【0020】
装着端末管理部210は、装着端末の識別情報と見守り対象者との紐付け情報を取得する。この紐付け情報は、装着端末管理部210に記憶していても良いし、外部の記憶装置等から取得しても良い。基準歩行データ取得部220は、見守り対象者の歩行データの基準となる基準歩行データを取得する。この基準歩行データは、基準歩行データ取得部220に記憶していても良いし、外部の記憶装置等から取得しても良い。装着端末データ受信部230は、装着端末データを受信する。歩行データ照合部240は、受信した歩行データを、見守り対象者の基準歩行データと照合して、装着者が、装着端末に紐付いた見守り対象者であるか判定する。
【0021】
位置情報監視部250は、装着端末100の位置情報を監視する。そして、装着者が見守り対象者であると判定された場合には、装着端末の位置情報を、予め登録された正規の情報受取端末である監視者端末300に送信する。監視者端末300を保持する監視者は、例えば施設の職員や家族などである。一方、装着者が見守り対象者ではない、つまり不正な装着者であった場合には、位置情報を監視者端末300には送信せず、不正装着報知部260から、表示や音声等により、不正装着であることを報知する。報知する対象は、例えば施設の管理者、警備員などである。装着端末100のハードウェアは、例えば、通信機能、プロセッサ、メモリなどを備えた携帯通信機、見守りサーバ200のハードウェアは、例えば、通信機能を備えたコンピュータとすることができる。
【0022】
図3は、基準歩行データ取得部210に取得される基準歩行データテーブルの一例を示す表である。この例では、基準歩行データテーブルに、装着端末ID(A列)、見守り対象者(B列)、基準歩行特徴(C列)、監視者(D列)、監視者アドレス(E列)、その他情報が保持されている。なお、IDは、IDentifier、識別情報の略である。基準歩行データは、見守り対象者が歩行する時の加速度の推移等を計測し、当該見守り対象者の標準的な歩行軌道や動作速度などをデータ化したものである。監視者は、例えば、見守り対象者が属する施設の職員や、家族等であり、見守り対象者の個人情報を開示しても良い人である。その連絡先(e-mailアドレス等)が、正規の連絡先として予め登録されている。また、その他情報の欄には、住所/年齢/血液型/既往歴などが格納されている。
【0023】
図4は、装着端末100の位置情報の記憶テーブルの一例を示す表である。位置情報は別のテーブルに装着端末IDと時刻とともに位置情報監視部250に記録しておくことで、後で呼び出すことが可能である。
【0024】
図5は、見守りサーバ200の動作を示すフローチャートである。まず基準歩行データ取得部210が、装着端末IDに紐付いた見守り対象者の基準歩行データを読み出す(S101)。次に装着端末データ受信部220が、装着端末データを受信する(S102)。装着端末データには、装着端末ID、歩行データ、位置情報が含まれている。なお、S101とS102の順番は逆であっても良い。次に、位置情報監視部250が、装着端末100の位置情報を記憶する(S103)。次に、歩行データ照合部250が、受信した歩行データを、見守り対象者の基準歩行データと照合する(S104)。照合は、例えば、所定の回数だけ、歩行データの取得と歩行データと基準歩行データとの照合を繰り返し、所定の類似性の条件を満たすか否かで行うことができる。ここで両者が一致していると判定されれば(S105_Yes)、装着者が正当な見守り対象者であると判定し、位置情報を監視者端末に送信する(S106)。一方、装着者の歩行データが一致しなかった場合は(S105_No)、不正着用の可能性を見守りサーバ200から報知する(S107)。この報知は、例えば施設の管理者、警備員だけが見られるように行うことができる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、装着端末の着用者が正しい見守り対象者であるか判別し、正しい場合だけ、位置情報を監視者に通知することができる。
【0026】
(第3の実施形態)
図6は、本実施形態の見守りシステム1001を示すブロック図である。本実施形態の見守りサーバ201は、第2の実施形態の見守りサーバ200に加えて、類似歩行データ検索部270と、不正装着候補者出力部280とを有している。さらに見守り対象者が所属する施設の職員や、見守り対象者の家族などの、関係者の基準歩行データを取得する関係者基準歩行データ取得部210aを設けている。
【0027】
見守りシステム1001では、装着端末100の装着者が装着端末IDに対応する見守り対象者でなかった場合に、他の見守り対象者や関係者に当該装着端末100を誤って装着している者がいないか探索することができる。
【0028】
受信した歩行データが、装着端末IDに対応する基準歩行データに一致しなかった場合、対応する見守り対象者以外の誰かが当該装着端末100を装着していることになる。この時、類似歩行データ検索部270は、基準歩行データ取得部210から他の見守り対象者の基準歩行データを読み出し、受信した歩行データと一致するものがあるか探索する。ここで、一致するものが無かった場合は、関係者基準歩行データ取得部210aで取得された基準歩行データの中に、受信した歩行データに一致するものがあるか探索する。そして、一致するものが見つかった場合には、対応する他の見守り対象者や関係者を、不正装着候補者と判定して、不正装着候補者出力部から、表示、印刷等の手段により出力する。なお上記の一致の判定は、例えば、類似度が所定の基準を満たすことで行うことができる。
【0029】
図7は、見守りサーバ201の動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、図5のS101、S102の動作を省略している。まず位置情報監視部が、受信した位置情報を、装着端末IDと紐付けて記憶する(S201)。次に、歩行データ照合部が、受信した歩行データを、装着端末IDに対応する見守り対象者の基準歩行データと照合する(S202)。ここで、歩行データと基準歩行データが一致していた場合は(S203_Yes)、装着端末100の装着者が、正当な見守り対象者であることが確認されたとして、装着端末100の位置情報を登録された監視者端末に送信する(S204)。
【0030】
一方、受信した歩行データと装着端末IDに対応する基準歩行データとが一致しなかった場合は(S203_No)、類似歩行データ検索部が、他に一致する基準歩行データあるか検索する。この時、基準歩行データ取得部および関係者基準歩行データ取得部のデータを検索する(S205)。ここで、一致するものが見つかった場合は(S206_Yes)、対応する他の見守り対象者や関係者を不正装着候補者として、出力する(S207)。一方、一致する基準歩行データが無かった場合には(S206_No)、装着者が不明であるため、不正着用の可能性があることだけを通知する(S208)。
【0031】
以上の動作によれは、装着端末の不正な装着があった場合に、不正装着している候補者を速やかに特定できる可能性が高くなる。そして、正しい見守り対象者の発見を早めることができる。
【0032】
(第4の実施形態)
図8は本実施形態の見守りシステム1002を示すブロック図である。装着端末102は、第3の実施形態の装着端末100の構成に加えて、ビーコン150と、歩行データ取得・送信制御部160とを有している。また見守りサーバ202は、第3の実施形態の見守りサーバ201の構成に加えて、ビーコン情報取得部290と装着端末動作制御部292とを有している。
【0033】
図9は、装着端末102を装着した複数の見守り対象者が施設エリア2000の中に存在し、これらの見守りを見守りサーバ202が行うことを示す模式図である。施設エリア内にはビーコン受信機2100が各所に配置されている。ここで言うビーコンは、低消費電力の近距離無線を利用した位置特定技術の意味である。そして、ここでは、装着端末102がビーコン信号を定期的に送信し、施設エリア2000に設置されたビーコン受信機2100でこの信号を受信することで装着端末102の位置が特定できるものとする。また装着端末102が施設エリア2000から外に出てしまうと、装着端末102から送信されたビーコン信号はビーコン受信機2100に届かないものとする。
【0034】
見守りサーバ202のビーコン情報取得部290は、施設エリア内にあるビーコン受信機からビーコン情報を取得して、送信元である装着端末102の位置を特定する。見守りサーバ202は、施設エリア2000の外にある装着端末102からは、ビーコン情報を取得することができないが、第2、3の実施形態と同様に、装着端末データを受信することで装着端末102の位置を特定することができる。受信した歩行データから、装着端末102の装着者が正当な見守り対象者であると判定された場合は、第2、第3の実施形態と同様に、見守りサーバ202は、通信ネットワーク3000を介して、監視者端末300に見守り対象者の位置情報を送信する。図9の例では複数の監視者端末300(300--1、300-2、・・・)を描いている。
【0035】
見守りサーバ202の装着端末制御部292は、装着端末102が施設エリア2000内にあり、ビーコン情報が取得できている間は、歩行データ取得・送信制御部160に歩行データの取得と送信を停止させる指令を送信する。この指令を受けた歩行データ取得・送信制御部160は、歩行データの取得と送信を停止するように装着端末102を制御する。一方、装着端末102が施設エリア2000の外に出て、ビーコン受信機2100がビーコン信号を受信できなくなると、見守りサーバ202もビーコン情報を受信できなくなる。ビーコン情報を受信できなくなった場合、装着端末動作制御部292は、歩行データ取得・送信制御部160に、歩行データの取得と送信を行わせる指令を送信する。この指令を受けた歩行データ取得・送信制御部160は、装着端末102が歩行データの取得と送信を開始するように制御する。なお、装着端末動作制御部292と歩行データ取得・送信制御部160が通信に用いる電波は、ビーコンより強く、施設エリア2000の外まで到達できるものである。また、ビーコン受信機2100が受信するビーコン信号が弱くなった場合に、それを知らせるアラームが見守りサーバ202に通知され、それをきっかけとして、歩行データの取得制御が開始されるようにしても良い。
【0036】
図9の例では、複数の見守り対象者が、装着端末102-1、102-2、・・・を装着しており、装着端末102-2が施設エリア2000の外に出ている。装着端末102を装着した装着者は、例えば、高齢者であれば、徘徊をしている状態に相当する。
【0037】
上記の一連の動作をまとめると次のようになる。装着端末102-2を装着した装着者が、施設エリア2000を出ると、ビーコン受信機2100がビーコン信号を受信できなくなる。すると、見守りサーバ202は、装着端末102-2の装着者が施設エリア2000を離れた、すなわち徘徊を始めたと判断する。そして、装着端末動作制御部292が、装着端末102-2に、歩行データの取得と装着端末データの送信開始を指示する。その結果、装着端末102―2の歩行データの取得と送信と、位置情報の監視が開始される。この監視は、装着端末102-2が施設エリア2000内に戻り、ビーコン情報が見守りサーバ202に再取得されるまで繰り返される。そして、装着端末データを受信している間は、第2、3の実施形態と同様に、装着者が正当な見守り対象者であるか判定する動作、および不正に装着端末を装着している者の探索を行う。上記の動作によれば、装着端末が施設エリア内にある間は、装着端末は、位置情報の取得や、歩行データの取得、装着端末データの送信等を行わないため、装着端末の消費電力を節約することができる。本実施形態の見守りシステムは、老人介護、児童見守り、作業者/服役者管理などに好適である。
【0038】
(第5の実施形態)
図10は、第4の実施形態の装着端末の実装形態の一例を示す斜視図である。本実施形態の装着端末102aは、履物の内部に装着可能なインソール型の電子機器である。装着端末102aでは、インソール本体170aに、制御/記憶部110aと、位置情報取得部120aと、センサ部130aと、送受信部140aと、ビーコン150aと、電源部160aとを実装している。制御/記憶部110aは、個人識別情報を記憶し、位置情報取得部120a、センサ部130a、送受信部140a、ビーコン150aを制御する。位置情報取得部120aは、衛星や通信基地局からの電波を受信して端末の位置を測位する。センサ部130aは、装着端末の動きや状態を感知する加速度センサなどのセンサを有する。送受信部140aは装着端末データなどを送信し、見守りサーバからの指令などを受信する。ビーコン150aは、装着端末102の所在を示す信号を発信する。電源部160aは、電池を備え、装着端末102を構成する各部に電力を供給する。
【0039】
このような、インソール型の装着端末とすることにより、見守り対象者は、靴を履くだけで、無意識のうちに装着端末を装着することができる。また、インソール本体を足にフィットする形状にすれば、見守り対象者は違和感を覚えることなく、装着端末を装着することができる。
【0040】
上述した第1乃至第4の実施形態の処理を、コンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、などを用いることができる。
【0041】
以上、第1乃至第4の実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0042】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
見守り対象者と、前記見守り対象者が装着する装着端末との対応を取得する装着端末管理手段と、
前記見守り対象者の歩行の特徴を表す歩行データの基準となる基準歩行データを取得する基準歩行データ取得手段と
前記装着端末から送信された前記歩行データを受信する歩行データ受信手段と、
受信した前記歩行データと前記基準歩行データとを照合して前記装着端末の装着者が正当な前記見守り対象者であるか判定する装着者正当性判定手段と
を有することを特徴とする見守り装置。
(付記2)
前記装着端末から送信された前記装着端末の位置情報を受信する位置情報受信部を有する
ことを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記3)
前記装着者正当性判定手段が前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記装着端末が不正に装着されていることを報知する不正装着報知手段を有する
ことを特徴とする付記1または2のいずれかに記載の見守り装置。
(付記4)
前記基準歩行データ取得手段が、
前記見守り対象者の関係者の前記基準歩行データを取得し、
前記装着者正当性判定手段が、前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記歩行データと類似した前記基準歩行データを類似歩行データとして前記基準歩行データ取得手段から抽出する類似歩行データ抽出手段と、
前記類似歩行データに該当する前記関係者を不正装着候補者として出力する不正装着候補者出力手段と
を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載の見守り装置。
(付記5)
前記装着者正当性判定手段が、前記装着者を正当な前記見守り対象者であると判定した場合に、前記見守り対象者に関する情報を、予め登録された正規の情報受取端末に送信する情報送信手段を有する
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一つに記載の見守り装置。
(付記6)
前記見守り対象者に関する前記情報が前記位置情報を含む
ことを特徴とする付記5に記載の見守り装置。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか一つに記載の見守り装置と、
前記見守り対象者が装着する前記装着端末とを有し、
前記装着端末が
前記歩行データを取得する歩行データ取得手段と、
前記装着端末の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記歩行データと前記位置情報とを前記装着端末の識別情報に紐付けて前記見守り装置に送信する
ことを特徴とする見守り装置。
(付記8)
前記装着端末が、
所定エリア内に設置されたビーコン信号受信機にビーコン信号を送信するビーコン信号送信手段を有し、
前記見守り装置が
前記ビーコン信号受信機からビーコン情報を取得し、
前記ビーコン情報が取得できている間は、前記ビーコン信号の送信元である前記装着端末に対し、前記歩行データの計測と前記装着端末データの送信とを停止する指令を送信し、
前記装着端末は前記指令に従った動作を行う
ことを特徴とする付記7に記載の見守り装置。
(付記9)
見守り対象者と、前記見守り対象者が装着する装着端末との対応を取得し、
前記見守り対象者の歩行の特徴を表す歩行データの基準となる基準歩行データを取得し、
前記装着端末から送信された前記歩行データを受信し、
受信した前記歩行データと前記基準歩行データとを照合して前記装着端末の装着者が正当な前記見守り対象者であるか判定する
ことを特徴とする見守り方法。
(付記10)
前記装着端末から送信された前記装着端末の位置情報を受信する
ことを特徴とする付記9に記載の見守り方法。
(付記11)
前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記装着端末が不正に装着されていることを報知する
ことを特徴とする付記9または10のいずれかに記載の見守り方法。
(付記12)
前記見守り対象者の関係者の前記基準歩行データを取得し、
前記装着者を正当な前記見守り対象者でないと判定した場合に、前記歩行データと類似した前記基準歩行データを類似歩行データとして前記基準歩行データから抽出し、
前記類似歩行データに該当する前記関係者を不正装着候補者として出力する
ことを特徴とする付記9乃至11のいずれか一つに記載の見守り方法。
(付記13)
前記装着者を正当な前記見守り対象者であると判定した場合に、前記見守り対象者に関する情報を、予め登録された正規の情報受取端末に送信する
ことを特徴とする付記9乃至12のいずれか一つに記載の見守り方法。
(付記14)
前記装着端末が、
所定エリア内に設置されたビーコン信号受信機にビーコン信号を送信し、
前記ビーコン信号受信機からビーコン情報を取得し、
前記ビーコン情報が取得できている間は、前記ビーコン信号の送信元である前記装着端末に対し、前記歩行データの計測と前記歩行データの送信とを停止する指令を送信し、
前記装着端末は前記指令に従った動作を行う
ことを特徴とする付記9乃至13のいずれか一つに記載の見守り方法。
(付記15)
見守り対象者と、前記見守り対象者が装着する装着端末との対応を取得するステップと、
前記見守り対象者が歩行した時に前記装着端末で取得される歩行データの基準となる基準歩行データを取得するステップと、
前記装着端末から送信された前記歩行データを受信するステップと、
受信した前記歩行データと前記基準歩行データとを照合して前記装着端末の装着者が正当な前記見守り対象者であるか判定するステップと
を有する処理を見守り装置に実行させるための見守り装置制御プログラム。
【符号の説明】
【0043】
1 装着端末管理手段
2 基準歩行データ取得手段
3 歩行データ受信手段
4 装着者正当性判定手段
10 見守り装置
1000、1001、1002 見守りシステム
100 装着端末
110 装着端末識別情報取得部
120 歩行データ取得部
130 位置情報取得部
140 装着端末データ送信部
150 ビーコン
200、201、202 見守りサーバ
210 装着端末管理部
220 基準歩行データ取得部
230 装着端末データ受信部
240 歩行データ照合部
250 位置情報監視部
260 不正装着報知部
270 類似歩行データ検索部
280 不正装着候補者出力部
290 ビーコン情報取得部
300 監視者端末
2000 施設エリア
図1
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図3
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図8
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図10