(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】基音周波数決定装置、疑似低音処理装置、基音周波数決定方法および音響処理方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20231108BHJP
H03G 5/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H03G5/02 025
(21)【出願番号】P 2019171440
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】宮阪 修二
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-222867(JP,A)
【文献】特開2008-085412(JP,A)
【文献】特開2012-147179(JP,A)
【文献】特開2008-103880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00-3/12
H03G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定する基音周波数決定装置であって、
前記音響入力信号の低帯域における増幅量を格納する格納部と、
前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得する取得部と、
前記最低共振周波数に基づいて前記基音周波数を決定する決定部と
を備え、
前記取得部は、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性を取得し、
前記決定部は、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する
基音周波数決定装置。
【請求項2】
音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定する基音周波数決定装置であって、
前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得する取得部と、
前記最低共振周波数に基づいて前記基音周波数を決定する決定部と
を備え
、
前記取得部は、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性と、前記音響入力信号の低帯域における増幅量とを取得し、
前記決定部は、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する
基音周波数決定装置。
【請求項3】
音響入力信号に疑似低音処理を行う疑似低音処理装置であって、
前記音響入力信号から、請求項
1または2に記載の基音周波数決定装置で決定された前記基音周波数の信号を取り出して出力するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタから出力された信号の倍音群成分を生成するハーモニック生成部と
を備える疑似低音処理装置。
【請求項4】
音響入力信号に疑似低音処理を行う疑似低音処理装置であって、
前記音響入力信号から、請求項
1または2に記載の基音周波数決定装置で決定された前記基音周波数の信号を取り出して出力するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタから出力された信号の倍音群成分を生成するハーモニック生成部と、
前記ハーモニック生成部で生成された信号を少なくとも前記増幅量で増幅するローブーストフィルタと
を備える疑似低音処理装置。
【請求項5】
音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定する方法であって、
前記音響入力信号の低帯域における増幅量を格納するステップと、
前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得するステップと、
前記最低共振周波数に基づいて前記基音周波数を決定するステップと
を含
み、
前記最低共振周波数を取得するステップにおいて、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性を取得し、
前記基音周波数を決定するステップにおいて、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する
基音周波数決定方法。
【請求項6】
音響入力信号に疑似低音処理を行う音響処理方法であって、
前記音響入力信号の低帯域における増幅量を格納するステップと、
前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得するステップと、
前記最低共振周波数に基づいて前記疑似低音処理における基音周波数を決定するステップと、
前記音響入力信号から、前記基音周波数の信号を取り出すステップと、
前記基音周波数の信号から、前記基音周波数の倍音群成分の信号を生成するステップと、
前記倍音群成分の信号を前記音響入力信号に加算するステップと
を含み、
前記最低共振周波数を取得するステップにおいて、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性を取得し、
前記基音周波数を決定するステップにおいて、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する
音響処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数(Fundamental Frequency)を決定する基音周波数決定装置、基音周波数決定方法、基音周波数を用いて疑似低音処理を行う疑似低音処理装置、および、音響処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカから出力される音の低音成分を増強するため、周波数イコライザーが広く用いられている。ユーザは、周波数イコライザーを操作することで、低音成分のうちどの周波数帯域をどの程度増幅するかを直感的に設定できる。しかしながら周波数イコライザーでは、スピーカで再生できない周波数成分、つまりスピーカの最低共振周波数より低い周波数成分を増強することができない。
【0003】
スピーカで再生できない周波数成分を増強する技術として、ミッシングファンダメンタル現象という聴覚心理現象を利用した疑似低音処理技術が知られている(例えば特許文献1参照)。ミッシングファンダメンタル現象は、基音が欠落してもその倍音群成分(例えば基音が50Hzの場合、倍音群成分は100Hz、150Hz、200Hz・・)が存在している場合、欠落している基音が聴感上聞こえるという現象である。この疑似低音処理技術を利用した音響処理システムでは、音響入力信号に基音周波数の倍音群成分が加算されて出力されるので、仮にスピーカが基音となる周波数成分を再生できない場合であっても、ユーザに基音周波数を含む音を聴感させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スピーカの開発を行っている技術者が疑似低音処理技術に精通していない場合、疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定することが困難な場合がある。
【0006】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を簡易に決定することができる基音周波数決定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における基音周波数決定装置は、音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定する基音周波数決定装置であって、前記音響入力信号の低帯域における増幅量を格納する格納部と、前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得する取得部と、前記最低共振周波数に基づいて前記基音周波数を決定する決定部とを備え、前記取得部は、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性を取得し、前記決定部は、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する。
本開示における基音周波数決定装置は、音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定する基音周波数決定装置であって、前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得する取得部と、前記最低共振周波数に基づいて前記基音周波数を決定する決定部とを備え、前記取得部は、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性と、前記音響入力信号の低帯域における増幅量とを取得し、前記決定部は、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する。
【0008】
本開示における疑似低音処理装置は、音響入力信号に疑似低音処理を行う疑似低音処理装置であって、前記音響入力信号から、上記の基音周波数決定装置で決定された前記基音周波数の信号を取り出して出力するバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタから出力された信号の倍音群成分を生成するハーモニック生成部とを備える。
【0009】
本開示における疑似低音処理装置は、音響入力信号に疑似低音処理を行う疑似低音処理装置であって、前記音響入力信号から、上記の基音周波数決定装置で決定された前記基音周波数の信号を取り出して出力するバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタから出力された信号の倍音群成分を生成するハーモニック生成部と、前記ハーモニック生成部で生成された信号を少なくとも前記増幅量で増幅するローブーストフィルタとを備える。
【0010】
本開示における基音周波数決定方法は、音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定する方法であって、前記音響入力信号の低帯域における増幅量を格納するステップと、前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得するステップと、前記最低共振周波数に基づいて前記基音周波数を決定するステップとを含み、前記最低共振周波数を取得するステップにおいて、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性を取得し、前記基音周波数を決定するステップにおいて、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する。
【0011】
本開示における音響処理方法は、音響入力信号に疑似低音処理を行う音響処理方法であって、前記音響入力信号の低帯域における増幅量を格納するステップと、前記疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数を取得するステップと、前記最低共振周波数に基づいて前記疑似低音処理における基音周波数を決定するステップと、前記音響入力信号から、前記基音周波数の信号を取り出すステップと、前記基音周波数の信号から、前記基音周波数の倍音群成分の信号を生成するステップと、前記倍音群成分の信号を前記音響入力信号に加算するステップとを含み、前記最低共振周波数を取得するステップにおいて、さらに、前記音出力装置の前記最低共振周波数よりも低い周波数帯域における減衰特性を取得し、前記基音周波数を決定するステップにおいて、前記最低共振周波数、前記減衰特性および前記増幅量に基づいて、前記基音周波数を決定する際に、前記減衰特性から、前記最低共振周波数におけるゲインに対して前記ゲインの下がり量の値が前記増幅量の値と同じとなるところの周波数を求め、当該周波数の1/2の周波数を前記基音周波数として決定する。
【0012】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の基音周波数決定装置等によれば、音響入力信号に疑似低音処理を行う際の基音周波数を簡易に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】実施の形態1における基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】疑似低音処理を行う対象である音出力装置の最低共振周波数、および、疑似低音処理を行う際の基音周波数を示す図である。
【
図4】実施の形態1の基音周波数決定方法および音響処理方法を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1の基音周波数決定装置の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態1の変形例における基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態2における基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】音出力装置の最低共振周波数、減衰特性、および、疑似低音処理を行う際の基音周波数を示す図である。
【
図9】実施の形態2の変形例における基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態3における基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】実施の形態3の変形例における基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本開示に至る経緯)
スピーカおよびイアホンなどの音出力装置が世間に多く存在する中、今後は、音出力装置を開発する各メーカにて音出力装置の音質調整を行うケースが増えると予想される。音出力装置の音質調整を行うケースの1つとして前述した疑似低音処理を導入する場合、以下に示すような疑似低音処理装置102が用いられると考えられる。
【0016】
図1は、疑似低音処理装置102の一例を示す図である。
図1には、疑似低音処理装置102に接続されるスピーカなどの音出力装置3も示されている。
【0017】
図1に示す疑似低音処理装置102は、音響入力信号s1から基音周波数を取り出すバンドパスフィルタ23と、バンドパスフィルタ23から出力された信号の倍音群成分を生成するハーモニック生成部24と、ハーモニック生成部24で生成されたハーモニック信号shを音響入力信号s1に加算する加算部28とを備える。この疑似低音処理装置102では、音響入力信号s1に基音周波数の倍音群成分が加算されて出力されるので、ユーザに基音周波数を含む音を聴感させることができる。
【0018】
このような疑似低音処理を実現するためには、上記基音周波数をバンドパスフィルタ23に予め設定入力する必要がある。しかしながら、音出力装置3の開発を行っている技術者が疑似低音処理技術に精通していない場合、疑似低音処理を行う際の基音周波数を決定することは困難である。一方で音出力装置3の技術者は、音出力装置3の物理特性、例えば共振周波数特性などを十分に把握していると考えられる。
【0019】
そこで本開示は、音出力装置3の物理特性等を用いて基音周波数を簡易に決定することができる基音周波数決定装置等を提供する。
【0020】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0021】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
[1-1.基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成]
実施の形態1における基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成について、
図2および
図3を参照しながら説明する。
【0023】
図2は、実施の形態1における基音周波数決定装置1および疑似低音処理装置2の構成を示すブロック図である。
図2には、疑似低音処理装置2に接続される音出力装置3も示されている。また
図2には、基音周波数決定装置1、疑似低音処理装置2および音出力装置3によって構成される音響処理システム5も示されている。
【0024】
音出力装置3は、疑似低音処理装置2から出力された音響出力信号s2を音に変換して出力する装置であり、例えば、スピーカまたはヘッドホンの音出力部である。音出力装置3は、本実施の形態において疑似低音処理が行われる対象となる装置であり、例えば、90Hz以上の周波数帯域の音を出音できるが、90Hzより低い周波数帯域の音は徐々に減衰する構造となっている。そのため、この音出力装置3を対象として疑似低音処理による音質調整が行われる。
【0025】
以下、基音周波数決定装置1および疑似低音処理装置2について順に説明する。
【0026】
基音周波数決定装置1は、基音周波数FFを決定する装置であり、例えば、基音周波数FFを決定するプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータである。
【0027】
図2に示すように、基音周波数決定装置1は、音出力装置3の最低共振周波数F0を取得する取得部10と、基音周波数FFを決定する決定部11と、バンドパスフィルタ係数を生成するBPF(バンドパスフィルタ)係数生成部12とを備えている。
【0028】
取得部10は、音出力装置3の最低共振周波数F0を取得する受付入力部である。最低共振周波数F0は、例えば、音出力装置3の物理特性を把握している音出力装置3の技術者によって取得部10に入力される。
【0029】
図3は、疑似低音処理を行う対象である音出力装置3の最低共振周波数F0、および、疑似低音処理を行う際の基音周波数FFを示す図である。
図3における実線は、音出力装置3の共振周波数特性の実測値であり、太破線は、この共振周波数特性を直線的に近似したものである。
【0030】
最低共振周波数F0は、音出力装置3の周波数特性でいうと、低帯域において信号の出力が減衰し始めるところの周波数である。最低共振周波数F0は、音出力装置3が持つ固有値であり、音出力装置3の大きさや素材によって様々な値を取り得る。本実施の形態における音出力装置3の最低共振周波数F0は、90Hzである。共振周波数特性は、最低共振周波数F0よりも低い周波数帯域において一定の傾斜で減衰している。
【0031】
決定部11は、取得部10で取得した最低共振周波数F0に基づいて基音周波数FFを決定する演算部である。本実施の形態の決定部11は、最低共振周波数F0の1/2の周波数を基音周波数として決定する。基音周波数決定装置1では、この決定部11の演算により、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0032】
図3には、最低共振周波数F0が90Hzであり、基音周波数FFが45Hzとなっていることが示されている。なお上記では、最低共振周波数F0の1/2の値を基音周波数FFとして決定しているが、この値は必ずしも厳密なものではない。例えば音出力装置3が、基音周波数FFの2倍音の周波数成分を再生することができれば、基音周波数FFは、最低共振周波数F0の1/2に限られず、3/8以上5/8以下の値であってもよい。
【0033】
BPF係数生成部12は、決定部11で決定した基音周波数FFに基づいて、後述するバンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成する演算部である。このフィルタ係数は、公知の方法により算出することができる。フィルタ係数は、基音周波数FFがバンドパスフィルタ23の中心周波数となるように生成される。ただし、フィルタ係数は、必ずしも基音周波数FFがバンドパスフィルタ23の中心周波数となるように生成される必要はなく、基音周波数FFがバンドパスフィルタ23の半値幅に含まれるように生成されてもよい。
【0034】
BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数は、疑似低音処理装置2に出力される。フィルタ係数は、例えば、USBメモリなどの記録媒体を介して疑似低音処理装置2に出力されてもよいし、基音周波数決定装置1と疑似低音処理装置2とが直接接続されることで疑似低音処理装置2に出力されてもよい。
【0035】
疑似低音処理装置2は、例えば、スピーカまたはヘッドホンに内蔵される装置である。疑似低音処理装置2は、音響入力信号s1に疑似低音処理を施して音出力装置3に出力する。音響入力信号s1は、疑似低音処理装置2に入力された後に分岐され、分岐された一方の音響入力信号s1は加算部28に出力され、もう一方の音響入力信号s1はバンドパスフィルタ23に出力される。
【0036】
図2に示すように、疑似低音処理装置2は、記憶部21と、バンドパスフィルタ23と、ハーモニック生成部24と、加算部28とを備えている。
【0037】
記憶部21は、BPF係数生成部12にて生成されたフィルタ係数を記憶する不揮発性メモリである。記憶部21には、フィルタ係数に限られず、前述した基音周波数FF、最低共振周波数F0などの物理特性および音出力装置3のMACアドレス等が記憶されてもよい。
【0038】
バンドパスフィルタ23は、記憶部21から読み出したフィルタ係数に基づいて、音響入力信号s1から基音周波数FFの信号を取り出して出力するデジタル処理部である。バンドパスフィルタ23で取り出された信号は、ハーモニック生成部24に出力される。
【0039】
ハーモニック生成部24は、バンドパスフィルタ23から出力された信号の倍音群成分(ハーモニック成分)を生成するデジタル処理部である。バンドパスフィルタ23から出力された信号は、最低共振周波数F0の1/2の周波数を持つ信号であり、ハーモニック生成部24で生成されるN倍音群成分(Nは3以上の整数)は、最低共振周波数F0よりも高い周波数成分を有する。ハーモニック生成部24で生成された倍音群成分を有するハーモニック信号shは、加算部28に出力される。
【0040】
加算部28は、音響入力信号s1にハーモニック信号shを加算するデジタル処理部である。音響入力信号s1にハーモニック信号shを加算することで、倍音群成分を含む音響出力信号s2が生成される。加算部28で生成された音響出力信号s2は、音出力装置3に出力される。
【0041】
この疑似低音処理装置2では、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、仮に音出力装置3が基音となる周波数成分を再生できない装置であっても、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0042】
[1-2.基音周波数決定方法および音響処理方法]
次に、本実施の形態に係る基音周波数決定方法および音響処理方法について説明する。
【0043】
図4は、実施の形態1の基音周波数決定方法および音響処理方法を示すフローチャートである。
【0044】
基音周波数決定方法は、音響入力信号s1に疑似低音処理を行う際の基音周波数FFを決定する方法である。
【0045】
基音周波数決定方法として、まず、基音周波数決定装置1の取得部10が、音出力装置3の最低共振周波数F0を取得する(ステップS11)。最低共振周波数F0は、例えば音出力装置3の技術者によって取得部10に入力される。
【0046】
次に、取得部10で取得した最低共振周波数F0に基づき、決定部11が基音周波数FFを決定する(ステップS12)。本実施の形態における決定部11は、最低共振周波数F0の1/2の周波数を基音周波数FFとして決定する。
【0047】
この基音周波数決定方法によれば、疑似低音処理を行う際の基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0048】
音響処理方法は、音響入力信号s1に疑似低音処理を行う方法である。
【0049】
音響処理方法のステップS11およびS12は、前述した基音周波数決定方法と同じである。
【0050】
本実施の形態では、ステップS11およびS12の後に、BPF係数生成部12が、決定部11で決定した基音周波数FFに基づいてバンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成する。BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数は、疑似低音処理装置2に出力される。
【0051】
次に、疑似低音処理装置2のバンドパスフィルタ23を用いて、音響入力信号s1から基音周波数FFの信号を取り出す(ステップS13)。具体的には、バンドパスフィルタ23が、BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数を用いて、音響入力信号s1から基音周波数FFの信号を取り出す。そして、取り出した基音周波数FFの信号をハーモニック生成部24に出力する。
【0052】
次に、上記基音周波数FFの信号から、基音周波数FFの倍音群成分を生成する(ステップS14)。具体的には、ハーモニック生成部24が、バンドパスフィルタ23から出力された信号に基づいて、基音周波数FFの倍音群成分を生成し、加算部28へ出力する。
【0053】
次に、上記倍音群成分を含むハーモニック信号shを音響入力信号s1に加算する(ステップS15)。これにより、倍音群成分の信号を含む音響出力信号s2が生成される。加算部28で生成された音響出力信号s2は、音出力装置3に出力される(ステップS16)。
【0054】
これらのステップS11~S16によれば、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出音されるので、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施の形態の基音周波数決定方法は、
図5に示す基音周波数決定装置1のハードウェア構成にて実現されてもよい。
図5は、基音周波数決定装置1の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0056】
コンピュータ1000は、
図5に示すように、入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、およびバス1009を備えるコンピュータである。入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、およびRAM1005は、バス1009により接続される。
【0057】
入力装置1001は入力ボタン、タッチパッド、タッチパネルディスプレイなどといったユーザインタフェースとなる装置であり、技術者であるユーザの操作を受け付ける。なお、入力装置1001は、ユーザの接触操作を受け付ける他、音声での操作、リモコン等での遠隔操作を受け付ける構成であってもよい。
【0058】
出力装置1002は、コンピュータ1000からの信号を出力する装置であり、信号出力端子の他、スピーカ、ディスプレイなどといったユーザインタフェースとなる装置であってもよい。
【0059】
内蔵ストレージ1004は、フラッシュメモリなどである。また、内蔵ストレージ1004は、基音周波数決定装置1の機能を実現するためのプログラムおよび/または基音周波数決定装置1の機能構成を利用したアプリケーションが、予め記憶されているとしてもよい。
【0060】
RAM1005は、Random Access Memoryであり、プログラムまたはアプリケーションの実行に際してデータ等の記憶に利用される。
【0061】
CPU1003は、Central Processing Unitであり、内蔵ストレージ1004に記憶されたプログラムやアプリケーションをRAM1005にコピーし、そのプログラムやアプリケーションに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行する。
【0062】
[1-3.効果等]
本実施の形態の基音周波数決定装置1は、音響入力信号s1に疑似低音処理を行う際の基音周波数FFを決定する基音周波数決定装置であって、疑似低音処理を行う対象である音出力装置3の最低共振周波数F0を取得する取得部10と、最低共振周波数F0に基づいて基音周波数FFを決定する決定部11とを備える。
【0063】
このように、決定部11が、音出力装置3の物理特性である最低共振周波数F0に基づいて基音周波数FFを決定することで、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0064】
また、決定部11は、最低共振周波数の1/2の周波数を基音周波数FFとして決定してもよい。
【0065】
このように、決定部11が、最低共振周波数の1/2の周波数を基音周波数FFとして決定することで、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0066】
本実施の形態の疑似低音処理装置2は、音響入力信号s1に疑似低音処理を行う疑似低音処理装置であって、音響入力信号s1から、上記基音周波数決定装置1で決定された基音周波数FFの信号を取り出して出力するバンドパスフィルタ23と、バンドパスフィルタ23から出力された信号の倍音群成分を生成するハーモニック生成部24とを備える。
【0067】
この疑似低音処理装置2では、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0068】
本実施の形態の基音周波数決定方法は、音響入力信号s1に疑似低音処理を行う際の基音周波数FFを決定する方法であって、疑似低音処理を行う対象である音出力装置3の最低共振周波数F0を取得するステップと、最低共振周波数F0に基づいて基音周波数FFを決定するステップとを含む。
【0069】
この基音周波数決定方法は、音出力装置3の物理特性である最低共振周波数F0に基づいて基音周波数FFを決定するステップを有しているので、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0070】
本実施の形態の音響処理方法は、音響入力信号s1に疑似低音処理を行う音響処理方法であって、疑似低音処理を行う対象である音出力装置3の最低共振周波数F0を取得するステップと、最低共振周波数F0に基づいて疑似低音処理における基音周波数FFを決定するステップと、音響入力信号s1から、基音周波数FFの信号を取り出すステップと、基音周波数FFの信号から、基音周波数FFの倍音群成分の信号を生成するステップと、倍音群成分の信号を音響入力信号s1に加算するステップとを含む。
【0071】
この音響処理方法は、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されるステップを有しているので、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0072】
[1-4.実施の形態1の変形例]
実施の形態1の変形例における基音周波数決定装置1Aおよび疑似低音処理装置2Aの構成について、
図6を参照しながら説明する。この変形例では、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数が、基音周波数決定装置で生成されるのでなく、疑似低音処理装置2Aで生成される例について説明する。
【0073】
図6は、実施の形態1の変形例における基音周波数決定装置1Aおよび疑似低音処理装置2Aの構成を示すブロック図である。
【0074】
図6に示すように、基音周波数決定装置1Aは、音出力装置3の最低共振周波数F0を取得する取得部10と、基音周波数FFを決定する決定部11とを備えている。
【0075】
取得部10は、音出力装置3の最低共振周波数F0を取得する受付入力部である。
【0076】
決定部11は、取得部10で取得した最低共振周波数F0に基づいて基音周波数FFを決定する演算部である。変形例の決定部11でも、最低共振周波数F0の1/2の周波数を基音周波数として決定する。基音周波数決定装置1Aでは、この決定部11の演算により、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0077】
決定部11で決定した基音周波数FFは、疑似低音処理装置2Aに出力される。基音周波数FFは、例えば、USBメモリなどの記録媒体を介して疑似低音処理装置2Aに出力されてもよいし、基音周波数決定装置1Aと疑似低音処理装置2Aとが直接接続されることで疑似低音処理装置2Aに出力されてもよい。
【0078】
図6に示すように、疑似低音処理装置2Aは、記憶部21と、バンドパスフィルタ係数を生成するBPF係数生成部22と、バンドパスフィルタ23と、ハーモニック生成部24と、加算部28とを備えている。
【0079】
記憶部21は、決定部11で決定した基音周波数FFを記憶する不揮発性メモリである。
【0080】
BPF係数生成部22は、記憶部21から読み出した基音周波数FFに基づいて、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成する演算部である。BPF係数生成部22で生成されたフィルタ係数は、バンドパスフィルタ23に出力される。
【0081】
バンドパスフィルタ23は、BPF係数生成部22から出力されたフィルタ係数に基づいて、音響入力信号s1から基音周波数FFの信号を取り出して出力するデジタル処理部である。バンドパスフィルタ23で取り出された信号は、ハーモニック生成部24に出力される。
【0082】
ハーモニック生成部24は、バンドパスフィルタ23から出力された信号の倍音群成分を生成するデジタル処理部である。ハーモニック生成部24で生成された倍音群成分を有するハーモニック信号shは、加算部28に出力される。
【0083】
加算部28は、音響入力信号s1にハーモニック信号shを加算するデジタル処理部である。音響入力信号s1にハーモニック信号shを加算することで、倍音群成分を含む音響出力信号s2が生成される。加算部28で生成された音響出力信号s2は、音出力装置3に出力される。
【0084】
この疑似低音処理装置2Aでも、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、仮に音出力装置3が基音となる周波数成分を再生できない装置であっても、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0085】
(実施の形態2)
[2-1.基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成]
実施の形態2における基音周波数決定装置1Bおよび疑似低音処理装置2Bの構成について、
図7および
図8を参照しながら説明する。実施の形態2では、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成するために、最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1を用いる例について説明する。
【0086】
図7は、実施の形態2における基音周波数決定装置1Bおよび疑似低音処理装置2Bの構成を示すブロック図である。
図7には、疑似低音処理装置2Bに接続される音出力装置3も示されている。
【0087】
図7に示すように、基音周波数決定装置1Bは、音出力装置3の最低共振周波数F0および共振周波数の減衰特性c1を取得する取得部10と、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1を格納する格納部15と、基音周波数FFを決定する決定部11と、バンドパスフィルタ係数を生成するBPF係数生成部12と、ローブーストフィルタ係数を生成するLBF(ローブーストフィルタ)係数生成部16とを備えている。
【0088】
取得部10は、音出力装置3の最低共振周波数F0および減衰特性c1を取得する受付入力部である。
【0089】
図8は、音出力装置3の最低共振周波数F0、減衰特性c1、および、疑似低音処理を行う際の基音周波数FFを示す図である。
【0090】
減衰特性c1とは、音出力装置3の最低共振周波数F0よりも低い周波数帯域において減衰傾向(所定の減衰率)を示す特性である。減衰特性c1は、音出力装置3が持つ固有の特性であり、音出力装置3の大きさや素材によって様々な値を取り得る。本実施の形態では、例えば最低共振周波数F0が90Hzで、減衰特性c1は-24dB/octである。
【0091】
最低共振周波数F0および減衰特性c1は、例えば、音出力装置3を開発する技術者によって取得部10に入力される。なお、取得部10は、グラフィカルに描かれた共振周波数特性(
図8の太破線を参照)の入力を受け付け、受け付けた共振周波数特性を演算することで、最低共振周波数F0および減衰特性c1を取得してもよい。
【0092】
格納部15は、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1を格納するメモリである。音響入力信号s1の低帯域の信号を増幅させるのは、最低共振周波数F0の近傍の周波数成分を増幅することで、最低共振周波数F0を見かけ上低域にシフトさせるためである。最低共振周波数F0を低域にシフトさせることで、基音周波数FFをより低帯域側に下げ、より低い基音周波数FFを含む音をユーザに聴感させることが可能となる。
【0093】
増幅量b1は、例えば6dB、3dBまたは9dB等であり、本実施の形態では、増幅量b1が6dBとなっている。この例では、格納部15に格納される増幅量b1を6dBとしているが、必ずしもその値でなくてもよい。ただし、増幅量b1を極端に大きな値(例えば18dB等)にすると、後述するローブーストフィルタ27において、低域の信号に歪が生じるので、増幅量b1は、9dB以下であることが望ましい。
【0094】
格納部15に格納された増幅量b1は、決定部11およびLBF係数生成部16に出力される。
【0095】
決定部11は、最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1に基づいて、基音周波数FFを求める演算部である。決定部11は、減衰特性c1から、最低共振周波数F0におけるゲインに対してゲインの下がり量の値が増幅量b1の値と同じとなるところの周波数Fdを求める。この周波数Fdは、最低共振周波数F0を見かけ上低い周波数にシフトしたものである。
【0096】
図8には、最低共振周波数F0におけるゲインに対してゲインの下がり量が6dBとなるところの周波数Fdが示されている。本実施の形態では減衰特性c1が-24dB/octなので、下がり量が6dBとなる周波数Fdは、最低共振周波数F0から見て1/4オクターブ下の周波数であり、75.68Hzとなる。
【0097】
決定部11は、周波数Fdの1/2の周波数を基音周波数FFとして決定する。上記の例における基音周波数FFは、37.84Hzとなる。基音周波数決定装置1Bでは、この決定部11の演算により、基音周波数FFを簡易に決定することができる。なお、周波数Fdおよび周波数Fdの近傍の周波数における信号は、後述するローブーストフィルタ27によって増幅されるので、周波数Fdは、見かけ上低域にシフトした最低共振周波数となっている。
【0098】
BPF係数生成部12は、決定部11で決定した基音周波数FFに基づいて、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成する演算部である。LBF係数生成部16は、格納部15に格納された増幅量b1に基づいて、ローブーストフィルタ27のフィルタ係数を生成する演算部である。このフィルタ係数は、公知の方法により算出することができる。
【0099】
BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数およびLBF係数生成部16で生成されたフィルタ係数は、疑似低音処理装置2Bに出力される。これらのフィルタ係数は、例えば、USBメモリなどの記録媒体を介して疑似低音処理装置2Bに出力されてもよいし、基音周波数決定装置1Bと疑似低音処理装置2Bとが直接接続されることで疑似低音処理装置2Bに出力されてもよい。
【0100】
図7に示すように、疑似低音処理装置2Bは、記憶部21と、バンドパスフィルタ23と、ハーモニック生成部24と、ローブーストフィルタ27と、加算部28とを備えている。
【0101】
記憶部21は、BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数およびLBF係数生成部16で生成された各フィルタ係数を記憶する不揮発性メモリである。BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数は、バンドパスフィルタ23によって読み出され、LBF係数生成部16で生成されたフィルタ係数は、ローブーストフィルタ27によって読み出される。
【0102】
バンドパスフィルタ23は、BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数に基づいて、音響入力信号s1から基音周波数FFの信号を取り出して出力するデジタル処理部である。バンドパスフィルタ23で取り出された信号は、ハーモニック生成部24に出力される。
【0103】
ハーモニック生成部24は、バンドパスフィルタ23から出力された信号の倍音群成分を生成するデジタル処理部である。ハーモニック生成部24で生成された倍音群成分を有するハーモニック信号shは、ローブーストフィルタ27に出力される。
【0104】
ローブーストフィルタ27は、LBF係数生成部16で生成されたフィルタ係数に基づいて、ハーモニック信号shを増幅する。その際、ローブーストフィルタ27は、ハーモニック信号shを少なくとも増幅量b1で増幅する。ローブーストフィルタ27で増幅されたブースト信号sbは、加算部28に出力される。
【0105】
なお、ローブーストフィルタ27によってハーモニック信号shを増幅するのは、以下の理由による。バンドパスフィルタ23から出力される信号は、周波数Fdの1/2の周波数を持つ信号であるので、その倍音群成分は、見かけ上低域にシフトした最低共振周波数以上の周波数となるが、一方で、最低共振周波数F0より低い周波数成分も含むことになる。そこで、ローブーストフィルタ27でハーモニック信号shを増幅させることで、最低共振周波数F0より低い周波数成分の出力劣化を抑制している。
【0106】
加算部28は、音響入力信号s1にブースト信号sbを加算するデジタル処理部である。音響入力信号s1にブースト信号sbを加算することで、倍音群成分を含みかつ増幅された音響出力信号s2が生成される。加算部28で生成された音響出力信号s2は、音出力装置3に出力される。
【0107】
この疑似低音処理装置2Bでも、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、仮に音出力装置3が基音となる周波数成分を再生できない装置であっても、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0108】
また、基音周波数決定装置1Bは、さらに、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1を格納する格納部15を備えている。取得部10は、さらに、音出力装置3の最低共振周波数F0よりも低い周波数帯域における減衰特性c1を取得し、決定部11は、最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1に基づいて、基音周波数FFを決定してもよい。
【0109】
このように、決定部11が、音出力装置3の物理特性である最低共振周波数F0、減衰特性c1、増幅量b1に基づいて基音周波数FFを決定することで、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0110】
また、決定部11は、減衰特性c1から、最低共振周波数F0におけるゲインに対して上記ゲインの下がり量の値が増幅量b1の値と同じとなるところの周波数Fdを求め、周波数Fdの1/2の周波数を基音周波数FFとして決定してもよい。
【0111】
これによれば、見かけ上の最低共振周波数を低域にシフトさせることができるので、基音周波数FFをより低帯域側に下げることができる。これにより、より低い基音周波数FFを含む音をユーザに聴感させることが可能となり、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0112】
また、本実施の形態の疑似低音処理装置2Bは、音響入力信号s1に疑似低音処理を行う疑似低音処理装置であって、音響入力信号s1から、上記基音周波数決定装置1Bで決定された基音周波数FFの信号を取り出して出力するバンドパスフィルタ23と、バンドパスフィルタ23から出力された信号の倍音群成分を生成するハーモニック生成部24と、ハーモニック生成部24で生成された信号を少なくとも増幅量b1で増幅するローブーストフィルタ27とを備える。
【0113】
この疑似低音処理装置2Bでは、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。また、ローブーストフィルタ27でハーモニック信号shを増幅させることで、最低共振周波数F0より低い周波数成分の出力劣化を抑制することができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0114】
[2-2.実施の形態2の変形例]
実施の形態2の変形例における基音周波数決定装置1Cおよび疑似低音処理装置2Cの構成について、
図9を参照しながら説明する。この変形例では、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数およびローブーストフィルタ27のフィルタ係数が、基音周波数決定装置で生成されるのでなく、疑似低音処理装置2Cで生成される例について説明する。
【0115】
図9は、実施の形態2の変形例における基音周波数決定装置1Cおよび疑似低音処理装置2Cの構成を示すブロック図である。
【0116】
図9に示すように、基音周波数決定装置1Cは、音出力装置3の最低共振周波数F0および減衰特性c1を取得する取得部10と、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1を格納する格納部15と、基音周波数FFを決定する決定部11とを備えている。
【0117】
取得部10は、音出力装置3の最低共振周波数F0および減衰特性c1を取得する受付入力部である。
【0118】
格納部15は、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1を格納するメモリである。格納部15に格納された増幅量b1は、決定部11および記憶部21に出力される。
【0119】
決定部11は、最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1に基づいて、基音周波数FFを求める演算部である。決定部11は、減衰特性c1から、最低共振周波数F0におけるゲインに対してゲインの下がり量の値が増幅量b1の値と同じとなるところの周波数Fdを求める。
【0120】
決定部11は、周波数Fdの1/2の周波数を基音周波数FFとして決定する。基音周波数決定装置1Cでは、この決定部11の演算により、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0121】
決定部11で決定した基音周波数FFおよび格納部15に格納された増幅量b1は、疑似低音処理装置2Cに出力される。基音周波数FFは、例えば、USBメモリなどの記録媒体を介して疑似低音処理装置2Cに出力されてもよいし、基音周波数決定装置1Cと疑似低音処理装置2Cとが直接接続されることで疑似低音処理装置2Cに出力されてもよい。
【0122】
図9に示すように、疑似低音処理装置2Cは、記憶部21と、バンドパスフィルタ係数を生成するBPF係数生成部22と、バンドパスフィルタ23と、ハーモニック生成部24と、ローブーストフィルタ係数を生成するLBF係数生成部26と、ローブーストフィルタ27と、加算部28とを備えている。
【0123】
記憶部21は、決定部11で決定した基音周波数FF、および、格納部15から出力された増幅量b1を記憶する不揮発性メモリである。
【0124】
BPF係数生成部22は、記憶部21に記憶された基音周波数FFに基づいて、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成する演算部である。BPF係数生成部22で生成されたフィルタ係数は、バンドパスフィルタ23に出力される。
【0125】
LBF係数生成部26は、記憶部21に記憶された増幅量b1に基づいて、ローブーストフィルタ27のフィルタ係数を生成する演算部である。LBF係数生成部26で生成されたフィルタ係数は、ローブーストフィルタ27に出力される。
【0126】
バンドパスフィルタ23は、BPF係数生成部22から出力されたフィルタ係数に基づいて、音響入力信号s1から基音周波数FFの信号を取り出して出力するデジタル処理部である。バンドパスフィルタ23で取り出された信号は、ハーモニック生成部24に出力される。
【0127】
ハーモニック生成部24は、バンドパスフィルタ23から出力された信号の倍音群成分を生成するデジタル処理部である。ハーモニック生成部24で生成された倍音群成分を有するハーモニック信号shは、ローブーストフィルタ27に出力される。
【0128】
ローブーストフィルタ27は、LBF係数生成部26で生成されたフィルタ係数に基づいて、ハーモニック信号shを増幅する。ローブーストフィルタ27で増幅されたブースト信号sbは、加算部28に出力される。
【0129】
加算部28は、音響入力信号s1にブースト信号sbを加算するデジタル処理部である。音響入力信号s1にブースト信号sbを加算することで、倍音群成分を含みかつ増幅された音響出力信号s2が生成される。加算部28で生成された音響出力信号s2は、音出力装置3に出力される。
【0130】
この疑似低音処理装置2Cでも、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、仮に音出力装置3が基音となる周波数成分を再生できない装置であっても、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0131】
(実施の形態3)
[3-1.基音周波数決定装置および疑似低音処理装置の構成]
実施の形態3における基音周波数決定装置1Dおよび疑似低音処理装置2Dの構成について、
図10を参照しながら説明する。実施の形態3では、増幅量b1が格納部に格納されているのでなく、取得部10にて取得される例について説明する。
【0132】
図10は、実施の形態3における基音周波数決定装置1Dおよび疑似低音処理装置2Dの構成を示すブロック図である。
図10には、疑似低音処理装置2Dに接続される音出力装置3も示されている。
【0133】
図10に示すように、基音周波数決定装置1Dは、音出力装置3の最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1を取得する取得部10と、基音周波数FFを決定する決定部11と、バンドパスフィルタ係数を生成するBPF係数生成部12と、ローブーストフィルタ係数を生成するLBF係数生成部16とを備えている。
【0134】
取得部10は、音出力装置3の最低共振周波数F0、減衰特性c1、および、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1を取得する受付入力部である。
【0135】
決定部11は、最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1に基づいて、基音周波数FFを求める演算部である。決定部11は、減衰特性c1から、最低共振周波数F0におけるゲインに対してゲインの下がり量の値が増幅量b1の値と同じとなるところの周波数Fdを求める。
【0136】
決定部11は、周波数Fdの1/2の周波数を基音周波数FFとして決定する。基音周波数決定装置1Dでは、この決定部11の演算により、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0137】
BPF係数生成部12は、決定部11で決定した基音周波数FFに基づいて、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成する演算部である。LBF係数生成部16は、取得部10で取得した増幅量b1に基づいて、ローブーストフィルタ27のフィルタ係数を生成する演算部である。BPF係数生成部12で生成されたフィルタ係数およびLBF係数生成部16で生成されたフィルタ係数は、疑似低音処理装置2Dに出力される。
【0138】
図10に示すように、疑似低音処理装置2Dは、記憶部21と、バンドパスフィルタ23と、ハーモニック生成部24と、ローブーストフィルタ27と、加算部28とを備えている。これらの構成要素は、実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
【0139】
この疑似低音処理装置2Dでも、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、仮に音出力装置3が基音となる周波数成分を再生できない装置であっても、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0140】
また、取得部10は、さらに、音出力装置3の最低共振周波数F0よりも低い周波数帯域における減衰特性c1と、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1とを取得し、決定部11は、最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1に基づいて、基音周波数FFを決定してもよい。
【0141】
このように、決定部11が、音出力装置3の物理特性である最低共振周波数F0、減衰特性c1、増幅量b1に基づいて基音周波数FFを決定することで、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0142】
また、決定部11は、減衰特性c1から、最低共振周波数F0におけるゲインに対して上記ゲインの下がり量の値が増幅量b1の値と同じとなるところの周波数Fdを求め、周波数Fdの1/2の周波数を基音周波数FFとして決定してもよい。
【0143】
これによれば、見かけ上の最低共振周波数を低域にシフトさせることができるので、基音周波数FFをより低帯域側に下げることができる。これにより、より低い基音周波数FFを含む音をユーザに聴感させることが可能となり、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0144】
[3-2.実施の形態3の変形例]
実施の形態3の変形例における基音周波数決定装置1Eおよび疑似低音処理装置2Eの構成について、
図11を参照しながら説明する。この変形例では、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数およびローブーストフィルタ27のフィルタ係数が、基音周波数決定装置で生成されるのでなく、疑似低音処理装置2Eで生成される例について説明する。
【0145】
図11は、実施の形態3の変形例における基音周波数決定装置1Eおよび疑似低音処理装置2Eの構成を示すブロック図である。
【0146】
図11に示すように、基音周波数決定装置1Eは、音出力装置3の最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1を取得する取得部10と、基音周波数FFを決定する決定部11とを備えている。
【0147】
取得部10は、音出力装置3の最低共振周波数F0、減衰特性c1、および、音響入力信号s1の低帯域における増幅量b1を取得する受付入力部である。取得部10が取得した最低共振周波数F0および減衰特性c1は、決定部11に出力され、増幅量b1は決定部11および疑似低音処理装置2Eに出力される。
【0148】
決定部11は、最低共振周波数F0、減衰特性c1および増幅量b1に基づいて、基音周波数FFを求める演算部である。決定部11は、減衰特性c1から、最低共振周波数F0におけるゲインに対してゲインの下がり量の値が増幅量b1の値と同じとなるところの周波数Fdを求める。
【0149】
決定部11は、周波数Fdの1/2の周波数を基音周波数FFとして決定する。基音周波数決定装置1Eでは、この決定部11の演算により、基音周波数FFを簡易に決定することができる。
【0150】
決定部11で決定した基音周波数FFおよび取得部10で取得した増幅量b1は、疑似低音処理装置2Eに出力される。
【0151】
図11に示すように、疑似低音処理装置2Eは、記憶部21と、バンドパスフィルタ係数を生成するBPF係数生成部22と、バンドパスフィルタ23と、ハーモニック生成部24と、ローブーストフィルタ係数を生成するLBF係数生成部26と、ローブーストフィルタ27と、加算部28とを備えている。
【0152】
記憶部21は、決定部11から出力された基音周波数FF、および、取得部10から出力された増幅量b1を記憶する。
【0153】
BPF係数生成部22は、記憶部21に記憶された基音周波数FFに基づいて、バンドパスフィルタ23のフィルタ係数を生成する。LBF係数生成部26は、記憶部21に記憶された増幅量b1に基づいて、ローブーストフィルタ27のフィルタ係数を生成する。以下の構成要素は、実施の形態2の変形例と同様であるので説明を省略する。
【0154】
この疑似低音処理装置2Eでも、音響入力信号s1に基音周波数FFの倍音群成分が加算されて出力されるので、仮に音出力装置3が基音となる周波数成分を再生できない装置であっても、ユーザに基音周波数FFを含む音を聴感させることができる。これにより、音出力装置3から出力される音の音質を向上させることができる。
【0155】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の基音周波数決定装置等について、実施の形態等に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0156】
また、以下に示す形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0157】
(1)上記の基音周波数決定装置等を構成する構成要素の一部は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0158】
(2)上記の基音周波数決定装置等を構成する構成要素の一部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0159】
(3)上記の基音周波数決定装置等を構成する構成要素の一部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0160】
(4)また、上記の基音周波数決定装置等を構成する構成要素の一部は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0161】
また、上記の基音周波数決定装置等を構成する構成要素の一部は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0162】
(5)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0163】
(6)また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0164】
(7)また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0165】
(8)上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本開示の基音周波数決定装置は、テレビジョン、カーオーディオ、スマートホン、タブレット、ポータブルスピーカ、ヘッドホン、イアホン、サウンドバーなどの機器にて疑似低音処理を行う際の基音周波数の決定に適用される。
【符号の説明】
【0167】
1、1A、1B、1C、1D、1E 基音周波数決定装置
2、2A、2B、2C、2D、2E 疑似低音処理装置
3 音出力装置
5 音響処理システム
10 取得部
11 決定部
12 BPF係数生成部
15 格納部
16 LBF係数生成部
21 記憶部
22 BPF係数生成部
23 バンドパスフィルタ
24 ハーモニック生成部
26 LBF係数生成部
27 ローブーストフィルタ
28 加算部
1000 コンピュータ
1001 入力装置
1002 出力装置
1003 CPU
1004 内蔵ストレージ
1005 RAM
1009 バス
b1 増幅量
c1 減衰特性
F0 最低共振周波数
Fd 周波数(見かけ上低域にシフトした最低共振周波数)
FF 基音周波数
s1 音響入力信号
s2 音響出力信号
sb ブースト信号
sh ハーモニック信号