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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
G03G15/20 530
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019173300
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021051157
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋村 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】金森 慎平
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090839(JP,A)
【文献】特開2011-033873(JP,A)
【文献】特開平10-260606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着部材と前記定着部材を押圧する押圧部材とで形成された定着ニップ部に記録媒体を通過させて、トナー像を前記記録媒体に定着させる定着部と、
前記定着ニップ部を通過した前記記録媒体の搬送をガイドするガイド部材と、
爪部材と、
を備え、
前記ガイド部材は、第1軸回りに回動可能に配置され、前記押圧部材側に付勢され、前記押圧部材の表面において前記記録媒体が通過する領域である第1領域との間の隙間が所定の距離に保たれるように、前記押圧部材の表面における前記第1領域以外の第2領域に当接し、
前記爪部材は、前記第1軸回りに前記ガイド部材と一体的に回動可能に設けられ、かつ、前記ガイド部材を通過する記録媒体の通過面に対して直交する方向に前記第1軸と並ぶように配置される第2軸回りに回動可能に構成され、前記押圧部材側に付勢される、
定着装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記定着部材を押圧する押圧位置と前記定着部材を押圧しない押圧解除位置との間を移動可能に構成され、
前記押圧部材が前記押圧位置から前記押圧解除位置に移動する場合、前記ガイド部材による前記押圧部材側への回動を規制する第1規制部材を備える、
請求項に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ガイド部材による前記押圧部材から離間する方向への回動を規制する第2規制部材を備える、
請求項またはに記載の定着装置。
【請求項4】
前記ガイド部材における前記押圧部材側の端部は、前記押圧部材とは反対側に凹入する凹部を有し、
前記爪部材の先端部は、前記凹部を通って前記押圧部材側に突出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記爪部材は、前記記録媒体のジャムが発生した場合、前記第2軸回りに前記押圧部材から離間する方向へ回動する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第2軸は、前記第1軸よりも前記通過面から遠い位置に配置される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記ガイド部材および前記爪部材は、一体的に前記押圧部材から離間可能に構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の定着装置を備え、
前記記録媒体に前記トナー像を形成する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、定着装置は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に備えられる。従来、画像形成装置の定着装置は、所定の温度に保たれながら回転する定着部材と、定着部材に所定の圧力で当接する押圧部材とを有する。トナー像が転写された用紙は、定着装置に送られ、定着部材と押圧部材との間の定着ニップを通過することにより、加熱、加圧されてトナー像が用紙に定着する。
【0003】
用紙が定着ニップを通過する間に、用紙が押圧部材側に巻き付いてしまう場合がある。用紙を押圧部材から引きはがすため、用紙の搬送方向において定着ニップよりも下流側に、ガイド部材が配設されている。ガイド部材は回転するコロを有する。コロは、ガイド部材の先端と押圧部材の表面との間の隙間を所定の距離に保つように、押圧部材の表面において用紙が通過する領域である通紙領域に当接する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-114304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の定着装置においては、押圧部材の表面における通紙領域にコロを当接することで、通紙領域に傷や凹みが発生するため、押圧部材の耐久性が低下するおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、押圧部材の耐久性を向上することが可能な定着装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明における定着装置は、
定着部材と前記定着部材を押圧する押圧部材とで形成された定着ニップ部に記録媒体を通過させて、トナー像を前記記録媒体に定着させる定着部と、
前記定着ニップ部を通過した前記記録媒体の搬送をガイドするガイド部材と、
爪部材と、
を備え、
前記ガイド部材は、第1軸回りに回動可能に配置され、前記押圧部材側に付勢され、前記押圧部材の表面において前記記録媒体が通過する領域である第1領域との間の隙間が所定の距離に保たれるように、前記押圧部材の表面における前記第1領域以外の第2領域に当接し、
前記爪部材は、前記第1軸回りに前記ガイド部材と一体的に回動可能に設けられ、かつ、前記ガイド部材を通過する記録媒体の通過面に対して直交する方向に前記第1軸と並ぶように配置される第2軸回りに回動可能に構成され、前記押圧部材側に付勢されする。

【0008】
本発明における画像形成装置は、上記定着装置を備え、上記記録媒体に上記トナー像を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の定着装置によれば、押圧部材の耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態における画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】本実施の形態における画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
図3】定着部の一部を概略的に示す図である。
図4】定着部の一部を概略的に示す図である。
図5】ガイドプレートを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。図1に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙S(記録媒体)に二次転写することにより、トナー像を形成する。
【0012】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0013】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、および制御部101等を備える。
【0014】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0015】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sにトナー像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0016】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0017】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0018】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0019】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。なお、入力操作には、通常モード、光沢度が所定値(通常モードの値)より低い低光沢モード、および、光沢度が所定値より高い高光沢モードのいずれかを選択する操作が含まれる。
【0020】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0021】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0022】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0023】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
【0024】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0025】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0026】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0027】
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0028】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0029】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0030】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0031】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0032】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0033】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0034】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0035】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
【0036】
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。定着部60および制御部101は、本発明の定着装置に対応する。
【0037】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器すなわち筐体F内にユニットとして配置される。
【0038】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0039】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0040】
次に、定着部60の構成についてより詳しく説明する。
【0041】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62、および上加圧ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と上加圧ローラー63との間に所定の張力がかかった状態で架け渡されている。定着ベルト61および上加圧ローラー63は、本発明の定着部材に対応する。
【0042】
定着ベルト61は、例えばPI(ポリイミド)からなる基体の外周面を弾性層として耐熱性のシリコンゴムで被覆し、さらに、表層に耐熱性樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)のチューブを被覆またはコーティングをしてなる。
【0043】
定着ベルト61は、トナー像が形成された用紙Sに接触して、当該トナー像を用紙Sに所定温度範囲で加熱定着する。
【0044】
加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する。加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する加熱源60C(例えば、ハロゲンヒーター)を内蔵している。加熱ローラー62は、アルミニウム等から形成された円筒状の芯金における外周面をPTFEでコーティングした樹脂層で被覆された構成である。
【0045】
加熱源60Cの温度は、制御部101によって制御される。加熱源60Cによって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。これによって、用紙Sに形成されたトナーが加熱される。制御部101は、例えば、所定のデューティー比の半波単位のオン/オフパターンに基づいて加熱源60Cを制御し、定着ベルト61を所定温度に制御することで、トナーの定着温度を制御する。なお、制御部101は、トナーの表面温度を検出する温度センサーの検出結果に基づいて、加熱源60Cを制御してもよい。
【0046】
上加圧ローラー63は、例えば鉄等の金属から形成された中実の芯金を、弾性層で被服したものである。弾性層の材質として、例えば、耐熱性のシリコンゴムを用いることができる。また、弾性層として、耐熱性のシリコンゴムを、低摩擦で耐熱性樹脂であるPTFEでコーティングした樹脂層で被覆した構成とすることができる。
【0047】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材を構成する下加圧ローラー64(本発明の「押圧部材」に対応する)を有する。下加圧ローラー64は、Al(アルミニウム)からなる基材層の外周面を弾性層で被覆したものである。弾性層の材質として、例えば、耐熱性のシリコンゴムを用いることができる。また、弾性層として、耐熱性のシリコンゴムを、表面離型層としてPFAチューブの樹脂層で被覆した構成とすることができる。
【0048】
下加圧ローラー64には、ハロゲンヒーター等の加熱源60Dが内蔵されている。この加熱源60Dが発熱することにより、下加圧ローラー64は加熱される。これによって、用紙Sに形成されたトナーが加熱される。制御部101は、例えば、所定のデューティー比の半波単位のオン/オフパターンに基づいて加熱源60Dを制御し、下加圧ローラー64を所定温度に制御することで、トナーの定着温度を制御する。なお、制御部101は、例えば、トナーの表面温度を検出する温度センサーの検出結果に基づいて、加熱源60Dを制御してもよい。
【0049】
下加圧ローラー64は、定着ベルト61を介して上加圧ローラー63に所定の定着荷重で圧接される。このようにして、上加圧ローラー63および定着ベルト61と下加圧ローラー64との間には、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップNPが形成される。
【0050】
下加圧ローラー64は、モーターやギアなどの不図示のアクチュエーターに接続され、当該モーターの駆動力が下加圧ローラー64に伝達されるようになっている。制御部101は、かかる下加圧ローラー64を駆動するモーターに駆動信号を出力して、下加圧ローラー64の周速度を制御する。
【0051】
定着部60において、上側定着部60A、下側定着部60Bおよび加熱源60C,60Dは、定着ニップNPで用紙S(記録媒体)を加熱、加圧しながら搬送することにより、未定着のトナー像を用紙Sに定着させる。
【0052】
ところで、用紙Sが定着ニップNPを通過する間に、用紙Sが下加圧ローラー64に巻き付いてしまう場合がある。用紙Sを下加圧ローラー64から引き剥がすため、用紙Sの搬送方向において、定着ニップNPよりも下流側にガイド部材が配置される。ガイド部材の先端と下加圧ローラー64の表面との間の隙間を所定の距離に保つために、ガイド部材に回転可能なコロを設け、下加圧ローラー64の表面において用紙Sが通過する領域(通紙領域)にコロを当接する。しかし、コロが通紙領域に当接することによって、下加圧ローラー64の通紙領域に傷や凹みが発生する場合がある。これにより、下加圧ローラーの耐久性が低下するおそれがあるという問題がある。
【0053】
また、通紙領域に傷や凹みが発生することで、画像形成不良が発生するおそれがあるという問題もある。また、コロが通紙領域に当接することによって、通紙領域の表面温度が低下し、コロが当接する通紙領域とコロが当接しない通紙領域との間で温度ムラが生じる場合があるため、温度ムラに起因した印刷画像の光沢ムラが発生するおそがあるという問題もある。
【0054】
そこで、本実施の形態においては、下加圧ローラー64の表面における通紙領域以外の領域である非通紙領域に当接するガイド部材84を備える。
【0055】
図3は、本実施の形態におけるガイド機構80の一例を概略的に示す図である。図3では、定着部60の中のガイド機構80および下加圧ローラー64を抜粋して示す。また、図3に定着ベルト61の一部を示す。図3には、X軸、Y軸およびZ軸が描かれている。図3における左右方向をX方向といい、左方向を「+方向」又は「搬送方向下流側」、右方向を「-X方向」又は「搬送方向上流側」という。図3における上下方向をY方向といい、上方向を「+Y方向」、下方向を「-Y方向」という。図3の紙面における奥行き方向をZ方向又は軸方向といい、手前方向を「+Z方向」、奥方向を「-Z方向」という。
【0056】
なお、本実施の形態においては、図3に示すように、アーム部材66の一端部は、軸部材65により定着部60の固定部(不図示)に支持される。アーム部材66の他端部は下方向に付勢されている。アーム部材66の他端部には例えばローラー67が配置されている。ローラー67の-Y方向(下方向)には回転可能なカム68が配置されている。
【0057】
カム68が付勢力に抗してローラー67を介して下加圧ローラー64を押し上げた場合、下加圧ローラー64は、定着ベルト61を介して上加圧ローラー63に所定の定着荷重で圧接される位置(図3に示す押圧位置)に移動する。また、下加圧ローラー64は、カム68の回転位置に応じて複数の押圧位置に移動する。これに対して、カム68による下加圧ローラー64を押し上げる力が減少あるいは消失した場合、付勢力により、下加圧ローラー64は、定着ベルト61等から離れた位置(図4に示す押圧解除位置)に移動する。
【0058】
図3に示すように、ガイド機構80は、ガイド機構本体82と、ガイド部材84と、爪部材86とを備える。
【0059】
ガイド機構本体82は、下加圧ローラー64に対して左方向に配置される。ガイド機構本体82は、Z方向矢視においてY方向に所定の長さを有している。ガイド機構本体82は、ガイド部材84が図3に示す時計回り方向へ回動するのを規制するストッパー部材83(本発明の「第1規制部材」に対応する)を有している。
【0060】
ガイド機構本体82のY方向一端部(下端部)は、軸部材87により、定着部60の固定部(不図示)に回動可能に支持される。軸部材87は、Z方向(軸方向)に延在している。これにより、ガイド機構本体82のY方向中央部およびY方向他端部(上端部)は、下加圧ローラー64から離間可能に構成される。また、ガイド機構本体82の上端部等に取り付けられるガイド部材84および爪部材86も下加圧ローラー64から離間可能に構成される。
【0061】
ガイド部材84は、ガイドプレート部841とガイドアーム部842とを有する。
【0062】
ガイドプレート部841は、用紙Sの搬送方向において定着ニップNPよりも下流側に配置されている。また、ガイドプレート部841は、下加圧ローラー64の表面の中の最も高い場所とほぼ同じ高さ位置に配置されている。ガイドプレート部841は、下加圧ローラー64に沿ってZ方向(軸方向)に延在している。
【0063】
ガイドプレート部841は、X方向中央部で折り曲げられている。ガイドプレート部841の-X方向端部は、-X方向(搬送方向上流側)に対して斜め下方向(-Y方向)に延在している。ガイドプレート部841の+X方向端部は、+X方向に延在している。これにより、ガイドプレート部841は、定着ニップNPから搬出された用紙Sを+X方向へ案内する。
【0064】
図5は、ガイドプレート部841の一例を概略的に示す平面図である。図5に示すように、ガイドプレート部841のZ方向中央部(Z方向両端部を除く領域)は、下加圧ローラー64の表面における用紙Sが通過する領域(以下、単に「通紙領域」)に対向している。ガイドプレート部841のZ方向両端部は、下加圧ローラー64の表面における用紙Sが通過しない領域(以下、単に「非通紙領域」)に対向している。図5に通紙領域64Aおよび非通紙領域64Bを示す。
【0065】
図5に示すように、ガイドプレート部841の-X方向端部は、櫛歯状である。具体的には、ガイドプレート部841の-X方向端部は複数(例えば、6つ)の凹部8411(隣接する櫛歯の間の隙間)を有する。複数の凹部8411は、通紙領域64Aに対向する領域に配置されている。複数の凹部8411は、軸方向に所定の間隔で配置されている。凹部8411は、ガイドプレート部841の-X方向端部から+X方向に凹入している。
【0066】
図3および図5に示すように、ガイドプレート部841のZ方向両端部(非通紙領域64Bに対向する領域)には、シュー部材848が配置されている。シュー部材848は、ガイドプレート部841のZ方向両端部の-X方向端部を被覆する。シュー部材848は、ガイドプレート部841の-X方向端部よりも-X方向の位置に配置される。つまり、シュー部材848は、ガイドプレート部841の-X方向端部よりも下加圧ローラー64に近い位置に配置される。これにより、シュー部材848が非通紙領域64Bに当接した状態においては、ガイドプレート部841の-X方向端部が通紙領域64Aに当接していない。つまり、ガイドプレート部841と通紙領域64Aとの間の隙間は、シュー部材848が下加圧ローラー64の表面の非通紙領域64Bに当接することで、所定の距離に保たれる。
【0067】
ガイドアーム部842は、下加圧ローラー64よりも左方向(+X方向)に配置されている。ガイドアーム部842は、下加圧ローラー64に沿って軸方向(Z方向)に延在している。また、ガイドアーム部842は、下方向(-Y方向)に延在している。ガイドアーム部842のY方向一端部(上端部)は、ガイドプレート部841の+X方向端に接続されている。ガイドアーム部842のY方向他端部(下端部)は、下加圧ローラー64の表面の中の最も低い場所とほぼ同じ高さ位置に配置される。
【0068】
ガイドアーム部842のY方向中央部のZ方向両端部は、-X方向に延在するフランジ844を有している。フランジ844の上端部は、軸部材88(本発明の「第1軸」に対応する)によりガイド機構本体82に回動可能に支持されている。軸部材88は、Z方向に延在している。これにより、ガイド部材84は、軸部材88回りに回動するように配置される。
【0069】
ガイドアーム部842の下端部は、+X方向に延在している。ガイドアーム部842の下端部のZ方向両端部は、引っ張りバネ(不図示)を係止する係止部843を有している。ガイド部材84は、引っ張りバネにより時計回りの方向に付勢される。換言すれば、シュー部材848は、下加圧ローラー64の非通紙領域64Bに当接する方向に付勢される。図3に、係止部843が付勢される方向F1を示す。
【0070】
フランジ844は、案内溝845および規制溝847を有している。案内溝845は、溝口から溝奥に向かって狭くなる溝幅を有する。案内溝845は、両側溝縁を有する。両側溝縁のうち左側(+X方向)に位置する溝を左側溝縁846Aという。また、両側溝縁のうち右側(-X方向)に位置する溝を右側溝縁846Bという。右側溝縁846Bは、下方向(-Y方向)に対して斜め左方向(+X方向)に延在している。
【0071】
規制溝847の溝奥から溝口への方向は、下方向(-Y方向)である。規制溝847には軸部材89(本発明の「第2軸」に対応する、後述する)が嵌合している。
【0072】
爪部材86は、複数(例えば、6つ)の凹部8411(図5を参照)にそれぞれ対応して設けられる。つまり、爪部材86は、ガイドプレート部841のZ方向中央部(通紙領域64Aに対向する領域)に配置される。爪部材86は、凹部8411に嵌め込まれるように配置される。爪部材86は、凹部8411を通って通紙領域64Aの方へ突出する。
【0073】
爪部材86は、中央側爪部862、一端側爪部864、および、他端側爪部866を有する。
【0074】
中央側爪部862は、一端側爪部864と他端側爪部866との間に配置される。中央側爪部862には、連結軸85が貫通している。連結軸85は、Z方向に延在している。複数の爪部材86は、連結軸85により連結されている。つまり、複数の爪部材86は一体的に構成されている。連結軸85のZ方向両端部は、ガイドアーム部842のZ方向両端部に設けられるフランジ844の案内溝845にそれぞれ嵌め込まれている。
【0075】
一端側爪部864は、中央側爪部862から-X方向に延在している。一端側爪部864は、凹部8411を通って通紙領域64Aの方向へ突出している。一端側爪部864は通紙領域64Aに近接している。一端側爪部864と通紙領域64Aとの間の距離は例えば、1mmである。
【0076】
他端側爪部866は、中央側爪部862から+X方向に対して斜め下方向(-Y方向)に延在している。複数の爪部材86の中のZ方向両端に位置する爪部材86の他端側爪部866には軸部材89(前述する)が固定されている。軸部材89は、Z方向に延在する。軸部材89および軸部材88は、ガイド部材84を通過する用紙Sの通過面に対して直交する方向(Y方向)に並ぶように配置されている。軸部材89は、軸部材88よりも通過面から遠い位置に配置されている。
【0077】
軸部材89は、ガイドアーム部842のZ方向両端部に設けられるフランジ844の規制溝847に嵌め込まれている。なお、複数の爪部材86は、軸部材89により連結されてもよい。
【0078】
他端側爪部866は、引っ張りバネ(不図示)を係止する係止溝8661を有している。爪部材86は、引っ張りバネにより図3に示す時計回りの方向(一端側爪部864が通紙領域64Aに近接する方向)に付勢される。図3に、他端側爪部866が付勢される方向F2を示す。
【0079】
また、他端側爪部866は、引っ張りバネ(不図示)を係止する係止穴8662を有している。爪部材86は、引っ張りバネにより上方向に付勢される。図3に、他端側爪部866が付勢される方向F3を示す。なお、付勢方向F3の反対方向に軸部材89の軸心が位置している。
【0080】
複数の爪部材86は、軸部材89回りに一体的に回動するように構成されている。なお、爪部材86は、連結軸85が案内溝845に嵌め込まれることで、回動範囲が制限される。
【0081】
具体的には、方向F2の付勢力に抗して、爪部材86が図3に示す反時計回りの方向(一端側爪部864が通紙領域64Aから離れる方向)に回動しても、連結軸85が左側溝縁846Aに当接した場合、爪部材86は反時計回りの方向の回動を制限される。また、方向F2の付勢力により、爪部材86が図3に示す時計回りの方向(一端側爪部864が通紙領域64Aに近接する方向)に回動しても、連結軸85が右側溝縁846Bに当接した場合、爪部材86は時計回りの方向の回動を制限される。
【0082】
爪部材86は、連結軸85が案内溝845に嵌め込まれ、かつ、軸部材89が規制溝847に嵌め込まれることで、ガイド部材84と一体的に回動するように構成される。この構成では、ガイド部材84が下加圧ローラー64から離れる場合、爪部材86も下加圧ローラー64から離れる。つまり、ガイド部材84および爪部材86は、下加圧ローラー64から一体的に離れるように構成される。
【0083】
次に、図4および図5を参照して、ガイド機構80の動作について説明する。
図4に示すように、下加圧ローラー64が定着ベルト61等から離れた位置(押圧解除位置)に回動した状態においては、ガイド部材84のシュー部材848は、非通紙領域64Bから離れている。また、ガイド部材84は、ストッパー部材83によって、図4に示す時計回りの方向への回動を規制されている。つまり、ガイド部材84のシュー部材848は、非通紙領域64Bから離れた位置に保持されている。
【0084】
爪部材86の一端側爪部864は、通紙領域64Aから離れている。また、爪部材86は、連結軸85が案内溝845の右側溝縁846Bに当接することで、図4に示す時計回りの方向の回動を規制されている。つまり、爪部材86の一端側爪部864は、通紙領域64Aから離れた位置に保持されている。
【0085】
図3に示すように、下加圧ローラー64が、定着ベルト61を介して上加圧ローラー63に所定の定着荷重で圧接される位置(押圧位置)に回動した状態においては、非通紙領域64Bは、ガイド部材84のシュー部材848に当接し、シュー部材848を上方向(+Y方向)に押し上げる。これにより、ガイド部材84は、方向F1の付勢力に抗して軸部材88を中心に図3において反時計回りの方向に回動する。反対に、シュー部材848は、方向F1の付勢力で非通紙領域64Bに当接する。
【0086】
爪部材86は、ガイド部材84と共に、図3において反時計回りに回動するとともに、方向F2の付勢力により、軸部材89を中心に図3において時計回りの方向に回動する。これにより、ガイド部材84の一端側爪部864は、方向F2の付勢力で通紙領域64Aに当接する。
【0087】
爪部材86は、例えば、用紙Sのジャムが発生することで、一端側爪部864が下方向(-Y方向)の荷重を受けた場合、方向F3の付勢力に抗して、軸部材89が規制溝847に沿って下方向に移動し、かつ、方向F2の付勢力により、連結軸85が右側溝縁846Bに沿って下方向(-Y方向)に対して斜め左方向(+X方向)に移動する。これにより、爪部材86が下方向に移動しながら、軸部材89回りに図3において反時計方向に回動する。その結果、一端側爪部864が通紙領域64Aから離れる。つまり、爪部材86は、用紙Sのジャムが発生した場合、軸部材89回りに通紙領域64Aから離れる方向に回動する。
【0088】
上記実施の形態における定着部60は、上加圧ローラー63と上加圧ローラー63とを、定着ベルト61を介して押圧する下加圧ローラー64とで形成された定着ニップNPに未定着のトナー像を担持する用紙Sを通過させて、トナー像を用紙Sに定着させる定着部60と、定着ニップNPから搬出される用紙Sを案内するガイド部材84と、を備え、ガイド部材84は、下加圧ローラー64の表面において用紙Sが通過する領域である通紙領域64Aとの間の隙間が所定の距離に保たれるように、下加圧ローラー64の表面における通紙領域64A以外の非通紙領域64Bに当接する。
【0089】
上記構成によれば、ガイド部材84が通紙領域64Aに当接することなく、ガイド部材84と通紙領域64Aとの間の隙間が所定の距離に保たれるため、通紙領域64Aに傷や凹みが発生しない。これにより、押圧部材の耐久性を向上することができる。
【0090】
また、従来の技術では、当接部材(コロ)が通紙領域に当接することで、通紙領域の表面温度が低下し、これにより、コロが当接する通紙領域とコロが当接しない通紙領域との間で温度ムラが生じ、温度ムラに起因した印刷画像の光沢ムラが発生するおそれがあるという問題がある。しかしながら、本実施の形態では、ガイド部材84が通紙領域64Aに当接しないため、通紙領域64Aに温度ムラが生じることがなく、温度ムラに起因した印刷画像の光沢ムラが発生するおそれがない。
【0091】
また、上記実施の形態においては、ガイド部材84は、軸部材88回りに回動するように配置され、方向F1の付勢力により時計回りの方向に付勢される。これにより、下加圧ローラー64の押圧位置の変化に応じて、シュー部材848を非通紙領域64Bに一定の圧力で当接させることが可能となる。
【0092】
また、上記実施の形態においては、下加圧ローラー64が押圧解除位置の手前位置から押圧解除位置に回動する場合、ガイド部材84が時計回りの方向に回動するのを規制するストッパー部材83を備える。また、ガイド部材84を下加圧ローラー64に当接し続けないようにすることで、下加圧ローラー64の表面に傷や凹みが発生するのを防止することが可能となる。
【0093】
また、上記実施の形態においては、ガイド部材84と爪部材86とは、一体的に回動するように配置される。これにより、ユニットして取り扱うことが可能となり、組付性や輸送性等を向上することが可能となる。
【0094】
また、上記実施の形態においては、爪部材86の先端部がガイド部材84の凹部8411を通って通紙領域64Aに突出する。これにより、爪部材86を下加圧ローラー64とガイド部材84との間の隙間に単に配置した場合に比較して、ガイド部材84を下加圧ローラー64に対してより近い位置に配置することが可能となる。
【0095】
また、上記実施の形態においては、爪部材86は、軸部材89回りに回動するように配置され、通紙領域64Aに近接する方向へ付勢される。下加圧ローラー64の押圧位置の変化に応じて、爪部材86を通紙領域64Aに近接することが可能となる。
【0096】
また、上記実施の形態においては、爪部材86は、用紙Sのジャムが発生した場合、軸部材89回りに通紙領域64Aから離れる方向へ回動するように配置される。これにより、用紙Sのジャム発生時において、爪部材86が通紙領域64Aを損傷させることを防止可能となる。
【0097】
また、上記実施の形態においては、ガイド部材84の回動中心となる軸部材88と、爪部材86の回動中心となる軸部材89とは、互いに異なる位置に配置される。具体的には、軸部材88および軸部材89は、ガイド部材84を通過する用紙Sの面(通紙面)に対して直交する方向に並ぶように配置される。また、軸部材89は軸部材88よりも通紙面から遠い位置に配置される。軸部材88および軸部材89による簡単な構成により、ガイド部材84と爪部材86とを一体のユニットにすることが可能となり、かつ、小型化することが可能となる。
【0098】
また、上記実施の形態においては、ガイド機構本体82を軸部材87回りに反時計回りの方向に回動することにより、ガイド部材84および爪部材86は、一体的に下加圧ローラー64から離れるように構成される。これにより、例えば、用紙Sのジャム発生時に、作業がし易いスペースを確保することが可能となる。
【0099】
なお、上記実施の形態においては、爪部材86は、軸部材89回りに回動するように配置にされ、通紙領域64Aに近接する方向へ付勢されるが、本発明はこれに限らず、例えば、爪部材86は、通紙領域64Aに当接する方向へ付勢されてもよい。これにより、下加圧ローラー64の押圧位置の変化に応じて、爪部材86を通紙領域64Aに当接することが可能となる。
【0100】
また、本実施の形態では、ガイド部材84が非通紙領域64Bから離れる方向へ回動するのを規制するストッパー部材(規制部材)を備えてもよい。これにより、ガイド部材84が用紙Sに突き当たること等の不具合の発生を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0101】
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
60A 上側定着部
60B 下側定着部
61 定着ベルト
62 加熱ローラー
63 上加圧ローラー
64 下加圧ローラー
65 軸部材
66 アーム部材
80 ガイド機構
82 ガイド機構本体
83 ストッパー部材
84 ガイド部材
85 連結軸
86 爪部材
87 軸部材
88 軸部材
89 軸部材
図1
図2
図3
図4
図5