IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

特許7380004ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム
<>
  • 特許-ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム 図1
  • 特許-ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム 図2
  • 特許-ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム 図3
  • 特許-ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム 図4
  • 特許-ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム 図5
  • 特許-ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231108BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20231108BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20231108BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
H04N5/765
G08G1/04 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019174977
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021051622
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】児島 知希
(72)【発明者】
【氏名】菅田 章典
(72)【発明者】
【氏名】村上 幸彦
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170906(JP,A)
【文献】特開2009-147647(JP,A)
【文献】特開2005-033799(JP,A)
【文献】特開平08-153298(JP,A)
【文献】特開2006-101279(JP,A)
【文献】特開2003-121171(JP,A)
【文献】特開2002-366839(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116485(WO,A1)
【文献】特開2016-181239(JP,A)
【文献】特開2019-021208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G07C 1/00-15/00
H04N 5/76-5/775
5/80-5/907
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺を撮影する撮像部と、
前記撮像部によって撮影された画像を記録媒体に記録する画像処理部と、
車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を含む情報をサーバ装置との間で通信する通信部と、
前記位置情報に基づいてサーバ装置から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得し、前記エリア情報に前記画像の記録を停止しなければならない制限があるとの情報が含まれている場合、前記画像の記録を停止するよう機能を制御する機能制御処理部と、
を備え
前記エリア情報は、前記位置情報に最も近い前記存在エリアの境界までの第1の距離を含み、
前記機能制御処理部は、前記第1の距離に応じて前記位置情報を前記サーバ装置に送信するタイミングを決定することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記車両の存在エリアは、国または地域を単位とし、
前記エリア情報は、前記国または地域における法律による規制によって前記画像の記録に制限が課せられることの情報を含み、
前記機能制御処理部は、前記制限が課せられる場合に、前記画像の記録を自動的に停止するよう機能を制御することを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記機能制御処理部は、前記第1の距離の情報を前記サーバ装置に送信した際の前記第1の距離と、前記第1の距離の情報を前記サーバ装置に送信した際の前記位置情報と現在取得した前記位置情報との間の距離である第2の距離と、に応じて前記タイミングを決定することを特徴とする請求項1または2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
ユーザによる入力情報を受け付ける操作入力部を更に備え、
前記機能制御処理部は、前記操作入力部で受け付けた入力情報にさらに基づいて前記画像処理部による画像記録を停止または開始することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
コンピュータが、
車両周辺を撮影する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された画像を記録媒体に記録する画像処理ステップと、
車両の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報を含む情報をサーバ装置との間で通信する通信ステップと、
前記位置情報に基づいてサーバ装置から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得し、前記エリア情報に前記画像の記録を停止しなければならない制限があるとの情報が含まれている場合、前記画像の記録を停止するよう機能を制御する機能制御処理ステップと、
を実行し、
前記エリア情報は、前記位置情報に最も近い前記存在エリアの境界までの第1の距離を含み、
前記機能制御処理ステップは、前記第1の距離に応じて前記位置情報を前記サーバ装置に送信するタイミングを決定することを特徴とする画像記録方法。
【請求項6】
車両周辺を撮影する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮影された画像を記録媒体に記録する画像処理ステップと、
車両の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報を含む情報をサーバ装置との間で通信する通信ステップと、
前記位置情報に基づいてサーバ装置から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得し、前記エリア情報に前記画像の記録を停止しなければならない制限があるとの情報が含まれている場合、前記画像の記録を停止するよう機能を制御する機能制御処理ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記エリア情報は、前記位置情報に最も近い前記存在エリアの境界までの第1の距離を含み、
前記機能制御処理ステップは、前記第1の距離に応じて前記位置情報を前記サーバ装置に送信するタイミングを決定することを特徴とする画像記録プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたドライブレコーダは、車両の前方等の車両周辺を撮影し、画像を記録する。ドライブレコーダは、例えば事故が発生した現場等において、事故に遭遇した車両や、現場に居合わせた車両などで撮影された画像によって状況分析のために活用することなども考えられている。
【0003】
特許文献1には、従来のカーナビゲーションシステムが記載されている。このカーナビゲーションシステムは、センター装置からの各種情報に基づいて走行支援を行う。センター装置は、管轄区域内全道路の各種走行環境情報(地図情報、道路標識・標示情報、渋滞情報、道路規制情報、気象情報等)を有する。センター装置は、車載装置から一定時間毎あるいは車両の一定距離走行毎に送信される車両状態情報(車両走行状態情報・車両情報・ドライバー情報)とセンター装置の有する前記車両状態情報に対応した走行環境情報の安全走行に関する整合性(交通規則に違反にしていないか否か等)あるいは省エネルギー走行の可否、可の場合にはその走行条件等を比較・演算・判定し、その結果を安全走行支援情報あるいは省エネルギー走行支援情報として車載装置に送信することによって走行支援を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-169538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカーナビゲーションシステムは、センター装置が有する各種走行環境情報に基づいて専ら走行支援に用いられている。これに対して、本願の発明者は、ドライブレコーダの運用に、サーバ装置等で把握されるエリア情報を利用する余地があることに気付いた。本願の発明者は、例えばドライブレコーダによる記録開始などの機能制御においてエリア情報を利用することによって、ドライブレコーダの更なる機能向上を図ることができると考えた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エリア情報に基づいて車両での画像記録に関する機能制御を行うことができるドライブレコーダ、画像記録方法および画像記録プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様のドライブレコーダは、車両周辺を撮影する撮像部と、前記撮像部によって撮影された画像を記録媒体に記録する画像処理部と、車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報を含む情報をサーバ装置との間で通信する通信部と、前記位置情報に基づいてサーバ装置から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得して機能を制御する機能制御処理部と、を備える。
【0008】
また本発明の別の態様は画像記録方法である。この画像記録方法は、車両周辺を撮影する撮像ステップと、前記撮像ステップによって撮影された画像を記録媒体に記録する画像処理ステップと、車両の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報を含む情報をサーバ装置との間で通信する通信ステップと、前記位置情報に基づいてサーバ装置から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得して機能を制御する機能制御処理ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エリア情報に基づいて車両での画像記録に関する機能制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係るドライブレコーダを含むドライブレコーダ運用システムにおける通信接続を説明するための模式図である。
図2】実施形態1に係るドライブレコーダの構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係るサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図4】ドライブレコーダにおける画像記録制御処理の手順を示すフローチャートである。
図5】サーバ装置におけるエリア情報送信処理の手順を示すフローチャートである。
図6】実施形態2に係るドライブレコーダの位置情報送信のタイミングについて説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図6を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るドライブレコーダ1を含むドライブレコーダ運用システム100における通信接続を説明するための模式図である。ドライブレコーダ運用システム100は、ドライブレコーダ1およびサーバ装置5を備える。ドライブレコーダ運用システム100は、ドライブレコーダ1が搭載されている車両の位置情報をサーバ装置5へ送信し、サーバ装置5で把握されているエリア情報をドライブレコーダ1で受信し、ドライブレコーダ1の機能を制御する。ドライブレコーダ1における機能制御は、例えば画像の記録の停止または開始である。
【0013】
ドライブレコーダ1は、車両に搭載され、車両の前方等の車両周辺を撮影し、画像を記録する。ドライブレコーダ1は、撮影した画像を記録媒体に保存するが、当該記録媒体の容量には限りがあるため、一定期間に亘って複数の画像データを保存した後、古い画像データから順次上書きして新たな画像を記録する。
【0014】
ドライブレコーダ1は、通信ネットワーク9を介してサーバ装置5と通信する。本発明に係るドライブレコーダ1は、サーバ装置5から車両が存在するエリアに関するエリア情報を受信し、ドライブレコーダ1における機能を制御する。サーバ装置5は、車両の位置情報に基づいて車両が存在するエリアを求め、当該エリアにおけるエリア情報をドライブレコーダ1へ送信する。
【0015】
ドライブレコーダ1では、例えば車両が存在する国や地域といったエリアにおける法律による規制によって画像の記録に制限が課せられる場合に、そのようなエリアにおいて画像記録を自動的に停止することができる。また、ユーザの選択によって画像記録を停止することも考えられ、この場合には、ユーザに対して、画像記録が制限されるエリアに存在することを報知するなどの機能をドライブレコーダに持たせることができる。
【0016】
さらにドライブレコーダ1では、事故多発地帯などの交通に関する情報をエリア情報としてサーバ装置5から受信した場合に、画像記録を開始するような機能制御を行うことなどもできる。ドライブレコーダ1では、観光地などの観光に関する情報をエリア情報としてサーバ装置5から受信した場合に、画像記録を開始するような機能制御、または、画像記録の画質を変更するような機能制御を行い、旅行記録をより鮮明に保存することなどもできる。
【0017】
図2は実施形態1に係るドライブレコーダ1の構成を示すブロック図であり、図3は実施形態1に係るサーバ装置5の構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ1は、画像処理部11、記録媒体12、入出力インタフェース13、操作入力部14、報知部15、通信部16および制御部17等を備える。画像処理部11、記録媒体12、入出力インタフェース13、操作入力部14、報知部15、通信部16および制御部17等は、データバス1aによって相互に電気信号の送受ができるように接続されている。
【0018】
ドライブレコーダ1における各部は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、図2ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
画像処理部11は、撮像部11aにおいて撮影された所定時間分の画像信号について、データ圧縮等の処理を行い、インデックス情報などを付加して画像データを生成する。画像処理部11は、生成した画像データを記録媒体12に保存させる。インデックス情報は、場所、日付および時刻のほか、加速度等の車両の状態を含む。撮像部11aは、例えばCCD,CMOS等のイメージセンサを有し、車両の前方や後方等の車両周辺を撮影する。撮像部11aは、画像を取得し、画像信号を画像処理部11へ送出する。
【0020】
記録媒体12は、例えばSDカードやUSBメモリ等であり、画像処理部11で生成された画像データを保存し、消去することができるものとする。記録媒体12は、ドライブレコーダ1に着脱可能とすることで、ドライブレコーダ1から取り外し、別のPC等で画像を再生等することもできる。この場合、ドライブレコーダ1には、記録媒体を挿入するスロットや、記録媒体を接続するインタフェースなどが備えられる。記録媒体12は、ドライブレコーダ1に固定的に備えられるメモリやハードディスクドライブなどであってもよい。
【0021】
入出力インタフェース13は、加速度情報、角速度情報、車両の移動速度および車両の位置情報等を外部装置から取得する。尚、ドライブレコーダ1は、加速度や角速度を計測するための加速度センサやジャイロセンサを内蔵していてもよい。入出力インタフェース13は、車速パルスセンサの出力を取得してもよく、車両とCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークを介して車両と通信して、車両の移動速度を取得してもよい。入出力インタフェース13は、位置情報として、緯度経度情報などを取得する。入出力インタフェース13は、位置情報として、地図とのマッチングで取得された地名や住所などを取得してもよい。位置情報は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機によって取得することができる。ドライブレコーダ1は、外部に設けられたGNSS受信機によって位置情報を取得してもよいし、GNSS機能を内蔵して位置情報を取得してもよい。あるいは加速度や角速度、車両の移動速度などのセンサ情報を元に自車位置を推定してもよい。
【0022】
操作入力部14は、例えばマイクで集音された音声での操作入力、タッチパネル等の入力デバイスへの操作入力等によってユーザからの入力情報を受け付ける。報知部15は、例えばスピーカによる音声出力、液晶パネル等のディスプレイ装置による表示出力等によってユーザへ情報を報知する。
【0023】
通信部16は、通信ネットワーク9との間でWiFi(登録商標)等の通信規格に準拠して無線通信し、通信ネットワーク9を介してサーバ装置5との間で通信する。通信部16は、ITS通信システムや路車間通信システムあるいは車車間通信システムなどのそれぞれの通信規格に準じた通信によってサーバ装置5と通信してもよい。尚、通信部16は、接続されたアンテナで無線信号波を送受信し、通信ネットワーク9との間で無線通信する。また通信部16は、携帯通信回線を用いて通信するようにしてもよい。
【0024】
制御部17は、位置情報取得部17aおよび機能制御処理部17bを有する。制御部17は、例えばCPUなどによって構成され、記憶部18に記憶されたコンピュータプログラムに従って動作することによって、上述の各部による処理を実行する。記憶部18は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置によって構成されており、制御部17で実行するコンピュータプログラム等を記憶する。
【0025】
制御部17において、位置情報取得部17aは、車両の位置情報を、入出力インタフェース13を介して、または内蔵するGNSS受信機によって、取得する。位置情報取得部17aによって取得された車両の位置情報は、機能制御処理部17bによって、通信部16を介してサーバ装置5へ送信される。
【0026】
機能制御処理部17bは、通信部16を介して車両の位置情報をサーバ装置5へ送信し、サーバ装置5から通信部16を介して、予め定められたエリアに関するエリア情報を受信して取得する。機能制御処理部17bは、取得したエリア情報に基づいて、ドライブレコーダ1における機能を制御する。
【0027】
機能制御処理部17bは、エリア情報に画像の記録を停止しなければならない制限があるとの情報が含まれている場合、画像の記録を停止する機能制御を画像処理部11に対して実行する。また、機能制御処理部17bは、報知部15を介して、画像記録の停止の制限があるエリアに車両が存在していることをユーザへ報知する。
【0028】
次に図3に基づいてサーバ装置5について説明する。サーバ装置5は、エリア情報記憶部51、通信部52および制御部53等を備える。エリア情報記憶部51、通信部52および制御部53等は、データバス5aによって相互に電気信号の送受ができるように接続されている。
【0029】
エリア情報記憶部51は、国や地域等を個々のエリアに分割し、分割されたエリアにおけるエリア情報を記憶する。エリア情報記憶部51は、例えば各エリアの境界線の位置と、そのエリアにおける画像の記録制限についてのエリア情報とを対応付けて記憶されている。例えばA国のエリアとして、A国の国境となる地点またはA国の国境となる境界線の緯度経度情報を網羅的に記憶して、その境界内となるエリアをA国のエリアとし、A国内における画像の記録制限についての情報と対応付けて記憶する。例えばA国内にて画像の記録について制限がある場合には、その制限についての情報が記憶される。各分割されたエリアにおけるエリア情報は、緯度経度情報とその地点がどのエリアであるかを対応付けたリストまたは表形式で記憶されてもよく、エリア情報記憶部51がどのような形式でエリア情報を記憶するかについては、公知の技術が用いられてよい。
【0030】
通信部52は、無線または有線によって通信ネットワーク9に通信接続されており、通信ネットワーク9を介してドライブレコーダ1の通信部16との間で通信する。
【0031】
制御部53は、位置情報取得部53aおよびエリア情報処理部53bを有する。制御部53は、例えばCPUなどによって構成され、記憶部54に記憶されたコンピュータプログラムに従って動作することによって、上述の各部による処理を実行する。記憶部54は、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置によって構成されており、制御部53で実行するコンピュータプログラム等を記憶する。
【0032】
制御部53の位置情報取得部53aは、車両に搭載されたドライブレコーダ1から送出されてくる位置情報を、通信部52を介して取得し、取得した車両の位置情報をエリア情報処理部53bへ出力する。
【0033】
エリア情報処理部53bは、位置情報取得部53aによって取得された車両の位置情報に基づいて、当該車両が存在するエリアを求める。エリア情報処理部53bは、車両が存在するエリアに対応する画像の記録制限についてのエリア情報をエリア情報記憶部51から抽出する。エリア情報処理部53bは、通信部52を介して、抽出したエリア情報をドライブレコーダ1へ送信する。
【0034】
次にドライブレコーダ1の動作について、ドライブレコーダ1における画像記録制御処理に基づいて説明する。図4は、ドライブレコーダ1における画像記録制御処理の手順を示すフローチャートである。ドライブレコーダ1は、制御部17の位置情報取得部17aによって車両の現在の位置情報を取得する(S1)。機能制御処理部17bは、位置情報取得部17aによって取得された車両の位置情報を、通信部16を介してサーバ装置5へ送信する(S2)。サーバ装置5は、車両の位置情報を取得すると、車両が存在するエリアを求め、当該エリアにおける画像の記録制限についてのエリア情報をエリア情報記憶部51から抽出してドライブレコーダ1へ送信する。
【0035】
ドライブレコーダ1の機能制御処理部17bは、サーバ装置5から送信されたエリア情報を、通信部16を介して受信して取得する(S3)。機能制御処理部17bは、エリア情報において、画像の記録制限があるか否かを判定する(S4)。機能制御処理部17bは、画像の記録制限がある場合(S4:YES)、画像処理部11における画像の記録処理を停止し(S5)、処理を終了する。機能制御処理部17bは、画像の記録制限がない場合(S4:NO)、画像処理部11における画像の記録処理を実行し(S6)、処理を終了する。
【0036】
図5は、サーバ装置5におけるエリア情報送信処理の手順を示すフローチャートである。サーバ装置5の位置情報取得部53aは、ドライブレコーダ1から車両の位置情報を取得する(S11)。エリア情報処理部53bは、車両の位置情報に基づいて、当該車両が存在するエリアを特定する(S12)。
【0037】
エリア情報処理部53bは、エリア情報記憶部51に記憶された情報から、車両が存在するエリアにおけるエリア情報を抽出する(S13)。エリア情報処理部53bは、抽出したエリア情報を通信部52を介してドライブレコーダ1へ送信する(S14)。
【0038】
ドライブレコーダ1は、サーバ装置5から送信されたエリア情報に基づいて、車両が画像記録制限のあるエリアに存在している場合に画像の記録処理を停止することができる。またドライブレコーダ1は、サーバ装置5から送信されたエリア情報に基づいて、車両が画像記録制限のないエリアに存在している場合や、車両が事故多発エリアなどに存在している場合、あるいは車両が観光地に存在している場合に、画像の記録処理を実行したり、画像を記録する画質を変更するなどの機能制御を行うことができる。
【0039】
車両が画像記録制限のあるエリアから画像記録制限のないエリアに移動した場合には、ドライブレコーダ1は、停止していた画像の記録処理を開始することができる。このように、ドライブレコーダ1は、エリア情報に基づいて車両での画像記録に関する停止および開始について機能制御を実行することができる。
【0040】
また、上述のステップS5において、機能制御処理部17bは、画像記録制限のあるエリアに車両が存在していることを報知部15によってユーザに対して報知するようにしてもよい。機能制御処理部17bは、報知した結果、ユーザが操作入力部14によって画像の記録処理を停止することを選択した場合に、画像の記録処理を停止してもよい。
【0041】
更に、機能制御処理部17bは、画像記録制限のあるエリアから画像記録制限のないエリアに移動した場合に、画像記録制限のないエリアに車両が移動したことを報知部15によってユーザに対して報知するようにしてもよい。機能制御処理部17bは、報知した結果、ユーザが操作入力部14によって画像の記録処理を開始することを選択した場合に、画像の記録処理を開始してもよい。
【0042】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るドライブレコーダ1の位置情報送信のタイミングについて説明するための模式図である。サーバ装置5から送信されるエリア情報は、画像記録制限に関する情報に加え、車両が存在するエリアの境界線のうち車両の位置に最も近い境界線までの距離Lbの情報が含まれているものとする。
【0043】
ドライブレコーダ1の機能制御処理部17bは、距離Lbに応じて車両の位置情報を送信するタイミングを決定する。例えば、機能制御処理部17bは、距離Lbが100kmであった場合には車両の位置情報を送信するタイミングを一時間に一度などとし、距離Lbが1kmであった場合には車両の位置情報を送信するタイミングを一分間に一度としてもよい。また、機能制御処理部17bは、距離Lbと入出力インタフェース13を介して取得した車速に基づいて、エリアの境界に到達するまでに要する時間を求め、次に位置情報を送信するタイミングを決定する。ドライブレコーダ1は、車両が存在しているエリアから別のエリアに移動する可能性があるまでは位置情報の送信を停止し、通信トラフィックの低減およびサーバ装置5における処理量の低減化を図ることができる。
【0044】
また機能制御処理部17bは、距離Lbについてのエリア情報を取得した前回の位置情報送信時における車両の位置と、現在の車両の位置との間の距離Lnを求め、距離Lbに達した時点または距離Lbに近似した時点で位置情報を送信するように送信タイミングを決定してもよい。この場合も、ドライブレコーダ1は、車両が存在しているエリアから別のエリアに移動する可能性があるまでは位置情報の送信を停止し、通信トラフィックの低減およびサーバ装置5における処理量の低減化を図ることができる。
【0045】
(変形例)
サーバ装置5はエリアの境界または道路情報などを含む地図を保持し、ドライブレコーダ1から受信した車両の位置情報と照合してマップマッチング補正を行うことで車両の位置推定の精度を高めてもよい。
【0046】
上述の実施形態では、ドライブレコーダ1において画像の記録制限に関する制御を実行しているが、画像の記録制限に関する設定情報をサーバ装置5で保持し、当該設定情報をエリア情報に含めてドライブレコーダ1に送信するようにしてもよい。画像の記録制限に関する設定情報は、例えば、ドライブレコーダ1での画像の記録制限を自動で行うか手動によって行うかを設定した情報や記録の開始または停止を指示する情報である。
【0047】
またサーバ装置5が保持するエリア情報は、事故多発地帯などの危険地域に関する情報であってもよい。車両の位置がそのエリアに進入したと判断した場合、自動的に撮影と記録を開始するようにドライブレコーダ1へエリア情報を送信する。ドライブレコーダ1は、当該エリア情報を受信すると、撮影および記録処理を停止中の場合でも撮影および記録処理を開始することをユーザへ通知し、ユーザが許可する旨の操作をした場合、または、予めユーザが許可設定をしている場合に撮影および記録処理を開始する。
【0048】
またドライブレコーダ1は、ユーザの操作によって事故、災害、停電などが発生した地域、いわゆるあおり運転などの交通被害の頻発地域など、任意の地域情報をサーバ装置5へ送信することができる形態があってもよい。サーバ装置5は受信した情報を危険地域情報としてエリア情報記憶部51に蓄積する。サーバ装置5が有するエリア情報は、災害発生に関するエリア情報などの場合、適宜更新されて最新状態を保つことが好ましい。
【0049】
またドライブレコーダ1から定期的に車両の位置をサーバ装置5へ送信することで、サーバ装置5がそのドライブレコーダ1を搭載した車両が頻繁に走行するルートやエリアを解析するようにしてもよい。サーバ装置5は、車両の位置が頻繁に走行するルートやエリアに存在する場合、自動的に撮影および記録処理を開始するようにドライブレコーダ1へエリア情報を送信する。
【0050】
ドライブレコーダ1は、当該エリア情報を受信したとき、撮影および記録処理を停止中の場合でも撮影および記録処理を開始することをユーザへ通知し、ユーザが許可操作をした場合、または、予めユーザが許可設定をしている場合に撮影および記録処理を開始する。
【0051】
逆に、頻繁に走行するルートやエリアであれば、常時撮影を停止するようにしてもよい。通常、頻繁に走行するルートの画像を再生して確認する場合は多くないためである。尚、頻繁に走行するルートやエリアの情報は、サーバ装置5で保持せずにドライブレコーダ1の内部の記録装置または外部記録装置に保持していてもよい。
【0052】
ドライブレコーダ1を搭載した車両が頻繁に走行するルートやエリアに関する情報を保持した外部記録装置または記録媒体を、異なるドライブレコーダ1に接続または装着して利用するようにしてもよい。ドライブレコーダ1は、接続または装着された記録媒体等から頻繁に走行するルートやエリアに関する情報を取得し、サーバ装置5へ送信することができる。
【0053】
普段使用しているドライブレコーダ1(または車両)以外でも、車両が頻繁に走行するルートやエリアに関する情報をユーザが利用できるサービス形態とすることができる。
【0054】
サーバ装置5は、エリア(または地域等)毎の最新の災害情報を定期的に更新および保持するように構成されていてもよい。ドライブレコーダ1が存在するエリアに災害警報が発令されている場合は、エリア情報に当該情報を含ませてドライブレコーダ1に送信する。ドライブレコーダ1は、ユーザに対して災害情報を通知する。
【0055】
サーバ装置5を含むドライブレコーダ運用システム100は、ドライブレコーダ1の画像記録制御に関する情報のほか、災害情報などをユーザに伝えるサービスを提供することもできる。また、災害情報があるエリアにおいて、ドライブレコーダ1で自動的に撮影および記録処理を開始するようにしてもよい。
【0056】
次に、実施形態および変形例に係るドライブレコーダ1、画像記録方法および画像記録プログラムの特徴を説明する。
ドライブレコーダ1は、撮像部11a、画像処理部11、位置情報取得部17a、通信部16および機能制御処理部17bを備える。撮像部11aは、車両周辺を撮影する。画像処理部11は、撮像部11aによって撮影された画像を記録媒体12に記録する。位置情報取得部17aは、車両の位置情報を取得する。通信部16は、位置情報を含む情報をサーバ装置5との間で通信する。機能制御処理部17bは、位置情報に基づいてサーバ装置5から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得して機能を制御する。これにより、ドライブレコーダ1は、エリア情報に基づいて車両での画像記録に関する機能制御を行うことができる。
【0057】
また機能制御処理部17bは、エリア情報に基づいて画像処理部11による画像記録を停止または開始する。これにより、ドライブレコーダ1は、画像記録が制限されているエリア等において車両での画像記録を制限する機能制御を行うことができる。
【0058】
また機能制御処理部17bは、エリア情報をユーザへ報知する。これにより、ドライブレコーダ1は、車両が存在しているエリアが例えば画像記録が制限されているエリアであること等をユーザに知得させることができる。
【0059】
またエリア情報は、車両の位置に最も近い存在エリアの境界までの距離を含む。機能制御処理部17bは、境界までの距離に応じて位置情報をサーバ装置5に送信するタイミングを決定する。これにより、ドライブレコーダ1は、サーバ装置5での処理量の低減化を図ることができる。
【0060】
また機能制御処理部17bは、境界までの距離と、当該距離の情報を取得した際の位置および現在位置の間の距離とに応じて、位置情報を送信するタイミングを決定する。これにより、ドライブレコーダ1は、通信トラフィックの低減、および、サーバ装置5での処理量の低減化を図ることができる。
【0061】
またユーザによる入力情報を受け付ける操作入力部14を更に備え、機能制御処理部17bは、操作入力部14で受け付けた入力情報にさらに基づいて画像処理部11による画像記録を停止または開始する。これにより、ドライブレコーダ1は、サーバ装置5から取得したエリア情報に基づいて手動によって機能を制御することができる。
【0062】
また画像記録方法は、撮像ステップ、画像処理ステップ、位置情報取得ステップ、通信ステップおよび機能制御処理ステップを備える。撮像ステップは、車両周辺を撮影する。画像処理ステップは、撮像ステップによって撮影された画像を記録媒体に記録する。位置情報取得ステップは、車両の位置情報を取得する。通信ステップは、位置情報を含む情報をサーバ装置5との間で通信する。機能制御処理ステップは、位置情報に基づいてサーバ装置5から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得して機能を制御する。この画像記録方法によれば、エリア情報に基づいて車両での画像記録に関する機能制御を行うことができる。
【0063】
また画像記録プログラムは、撮像ステップ、映像処理ステップ、位置情報取得ステップ、通信ステップおよび機能制御処理ステップをコンピュータに実行させる。撮像ステップは、車両周辺を撮影する。画像処理ステップは、撮像ステップによって撮影された画像を記録媒体に記録する。位置情報取得ステップは、車両の位置情報を取得する。通信ステップは、位置情報を含む情報をサーバ装置5との間で通信する。機能制御処理ステップは、位置情報に基づいてサーバ装置5から送信される車両の存在エリアに関するエリア情報を取得して機能を制御する。この画像記録プログラムによれば、エリア情報に基づいて車両での画像記録に関する機能制御を行うことができる。
【0064】
たとえばサーバ装置5は、エリア情報として、分割された各エリアに関する緯度経度などの位置情報のみを記憶し、ドライブレコーダ1が送信した位置情報に基づいて、車両がどのエリアに存在するかの情報のみをドライブレコーダ1に送信してもよい。ドライブレコーダ1は、サーバ装置5から送信されたエリア情報に基づいて、例えば画像記録の画質設定を変更するなどの機能制御を行ってもよい。たとえば車両が事故多発地域に存在するとのエリア情報をサーバ装置5から受信した場合に画像フレームレートを高く設定した画像記録を行ってもよい。この場合、ドライブレコーダ1は、エリア情報に基づき、どのような機能制御を行うかの情報を有し、この情報はユーザが任意に変更できることが好ましい。
【0065】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0066】
1 ドライブレコーダ、 11 画像処理部、 11a 撮像部、
12 記録媒体、 14 操作入力部、 16 通信部、 17a 位置情報取得部、
17b 機能制御処理部、 5 サーバ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6