(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】光源モジュール及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231108BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20231108BHJP
【FI】
F21S2/00 482
H01L33/00 L
(21)【出願番号】P 2019179464
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】小柳津 剛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 喜子
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-508621(JP,A)
【文献】特開平11-162233(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1762171(KR,B1)
【文献】国際公開第2009/110513(WO,A1)
【文献】特開2016-012552(JP,A)
【文献】特開2016-081906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、導電性を有する導体と;
前記導体を介して供給される電力によって発光する複数種類の素子と;
それぞれにおいて前記複数種類の素子が前記導体を介して電気的に接続され、互いに対して独立して制御される複数の回路と;
を具備し、
前記複数の回路は、第1の回路及び第2の回路を含み、
前記第1の回路及び前記第2の回路のそれぞれは、互いに対して特性が異なる前記複数種類の素子として、第1の素子、及び、前記第1の素子とは発光色が異なる第2の素子を備え、
前記第2の回路は、前記複数種類の素子として、前記第1の素子及び前記第2の素子に加えて、前記第1の素子及び前記第2の素子とは発光色が異なる第3の素子を備え、
前記第1の回路は、前記第1の素子及び前記第2の素子の2種類の素子のみから構成され、
前記第2の回路は、前記第1の素子、前記第2の素子及び前記第3の素子の3種類の素子のみから構成され、
前記第1の素子の数と前記第2の素子の数との比率は、前記第1の回路及び前記第2の回路で、互
いに対して異なり、
前記第1の回路を構成する前記複数種類の素子による発光色は、前記第2の回路を構成する前記複数種類の素子による発光色とは異な
り、
前記第1の回路において電気的に接続される素子の数は、前記第2の回路において電気的に接続される素子の数と同一になる、
光源モジュール。
【請求項2】
前記複数の回路のそれぞれでは、前記複数種類の素子が前記導体を介して電気的に直列に接続される、
請求項1の光源モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2の光源モジュールを具備する、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源モジュール及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置の光源としてLED(Light Emitting Diode)が、白熱電球等の代わりに、普及している。LEDを光源(発光素子)として用いることにより、省電力化が実現されるため、地球温暖化の原因の1つとなるCO2の発生が削減される。LEDを発光素子(素子)として用いた光源モジュールとしては、LEDを備えるSMD(Surface Mount Device)又はCSP(Chip Scale Package)等を基板上に実装したものがある。前述のような光源モジュールを形成することにより、照明装置の使用者にとって所望の特性を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、LEDが光源(発光素子)として普及したことにより、光源モジュール及び照明装置として様々な付加価値が使用者等によって追及されている。このため、照明装置に搭載される光源モジュールとしては、様々な性能を有することが求められている。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、様々な性能を有するとともに、追及されている付加価値を実現可能な光源モジュール、及び、その光源モジュールを備える照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、光源モジュールは、導体、複数種類の素子及び複数の回路を備える。導体は、基板上に形成され、導電性を有する。複数種類の素子は、導体を介して供給される電力によって、発光する。複数の回路のそれぞれでは、複数種類の素子が導体を介して電気的に接続され、複数の回路は、互いに対して独立して制御される。複数の回路は、第1の回路及び第2の回路を含む。第1の回路及び第2の回路のそれぞれは、互いに対して特性が異なる複数種類の素子として、第1の素子、及び、第1の素子とは発光色が異なる第2の素子を備える。第2の回路は、複数種類の素子として、第1の素子及び第2の素子に加えて、第1の素子及び第2の素子とは発光色が異なる第3の素子を備える。第1の回路は、第1の素子及び第2の素子の2種類の素子のみから構成され、第2の回路は、第1の素子、第2の素子及び第3の素子の3種類の素子のみから構成される。第1の素子の数と第2の素子の数との比率は、第1の回路及び第2の回路で、互いに対して異なる。第1の回路を構成する複数種類の素子による発光色は、第2の回路を構成する複数種類の素子による発光色とは異なる。第1の回路において電気的に接続される素子の数は、第2の回路において電気的に接続される素子の数と同一になる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、様々な性能を有するとともに、追及されている付加価値を実現可能な光源モジュール、及び、その光源モジュールを備える照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る照明装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の照明装置の光源モジュールの構成の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図2の一例の光源モジュールによる光の調色を説明する、xy色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の光源モジュール(2)は、導体(8)及び複数の素子群(7A~7D)を備える。導体(8)は、基板(12)上に形成され、導電性を有する。複数の素子群(7A~7D)は、導体(8)を介して供給される電力によって、発光する。複数の素子群(7A~7D)は、互いに対して独立して制御される。複数の素子群(7A~7D)のそれぞれは、互いに対して特性が異なる複数種類の素子(21A~21Dの2種類以上)を備える。複数の素子群(7A~7D)のそれぞれでは、複数種類の素子が導体(8)を介して電気的に接続される。これにより、光源モジュールは、様々な性能を有することができ、実現し難い性能(仕様)を、光源モジュールによって実現可能になる。したがって、照明装置の使用者等によって追及されている付加価値を、光源モジュールによって実現可能になる。
【0010】
実施形態の光源モジュール(2)では、前述の複数の素子群(7A~7D)は、互いに対して特性が異なる。これにより、実現し難い性能(仕様)であっても、光源モジュールによってより確実に実現され、光源モジュールによって、より高い付加価値を実現可能になる。
【0011】
実施形態の光源モジュール(2)では、互いに対して特性が異なる前述の複数種類の素子において、発光色、電圧-電流特性、電圧-光束特性、電流-光束特性、外形、及び、チップの種類のいずれかが、互いに対して異なる。このため、複数の素子群を互いに対して独立して制御することにより、光源モジュール2からの光に関するパラメータを適切に調整可能になる。
【0012】
実施形態の照明装置(1)は、前述の光源モジュール(2)を備える。これにより、様々な性能を有し、かつ、追及されている付加価値を実現可能な光源モジュールが搭載された照明装置が、提供される。
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る照明装置1の一例を示す。
図1に示すように、照明装置1は、光源モジュール2、複数の電源3A~3D、及び、制御部5を備える。
図1の一例では、電源3A~3Dは、4つ設けられる。光源モジュール2は、複数の素子群7A~7D、及び、導電性を有する導体8を備える。
図1の一例では、素子群7A~7Dは、4つ設けられ、電源3A~3Dの数は、素子群7A~7Dの数と同一である。また、導体8は、例えば、導電性を有する金属から形成される。
【0015】
また、光源モジュール2では、導体8によって複数の回路11A~11Dが形成される。回路11A~11Dの数は、素子群7A~7Dの数と同一であり、
図1の一例では、回路11A~11Dは、4つ設けられる。回路11A~11Dは、互いに対して、電気的に絶縁される。回路11A~11Dのそれぞれには、電源3A~3Dの対応する1つから電力が出力される。また、素子群7A~7Dのそれぞれは、回路11A~11Dの対応する1つに配置される。素子群7A~7Dのそれぞれには、電源3A~3Dの対応する1つから回路11A~11Dの対応する1つを介して、電力が供給される。素子群7A~7Dのそれぞれは、回路11A~11Dの対応する1つ(導体8)を介して供給される電力によって、発光する。
【0016】
制御部(コントローラ)5は、例えば、コンピュータ等である。制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。制御部5は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。制御部5は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。
【0017】
制御部5は、電源3A~3Dのそれぞれからの出力を制御する。電源3A~3Dのそれぞれにおいて出力が制御されることにより、回路11A~11Dの対応する1つを流れる電流が制御され、素子群7A~7Dの対応する1つの発光等が制御される。電源3A~3Dでは、互いに対して独立して、出力が制御される。このため、複数の素子群7A~7Dは、互いに対して独立して、発光等の駆動が制御される。すなわち、複数の素子群7A~7Dは、互いに対して異なる制御系統で駆動が制御される。したがって、素子群7A~7Dの駆動を制御する制御系統の数は、素子群7A~7Dの数と同一になる。
【0018】
なお、ある一例では、電源が1つのみで、代わりに、素子群7A~7Dと同一の数だけリレー回路(駆動回路)が設けられてもよい。この場合、制御部5は、リレー回路のそれぞれの駆動を制御することにより、回路11A~11Dの対応する1つを流れる電流を制御し、素子群7A~7Dの対応する1つの駆動を制御する。そして、複数のリレー回路は、互いに対して独立して、制御される。このため、本一例でも、複数の素子群7A~7Dは、互いに対して独立して、発光等の駆動が制御される。
【0019】
図2は、光源モジュール2の構成の一例を示す。
図2の一例では、光源モジュール2は、基板12を有する。基板12の一対の主面の一方には、前述の素子群7A~7Dが設置されるとともに、導体8によって前述の回路11A~11Dが形成される。基板12では、少なくとも回路11A~11Dが形成される主面は、電気的絶縁性を有する。このため、回路11A~11Dは、基板12の主面の一方によって、互いに対して電気的に絶縁される。
【0020】
また、基板12において素子群7A~7Dが設置される主面には、プラス側電極(端子)15A~15D、及び、マイナス側電極(端子)16A~16Dが、設置される。
図2の一例では、プラス側電極15A~15Dの数及びマイナス側電極16A~16Dの数は、素子群7A~7Dの数及び回路11A~11Dの数と同一である。回路11A~11Dのそれぞれは、基板12において、プラス側電極15A~15Dの対応する1つとマイナス側電極16A~16Dの対応する1つと間に、延設される。回路11A~11Dのそれぞれでは、電源3A~3Dの対応する1つからの電力によって素子群7A~7Dの対応する1つが発光している状態において、プラス側電極15A~15Dの対応する1つからマイナス側電極16A~16Dの対応する1つへ、電流が流れる。
【0021】
なお、ある一例では、マイナス側電極が1つのみ設けられ、1つのマイナス側電極が全ての回路11A~11Dで共用されてもよい。この場合も、プラス側電極15A~15Dの数は、回路11A~11Dの数及び素子群7A~7Dの数と同一となる。そして、回路11A~11Dのそれぞれは、プラス側電極15A~15Dの対応する1つと共用のマイナス側電極との間に、延設される。本一例でも、制御部5によって電源3A~3Dからの出力又はリレー回路の駆動が制御されることにより、複数の素子群7A~7Dは、互いに対して独立して、発光等の駆動が制御される。
【0022】
素子群(発光素子群)7A~7Dのそれぞれは、複数種類の素子(発光素子)を備える。複数種類の素子は、互いに対して特性が異なる。回路11A~11Dのそれぞれでは、素子群7A~7Dの対応する1つの複数種類の素子が、互いに対して電気的に接続される。すなわち、素子群7A~7Dのそれぞれでは、複数種類の素子が、回路11A~11Dの対応する1つ(導体8)を介して、電気的に接続される。本実施形態では、素子群7A~7D(回路11A~11D)のそれぞれにおいて、複数種類の素子が電気的に直列に接続される。なお、ある一例では、素子群7A~7Dのいずれかにおいて、複数種類の素子が電気的に並列に接続されてもよい。また、別のある一例では、素子群7A~7Dのいずれかにおいて、複数種類の素子が電気的に直列に接続される直列接続構造、及び、複数種類の素子が電気的に並列に接続される並列接続構造の両方が、形成されてもよい。
【0023】
互いに対して特性が異なる複数種類の素子では、発光色、電圧-電流特性、電圧-光束特性、電流-光束特性、外形、及び、チップの種類のいずれかが、互いに対して異なる。電圧-電流特性には、順電流(If)が流れ始める順電圧(Vf)が含まれる。また、電圧-光束特性には、素子(発光素子)が発光し始める順電圧(Vf)が含まれる。
【0024】
ここで、前述のように、素子群7A~7Dは、互いに対して独立して、制御される。ただし、素子群7A~7Dのそれぞれでは、複数種類の素子は、互いに対して独立して制御されない。すなわち、素子群7A~7Dのそれぞれの駆動が制御されることにより、その素子群を形成する複数種類の素子の全ての駆動が制御される。したがって、素子群7A~7Dのそれぞれでは、その素子群を形成する複数種類の素子の全てが、1つの制御系統で制御される。
【0025】
図2の一例では、素子群(第1の素子群)7Aは、素子(第1の素子)21Aと、素子21Aとは特性が異なる素子(第2の素子)21Bと、を備え、2種類の素子21A,21Bから形成される。また、素子群(第2の素子群)7Bは、素子21Aと、素子21A,21Bとは特性が異なる素子(第3の素子)21Cと、を備え、2種類の素子21A,21Cから形成される。そして、素子群(第3の素子群)7Cは、前述の素子21A,21Bと、素子21A~21Cとは特性が異なる素子(第4の素子)21Dと、を備え、3種類の素子21A,21B,21Dから形成される。また、素子群(第4の素子群)7Dは、前述の素子21A,21C,21Dを備え、3種類の素子21A,21C,21Dから形成される。
【0026】
このため、
図2の一例では、素子群7A,7Bのそれぞれを形成する素子の種類の数が、素子群7C,7Dのそれぞれを形成する素子の種類の数とは、異なる。そして、素子群7Aを形成する複数種類の素子の少なくとも1種類は、素子群7Bを形成する複数種類の素子のいずれとも、特性が異なる。すなわち、素子群7Aを形成する素子の種類の組み合わせが、素子群7Bを形成する素子の種類の組み合わせとは、異なる。また、素子群7Cを形成する複数種類の素子の少なくとも1種類は、素子群7Dを形成する複数種類の素子のいずれとも、特性が異なる。すなわち、素子群7Cを形成する素子の種類の組み合わせが、素子群7Dを形成する素子の種類の組み合わせとは、異なる。
【0027】
前述のように、素子群7A~7Dでは、素子の種類の数及び素子の種類の組み合わせの少なくとも一方が、互いに対して異なる。このため、素子群7A~7Dは、互いに対して、発光特性等の特性が異なる。
【0028】
図2に示す一例では、素子21Aは、平均演色評価数(Ra)が90、かつ、相関色温度(CCT)が4300Kの白色光を発光する素子であり、素子21Bは、青色光を発光する素子である。そして、素子21Cは、赤色光を発光する素子であり、素子21Dは、緑色光を発光する素子である。なお、
図2では、白色光を発光する素子21Aは、ハッチングがされてなく、青色光を発光する素子21Bは、青を示すハッチングがされている。そして、赤色光を発光する素子21Cは、赤を示すハッチングがされ、緑色光を発光する素子21Dは、緑を示すハッチングがされている。
【0029】
図3は、
図2の一例の光源モジュール2による光の調色を説明する、xy色度図である。
図3に示すように、
図2の一例では、素子群7Aからの発光色は、xy色度図の領域A1になり、素子群7Bからの発光色は、xy色度図の領域A2になる。そして、素子群7Cからの発光色は、xy色度図の領域A3になり、素子群7Dからの発光色は、xy色度図の領域A4になる。
【0030】
光源モジュール2からの発光色は、素子群7A~7Dからの発光色の混合色になる。このため、前述のように素子群7A~7Dの駆動が互いに対して独立して制御されることにより、光源モジュール2からの発光色が、xy色度図の領域S内で調色される。ここで、xy色度図において、領域A1と領域A2とを結ぶ直線B1、領域A1と領域A3とを結ぶ直線B2、領域A2と領域A4とを結ぶ直線B3、及び、領域A3と領域A4とを結ぶ直線B4を規定する。光源モジュール2からの発光色が調色される領域Sは、xy色度図において、4つの直線B1~B4で囲まれる領域に相当する。
【0031】
ある一例では、光源モジュール2からの発光色が調色される領域Sは、色温度が3000K以上6500K以下で、かつ、色偏差が-0.0100以上+0.0100以下の領域に、相当する。また、
図3の曲線αは、xy色度図における黒体軌跡を示す。
【0032】
図2の一例では、白色光を発光する素子(21A)を32個、青色光を発光する素子(21B)が12個、赤色光を発光する素子(21C)が12個、緑色光を発光する素子(21D)が8個、使用している。ここで、4種類の素子のそれぞれが
図2の一例と同一の数設けられ、かつ、発光色ごとに独立して制御され構成を、比較例とする。この比較例では、白色光の32個の素子を制御する制御系統、青色光の12個の素子を制御する制御系統、赤色光の12個の素子を制御する制御系統、及び、緑色光の8個の素子を制御する制御系統の、4つの制御系統が設けられる。そして、4つの制御系統のそれぞれにおいて、全ての素子を直列に接続され、4つの制御系統のそれぞれにおいて、1つの直列接続構造が形成されるものとする。この場合、白色光の素子の制御系統では32直列用の電圧の電源が、赤色光の素子の制御系統及び青色光の素子の制御系統では12直列用の電圧の電源が、緑色光の素子の制御系統では8直列用の電圧の電源が必要になり、印加する電圧範囲が互いに対して異なる3種類の電源を用いる必要がある。
【0033】
4種類の素子の数が前述の比較例と同様の場合、4種類の素子の数の最大公約数である4直列用の電源を用いることにより、電源を1種類にすることが可能になる。ただし、4直列用の電源では、電源によって印加される電圧が低くなり、電源効率が低下する。また、制御系統のいずれかにおいて素子の数が素数となり、かつ、2つ以上の制御系統において素子の数が互いに対して異なる場合は、電源を1種類にすることが不可能になる。
【0034】
図2の一例では、複数の制御系統のそれぞれにおいて、互いに対して特性が異なる複数種類の素子を組み合わせることにより、複数の制御系統において駆動電圧を互いに対して近くすることが可能になる。これにより、複数種類の電源を用いる必要がなく、複数の制御系統が設けられる構成において、電源を1種類にすることが可能になる。
【0035】
また、比較例のように、発光色ごとに独立して制御され、かつ、2つ以上の制御系統において素子の数が互いに対して異なる構成では、基板における素子の配置が複雑になり、基板における導体の延設パターンが複雑化する。これに対して、本実施形態では、複数の制御系統のそれぞれにおいて、互いに対して特性が異なる複数種類の素子を組み合わせることにより、素子の配置がシンプルになり、基板における導体の延設パターンの簡略化が実現される。
【0036】
なお、素子21A~21Dのそれぞれの数は、前述した数に限定されるものではなく、任意の数にすることが可能である。
【0037】
前述のように、本実施形態では、複数の素子群7A~7Dは、互いに対して異なる制御系統で駆動が制御される。そして、複数の素子群7A~7Dのそれぞれは、互いに対して特性が異なる複数種類の素子を備える。このため、素子群7A~7Dを互いに対して独立して制御することにより、光源モジュール2は、様々な性能を有することができる。そして、実現し難い特性を有する光を光源モジュール2から発光可能になる等、実現し難い性能(仕様)を、光源モジュール2によって実現可能になる。例えば、1種類の素子から形成される素子群の駆動を1つの制御系統で制御する構成では実現不可能な性能を、本実施形態の光源モジュール2によって実現可能になる。これにより、照明装置1の使用者等によって追及されている付加価値を、光源モジュール2によって実現可能になる。
【0038】
また、本実施形態の素子群7A~7Dでは、素子の種類の数及び素子の種類の組み合わせの少なくとも一方が、互いに対して異なり、素子群7A~7Dは、互いに対して特性が異なる。このため、素子群7A~7Dを互いに対して独立して制御することにより、実現し難い性能(仕様)であっても、光源モジュール2によってより確実に実現される。これにより、光源モジュール2によって、より高い付加価値を実現可能になる。
【0039】
また、本実施形態の複数種類の素子では、発光色、電圧-電流特性、電圧-光束特性、電流-光束特性、外形、及び、チップの種類のいずれかが、互いに対して異なる。このため、素子群7A~7Dのそれぞれに印加される電圧を制御する等、素子群7A~7Dを互いに対して独立して制御することにより、光源モジュール2からの光の発光色及び光束等の光源モジュール2からの光に関するパラメータを適切に調整可能になる。
【0040】
(変形例)
なお、ある変形例では、複数の素子群において、素子の種類の数及び素子の種類の組み合わせの両方が、互いに対して一致する。ただし、本変形例では、複数の素子群において、ある種類の素子の数に対する別のある種類の素子の数の比率が、互いに対して異なる。ある一例では、2つの素子群のいずれもが、前述した素子21A,21Bの2種類から形成される。ただし、本一例では、一方の素子群での素子21Aの数に対する素子21Bの数の比率が、他方の素子群での素子21Aの数に対する素子21Bの数の比率とは、異なる。
【0041】
前述のように、本変形例の複数の素子群では、ある種類の素子の数に対する別のある種類の素子の数の比率が、互いに対して異なる。このため、本変形例でも、複数の素子群は、互いに対して特性が異なる。また、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、複数の素子群は、互いに対して独立して、駆動等が制御される。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0042】
また、前述の実施形態等では、4つの素子群7A~7Dが設けられる構成であるが、光源モジュール2には、互いに対して独立して制御される複数の素子群が設けられていればよい。そして、複数の素子群のそれぞれが、互いに対して特性が異なる複数種類の素子を備える構成であれば、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0043】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、複数の素子群は、互いに対して独立して制御され、複数の素子群のそれぞれは、互いに対して特性が異なる複数種類の素子を備える。そして、複数の素子群のそれぞれでは、複数種類の素子が導体を介して電気的に接続される。これにより、様々な性能を有するとともに、追及されている付加価値を実現可能な光源モジュールを提供することができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]基板上に形成され、導電性を有する導体と;
前記導体を介して供給される電力によって発光し、互いに対して独立して制御される複数の素子群と;
を具備し、
前記複数の素子群のそれぞれは、互いに対して特性が異なる複数種類の素子を備え、
前記複数の素子群のそれぞれでは、前記複数種類の素子が前記導体を介して電気的に接続される、
光源モジュール。
[2]前記複数の素子群は、互いに対して特性が異なる、[1]の光源モジュール。
[3]互いに対して特性が異なる前記複数種類の素子では、発光色、電圧-電流特性、電圧-光束特性、電流-光束特性、外形、及び、チップの種類のいずれかが、互いに対して異なる、[1]又は[2]の光源モジュール。
[4][1]乃至[3]のいずれか1項の光源モジュールを具備する、照明装置。
【符号の説明】
【0045】
1…照明装置、2…光源モジュール、7A~7D…素子群、8…導体、12…基板、21A~21D…素子。