(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20231108BHJP
H01H 50/20 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01H50/54 C
H01H50/20 B
(21)【出願番号】P 2019179980
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】三宅 彩加
(72)【発明者】
【氏名】松島 弘一郎
(72)【発明者】
【氏名】小材 裕二
(72)【発明者】
【氏名】山北 智大
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168383(JP,A)
【文献】特開2013-182711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定端子と、
前記第1固定端子に接続された第1固定接点と、
第2固定端子と、
前記第2固定端子に接続された第2固定接点と、
第1可動接触片と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第1固定接点と向かい合う第1可動接点と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第2固定接点と向かい合う第2可動接点と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する閉位置と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開位置とに移動可能に前記第1可動接触片に接続された移動部材と、
スプールと、前記スプールに巻回されたコイルと、前記スプール内に少なくとも一部が配置され前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触方向及び開離する開離方向に移動可能に前記移動部材に接続された可動鉄心とを含み、前記コイルから発生する磁力に応じて
前記可動鉄心が移動することで、前記移動部材を移動させる駆動装置と、
前記移動部材が前記開位置のときにおいて、前記移動部材又は前記可動鉄心に接触して前記可動鉄心の前記接触方向への移動をアシストするアシスト力を発生させる弾性体と、
を備えた、
リレー。
【請求項2】
前記弾性体は、前記移動部材が開位置から閉位置に移動するまで前記アシスト力を発生させる、
請求項1に記載のリレー。
【請求項3】
前記移動部材が前記閉位置のときにおいて、前記弾性体は前記アシスト力を発生しない、
請求項1又は2に記載のリレー。
【請求項4】
前記弾性体は板バネである、
請求項1から3のいずれか1項に記載のリレー。
【請求項5】
前記駆動装置を支持するベースをさらに備え、
前記弾性体は、前記ベースに支持される支持部と、前記移動部材が前記開位置のときに前記移動部材を介して前記可動鉄心を前記接触方向に押圧する押圧部と、を含む、
請求項4に記載のリレー。
【請求項6】
第1固定端子と、
前記第1固定端子に接続された第1固定接点と、
第2固定端子と、
前記第2固定端子に接続された第2固定接点と、
第1可動接触片と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第1固定接点と向かい合う第1可動接点と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第2固定接点と向かい合う第2可動接点と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する閉位置と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開位置とに移動可能に前記第1可動接触片に接続された移動部材と、
スプールと、前記スプールに巻回されたコイルと、前記スプール内に少なくとも一部が配置され前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触方向及び開離する開離方向に移動可能に前記移動部材に接続された可動鉄心とを含み、前記コイルから発生する磁力に応じて前記可動鉄心が移動することで、前記移動部材を移動させる駆動装置と、
前記移動部材が前記開位置のときにおいて、前記可動鉄心の前記接触方向への移動をアシストするアシスト力を発生させる弾性体と、
前記駆動装置を支持するベースと、
を備え、
前記移動部材は、前記ベースの上方に配置される連結部を含み、
前記可動鉄心は、前記連結部に接続され、
前記連結部は、前記ベースの上方から前記弾性体が視認可能な窓部を含む、
リレー。
【請求項7】
第1固定端子と、
前記第1固定端子に接続された第1固定接点と、
第2固定端子と、
前記第2固定端子に接続された第2固定接点と、
第1可動接触片と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第1固定接点と向かい合う第1可動接点と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第2固定接点と向かい合う第2可動接点と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する閉位置と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開位置とに移動可能に前記第1可動接触片に接続された移動部材と、
スプールと、前記スプールに巻回されたコイルと、前記スプール内に少なくとも一部が配置され前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触方向及び開離する開離方向に移動可能に前記移動部材に接続された可動鉄心とを含み、前記コイルから発生する磁力に応じて前記可動鉄心が移動することで、前記移動部材を移動させる駆動装置と、
前記移動部材が前記開位置のときにおいて、前記可動鉄心の前記接触方向への移動をアシストするアシスト力を発生させる弾性体と、
前記第1可動接触片と前記移動部材との間に配置され、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触し、且つ前記第2可動接点が前記第2固定接点に接触している状態において前記移動部材に前記接触方向に押圧される第1接点バネと、
を備えた、
リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
プランジャ型のリレーは、1対の固定接点と、可動接触片と、駆動装置とを備えている。例えば、特許文献1のリレーでは、可動接触片は1対の可動接点を有している。1対の可動接点は、可動接触片の長手方向に互いに離れて配置されている。1対の可動接点は、それぞれ、1対の固定接点に向かい合って配置されている。
【0003】
駆動装置は、可動接触片を移動させる。駆動装置は、コイルと可動鉄心とを含む。可動接触片は、駆動軸を介して、可動鉄心に接続されている。可動鉄心がコイルから生じる磁力によって移動することで、可動接触片が移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイルから生じる磁力によって可動鉄心が移動する場合、可動鉄心に作用する磁気吸引力が小さければ、可動鉄心の動き出しが鈍くなる。このため、可動鉄心の動き出しを円滑にするには、磁気吸引力を大きくすることが考えられるが、その場合は駆動装置の大型化を招き、リレーが大型化するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、リレーの大型化を抑えながら、可動鉄心が移動するときの可動鉄心の動き出しを円滑にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係るリレーは、第1固定端子と、第1固定接点と、第2固定端子と、第2固定接点と、第1可動接触片と、第1可動接点と、第2可動接点と、移動部材と、駆動装置と、弾性体とを備える。第1固定接点は、第1固定端子に接続される。第2固定接点は、第2固定端子に接続される。第1可動接点は、第1可動接触片に接続され、第1固定接点と向かい合う。第2可動接点は、第1可動接触片に接続され、第2固定接点と向かい合う。移動部材は、第1可動接点が第1固定接点に接触する閉位置と、第1可動接点が第1固定接点から開離する開位置とに移動可能に第1可動接触片に接続される。駆動装置は、スプールと、コイルと、可動鉄心とを含む。コイルは、スプールに巻回される。可動鉄心の少なくとも一部は、スプール内に配置される。可動鉄心は、第1可動接点が第1固定接点に接触する接触方向及び開離する開離方向に移動可能に移動部材に接続される。駆動装置は、コイルから発生する磁力に応じて可動鉄心が移動することで、移動部材を移動させる。弾性体は、移動部材が開位置のときに可動鉄心の接触方向への移動をアシストするアシスト力を発生させる。
【0008】
本態様に係るリレーでは、可動鉄心が磁力によって接触方向に移動するときに、可動鉄心の接触方向への移動が弾性体によってアシストされる。これにより、駆動装置を大型化して磁気吸引力を大きくしなくても、可動鉄心を接触方向に移動させるのに十分な力を確保することができる。これにより、リレーの大型化を抑えながら、可動鉄心が移動するときの可動鉄心の動き出しを円滑にすることができる。また、例えば、固定接点と可動接点との接点ギャップが大きい高容量のリレーにおいて、十分な磁気吸引力の確保が難しい場合でも、可動鉄心を接触方向に移動させるのに必要な力を弾性体のアシスト力によって確保することができる。
【0009】
弾性体は、移動部材が開位置から閉位置に移動するまでアシスト力を発生させてもよい。この場合は、リレーの大型化を抑えながら、可動鉄心が移動するときの可動鉄心の動き出しをさらに円滑にすることができるとともに、可動鉄心を接触方向に迅速に移動させることができる。
【0010】
移動部材が閉位置のときにおいて、弾性体はアシスト力を発生しなくてもよい。この場合は、アシスト力が大きくなりすぎることを抑制できるので、移動部材が開位置のとき且つコイルから磁力が発生していないときに、アシスト力によって可動鉄心が接触方向に誤動作することを抑制できる。また、移動部材が閉位置から開位置に復帰するときの動作電圧が弾性体による影響を受けにくくなる。
【0011】
弾性体は板バネであってもよい。この場合は、板バネの弾性力を調整してアシスト力を調整することで、駆動装置の動作電圧の調整が可能になる。
【0012】
リレーは、駆動装置を支持するベースをさらに備えてもよい。弾性体は、ベースに支持される支持部と、移動部材が開位置のときに移動部材を介して可動鉄心を接触方向に押圧する押圧部とを含んでもよい。この場合は、弾性体の組付けが容易になる。
【0013】
移動部材は、ベースの上方に配置される連結部を含んでもよい。可動鉄心は、連結部に接続されてもよい。連結部は、ベースの上方から弾性体が視認可能な窓部を含んでもよい。この場合は、ベースの上方から弾性体の状態を視認することができるので、弾性体のアシスト力の調整がし易くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リレーの大型化を抑えながら、可動鉄心が移動するときの可動鉄心の動き出しを円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】移動部材が開位置のときのリレーの上面図である。
【
図4】移動部材が閉位置のときのリレーの上面図である。
【
図6】移動部材及び移動部材周辺を上方から見た図である。
【
図7】可動鉄心が接触方向に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施形態に係るリレー1について説明する。
図1は、実施形態に係るリレー1の斜視図である。
図2は、リレー1の縦断面図である。
図3は、リレー1の上面図である。
【0017】
リレー1は、接点装置2と、ハウジング3と、駆動装置4と、弾性体7とを備える。接点装置2と駆動装置4と弾性体7とは、ハウジング3内に配置されている。ハウジング3は、ベース11と、ケース12とを含む。ベース11及びケース12は、例えば樹脂製である。なお、
図1及び
図3では、ケース12は省略されている。
【0018】
なお、以下の説明において、ベース11に対して接点装置2及び駆動装置4が配置される方向が上方と定義され、その反対の方向が下方と定義される。また、上下方向(Z)に対して交差する所定の方向が、前後方向(Y)と定義される。上下方向(Z)及び前後方向(Y)に対して交差する所定の方向が、左右方向(X)と定義される。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、リレー1の配置方向を限定するものではない。
【0019】
接点装置2は、第1固定端子13と、第2固定端子14と、第1固定接点21と、第2固定接点22と、第3固定接点23と、第4固定接点24とを含む。第1固定端子13と第2固定端子14とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子13と第2固定端子14とは、それぞれ上下方向(Z)に延びている。第1固定端子13と第2固定端子14とは、左右方向(X)に互いに離れて配置されている。第1固定端子13と第2固定端子14とは、ベース11に支持されている。
【0020】
第1固定端子13は、第1接点支持部131と第1外端子部132とを含む。第2固定端子14は、第2接点支持部141と第2外端子部142(
図2参照)とを含む。第1接点支持部131と第2接点支持部141とは、ハウジング3内に配置されている。第1外端子部132と第2外端子部142とは、ハウジング3の外方に突出している。第1外端子部132と第2外端子部142とは、ベース11から下方に突出している。
【0021】
第1固定接点21と第3固定接点23とは、第1接点支持部131に接続されている。第1固定接点21と第3固定接点23とは、第1固定端子13と別体である。第1固定接点21と第3固定接点23とは、第1固定端子13において上下方向(Z)に互いに離れて配置されている。
【0022】
第2固定接点22と第4固定接点24とは、第1固定接点21と第3固定接点23とから、左右方向(X)に離れて配置されている。第2固定接点22と第4固定接点24とは、第2接点支持部141に接続されている。第2固定接点22と第4固定接点24とは、第2固定端子14と別体である。第2固定接点22と第4固定接点24とは、第2固定端子14において上下方向(Z)に互いに離れて配置されている。第1~第4固定接点21-24は、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0023】
接点装置2は、第1可動接触片15と、第2可動接触片16と、第1可動接点31と、第2可動接点32と、第3可動接点33と、第4可動接点34とを含む。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、左右方向(X)に延びている。第1可動接触片15及び第2可動接触片16の長手方向は、左右方向(X)に一致する。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、互いに別体である。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、上下方向(Z)に互いに離れて配置されている。
【0024】
第2可動接触片16は、第1可動接触片15の上方に配置されている。第1可動接触片15は、上下方向(Z)において、第2可動接触片16とベース11との間に配置されている。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、前後方向(Y)において、第1固定端子13の第1接点支持部131と、第2固定端子14の第2接点支持部141とに向かい合って配置されている。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0025】
第1可動接点31と第2可動接点32とは、第1可動接触片15と別体である。第1可動接点31と第2可動接点32とは、第1可動接触片15に接続されている。第1可動接点31と第2可動接点32とは、左右方向(X)に離れて配置されている。第1可動接点31は、第1固定接点21と向かい合って配置されている。第2可動接点32は、第2固定接点22と向かい合って配置されている。
【0026】
第3可動接点33と第4可動接点34とは、第2可動接触片16と別体である。第3可動接点33と第4可動接点34とは、第2可動接触片16に接続されている。第3可動接点33と第4可動接点34とは、左右方向(X)に離れて配置されている。第3可動接点33は、第1可動接点31から上下方向(Z)に離れて配置されている。第4可動接点34は、第2可動接点32から上下方向(Z)に離れて配置されている。第3可動接点33は、第3固定接点23と向かい合って配置されている。第4可動接点34は、第4固定接点24と向かい合って配置されている。第1~第4可動接点31-34は、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0027】
接点装置2は、移動部材17を含む。移動部材17は、樹脂などの絶縁材製である。移動部材17は、第1可動接触片15と第2可動接触片16とに接続されている。第1可動接触片15は、第1可動接点31と第2可動接点32との間において、移動部材17に接続されている。第1可動接触片15は、後述する第1接点バネ51を介して移動部材17に接続されている。第2可動接触片16は、第3可動接点33と第4可動接点34との間において、移動部材17に接続されている。第2可動接触片16は、後述する第2接点バネ52を介して移動部材17に接続されている。なお、第1可動接触片15及び第2可動接触片16は、移動部材17に直接接続されていてもよい。
【0028】
移動部材17は、第1可動接点31が第1固定接点21に接触する閉位置と、第1可動接点31が第1固定接点21から開離する開位置とに移動可能に設けられる。
図1から
図3では、移動部材17が開位置にあるときを示しており、
図4では、移動部材17が閉位置にあるときを示している。なお、移動部材17が閉位置のときにおいて、第2可動接点32は第2固定接点22に接触し、第3可動接点33が第3固定接点23に接触し、第4可動接点34は第4固定接点24に接触する。移動部材17が開位置のときにおいて、第2可動接点32は第2固定接点22から開離し、第3可動接点33が第3固定接点23から開離し、第4可動接点34が第4固定接点24から開離する。
【0029】
図5は、移動部材17及び移動部材17周辺の斜視図である。
図6は、移動部材17及び移動部材17周辺を上方から見た図である。
図2及び
図5に示すように、移動部材17は、連結部25と、第1支持部41と、第2支持部42と、第1接続部43と、第2接続部44とを含む。連結部25は、前後方向(Y)に延びている。第1支持部41は、連結部25から下方に向かって延びている。第1支持部41は、第1可動接触片15を支持する。第1支持部41は、第1支持孔411を含む。第1可動接触片15は、第1支持孔411内に配置されている。
【0030】
第2支持部42は、連結部25から上方に向かって延びている。第2支持部42は、第2可動接触片16を支持する。第2支持部42は、第2支持孔421を含む。第2可動接触片16は、第2支持孔421内に配置されている。移動部材17は、隔壁45を含む。隔壁45は、第1支持孔411と第2支持孔421とを区画する。隔壁45は、第1可動接触片15と第2可動接触片16との間に配置される。
【0031】
移動部材17は、第1部材17aと第2部材17bとを含む。第1部材17aと第2部材17bとは、互いに別体である。第1部材17aと第2部材17bとは、スナップフィットによって互いに接続される。第1部材17aは、連結部25と、第1支持部41の一部と、第2支持部42の一部と、第1接続部43と、第2接続部44とを含む。第2部材17bは、第1支持部41の一部と、第2支持部42の一部とを含む。第1支持孔411と第2支持孔421とは、第1部材17aと第2部材17bとの間に設けられる。
【0032】
図2に示すように、移動部材17の上端は、ケース12に近接して配置されている。移動部材17の下端は、ベース11上に配置されている。移動部材17は、上下方向(Z)においてベース11に支持されている。
【0033】
接点装置2は、第1接点バネ51と第2接点バネ52とを含む。第1接点バネ51は、第1可動接触片15と第1支持部41との間に配置されている。第1接点バネ51は、第1支持孔411内に配置されている。第1可動接点31が第1固定接点21に接触し、且つ、第2可動接点32が第2固定接点22に接触している状態で、第1接点バネ51は、第1可動接触片15を第1固定端子13及び第2固定端子14に向けて押圧する。第1接点バネ51は、コイルバネであり、移動部材17が開位置のとき、自然長の状態にある。
【0034】
第2接点バネ52は、第2可動接触片16と第2支持部42との間に配置されている。第2接点バネ52は、第2支持孔421内に配置されている。第3可動接点33が第3固定接点23に接触し、且つ、第4可動接点34が第4固定接点24に接触している状態で、第2接点バネ52は、第2可動接触片16を第1固定端子13及び第2固定端子14に向けて押圧する。第2接点バネ52は、コイルバネであり、移動部材17が開位置のとき、自然長の状態にある。
【0035】
駆動装置4は、電磁力によって第1可動接触片15と第2可動接触片16とを移動させる。駆動装置4は、接触方向(Y1)及び開離方向(Y2)に第1可動接触片15と第2可動接触片16とを移動させる。接触方向(Y1)は、前後方向(Y)において可動接点31-34が固定接点21-24に接触する方向である。開離方向(Y2)は、前後方向(Y)において可動接点31-34が固定接点21-24から離れる方向である。駆動装置4は、
図2に示すように、コイル61と、スプール62と、可動鉄心63と、固定鉄心64と、ヨーク65とを含む。
【0036】
コイル61は、スプール62に巻回されている。コイル61の軸線は、前後方向(Y)に延びている。スプール62は、コイル61の軸線方向に延びる孔621を含む。可動鉄心63の少なくとも一部は、スプール62の孔621内に配置されている。可動鉄心63は、接触方向(Y1)及び開離方向(Y2)に移動可能に設けられている。
【0037】
可動鉄心63は、移動部材17に接続されている。第1可動接触片15と可動鉄心63とは、移動部材17によって電気的に絶縁されている。第2可動接触片16と可動鉄心63とは、移動部材17によって電気的に絶縁されている。
【0038】
図2に示すように、移動部材17の連結部25は、係止溝59を含む。可動鉄心63は、連結部66を含む。可動鉄心63の連結部66は、移動部材17の係止溝59内に配置される。それにより、連結部66が係止溝59に係止することで、可動鉄心63が移動部材17に接続される。
【0039】
可動鉄心63は、移動部材17と前後方向(Y)に一体的に移動する。可動鉄心63は、コイル61から発生する磁力に応じて接触方向(Y1)又は開離方向(Y2)に移動する。この可動鉄心63の移動に伴い、移動部材17が閉位置又は開位置に移動する。さらに、移動部材17の移動に伴い、第1可動接触片15と第2可動接触片16とが接触方向(Y1)又は開離方向(Y2)に移動する。
【0040】
固定鉄心64は、スプール62の孔621内に配置されている。固定鉄心64は、前後方向(Y)において、可動鉄心63と向かい合って配置されている。コイル61は、通電されることで可動鉄心63を接触方向(Y1)に移動させる電磁力を発生させる。
【0041】
ヨーク65は、コイル61を囲むように配置されている。ヨーク65は、コイル61によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク65は、
図1から
図3に示すように、第1ヨーク67と第2ヨーク68とを含む。第1ヨーク67は、前後方向(Y)及び左右方向(X)に延びている。第1ヨーク67は、前後方向(Y)において、移動部材17と向かい合っている。第2ヨーク68の一部は、コイル61の左方と右方とに配置されている。第2ヨーク68は、固定鉄心64に接続されている。
【0042】
図3に示すように、リレー1は、第1復帰バネ53と第2復帰バネ54とを含む。第1復帰バネ53と第2復帰バネ54とは、移動部材17と駆動装置4との間に配置されている。第1復帰バネ53は、移動部材17の第1接続部43に接続される。第2復帰バネ54は、第2接続部44に接続されている。第1復帰バネ53と第2復帰バネ54とは、可動鉄心63を開離方向に付勢している。
【0043】
弾性体7は、移動部材17が開位置のときに可動鉄心63の接触方向(Y1)への移動をアシストするアシスト力を発生させる。本実施形態における弾性体7は、移動部材17が開位置のときに移動部材17を介して可動鉄心63を接触方向(Y1)に押圧する。したがって、
図2では、弾性体7が可動鉄心63を接触方向(Y1)に押圧している状態にある。弾性体7は、移動部材17が開位置から閉位置に移動するまでアシスト力を発生させる。すなわち、弾性体7は、移動部材17が開位置から閉位置に移動するまで可動鉄心63を接触方向(Y1)に押圧して、可動鉄心63の接触方向(Y1)の移動をアシストする。弾性体7のアシスト力は、復帰バネ53,54の弾性力よりも小さく設定されている。
【0044】
図7は、可動鉄心63が接触方向(Y1)に移動した状態を示す図である。このとき、移動部材17は閉位置にある。移動部材17が閉位置のときにおいて、弾性体7は、アシスト力を発生しない。すなわち、移動部材17が閉位置のときにおいて、弾性体7は、可動鉄心63を接触方向(Y1)に押圧しない。したがって、移動部材17が閉位置のときにおいて、弾性体7は後述する弾性体7の支持部71を除いて、自然状態すなわち弾性変形していない状態にある。
【0045】
弾性体7は、例えば、板バネを曲げ加工して形成される。詳細には、
図5及び
図7に示すように、弾性体7は、支持部71と、中間部72と、押圧部73とを含む。
【0046】
支持部71は、ベース11に設けられた支持溝111に支持されている。支持溝111は、接点装置2と駆動装置4の間に配置され、上下方向に延びている。支持部71は、1対の係止突起711を含む。1対の係止突起711は、支持部71の一部を接触方向(Y1)側に立ち上げて形成されている。弾性体7は、1対の係止突起711の弾性力によって支持溝111に支持されている。
【0047】
中間部72は、支持部71と押圧部73とを接続する部分であり、支持部71の上端から折れ曲がって前方に向かって延びている。
【0048】
押圧部73は、中間部72の前端から上方に向かって延びている。押圧部73は、接触方向(Y1)に向かって突出する突起731を含む。突起731は、押圧部73の上端に設けられており、半球面状に形成されている。突起731は、係止溝59の前壁部59aの外面に接触し、移動部材17を介して接触方向(Y1)に可動鉄心63を押圧する。
【0049】
ここで、
図3及び
図6に示すように、移動部材17の連結部25は、ベース11の上方から弾性体7が視認可能な窓部25aを含む。本実施形態における窓部25aは、連結部25を上下方向に貫通する貫通孔によって構成されている。窓部25aは、少なくとも弾性体7の押圧部73を視認することができる位置に形成される。
【0050】
次に、リレー1の動作について説明する。コイル61に通電されていないときには、駆動装置4は励磁されていない。この場合、移動部材17は、可動鉄心63と共に、復帰バネ53,54の弾性力によって開離方向に押圧されており、移動部材17が
図2に示す開位置に位置している。このときにおける復帰バネ53,54の弾性力と弾性体7のアシスト力との関係は、弾性体7のアシスト力によって可動鉄心63が接触方向(Y1)に誤作動しないような力関係に設定されている。この状態では、移動部材17を介して、第1可動接触片15及び第2可動接触片16も開離方向に押圧されている。従って、移動部材17が開位置で、第1可動接点31及び第2可動接点32は、第1固定接点21及び第2固定接点22から開離している。同様に、移動部材17が開位置で、第3可動接点33及び第4可動接点34は、第3固定接点23及び第4固定接点24から開離している。
【0051】
コイル61に通電されると、駆動装置4が励磁される。この場合、コイル61の電磁力により、可動鉄心63が、復帰バネ53,54の弾性力に抗して、接触方向(Y1)に移動する。それにより、移動部材17と第1可動接触片15と第2可動接触片16とが共に接触方向(Y1)に移動する。従って、
図4に示すように、移動部材17は、閉位置へ移動する。その結果、移動部材17が閉位置で、第1可動接点31及び第2可動接点32は、第1固定接点21及び第2固定接点22にそれぞれ接触する。同様に、移動部材17が閉位置で、第3可動接点33及び第4可動接点34は、第3固定接点23及び第4固定接点24にそれぞれ接触する。それにより、第1可動接触片15及び第2可動接触片16とは、第1固定端子13と第2固定端子14に対して、電気的に互いに並列に接続される。
【0052】
コイル61への電流が停止され消磁されると、可動鉄心63は、復帰バネ53,54の弾性力によって開離方向に押圧される。それにより、移動部材17と第1可動接触片15と第2可動接触片16とが共に開離方向(Y2)に移動する。従って、
図3に示すように、移動部材17は、開位置へ移動する。その結果、移動部材17が開位置で、第1可動接点31及び第2可動接点32は、第1固定接点21及び第2固定接点22から開離する。同様に、移動部材17が開位置で、第3可動接点33及び第4可動接点34は、第3固定接点23及び第4固定接点24から開離する。
【0053】
以上説明した本実施形態に係るリレー1では、可動鉄心63が駆動装置4によって接触方向(Y1)に移動するときに、可動鉄心63の接触方向(Z1)への移動が弾性体7によってアシストされる。これにより、駆動装置4を大型化して磁気吸引力を大きくしなくても、可動鉄心63を接触方向(Y1)に移動させるのに十分な力を確保することができる。これにより、リレー1の大型化を抑えながら、可動鉄心63が移動するときの可動鉄心63の動き出しを円滑にすることができる。また、例えば、第1~第4可動接点31-34と第1~第4固定接点21-24間のギャップが大きい高容量のリレーにおいて、十分な磁気吸引力の確保が難しい場合でも、可動鉄心63を接触方向(Y1)に移動させるのに必要な力を弾性体7のアシスト力によって確保することができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0055】
上記の実施形態では、駆動装置4が、移動部材17を駆動装置4側から接点装置2側へ押し出すことで、第1可動接触片15及び第2可動接触片16が開離方向に移動する。また、駆動装置4が移動部材17を接点装置2側から駆動装置4側に引き込むことで、第1可動接触片15及び第2可動接触片16が接触方向に移動する。しかし、接点を開閉するための移動部材17の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。すなわち、駆動装置4が移動部材17を駆動装置4側から接点装置2側に押し出すことで、第1可動接触片15及び第2可動接触片16が接触方向に移動してもよい。駆動装置4が移動部材17を接点装置2側から駆動装置4側に引き込むことで、第1可動接触片15及び第2可動接触片16が開離方向に移動してもよい。すなわち、接触方向と開離方向とは、上記の実施形態とは逆であってもよい。
【0056】
第1固定端子13、第2固定端子14、第1可動接触片15、及び第2可動接触片16の形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、第1外端子部132と第2外端子部142とは、上記の実施形態と異なる方向にベース11から突出してもよい。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、一体であってもよい。すなわち、一体の可動接触片に、第1~第4可動接点31-34が接続されてもよい。或いは、第2可動接触片16と第3、第4可動接点33,34と、第3、第4固定接点23,24とは、省略されてもよい。
【0057】
コイル61、スプール62、可動鉄心63、固定鉄心64、或いはヨーク65の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1~第4固定接点21-24の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1~第4可動接点31-34の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0058】
第1固定接点21、及び/又は、第3固定接点23は、第1固定端子13と一体であってもよい。第1固定接点21、及び/又は、第3固定接点23は、第1固定端子13の一部であって、第1固定端子13の他の部分と面一であってもよい。第2固定接点22、及び/又は、第4固定接点24は、第2固定端子14と一体であってもよい。第2固定接点22、及び/又は、第4固定接点24は、第2固定端子14の一部であって、第2固定端子14の他の部分と面一であってもよい。
【0059】
第1可動接点31、及び/又は、第2可動接点32は、第1可動接触片15と一体であってもよい。第1可動接点31、及び/又は、第2可動接点32は、第1可動接触片15の一部であって、第1可動接触片15の他の部分と面一であってもよい。第3可動接点33、及び/又は、第4可動接点34は、第2可動接触片16と一体であってもよい。第3可動接点33、及び/又は、第4可動接点34は、第2可動接触片16の一部であって、第2可動接触片16の他の部分と面一であってもよい。
【0060】
移動部材17は、ハウジング3に支持されていなくてもよい。移動部材17は、導電性を有する材料製であってもよい。移動部材17は、金属製であってもよい。移動部材17は、可動接触片15,16と可動鉄心63を連結する軸部材であってもよい。この場合、可動接触片15,16をホルダで支持してもよい。また、移動部材17の窓部25aは省略されてもよい。
【0061】
弾性体7の形状、或いは配置が変更されてもよい。弾性体7は、移動部材17が開位置のときにおいて、可動鉄心63の接触方向(Y1)への移動をアシストするアシスト力を発生させる構成であればよい。弾性体7は、コイルバネであってもよい。弾性体7は、ベース11以外の他の部材に支持されていてもよい。前記実施形態では、弾性体7が移動部材17を介して可動鉄心63を接触方向(Y1)に押圧していたが、他の部材を介して可動鉄心63を押圧してもよいし、可動鉄心63を直接押圧してもよい。また、弾性体7のアシスト力は、移動部材17が開位置から閉位置に移動するまで必ずしも発生させる必要はない。また、移動部材17が閉位置のときにおいて、弾性体7のアシスト力が発生していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、リレーの大型化を抑えながら、可動鉄心が移動するときの可動鉄心の動き出しを円滑にすることができる。
【符号の説明】
【0063】
4・・・駆動装置、 7・・・弾性体、 11・・・ベース、 13・・・第1固定端子、 14・・・第2固定端子、 15・・・第1可動接触片 17・・・移動部材、 21・・・第1固定接点、 22・・・第2固定接点、 25・・・連結部、 25a・・・窓部、 31・・・第1可動接点、 32・・・第2可動接点、 61・・・コイル、 62・・・スプール、63・・・可動鉄心、 71・・・支持部、 73・・・押圧部