IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電工プリントサーキット株式会社の特許一覧

特許7380048フレキシブルプリント配線板アレイおよびその製造方法
<>
  • 特許-フレキシブルプリント配線板アレイおよびその製造方法 図1
  • 特許-フレキシブルプリント配線板アレイおよびその製造方法 図2
  • 特許-フレキシブルプリント配線板アレイおよびその製造方法 図3
  • 特許-フレキシブルプリント配線板アレイおよびその製造方法 図4
  • 特許-フレキシブルプリント配線板アレイおよびその製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板アレイおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231108BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20231108BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/00 X
H05K1/16 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019184081
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021061303
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】高地 正彦
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-051258(JP,A)
【文献】特開2009-290080(JP,A)
【文献】特開2014-236074(JP,A)
【文献】特開2013-038265(JP,A)
【文献】実開平07-036472(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/00
H05K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリント配線板個片が配列されているフレキシブルプリント配線板アレイであって、
上記プリント配線板個片が、
ベースフィルムと、
上記ベースフィルムに積層されている第1導電パターンと、
上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターンと電気的に接続されていない第2導電パターンと
を備え
全ての上記プリント配線板個片が、フレキシブルプリント配線板として切り出される配線板領域を有しており、これらの配線板領域が、全体として矩形状に配置された配線板領域群を構成しており、
上記フレキシブルプリント配線板アレイの外周縁に沿って配置される複数の上記プリント配線板個片が、上記配線板領域群を取り囲む外縁領域を有しており、
上記外縁領域において、上記第2導電パターンが全体として繋がった環状に設けられており、
上記プリント配線板個片が、その外周縁の対角線によって定められる基準直線において、上記第1導電パターン及び上記第2導電パターンの少なくも一方と交差する領域の合計長さが、上記第1導電パターン及び上記第2導電パターンと交差しない領域の合計長さよりも大きいフレキシブルプリント配線板アレイ。
【請求項2】
上記第2導電パターンが、ベタパターン又は格子状パターンを有する請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板アレイ。
【請求項3】
上記第1導電パターンの一部が、コイル部を構成している請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板アレイ。
【請求項4】
上記プリント配線板個片が、上記第1導電パターン及び第2導電パターンを被覆する被覆層をさらに有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板アレイ。
【請求項5】
複数のプリント配線板個片が配列されているフレキシブルプリント配線板アレイの製造方法であって、
ベースフィルムに第1導電パターンと、この第1導電パターンと電気的に接続されない第2導電パターンとを積層する工程を備え、
上記積層工程では、上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に、上記第2導電パターンを積層し、
全ての上記プリント配線板個片が、フレキシブルプリント配線板として切り出される配線板領域を有しており、これらの配線板領域が、全体として矩形状に配置された配線板領域群を構成しており、
上記フレキシブルプリント配線板アレイの外周縁に沿って配置される複数の上記プリント配線板個片が、上記配線板領域群を取り囲む外縁領域を有しており、
上記外縁領域において、上記第2導電パターンが全体として繋がった環状に設けられており、
上記プリント配線板個片が、その外周縁の対角線によって定められる基準直線において、上記第1導電パターン及び上記第2導電パターンの少なくも一方と交差する領域の合計長さが、上記第1導電パターン及び上記第2導電パターンと交差しない領域の合計長さよりも大きいフレキシブルプリント配線板アレイの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルプリント配線板アレイ、その製造方法及びフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、様々な電子機器の回路を構成するために広く利用されている。近年、電子機器の小型化に伴い、フレキシブルプリント配線板の小型化及びその配線密度の増大が著しい。
【0003】
このような小型のフレキシブルプリント配線板は、一般的に、大判シート状の絶縁性基材の表面に最終的に得ようとする小型のフレキシブルプリント配線板の所望の導電パターンを配列して形成したフレキシブルプリント配線板アレイを作成する。このフレキシブルプリント配線板アレイから各フレキシブルプリント配線板を切り出すことによって、フレキシブルプリント配線板が大量生産される(特開2018-67694号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-67694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記フレキシブルプリント配線板アレイでは、各フレキシブルプリント配線板に対応してこの各配線板を含む個片が複数配列されている。このフレキシブルプリント配線板アレイでは、通常、被覆層形成用シートが導電パターンを挟んでベースフィルムに重ね合わされ、加熱されることで被覆層(カバーレイとも呼ばれる)が形成される。この被覆層により導電パターンが被覆される。
【0006】
このように加熱されると、フレキシブルプリント配線板アレイが曲がるといった不具合が発生するおそれがある。この曲がりが発生すると、フレキシブルプリント配線板アレイのハンドリング性が低下する。ひいては、切り出したフレキシブルプリント配線板にも曲がりが発生し、そのハンドリング性が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、ハンドリング性に優れるフレキシブルプリント配線板アレイ、その製造方法及びフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板アレイは、複数のプリント配線板個片が配列されているフレキシブルプリント配線板アレイであって、上記プリント配線板個片が、ベースフィルムと、上記ベースフィルムに積層されている第1導電パターンと、上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターンと電気的に接続されていない第2導電パターンとを備える。
【0009】
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板アレイの製造方法は、複数のプリント配線板個片が配列されているフレキシブルプリント配線板アレイの製造方法であって、ベースフィルムに第1導電パターンと、この第1導電パターンと電気的に接続されない第2導電パターンとを積層する工程を備え、上記積層工程では、上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に、上記第2導電パターンを積層する。
【0010】
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板は、ベースフィルムと、上記ベースフィルムに積層されている第1導電パターンと、上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターンと電気的に接続されていない第2導電パターンとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板アレイ、本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法によって得られるフレキシブルプリント配線板アレイ、及び本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板は、ハンドリング性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第一実施形態のフレキシブルプリント配線板アレイを示す模式的平面図である。
図2図2は、図1のフレキシブルプリント配線板アレイにおける一の角部のプリント配線板個片及びその周辺を示す模式的部分拡大平面図である。
図3図3は、図2のAA矢視端面図である。
図4図4は、基準直線で切断したプリント配線板個片の模式的部分拡大端面図である。
図5図5は、第二実施形態のフレキシブルプリント配線板アレイにおける一の角部のプリント配線板個片及びその周辺を示す模式的部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板アレイは、複数のプリント配線板個片が配列されているフレキシブルプリント配線板アレイであって、上記プリント配線板個片が、ベースフィルムと、上記ベースフィルムに積層されている第1導電パターンと、上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターンと電気的に接続されていない第2導電パターンとを備える。
【0014】
ここで、上記した従来のフレキシブルプリント配線板アレイでは、ベースフィルムに第1導電パターンのみが積層されている。この場合、ベースフィルムにおける第1導電パターンが積層されている領域は、この第1導電パターンに保持されているため、加熱されても曲がり難い。これに対し、ベースフィルムにおける第1導電パターンが積層されていない領域は、この第1導電パターンに保持されていないため、加熱されると曲がり易い。一方、回路設計の要請により、ベースフィルムにおける第1導電パターンの配置が制限されるため、その配置を自由に変更し難い。このため、上記従来技術では、ベースフィルムが曲がらないよう第1導電パターンを配置することは困難である。
【0015】
この点に関し、当該フレキシブルプリント配線板アレイでは、各プリント配線板個片が第1導電パターンに加えて第2導電パターンを有する。よって、当該フレキシブルプリント配線板アレイでは、アレイ全体において、ベースフィルムの異なる位置に第1導電パターンと第2導電パターンとが積層されている。このように、ベースフィルムにおける第1導電パターンが積層されていない領域に第2導電パターンを積層することで、この第2導電パターンが積層されている領域は、第2導電パターンにより保持されるため、上記のように加熱されても曲がり難くなる。しかも、第2導電パターンは、第1導電パターンと電気的に接続されていないため、第1導電パターンの機能を阻害し難い。加えて、このように第1導電パターンの機能を阻害し難いため、第1導電パターンに関係なく第2導電パターンを設計することが可能となる。すなわち、曲がり難くするうえでの設計の自由度を高くすることができる。よって、プリント配線板個片が第1導電パターンに加えて第2導電パターンを有することで、ベースフィルムにおける曲がり易い部分が少なくなり、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、その曲がりが抑制されたものとなる。従って、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、ハンドリング性に優れる。
【0016】
上記プリント配線板個片の中心を通る基準直線において、上記第1導電パターン及び第2導電パターンの少なくとも一方と交差する領域の合計長さが、上記第1導電パターン及び第2導電パターンと交差しない領域の合計長さより大きいとよい。
【0017】
このように、上記基準直線において第1導電パターン及び第2導電パターンの少なくとも一方と交差する領域の合計長さが第1導電パターン及び第2導電パターンと交差しない領域の合計長さより大きいことで、当該フレキシブルプリント配線板アレイにおける曲がり易い領域をより少なくすることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、その曲がりがより抑制されたものとなる。従って、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、よりハンドリング性に優れる。
【0018】
上記プリント配線板個片が外縁領域を有していてもよい。ここで、プリント配線板個片が外縁領域を有する場合において、プリント配線板個片が第1導電パターンのみを有する場合には、この外縁領域の分だけベースフィルムにおける曲がり易い部分が多くなり、曲がりが生じ易い。しかし、プリント配線板個片が外縁領域を有する場合において、プリント配線板個片が第1導電パターンに加えて第2導電パターンを有することで、当該フレキシブルプリント配線板アレイにおける曲がり易い部分が少なくなる。よって、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、その曲がりが抑制されたものとなる。従って、上記プリント配線板個片が外縁領域を有することで、上記当該フレキシブルプリント配線板アレイの効果がより顕著となる。
【0019】
上記第2導電パターンが、ベタパターン又は格子状パターンであるとよい。このように、第2導電パターンがベタパターン又は格子状パターンであることで、ベースフィルムにおける第1導電パターンが積層されていない領域において、より広範囲に第2導電パターンを積層し易くなる。よって、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、その曲がりがより抑制されたものとなる。従って、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、よりハンドリング性に優れる。
【0020】
上記第1導電パターンの一部が、コイル部を構成していてもよい。ここで、通常、コイル部は平面視で湾曲した形状を有するため、第1導電パターン同士の間、及び第1導電パターン内(コイル部の内側)にて第1導電パターンが積層されていない領域が比較的大きくなり易い。すなわち、ベースフィルムにおける曲がり易い部分が比較的大きくなり易い。このため、上記プリント配線板個片が第1導電パターンのみを有する場合には、曲がりが生じ易い。しかし、このように曲がり易い場合であっても、上記第1導電パターンが積層されていない領域に第2導電パターンを積層することで、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、その曲がりが抑制されたものとなる。従って、第1導電パターンの一部がコイル部を構成していることで、当該フレキシブルプリント配線板アレイの効果がより顕著となる。
【0021】
上記プリント配線板個片が、上記第1導電パターン及び第2導電パターンを被覆する被覆層をさらに備えるとよい。ここで、通常、上述したように、被覆層を形成する際には加熱を伴うため、ベースフィルムが曲がり易い。このため、上記プリント配線板個片が第1パターンのみを有する場合には、曲がりが生じ易い。しかし、このように曲がりが生じ易い場合であっても、上述したように、第2導電パターンが設けられることで、当該フレキシブルプリント配線板アレイの加熱時の曲がりを抑制することができる。従って、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、被覆層を備えていることで、その効果がより顕著となる。
【0022】
また、本開示の異なる態様に係るフレキシブルプリント配線板アレイの製造方法は、複数のプリント配線板個片が配列されているフレキシブルプリント配線板アレイの製造方法であって、ベースフィルムに第1導電パターンと、この第1導電パターンと電気的に接続されない第2導電パターンとを積層する工程を備え、上記積層工程では、上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に、上記第2導電パターンを積層する。
【0023】
当該フレキシブルプリント配線板アレイの製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板アレイを製造することができる。すなわち、ハンドリング性に優れるフレキシブルプリント配線板アレイを製造することができる。
【0024】
また、本開示の異なる態様に係るフレキシブルプリント配線板は、ベースフィルムと、上記ベースフィルムに積層されている第1導電パターンと、上記ベースフィルムにおける上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターンと電気的に接続されていない第2導電パターンとを備える。
【0025】
当該フレキシブルプリント配線板は、上述した当該フレキシブルプリント配線板アレイと同様、第2導電パターンを備えることで、ベースフィルムにおける第1導電パターンも第2導電パターンも形成されていない領域が少なくなるため、曲がりが抑制されたものとなる。よって、当該フレキシブルプリント配線板は、ハンドリング性に優れる。
【0026】
ここで、「第1導電パターン」とは、通電されることで配線としての機能を発揮するものを意味する。「第2導電パターン」とは、通電されず、配線としての機能を発揮しないものを意味する。
【0027】
「プリント配線板個片」とは、切り出されることでフレキシブルプリント配線板となる領域(以下、「配線板領域」という場合がある。)を含むようフレキシブルプリント配線板アレイを区画する部分を意味する。この「プリント配線板個片」は、上記配線板領域に加えて外縁領域を有していてもよい。「外縁領域」とは、上記配線板領域の全部又は一部を囲む領域を意味する。
【0028】
「第1導電パターンの積層領域」とは、第1導電パターンの配線が積層されている領域を意味する。「プリント配線板個片の中心」とは、プリント配線板個片の外周縁の幾何中心を意味する。すなわち、プリント配線板個片内の点であって、この点を通る全ての直線において、この直線と上記外周縁との2つの交点間の距離がこの点によって2等分されるような点を意味する。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係るフレキシブルプリント配線板アレイ、その製造方法、及びフレキシブルプリント配線板の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
【0030】
[第一実施形態]
〔フレキシブルプリント配線板アレイ〕
図1に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板アレイ1は、配列されている複数のプリント配線板個片3を有する。当該フレキシブルプリント配線板アレイ1は、典型的には、平面視矩形状である。当該フレキシブルプリント配線板アレイ1は、複数のプリント配線板個片3に区画されている。複数のプリント配線板個片3は、平面視で規則的に、隙間なく互いに接するよう配列されている。当該フレキシブルプリント配線板アレイ1には、通常、十数個から数百個のプリント配線板個片3が配置されている。図1では、個々のプリント配線板個片3が占める領域の理解を助けるため、3つのプリント配線板個片3について、その各領域を太線で囲んで例示する。
【0031】
〔プリント配線板個片〕
各プリント配線板個片3は、図4も併せて参照すれば明らかなように、ベースフィルム5と、上記ベースフィルム5に積層されている第1導電パターン9と、上記ベースフィルム5における第1導電パターン9の積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターン9と電気的に接続されていない第2導電パターン11とを備える。
【0032】
プリント配線板個片3は、フレキシブルプリント配線板として切り出される領域である配線板領域20を含んでいる。図1及び図2に示す態様では、プリント配線板個片3は平面視矩形状である。切り取られるフレキシブルプリント配線板(すなわち、配線板領域20)も、平面視矩形状である。全てのプリント配線板個片3は、ベースフィルム5を介して互いに繋がっている。プリント配線板個片3は、配線板領域20の全部又は一部を囲む外縁領域7を有していてもよい。
【0033】
図1及び図2に示す態様では、複数のプリント配線板個片3のうち、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1(すなわち、ベースフィルム5全体)の外周縁に沿って配置された複数の第1プリント配線板個片3aは、図1のハッチング(網掛け)及び図3に示すように、外縁領域7を有する。すなわち、この第1プリント配線板個片3aは、配線板領域20と外縁領域7とを有する。なお、図3において、符号Cは配線板領域20が切り取られる際の切り取り線(仮想線)を示す。
【0034】
このうち、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の角部に位置する4つの第1プリント配線板個片3aでは、外縁領域7が配線板領域20の外周縁の2辺に接している。この第1プリント配線板個片3aが占める領域を、図1の左上に位置する第1プリント配線板個片3aを太線で囲むことで例示する。また、外縁領域7を、この太線で囲んだ第1プリント配線板個片3aに、ハッチング(網掛け線)で例示する。
【0035】
これら角部の4つの第1プリント配線板個片3aの間に位置する複数の第1プリント配線板個片3aでは、外縁領域7が配線板領域20の外周縁の1辺に接している。この第1プリント配線板個片3aが占める領域を、図1の左上から下に向かって3番目に位置する第1プリント配線板個片3aを太線で囲むことで例示する。また、外縁領域7を、この太線で囲んだ第1プリント配線板個片3aに、ハッチング(網掛け線)で例示する。
【0036】
一方、複数のプリント配線板個片3のうち、第1プリント配線板個片3aよりも内側に配置された複数の第2プリント配線板個片3bは、外縁領域を有しておらず、配線板領域20のみで構成されている。この第2プリント配線板個片3bが占める領域を、図1の左上から下に向かって2番目、さらに右に向かって4番目に位置する第2プリント配線板個片3bを太線で囲むことで例示する。
【0037】
図1に示すように、第1プリント配線板個片3a及び第2プリント配線板個片3bの配線板領域20を全て合せると、全体として1つの矩形状の配線板領域群となる。第1プリント配線板個片3aの外縁領域7を全て合わせると、上記配線板領域群を取り囲む1つの環状の外縁領域群となる。
【0038】
第1プリント配線板個片3aでは、図3の右側及び左側に例示するような切り取り線Cに沿って配線板領域20を切り出すことで、外縁領域7を除去すると共に、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。第2プリント配線板個片3bでは、図3の左側に例示するような切り取り線Cに沿って第2プリント配線板個片3bをそのまま切り出すことで、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。なお、「切り出す」ことには、切り抜くことも含まれる。
【0039】
プリント配線板個片3の平面視での長手方向及び短手方向の長さは特に限定されず、プリント配線板個片3に配置される第1導電パターン9の大きさ、第2導電パターン11の大きさ、外縁領域7の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0040】
<ベースフィルム>
ベースフィルム5は、絶縁性を有している。ベースフィルム5は、シート状に形成されている。ベースフィルム5は、矩形状である。全体として1枚のベースフィルム5が、プリント配線板個片3に対応して区画されている。ベースフィルム5の全体形状は、矩形状であり、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の形状と一致する。
【0041】
ベースフィルム5の材質としては、例えばポリイミド、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を主成分として有する可撓性の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、絶縁性及び機械的強度に優れることから、ポリイミドを主成分とする樹脂が特に好ましい。なお、「主成分」とは、質量換算で最も含有量が大きい成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
【0042】
ベースフィルム5の厚さは、切り出されるフレキシブルプリント配線板の用途等によって設定されるものであり特に限定されないが、例えばベースフィルム5の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、12μmがより好ましい。一方、ベースフィルム5の平均厚さの上限としては、2mmが好ましく、1.6mmがより好ましい。ベースフィルム5の平均厚さが上記下限に満たない場合、ベースフィルム5ひいては当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の強度が不十分となるおそれがある。逆に、ベースフィルム5の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1が不必要に厚くなるおそれがある。
【0043】
ベースフィルム5における平面視で長手方向の平均長さの下限としては、30cmが好ましく、50cmがより好ましい。一方、上記長手方向の平均長さの上限としては、150cmが好ましく、100cmがより好ましい。上記長手方向の平均長さが上記下限に満たない場合、プリント配線板個片3の数量が減少し、その生産効率が不十分となるおそれがある。逆に、上記長手方向の平均長さが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の製造設備のコストが過大となるおそれがある。
【0044】
ベースフィルム5における平面視で短手方向の平均長さの下限としては、10cmが好ましく、20cmがより好ましい。一方、上記短手方向の平均長さの上限としては、120cmが好ましく、80cmがより好ましい。上記短手方向の平均長さが上記下限に満たない場合、プリント配線板個片3の数量が減少し、その生産効率が不十分となるおそれがある。逆に、上記短手方向の平均長さが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の製造設備のコストが過大となるおそれがある。
【0045】
<第1導電パターン>
第1導電パターン9は、導電材料によって所定の形状に形成されている。第1導電パターン9は、通電され、配線を構成するものである。図1及び図2に示す態様では、図3に示すように、第1導電パターン9がベースフィルム5の一方の面に積層されているが、その他、ベースフィルム5の両方の面に積層されていてもよい。図1及び図2に示す態様では、プリント配線板個片3が複数(ここでは4つ)の第1導電パターン9を有しているが、プリント配線板個片3における第1導電パターン9の数量は1以上であればよく、特に限定されない。プリント配線板個片3が複数の第1導電パターン9を有している場合、これら複数の第1導電パターン9同士は互いに電気的に接続されている。
【0046】
第1導電パターン9の材質としては、例えば銅、金、銀、ニッケル、鉄等の金属、及びそれらを含む合金等が挙げられるが、これらのうち比較的安価で導電率が大きい銅が好ましい。
【0047】
第1導電パターン9の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、350μmが好ましく、280μmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たない場合、第1導電パターン9が損傷し易くなるおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超える場合、第1導電パターン9の厚さのばらつきが大きくなり過ぎるおそれがある。
【0048】
第1導電パターン9の平面視での形状は、その機能に応じて適宜設定され、特に限定されない。
【0049】
第1導電パターン9の平面視での大きさは、回路設計に基づいて適宜設定されるが、回路設計上許容されるのであれば、例えば後述する長さの条件を満たすように適宜設定されることが好ましい。
【0050】
第1導電パターン9は、配線としての機能以外の機能を有していてもよい。例えば、図2に示すように、第1導電パターン9の一部がコイル部を構成していてもよい。このコイル部は、平面コイル部である。コイル部の形状としては、図2に示すような楕円形状の他、円形状等が挙げられる。
【0051】
コイル部は、通常、平面視で湾曲した形状を有する。このため、第1導電パターン9同士の隙間、及び第1導電パターン9内(コイル部の内側)の隙間が比較的大きい。すなわち、ベースフィルムにおける曲がり易い部分が比較的大きい。よって、この隙間に第2導電パターン11が配置されていない場合には、ベースフィルム5が加熱等によって曲がり易い。しかし、第1導電パターン9が積層されていない領域に第2導電パターン11が配置されていることで、上記コイル部の形状に起因してベースフィルム5が曲がり易い場合でも、その曲がりを抑制することができる。よって、第1導電パターン9の一部がコイル部を構成している場合、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の効果がより顕著となる。
【0052】
<第2導電パターン>
第2導電パターン11は、導電材料によって所定の形状に形成されている。第2導電パターン11は、通電されず、配線を構成していない。すなわち、第2導電パターン11は、電気的機能を有しない。この第2導電パターン11は、ベースフィルム5における第1導電パターンの積層領域以外の領域に積層され、第1導電パターン9と電気的に接続されていない。
【0053】
図1及び図2に示す態様では、図3に示すように、ベースフィルム5の第1導電パターン9が積層されている面における第1導電パターン9の積層領域以外の領域に第2導電パターン11が積層されている。しかし、その他、ベースフィルム5の第1導電パターン9が積層されていない面における第1導電パターン9の積層領域以外の領域に第2導電パターン11が積層されていてもよい。この場合において、第2導電パターン11が、ベースフィルム5を挟んで第1導電パターン9と部分的に重なっていてもよい。
【0054】
図1及び図2に示す態様では、プリント配線板個片3が複数の第2導電パターン11を有している。具体的には、第1プリント配線板3aが6つの第2導電パターン11、第2プリント配線板3bが5つの第2導電パターン11を有している。しかし、プリント配線板個片3における第2導電パターン11の数量は、1以上であればよく、特に限定されない。
【0055】
図1及び図2では、全ての第1プリント配線板個片3aの外縁領域7に配置された第2導電パターン11を合わせると、全ての配線板領域20を取り囲み、全体として繋がった環状の導電パターンとなる。すなわち、隣接するプリント配線板個片3aに跨って第2導電パターン11が形成されている。この場合、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1からフレキシブルプリント配線板を切り出す際、上記環状の導電パターンが切断される。
【0056】
第2導電パターン11の材質としては、例えば銅、金、銀、ニッケル、鉄等の金属、及びそれらを含む合金等が挙げられるが、これらのうち比較的安価で導電率が大きい銅が好ましい。
【0057】
第2導電パターン11の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、350μmが好ましく、280μmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たない場合、第2導電パターン11が損傷し易くなるおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超える場合、第2導電パターン11の厚さのばらつきが大きくなり過ぎるおそれがある。
【0058】
第2導電パターン11の平面視での形状は特に限定されず、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の曲がりが抑制されるよう適宜設定される。第2導電パターン11としては、ベタパターン又は格子状パターンが好ましい。例えば図2に示す態様では、第2導電パターン11がベタパターンである。第2導電パターン11がベタパターン又は格子状パターンであることで、ベースフィルム5における第1導電パターン9が積層されていない領域において、より広範囲に第2導電パターン11を積層し易くなる。よって、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1が、その曲がりがより抑制されたものとなる。
【0059】
後述するように、第2導電パターン11を第1導電パターン9と同時に形成することが可能である点を考慮すると、第2導電パターン11の材質及び平均厚さが、第1導電パターン9の材質及び平均厚さと同じであるとよい。
【0060】
第2導電パターン11の平面視での大きさは、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の曲がりが抑制されるよう適宜設定される。この大きさは、例えば後述する長さの条件を満たすように適宜設定されることが好ましい。
【0061】
<プリント配線板個片における第1及び第2の導電パターンの大きさ>
プリント配線板個片3における第2導電パターン11の大きさは、上述したように、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の曲がりが抑制されるように適宜設定されればよい。例えば第2導電パターン11の大きさは、以下のように設定されとよい。すなわち、プリント配線板個片3の中心を通る基準直線において、第1導電パターン9及び第2導電パターン11の少なくとも一方と交差する領域の合計長さM1が、第1導電パターン9及び第2導電パターン11と交差しない領域の合計長さM2より大きいことが好ましい。換言すると、M2に対するM1の比(M1/M2)が0.3超であることが好ましい。上記基準直線は、プリント配線板個片3の中心を通り、このプリント配線板個片3の一端縁と他端縁とを結ぶ直線である。
【0062】
図2に示すように、角部に位置する第1プリント配線板個片3a(例えば図2の右上)では、その中心は、配線板領域20と、この配線板領域20の2辺に接する外縁領域7とを合わせた全領域の外周縁における中心S1であり、上記基準直線として、中心S1を通る基準直線L1を用いる。角部以外の第1プリント配線板個片3a(例えば図2の左上)では、その中心は、配線板領域20と、この配線板領域20の1辺に接する外縁領域7とを合わせた全領域の外周縁における中心S2であり、上記基準直線として、中心S2を通る基準直線L2を用いる。第2プリント配線板個片3b(例えば図2の左下)では、その中心は、配線板領域20に相当する第2プリント配線板個片3bそのものの外周縁における中心S3であり、上記基準直線として、中心S3を通る基準直線L3を用いる。
【0063】
なお、図2に示す態様では、基準直線L1、L2及びL3が、各プリント配線板個片3の外周縁の対角線に相当しているが、各基準直線は対角線以外の直線であってもよい。
【0064】
図4に示すように、上記合計長さM1は、上記基準直線における第1導電パターン9及び第2導電パターン11と交差する領域の長さMxの合計である。上記合計長さM2は、上記基準直線における第1導電パターン9及び第2導電パターン11に交差しない領域の長さMyの合計である。
【0065】
上記のように、各プリント配線板個片3において上記合計長さM1が上記合計長さM2より大きいことで、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1における曲がり易い領域を、より少なくすることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1が、その曲がりがより抑制されたものとなる。このように曲がりがより抑制されるという観点から、M2がM1より大きいほどよい。例えば、上記比(M1/M2)の下限としては、0.3超が好ましく、0.5がより好ましい。一方、上記比の上限としては、0.9が好ましい。
【0066】
上記比が上記下限に満たないと、上述の通り、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の曲がりが十分に抑制されないおそれがある。逆に、上記比が上記上限を超えると、第2導電パターン11が第1導電パターン9に接近し過ぎ、両者が電気的に接続されて、第1導電パターン9の機能を低下させるおそれがある。加えて、第1プリント配線板個片3aにおいては、上記比が上記上限を超えると、上記曲がり抑制効果に比して外縁領域7での第2導電パターン11が占める領域が大きくなり過ぎる結果、コストが過大となるおそれがある。
【0067】
〔フレキシブルプリント配線板アレイの製造方法〕
当該フレキシブルプリント配線板アレイ1の製造方法は、ベースフィルム5に第1導電パターン9と、この第1導電パターン9と電気的に接続されない第2導電パターン11とを積層する工程を備える。上記積層工程では、上記ベースフィルム5における上記第1導電パターン9の積層領域以外の領域に、上記第2導電パターン11を積層する。
【0068】
<積層工程>
【0069】
具体的には、積層工程では、ベースフィルム5(全体として1枚のベースフィルム)に、上記プリント配線板個片3に対応して、複数の第1導電パターン9と、この第1導電パターン9と電気的に接続されない複数の第2導電パターン11とを積層する。この積層工程では、各プリント配線板個片3に対応して、上記ベースフィルム5の上記第1導電パターン9の積層領域以外の領域に、上記第2導電パターン11を積層する。
【0070】
ベースフィルム5に第1導電パターン9及び第2導電パターン11を積層する方法として、サブトラクティブ法又はセミアディティブ法を用いることができる。
【0071】
典型的なサブトラクティブ法では、まず、ベースフィルム5におけるプリント配線板個片3が占める全領域に、例えば金属箔の接着、金属の蒸着、金属微粒子の焼結、金属めっき等によって金属層を積層する。次いで、この金属層における所望の第1導電パターン9及び第2導電パターン11に対応する部分を覆うレジストパターンを形成してエッチングすることで、第1導電パターン9及び第2導電パターン11を形成する。
【0072】
上記レジストパターンを形成する際には、第2導電パターン11の配置が、第1導電パターン9と間隔を空け、これと電気的に接続されない配置となるよう、上記レジストパターンを形成する。
【0073】
〔フレキシブルプリント配線板〕
当該フレキシブルプリント配線板は、ベースフィルム5と、上記ベースフィルム5に積層されている第1導電パターン9と、上記ベースフィルム5における上記第1導電パターンの積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターン9と電気的に接続されていない第2導電パターン11とを備える。
【0074】
当該フレキシブルプリント配線板は、上述したように、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1から配線板領域20を切り出す分離工程を経て得られる。
【0075】
〔利点〕
当該フレキシブルプリント配線板アレイ1は、プリント配線板個片3が第1導電パターン9に加えて第2導電パターン11を有することで、ベースフィルム5における曲がり易い部分が少なくなるため、曲がりが抑制されたものとなる。従って、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1は、ハンドリング性に優れる。
【0076】
当該フレキシブルプリント配線板アレイの製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板アレイ1を製造することができる。すなわち、ハンドリング性に優れるフレキシブルプリント配線板アレイ1を製造することができる。
【0077】
当該フレキシブルプリント配線板は、上述した当該フレキシブルプリント配線板アレイ1と同様、第2導電パターン11を有することで、ベースフィルム5における曲がり易い部分が少なくなるため、曲がりが抑制されたものとなる。従って、当該フレキシブルプリント配線板は、ハンドリング性に優れる。
【0078】
[第二実施形態]
本実施形態のフレキシブルプリント配線板アレイ、その製造方法及びフレキシブルプリント配線板では、第1プリント配線板個片及び第2プリント配線板個片の各配線板領域内に位置する第2導電パターンの形状が第一実施形態と異なっている。それ以外の構成は第一実施形態と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0079】
<第2導電パターン>
本実施形態では、プリント配線板個片の配線板領域に位置する第2導電パターンが、格子状パターンである。具体的には、第2導電パターンが、このプリント配線板個片の外周縁に沿うよう形成された格子状パターンである。一方、プリント配線板個片の外縁領域に位置する第2導電パターンは、第一実施形態と同様、ベタパターンである。
【0080】
具体的には、図5に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板アレイ1aでは、第1プリント配線板個片23aの配線板領域20内に位置する第2導電パターン31が、格子状パターンであり、この格子状パターンが、規則的に配列された複数の同じ多角形(格子)を有するよう線状の複数のパターンが互いに交差して形成されている。第2プリント配線板個片23bの配線板領域20内に位置する第2導電パターン31が、第1プリント配線板個片23aと同様、格子状パターンであり、この格子状パターンが、規則的に配列された複数の同じ多角形(格子)を有するよう線状の複数のパターンが互いに交差して形成されている。一方、第1プリント配線板個片23a及び第2プリント配線板個片3bのいずれにおいても、外縁領域7に位置する第2導電パターン31は、第一実施形態の外縁領域7に位置する第2導電パターン11と同じベタパターンである。上記格子状パターンの多角形としては、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等が挙げられる。なお、図5には、上記多角形の一例として、四角形の態様を示す。
【0081】
それ以外の第2導電パターンの構成は第一実施形態の第2導電パターンと同様であるため、説明を省略する。
【0082】
ここで、例えば第1導電パターン9及び第2導電パターン31を被覆する被覆層を形成する際、通常、ベースフィルム5と第1導電パターン9及び上記第2導電パターン31との積層体がその長手方向又は短手方向に沿って搬送される。このとき、上記格子状パターンの各格子が規則的に配列していることで、線状の各パターンの隙間(格子の隙間)でベースフィルム5にかかる張力を吸収することができるため、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aの曲がりがより抑制される。上記格子状パターンにおいては、上記多角形の全ての辺の長さが同じであることが好ましい。すなわち、上記多角形が正多角形であることが好ましい。このように全ての辺の長さが同じであることで、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aの曲がりが更に抑制される。また、第2導電パターン31が上記のような格子状パターンであることで、ベタパターンと比較して、第1導電パターン9の機能への悪影響を低減することができる。
【0083】
本実施形態においても、第一実施形態と同様、プリント配線板個片の中心を通る基準直線において、第1導電パターン9及び上記第2導電パターン31の少なくとも一方と交差する領域の合計長さM1が、第1導電パターン9及び上記第2導電パターン31と交差しない領域の合計長さM2より大きいことが好ましい。
【0084】
〔フレキシブルプリント配線板アレイの製造方法〕
本実施形態では、第一実施形態の第2導電パターン11に代えて上述した第2導電パターン31を積層する。それ以外は第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
〔フレキシブルプリント配線板〕
本実施形態のフレキシブルプリント配線板は、ベースフィルム5と、上記ベースフィルム5に積層されている第1導電パターン9と、上記ベースフィルム5における上記第1導電パターン9の積層領域以外の領域に積層され、上記第1導電パターン9と電気的に接続されていない第2導電パターン31とを備える。
【0086】
当該フレキシブルプリント配線板は、第一実施形態と同様、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aから配線板領域20を切り出す分離工程を経て得られる。
【0087】
〔利点〕
当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aは、上述した第一実施形態と同様、プリント配線板個片が第1導電パターン9に加えて上記第2導電パターン31を有することで、ベースフィルム5における曲がり易い部分が少なくなるため、曲がりが抑制されたものとなる。従って、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aはハンドリング性に優れる。
【0088】
加えて、本実施形態の当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aは、第2導電パターン31が平行線パターンであることで、ベタパターンと比較して、第1導電パターン9の機能への悪影響を低減することができる。また、当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aは、第2導電パターン31がプリント配線板個片の外側縁に対して傾斜している平行線パターンであることで、より曲がりが抑制されたものとなる。
【0089】
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aを製造することができる。
【0090】
当該フレキシブルプリント配線板は、上述した当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aと同様、第2導電パターン31を有することで、ベースフィルム5における曲がり易い部分が少なくなるため、曲がりが抑制されたものとなる。従って、当該フレキシブルプリント配線板は、ハンドリング性に優れる。
【0091】
加えて、上述した当該フレキシブルプリント配線板アレイ1aと同様、当該フレキシブルプリント配線板は、第2導電パターン31が平行線パターンであることで、ベタパターンと比較して、第1導電パターン9の機能への悪影響を低減することができる。また、当該フレキシブルプリント配線板は、第2導電パターン31がプリント配線板個片3の外側縁に対して傾斜している平行線パターンであることで、より曲がりが抑制されたものとなる。
【0092】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0093】
当該フレキシブルプリント配線板アレイにおけるプリント配線板個片が、第1導電パターン及び第2導電パターンを被覆する被覆層(カバーレイ)を有していてもよい。このようにプリント配線板個片が被覆層を有することで、当該フレキシブルプリント配線板アレイの保管、輸送時等に、第1導電パターン及び第2導電パターンが破損等するのを防ぐことができる。また、上述したように、被覆層を形成する際に加熱されても、第2導電パターンが設けられていることで、当該フレキシブルプリント配線板アレイの曲がりを抑制することができる。従って、当該フレキシブルプリント配線板アレイは、被覆層を備えていることで、その効果がより顕著となる。
【0094】
上記プリント配線板個片が上記被覆層を有する場合、当該フレキシブルプリント配線板アレイの製造方法においては、第1導電パターン及び第2導電パターンの積層工程を行った後、これら第1導電パターン及び第2導電パターンに被覆層を被覆する被覆工程を備えればよい。当該フレキシブルプリント配線板も上記と同様、被覆層を有していてもよい。
【0095】
当該フレキシブルプリント配線板アレイとしては、ベースフィルムの一方の面に第1導電パターン及び第2導電パターンが積層されている態様に限られず、ベースフィルムの両方の面に第1導電パターンが積層され、一方の面に第2導電パターンが積層されている態様、ベースフィルムの一方の面に第1導電パターンが積層され、両方の面に第2導電パターンが積層されている態様、ベースフィルムの両方の面に第1導電パターンが積層され、両方の面に第2導電パターンが積層されている態様を採用してもよい。
【0096】
ここで、上記のようにベースフィルムの両面にパターンが積層されている場合においてこれらのパターンが平面視で重なる場合、上記合計長さM1の算出においては、基準直線におけるパターンの重畳部分と交差する領域の長さを加算し、各パターンと交差する領域を二重に加算しない。
【0097】
上記実施形態では、上記外縁領域に位置する第2導電パターンが互いに隣接する外縁領域に跨って形成されている態様を示す。しかし、上記外縁領域に位置する第2導電パターンが互いに隣接する外縁領域に跨って形成されていなくてもよい。この場合、外縁領域に配置された第2導電パターンは互いに繋がっておらず、当該フレキシブルプリント配線板アレイから当該フレキシブルプリント配線板を切り出す際、外縁領域に位置する第2導電パターンは切断されない。
【0098】
上記実施形態では、上記外縁領域に位置する第2導電パターンがベタパターンである態様を示す。しかし、上記外縁領域に位置する第2導電パターンが平行線パターン等の他の形状のパターンであってもよい。また、配線板領域内に位置する第2導電パターンも、ベタパターン及び平行線パターン以外の形状であってもよい。
【0099】
上記実施形態では、当該フレキシブルプリント配線板アレイの外周縁に沿った第1プリント配線板個片が、それぞれ配線板領域の一部を囲む外縁領域を有し、これら外縁領域が環状に形成されている態様を示す。しかし、プリント配線板個片が外縁領域を有する場合において、その外縁領域の態様は特に限定されない。例えば、全てのプリント配線板個片が、各配線板領域の全部を囲む外縁領域をそれぞれ有していてもよい。
【0100】
プリント配線板個片は、上記外縁領域だけでなく上記配線板領域にも、フレキシブルプリント配線板を切り出す際に除去される第2導電パターンを有していてもよい。
【0101】
フレキシブルプリント配線板アレイ、プリント配線板個片、外縁領域、第1導電パターン及び第2導電パターンの形状は、上記実施形態に限定されず、適宜設定されるとよい。
【0102】
当該フレキシブルプリント配線板アレイでは、複数のプリント配線板個片のうち、4つの角部に位置する第1プリント配線板個片のベースフィルムが、その角部が面取りされた形状を有していてもよい。すなわち、ベースフィルム全体として、4つの角部の外周縁が外側に突出しているような湾曲形状に面取りされていてもよい。これに伴って、4つの角部のプリント配線板個片が外縁領域を有する場合、これら4つの角部の第1プリント配線板個片の外縁領域の外周縁が、上記面取りされた形状に形成される。上記ベースフィルムの角部が上記のように湾曲していることで、角部に位置するプリント配線板個片の外縁領域が曲がり難くなる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本開示の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板アレイ、その製造方法によって製造されるフレキシブルプリント配線板アレイ、及びフレキシブルプリント配線板は、ハンドリング性に優れるため、効率的に回路を製造することに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0104】
1,1a フレキシブルプリント配線板アレイ
3 プリント配線板個片
3a 第1プリント配線板個片
3b 第2プリント配線板個片
5 ベースフィルム
7 外縁領域
9 第1導体パターン
11,31 第2導体パターン
20 配線板領域
図1
図2
図3
図4
図5