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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 127
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019185995
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021059092
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 不二夫
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-147380(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202703(JP,U)
【文献】特開2019-010752(JP,A)
【文献】特開2012-162031(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208587(WO,A1)
【文献】特開2019-130711(JP,A)
【文献】特開2007-062156(JP,A)
【文献】特開2016-013681(JP,A)
【文献】特開2019-162746(JP,A)
【文献】特開2009-172797(JP,A)
【文献】特開2012-245702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01ー2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第1インクジェットヘッドと、
前記記録媒体に印画された前記UV硬化型インクを硬化させる第1エネルギー線照射部と、
前記記録媒体を前記第1インクジェットヘッドと前記第1エネルギー線照射部を通過するように搬送させる第1搬送部とを有する第1ユニットと、
UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第2インクジェットヘッドと、
前記記録媒体に印画された前記UV硬化型インクを硬化させる第2エネルギー線照射部と、
前記第1搬送部で搬送された前記記録媒体を受け取り、前記記録媒体を前記第2インクジェットヘッドと前記第2エネルギー線照射部を通過するように搬送させる第2搬送部とを有する第2ユニットと、を備え、
前記第1搬送部と前記第2搬送部のいずれか一方又は双方は、ドラムで構成され、
前記ドラムの回転による前記記録媒体の搬送で、前記記録媒体を前記第1エネルギー線照射部又は前記第2エネルギー線照射部に複数回照射させる
画像形成装置。
【請求項2】
前記第1インクジェットヘッドと前記第2インクジェットヘッドの少なくとも1つは、イエローとマゼンタとシアンのインクを吐出する3組のヘッドを有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1インクジェットヘッドと前記第2インクジェットヘッドの少なくとも1つは、イエローとマゼンタとシアン以外の特定の色のインクを吐出するヘッドを有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1インクジェットヘッドによる前記記録媒体への印画と、前記第2インクジェットヘッドによる前記記録媒体への印画との、いずれか一方の印画を行うモードと、双方の印画を行うモードとを有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1搬送部と前記第2搬送部との間には、前記記録媒体の位置決め部を有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1ユニットは、前記第1インクジェットヘッドにより印画された画像の位置を検出する位置検出部を備え、
前記第2ユニットが前記記録媒体に印画する位置を、前記位置検出部が検出した位置に応じて補正する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
さらに、UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第3インクジェットヘッドと、
前記記録媒体に印画された前記UV硬化型インクを硬化させる第3エネルギー線照射部と、
前記第2搬送部で搬送された前記記録媒体を受け取り、前記記録媒体を前記第3インクジェットヘッドと前記第3エネルギー線照射部を通過するように搬送させる第3搬送部とを有する第3ユニットを備え、
前記第1インクジェットヘッドと前記第2インクジェットヘッドとによる前記記録媒体への印画を行うモードと、前記第2インクジェットヘッドと前記第3インクジェットヘッドとによる前記記録媒体への印画を行うモードとを有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第3搬送部は、ベルト又はローラにより前記記録媒体を搬送する
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1エネルギー線照射部と前記第2エネルギー線照射部の少なくともいずれか一方の近傍には、エネルギー線の漏れ防止のシールド部材が配置される
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第1の印画処理と、
前記記録媒体に印画された前記UV硬化型インクをエネルギー線の照射で硬化させる第1の照射処理と、
前記第1の印画処理と前記第1の照射処理とが行われるように前記記録媒体を搬送させる第1の搬送処理とを行うと共に、
UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第2の印画処理と、
前記記録媒体に印画された前記UV硬化型インクをエネルギー線の照射で硬化させる第2の照射処理と、
前記第1の搬送処理で搬送された前記記録媒体を受け取り、前記第2の印画処理と前記第2の照射処理とが行われるように前記記録媒体を搬送させる第2の搬送処理と、を含み、
前記第1の搬送処理と前記第2の搬送処理のいずれか一方又は双方は、ドラムによる搬送処理であり、
前記ドラムの回転による前記記録媒体の搬送で、前記記録媒体を前記第1の照射処理又は前記第2の照射処理で複数回照射させるようにした
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関し、特にUV(紫外線)硬化型インクを使用した画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙などの記録媒体に画像を印画する画像形成装置として、UV硬化型インクを使用したUV硬化型インクジェット方式の画像形成装置が実用化されている。
このようなUV硬化型インクジェット方式の画像形成装置で記録媒体に印画する場合に、記録媒体の同一面(表面又は裏面)に多層の画像を印画することが行われている。
【0003】
記録媒体の同一面に多層の画像を印画する際には、例えば最も下側の層を白色などの背景色の層とし、その色の層の上に、カラー画像などの所望の色の層を印画する。このように記録媒体の表面に近い側の層を背景色とし、その上に画像の層を重ねるものは、表刷り印刷と称される。
一方、フィルムのような透明な記録媒体に印画する場合には、記録媒体の表面から最も離れた層を背景色とした、いわゆる裏刷り印刷を行うこともある。
【0004】
特許文献1には、記録媒体が搬送されるドラム上に、UV硬化型インクを吐出するヘッドユニットと、そのヘッドユニットで用紙に吐出したインクを硬化させるUV照射部とを複数組配置して、多層の印画を行うようにした記録装置が記載されている。具体的には、特許文献1の図2には、ホワイト、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれの色ごとにヘッドユニットと光源を、円形のドラム上に並べて配置する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-180418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される記録装置は、ドラム上に多数のヘッドと硬化用UV照射部を配置することで、記録媒体に多層の印画を行うことができる。
しかしながら、1つのドラム上に多数のヘッドと硬化用UV照射部を配置したとき、ヘッドを保持するキャリッジ上に多数の部材が配置されるため、キャリッジの重量が増して歪み易くなる。このため、結果的にヘッドによる印画画像が歪んで、画質が劣化してしまうという問題が発生する。
【0007】
また、ドラム上に多数のヘッドと硬化用光源を配置した場合、UV硬化型インクを硬化させるUV照射部を、他の色のヘッドと十分な距離だけ離すことが困難になる。UV照射部とヘッドが近接していると、UV照射部からのUVが隣接したヘッド(下流側のヘッド)に漏れて、下流側のヘッドのインクを硬化させて、ヘッドの吐出不良を起こしてしまう。通常、UV硬化型インクを硬化させる光源(エネルギー線照射部)は、非常に強いエネルギーのUVを照射する必要があり、隣接して配置されたヘッドへのUVの漏れを完全に防ぐことは困難であった。
【0008】
本発明は、UV硬化型インクを使った多層の印画を、画質の劣化やヘッドの不良を起こすことなく良好に行うことができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、第1ユニットと第2ユニットとを備える。
第1ユニットは、UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第1インクジェットヘッドと、記録媒体に印画されたUV硬化型インクを硬化させる第1エネルギー線照射部と、記録媒体を第1インクジェットヘッドと第1エネルギー線照射部を通過するように搬送させる第1搬送部とを有する。
第2ユニットは、UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第2インクジェットヘッドと、記録媒体に印画されたUV硬化型インクを硬化させる第2エネルギー線照射部と、第1搬送部で搬送された記録媒体を受け取り、記録媒体を第2インクジェットヘッドと第2エネルギー線照射部を通過するように搬送させる第2搬送部とを有する。
ここで、第1搬送部と第2搬送部のいずれか一方又は双方は、ドラムで構成され、ドラムの回転による記録媒体の搬送で、記録媒体を第1エネルギー線照射部又は第2エネルギー線照射部に複数回照射させるようにした。
【0010】
また、本発明の画像形成方法は、UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる
第1印画処理と、記録媒体に印画されたUV硬化型インクをエネルギー線の照射で硬化さ
せる第1照射処理と、第1印画処理と第1照射処理とが行われるように記録媒体を搬送さ
せる第1搬送処理と、UV硬化型インクを記録媒体に吐出させて印画させる第2印画処理
と、記録媒体に印画されたUV硬化型インクをエネルギー線の照射で硬化させる第2照射
処理と、第1搬送処理で搬送された記録媒体を受け取り、第2印画処理と第2照射処理と
が行われるように記録媒体を搬送させる第2搬送処理と、を含む。
ここで、第1搬送処理と第2搬送処理のいずれか一方又は双方は、ドラムによる搬送処理であり、ドラムの回転による記録媒体の搬送で、記録媒体を第1の照射処理又は第2の照射処理で複数回照射させるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、UV硬化型インクを使って記録媒体上に複数の層の印画を行う際に、個別の搬送時にそれぞれの層の印画と硬化が行われるので、適切なヘッドやエネルギー線照射部の配置が可能になる。したがって、記録媒体上に複数の層の印画を行っても、画質の劣化を防ぐことができ、さらにヘッドの吐出不良も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態例による画像形成装置の例を示す構成図である。
図2】本発明の一実施の形態例による制御構成の例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態例による画像形成処理の流れを示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施の形態例による画像形成装置の例(ロール紙の例)を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。
【0014】
[画像形成装置の構成]
図1は、本例の画像形成装置の例を示す。
本例の画像形成装置は、記録媒体である用紙PにUV硬化型インクを使って印画を行うUV硬化型インクジェットプリンタである。図1は、用紙Pが搬送される経路を横から見た図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置は、給紙部11にセットされた用紙Pが、第1ユニット1と第2ユニット2と第3ユニット3を通過して、排紙部17に搬送される。各ユニット1,2,3には、インクジェットヘッド31,33~36,38が配置されており、それぞれのインクジェットヘッド31,33~36,38からUV硬化型インクが吐出されて用紙Pに印画が行われる。
【0016】
第1ユニット1は、2つのローラ12a,12bに架け渡されたベルト12cで用紙Pを搬送する第1搬送部12を備える。そして、給紙部11に用意された用紙吸着部11aで、1枚ずつ用紙Pが第1搬送部12に送られる。第1搬送部12で用紙Pが搬送される経路の途中には、第1インクジェットヘッド31と第1エネルギー線照射部32と位置検出部18とが順に配置される。
【0017】
第1インクジェットヘッド(第1ホワイト用ヘッド)31は、ホワイト(白色)のUV硬化型インクを用紙Pに吐出して印画を行う。なお、第1インクジェットヘッド31に装填されるインクがホワイトであるのは一例であり、表刷り又は裏刷りで背景となる色のインクであれば、いずれの色のインクでもよい。
第1エネルギー線照射部32は、エネルギー線(UV)を用紙Pに照射し、UV硬化型インクを硬化させる。第1エネルギー線照射部32の前後には、第1エネルギー線照射部32からのエネルギー線の漏れ防止のためのシールド部材32a,32bが隣接して配置されている。
位置検出部18は、第1搬送部12により搬送された用紙Pに画像が印画された位置を検出する。
【0018】
第1ユニット1の第1搬送部12でローラ12bの箇所まで搬送された用紙Pは、ローラ13を介してドラム20に渡される。ローラ13にはチャッキング部13aが配置されている。また、ドラム20にも複数箇所にチャッキング部21,22,23が配置され、第1搬送部12から第2ユニット2のドラム20に用紙Pが送られる。各チャッキング部13a,21,22,23は、用紙Pと搬送する際の用紙の位置決め部として機能する。
【0019】
ドラム20は、円形の用紙搬送部(第2搬送部)として機能し、用紙Pが搬送されるドラム20の表面に、第2インクジェットヘッド33,34,35,36と、第2エネルギー線照射部37とが順に配置される。これらの第2インクジェットヘッド33,34,35,36と、第2エネルギー線照射部37と、ドラム(第2搬送部)20で、第2ユニット2が構成される。
【0020】
第2インクジェットヘッド(イエロー用ヘッド)33は、イエローのUV硬化型インクを用紙Pに吐出する。第2インクジェットヘッド(マゼンタ用ヘッド)34は、マゼンタのUV硬化型インクを用紙Pに吐出する。第2インクジェットヘッド(シアン用ヘッド)35は、シアンのUV硬化型インクを用紙Pに吐出する。第2インクジェットヘッド(シアン用ヘッド)36は、黒のUV硬化型インクを用紙Pに吐出する。
【0021】
これらの第2インクジェットヘッド33,34,35で吐出される各色のインクで、用紙Pにカラー画像を印画することができ、また第2インクジェットヘッド36で吐出されるインクで、用紙Pに黒の画像を印画することができる。
第2エネルギー線照射部37は、UVを発光して用紙Pに照射し、UV硬化型インクを硬化させる。第2エネルギー線照射部37の前後には、第2エネルギー線照射部37からのエネルギー線の漏れ防止のためのシールド部材37a,37bが隣接して配置される。
【0022】
ドラム20上の第2エネルギー線照射部37を通過した用紙Pは、ローラ14を介して、第3ユニット3の第3搬送部15に送られる。
第3ユニット3は、2つのローラ15a,15bに架け渡されたベルト15cで用紙Pを搬送する第3搬送部15を備える。
第3搬送部15で用紙Pが搬送される経路の途中には、第3インクジェットヘッド38と第3エネルギー線照射部39と検査部16とが順に配置される。
【0023】
第3インクジェットヘッド(第2ホワイト用ヘッド)38は、ホワイト(白色)のUV硬化型インクを用紙Pに吐出して印画を行う。この第3インクジェットヘッド38に装填されるインクがホワイト(白色)であるのは一例である。
第3エネルギー線照射部39は、エネルギー線を用紙Pに照射して、UV硬化型インクを硬化させる。第3エネルギー線照射部39の前後には、第3エネルギー線照射部39からのエネルギー線の漏れ防止のためのシールド部材39a,39bが隣接して配置される。
検査部16は、用紙Pに印画された画像を検査する。
第3ユニット3の第3搬送部15で搬送された用紙Pは、排紙部17に送られる。
【0024】
[画像形成装置の制御構成]
図2は、本例の画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本例の画像形成装置は制御部41を備える。制御部41は、給紙部11と第1搬送部12とドラム(第2搬送部)20と第3搬送部15による1枚ごとの用紙Pの搬送を制御する。なお、これらの搬送部12,15,20による搬送制御には、各チャッキング部13a,14a,21,22,23などによって用紙Pを各搬送部12,15,20に搬送するタイミングの制御も含まれる。
また、本例の画像形成装置は、モード判別部42を有し、モード判別部42が判別した印刷モードに応じて、制御部41が各インクジェットヘッド31,33~36,38の内の印画に使用するインクジェットヘッドを選択する。印刷モードに応じたヘッドの選択処理の詳細は後述する(図3)。
【0025】
各インクジェットヘッド31,33~36,38におけるインクの吐出は、データ入力部43に入力した印画用の画像データに基づいて制御される。すなわち、データ入力部43に入力した印画用の画像データがヘッド駆動部44に供給される。ヘッド駆動部44は、供給される画像データに対応した印画処理が行われるように、各インクジェットヘッド31,33~36,38によるインク吐出を制御する。
【0026】
また、制御部41は、各インクジェットヘッド31,33~36,38でのインク吐出に連動して、第1エネルギー線照射部32、第2エネルギー線照射部37及び第3エネルギー線照射部39でのエネルギー線の照射を制御する。
【0027】
[画像形成装置による印画処理の流れ]
図3は、本例の画像形成装置による印画処理の流れを示すフローチャートである。
本例の画像形成装置で用紙Pに印画する際には、印刷モードとして、3つのモード(第1印刷モード、第2印刷モード、第3印刷モード)を有し、この3つのモードによって使用するヘッドを切り替えるようにした。
【0028】
第1印刷モードは、用紙Pの上に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒によるカラー画像の層のみを形成し、白色の背景色の層は形成しないモードである。
第2印刷モードは、用紙Pの上に、白色の層を形成し、その背景の白色の層の上に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒によるカラー画像の層を形成するモードである。この第2印刷モードは、表刷りが行われるモードに相当する。
第3印刷モードは、用紙Pの上に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒によるカラー画像の層を形成し、そのカラー画像の層の上に、背景の白色の層を形成するモードである。この第3印刷モードは、裏刷りが行われるモードに相当する。第3印刷モードの場合には、用紙Pとして、透明な記録媒体が使用される。
【0029】
図3のフローチャートに基づいて説明すると、まず、制御部41は、給紙部11から第1搬送部12に用紙Pを搬送させる(ステップS11)。ここで、制御部41は、モード判別部42で判別した現在の印刷モードが、背景色の白がある印刷モードか否かを判断する(ステップS12)。
ステップS12で、背景色の白がない印刷モードであると判断したとき(ステップS12のNO)、つまり上述した第1印刷モードであるとき、第1ユニット1で印画処理を行わず、制御部41の制御で、第2ユニット2のドラム20に配置された第2インクジェットヘッド33~36で用紙Pにインクを吐出させる印画処理を行う(ステップS13)。
【0030】
その後、第2エネルギー線照射部37で用紙Pにエネルギー線を照射し、インクを硬化させる(ステップS14)。インクが硬化した用紙Pは、第2ユニット2のドラム20から第3ユニット3の第3搬送部15に送り、第3搬送部15による搬送で排紙部17から排紙させる(ステップS15)。
【0031】
また、ステップS12で、背景色の白がある印刷モードであると判断したとき(ステップS12のYES)、制御部41は、白色の層を後に印画するモードか否か、つまり第3印刷モードか否かを判断する(ステップS16)。
ステップS16で、白色の層を後に印画するモードでないと判断したとき(ステップS16のNO)、つまり第2印刷モードであると判断したとき、制御部41は、第1ユニット1の第1インクジェットヘッド31での白色の層の印画処理を行う(ステップS17)。
【0032】
その後、第1エネルギー線照射部32で用紙Pにエネルギー線を照射する照射処理を行い、インクを硬化させる(ステップS18)。インクが硬化した用紙Pは、第1ユニット1の第1搬送部12から第2ユニット2のドラム20に搬送される。
そして、制御部41の制御で、第2ユニット2のドラム20に配置された第2インクジェットヘッド33~36で、用紙Pの白色の層の上にインクを吐出させる印画処理が行われる(ステップS19)。なお、ステップS19で第2インクジェットヘッド33~36により印画を行う際には、位置検出部18が検出した白色の層の位置に応じて、印画する位置を補正する。但し、白色の層が用紙Pの全面である場合には、この補正は必要ない。
【0033】
そして、第2エネルギー線照射部37で用紙Pにエネルギー線を照射する照射処理を行い、インクを硬化させる(ステップS20)。インクが硬化した用紙Pは、第2ユニット2のドラム20から第3ユニット3の第3搬送部15に送られ、第3搬送部15による搬送で排紙部17から排紙される(ステップS15)。
【0034】
また、ステップS16で、白色の層を後に印画するモードであると判断したとき(ステップS16のYES)、つまり第3印刷モードであると判断したとき、制御部41は、第1ユニット1で印画処理を行わず、第2ユニット2のドラム20に配置された第2インクジェットヘッド33~36で用紙Pにインクを吐出させる印画処理を行う(ステップS21)。
【0035】
その後、第2エネルギー線照射部37で用紙Pにエネルギー線を照射し、インクを硬化させる(ステップS22)。インクが硬化した用紙Pは、第2ユニット2のドラム20から第3ユニット3の第3搬送部15に送られ、第3ユニット3の第3インクジェットヘッド38での白色の層の印画処理が行われる(ステップS23)。
【0036】
その後、第3エネルギー線照射部39で用紙Pにエネルギー線を照射し、インクを硬化させる(ステップS24)。インクが硬化した用紙Pは、第3搬送部15による搬送で排紙部17から排紙される(ステップS15)。
【0037】
以上説明したように、本例の画像形成装置では、背景の白色の層を形成しない第1印刷モードでの印画処理と、表刷りで背景を白色とした第2印刷モードでの印画処理と、裏刷りで背景を白色とした第3印刷モードでの印画処理とを選択的に実行することができる。
ここで、背景色である白色の層の印画を行う第1ユニット1や第3ユニット3は、カラー画像の印画を行う第2ユニット2のドラム20から離れた箇所に設置されるため、ドラム20の周囲には、カラー画像を印画する第2インクジェットヘッド33~36と第2エネルギー線照射部37のみを配置すればよい。したがって、第2インクジェットヘッド33~36などを保持する機構を比較的小型で軽量に構成することができ、第2インクジェットヘッド33~36を保持する機構が歪むことがなく、画質劣化の要因を排除した良好な印画を行うことができる。
【0038】
また、各ユニット1,2,3のエネルギー線照射部32,37,39を、各インクジェットヘッド31,33~36,38から十分な距離だけ離して配置することができる。したがって、エネルギー線照射部32,37,39からのエネルギー線が、隣接して配置されたヘッド31,33~36,38に漏れることを極力阻止することができ、ヘッド31,33~36,38の詰まりを防止できる。特に、第2ユニット2がドラム20を備えることで、第1ユニット1のエネルギー線照射部32からのUVや第3ユニット3のエネルギー線照射部39からのUVが、第2ユニット2側に届きにくい配置であり、UVの漏れ低減の効果が非常に高い。
【0039】
なお、それぞれのエネルギー線照射部32,37,39には、隣接してシールド部材32a,32b,37a,37b,39a,39bが配置されるため、この点からもヘッド31,33~36,38の詰まりを防止することができる。
【0040】
[ロール状の記録媒体を使用する例]
上述した図1に示す画像形成装置では、1枚ごとの用紙Pに印画する構成としたが、ロール紙に印画する画像形成装置を、図1の例と同様に構成してもよい。
図4は、ロール紙51を使った画像形成装置の構成を示す。
図4に示す画像形成装置は、供給側ロール52から引き出されたロール紙51を、第1ユニット1内を直線状に搬送させた後、第2ユニット2に送って、ドラム20に巻き付ける。さらに、ドラム20から引き出されたロール紙51は、第3ユニット3に送って、第3ユニット内で直線状に搬送させ、巻取側ロール53に巻き取らせる。
ドラム20の入口側にローラ54を配置し、ドラム20の出口側にはローラ55を配置する。
【0041】
この図4に示すようにロール紙51を搬送する構成とした上で、各ユニット1,2,3のインクジェットヘッド31,33,34,35,36,38とエネルギー線照射部32,37,39を、図1の例の画像形成装置と同様の配置とする。シールド部材32a,32b,37a,37b,39a,39bについても、各エネルギー線照射部32,37,39の前後に配置する。
なお、図4の例の場合には、位置検出部18を省略しているが、図1と同様に配置してもよい。
【0042】
そして、ロール紙51への印画処理を行う際には、図3のフローチャートで説明したように、印刷モードに応じて、3つのユニット1,2,3のインクジェットヘッド31,33,34,35,36,38を選択的に使用する。
この図4に示す画像形成装置によると、図1の例の画像形成装置と同様の効果を有する。すなわち、画質劣化の要因を排除した良好なロール紙51への印画が行えると共に、ヘッド31,33~36,38の詰まりを防止することができる。
【0043】
[変形例]
なお、図1図4に示す構成では、いわゆる表刷りの2層印刷を行うための第1ユニット1と裏刷りの2層印刷を行うための第3ユニット3の双方を備える構成とした。これに対して、第1ユニット1又は第3ユニット3を省略した画像形成装置としてもよい。
また、第1ユニット1や第3ユニット3が備えるインクジェットヘッド31,38は、ホワイト用のインクジェットヘッドとしたが、それぞれ、その他の色のヘッドとしてもよい。すなわち、第1ユニット1や第3ユニット3が備えるインクジェットヘッド31,38として、予め決められた特定の色のインクを吐出するヘッドであれば、いずれの色のインクでもよい。ここでの特定の色としては、ホワイト(白)、ブラック(黒)やその他の特色(オレンジ、パープル、レッド、金、銀、メタリックカラー等)の色のインクが適用可能である。
また、インクジェットヘッド31,38として、第2ユニット2と同様に複数の色のインクジェットヘッドを配置した構成としてもよい。第1ユニット1や第3ユニット3が複数の色のインクジェットヘッドを備える場合には、第2ユニット2と同様に、イエロー,マゼンタ,シアンなどのカラー画像形成用の原色のインクを備えてもよい。
また、2つのインクジェットヘッド31,38がそれぞれ異なる色でもよい。
また、図1図4に示した第2ユニット2が備えるインクジェットヘッド33,34,35,36の種類も単なる一例を示したものであり、別の種類の組み合わせとしてもよい。例えば黒用の第2インクジェットヘッド36を省略して、イエローとマゼンタとシアンのインクを吐出する3組の第2インクジェットヘッド33,34,35のみを配置してもよい。
【0044】
また、図1図4に示す構成では、3つのユニット1,2,3の内の第1ユニット1と第3ユニット3として、用紙などの記録媒体を直線状に搬送する搬送部を備え、第2ユニット2として、ドラム20による搬送部を備える構成とした。この図1に示す搬送部の構成は一例であり、その他の構成の搬送部を組み合わせるようにしてもよい。例えば、最終段のユニットである第3ユニット3は、プラテンローラーにより用紙を搬送する搬送部としてもよい。
あるいは、図1の例では、第2ユニット2がドラム20を備える構成とし、第1ユニット1と第3ユニット3がベルトによる搬送部を備える構成としたが、第1ユニット1や第3ユニット3についても、ドラムで記録媒体を搬送する構成でもよい。逆に、第2ユニット2が、ベルトによる搬送部を備える構成としてもよい。すなわち、第1ユニット1と第2ユニット2と第3ユニット3のそれぞれが、ベルトによる搬送部を備える構成としてもよい。各ユニット1,2,3がベルトによる搬送部である場合にも、図1の例と同様に、各搬送部のエネルギー線照射部32,37,39は、各ヘッドから離して配置することができ、良好な印画処理が可能である。
あるいは、図1の例とは逆に、第2ユニット2がベルトによる搬送部を備え、第1ユニット1又は第3ユニット3がドラムによる搬送部を備えてもよい。
【0045】
また、上述した実施の形態例の説明では、ドラム20を備えた第2ユニットでは、用紙Pは、各ヘッド33~36や第2エネルギー線照射部37を1回だけ通過させて印画を行うようしたが、用紙Pはドラム20上を複数回転させてから、第3ユニット3に送るようにしてもよい。例えば、第2エネルギー線照射部37でのUVの照射エネルギーが十分でない場合、用紙Pをドラム20上で2回転させて、第2エネルギー線照射部37で2回のUVの照射を行った後、第3ユニット3に送るようにしてもよい。あるいは、各ヘッド33~36での用紙Pへの印画を複数回(複数層)行うようにしてもよい。上述したように、第1ユニット1や第3ユニット3がドラムを備えた場合にも、これらのドラムを備えたユニット内で、用紙Pを2回以上回転させて、用紙PへのUVの照射やインクの吐出処理を2回以上行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…第1ユニット、2…第2ユニット、3…第3ユニット、11…給紙部、12…第1搬送部、12c…ベルト、13,14…ローラ、13a,14a…チャッキング部、15…第3搬送部、15c…ベルト、16…検査部、17…排紙部、18…位置検出部、20…ドラム、20a…ドラム制御部、21,22,23…チャッキング部、31…第1インクジェットヘッド(第1ホワイト用ヘッド)、32…第1エネルギー線照射部、33…第2インクジェットヘッド(イエロー用ヘッド)、34…第2インクジェットヘッド(マゼンタ用ヘッド)、35…第2インクジェットヘッド(マゼンタ用ヘッド)、36…第2インクジェットヘッド(黒用ヘッド)、37…第2エネルギー線照射部、38…第3インクジェットヘッド(第2ホワイト用ヘッド)、39…第3エネルギー線照射部、41…制御部、42…モード判別部、43…データ入力部、44…ヘッド駆動部、51…ロール紙、52…供給側ロール、53…巻取側ロール、54,55…ローラ、P…用紙(記録媒体)
図1
図2
図3
図4