IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置 図1
  • 特許-半導体装置 図2
  • 特許-半導体装置 図3
  • 特許-半導体装置 図4
  • 特許-半導体装置 図5
  • 特許-半導体装置 図6
  • 特許-半導体装置 図7
  • 特許-半導体装置 図8
  • 特許-半導体装置 図9
  • 特許-半導体装置 図10
  • 特許-半導体装置 図11
  • 特許-半導体装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231108BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20231108BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20231108BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01L21/60 301A
H01L25/04 C
H01L23/36 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019191912
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021068781
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-026294(JP,A)
【文献】特開2007-311829(JP,A)
【文献】特開2006-066704(JP,A)
【文献】特開2014-170801(JP,A)
【文献】実開昭54-183287(JP,U)
【文献】特開2016-162960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/60 -21/607
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01L25/00 -25/07
H01L25/10 -25/11
H01L25/16 -25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面に第1主電極を備える半導体チップと、
前記第1主電極にそれぞれ接合される4本以上の複数のワイヤと、
を備え、
前記複数のワイヤがそれぞれ接合される前記第1主電極の複数の被接合領域は、平面視で前記半導体チップの一辺と平行な第1方向と前記第1方向に直交する第2方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される、
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップは裏面に第2主電極をさらに備え、
前記半導体チップの前記第2主電極が接合部材を介して接続される導電板をさらに有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
おもて面に第1主電極を備える半導体チップと、
前記第1主電極にそれぞれ接合される複数のワイヤと、
を備え、
前記複数のワイヤがそれぞれ接合される前記第1主電極の偶数個の複数の被接合領域は、平面視で前記半導体チップの一辺と平行な第1方向と前記第1方向に直交する第2方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置され、
前記複数の被接合領域から選択される2つで一組の被接合領域は、前記おもて面の中心点に対して点対称となるように全組が配置され、
前記複数の被接合領域が前記おもて面の外縁部に4つ配置される、
半導体装置。
【請求項4】
前記複数の被接合領域は、前記おもて面の中央部以外に配置される、
請求項1または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の被接合領域は、前記おもて面の外縁部に配置される、
請求項1または3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記おもて面に前記複数の被接合領域が偶数個、配置される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の被接合領域から選択される2つで一組の被接合領域は、前記おもて面の中心点に対して点対称となるように全組が配置される、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の被接合領域が前記おもて面の外縁部に4つ配置される、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数の被接合領域は、前記一組の被接合領域を結ぶ直線と別の一組の被接合領域を結ぶ直線とが略直交するように配置される、
請求項3または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
さらに、前記複数の被接合領域は、前記おもて面の前記中心点を通過する直線に対して線対称となるように配置されている、
請求項3または7に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体チップは、一辺の長さが7mm以下である、
請求項1または3に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体チップは、ダイオードまたはスイッチング素子を含む、
請求項1または3に記載の半導体装置。
【請求項13】
半導体チップは、炭化シリコンから構成される、
請求項1または3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等の半導体素子を含む半導体チップを備え、半導体チップの表面電極間をアルミニウムや銅等の金属製のワイヤにより電気的に接合して、電力変換装置として利用されている。この際、表面電極に対するワイヤは、できるかぎり表面電極の周縁部、特に、角部に接合するようにしている。これは、半導体チップの通電時に最も温度が高くなる表面電極の中央部を避け、また、ワイヤ同士の接触を避けるためである。さらに、表面電極に対するワイヤの接合面積を増加させることで、ワイヤ一本当たりの発熱を下げると共に、ワイヤと表面電極との間の熱応力の差に起因した破壊の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-066704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体チップのサイズの縮小化が進んでいる。このため、半導体チップの表面電極に対するワイヤの接合面積が制限されて、接合面積を増加させることができない。これに伴い、半導体チップに対するワイヤの接合箇所における導通時の発熱量も増加してしまう。また、半導体チップのサイズが縮小化されると、ワイヤを表面電極の角部に接合しても、ワイヤ同士の間隔が短くなりワイヤの接合箇所同士で熱干渉が生じ、ワイヤ及び半導体チップの表面電極の温度上昇が生じてしまう。これは、ワイヤと表面電極との熱応力の差に起因した破壊の発生に起因し、半導体チップを含む半導体装置の信頼性が低下してしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、ワイヤが接合される半導体チップの表面電極の温度上昇を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、おもて面に第1主電極を備える半導体チップと、前記第1主電極にそれぞれ接合される4本以上の複数のワイヤと、を備え、前記複数のワイヤがそれぞれ接合される前記第1主電極の複数の被接合領域は、平面視で前記半導体チップの一辺と平行な第1方向と前記第1方向に直交する第2方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、ワイヤが接合される半導体チップの表面電極の温度上昇を抑制して、半導体装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】半導体装置の側断面図である。
図2】半導体装置の平面図である。
図3】半導体チップの平面図である。
図4】実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図(その1)である。
図5】実施の形態における半導体チップの表面温度を説明するための図である。
図6】参考例の半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図(その1)である。
図7】参考例の半導体チップの表面温度を説明するための図である。
図8】実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図(その2)である。
図9】参考例の半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図(その2)である。
図10】実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図(その3)である。
図11】実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図(その4)である。
図12】実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図1の半導体装置10において、上側を向いた面を表す。同様に、「上」とは、図1の半導体装置10において、上側の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図1の半導体装置10において、下側を向いた面を表す。同様に、「下」とは、図1の半導体装置10において、下側の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。
【0010】
まず、半導体装置について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、半導体装置の側断面図であり、図2は、半導体装置の平面図である。なお、図1は、図2の一点鎖線α-αに対応する箇所の断面図である。また、図2では、半導体装置10のセラミック回路基板20a,20bのみを記載している。
【0011】
半導体装置10は、図1に示されるように、セラミック回路基板20a,20bと、セラミック回路基板20a,20bがはんだ(図示を省略)を介して設けられた放熱板60と、を有している。セラミック回路基板20a,20bには、図2に示されるように、半導体チップ30a,30b,40a,40bが配置されている。また、半導体装置10は、放熱板60の周縁部に接着剤(図示を省略)を介して設けられて、セラミック回路基板20a,20bを取り囲むケース部70と、ケース部70の開口上部に設けられた蓋部74と、を有している。また、ケース部70及び蓋部74には、配線部材71,72,73が取り付けられている。配線部材71の一端はセラミック回路基板20aに電気的に接合されて、他端はケース部70に端子71aとして露出されている。配線部材72の一端はセラミック回路基板20bに電気的に接合されて、他端はケース部70に端子72aとして露出されている。配線部材73の一端はセラミック回路基板20aに電気的に接合されて、他端はケース部70に端子73aとして露出されている。そして、ケース部70内のセラミック回路基板20a,20bはシリコーンゲル、封止樹脂等の封止部材75により封止されている。
【0012】
セラミック回路基板20a,20bは、図1及び図2に示されるように、絶縁板21a,21bと、絶縁板21a,21bのおもて面に形成された導電パターン22a1~22a3,22b1~22b3と、絶縁板21a,21bの裏面に形成された金属板23a,23bと、を有している。なお、導電パターン22a1~22a3,22b1~22b3の形状、個数、配置は一例である。絶縁板21a,21bは、熱伝導性に優れた、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素等の高熱伝導性のセラミックスにより構成されている。導電パターン22a1~22a3,22b1~22b3は、導電性に優れた銅あるいは銅合金等の金属により構成されている。金属板23a,23bは、熱伝導性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金等の金属により構成されている。このような構成を有するセラミック回路基板20a,20bとして、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板を用いることができる。セラミック回路基板20a,20bは、半導体チップ30a,30b,40a,40bで発生した熱を導電パターン22a2,22b2、絶縁板21a,21b及び金属板23a,23bを介して、図1中下側に伝導させて放熱することができる。なお、導電パターン22a1~22a3,22b1~22b3の厚さは、好ましくは、0.10mm以上、1.00mm以下であり、より好ましくは、0.20mm以上、0.50mm以下である。また、このようなセラミック回路基板20aの導電パターン22a2には、配線部材71がはんだ(図示を省略)を介して接合されている。導電パターン22b2には、配線部材72がはんだ(図示を省略)を介して接合されている。導電パターン22a3には、配線部材73がはんだ(図示を省略)を介して接合されている。なお、導電パターン22a2,22b2,22a3に示されている四角は、配線部材71,72,73の接合領域を表している。
【0013】
半導体チップ30a,30bは、シリコンまたは炭化シリコンから構成されて、例えば、IGBT、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子を含んでいる。このような半導体チップ30a,30bは、例えば、裏面に主電極として入力電極(ドレイン電極またはコレクタ電極)を、おもて面に、制御電極(ゲート電極)及び主電極として出力電極(ソース電極またはエミッタ電極)をそれぞれ備えている。上記の半導体チップ30a,30bは、その裏面側が導電パターン22a2,22b2上にはんだ(図示を省略)により接続されている。半導体チップ40a,40bは、シリコンまたは炭化シリコンから構成されて、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PiN(P-intrinsic-N)ダイオード等のFWD素子を含んでいる。このような半導体チップ40a,40bは、裏面に主電極として出力電極(カソード電極)を、おもて面に主電極として入力電極(アノード電極)をそれぞれ備えている。上記の半導体チップ40a,40bは、その裏面側が導電パターン22a2,22b2上にはんだ(図示を省略)により接続されている。
【0014】
このようなセラミック回路基板20a,20b及び半導体チップ30a,30b,40a,40bに対して以下のようなワイヤ50が配線されている。なお、図1及び図2では、制御用配線以外の各部間を接続するワイヤの総称をワイヤ50としている。制御用配線であるワイヤ55a,55bは、導電パターン22a1,22b1と半導体チップ30a,30bのゲートとにそれぞれ電気的に接合している。その他のワイヤ50は、半導体チップ30a,30b、半導体チップ40a,40b、導電パターン22a3,22b3の間を適宜電気的に接合している。なお、これらのワイヤ50は、導電性に優れたアルミニウムや銅等の金属、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。また、これらの径は、100μm以上、1.00mm以下である。好ましくは、これらの径は、250μm以上、500μm以下である。これらの径が250μmより小さいと、1本当たりの許容電流が小さく、多数のワイヤを必要とするため、半導体チップ30a,30b,40a,40bの接合箇所が多くなり、接合箇所における導通時の発熱量が増加してしまう。また、これらの径が500μmより大きいと、半導体チップ30a,30b,40a,40bに対する接合時に過大な力が必要とされ、半導体チップ30a,30b,40a,40bが破損する恐れがある。
【0015】
配線部材71,72,73は、導電性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金により構成されている。また、耐食性を向上させるために、例えば、ニッケルや金等の金属をめっき処理等により配線部材71,72,73の表面に形成してもよい。具体的には、ニッケルや金の他に、ニッケル-リン合金や、ニッケル-ボロン合金等がある。さらに、ニッケル-リン合金上に金を積層してもよい。
【0016】
放熱板60は、例えば、熱伝導性に優れた、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金により構成されている。また、耐食性を向上させるために、例えば、ニッケル等の材料をめっき処理等により放熱板60の表面に形成してもよい。具体的には、ニッケルの他に、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金等がある。なお、この放熱板60の裏面側に冷却器(図示を省略)をはんだまたは銀ろう等を介して取り付けて放熱性を向上させることも可能である。この場合の冷却器は、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。また、冷却器として、フィン、または、複数のフィンから構成されるヒートシンク並びに水冷による冷却装置等を適用することができる。また、放熱板60は、このような冷却器と一体的に構成されてもよい。その場合は、熱伝導性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金により構成される。そして、耐食性を向上させるために、例えば、ニッケル等の材料をめっき処理等により冷却器と一体化された放熱板60の表面に形成してもよい。具体的には、ニッケルの他に、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金等がある。ケース部70及び蓋部74は、それぞれ、例えば、箱状及び平板状を成しており、熱可塑性樹脂により構成されている。このような樹脂として、PPS樹脂、PBT樹脂、PBS樹脂、PA樹脂、または、ABS樹脂等がある。また、ケース部70及び蓋部74は配線部材71,72,73の端子71a,72a,73aが挿入する開口孔(図示を省略)が形成されている。
【0017】
次に、半導体チップ30a,30bの詳細について図3を用いて説明する。なお、以降、半導体チップ30a,30bの総称を半導体チップ30とする。図3は、半導体チップの平面図である。半導体チップ30は、平面視で矩形状であって、そのおもて面の端部中央部にゲート31(制御電極部)と活性領域32(出力電極部)とゲート31から活性領域32に延伸するゲートランナ33とを備える。なお、半導体チップ30のサイズは、例えば、縦・横、それぞれ7mm以下である。
【0018】
ゲート31は、制御電圧が入力される。活性領域32は、ワイヤ50が接合されて、半導体チップ30がオン状態の時に、出力電流が出力される領域である。このような活性領域32は、図3に示されるように、ゲートランナ33を挟んでそれぞれ配置される電極領域32a,32bにより構成されている。また、電極領域32a,32bはそれぞれに複数のIGBTが設けられたトランジスタ領域である。電極領域32a,32b間は互いに絶縁されており、電極領域32a,32bはそれぞれ独立した出力電流を出力する。ゲートランナ33は、トランジスタ領域である電極領域32a,32bの境界部に沿って設けられている。なお、電極領域32a,32bの詳細については後述する。ゲートランナ33は、電極領域32a,32bの各IGBT(または、パワーMOSFET)のゲートに電気的に接続されている。
【0019】
また、半導体チップ30の電極領域32a,32bのおもて面にX方向及びY方向に沿って格子状にそれぞれ複数の接合領域35が設定されている。接合領域35は、ワイヤ50を接合できる領域である。それぞれの接合領域35には、各1本ずつのワイヤ50を接合することができる。図3の場合には、縦6つ、横6つ、合計36つの接合領域35が設定されている。なお、図3では、便宜上、X(横)方向に沿って[1]~[6]を、Y(縦)方向には[a]~[f]をそれぞれ付している。また、接合領域35は、必要に応じて、Aと表す場合がある。このため、例えば、36つの接合領域35のうち、X方向に[3]及びY方向に[c]の位置に対応する接合領域35はA3cと表記する。
【0020】
次に、このような半導体チップ30に対するワイヤの接合箇所について図4を用いて説明する。図4は、実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図である。なお、図4では、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して5本のワイヤ50を接合する場合を例に挙げて説明する。また、以下では、半導体チップ30に限らず、半導体チップ40a,40bの場合でも同様に適用することができる。
【0021】
図4では、5本のワイヤ50を接合する場合、半導体チップ30の電極領域32a,32bにX方向及びY方向に沿ってそれぞれ6つの格子状の接合領域35が設定されている。接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同じかそれより多い数に分割された格子状に設定されてよい。図4に示される半導体チップ30の電極領域32a,32bの複数の接合領域35のうち5か所の被接合領域36(図4中の斜線領域)に1本ずつ、合計5本のワイヤ50が接合される。また、この際、複数のワイヤ50が各1本ずつ接合される電極領域32a,32bの複数の被接合領域36は、平面視で半導体チップ30の一辺と平行なX方向とX方向に直交するY方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される。なお、被接合領域36は、必要に応じて、Bと表す場合がある。例えば、5か所の被接合領域36のうち、X方向に[5]及びY方向に[b]の位置に対応する被接合領域36はB5bと表記することがある。
【0022】
例えば、5か所の被接合領域36のうち、被接合領域36(B1f)以外の被接合領域(B2a、B4e、B5b、B6d)について説明する。被接合領域(B2a、B4e、B5b、B6d)は、全ての接合領域35から、被接合領域36(B1f)を含むX方向及びY方向にそれぞれ配列される接合領域35(A1f~A6f、A1a~A1f)に重複しないように設定される。すなわち、被接合領域36(B1f)以外の被接合領域(B2a、B4e、B5b、B6d)は、被接合領域36(B1f)を含む接合領域35(A1f~A6f、A1a~A1f)以外に設けられる。また、被接合領域36(B2a)以外の被接合領域(B1f、B4e、B5b、B6d)、被接合領域36(B4e)以外の被接合領域(B1f、B2a、B5b、B6d)、被接合領域36(B5b)以外の被接合領域(B1f、B2a、B4e、B6d)、被接合領域36(B6d)以外の被接合領域(B1f、B2a、B4e、B5b)についても上記と同様の関係により設けられる。このようにしてワイヤ50が接合される被接合領域36が設定されることで、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して、ワイヤ50を分散して接合することができる。また、この際、半導体チップ30の電極領域32a,32bの中央部の接合領域35(A3c、A3d、A4c、A4d)の接合禁止領域37にはワイヤ50を接合しないようにしている。なお、接合禁止領域37である電極領域32a,32bの中央部は、電極領域32a,32bの中点から半導体チップ30の辺に対して、例えば、25%の距離L1の範囲である。この距離L1は、適宜設定することができる。
【0023】
次に、このようにワイヤ50が接合された半導体チップ30の通電時の電極領域32a,32bの表面温度について図5を用いて説明する。図5は、実施の形態における半導体チップの表面温度を説明するための図である。図5に示す温度分布画像80は、図4の被接合領域36にそれぞれ対応する斜線領域と、同じ温度範囲の集まりでできる線(破線T1~T5)が所定の間隔で連なった線群とが表されている。破線T1で囲まれた領域は、119℃~130℃の温度分布を表している。破線T2で囲まれた領域は、116℃~119℃の温度分布を表している。破線T3で囲まれた領域は、112℃~116℃の温度分布を表している。破線T4で囲まれた領域は、109℃~116℃の温度分布を表している。破線T5で囲まれた領域は、105℃~109℃の温度分布を表している。この温度分布画像80によれば、電極領域32a,32bにおいて、ほぼ万遍なく全体に温度が分布しており、温度が高い領域(T1)が中央にあるもののその領域(T1)は小さく、全体として温度が高い領域が偏在していないことが分かる。また、この際の半導体チップ30の発熱温度は124℃程度であった。
【0024】
ここで、図4の場合に対する参考例の半導体チップについて図6を用いて説明する。図6は、参考例の半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図である。なお、図6でも、図4と同様に、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して5本のワイヤ50を接合する場合を例に挙げて説明する。また、図6でも、半導体チップ30の電極領域32a,32bの複数の接合領域35(A)のうち5か所の被接合領域36(図6中の斜線領域:B)に5本のワイヤ50がそれぞれ接合される。
【0025】
図6の半導体チップ30は、複数の接合領域35における、接合領域35(A1a、A2a、A4f、A5f、A6f)にそれぞれワイヤ50を接合して被接合領域36(B1a、B2a、B4f、B5f、B6f)が設定されている。このようにワイヤ50を電極領域32a,32bの対角線上の角部に接合することで、半導体チップ30の通電時に最も温度が高くなる中央部を避けて、温度の上昇を抑制することが期待される。
【0026】
次に、図6のワイヤ50が接合された半導体チップ30の通電時の電極領域32a,32bの表面温度について図7を用いて説明する。図7は、参考例の半導体チップの表面温度を説明するための図である。図7に示す温度分布画像80aは、図5と同様に、図6の被接合領域36にそれぞれ対応する斜線領域と、同じ温度範囲の集まりでできる線(破線T1~T5)が所定の間隔で連なった線群とが表されている。この温度分布画像80aによれば、電極領域32a,32bの対角線上の角部に位置する被接合領域36を跨ぐように温度が上昇していることがわかる。特に、電極領域32a,32bの中央部は、温度が高い破線T1,T2の温度分布であることがわかる。これは、対角線上の被接合領域36間で熱干渉が生じ、半導体チップ30の電極領域32a,32bの中央部の温度上昇が生じたことが考えられる。このように図6及び図7は、図4及び図5の場合よりも、破線T1,T2の温度分布の範囲が広い。そして、この際の半導体チップ30の発熱温度は127℃程度であり、図5の半導体チップ30の発熱温度に対して2.5%程度上昇している。
【0027】
上記の半導体装置10は、おもて面に電極領域32a,32bを備える半導体チップ30と、電極領域32a,32bにそれぞれ接合される複数のワイヤ50と、を備える。この際、複数のワイヤ50がそれぞれ接合される電極領域32a,32bの複数の被接合領域36は、平面視で半導体チップ30の一辺と平行なX方向とX方向に直交するY方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される。これにより、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対してワイヤ50が分散して接合されて、電極領域32a,32bにおいて、ほぼ万遍なく全体に温度が分布しており、温度が高い領域の偏在が抑制される。この結果、半導体チップ30の発熱温度の上昇を抑制することができ、半導体装置10の信頼性の低下を抑制することができる。
【0028】
さらに、図4の場合では、電極領域32a,32bの外縁部にワイヤ50を接合するようにしている。これは、半導体チップ30において電極領域32a,32bの中央部が温度の上昇が特に高いため、さらなる温度上昇を抑制するためである。なお、電極領域32a,32bの外縁部は、電極領域32a,32bの各辺から半導体チップ30の辺に対して、例えば、50%の距離L2の範囲である。この距離L2は、適宜設定することができる。
【0029】
また、例えば、半導体チップ30が、炭化シリコンから構成されるスイッチング素子であるSiC-MOSFET、SiC-SBDを含む場合には、大電流を流すことが可能である。一方で、これらの半導体チップ30では、ワイヤ50が接合された被接合領域36が温度上昇し易い。そこで、上記のようにワイヤ50を被接合領域36に接合すると、半導体装置10の温度上昇が抑制されて、確実に大電流に対応させることができるようになる。なお、本実施の形態では、図4以外の場合についても、電極領域32a,32bに対する中央部並びに外縁部は、図4の範囲と同様である。
【0030】
次に、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して、4本のワイヤ50を接合する場合について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図である。図8に示す半導体チップ30もまた、図4と同様に、電極領域32a,32bを備え、複数の接合領域35が設定されている。また、図8では、4本のワイヤ50を接合するため、半導体チップ30の電極領域32a,32bにX方向及びY方向に沿ってそれぞれつの格子状の接合領域35が設定されている。接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同じか図8のようにワイヤ50の本数より多い数に分割された格子状に設定されてよい。より好ましくは、接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同数に分割された格子状に設定されている。複数の接合領域35のうち4か所の被接合領域36(図8中の斜線領域)に1本ずつ、合計4本のワイヤ50が接合される。この際、複数のワイヤ50がそれぞれ接合される電極領域32a,32bの複数の被接合領域36は、平面視で半導体チップ30の一辺と平行なX方向とX方向に直交するY方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される。
【0031】
4か所の被接合領域36のうち、例えば、被接合領域36(B1f)以外の被接合領域(B2a、B5b、B6e)について説明する。被接合領域(B2a、B5b、B6e)は、全ての接合領域35から、被接合領域36(B1f)を含むX方向及びY方向にそれぞれ配列される接合領域35(A1f~A6f、A1a~A1f)を除いたうちのいずれかである。すなわち、被接合領域36(B1f)以外の被接合領域(B2a、B5b、B6e)は、被接合領域36(B1f)を含む接合領域35(A1f~A6f、A1a~A1f)以外に設けられる。また、被接合領域36(B2a)以外の被接合領域(B1f、B5b、B6e)、被接合領域36(B5b)以外の被接合領域(B1f、B2a、B6e)、被接合領域36(B6e)以外の被接合領域(B1f、B2a、B5b)についても上記と同様の関係により設けられる。
【0032】
このような図8の場合に対する参考例として、単に、半導体チップ30の電極領域32a,32bの四隅にワイヤ50をそれぞれ接合する場合について、図9を用いて説明する。図9は、参考例の半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図である。図9に示されるように、半導体チップ30の電極領域32a,32bの各角部の接合領域35(A1a、A1f、A6a、A6f)に、被接合領域36(B1a、B1f、B6a、B6f)がそれぞれ設定されている。しかしながら、半導体チップ30の電極領域32a,32bの四隅に被接合領域36(B1a、B1f、B6a、B6f)が設定されると、被接合領域36(B1a、B1f、B6a、B6f)の間で熱干渉が生じる。その結果、半導体チップ30の電極領域32a,32bの中央部の温度が上昇して、図9の半導体チップ30の発熱温度は、図8の場合よりも高くなってしまう。
【0033】
したがって、図8のように4つのワイヤ50が接合される被接合領域36が設定されることで、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して、ワイヤ50を分散して接合することができる。また、この際、半導体チップ30の電極領域32a,32bの中央部の接合領域35(A3c、A3d、A4c、A4d)の接合禁止領域37にはワイヤ50を接合しないようにしている。これにより、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対してワイヤ50が分散して接合されて、電極領域32a,32bにおいてほぼ万遍なく全体に温度が分布しており、温度が高い領域の偏在が抑制される。この結果、半導体チップ30の発熱温度の上昇を抑制することができ、半導体装置10の信頼性の低下を抑制することができる。
【0034】
次に、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して、6本のワイヤ50を接合する場合について、図10を用いて説明する。図10は、実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図である。図10に示す半導体チップ30もまた、図4及び図8と同様に、電極領域32a,32bを備え、複数の接合領域35が設定されている。また、図10では、6本のワイヤ50を接合するため、半導体チップ30の電極領域32a,32bにX方向及びY方向に沿ってそれぞれ6つの格子状の接合領域35が設定されている。接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同じかそれより多い数に分割された格子状に設定されてよい。より好ましくは、図10のように、接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同数に分割された格子状に設定されている。複数の接合領域35のうち6か所の被接合領域36(図10中の斜線領域)に各1本ずつ、合計6本のワイヤ50が接合される。この際、複数のワイヤ50がそれぞれ接合される電極領域32a,32bの複数の被接合領域36は、平面視で半導体チップ30の一辺と平行なX方向とX方向に直交するY方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される。
【0035】
図10の場合の被接合領域36は、中央部の接合禁止領域37以外の電極領域32a,32bにそれぞれ設けられている。また、この際、6つの被接合領域36から選択される2つで一組の被接合領域36は、中心点に対して点対称になるように全組が設けられている。例えば、一組の被接合領域36(B1c,B6d)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B2e,B5b)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B3a,B4f)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。さらに、被接合領域36は、電極領域32a,32bの対角線Dに対して線対称になるように配置されている。例えば、一組の被接合領域36(B1c,B3a)は、対角線Dに対して線対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B2e,B5b)は、対角線Dに対して線対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B4f,B6d)は、対角線Dに対して線対称になるように設けられている。
【0036】
偶数本のワイヤ50の場合に、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対してこのように偶数個の被接合領域36を配置することができる。その場合に、被接合領域36は、中心点に対して点対称になるように配置することができる。さらに、被接合領域36は、電極領域32a,32bの対角線Dに対して線対称になるように配置することができる。このように被接合領域36を配置し、それぞれの被接合領域36に1本ずつワイヤ50を接合することで、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対してワイヤ50が分散して接合される。これにより、電極領域32a,32bにおいてほぼ万遍なく全体に温度が分布しており、温度が高い領域の偏在が抑制される。この結果、半導体チップ30の発熱温度の上昇を抑制することができ、半導体装置10の信頼性の低下を抑制することができる。
【0037】
上記において、半導体チップ30の電極領域32a,32bの接合領域35の区分数は一例である。X方向6つ、Y方向6つに区切る場合に限らず、電極領域32a,32bの面積、ワイヤ50の本数並びに径に応じて適宜設定することができる。偶数本のワイヤ50において、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して偶数個の被接合領域36を配置していればよい。そこで、別の例として、半導体チップ30の電極領域32a,32bをX方向4つ、Y方向4つに区切る場合について図11を用いて説明する。図11は、実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図である。なお、ここでは、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して、4本のワイヤ50を接合する。図11に示されるように、4本のワイヤ50を接合するため、半導体チップ30の電極領域32a,32bにX方向及びY方向に沿ってそれぞれ4つの格子状の接合領域35が設定されている。接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同じかそれより多い数に分割された格子状に設定されてよい。より好ましくは、図11のように、接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同数に分割された格子状に設定されている。複数の接合領域35のうち4か所の被接合領域36(図11中の斜線領域)に各1本ずつ、合計4本のワイヤ50が接合される。この際、複数のワイヤ50がそれぞれ接合される電極領域32a,32bの複数の被接合領域36は、平面視で半導体チップ30の一辺と平行なX方向とX方向に直交するY方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される。また、この際、4つの被接合領域36から選択される2つで一組の被接合領域36は、中心点に対して点対称になるように全組が設けられている。例えば、一組の被接合領域36(B1c,B4b)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B2a,B3d)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。さらに、このような被接合領域36では、被接合領域36(B1c,B4b)を結ぶ直線と、被接合領域36(B2a,B3d)を結ぶ直線とが略直交するように設けられている。
【0038】
また、別の例として、半導体チップ30の電極領域32a,32bをX方向8つ、Y方向8つに区切る場合について図12を用いて説明する。図12は、実施の形態における半導体チップに対するワイヤの接合箇所を説明するための図である。なお、ここでは、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対して、8本のワイヤ50を接合する。図12に示されるように、8本のワイヤ50を接合するため、半導体チップ30の電極領域32a,32bにX方向及びY方向に沿ってそれぞれ8つの格子状の接合領域35が設定されている。接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同じかそれより多い数に分割された格子状に設定されてよい。より好ましくは、図12のように、接合領域35は、X方向及びY方向に沿って、ワイヤ50の本数と同数に分割された格子状に設定されている。複数の接合領域35のうち8か所の被接合領域36(図12中の斜線領域)に各1本ずつ、合計8本のワイヤ50が接合される。この際、複数のワイヤ50がそれぞれ接合される電極領域32a,32bの複数の被接合領域36は、平面視で半導体チップ30の一辺と平行なX方向とX方向に直交するY方向とにおいて、それぞれ重複しないように配置される。また、この際、8つの被接合領域36から選択される2つで一組の被接合領域36は、中心点に対して点対称になるように全組が設けられている。例えば、一組の被接合領域36(B1d,B8e)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B2f,B7c)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B3b,B6g)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。また、一組の被接合領域36(B4h,B5a)は、中心点に対して点対称になるように設けられている。
【0039】
半導体チップ30の電極領域32a,32bに対しても、図11及び図12のように、偶数本のワイヤ50の場合に、偶数個の被接合領域36を配置することができる。被接合領域36は、中心点に対して点対称になるように配置することができる。このように被接合領域36を配置し、それぞれの被接合領域36に1本ずつワイヤ50を接合することで、半導体チップ30の電極領域32a,32bに対してワイヤ50が分散して接合される。これにより、電極領域32a,32bにおいてほぼ万遍なく全体に温度が分布しており、温度が高い領域の偏在が抑制される。この結果、半導体チップ30の発熱温度の上昇を抑制することができ、半導体装置10の信頼性の低下を抑制することができる。
【0040】
なお、ワイヤ50の本数が3本以下の場合には、被接合領域36を図4図8及び図10図12のように分散して設定しても、単に被接合領域36を半導体チップ30の電極領域32a,32bの外周部に設定した場合と比較して、半導体チップ30の発熱温度の上昇の抑制は殆ど変わりがない。このため、特に、ワイヤ50は4本以上であることが望ましい。また、半導体チップ30のサイズが大きく、ワイヤ本数が少ない場合には、被接合領域36を図4図8及び図10図12のように分散して設定しても、単に被接合領域36を半導体チップ30の電極領域32a,32bの外周部に設定した場合と比較して、半導体チップ30の発熱温度の上昇の抑制は殆ど変わりがない。このため、特に、半導体チップ30は、サイズが縦・横、それぞれ7mm以下であって、ワイヤ50は4本以上であることが望ましい。また、本実施の形態では、半導体チップ30の電極領域32a,32bのX方向及びY方向のそれぞれの区分けの数が、4つ、6つ、8つといった同じである場合を示しているに過ぎず、X方向及びY方向のそれぞれの区分けの数が異なっていてもよい。例えば、X方向に4つ、Y方向に6つ等であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 半導体装置
20a,20b セラミック回路基板
21a,21b 絶縁板
22a1~22a3,22b1~22b3 導電パターン
23a,23b 金属板
30,30a,30b,40a,40b 半導体チップ
31 ゲート
32 活性領域
32a,32b 電極領域
33 ゲートランナ
35 接合領域
36 被接合領域
37 接合禁止領域
50,55a,55b ワイヤ
60 放熱板
70 ケース部
71,72,73 配線部材
71a,72a,73a 端子
74 蓋部
75 封止部材
80,80a 温度分布画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12