(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】印刷制御装置及び印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231108BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231108BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20231108BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20231108BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231108BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20231108BHJP
B65H 33/04 20060101ALI20231108BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231108BHJP
B65H 39/11 20060101ALI20231108BHJP
B41J 25/20 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
B41J29/38 201
G03G21/00 386
G03G21/14
B41J29/42 F
H04N1/00 567L
G06F3/12 304
G06F3/12 332
G06F3/12 329
G06F3/12 373
B65H33/04
G03G15/00 440
B65H39/11 M
B41J25/20
(21)【出願番号】P 2019193777
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上濱 亮
(72)【発明者】
【氏名】高畑 恒次
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-104900(JP,A)
【文献】特開2009-042347(JP,A)
【文献】特開2003-162404(JP,A)
【文献】特開2011-128199(JP,A)
【文献】特開2000-335051(JP,A)
【文献】特開2011-081514(JP,A)
【文献】特開平10-175769(JP,A)
【文献】特開2002-215343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷ジョブによる印刷枚数を含む印刷情報を受け付け、
前記印刷ジョブに応じた印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部の収容可能残り枚数を取得し、
取得した各収容部数の前記収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、
前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部へ当該印刷ジョブによる印刷後の印刷媒体を排出する制御を行
い、
前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部に当該最大値までの印刷枚数の前記印刷媒体を排出し、当該最大値を超える印刷枚数の印刷媒体は、前記複数の収容部のいずれにも排出されない上限付き印刷制御を行う、
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記印刷を非実行とする制御を行った場合、当該制御を行ったことを提示する制御を更に行うことを特徴とする請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部を報知する制御を更に行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記最大値を報知することを特徴とする請求項4に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である収容部の前記収容可能残り枚数の報知を表示部による表示により行うことを特徴とする請求項5に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、各収容部において、複数の前記印刷ジョブの印刷に伴って排出された複数の印刷媒体の間に、前記印刷ジョブ毎の区切り用の区切り媒体を排出させる制御を更に行うことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記区切り媒体の上面に、当該区切り媒体が排出される前に排出された印刷媒体に係る前記印刷ジョブの内容を特定できる情報を印刷する制御を更に行うことを特徴とする請求項7に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
前記区切り媒体は、他の印刷媒体とは色が異なることを特徴とする請求項8に記載の印刷制御装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御、及び、前記上限付き印刷制御のうち、使用者が選択した制御を行うことを特徴とする請求項
1に記載の印刷制御装置。
【請求項11】
コンピュータに、
印刷ジョブによる印刷枚数を含む印刷情報を受け付け、
前記印刷ジョブに応じた印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部の収容可能残り枚数を取得し、
取得した各収容部の前記収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、
前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部へ当該印刷ジョブによる印刷後の印刷媒体を排出する制御を行
い、
前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部に当該最大値までの印刷枚数の前記印刷媒体を排出し、当該最大値を超える印刷枚数の印刷媒体は、前記複数の収容部のいずれにも排出されない上限付き印刷制御を行う、
処理を実行させるための印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙を収容する複数のビンと、前記複数のビン毎の収容可能量を検出する検出手段と、用紙を前記複数のビンに排出可能な排出手段と、画像データを作成して、用紙上に画像として形成する画像形成手段と、ジョブに対応して画像形成された用紙を排出するビン数が最少となるように排出先のビンを決定し、前記複数のビンから選択して用紙を排出するように前記排出手段を制御する制御手段とを含むことを特徴とする画像形成装置の用紙出力装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、給紙部から送り出された用紙に印刷ジョブに基づいて画像形成する画像形成部と、画像形成された用紙を積載する複数の排紙部と、前記排紙部の用紙積載量を検知する検知部と、表示部と、印刷ジョブで使用する排紙部を選択するとともに、前記表示部に縦軸又は横軸の一方の軸を前記印刷ジョブの印刷枚数又は実行時間として、使用する排紙部が切り替わるタイミング及び排紙可能な排紙部が無くなるタイミングを表示させる制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-175769号公報
【文献】特開2011-128199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部を有し、印刷後の印刷媒体の排出先の収容部(HCS)が満杯となった場合に、別の収容部に印刷媒体の排出先の切り替えを実行する構成では、1つの印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が複数の収容部に分かれてしまう。
【0006】
本発明の課題は、1つの印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が複数の収容部に分かれて行われることを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1態様に係る印刷制御装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷ジョブによる印刷枚数を含む印刷情報を受け付け、前記印刷ジョブに応じた印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部(HCS)の収容可能残り枚数を取得し、取得した各収容部数の前記収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部へ当該印刷ジョブによる印刷後の印刷媒体を排出する制御を行い、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部に当該最大値までの印刷枚数の前記印刷媒体を排出し、当該最大値を超える印刷枚数の印刷媒体は、前記複数の収容部のいずれにも排出されない上限付き印刷制御を行う、ことを特徴とする。
【0008】
また、第2態様に係る印刷制御装置は、第1態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御を行うことを特徴とする。
【0009】
また、第3態様に係る印刷制御装置は、第2態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記印刷を非実行とする制御を行った場合、当該制御を行ったことを提示する制御を更に行うことを特徴とする。
【0010】
また、第4態様に係る印刷制御装置は、第1態様~第3態様のいずれか1つの態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部を報知する制御を更に行うことを特徴とする。
【0011】
また、第5態様に係る印刷制御装置は、第4態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記最大値を報知することを特徴とする。
【0012】
また、第6態様に係る印刷制御装置は、第5態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である収容部の前記収容可能残り枚数の報知を表示部による表示により行うことを特徴とする。
【0013】
また、第7態様に係る印刷制御装置は、第1態様~第6態様のいずれか1つの態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、各収容部において、複数の前記印刷ジョブの印刷に伴って排出された複数の印刷媒体の間に、前記印刷ジョブ毎の区切り用の区切り媒体を排出させる制御を更に行うことを特徴とする。
【0014】
また、第8態様に係る印刷制御装置は、第7態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記区切り媒体の上面に、当該区切り媒体が排出される前に排出された印刷媒体に係る前記印刷ジョブの内容を特定できる情報を印刷する制御を更に行うことを特徴とする。
【0015】
また、第9態様に係る印刷制御装置は、第8態様に係る印刷制御装置において、前記区切り媒体は、他の印刷媒体とは色が異なることを特徴とする。
【0017】
また、第10態様に係る印刷制御装置は、第1態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御、及び、前記上限付き印刷制御のうち、使用者が選択した制御を行うことを特徴とする。
【0018】
また、第11態様に係る印刷プログラムは、コンピュータに、印刷ジョブによる印刷枚数を含む印刷情報を受け付け、前記印刷ジョブに応じた印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部(HCS)の収容可能残り枚数を取得し、取得した各収容部の前記収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部へ当該印刷ジョブによる印刷後の印刷媒体を排出する制御を行い、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部に当該最大値までの印刷枚数の前記印刷媒体を排出し、当該最大値を超える印刷枚数の印刷媒体は、前記複数の収容部のいずれにも排出されない上限付き印刷制御を行う、処理を実行させるための印刷プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
第1態様、及び第11態様によれば、取得した各収容部数の前記収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である収容部へ印刷後の印刷媒体を排出することで、当該印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が複数の収容部に分かれて行われることを回避する、という効果を有する。
また、第1態様、及び第11態様によれば、収容可能残り枚数の最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、複数の収容部のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部に当該最大値までの印刷枚数の印刷媒体を排出する上限付き印刷制御を行わない場合と比べて、当該印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が当該収容部以外の他の収容部に分かれて排出されることを回避しつつ、当該最大値までの印刷枚数の印刷媒体の排出は実行され、作業効率を向上させる、という効果を有する。
【0020】
第2態様によれば、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とすることで、確実に1つの印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が複数の収容部に分かれて行われることを回避する、という効果を有する。
【0021】
第3態様によれば、非実行とする制御のみが行われる場合に比べ、当該制御を行ったことを認識しやすい、という効果を有する。
【0022】
第4態様によれば、当該報知が行われない場合に比べ、当該印刷ジョブにおける印刷媒体の排出先を認識しやすい、という効果を有する。
【0023】
第5態様によれば、当該報知が行われない場合に比べ、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が前記収容可能残り枚数の最大値以下であるか否かを事前に認識しやすい、という効果を有する。
【0024】
第6態様によれば、前記複数の収容部のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部の収容可能残り枚数を表示部による表示により視認される、という効果を有する。
【0025】
第7態様によれば、区切り媒体を排出させる制御が行われない場合に比べ、複数の収容部の各収容部における複数の前記印刷ジョブ間の区切りを認識しやすい、という効果を有する。
【0026】
第8態様によれば、区切り媒体の上面に印刷ジョブの内容を特定できる情報が印刷されていない場合に比べ、当該印刷ジョブの内容を容易に認識しやすい、という効果を有する。
【0027】
第9態様によれば、区切り媒体が、他の印刷媒体と同じ色である場合と比べて、複数の印刷ジョブ毎の区切りを認識しやすい、という効果を有する。
【0029】
第10態様によれば、使用者が上記非実行とする制御、及び、上記上限付き印刷制御のいずれか一方を選択しない場合に比べ、使用者による利便性を向上させることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1の実施の形態に係る印刷制御装置を有する印刷装置を組み込んだ印刷処理装置を示す概略正面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る印刷制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る印刷制御装置の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る印刷制御装置による印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施の形態に係る印刷制御装置による印刷処理における収容部を示す説明図である。
【
図6】従来の印刷制御装置の収容部であって、(A)は、自動切換前の収容部を示す説明図、(B)は、自動切換後の収容部を示す説明図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る印刷制御装置における表示部に提示されるジョブ履歴の一例を示す説明図である。
【
図8】第3の実施の形態に係る印刷制御装置による印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第4の実施の形態に係る印刷制御装置による印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施の形態)
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、機能が同じ構成要素及び処理には全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する。
【0032】
まず、本実施形態に係る印刷制御装置50を有する印刷装置15を組み込んだ印刷処理装置10を説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷処理装置10の概略正面図である。
【0033】
本実施の形態に係る印刷装置15として、例えばプロダクションプリンタがある。プロダクションプリンタは、企業の社内印刷部門やプリントショップ等を対象として軽印刷を行うものである。一般的に、大量の印刷を担うことが可能なものである。なお、プロダクションプリンタに限定することなく、一般的なプリンタ(ビジネス用のプリンタ、家庭用のプリンタ等)に適用してもよい。
この印刷装置15により印刷された紙を収容するための大容量スタッカー(HCS:High Capacity Stacker)として複数(具体的には、2つ)の収容部20、30を備えている。
この大容量スタッカーとしての収容部20、30は、それぞれ最大10000枚の用紙Pを収容可能に形成されている。なお、収容部20、30において、収容された用紙Pは、収容部20、30内部の台車(図示せず)に直接積まれるように形成されている。これにより、大量の用紙Pでも容易に運ぶことができるように形成され、後の工程に運ぶ場合等に便利になっている。
【0034】
印刷装置15は、用紙Pに画像を印刷する印刷装置の一例である。具体的には、印刷装置15は、取得した印刷ジョブに基づき、用紙Pに画像を印刷する。印刷ジョブとは、一回の印刷指示によって指示される印刷動作の処理単位をいう。
【0035】
なお、印刷装置15は、用紙Pに画像を形成する画像形成装置の一例でもある。また、印刷された用紙Pは、「印刷物」の一例である。用紙Pは、記録媒体の一例でもある。
【0036】
印刷装置15は、さらに具体的には、印刷前の用紙Pを収容する収容部(図示せず)と、印刷部(図示せず)と、印刷制御装置50と、を有している。
【0037】
特に図示していないが、印刷装置15の印刷前の用紙Pの収容部は、印刷装置15の印刷部へ供給される用紙Pを収容する機能を有している。この印刷前の用紙Pの収容部は、具体的には、例えば、用紙Pが積載されて該用紙Pを収容する収容トレイで構成される。さらに具体的には、これらの収容部は、例えば、各々異なるサイズの用紙Pを収容する。
【0038】
印刷装置15は、印刷装置15の収容部に収容された用紙Pを印刷装置15の印刷部へ搬送する機能を有している。
また、印刷装置15と、印刷後の用紙Pを収容する大容量スタッカー(HCS)としての収容部20、30との間には、用紙Pを印刷後の用紙Pを収容部20、30へ搬送する搬送機能部(図示せず)を有している。
これらの搬送機能部は、具体的には、例えば、特に図示していないが、印刷装置15の収容部の各々から用紙Pを送り出す送出ロールや、印刷装置15の収容部から印刷部までの搬送経路や、印刷装置15の印刷部から、印刷後の用紙Pを収容するための収容部20、30までの搬送経路に沿って複数配置された搬送ロール(図示せず)等により行われるものである。
【0039】
また、本実施の形態では、特に図示していないが、上述した搬送経路の途中に、印刷後の用紙Pを収容部20と、収容部30とのいずれを排出先とするか、当該排出先を切り替える切替機構(図示せず)を有している。
【0040】
この切替機構は、具体的には、特に図示していないが、印刷装置15の印刷部から収容部20までの経路を開放し、且つ印刷部から収容部30までの経路を閉鎖する第一位置と、印刷部から収容部20までの経路を閉鎖し、且つ印刷部から収容部30までの経路を開放する第二位置と、に移動可能な切替部材(図示せず)を有している。
【0041】
そして、上述した搬送経路では、切替部材が第一位置(図示せず)に位置する状態において、印刷装置15の印刷部(図示せず)で印刷された用紙Pを複数の搬送ロールが搬送することで、該用紙Pが収容部20へ排出される。
また、切替部材が第二位置(図示せず)に位置する状態において、印刷装置15の印刷部で印刷された用紙Pを複数の搬送ロールが搬送することで、該用紙Pが収容部30へ排出される。
【0042】
印刷装置15の印刷部は、画像を用紙Pに印刷する機能を有している。具体的には、印刷部は、電子写真式により画像を用紙Pに印刷する。さらに具体的には、印刷部は、帯電、露光、現像、転写、及び定着の各工程を経て画像を用紙Pに印刷、すなわち、画像を形成する。したがって、印刷部は、画像を用紙Pに形成する画像形成部でもある。なお、印刷部では、用紙Pの両面に対して印刷する両面印刷の実行が可能となっている。
【0043】
収容部20及び収容部30は、印刷された用紙Pが排出される、いわゆる大容量スタッカー(HCS)である。収容部20及び収容部30は、
図1に示されるように、左右に隣接して配置されている。具体的には、収容部20が、収容部30に対する上流側(印刷装置15側)に配置されている。
【0044】
収容部20及び収容部30の各々は、用紙Pを排出可能な枚数に上限を有している。収容部20及び収容部30の各々の満杯枚数は、例えば10000枚となっている。すなわち、収容部20及び収容部30の満杯枚数は、同じ枚数となっている。
【0045】
ここで、満杯枚数とは、収容部20及び収容部30に用紙Pを排出した際に収容部20及び収容部30が満杯となる枚数である。満杯枚数は、収容部20及び収容部30に用紙Pを排出可能な上限枚数、又は、収容部20及び収容部30が用紙Pを収容可能な最大枚数ともいえ、また、収容枚数が0枚のときの、収容可能残り枚数ともいえる。
【0046】
なお、満杯枚数は、10000枚に限られるものではない。また、収容部20及び収容部30の満杯枚数は、異なっていてもよい。
【0047】
本実施形態では、印刷ジョブにおいて、排出先が指定されている場合は、指定された収容部20又は収容部30に用紙Pが排出される。印刷ジョブにおいて、排出先が指定されなかった場合には、予め設定された排出先(収容部20及び収容部30のいずれか一方)に最初に用紙Pが排出され、後述の切替制御によって切替部材が移動し、用紙Pの排出先が収容部20及び収容部30の他方に切り替わる。
なお、本実施の形態では、収容部20及び収容部30の2つだけしか形成されていないが、この2つに限定されるものではなく、3つ以上の収容部を設けてもよいものである。
【0048】
印刷制御装置50は、印刷装置15の各部の動作を制御する装置である。
図2には、印刷制御装置50のハードウェア構成を示すブロック図が示されている。
【0049】
図2に示されるように、印刷制御装置50は、コンピュータとしての機能を備え、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、ストレージ54、ユーザインタフェース55、通信インタフェース56及びI/O57を有している。印刷制御装置50の各部は、バス59を介して相互に通信可能に接続されている。
【0050】
CPU51は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU51は、ROM52又はストレージ54からプログラムを読み出し、RAM53を作業領域としてプログラムを実行する。CPU51は、ROM52又はストレージ54に記録されているプログラムに従って、印刷装置15の各部の制御および各種の演算処理を行う。
【0051】
ROM52は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM53は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ54は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0052】
ユーザインタフェース55は、ユーザが印刷装置15を使用する際のインタフェースである。ユーザインタフェース55は、例えば、ボタンやタッチパネル等の入力部及び液晶ディスプレイ等の表示部を有している。ユーザは、印刷ジョブを指示する指示者である。
なお、後述する表示部55Aは、タッチパネルを有しており、表示部55Aに表示されるタッチパネル上のボタン表示を指でタッチすることで、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が収容可能残り枚数の最大値、すなわち、各収容部20、30の収容可能残り枚数のうち、最大の収容可能残り枚数を超える場合、印刷を非実行とする制御と、後述する収容可能な収容部に最大値までの印刷枚数の印刷媒体を排出する上限付き印刷制御とを選択可能に形成されている。
【0053】
通信インタフェース56は、パソコン等のユーザ端末と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース56の通信方式としては、有線又は無線が用いられる。通信インタフェース56の通信規格としては、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等が用いられる。I/O57は、CPU51を印刷装置15の各部と接続する。
【0054】
上記のプログラムを実行する際に、印刷制御装置50は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。印刷制御装置50が実現する機能構成について説明する。
図3は、印刷制御装置50の機能構成の例を示すブロック図である。
【0055】
図3に示されるように、印刷制御装置50は、機能構成として、受付部50Aと、取得部50Bと、制御部50Cと、を有している。各機能構成は、CPU51がROM52又はストレージ54に記憶された印刷プログラム及びテーブル情報を読み出し、実行することにより実現される。
【0056】
受付部50Aは、印刷ジョブによる印刷枚数を含む印刷情報を受け付けるためのものである。
受付部50Aは、印刷ジョブを受け付ける。印刷ジョブにおいて、印刷部数、印刷物1部当りのページ数、両面印刷の実行の有無、用紙Pが送り出される収容部、及び、用紙Pが排出される排出先などが指定される。
【0057】
受付部50Aは、印刷ジョブに関する印刷情報として、印刷ジョブにおいて指定された印刷部数、印刷物1部当りのページ数、両面印刷の実行の有無、収容部、及び排出先等の情報も受け付ける。
【0058】
ここで、印刷枚数は、片面印刷の場合、「印刷物1部当りのページ数×印刷部数」で求められる。また、印刷枚数は、両面印刷の場合、「印刷物1部当りのページ数×印刷部数÷2」で求められる。したがって、印刷部数、印刷物1部当りのページ数、及び両面印刷の実行の有無の情報は、印刷枚数を示す情報の一例である。
【0059】
なお、印刷ジョブは、例えば、通信インタフェース56により通信可能なユーザ端末を通じた印刷指示によって入力され、当該印刷ジョブを受付部50Aが受け付ける。また、原稿を読取装置(具体的にはスキャナ)で読み取ることで印刷ジョブが生成され、当該印刷ジョブを受付部50Aが受け付けてもよい。
【0060】
取得部50Bは、印刷ジョブに応じた印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部(HCS)20、30の収容可能残り枚数を取得する。
具体的には、取得部50Bは、収容部20又は収容部30に排出された用紙Pの枚数を計数する。取得部50Bは、例えば、用紙Pの搬送経路に設けられた光センサ等の検知部を用いて、用紙Pの通過枚数を計数することで、収容部20又は収容部30に排出された用紙Pの枚数を計数する。
【0061】
取得部50Bは、収容部20及び収容部30の各々に残留する用紙Pの残留枚数を検出する。具体的には、取得部50Bは、以下のように検出する。
【0062】
まず、取得部50Bは、収容部20及び収容部30の各々に用紙Pが存在するか否かを検出する。取得部50Bは、具体的には、例えば、収容部20及び収容部30の各々に設けられた光センサ等の検知部を用いて、収容部20及び収容部30の各々に用紙Pが存在するか否かを検出する。
【0063】
収容部20及び収容部30の各々に用紙Pが存在していない場合には、取得部50Bは、用紙Pの残留枚数として「0」を取得する。収容部20及び収容部30の各々に用紙Pが存在する場合には、取得部50Bは、上述した計数による枚数を用紙Pの残留枚数として取得する。そして、取得部50Bは、収容部20及び収容部30が用紙Pを収容可能な最大枚数(いわゆる満杯枚数)から、上記残留枚数を減算することで、収容部20及び収容部30のそれぞれの収容可能残り枚数を取得する。
例えば、収容可能な最大枚数(満杯枚数)が10000枚であって、計数による残留枚数が3000枚であるときは、収容可能残り枚数は、10000枚-3000枚=7000枚となる(
図5参照)。
【0064】
制御部50Cは、取得した各収容部数20、30の収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、複数の収容部20、30のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部20又は収容部30のいずれかへ当該印刷ジョブによる印刷後の印刷媒体を排出する制御を行う。例えば、上述した例の場合、
図5に示すように、収容部20及び収容部30の満杯枚数がいずれも10000枚のときに、収容部20はジョブ1で5000枚収容し、収容部30はジョブ2で3000枚収容している状態であるとする。この場合、収容部20の収容可能残り枚数は5000枚となり、収容部30の商用可能残り枚数が7000枚となり、収容可能残り枚数の最大値は、収容部30の7000枚となる。このとき、次に実行する印刷ジョブのジョブ3が6000枚であって、収容可能残り枚数の最大値である7000枚以下であるので、制御部50Cは、複数の収容部20、30のうちで収容可能残り枚数が最大値(7000枚)である収容部30へ当該印刷ジョブであるジョブ3の6000枚の印刷媒体を排出する制御を行うものである(
図5参照。)。
【0065】
制御部50Cは、上述したように、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数(上述した例の場合6000枚)が収容可能残り枚数の最大値(上述した例の場合7000枚)以下の場合、複数の収容部20、30のうちで収容可能残り枚数が最大値(例えば7000枚)である収容部(例えば収容部30)をユーザインタフェース55としての表示部55Aに表示することで報知する制御を更に行う(
図7参照。)。すなわち、上述した例の場合、表示部55Aに収容部30へ用紙Pを収容する旨が表示されることで使用者に当該内容を報知するものである。もちろん、報知態様は、表示部55Aに表示することに限定されるものではない。表示部55Aへの表示に加えて、又は、当該表示に代えて、収容部20、30の上部等の所定位置にランプ等(なお、回転灯、いわゆるパトランプを含む)を設けて、当該ランプを点灯(又は回転灯を点灯した状態で回転)させることにより、報知を行ってもよい。あるいは、スピーカーを設けて、音声により、収容部30に収容する旨を報知するようにしてもよい。
【0066】
さらに、制御部50Cは、
図7に示すように、複数の収容部20、30のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部の収容可能残り枚数の報知を表示部55Aによる表示により行うようにしてもよい。
具体的には、上述した例の場合、
図7に示すように、収容部30(例えばスタッカートレイ2)の収容可能残り枚数の最大値が7000枚であることを、表示部55Aにおいて7000枚という数値を直接、表示するようなものが含まれる。
或いは、表示部55Aにおける表示に加えて、若しくは、これに代えて、スピーカーにより音声で「収容可能残り枚数は、7000枚です。」という音声により報知するようにしてもよい。
【0067】
さらに、本実施の形態では、制御部50Cは、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が収容可能残り枚数の最大値を超える場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御を行う(
図4、ステップ116参照。)。
具体的には、上述した例の場合、
図5に示すように、制御部50Cは、次に実行する印刷ジョブであるジョブ3が6000枚ではなく、仮に8000枚であって、収納可能残り枚数の最大値である7000枚を超えるような場合である。このような場合には、当該印刷ジョブによる当該ジョブ3の印刷を非実行とする制御を行うものである。
そして、本実施の形態では、制御部50Cは、上述したように、印刷を非実行とする制御を行った場合、当該制御(非実行の制御)を行ったことを提示する制御を更に行う。
かかる場合、制御部50Cは、上述した非実行の制御を行ったことを、ユーザインタフェース55としての表示部55Aに提示する。
【0068】
(印刷制御装置50の作用)
次に、印刷制御装置50の作用について説明する。
図4は、印刷制御装置50による印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0069】
CPU51がROM52又はストレージ54から印刷プログラムを読み出して実行することにより、印刷処理が行なわれる。
【0070】
CPU51は、排出先が指定されていない印刷ジョブを取得すると、全ての大容量スタッカー(HCS)としての収容部20、30の収容可能残り枚数情報を取得する(ステップ110)。
CPU51は、取得した全ての大容量スタッカー(HCS)としての収容部20、30の収容可能残り枚数の最大値を取得する(ステップ111)。
具体的には、ステップ110で取得した収容部20、30の収容可能残り枚数情報のうちで、最大値となる収容可能残り枚数の数値及びその収容部(収容部20又は収容部30のいずれか)を取得するものである。
CPU51は、次に実行される印刷ジョブの枚数が、ステップ111で取得した収容可能残り枚数の最大値以下であるか否か、換言すると、当該最大値が次に実行される印刷ジョブの枚数を以上か否かを判断する(ステップ112)。
CPU51は、ステップ112にて、次に実行される印刷ジョブの枚数が、ステップ111で取得した収容可能残り枚数の最大値以下であると判断した場合(ステップS112:YES)、収容可能残り枚数が最大の収容部(収容部20又は収容部30)に印刷後の用紙Pを排出する制御を行う(ステップ113)。
CPU51は、全ての印刷後の用紙Pの排出が終了することで、印刷ジョブを完了させる(ステップ114)。
CPU51は、表示部55Aに表示される印刷ジョブ履歴に用紙Pの排出先(収容部20又は収容部30のいずれか一方)を表示させる(ステップ115)。そして、当該処理が終了する。
一方、ステップS112にて、次に実行される印刷ジョブの枚数が、ステップ111で取得した収容可能残り枚数の最大値以下でない、すなわち、次に実行される印刷ジョブの枚数が、ステップ111で取得した収容可能残り枚数の最大値を超えると判断した場合、CPU55Aは、表示部55Aにより、エラー表示を行い、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御を行うことで用紙Pの印刷出力の抑制を行う(ステップ116)。そして、当該処理が終了する。
【0071】
なお、ここで、次に実行される印刷ジョブの枚数、すなわち次に実行される印刷予定の印刷枚数は、取得部50Bが取得した、印刷部数、印刷物1部当りのページ数、及び両面印刷の実行の有無の情報から算出される。
【0072】
具体的には、印刷予定の印刷枚数は、片面印刷の場合、「印刷物1部当りのページ数×印刷部数」で求められる。また、印刷予定の印刷枚数は、両面印刷の場合、「印刷物1部当りのページ数×印刷部数÷2」で求められる。
【0073】
例えば、印刷物1部当りのページ数が200ページで、印刷部数が3部で、片面印刷の場合は、印刷枚数は、200×3=600枚となる。
【0074】
本実施の形態では、以上の手順により印刷処理を行うが、
図5を用いて、具体的に下記に示すような印刷ジョブの場合の印刷処理の一例について説明する。
上述したような収容部20及び収容部30を有し、それぞれ10000枚収納可能とする。
ここで、印刷ジョブの具体的内容として、ジョブ1が5000枚、ジョブ2が3000枚、ジョブ3が6000枚、ジョブ4が5000枚、ジョブ5が3000枚の印刷枚数であるとする。
【0075】
上述したような印刷ジョブの内容に基づく印刷処理を、本実施の形態に係る印刷制御装置50で行う。
(1)CPU51は、ジョブ1実行時、収容部20及び収容部30共に、収容枚数0枚の初期状態のため、このようなときのために予め排出先が設定されている排出先初期値の収容部20を指定する。これにより、収容部20にジョブ1の5000枚の用紙Pが収容される。
(2)ジョブ2実行時、収容部20の収容可能残り枚数5000枚、収容部30の収容可能残り枚数10000枚であるため、収容可能残り枚数の最大値は収容部30の10000枚となる。ジョブ2の印刷枚数は3000枚であり、収容可能残り枚数の最大値10000枚以下となり、CPU51は、収容可能残り枚数が最大値である10000枚の収容部30をジョブ2の印刷媒体である用紙P3000枚の排出先として指定する。これにより、収容部30にジョブ2の3000枚の用紙Pが収容される。
(3)ジョブ3の実行時、収容部20の収容可能残り枚数が5000枚、収容部30の収容可能残り枚数が7000枚であるため、収容可能残り枚数の最大値は、収容部30の7000枚となる。ジョブ3の印刷枚数は、6000枚であり、収容可能残り枚数の最大値7000枚以下となり、当該最大値7000枚である収容部30へジョブ3の6000枚の用紙Pが収容される。
(4)ジョブ4の実行時、収容部20の収容可能残り枚数が5000枚、収容部30の収容可能残り枚数が1000枚であるため、収容可能残り枚数の最大値は、収容部20の5000枚となる。ジョブ4の印刷枚数は、5000枚であり、収容可能残り枚数の最大値5000枚以下となり、当該最大値5000枚である収容部20へジョブ4の5000枚の用紙Pが収容される。
(5)ジョブ5の実行時、収容部20の収容可能残り枚数が0枚、収容部30の収容可能残り枚数が1000枚であるため、収容可能残り枚数の最大値は、収容部30の1000枚となる。ジョブ5の印刷枚数は、3000枚であり、収容可能残り枚数の最大値1000枚を超えてしまい、CPU51は、ジョブ5による印刷は非実行となることを指定する。そして、表示部55Aにエラー表示が行われ、印刷出力は実行されない。
【0076】
本実施の形態に係る印刷制御装置50では、取得した各収容部数の収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、複数の収容部20,30のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である収容部(収容部20又は収容部30のいずれか一方)へ印刷後の印刷媒体を排出することで、当該印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が複数の収容部に分かれて行われることを回避する。
【0077】
ここで、上述したような制御を行わず、印刷ジョブの1枚目の排出から、途中までの印刷で排出先の収容部が満杯枚数を超える場合、いわゆるスタックフルの状態になった場合に、他の収容部に自動的に切り替わる切替制御を有しているような場合、
図6に示すような印刷処理となる。
具体的には、
図6に示すように、印刷処理後の用紙Pを予め定めた所定の排出先である例えば収容部20へ排出し、1部目、2部目までは、収容部20へ収容されるが、3部目の途中で、収容部20が満杯枚数に達してしまうようなときに、3部目の途中で自動的に他の収容部30へ排出先が切り替わる制御が行われる。このような場合、
図6に示すように、印刷ジョブにおける3部目の印刷媒体(用紙P)の排出が収容部20と収容部30との複数の収容部に分かれて行われてしまう。
これに対して、本実施の形態では、上述したような印刷媒体を排出する制御を行うことで、
図5に示すように、排出先が印刷ジョブの途中で変わって複数の収容部に分かれて行われることが回避される。
【0078】
本実施の形態によれば、印刷ジョブの印刷枚数が複数の収容部20、30の収容可能残り枚数の最大値を超える場合、すなわち、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とすることで、確実に1つの印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が複数の収容部に分かれて行われることを回避することができる。
【0079】
本実施の形態によれば、印刷を非実行とする制御を行った場合、当該制御を行ったことを表示部55Aに表示させることで、非実行とする制御のみが行われる場合に比べ、当該制御を行ったことを認識しやすい。
【0080】
本実施の形態では、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が収容可能残り枚数の最大値以下の場合、前記複数の収容部20、30のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部を報知する制御を更に行っている。これにより、当該報知が行われない場合に比べ、当該印刷ジョブにおける印刷媒体の排出先を認識しやすい。
具体的には、
図7に示すように、表示部55Aに示されるジョブ履歴に収容可能残り枚数が最大値となる収容部(収容部20(スタッカートレイ1)又は収容部30(スタッカートレイ2))を表示することで報知される。
図7では、上述した収容可能残り枚数が最大値となる収容部として、収容部20が排出先のスタッカートレイ1として表示され、収容部30がスタッカートレイ2として表示されることで報知される。
【0081】
本実施の形態では、収容可能残り枚数の最大値を報知している。
具体的には、例えば、
図7に示すように、表示部55Aに表示されるジョブ履歴と共に、収容可能残り枚数の最大値となる収容部が表示され、当該最大値の枚数が例えば「7000枚(最大値)」のように表示されることで報知される。
このため、当該報知が行われない場合に比べ、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が前記収容可能残り枚数の最大値以下であるか否かを事前に認識しやすい。
【0082】
本実施の形態では、
図7に示すように、複数の収容部20、30のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部の収容可能残り枚数の報知を表示部55Aによる表示により行っている。これにより、複数の収容部20、30のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部の収容可能残り枚数を表示部55Aによる表示により視認される。
【0083】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、CPU51は、各収容部20、30において、複数の印刷ジョブの印刷に伴って排出された複数の印刷媒体の間に印刷ジョブ毎の区切り用の区切り媒体を排出させる制御を更に行っているものである。
【0084】
本実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャートは、第1の実施の形態の
図4で説明したフローチャートと略同一である。
但し、ステップ114において、ジョブ完了の際、最後に排出された用紙Pの上に、当該印刷ジョブの所定情報が印刷された印刷ジョブ毎の区切り用の区切り媒体となる用紙を1枚、排出させているものである。
ここで、CPU51は、区切り媒体の上面に、当該区切り媒体が排出される前に排出された印刷媒体に係る印刷ジョブの内容を特定できる所定情報を印刷する制御を更に行っている。
上述した所定情報とは、当該印刷ジョブを実行した日時や、当該印刷ジョブを実行した者のIDや、当該印刷ジョブの印刷枚数等が含まれる。
【0085】
具体的には、例えば、所定情報として、「印刷日時:2019年8月30日9時52分、使用者ID:69、ジョブ名:SamplePrint、排出先:スタッカートレイ1、印刷枚数、1000枚」のような内容が、印刷されるようなものが含まれる。
【0086】
本実施の形態によれば、区切り媒体を排出させる制御が行われない場合に比べ、複数の収容部の各収容部における複数の印刷ジョブ間の区切りを認識しやすい。
また、区切り媒体の上面に当該印刷ジョブの内容を特定できる所定情報が印刷されていることで、当該所定情報が印刷されていない場合に比べ、当該印刷ジョブの内容を容易に認識しやすい。
本実施の形態では、区切り媒体の用紙は、印刷ジョブに用いる用紙Pと同一の材質及び色からなる用紙を用いているが、特にこれに限定されるものではない。
具体的には、例えば、区切り媒体に用いる用紙は、当該印刷ジョブに用いられる印刷媒体とは色が異なる用紙を用いてもよいものである。
このように、区切り媒体の用紙が、印刷ジョブに用いられる印刷媒体の用紙と同じ色である場合と比べて、区切り媒体の用紙の色が異なることで、複数の印刷ジョブ毎の区切りを認識しやすくすることができる。
【0087】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
図8は、第3の実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0088】
本実施の形態では、CPU51は、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が収容可能残り枚数の最大値を超える場合、収容可能な収容部に当該最大値までの印刷枚数の印刷媒体を排出する上限付き印刷制御を更に行うことを特徴とするものである。
本実施の形態では、第1の実施の形態におけるフローチャートとは、ステップ116の内容が、ステップ120に変更されているものである。その他の処理は、第1の実施の形態と同様のものになっている。
本実施の形態では、ステップ112において、次に実行される印刷ジョブの印刷枚数が、収容可能残り枚数の最大値を超える場合、ステップ120に進む。
そして、ステップ120において、収容可能残り枚数の最大値までの印刷枚数を、当該最大値の収容部へ排出する処理である上限付き印刷制御を行うものである。
【0089】
本実施の形態によれば、収容可能残り枚数の最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、複数の収容部のうちで収容可能残り枚数が最大値である収容部に当該最大値までの印刷枚数の印刷媒体を排出する上限付き印刷制御を行わない場合と比べて、当該印刷ジョブにおける印刷媒体の排出が当該収容部以外の他の収容部に分かれて排出されることを回避しつつ、当該最大値までの印刷枚数の印刷媒体の排出は実行され、作業効率を向上させることができる。
【0090】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
図9は、第4の実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0091】
第4の形態では、CPU51は、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が収容可能残り枚数の最大値を超える場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御、及び、上述したような上限付き印刷制御のうち、使用者が選択したいずれか一方の制御を行うことを特徴とするものである。
【0092】
なお、特に図示していないが、表示部55Aにおいて、次に実行する印刷ジョブを開始する際、液晶表示装置の画面上にボタン表示が行われ、それと共に、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数が収容可能残り枚数の最大値を超える場合、すなわち、収容可能残り枚数の最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御を行うか、又は、上述したような最大値までの印刷を行う上限付き印刷制御を行うか、いずれを選択するかの表示が行われ、選択する方のボタンを手で押すような報知が行われる。いずれかのボタン表示を指で押下することにより、いずれを選択したか判断することができるように形成されている。
【0093】
なお、上記表示は、最初に表示されるように設定されているが、当該印刷ジョブの印刷枚数が収容可能残り枚数の最大値を超えた場合のときだけ、表示されるようにしてもよい。
【0094】
本実施の形態では、
図9に示すように、
図4で説明した第1の実施の形態におけるフローチャートとは、ステップ116の内容が、ステップ130~132に変更されているものである。その他の処理は、第1の実施の形態と同様のものになっている。
本実施の形態では、ステップ112において、次に実行される印刷ジョブの印刷枚数が、収容可能残り枚数の最大値を超える場合、ステップ130に進む。
【0095】
ステップ130において、CPU51は、上限印刷枚数制御を選択しているか否かを判断する。そして、CPU51は、上限印刷枚数制御を選択していると判断した場合(ステップS130:YES)、ステップ131に進み、上限印刷枚数制御を選択していないと判断した場合(ステップS130:NO)、ステップ132に進む。
ステップ131において、CPU51は、最大値までの印刷枚数の用紙Pを、当該最大値を収容可能残り枚数としている収容部へ排出する。
ステップ132において、CPU51は、表示部55Aにおいて、エラー表示を行い、用紙Pの出力が抑制される、すなわち当該印刷ジョブの印刷が非実行となる。
そして、当該処理が終了する。
【0096】
本実施の形態によれば、使用者が上記非実行とする制御、及び、上記上限付き印刷制御のいずれか一方を選択しない場合に比べ、使用者による利便性を向上させることができる。
【0097】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した実施形態は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0098】
本実施の形態では、一例として各処理をソフトウェアで実現する形態について説明したが、各処理のフローチャートと同等の処理を、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)に実装し、ハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をそれぞれソフトウェアで実現した場合と比較して、処理の高速化が図られる。
【0099】
また、上述した実施の形態では、印刷プログラムがROMにインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本発明に係る印刷プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば、本発明に係る印刷プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM、又はDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、本発明に係る情報処理プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びフラッシュメモリ等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。更に、印刷処理装置10は、通信回線を通じて、通信回線と接続される外部装置からプログラムを取得するようにしてもよい。
【0100】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
(付記)
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷ジョブによる印刷枚数を含む印刷情報を受け付け、
前記印刷ジョブに応じた印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部の収容可能残り枚数を取得し、
取得した各収容部数の前記収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、
前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部へ当該印刷ジョブによる印刷後の印刷媒体を排出する制御を行う、ことを特徴とする印刷制御装置。
(((2)))
前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御を行うことを特徴とする(((1)))に記載の印刷制御装置。
(((3)))
前記プロセッサは、前記印刷を非実行とする制御を行った場合、当該制御を行ったことを提示する制御を更に行うことを特徴とする(((2)))に記載の印刷制御装置。
(((4)))
前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部を報知する制御を更に行うことを特徴とする(((1)))~(((3)))のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
(((5)))
前記プロセッサは、前記最大値を報知することを特徴とする(((4)))に記載の印刷制御装置。
(((6)))
前記プロセッサは、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である収容部の前記収容可能残り枚数の報知を表示部による表示により行うことを特徴とする(((5)))に記載の印刷制御装置。
(((7)))
前記プロセッサは、各収容部において、複数の前記印刷ジョブの印刷に伴って排出された複数の印刷媒体の間に、前記印刷ジョブ毎の区切り用の区切り媒体を排出させる制御を更に行うことを特徴とする(((1)))~(((6)))のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
(((8)))
前記プロセッサは、前記区切り媒体の上面に、当該区切り媒体が排出される前に排出された印刷媒体に係る前記印刷ジョブの内容を特定できる情報を印刷する制御を更に行うことを特徴とする(((7)))に記載の印刷制御装置。
(((9)))
前記区切り媒体は、他の印刷媒体とは色が異なることを特徴とする(((8)))に記載の印刷制御装置。
(((10)))
前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部に当該最大値までの印刷枚数の前記印刷媒体を排出する上限付き印刷制御を更に行うことを特徴とする(((1)))に記載の印刷制御装置。
(((11)))
前記プロセッサは、前記最大値が次に実行する印刷ジョブの印刷枚数未満の場合、当該印刷ジョブによる印刷を非実行とする制御、及び、前記上限付き印刷制御のうち、使用者が選択した制御を行うことを特徴とする(((10)))に記載の印刷制御装置。
(((12)))
コンピュータに、
印刷ジョブによる印刷枚数を含む印刷情報を受け付け、
前記印刷ジョブに応じた印刷後の印刷媒体を収容する複数の収容部の収容可能残り枚数を取得し、
取得した各収容部の前記収容可能残り枚数のうちの最大値が、次に実行する印刷ジョブの印刷枚数以上の場合、
前記複数の収容部のうちで前記収容可能残り枚数が最大値である前記収容部へ当該印刷ジョブによる印刷後の印刷媒体を排出する制御を行う、
処理を実行させるための印刷プログラム。
【符号の説明】
【0101】
P・・・用紙、10・・・印刷処理装置、15・・・印刷装置、20、30・・・収容部、50・・・印刷制御装置、50A・・・受付部、50B・・・取得部、50C・・・制御部、51・・・CPU、52・・・ROM、53・・・RAM、54・・・ストレージ、55・・・ユーザインタフェース、55A・・・表示部、56・・・通信インターフェース、57・・・I/O