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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20231108BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231108BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 451
B41J2/165 201
B41J2/01 401
B41J2/01 303
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019198141
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070227
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雅和
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-059147(JP,A)
【文献】特開2017-109490(JP,A)
【文献】特開2016-124152(JP,A)
【文献】特開2013-215983(JP,A)
【文献】特開2012-228778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送部と、
前記記録媒体に向けてインク吐出部からインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録媒体の搬送中の異常を検知する板状の異常検知部材と、
前記異常検知部材に対して、前記インク吐出部から生じたミスト状インクを付着させるための電圧を印加する印加部と、を備えた
インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記印加部により前記異常検知部材に印加される電圧は、他の電器部品に印加される電圧よりも大きい
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記印加部により印加される電圧をON/OFFする電圧制御部と、を備えた
請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドを交換する際に開閉される開口部と、を備え、
前記電圧制御部は、前記開口部が開かれた場合には、前記印加部により印加される電圧をOFFにする
請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドを清掃するクリーニング部材と、を備え、
前記クリーニング部材により、前記異常検知部材に付着したミスト状インクを清掃する
請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記クリーニング部材により、前記異常検知部材に付着したミスト状インクを清掃するか否かを決定する決定部と、を備えた
請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記クリーニング部材により、前記異常検知部材に付着したミスト状インクを清掃する際に、前記異常検知部材による異常の検知は行わない
請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドを清掃するクリーニング部材と、を備え、
前記クリーニング部材により、前記異常検知部材に付着したミスト状インクを清掃する際に、
前記電圧制御部は、前記印加部により印加される電圧をOFFにする
請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記クリーニング部材の一端側の径を他端側の径よりも小さくした
請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記クリーニング部材の一端側に前記異常検知部材の先端が挿入される凹部を設けた
請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記クリーニング部材の一端側に、前記異常検知部材に付着したミスト状インクを清掃する専用部材を設けた
請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記専用部材は、前記クリーニング部材の径よりも小さい径を有する円筒状部材である
請求項11に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記専用部材は、前記クリーニング部材の硬度よりも柔らかい材質で構成されている
請求項11または12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記専用部材に、前記異常検知部材の先端が挿入される凹部を設けた
請求項11または12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記クリーニング部材により清掃されたミスト状インクを外部へ排出する排出部と、を備えた
請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記クリーニング部材と前記異常検知部材との間の距離を変更する距離変更部と、を備えた
請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録ヘッドからインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は記録ヘッドから液滴であるインクを吐出するという構造のため、液滴の一部が飛翔中に分離したり、インクが着弾時に跳ね返ったりすることで記録媒体に着弾しないミスト状インクが発生する。
【0003】
そのため、ミスト状インクを回収するための専用部材を設け、この専用部材に電圧を印加することにより、発生したミスト状インクを専用部材に付着させて回収するインクジェット記録装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-149759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のインクジェット記録装置では、ミスト状インクを回収するための特別な専用部材を設けているため、専用部材を配置するためのスペースが必要となり、装置が大型になるという問題がある。また、特別な専用部材を設けるためのコストがかかるという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、専用部材を設けることなくミスト状インクを回収できるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願のインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する搬送部と、記録媒体に向けてインク吐出部からインクを吐出する記録ヘッドと、記録媒体の搬送中の異常を検知する異常検知部材と、異常検知部材に対して、インク吐出部から生じたミスト状インクを付着させるための電圧を印加する印加部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、専用部材を設けることなくミスト状インクを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態例に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。
図2】本発明の一実施形態例に係るインクジェット記録装置を上面から見た図である。
図3】記録ヘッドのクリーニング動作時におけるクリーニング部材とキャリッジとの位置関係を示す斜視図である。
図4】異常検知部材のクリーニング動作時におけるクリーニング部材とキャリッジとの位置関係を示す斜視図である。
図5】他の実施形態例に係る異常検知部材のクリーニング動作時におけるクリーニング部材とキャリッジとの位置関係を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態例に係る異常検知部材と専用部材との位置関係を搬送方向の一側から見た際の断面図である。
図7】本発明の一実施形態例に係るインクジェット記録装置の内部構成を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態例に係るインクジェット記録装置のクリーニング動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。また、以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0011】
まず、本発明の実施形態例(以下、「本例」という)に係るインクジェット記録装置について説明する。図1は、本例に係るインクジェット記録装置1の概略構成図である。また、図2は、本例に係るインクジェット記録装置1を上面から見たときの概略構成図である。以下の説明では、記録ヘッド8を有するキャリッジ7を備える画像形成部6を、記録媒体Rの搬送方向と直交する方向に複数回往復させて描画を行うスキャン方式の例について説明する。さらに、本例のインクジェット記録装置では、記録媒体Rとして布帛を適用した例を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、本例のインクジェット記録装置1は、搬送部2と、画像形成部6と、クリーニング装置20を備える。
【0013】
搬送部2は、例えば、駆動ローラ4と、従動ローラ3と、搬送ベルト5とを備える。駆動ローラ4及び従動ローラ3は、記録媒体Rの搬送方向に直交する方向(記録媒体の幅方向)に延在する円柱状の部材で構成されており、互いに所定の間隔を介して平行に配置されている。駆動ローラ4は、図示を省略する駆動モータによって回転駆動される。
【0014】
搬送ベルト5は、駆動ローラ4及び従動ローラ3に巻き架けられる無端状のベルトである。搬送部2では、駆動ローラ4が駆動モータによって回転駆動されることによって、搬送ベルト5が駆動ローラ4と従動ローラ3との間を周回し、搬送ベルト5の上面に載置された記録媒体Rを搬送方向(図中矢印方向)に沿って搬送する。
【0015】
また、搬送ベルト5の上面部において、キャリッジ7よりも搬送方向の上流側には、押し付け部材14が配置されている。
【0016】
押し付け部材14は、ローラ状に形成されている、そして、押し付け部材14は、不図示の支持部により回転可能に支持されている。押し付け部材14は、その軸方向を幅方向と平行にして配置される。また、押し付け部材14の軸方向の長さは、搬送ベルト5の幅方向の長さよりも長く設定されている。そのため、押し付け部材14は、搬送ベルト5の幅方向の一端から他端にかけて延在している。そして、押し付け部材14は、後述する送り出し部11によって搬送部2に搬送された記録媒体Rを搬送ベルト5の上面部に向けて押し付ける。
【0017】
搬送部2の搬送方向の上流側には、送り出し部11が配置されている。送り出し部11は、ローラ状に形成されており、不図示の支持部に回転可能に支持されている。そして、送り出し部11は、回転駆動することで、記録媒体Rを搬送部2に向けて送り出す。
【0018】
また、搬送部2の搬送方向の下流側には、巻き取り部12が配置されている。巻き取り部12は、キャリッジ7によって画像が形成された記録媒体Rを搬送ベルト5から離反させて回収する。
【0019】
画像形成部6は、ガイドレール9と、キャリッジ7と、記録ヘッド8とを備える。
ガイドレール9は、記録媒体Rの搬送方向に直交する方向に延在する棒状部材で構成されている。ガイドレール9は、搬送ベルト5の記録媒体Rを載置する面の上方において、搬送ベルト5の搬送面から所定の距離を隔てて配置されている。ガイドレール9は、キャリッジ7を搬送ベルト5の搬送方向と直交する方向(以下、走査方向)に沿って移動可能に支持し、キャリッジ7は、搬送ベルト5、クリーニング装置20、及びパージ受け部40の上方を、走査方向に往復移動する。
【0020】
キャリッジ7は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)のそれぞれのインクカートリッジを搭載した箱状の部材であり、図示を省略する駆動部により、ガイドレール9に沿って移動する。記録ヘッド8は、キャリッジ7の搬送ベルト5に対向する面側に設けられており、キャリッジ7内部に搭載されたインクカートリッジのそれぞれのインクを、搬送ベルト5側に吐出するノズル面8aを有する。
【0021】
キャリッジ7のクリーニング装置20側端部には、異常検知部材10が設けられている。異常検知部材10は、平板状の金属部材で構成されており、搬送方向に延在した状態で、キャリッジ7の下部に固定されている。異常検知部材10の先端は、ノズル面8aよりも搬送ベルト5側に突出するように構成されている。これにより、記録媒体Rが搬送ベルト5の載置面上で波打っているような場合には、異常検知部材10の先端が、ノズル面8aよりも先に記録媒体Rに接触して、記録媒体Rが浮いた状態が発生していることを検知できる。異常検知部材10により異常を検知した場合には、キャリッジ7若しくは搬送ベルト5の移動を停止することにより、浮いた記録媒体Rにより記録ヘッド8がダメージを受けることを防止できる。
【0022】
キャリッジ7の内部には、電源13が配置されている。印加部としての電源13は、記録ヘッド8のノズル面8aから生じたミスト状インクを付着させるための電圧を、異常検知部材10に印加する。また、キャリッジ7の筐体には、内部に配置された記録ヘッド8や電源13等を交換する際に使用する開閉可能な開口部15が形成されている。
【0023】
また、本例の異常検知部材10に印加される電圧は、記録ヘッド8や基板等の他の電器部品に印加される電圧よりも大きくなるように設定されている。これにより、装置内に浮遊するミスト状インクを確実に異常検知部材10に付着させることができる。
【0024】
クリーニング装置20の底部には、記録ヘッド8及び異常検知部材10から回収したインクを外部へ排出するための排出部としての廃インクタンク30が接続されている。
【0025】
本例のインクジェット記録装置1では、キャリッジ7がガイドレール9に沿って走査方向に往復移動する間に、記録ヘッド8のノズルから所望のインクが吐出され、搬送ベルト5の搬送面を搬送される記録媒体Rに所望の画像が形成される。
【0026】
図2に示すように、クリーニング装置20は、搬送部2の一方の外側であって、ガイドレール9に沿って移動してくるキャリッジ7と対向する位置に配置されている。また、クリーニング装置20は、クリーニング部材としてのクリーニングローラ21を内蔵している。なお、本例のクリーニングローラ21は、スポンジで構成されている。クリーニングローラ21は、走査方向に延在した状態で、ローラキャリッジ22に保持されている。なお、ローラキャリッジ22には、クリーニングローラ21のローラ軸21aが固定されており、クリーニングローラ21は、ローラ軸21aに回転可能に支持されている。ローラキャリッジ22は、図示しない移動装置により、搬送方向に沿って往復移動する(図中矢印方向)。
【0027】
なお、本例では、クリーニング部材として、回転可能なローラ形状のものを用いたが、付着したインクをクリーニングすることができるものであればよく、例えば、回転しない板状のワイパーブレードを用いてもよい。
【0028】
さらに、クリーニング装置20の搬送部2と反対側には、パージ動作により吐出されるインクを受けるパージ受け部40が、ガイドレール9に沿って移動してくるキャリッジ7と対向する位置に配置されている。
【0029】
図3は、記録ヘッド8のクリーニング動作時におけるクリーニングローラ21とキャリッジ7との位置関係を示す斜視図である。
【0030】
図3に示すように、記録ヘッド8のクリーニング時には、パージ動作を行った基準位置から、キャリッジ7を搬送部2に近づけるようにガイドレール9に沿って移動させて、記録ヘッド8をクリーニングローラ21と対向する位置に移動させる。この状態で、クリーニングローラ21を、搬送方向(図中矢印方向)に移動させることにより、表面が記録ヘッド8と接触した状態でクリーニングローラ21が回転し、ノズル面8aに残ったインクがクリーニングローラ21の表面に付着することにより、記録ヘッド8のクリーニング(清掃)が行われる。
【0031】
図4は、異常検知部材10のクリーニング動作時におけるクリーニングローラ21とキャリッジ7との位置関係を示す斜視図である。
【0032】
図4に示すように、異常検知部材10のクリーニング時には、図3に示す記録ヘッド8のクリーニング時よりも、さらに、キャリッジ7を搬送部2に近づけるようにガイドレール9に沿って移動させて、異常検知部材10をクリーニングローラ21と対向する位置に移動させる。このとき、異常検知部材10の先端がクリーニング部材10の表面に接触する。この状態で、クリーニングローラ21を、搬送方向(図中矢印方向)に移動させることにより、表面が異常検知部材10と接触した状態のクリーニングローラ21が回転し、異常検知部材10に付着しているミスト状インクがクリーニングローラ21に付着することにより、異常検知部材10のクリーニング(清掃)が行われる。
【0033】
なお、本例では、キャリッジ7を走査方向に移動させることにより、異常検知部材10をクリーニングローラ21と対向させる位置に移動させているが、例えば、ローラキャリッジ22を走査方向に移動させる構成を用いて、クリーニングローラ21を移動させて、異常検知部材10とクリーニングローラ21とを対向させるようにしてもよい。
【0034】
また、上述したように、本例では、異常検知部材10の先端がノズル面8aよりも搬送ベルト5側に突出するように構成されているので、クリーニングローラ21の一端部側の表面を切削加工して、クリーニングローラ21のパージ受け部40側端部の径を反対側の径よりも小さくしてもよい。これにより、異常検知部材10のクリーニング時における異常検知部材10のクリーニングローラ21への当接圧を低くして、摩耗を減らすことでクリーニングローラ21の寿命を長くすることができる。
【0035】
図5は、他の例における異常検知部材10のクリーニング動作時におけるクリーニングローラ21とキャリッジ7との位置関係を示す斜視図である。
【0036】
図5に示すように、本例のクリーニングローラ21のパージ受け部40側端部には、クリーニングローラ21とは別部材の円筒状の専用部材23が連設されている。本例では、異常検知部材10のクリーニング時には、キャリッジ7をガイドレール9に沿って移動させて、異常検知部材10を専用部材23と対向する位置に移動させる。このように、異常検知部材10のクリーニングに使用する専用部材23を設けることにより、異常検知部材10がクリーニングローラ21に当接することをなくすことができる。また、異常検知部材10の当接により専用部材23が消耗した場合には、専用部材23のみを交換することで、クリーニングローラ21の寿命を長くすることができる。
【0037】
また、本例の専用部材23は、クリーニングローラ21の径よりも小さい径を有するように円筒状の部材で構成されている。これにより、異常検知部材10のクリーニング時における異常検知部材10の専用部材23への当接圧を低くし、摩耗を減らすことで専用部材23の寿命を長くすることができる。
【0038】
さらには、専用部材23を、クリーニングローラ21よりも柔らかい材質で形成するようにしてもよい。例えば、クリーニングローラ21よりもウレタン硬度よりも低い材質を用いて専用部材23を形成する。これにより、異常検知部材10の当接による専用部材23の摩耗を減らして、専用部材23の寿命を長くすることができる。
【0039】
図6は、異常検知部材10と専用部材23との位置関係を搬送方向の一側から見た際の断面図である。
図6に示すように、本例の専用部材23の表面には、異常検知部材10の先端が挿入し勘合できる凹部24が形成されている。異常検知部材10の先端が凹部24に挿入されることにより、異常検知部材10のクリーニング時に、異常検知部材10の専用部材23への当接圧を低くすることができる。これにより専用部材23の摩耗を減らして、クリーニングローラ21の寿命を長くできる。さらには、異常検知部材10から自重で垂れるインクを凹部24で溜めて回収することにより、清掃効率を上げることができる。
【0040】
さらに、クリーニングローラ21の表面と異常検知部材10の先端との距離を変更するようにしてもよい。本例では、キャリッジ7を上下方向に移動と図示しない移動装置を設け、異常検知部材10のクリーニングを行う際に、異常検知部材10の先端がクリーニングローラ21から離れるように移動させる。これにより、異常検知部材10の先端がノズル面8aよりも搬送ベルト5側に突出している場合であって、異常検知部材10のクリーニングローラ21への当接圧を低くして摩耗を減らし、クリーニングローラ21の寿命を長くすることができる。また、径の大きさが同じクリーニングローラ21を用いる場合であっても、異常検知部材10のクリーニング時と記録ヘッド8のクリーニング時におけるクリーニングローラ21表面への当接圧を同じに保つことができる。
【0041】
次に、インクジェット記録装置1の内部構成について、図7を用いて説明する。
【0042】
図7は、インクジェット記録装置1の内部構成のうちクリーニング動作に関する構成を示すブロック図である。
図7に示すように、インクジェット記録装置1は、制御部180を備えている。
【0043】
制御部180は、公知のCPU、RAM、ROMを備えており、インクジェット記録装置1の各部を統括制御するようになっている。また、制御部180には、ヘッド制御部181、圧力制御部182、電圧制御部183、移動制御部184等が接続されている。
【0044】
ヘッド制御部181は、記録ヘッド8と接続されており、記録ヘッド8によるインクの吐出を制御する。
【0045】
圧力制御部182は、記録ヘッド8内の圧力を制御する。
【0046】
電圧制御部183は、異常検知部材10に印加する電源13からの電圧を、ON/OFFを含めて制御する。また、キャリッジ7の開口部15が開口している場合には、作業者の安全性を考慮して、電源13からの電圧がOFFとなるように制御する。また、クリーニングローラ21により異常検知部材10のクリーニングを行う場合には、異常検知部材10に付着したインクを回収しやすくするために、電源13からの電圧がOFFとなるように制御する。
【0047】
移動制御部184は、図示を省略した移動装置を制御して、画像形成動作時、パージ動作時及びクリーニング動作時におけるキャリッジ7の走査方向への移動を制御する。また、クリーニング動作時におけるローラキャリッジ22の搬送方向の移動を制御する。さらには、距離変更部としての移動制御部184は、図示を省略した昇降装置を制御してキャリッジ7を上下方向へ移動させ、異常検知部材10とクリーニングローラ21との間の距離を変更する。
【0048】
なお、決定部としての制御部180は、クリーニング装置20のクリーニング時において、異常検知部材10へのミスト状インクの付着状態に応じて、記録ヘッド8のクリーニングのみを行い、異常検知部材10のクリーニングを行わないことを決定する。従って、ミスト状インクの付着が少ない場合は、異常検知部材10のクリーニングを省略して、クリーニング時間を短縮することができる。
【0049】
次に、クリーニング時におけるインクジェット記録装置1の動作について、図8を用いて説明する。
図8は、クリーニング時におけるインクジェット記録装置1の動作を示すフローチャートである。
【0050】
本例では、画像形成動作が終了した後に、移動制御部184により、キャリッジ7をパージ受け部40と対向する基準位置に移動させる。つぎに、ヘッド制御部181による記録ヘッド8によるフラッシング動作を停止させた後、圧力制御部182による記録ヘッド8の背圧制御を停止させて、記録ヘッド8内のインクを所定時間加圧パージする(ステップS1)。これにより、記録ヘッド8内の気泡がインクとともにパージされ、パージ受け部40に収容される。このとき、記録ヘッド8のノズル面8aには少量のインクが残留する。また、異常検知部材10には、画像形成動作時に回収したミスト状インクが付着している。
【0051】
つぎに、移動制御部184により、キャリッジ7を基準位置からクリーニング装置20に対向する位置に移動させて、図3に示すように、記録ヘッド8のノズル面8aをクリーニングローラ21と対向させる(ステップS2)。
【0052】
つぎに、移動制御部184により、ローラキャリッジ22を搬送方向に移動させて、クリーニングローラ21によりノズル面8aのクリーニングを実施する(ステップS3)。
【0053】
つぎに、異常検知部材10のクリーニングを行う場合には、移動制御部184により、キャリッジ7を基準位置からクリーニング装置20に対向する位置に移動させて、図4に示すように、異常検知部材10をクリーニングローラ21と対向させる(ステップS4)。
【0054】
つぎに、移動制御部184により、ローラキャリッジ22を搬送方向に移動させて、クリーニングローラ21により異常検知部材10のクリーニングを実施する(ステップS5)。また、異常検知部材10のクリーニング実施中は、異常検知部材10による搬送部材の異常検知を中止するようにしてもよい。なお、上述したように、記録ヘッド8のクリーニングのみを行なう場合には、S4及びS5のステップは省略される。
【0055】
クリーニング装置20のクリーニングローラ21によりノズル面8a及び異常検知部材10から回収されたインクは、クリーニング装置20の外に排出されて廃インクタンク30に収納される(ステップS6)。
【0056】
クリーニング装置20によるクリーニング動作が終了すると、移動制御部184は、キャリッジ7を基準位置に移動させて、次に画像生成動作に備える(ステップS7)。なお、本例では、基準位置をキャリッジ7がパージ受け部40と対向する位置としたが、基準位置は別の位置に設定してもよい。
【0057】
本例のインクジェット記録装置1によれば、従来からノズル面8aの清掃に使用していたクリーニングローラ21を用いることで、異常検知部材10に付着させて回収したミスト状インクをクリーニングすることができる。従って、特別な部材を追加する必要がないため、インクジェット記録装置1の大型化を防ぎ、コストを抑えることができる。
【0058】
以上、本発明について、実施形態の例に基づいて説明したが、上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、本実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0059】
本例では、キャリッジ7がガイドレール9を走査方向に往復移動する際に、往路と復路の両方で記録ヘッド8からインクを吐出させて記録媒体R上に画像を形成するようにしたが、一方向の移動のときにのみインクを吐出させて画像を形成するようにしてもよい。
【0060】
本例では、専用部材23の径をクリーニングローラ21の径よりも小さくしているが、クリーニングローラ21と同じ径としてもよい。
【0061】
本例では、専用部材23の形状を円筒形としたが、これに限られることなく、異常検知部材10の先端部分に接触できる形状であればよい。
【0062】
クリーニングローラ21の異常検知部材10の先端と対向する位置に、異常検知部材10の先端が挿入できる凹部を設け、クリーニング時における異常検知部材10の当接圧を低くしてもよい。
【0063】
また、本例では、キャリッジ7を上下方向に移動させて、異常検知部材10とクリーニングローラ21との間の距離を変更させたが、ローラキャリッジ22を上下方向に移動させて、異常検知部材10とクリーニングローラ21との間の距離を変更させてもよい。
【0064】
また、本例では、クリーニングローラ23と専用部材23とを別部品としたが、一体成型により1つのクリーニングローラとしてしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…インクジェット記録装置、2…搬送部、3…従動ローラ、4…駆動ローラ、5…搬送ベルト、6…画像形成部、7…キャリッジ、8…記録ヘッド、8a…ノズル面、9…ガイドレール、10…異常検知部材、11…送り出し部、12…巻き取り部、13…電源、14…押し付け部材、15…開口部、20…クリーニング装置、21…クリーニング部材、22…ローラキャリッジ、23…専用部材、24…凹部、30…廃インクタンク、40…パージ受け部、180…制御部、183…電圧制御部、184…移動制御部
図1
図2
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図5
図6
図7
図8