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特許7380095画像処理装置、画像形成装置、簡易色見本表、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置、簡易色見本表、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20231108BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019201614
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2021077955
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横橋 麻美
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】松尾 紘太
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-136401(JP,A)
【文献】特開2011-254234(JP,A)
【文献】特開2009-004864(JP,A)
【文献】特開2007-025492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46-62
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
第1の色見本表から第2の色見本表を生成するものであって、
前記第2の色見本表は、前記第1の色見本表に含まれる複数の色見本のうちの一部である複数の色見本からなり、前記第2の色見本表を構成する色見本が、少なくとも第1の色見本表において一部隣接する関係を保持して、第2の色見本表に配置されるように前記第2の色見本表を生成
前記関係は、
前記第2の色見本表を生成するための中間生成物を示す予備簡易チャートにおける列端の色見本と対応する、前記第1の色見本表の色見本と隣り合う色見本の1つが、前記列端の色見本の隣に配置されることで保持される、
画像処理装置。
【請求項2】
前記一部隣接する関係は、前記第2の色見本表を走査するときの主走査方向及び当該主走査方向と直交する副走査方向のいずれか一方の方向について隣接する関係である、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の色見本表は、前記第2の色見本表における、前記一方の方向についての端部の色見本に隣接する位置に、前記第1の色見本表において前記端部の色見本に対応する色見本に隣接する色見本が配置されている、
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像処理装置により生成された第2の色見本表に基づいて、前記第2の色見本表を記録媒体に形成する、
画像形成装置。
【請求項5】
基本色見本表に含まれる複数の色見本のうちの一部である複数の色見本からなり、第2の色見本表を構成する色見本が、少なくとも前記基本色見本表において一部隣接する関係を保持して配置されており、
前記関係は、
前記第2の色見本表を生成するための中間生成物を示す予備簡易チャートにおける列端の色見本と対応する、前記基本色見本表の色見本と隣り合う色見本の1つが、前記列端の色見本の隣に配置されることで保持される、
簡易色見本表。
【請求項6】
コンピュータに、
第1の色見本表から第2の色見本表を生成するものであって、
前記第2の色見本表は、前記第1の色見本表に含まれる複数の色見本のうちの一部である複数の色見本からなり、前記第2の色見本表を構成する色見本が、少なくとも第1の色見本表において一部隣接する関係を保持して、第2の色見本表に配置されるように前記第2の色見本表を生成させ、
前記関係は、
前記第2の色見本表を生成するための中間生成物を示す予備簡易チャートにおける列端の色見本と対応する、前記第1の色見本表の色見本と隣り合う色見本の1つが、前記列端の色見本の隣に配置されることで保持される、
画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、簡易色見本表、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画像を用紙に形成する画像形成部と、前記画像形成部を制御して、キャリブレーション用のパターン画像を用紙に形成する制御部と、を有し、前記パターン画像は、それぞれ階調の異なる複数のパッチを隣り合うように並べて構成されるとともに、前記複数のパッチは、前記キャリブレーション用の読取データを取得するための有効領域を内部に含む第1の領域部をそれぞれ備えており、前記パターン画像の外周に位置付けられるパッチのうち少なくとも一つのパッチは、前記第1の領域部の階調と同一階調で外方へと拡幅された第2の領域部をさらに備えることを特徴とする画像形成装置を開示する。
【0003】
特許文献2は、プリンタが印刷したカラーチャートを測定して得たRGB値を、L*a*b*値又はXYZ値からなる測色値に変換する色変換装置であって、前記プリンタが印刷した第1のカラーチャートの各パッチを測定して得たRGB値と測色値とを対応付けるスキャナプロファイルを取得するスキャナプロファイル取得部と、前記第1のカラーチャートの各パッチのRGB値と前記第1のカラーチャートの一部のパッチのRGB値又はパッチサイズを変更して作成した所定のチャートの各パッチのRGB値とに基づいて、RGB値差及びパッチサイズ差とフレアレベルに応じたRGB値の補正量とを対応付けるテーブルを作成し、記憶部に保存するテーブル作成部と、前記テーブルを参照して、前記第1のカラーチャートとはRGB値又はパッチサイズが異なる第2のカラーチャートの各パッチを測定して得たRGB値を補正し、前記スキャナプロファイルを参照して、前記補正したRGB値を測色値に変換する色変換部と、を備えることを特徴とする色変換装置を開示する。
【0004】
特許文献3は、印刷部及び測色部を備える画像形成装置と、前記画像形成装置を制御する制御装置と、を含むシステムにおけるチャート作成方法であって、前記制御装置が、複数のパッチを配置したチャートの印刷画像を生成して、前記画像形成装置に前記チャートの印刷及び測色を指示し、前記画像形成装置が、前記チャートを印刷し、前記チャートの各パッチを測色する第1のチャート作成処理と、前記制御装置が、前記画像形成装置から前記チャートの各パッチの測色値を取得し、測色対象のパッチと当該パッチの周辺のパッチとからなる小パッチ群における各パッチの測色値を平均した平均測色値の、前記チャート内のバラツキが所定の範囲に収まるように、パッチを再配置する再配置処理と、前記制御装置が、パッチを再配置したチャートの印刷画像を生成し、前記画像形成装置に前記チャートの印刷及び測色を指示し、前記画像形成装置が、前記パッチを再配置したチャートを印刷し、前記チャートの各パッチを測色する第2のチャート作成処理と、を実行する、ことを特徴とするチャート作成方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-118674号
【文献】特開2018-011101号
【文献】特許6120184号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
測色器による色見本表の読み取りを簡易にすべく、基本色見本表に含まれる色見本の数より少ない数の色見本を含む簡易色見本表が用いられる場合がある。用紙(例えば、A3)における、簡易色見本表に含まれる全ての色見本が占める面積が、基本色見本表に含まれる全ての色見本が占める面積より小さいことから、簡易色見本表では、各色見本は、周辺の余白からの影響(フレア等)を受け易い。そのため、基本色見本表に含まれる色見本を読み取る条件と、簡易色見本表に含まれる色見本を読み取る条件とが、異なることになる。
【0007】
本発明は、簡易色見本表に含まれる色見本を読み取る場合に、色見本の周辺の余白及び色見本の周辺での乱反射からの影響を受けることを低減することができる画像処理装置、画像形成装置、簡易色見本表、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決すべく、第1態様に係る画像処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、第1の色見本表から第2の色見本表を生成するものであって、前記第2の色見本表は、前記第1の色見本表に含まれる複数の色見本のうちの一部である複数の色見本からなり、前記第2の色見本表を構成する色見本が、少なくとも第1の色見本表において一部隣接する関係を保持して、第2の色見本表に配置されるように前記第2の色見本表を生成する。
【0009】
第2態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置において、前記一部隣接する関係は、前記第2の色見本表を走査するときの主走査方向及び当該主走査方向と直交する副走査方向のいずれか一方の方向について隣接する関係である。
【0010】
第3態様に係る画像処理装置は、第2態様に係る画像処理装置において、前記第2の色見本表は、前記第2の色見本表における、前記一方の方向についての端部の色見本に隣接する位置に、前記第1の色見本表において前記端部の色見本に対応する色見本に隣接する色見本が配置されている。
【0011】
第4態様に係る画像処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、第1態様から第3態様までのいずれかに係る画像処理装置により生成された第2の色見本表に基づいて、前記第2の色見本表を記録媒体に形成する。
【0012】
第5態様に係る簡易色見本表は、基本色見本表に含まれる複数の色見本のうちの一部である複数の色見本からなり、前記第2の色見本表を構成する色見本が、少なくとも第1の色見本表において一部隣接する関係を保持して配置されている。
【0013】
第6態様に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、第1の色見本表から第2の色見本表を生成するものであって、前記第2の色見本表は、前記第1の色見本表に含まれる複数の色見本のうちの一部である複数の色見本からなり、前記第2の色見本表を構成する色見本が、少なくとも第1の色見本表において一部隣接する関係を保持して、第2の色見本表に配置されるように前記第2の色見本表を生成させる。
【発明の効果】
【0014】
第1態様に係る画像処理装置、第5態様に係る簡易色見本表、及び、第6態様に係る画像処理プログラムによれば、第2の色見本表または簡易色見本表に含まれる色見本を読み取る場合に、色見本の周辺の余白及び色見本の周辺での乱反射からの影響を受けることを低減することができる。
【0015】
第2態様に係る画像処理装置によれば、主走査方向及び副走査方向のいずれか一方の方向についての、色見本の周辺の余白及び色見本の周辺での乱反射からの影響を受けることを低減することができる。
【0016】
第3態様に係る画像処理装置によれば、第2の色見本表における、前記一方の方向での端部の色見本への、色見本の周辺の余白及び色見本の周辺での乱反射の影響を、第1の色見本表において隣接する色見本を用いて低減することができる。
【0017】
第4態様に係る画像形成装置によれば、記憶媒体を通じて、第2の色見本表を利用可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1の画像処理装置の構成を示す。
図2】実施形態1の画像処理装置の機能ブロック図である。
図3】実施形態1の基本チャートの構成を示す。
図4】実施形態1の生成部の機能ブロック図である。
図5】実施形態1の画像形成装置の構成を示す。
図6】実施形態1の画像形成装置の機能ブロック図である。
図7】実施形態1の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
図8】実施形態1の予備簡易チャートを示す。
図9】実施形態1の正式簡易チャートを示す。
図10】実施形態2の効果確認用の予備簡易チャートを示す。
図11】実施形態2の効果確認用の正式簡易チャートを示す。
図12】実施形態2の基本チャートと、実施形態2の効果確認用の予備簡易チャートまたは効果確認用の正式簡易チャートとの間でのG値の差を示す。
図13】実施形態2の基本チャートと、実施形態2の効果確認用の予備簡易チャートまたは効果確認用の正式簡易チャートとの間でのR値の差を示す。
図14】実施形態2の基本チャートと、実施形態2の効果確認用の予備簡易チャートまたは効果確認用の正式簡易チャートとの間でのB値の差を示す。
図15】実施形態2の効果確認用の正式簡易チャート及び効果確認用の予備簡易チャートと基本チャートとの精度差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈実施形態1〉
以下、本発明に係る画像処理装置及び画像形成装置の実施形態について説明する。
【0020】
〈実施形態1の構成〉
図1は、実施形態1の画像処理装置の構成を示す。以下、実施形態1の画像処理装置の構成について、図1を参照して説明する。
【0021】
実施形態1の画像処理装置GSは、図1に示されるように、入力部1と、CPU2(Central Processing Unit)と、出力部3と、記憶媒体4と、メモリ5と、を含む。
【0022】
入力部1は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルから構成される。CPU2は、プロセッサの一例であり、ソフトウェアに従ってハードウェアを動作させる、よく知られたコンピュータの中核である。出力部3は、例えば、プリンタ、液晶モニター、ネット接続ユニットから構成される。記憶媒体4は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)から構成される。メモリ5は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)から構成される。
【0023】
記憶媒体4は、プログラムPRG、基本チャートKHC、及び、簡易チャートKNCを記憶する。プログラムPRGは、画像処理装置GSが実行すべき処理の内容を規定する命令群である。「基本チャートKHC」は、画像処理装置GSの色変換プロファイルを作成するために用いられる色見本表であり、『第1の色見本表』及び『基本色見本表』の一例である。また、「簡易チャートKNC」は、上記した色変換プロファイルの作成を簡易に行うべく、基本チャートKHCに基づき作成される色見本表であり、『第2の色見本表』及び『簡易色見本表』の一例である。
【0024】
図2は、実施形態1の画像処理装置の機能ブロック図である。
【0025】
画像処理装置GSは、図2に示されるように、生成部11と、制御部12と、記憶部13と、を含む。
【0026】
画像処理装置GSにおける、ハードウェアの構成と機能的構成との関係については、ハードウェア上で、CPU2が、記憶媒体4(記憶部13の一部の機能を実現する。)に記憶されたプログラムPRGを、メモリ5(記憶部13の他の一部の機能を実現する。)を用いつつ実行すると共に、必要に応じて、入力部1及び出力部3の動作を制御することにより、生成部11、及び制御部12の各部の機能を実現する。その結果として、画像処理装置GSは、例えば、生成部11により生成された簡易チャートKNC(図9に図示された正式簡易チャートSKNC)を出力部3から画像形成装置GK(図5に図示。)へ出力する。各部の機能については、後述する。
【0027】
図3は、実施形態1の基本チャートKHCの構成を示す。
【0028】
基本チャートKHCは、上記したように、画像処理装置GSの色変換プロファイルを作成するために用いられるべく、図3に示されるように、印刷媒体(例えば、A3の印刷用紙)に、正方形の複数のパッチP1~Pm(mは、二以上の任意の整数)が全体で矩形を、より正確には、長方形を形成するように印刷されている。ここで、「複数のパッチP1~Pm」は、『第1の色見本表に含まれる複数の色見本』の一例である。図3に示されるように、X方向が、主走査方向であると定義され、また、Y方向が副走査方向であると定義される。「主走査方向」とは、画像処理装置GSが、上記した色変換プロファイルを作成すべく、上記した基本チャートKHCまたは簡易チャートKNCをスキャナ(図示省略)で走査するときにおける走査方向をいい、「副走査方向」とは、前記主走査方向と直交する方向をいう。
【0029】
図4は、実施形態1の生成部の機能ブロック図である。
【0030】
生成部11(図2に図示。)は、図4に示されるように、作成部11Aと、認識部11Bと、抽出部11Cと、配置部11Dと、を含む。各部の機能については、後述する。
【0031】
図5は、実施形態1の画像形成装置の構成を示す。以下、実施形態1の画像形成装置GKの構成について、図5を参照して説明する。
【0032】
実施形態1の画像形成装置GKは、図5に示されるように、入力部21と、CPU22(Central Processing Unit)と、出力部23と、記憶媒体24と、メモリ25と、を含む。
【0033】
入力部21は、上記した画像処理装置GS(図1に図示。)の入力部1と基本的に同様であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルから構成され、また、ネット接続ユニットから構成される。CPU22は、上記した画像処理装置GSのCPU2と同様に、プロセッサの一例であり、ソフトウェアに従ってハードウェアを動作させる、よく知られたコンピュータの中核である。出力部23は、上記した画像処理装置GSの出力部3と同様に、例えば、プリンタ、液晶モニター、ネット接続ユニットから構成される。記憶媒体24は、上記した画像処理装置GSの記憶媒体4と同様に、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)から構成される。メモリ25は、上記した画像処理装置GSのメモリ5と同様に、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)から構成される。
【0034】
記憶媒体24は、図5に示されるように、プログラムPRGMを記憶する。
【0035】
図6は、実施形態1の画像形成装置の機能ブロック図である。
【0036】
画像形成装置GKは、図6に示されるように、形成部31と、制御部32と、記憶部33と、を含む。
【0037】
画像形成装置GKにおける、ハードウェアの構成と機能的構成との関係については、ハードウェア上で、CPU22が、記憶媒体24(記憶部33の一部の機能を実現する。)に記憶されたプログラムPRGMを、メモリ25(記憶部33の他の一部の機能を実現する。)を用いつつ実行すると共に、必要に応じて、入力部21及び出力部23の動作を制御することにより、形成部31、及び制御部32の各部の機能を実現する。特に、形成部31は、出力部23であるプリンタ、より詳しくは、電子写真方式又はインクジェット記録方式により用紙に画像を形成するプリンタに対応する。その結果として、画像形成装置GKは、例えば、画像処理装置GSから受け取る簡易チャートKNCを出力部23で印刷する。各部の機能については、後述する。
【0038】
〈実施形態1の動作〉
実施形態1の画像処理装置及び画像形成装置の動作について説明する。
【0039】
図7は、実施形態1の画像処理装置GS及び画像形成装置GKの動作を示すフローチャートである。以下、実施形態1の画像処理装置GS及び画像形成装置GKの動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。説明及び理解を容易にすべく、以下では、「簡易チャートKNC」を「予備簡易チャートYKNC」及び「正式簡易チャートSKNC」に分ける。ここで、「正式簡易チャートSKNC」は、「簡易チャートKNC」自体であり、他方で、「予備簡易チャートYKNC」は、「正式簡易チャートSKNC」が作成される過程での中間生成物である。詳細については、後述する。
【0040】
ステップS1:画像処理装置GS(図1に図示。)では、CPU2(図1に図示。)は、生成部11内の作成部11A(図4に図示。)として、基本チャートKHC(図3に図示。)から、予備簡易チャートYKNCを作成する。
【0041】
より具体的には、CPU2は、作成部11Aとして、従来知られた方法を用いて、基本チャートKHCが有する色域(基本チャートKHCの色空間が表現することができる色の範囲)と同等の色域を表現することができるように、基本チャートKHCを構成する複数のパッチP1~Pm(図3に図示。)のうち、図8に示されるように、少なくとも一部の複数のパッチPT1~PTn(nは2以上であり、かつ、mより小さい整数。PTnは、図8での図示を省略。)により構成された、換言すれば、基本チャートKHCを構成する複数のパッチP1~Pmから間引きされた一部の複数のパッチPT1~PTnにより構成された予備簡易チャートYKNCを作成する。
【0042】
図7に戻り、画像処理装置GSの動作について引き続き説明する。
【0043】
ステップS2:CPU2は、生成部11内の認識部11B(図4に図示。)として、予備簡易チャートYKNCで、複数のパッチPT1~PTnの中から、列端パッチRHPを認識する。ここで、「列端パッチRHP」とは、複数のパッチPT1~PTnの端部に位置するパッチであり、より正確には、図8に示されるように、予備簡易チャートYKNCを構成する複数のパッチPT1~PTnのうち、X方向(図3に図示。)、即ち、主走査方向について、隣接するパッチが存在しないパッチをいう。例えば、図8で、PT1、PT4、PT5、PT8、PT9、...である。
【0044】
ステップS3:CPU2は、生成部11内の抽出部11C(図4に図示。)として、基本チャートKHCから、隣接パッチRSPを抽出する。ここで、「隣接パッチRSP」とは、基本チャートKHCにおける、列端パッチRHPと少なくとも一部隣接する関係を保持するパッチをいう。図8で、例えば、予備簡易チャートYKNCにおける列端パッチRHPであるパッチPT4について、その隣接パッチRSPは、基本チャートKHCにおける、パッチPT4に対応するパッチP23とX軸方向(主走査方向)について隣接するパッチP22及びパッチP24である。同様に、図8で、例えば、予備簡易チャートYKNCにおける列端パッチRHPであるパッチPT8について、その隣接パッチRSPは、基本チャートKHCにおける、パッチPT8に対応するパッチP63とX軸方向(主走査方向)について隣接するパッチP62及びパッチP64である。
【0045】
図7に戻り、画像処理装置GSの動作について引き続き説明する。
【0046】
ステップS4:CPU2は、生成部11内の配置部11D(図4に図示。)として、予備簡易チャートYKNCにおいて、列端パッチRHPの隣りに隣接パッチRSPを配置する。より詳しくは、CPU2は、図8で、予備簡易チャートYKNCにおいて、右隣りにパッチが存在しない列端パッチRHPであるパッチPT4の右隣りの位置に、基本チャートKHCにおける、パッチPT4に対応するパッチP23の隣接パッチRSPであるパッチP22及びパッチP24のうちのいずれかのパッチ、例えば、パッチP24を配置する。CPU2は、同様に、図8で、予備簡易チャートYKNCにおいて、右隣りにパッチが存在しない列端パッチRHPであるパッチPT8の右隣りの位置に、基本チャートKHCにおける、パッチPT8に対応するパッチP63の隣接パッチRSPであるパッチP62及びパッチP64のうちのいずれかのパッチ、例えば、パッチP64を配置する。他の列端パッチRHP、例えば、パッチPT1、パッチPT5、パッチPT9についても、上記したと同様に、パッチPT1、パッチPT5、パッチPT9の左隣りの位置に、各々の隣接パッチRSPのいずれか一つを配置する(図示せず。)。これにより、図9に示される正式簡易チャートSKNCが、完成する。
【0047】
図7に戻り、引き続き説明する。
【0048】
ステップS5:画像形成装置GKでは、CPU22(図5に図示。)は、形成部31(図6に図示。)の動作を制御し、これにより、形成部31は、印刷媒体に正式簡易チャートSKNC(図9に図示。)の画像を形成し、即ち、印刷媒体に正式簡易チャートSKNCを印刷する。
【0049】
〈実施形態2〉
以下に、実施形態2の画像処理装置GSの動作の効果を検証する。
【0050】
図10は、実施形態2の効果確認用の予備簡易チャートYKNCを示す。図11は、実施形態2の効果確認用の正式簡易チャートSKNCを示す。
【0051】
実施形態2の画像処理装置GS(図1に図示。)は、図7に示されるフローチャートに沿って動作することにより、図9に示される正式簡易チャートSKNCとは異なる、図11に示される効果確認用の正式簡易チャートSKNCも生成する。より具体的には、画像処理装置GSは、図3に示される基本チャートKHCから、図10に示される効果確認用の予備簡易チャートYKNCを経て、図11に示される効果確認用の正式簡易チャートSKNCを生成する。図11で、列端パッチRHPであるパッチpt1~pt15のpt1~pt15は、列端パッチRHPの番号を示す。
【0052】
図12図13図14は、それぞれ、実施形態2の基本チャートKHC及び実施形態2の効果確認用の予備簡易チャートYKNC間でのG値、R値の差、及びB値の差、並びに、実施形態2の基本チャートKHC及び効果確認用の正式簡易チャートSKNC間でのG値、R値の差、及びB値の差を示す。ここで、「G値の差」は、緑色についての差であり、「R値の差」は、赤色についての差であり、「B値の差」は、青色についての差である。
【0053】
図12図13、及び図14に示されるように、色変換プロファイルを作成すべく、効果確認用の正式簡易チャートSKNC(図11に図示。)、効果確認用の予備簡易チャートYKNC(図10に図示。)、及び、基本チャートKHC(図3に図示。)をスキャナ(図示せず。)で走査した場合に、基本チャートKHCに対する効果確認用の正式簡易チャートSKNCのG値の差、R値の差、及びB値の差は、隣接パッチRSPであるパッチpt1~pt15(図10図11に図示。)のほぼ全てについて、基本チャートKHCに対する効果確認用の予備簡易チャートYKNCのG値の差、R値の差、及びB値の差より小さくなっている。換言すれば、正式簡易チャートSKNCが有する、色変換プロファイルを作成するための特性(G値、R値、及びB値)と、予備簡易チャートYKNCが有する、色変換プロファイルを作成するための特性(G値、R値、及びB値)とを比較すると、正式簡易チャートSKNCの特性(G値、R値、及びB値)の方が、基本チャートKHCが有する、色変換プロファイルを作成するための特性(G値、R値、及びB値)により近いといえる。
【0054】
図15は、実施形態2の効果確認用の正式簡易チャートSKNC及び効果確認用の予備簡易チャートYKNCと基本チャートとの精度差を示す。
【0055】
図15に示される「精度差」に関し、「精度」とは、一のチャートを測色器(図示せず。)で測定した色変換プロファイルのL*a*b*色空間での値に対する、前記一のチャートをスキャナ(図示せず。)で測定したRGB値から変換された、色変換プロファイルのL*a*b*色空間での値をいう。例えば、基本チャートKHC(図3に図示。)については、基本チャートKHCを測色器で測定した色変換プロファイルのL*a*b*色空間での値に対する、基本チャートKHCをスキャナで測定したRGB値から変換された、色変換プロファイルのL*a*b*色空間での値をいう。
【0056】
「精度差」とは、基本チャートKHCの精度に対する、他のチャート(例えば、効果確認用の正式簡易チャートSKNC)の精度をいう。
【0057】
図15では、隣接パッチRSPであるパッチpt1~pt15(図10図11に図示。)について、基本チャートKHCの精度に対する、効果確認用の予備簡易チャートYKNCの精度である精度差は、平均で0.71である。それに対し、基本チャートKHCの精度に対する、効果確認用の正式簡易チャートSKNCの精度である精度差は、平均で0.62である。このことから、列端パッチRHPの隣りに隣接パッチRSPが無い予備簡易チャートYKNCの色域より、列端パッチRHPの隣りに隣接パッチRSPがある正式簡易チャートSKNCの色域の方が、基本チャートKHCの色域により近いといえる。
【0058】
〈変形例〉
上記した実施形態1及び実施形態2における、列端パッチRHPの、X軸方向、即ち、主走査方向(図3に図示。)についての隣りの位置に隣接パッチRSPを配置することに代えて、行端パッチの、Y軸方向、即ち、副走査方向(図3に図示。)についての隣りの位置に隣接パッチRSPを配置しても良い。ここで、「行端パッチ」とは、予備簡易チャートYKNCを構成する複数のパッチPT1~PTnのうち、Y軸方向である副走査方向について、隣接するパッチが存在しないパッチをいう。また、変形例での「隣接パッチRSP」は、例えば、基本チャートKHC(図3に図示。)における、予備簡易チャートYKNC(図10に図示。)での行端パッチに対応するパッチとY軸方向(副走査方向)について隣接するパッチである。
【0059】
〈プロセッサ、プログラムの補足説明〉
上記した実施形態1、2において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU: Central Processing Unit等)に加えて、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含む。
【0060】
上記した実施形態1、2において、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって実現されてもよく、また、複数のプロセッサの協働によって実現されてもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、上記した実施形態1,2における順序に限定されず、適宜変更してもよい。
【0061】
上記した実施形態1、2において、プログラムPRG、PRGMは、記憶媒体4、24に予め記憶(インストール)されていることに代えて、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録されて提供されてもよく、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0062】
GS 画像処理装置
1 入力部
2 CPU
3 出力部
4 記憶媒体
5 メモリ
PRG プログラム
KHC 基本チャート
KNC 簡易チャート
11 生成部
12 制御部
13 記憶部
11A 作成部
11B 認識部
11C 抽出部
11D 配置部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15