(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】美白日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20231108BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20231108BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20231108BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/02
A61Q17/04
A61K8/37
A61K8/33
A61K8/44
A61K8/67
A61K8/39
A61K8/891
(21)【出願番号】P 2019206339
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】坊地 昌
(72)【発明者】
【氏名】三田地 喜樹
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-300858(JP,A)
【文献】特開2011-046670(JP,A)
【文献】特開2014-111584(JP,A)
【文献】特開2013-199451(JP,A)
【文献】Lift UV Base Cream SPF 50+ PA++++ ,ID 5609355,GNPD[online],2018年4月,[検索日2023.06.21],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Sun Protector SPF 50+ PA++++ ,ID 6488739,Mintel GNPD[online],2019年4月,[検索日2023.02.17],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分~
(D)成分と、(a)成分及び/又は(b)成分とを含有する
O/W型美白日焼け止め化粧料。
(A)成分:油溶性紫外線吸収剤を5質量%~18質量%
(B)成分:
トラネキサム酸及び/又はアスコルビルグルコシドを1質量%~3質量%
(C)成分:プロテオグリカンを0.0005質量%~0.1質量%
(D)成分:HLBが10~20の非イオン界面活性剤を1質量%~10質量%
(a)成分:ジメチルポリシロキサン
(b)成分:デカメチルシクロペンタシロキサン
(a)成分と(b)成分の合計含有量が3質量%~15質量%である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚化粧料として有用な美白日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、皮膚にあたると、紅斑や水泡を形成したり、メラニン形成を促進したりする。さらに、皮膚の弾力性の低下やシワの発生も促進することが近年報告され、紫外線による皮膚への種々の悪影響は、光老化現象として一般に認知され始めてきた。このような背景から、日焼け止め化粧料は、季節を問わず日常的に使用されるようになってきている。
日常使いの日焼け止め化粧料は、長時間にわたってこまめに塗りなおして使用されるため、みずみずしい使用感やべたつき感の少ない使用感が求められる。しかしながら、紫外線防御剤として使用される油溶性紫外線吸収剤は、重い使用感やべたつき感があるため、紫外線防御効果を高めようとして配合量を増加させるほど、使用感が低下してしまっていた。
【0003】
これに対して、揮発性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン、モノイソステアリン酸ソルビタン、紫外線吸収剤を含む日焼け止め化粧料(特許文献1)や特定のエステル油、光応答性カプセルおよび紫外線吸収剤からなる日焼け止め化粧料(特許文献2)が報告され、これら日焼け止め化粧料では、紫外線防御効果を保ちつつ、べたつき感の改善が行われている。
【0004】
また最近では、消費者にとって日焼け対策の最も重要な目的である「美白」に対し、美白有効成分を含む美白日焼け止め化粧料も登場している。しかし、美白化粧料に配合される美白薬剤は、べたつき感を強めてしまう傾向があり、紫外線吸収剤と併用した美白日焼け止め化粧料の場合は特に、使用感が低下してしまっていた。
この問題に対し、美白薬剤、特定の極性油、親水性増粘剤と紫外線吸収剤を組み合わせた美白日焼け止め化粧料(特許文献3)が提案され、この美白日焼け止め化粧料では、紫外線吸収剤と美白薬剤を併用した場合でも、みずみずしく、べたつき感がないことが報告されている。
【0005】
しかしながら、本発明者らは、日常的に日焼け止めを使用する場合において、複数回塗りなおして使用するうちに、被膜感を感じてしまうという新たな課題を見出した。さらに、複数回塗りなおして使用した後では、洗浄剤を使用しても日焼け止め化粧料が落ちにくくなってしまい、肌に残って不快に感じてしまったり、毛穴をふさいで肌荒れの原因となってしまったりするという課題もあることも併せて見出した。
したがって、こまめに皮膚に複数回塗った場合でも、被膜感がなく、また洗浄性が良好であり、日焼け防止効果を有する美白日焼け止め化粧料を提供することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-79019号公報
【文献】特開2016-84330号公報
【文献】特開2013-199451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、こまめに皮膚に複数回塗った場合でも、被膜感がなく、また洗浄性が良好であり、日焼け防止効果を有する美白日焼け止め化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、油溶性紫外線吸収剤、美白薬剤、プロテオグリカンをそれぞれ所定量含有する美白日焼け止め化粧料が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記(A)成分~(D)成分と、(a)成分及び/又は(b)成分とを含有するO/W型美白日焼け止め化粧料である。
(A)成分:油溶性紫外線吸収剤を5質量%~18質量%
(B)成分:トラネキサム酸及び/又はアスコルビルグルコシドを1質量%~3質量%
(C)成分:プロテオグリカンを0.0005質量%~0.1質量%
(D)成分:HLBが10~20の非イオン界面活性剤を1質量%~10質量%
(a)成分:ジメチルポリシロキサン
(b)成分:デカメチルシクロペンタシロキサン
(a)成分と(b)成分の合計含有量が3質量%~15質量%である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の美白日焼け止め化粧料によれば、こまめに皮膚に複数回塗った場合でも、被膜感が感じられず、また洗浄により容易に除去することができるとともに、日焼け防止効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の美白日焼け止め化粧料は、(A)成分、(B)成分および(C)成分を少なくとも含有する。以下、各成分について説明する。
なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば、「2~5」は2以上、5以下を表す。
【0012】
〔(A)成分〕
本発明に用いられる(A)成分は油溶性紫外線吸収剤であり、紫外線防御効果を目的に配合される。(A)成分としては、通常の化粧料に用いられる油溶性紫外線吸収剤であれば特に限定されない。例えば、パラジメチル安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、サリチル酸2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アリニノ]-1,3,5-トリアジン、オクトクリレン、4-t-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、ビスエチルへキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられる。好ましくは、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アリニノ]-1,3,5-トリアジン、オクトクリレン、4-t-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、ジメチコジエチルベンザルマロネートである。更に好ましくは、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アリニノ]-1,3,5-トリアジン、オクトクリレン及び4-t-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンである。成分(A)として、これらから選ばれる1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
また(A)成分として好ましくは、紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルを使用することができる。かかるマイクロカプセルは、紫外線吸収剤を内包する平均粒径0.1μm~10μmのポリシリコーンのマイクロカプセルであり、紫外線吸収性を有する紫外線吸収剤をポリシリコーンによりマイクロカプセル化したものである。
紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン-スルホン酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸エチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸ナトリウム、パラメトキシケイ皮酸カリウム、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、オクチルトリアゾン及びオクトクレリンなどが挙げられる。これらの中から選ばれる少なくとも1種類以上の紫外線吸収剤を平均粒径0.1μm~10μmのポリシリコーンのマイクロカプセルに内包することができる。特に、紫外線B波の吸収に有効なパラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、および紫外線A波の吸収に有効な4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンのうち少なくとも1種類を使用するのが好ましい。
【0014】
マイクロカプセルの壁膜であるポリシリコーンとしては、シリコーン部と、シルクタンパク等を加水分解して得られるポリペプチド部とからなるシリコーンレジン化ポリペプチドが好ましく使用される。紫外線吸収剤を内包する平均粒径0.1μm~10μmのポリシリコーンのマイクロカプセルは、かかる壁膜を使用し、公知の方法で製造することができ、例えば、特開2001-049233号公報や特開2001-106612号公報を参照して製造することができる。
【0015】
平均粒径0.1μm~10μmのポリシリコーンのマイクロカプセルに内包される紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤を内包する平均粒径0.1μm~10μmのポリシリコーンのマイクロカプセルの全質量に対して、20質量%~93質量%が好ましく、40質量%~90質量%がより好ましい。紫外線吸収剤を内包する平均粒径0.1μm~10μmのポリシリコーンのマイクロカプセルの市販品としては、例えば、株式会社成和化成製の「SILASOMA(登録商標) MEA(L)」や「SILASOMA(登録商標) MEA(S)」等を挙げられ、これらはパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルおよび4-t-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンを90質量%内包した平均粒径約2μmのポリシリコーン-14からなるマイクロカプセルの水分散液である。
【0016】
本発明の美白日焼け止め化粧料における(A)成分の含有量は、5質量%~18質量%であり、好ましくは6質量%~15質量%、より好ましくは6質量%~13質量%である。(A)成分の含有量が少なすぎると、十分な日焼け防止効果を得ることができないことがあり、(A)成分の含有量が多すぎると、被膜感が強くなり、洗浄性が低下することがある。
【0017】
〔(B)成分〕
本発明に用いられる(B)成分は美白薬剤であり、主に皮膚におけるメラニン生成を阻害する機能を有する薬剤である。(B)成分としては、化粧料等の皮膚外用剤に使用できる美白薬剤であれば特に限定されない。具体例には、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、トラネキサム酸、コウジ酸、エラグ酸、アルブチン、アルコキシサリチル酸、及びこれらの塩又は誘導体を挙げることができる。成分(B)として、これらから選ばれる1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明の美白日焼け止め化粧料においては、被膜感の少なさや美白効果の観点から、トラネキサム酸類が特に好適に用いられる。トラネキサム酸とは、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸の略称であり、トラネキサム酸類とは、トラネキサム酸、トラネキサム酸塩、トラネキサム酸エステル、トラネキサム酸アミド、及びトラネキサム酸の多量体などを意味する。
トラネキサム酸塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の無機酸塩が挙げられる。トラネキサム酸エステルにおけるエステルとしては、例えば、ビタミンAエステル、ビタミンEエステル、ビタミンCエステル等のビタミンエステル、アルキルエステルが挙げられる。また、トラネキサム酸アミドにおけるアミドとしては、例えば、メチルアミド等が挙げられる。
【0019】
本発明の美白日焼け止め化粧料における(B)成分の含有量は、1質量%~3質量%であり、好ましくは1.5質量%~3質量%である。(B)成分の含有量が少なすぎると、十分な美白効果が得られないことがあり、(B)成分の含有量が多すぎると、被膜感が強くなり、変色や変臭など安定性においても問題が生じることがある。
【0020】
〔(C)成分〕
本発明に用いられる(C)成分はプロテオグリカンであり、特殊な構造を有する糖とタンパク質の複合体である。プロテオグリカンには動物性および植物性のプロテオグリカンが存在する。
動物性のプロテオグリカンは、1個のコアタンパク質に、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸等のグリコサミノグリカンが複数本共有結合した糖タンパク質であり、細胞外マトリックスの一成分として、臓器、脳、皮膚、軟骨など体内に広く分布している。
植物性のプロテオグリカンは、アラビノガラクタンとコアタンパク質が一定の様式で結合したものであり、正式にはアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)と呼ばれており、植物の細胞壁や樹液に細胞外マトリックスとして存在する。
【0021】
本発明において(C)成分としては、動物性プロテオグリカン、植物性プロテオグリカンのいずれも用いることができるが、製造コストや、近年の植物性原料が好まれる傾向等を考慮すると、植物性プロテオグリカンを用いることが好ましい。
【0022】
植物性プロテオグリカンとしては、マメ科ネムノキ亜科のアカシア(Acacia)属に属するアラビアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)、またはその同属近縁植物から得られるアラビアゴムを原料とするものが好ましく用いられる。ここで、アラビアゴムは、前記植物の樹皮の傷口から滲出する分泌液を乾燥させたものである。
植物性プロテオグリカンとしては、本発明の効果の点で、アラビアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)、またはそのセヤル種であるAcacia seyal Delileから得られるアラビアゴムを原料とするものがより好ましく、アカシアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)から得られるアラビアゴムを原料とするものがさらに好ましい。
本発明において(C)成分として好ましい植物性プロテオグリカンは、上記したアラビアゴムノキ等の植物から得たアラビアゴムから、主にアラビノガラクタンとグリコプロテインを除いて得られた精製物である。
【0023】
植物性プロテオグリカンとしては、重量平均分子量が900,000~3,500,000であるものが好ましく用いられ、1,000,000~3,000,000であるものがより好ましく用いられる。なお、この重量平均分子量は多角度光散乱検出器および示差屈折率検出器をオンライン接続したサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される。
【0024】
また、植物性プロテオグリカンの総アルデヒド含有量は、0.005μmol当量/g~2.0μmol当量/gであるものが好ましく用いられる。なお、この総アルデヒド含有量は、アンプライト(Amplite)(商標)アルデヒド定量キット(比色)(Colorimetric Aldehyde Quantitation Kit)(製品番号:10051)(エイエイティー バイオクウェスト(AAT Bioquest)社製)等のアルデヒド定量キットにより測定される。
【0025】
本発明の美白日焼け止め化粧料には、上記したプロテオグリカンは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできるが、植物性プロテオグリカンを用いることが好ましい。
動物性プロテオグリカンは、サケ鼻軟骨、サメ鰭軟骨及びイカ頭部軟骨などの動物組織から抽出、精製等して製造して用いてもよく、又は各社から提供されている市販の製品を用いてもよい。
一方、植物性プロテオグリカンは、0.5質量%~40質量%に調整されたアラビアゴム水溶液を、ポーラスI型強塩基性アニオン交換樹脂および強酸性カチオン交換樹脂に供して精製することにより好適に製造することができ、又は、一般的に有効分の含有量が約1質量%の水溶液として市販されている製品を用いることもできる。
植物性プロテオグリカンのかかる市販の製品としては、例えば、日油株式会社製の「フィトプロテオグリカン(登録商標)」が挙げられる。
【0026】
本発明の美白日焼け止め化粧料における(C)成分の含有量は、0.0005質量%~0.1質量%であり、好ましくは0.001質量%~0.01質量%、より好ましくは0.005質量%~0.01質量%である。(C)成分の含有量が少なすぎると、洗浄性が低下することがあり、(C)成分の含有量が多すぎると、被膜感が強くなることがある。
【0027】
〔(D)成分〕
本発明の美白日焼け止め化粧料は、(A)成分、(B)成分および(C)成分に加えて、さらに(D)成分を含有することが好ましい。
本発明に用いられる(D)成分は、乳化剤としての非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤としては、乳化組成物に配合し得るものであれば特に限定されないが、エステル型もしくはエーテルエステル型非イオン性界面活性剤が好ましい。具体的には、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類などが挙げられる。非イオン界面活性剤は、1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
【0028】
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類としては、ポリオキシエチレン(5)グリセリルモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(10)グリセリルモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)グリセリルモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(5)グリセリルモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(10)グリセリルモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノステアリン酸エステル等が例示される。
【0029】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、ポリオキシエチレン(2)ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(60)ソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノイソステアリン酸エステル等が例示される。
【0030】
ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類としては、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(6)ソルビトールモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン(6)ソルビトールヘキサステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(6)ソルビトールテトラオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(60)ソルビトールテトラオレイン酸エステル等が例示される。
【0031】
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類としては、ポリオキシエチレン(6)モノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(10)モノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(30)モノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(1)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(4)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(10)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(25)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(40)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(45)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(55)モノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(2)モノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(6)モノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(10)モノオレイン酸エステル等が例示される。
【0032】
グリセリン脂肪酸エステル類としては、グリセリンヤシ油脂肪酸エステル、グリセリルモノミリスチン酸エステル、グリセリルモノパルミチン酸エステル、グリセリルモノステアリン酸エステル、グリセリルモノイソステアリン酸エステル、グリセリルモノオレイン酸エステル、グリセリンヒマシ油脂肪酸エステル、グリセリン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル等が例示される。
【0033】
ポリグリセリン脂肪酸エステル類としては、ジグリセリンモノラウリン酸エステル、ジグリセリンモノミリスチン酸エステル、ジグリセリンモノパルミチン酸エステル、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノイソステアリン酸エステル、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノイソステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル等が例示される。
【0034】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類としては、ラウリン酸ポリエチレングリコール(10ポリエチレングリコール付加物(=10EO))、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(20EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(30EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(50EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(60EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(70EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(100EO)等が例示される。
【0035】
ソルビタン脂肪酸エステル類としては、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンセスキステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ソルビタンセスキイソステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル等が例示される。
【0036】
ショ糖脂肪酸エステル類としては、ショ糖ラウリン酸モノエステル、ショ糖ミリスチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖オレイン酸モノエステル等が例示される。
【0037】
本発明においては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類およびポリエチレングリコール脂肪酸エステル類から選択される1種を単独で、または2種以上を併せて用いることが好ましい。
【0038】
また本発明に用いられる(D)成分の非イオン界面活性剤は、乳化安定性の点から、HLBが10~20であることが好ましい。
HLBとは、Hydrophile-Lipophile Balanceの略であり、界面活性剤の親水基および親油基のバランスを数値化した概念である。一般に、HLBは0から20の範囲内の数値で示され、数値のより大きい方が親水性がより高いことを示す。HLBは下記(X)又は(Y)の式により算出できる。
【0039】
(X)1価アルコールにエチレンオキシドを付加した非イオン性界面活性剤の場合
HLB=E/5
E:界面活性剤分子中に含まれるポリオキシエチレン部分の含有量(質量%)
【0040】
(Y)脂肪酸又は多価アルコール脂肪酸エステルにエチレンオキシドを付加した非イオン性界面活性剤の場合
HLB=20(1-S/A)
S:非イオン界面活性剤のケン化価(S.V.)
A:原料脂肪酸の酸価(A.V.)
ここで、酸価およびケン化価は、JISK0070-1992により求めることができる。
【0041】
本発明の美白日焼け止め化粧料は、O/W型およびW/O型のいずれでも構わないが、本発明の効果を高める観点からO/W型が好ましい。
本発明の美白日焼け止め化粧料が(D)成分の非イオン界面活性剤を含有する場合、美白日焼け止め化粧料に対する(D)成分の含有量は、併用する油性成分の含有量などによって異なるが、好ましくは1質量%~10質量%であり、より好ましくは1質量%~5質量%である。(D)成分の含有量が上記の範囲内であると、本発明の効果を高める観点でさらに好適である。
なお、本発明の美白日焼け止め化粧料がO/W型である場合、水などの水相成分の含有量は、美白日焼け止め化粧料に対し、40質量%~85質量%であり、本発明の美白日焼け止め化粧料がO/W型である場合、水などの水相成分の含有量は、50質量%~85質量%である。
【0042】
〔(E)成分〕
本発明の美白日焼け止め化粧料は、被膜感のなさや洗浄性を高める観点から、下記の式(1)および式(2)で表される構成単位を有する共重合体を(E)成分として含有することが好ましい。なお、以下では(E)成分を共重合体(E)とも表記する。
【0043】
【化1】
(式中、R
1は水素原子またはメチル基を示す。)
【0044】
【化2】
(式中、R
2は水素原子またはメチル基を示し、mは3~18の整数を示す。)
【0045】
上記式(1)で示される構成単位は、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位である。ここで、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を意味する。
また、上記式(2)で示される構成単位は、(メタ)アクリル酸アルキルに基づく構成単位である。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味する。
【0046】
(メタ)アクリル酸アルキルにおけるアルキル基は、炭素数4~19の直鎖または分岐のアルキル基であり、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等が例示される。なかでも、ブチル、ドデシル、オクタデシル等の直鎖アルキル基が好ましく、ブチル基およびオクタデシル(ステアリル)基がより好ましい。
なお、上記アルキル基の炭素数が大き過ぎる場合には、水や水性溶媒への溶解が困難になり、洗浄性が低下する場合がある。
【0047】
上記式(1)で示される構成単位と、上記式(2)で示される構成単位の共重合体(E)中におけるそれぞれの含有量の比([式(1)で示される構成単位]:[式(2)で示される構成単位])(n1:n2)は、モル比にて好ましくは7:1~1:4であり、より好ましくは5:1~1:3であり、更に好ましくは5:1~1:2である。
式(1)で示される構成単位の含有量に対する式(2)で示される構成単位の含有量の比(n2/n1)(モル比)が小さすぎる場合には、不自然な被膜感が付与され、不快な被膜感を感じることがある。一方、前記比(n2/n1)が大きすぎる場合には、共重合体の含水性が低下し、洗浄性が低減することがある。
【0048】
共重合体(E)の重量平均分子量は、通常10,000~1,000,000であり、好ましくは30,000~900,000であり、より好ましくは50,000~800,000である。共重合体(E)の重量平均分子量が低すぎると、使用感を損なうことかり、一方、共重合体(E)の重量平均分子量が高すぎると、取り扱いが困難になることがある。
なお、共重合体(E)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、ポリエチレングリコール換算の分子量で示される。
【0049】
共重合体(E)の重合形態は特に限定されず、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。
また、共重合体(E)は、通常、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位からなる二元共重合体であるが、式(1)、(2)で表される構成単位以外に、他の構成単位を含む共重合体であってもよい。
共重合体(E)に含まれる他の構成単位は、通常、共重合体の構成単位となり得るものから、本発明の効果に影響を与えない範囲で適宜選択することができる。他の構成単位としては、例えば、(メタ)アクル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の炭素数が1~3の低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の芳香族基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体等に基づく構成単位を挙げることができる。
これら他の構成単位は1種または2種以上を含むことができ、共重合体(E)中におけるその含有量は、式(1)、(2)で表される構成単位の合計量に対して、好ましくは40モル%以下であり、より好ましくは20モル%以下である。
【0050】
共重合体(E)は、自体公知の製造方法により製造することができる。例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよび(メタ)アクリル酸アルキル、ならびに必要に応じて上記他の構成単位に相当する単量体を含む単量体混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素等の不活性ガス雰囲気下において、溶液重合等の公知の方法により重合させて製造することができる。その際の各単量体の含有量比は、共重合体(E)中における各構成単位の含有量比に相当する比とすればよい。
【0051】
本発明の美白日焼け止め化粧料には、上記共重合体(E)から選ばれる1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。共重合体(E)は、上記した重合方法により製造して用いることもできるが、「リピジュア(登録商標)-B」(ポリクオタニウム-51)、「リピジュア(登録商標)-PMB」(ポリクオタニウム-51)、「リピジュア(登録商標)-NR」(ポリクオタニウム-61)(いずれも日油株式会社製)等の市販の製品を用いることもできる。
【0052】
本発明の美白日焼け止め化粧料が共重合体(E)を含有する場合、美白日焼け止め化粧料に対する(E)成分の含有量は、好ましくは0.0005質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.001質量%~0.1質量%である。(E)成分の含有量が上記の範囲内であると、被膜感のなさや洗浄性を高める観点でさらに好適である。
【0053】
〔油剤〕
本発明の美白日焼け止め化粧料は油剤を含有していてもよい。かかる油剤として、例えば、(a)鎖状ポリシロキサンであり、粘度が好ましくは50mm2/s~1,000mm2/sであるジメチルポリシロキサン、(b)環状ポリシロキサンであるデカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられる。
(a)ジメチルポリシロキサンは、シロキサン結合を主骨格とし、側鎖にメチル基を有する高分子化合物である。一般にジメチルポリシロキサンは、粘度が5mm2/sから1,000,000mm2/s程度のものまで幅広いが、1,000mm2/sより大きい場合は、使用時の感触が重く被膜感が生じてしまい、洗浄性が低下することがある。ジメチルポリシロキサンの粘度は、より好ましくは20mm2/s~700mm2/s、さらに好ましくは30mm2/s~600mm2/sである。
【0054】
上記の(a)と(b)のうち少なくとも一方を配合することが好ましく、両方を配合することがより好ましい。本発明の効果をより明白にするために、(a)と(b)の合計配合量は、美白日焼け止め化粧料に対して、好ましくは3~15質量%であり、より好ましくは5~13質量%であり、配合割合を表す(a)/(b)(質量比)は、好ましくは0.005~0.9、より好ましくは0.05~0.8、さらに好ましくは0.1~0.7の範囲である。
【0055】
上記の(a)及び(b)以外の油剤(ただし、(A)成分は油溶性紫外線吸収剤を除く)としては、特に限定されず、上記の(a)及び(b)以外のシリコーン類;ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、トリエチルヘキサノイン等の合成油性成分などが挙げられる。これらは、必要に応じて、一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0056】
〔その他の成分〕
本発明の美白日焼け止め化粧料は、上記に加え、多価アルコールも含有させることができる。多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類が挙げられる。グリコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどが挙げられる。グリセリン類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
【0057】
さらに、本発明の美白日焼け止め化粧料においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、化粧料、医薬部外品、医薬品等に使用される添加剤を含有してもよい。例えば、嗜好性を高める目的で、天然香料、合成香料を加えることができる。天然香料は、植物の花、幹、葉、果物、果皮、根から水蒸気蒸留法などで得られる精油であり、分離された水も芳香水として使用できる。合成香料は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、芳香族アルコール、炭化水素など特に制限はない。また添加剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;乳糖、ショ糖等の糖類;アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アミドエーテル硫酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子;セラミド、コレステロール、カチオン化セルロース等のカチオン性高分子;キサンタンガム等の増粘性多糖類;クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩等の有機又は無機塩類;pH調製剤としての酸、アルカリ;酸化チタンや酸化亜鉛などの無機粉体;パラベン類;防腐剤;動植物由来のエキス;ビタミン類;アミノ酸類;色素;顔料などが挙げられる。
【0058】
本発明の美白日焼け止め化粧料がその他の成分を含有する場合、美白日焼け止め化粧料に対するその他の成分の含有量は、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%~15質量%である。
【0059】
〔美白日焼け止め化粧料の製造法と用途〕
本発明の美白日焼け止め化粧料は、油性成分と水相成分とが乳化されて形成され、通常用いられている方法に従って製造することができる。例えば、(A)成分や油剤などの油性成分を混合溶解し、それを攪拌しながら水などの水相成分に添加して乳化させることにより製造することができる。
本発明の美白日焼け止め化粧料は、美白効果を有する日焼け止め化粧料として、様々な用途に応じた形態で提供することができ、例えば、乳液、クリーム、ジェル等として提供される。
【実施例】
【0060】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1~5、比較例1~4〕
(A)~(E)成分、(C’)成分、表3に記載の共通成分を表1、表2に示す組成で美白日焼け止め化粧料として調製し、下記の方法により評価を行った。表1、表2に示される配合成分について下記に示す。
【0061】
[(A)成分]
(A)成分として、紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルの60%水分散液である株式会社成和化成製の「SILASOMA MEA(S)」を用いた。これは、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルおよび4-t-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンを90質量%内包した平均粒径約2μmのポリシリコーン-14からなるマイクロカプセルの水分散液である。
【0062】
[(C)成分]
※1:サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン
※2:アラビアゴム由来プロテオグリカン(フィトプロテオグリカン(登録商標)〔日油株式会社製〕)
【0063】
[共通成分]
表1、表2に記載される共通成分は、表3に示す10種の成分からなるものである。
【0064】
(1)被膜感の評価(5回重ね塗り時)
20名の女性(25才~45才)をパネラーとし、得られた美白日焼け止め化粧料(約2g)を肘から手首にかけて塗り広げて使用し、自然乾燥(約5分)させた後、美白化粧料を重ね塗りした際の被膜感について、下記の基準で評価した。なお、重ね塗り回数は5回とした。詳細には、20名の合計点が35点以上の場合を「◎」(優良)とし、25点~34点の場合を「○」(良)、15点~24点の場合を「△」(可)、14点以下の場合を「×」(不良)とした。
2点:使用後、被膜感がないと感じた場合。
1点:使用後、被膜感が少しあると感じた場合。
0点:使用後、被膜感があると感じた場合。
【0065】
(2)洗浄性の評価(5回重ね塗り時)
20名の女性(25才~45才)をパネラーとし、得られた美白日焼け止め化粧料(約2g)を肘から手首にかけて塗り広げて使用し、自然乾燥(約5分)させた後、美白化粧料を重ね塗りし、石鹸でこすり洗いした際の洗浄性について、下記の基準で評価した。なお、重ね塗り回数は5回とした。詳細には、20名の合計点が35点以上の場合を「◎」(優良)とし、25点~34点の場合を「○」(良)、15点~24点の場合を「△」(可)、14点以下の場合を「×」(不良)とした。
2点:洗浄後、肌に残った感じが全くなく、洗浄性が非常によいと感じた場合。
1点:洗浄後、肌に残った感じが少なく、洗浄性がよいと感じた場合。
0点:洗浄後、肌に残った感じあり、洗浄性がよくないと感じた場合。
【0066】
(3)日焼け防止効果
20名の女性(25才~45才)をパネラーとし、得られた美白日焼け止め化粧料(約2g)を、人の腕の内側の2.5cm×2.5cmの範囲に塗布し、快晴日の正午を中心に3時間日光を照射した後の肌状態について、下記の基準で評価した。なお、塗布回数は1回とした。詳細には、20名の合計点が35点以上の場合を「◎」(優良)とし、25点~34点の場合を「○」(良)、15点~24点の場合を「△」(可)、14点以下の場合を「×」(不良)とした。
2点:肌は赤く、又は、黒くならず、日焼け防止が非常に高いと感じた場合。
1点:肌は少しだけ赤く、又は、黒くなり、日焼け防止効果は高いと感じた場合。
0点:肌は赤く、又は、黒くなり、日焼け防止効果が低いと感じた場合。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
表1に示される結果から明らかなように、実施例1~5の美白日焼け止め化粧料は、日焼け防止効果が高く、複数回塗った場合でも、被膜感がなく、また洗浄性が良好であった。
一方、比較例1~4の美白日焼け止め化粧料では、十分な性能は得られなかった。
比較例1では、(A)成分の配合量が多いため、被膜感がでてしまい、また洗浄性が低かった。
比較例2では、(A)成分が十分に配合されず、また(C)成分の配合量が多かったため、十分な日焼け止め効果が得られず、また被膜感が感じられた。
比較例3では、(B)成分の配合量が多く、また(C)成分に代えて(C‘)成分が配合されたため、被膜感がでてしまい、また洗浄性が低かった。
比較例4では、(C)成分が配合されなかったため、洗浄性が低かった。