(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】びびり評価システム
(51)【国際特許分類】
B24B 49/00 20120101AFI20231108BHJP
B24B 49/02 20060101ALI20231108BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20231108BHJP
B24B 5/04 20060101ALI20231108BHJP
B24B 53/04 20120101ALI20231108BHJP
B24B 53/00 20060101ALI20231108BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20231108BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20231108BHJP
B23Q 17/12 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B24B49/00
B24B49/02 A
B24B49/10
B24B5/04
B24B53/04
B24B53/00 A
B23Q17/20 A
B23Q17/22 A
B23Q17/12
(21)【出願番号】P 2019208312
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 祐生
(72)【発明者】
【氏名】河原 徹
(72)【発明者】
【氏名】村上 慎二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 明
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-179620(JP,A)
【文献】特開2005-246494(JP,A)
【文献】特開2018-111149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/00
B24B 49/02
B24B 49/10
B24B 5/04
B24B 53/04
B24B 53/00
B23Q 17/20
B23Q 17/22
B23Q 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削装置にて砥石車により研削した工作物の外径を測定する定寸装置と、
前記定寸装置に設けられ、前記定寸装置を回転中の前記工作物に接触させた状態で、前記定寸装置に発生する振動の加速度データを検出するセンサと、
前記センサと前記工作物との相対位置を前記工作物の軸方向に移動させる軸方向移動装置と、
前記工作物の複数の軸方向位置において前記センサにより検出された加速度データに基づいて、前記工作物の複数の軸方向位置における周方向びびり量を評価するびびり量評価演算装置と、
を備え、
前記びびり量評価演算装置は、
前記工作物の各々の軸方向位置において前記センサにより検出された加速度に関する時系列データである複数の基礎データを取得する基礎データ取得部と、
複数の前記基礎データのそれぞれに基づいてFFT解析を行い、複数のFFTデータを生成するFFT解析部と、
複数の前記FFTデータのそれぞれに基づいて、前記砥石車の回転数に対応する回転数周波数成分である特定周波数成分を抽出し、複数の抽出FFTデータを生成する抽出部と、
複数の前記抽出FFTデータのそれぞれに基づいて逆FFT解析を行い、複数の逆FFTデータを生成する逆FFT解析部と、
加速度に関する前記基礎データ、前記FFTデータ、前記抽出FFTデータ、前記逆FFTデータのいずれかを、変位に関する前記基礎データ、前記FFTデータ、前記抽出FFTデータ、前記逆FFTデータのいずれかの対応するデータに変換する変位変換部と、
前記工作物の各々の軸方向位置における変位に関する複数の前記逆FFTデータに基づいて、前記工作物の軸方向位置に対する周方向びびり量を評価するびびり量評価部と、
を備える、
びびり評価システム。
【請求項2】
研削装置にて砥石車により研削した工作物の外径を測定する定寸装置と、
回転中の前記工作物に接触させた状態で、前記工作物表面の変位データを検出するセンサと、
前記センサと前記工作物との相対位置を前記工作物の軸方向に移動させる軸方向移動装置と、
前記工作物の複数の軸方向位置において前記センサにより検出された変位データに基づいて、前記工作物の複数の軸方向位置における周方向びびり量を評価するびびり量評価演算装置と、
を備え、
前記びびり量評価演算装置は、
前記工作物の各々の軸方向位置において前記センサにより検出された変位に関する時系列データである複数の基礎データを取得する基礎データ取得部と、
複数の前記基礎データのそれぞれに基づいてFFT解析を行い、複数のFFTデータを生成するFFT解析部と、
複数の前記FFTデータのそれぞれに基づいて、前記砥石車の回転数に対応する回転数周波数成分である特定周波数成分を抽出し、複数の抽出FFTデータを生成する抽出部と、
複数の前記抽出FFTデータのそれぞれに基づいて逆FFT解析を行い、複数の逆FFTデータを生成する逆FFT解析部と、
前記工作物の各々の軸方向位置における変位に関する複数の前記逆FFTデータに基づいて、前記工作物の軸方向位置に対する周方向びびり量を評価するびびり量評価部と、
前記抽出部で用いられる前記FFTデータ、又は、前記逆FFT解析部で用いられる前
記抽出FFTデータに対して、周波数毎に信号強度の補償を行うゲイン補償部と、
を備える、
びびり評価システム。
【請求項3】
前記ゲイン補償部は、周波数と信号強度の関係を記憶するゲイン記憶部と、周波数と信号強度の関係に基づいてゲイン補償を行う調整部と、を備える請求項2に記載のびびり評価システム。
【請求項4】
前記びびり量評価部は、前記工作物の複数の軸方向位置における周方向びびり量の平均値に基づいて、前記工作物のびびり量を評価する、請求項1-3のいずれか1項に記載の
びびり評価システム。
【請求項5】
前記びびり量評価部は、異なる前記工作物についての前記周方向びびり量の平均値を比較することにより、前記工作物のびびり量を評価する、請求項4に記載の
びびり評価システム。
【請求項6】
前記
びびり評価システムは、前記工作物の複数の軸方向位置における前記周方向びびり量のばらつきに基づいて、前記工作物のびびり量を評価する、請求項1-5の何れか1項に記載の
びびり評価システム。
【請求項7】
前記基礎データ取得部は、前記定寸装置による前記工作物の表面上の接触位置を螺旋状に移動させた時に、前記工作物の回転軸
を中心とする周方向の角度が所定角度毎の螺旋状の検出データを、前記工作物の各々の軸方向位置における前記基礎データとして取得する、請求項1-6の何れか1項に記載の
びびり評価システム。
【請求項8】
前記所定角度は、90°以下である、請求項7に記載の
びびり評価システム。
【請求項9】
前記基礎データ取得部は、前記軸方向移動装置により、前記工作物において前記接触位置の螺旋状の移動における軸方向移動量を確保できる位置に、前記定寸装置と前記工作物との相対位置を動作させた後に、前記基礎データを取得する、請求項7又は8に記載の
びびり評価システム。
【請求項10】
前記基礎データ取得部は、前記定寸装置による前記工作物の表面上の接触位置を軸方向位置を固定した状態で円状に移動する動作を複数の軸方向位置にて行う時に、複数の軸方向位置の各々における円状動作の検出データを、前記工作物の各々の軸方向位置における前記基礎データとして取得する、請求項1-6の何れか1項に記載の
びびり評価システム。
【請求項11】
前記びびり量評価部は、変位に関する複数の前記逆FFTデータのそれぞれにおける最大値と最小値との差を前記
周方向びびり量として算出する、請求項1-10の何れか1項に記載の
びびり評価システム。
【請求項12】
前記基礎データ取得部は、前記工作物の研削完了後に前記工作物の研削時の回転を維持した状態において、複数の前記基礎データを取得する、請求項1-11の何れか1項に記載の
びびり評価システム。
【請求項13】
前記
びびり評価システムは、さらに、
前記びびり量評価部による評価結果に基づいて、前記砥石車のツルーイングを実行するツルーイング実行部を備える請求項1-12の何れか1項に記載の
びびり評価システム。
【請求項14】
前記びびり量評価部は、評価結果に基づいて前記工作物の廃棄又は選別を行う、請求項1-13の何れか1項に記載の
びびり評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、びびり評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
研削加工は、例えば、高速に回転する工具と、回転する工作物とを接触させて行われる。工具を回転させて工作物を加工する場合に、びびり振動が発生すると、加工面精度が低下したり、工具に過大な負荷が作用することがある。従来、研削加工後の工作物の表面状態を確認することにより、加工時のびびり振動の発生を検出する手法が用いられてきた。工作物の表面状態は、研削加工終了後に、真円度測定器により測定される。研削装置と表面状態測定器とが切り離されているため、工作物表面にびびり振動の発生が認められた場合にも、これを加工条件等にフィードバックするのに時間差ができてしまう問題があった。
【0003】
これに対して、特許文献1のように、びびり振動発生の検出をインプロセスで行う方法も提案されている。びびり振動検出器は、例えば、研削装置、もしくは被加工物の振動加速度、振動変位等を測定し、所定の閾値を越えた振動が検出されたときにびびり振動が発生したと判定している。びびり振動の発生を研削装置上で行うことで、びびり振動が検出された場合に、加工条件を変更してびびり振動を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような方法では、外的要因による振動等によって、びびり振動が発生していないにも関わらずびびり振動と判定される場合や、微小なびびり振動が見落とされる場合があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、研削加工のインプロセスにおいて、工作物表面のびびり量を精度よく評価するびびり評価システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のびびり評価システムは、研削装置にて砥石車により研削した工作物の外径を測定する定寸装置と、前記定寸装置に設けられ、前記定寸装置を回転中の前記工作物に接触させた状態で、前記定寸装置に発生する振動の加速度データを検出するセンサと、前記センサと前記工作物との相対位置を前記工作物の軸方向に移動させる軸方向移動装置と、前記工作物の複数の軸方向位置において前記センサにより検出された加速度データに基づいて、前記工作物の複数の軸方向位置における周方向びびり量を評価するびびり量評価演算装置と、を備える。前記びびり量評価演算装置は、前記工作物の各々の軸方向位置において前記センサにより検出された加速度に関する時系列データである複数の基礎データを取得する基礎データ取得部と、複数の前記基礎データのそれぞれに基づいてFFT解析を行い、複数のFFTデータを生成するFFT解析部と、複数の前記FFTデータのそれぞれに基づいて、前記砥石車の回転数に対応する回転数周波数成分である特定周波数成分を抽出し、複数の抽出FFTデータを生成する抽出部と、複数の前記抽出FFTデータのそれぞれに基づいて逆FFT解析を行い、複数の逆FFTデータを生成する逆FFT解析部と、加速度に関する前記基礎データ、前記FFTデータ、前記抽出FFTデータ、前記逆FFTデータのいずれかを、変位に関する前記基礎データ、前記FFTデータ、前記抽出FFTデータ、前記逆FFTデータのいずれかの対応するデータに変換する変位変換部と、前記工作物の各々の軸方向位置における変位に関する複数の前記逆FFTデータに基づいて、前記工作物の軸方向位置に対する周方向びびり量を評価するびびり量評価部と、を備える。
【0008】
本発明のびびり評価システムは、研削加工のインプロセスにおいて、工作物表面のびびり量を精度よく評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】研削装置100の定寸装置14付近を示す断面図である。
【
図3】研削装置100の研削工程を示すフローチャート図である。
【
図4】本発明のびびり評価システム1の構成を示すブロック図である。
【
図5】工作物Wにおける第一例の定寸装置14の接触箇所を示す概念図である。
【
図6】加速度基礎データD11の一例を示すグラフである。
【
図7】加速度FFTデータD21の一例を示すグラフである。
【
図8】工作物W表面の凹凸形状の形成過程を示す概念図である。
【
図9】加速度逆FFTデータD41の一例を示すグラフである。
【
図10】変位逆FFTデータD42の一例を示すグラフである。
【
図11】評価例1の変位逆FFTデータD42を示すグラフである。
【
図12】参考例の変位逆FFTデータD42を示すグラフである。
【
図13】参考例と評価例1を比較するグラフである。
【
図15】工作物Wにおける第二例の定寸装置14の接触箇所を示す概念図である。
【
図16】第二例の研削初期の評価結果を示すグラフである。
【
図17】第二例の研削後期の評価結果を示すグラフである。
【
図18】研削装置101の定寸装置14付近を示す断面図である。
【
図19】本発明のびびり評価システム3の構成を示すブロック図である。
【
図20】ゲイン補償部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一例)
以下、本発明のびびり評価システムについて
図1~
図14を参照して説明する。第一例のびびり評価システム1は、工作物W及び砥石車12を回転させながら工作物Wを研削する研削装置100において、工作物表面のびびり量を評価する。びびり評価システム1は、研削装置100に設けられた定寸装置14及び加速度センサ15と、びびり量評価演算装置200からなる。
【0011】
(1.研削装置の構成)
図1、
図2に示すように、研削装置100は、ベッド11と、砥石車12と、砥石台121と、主軸台131と、心押台132と、主軸テーブル133と、定寸装置14とを備える。工作物Wは、回転軸方向の両端を、主軸台131及び心押台132に支持され、回転する。研削装置100は、回転する工作物Wの外周に砥石車12を当接させ、研削することにより工作物Wの形状を形成する。
【0012】
砥石車12は、Z軸に平行な軸線回りに回転可能に砥石台121に支持される。ベッド11上には、砥石台案内部122が固定され、砥石台121は、X軸方向に移動可能に砥石台案内部122に支持される。砥石車12には、砥石回転モータ123から回転駆動力が付与され、砥石車12が回転軸周りに回転する。砥石車12は、砥石台121がX軸方向に移動することにより、X軸方向に離間して設置された工作物Wに接近し、工作物Wを研削する。
【0013】
ベッド11上において、砥石台案内部122からX軸方向に離間した位置に、主軸テーブル案内部134が固定される。主軸テーブル案内部134は、主軸テーブル133をZ軸方向に移動可能に支持する。主軸テーブル133の上には、主軸台131及び心押台132が対向配置される。工作物Wは、その両端が主軸台131及び心押台132に回転可能に支持されており、主軸回転モータ135から回転駆動力が付与され、回転する。
【0014】
定寸装置14は、工作物Wの表面に接触する接触部である一対の測定子141と、測定子141を支持する一対のアーム142を備える。測定子141は、工作物Wの回転中心を挟んだ2点において工作物W表面に当接するように設けられる。定寸装置14は、測定子141の機械的変位を電気信号に変換することにより工作物の外径が検出する。定寸装置14は、軸方向移動装置143に支持され、工作物Wの軸方向、すなわち、Z軸方向に移動可能である。定寸装置14のZ軸方向の移動は、軸方向移動制御部144によって制御される。
【0015】
研削装置100は、
図3に示す工程により工作物Wを研削する。研削工程は、砥石送り速度の違いによって分けられ、粗研工程S1、精研工程S2、微研工程S3、スパークアウト工程S4の順で行われる。各工程の砥石送り速度は、粗研工程S1>精研工程S2>微研工程S3>スパークアウト工程S4となる。粗研工程S1では、工作物Wの大まかな形状を形成する。続く精研工程S2、微研工程S3では、砥石送り速度を小さくしながら、工作物Wの表面形状を整える。最後のスパークアウト工程S4では、工作物W表面の仕上げを行い、工作物Wを完成させる。
【0016】
本発明のびびり評価システム1は、研削が完了するスパークアウト工程S4後の工作物表面のびびり量を評価することが好ましい。なお、本発明はインプロセスにおいて、工作物表面Wのびびり量を評価するものであるが、インプロセスとは、工作物Wが研削装置100から取り外されるまでの期間をいい、スパークアウト工程S4後も含む。びびり評価システム1は工作物Wの研削完了後に工作物Wの研削時の回転を維持した状態において工作物表面Wのびびり量を評価することが好ましい。
【0017】
(2.びびり量評価演算装置の構成)
図4にびびり量評価演算装置200を含む、びびり評価システム1の構成を示す。びびり量評価演算装置200は、基礎データ取得部21と、FFT解析部22と、抽出部23と、逆FFT解析部24と、変位変換部25と、びびり量評価部26と、を備える。第一例のびびり量評価演算装置200は、まず、工作物Wの複数の異なる軸方向位置において、加速度に関する基礎データである加速度基礎データD11を取得する。その後、FFT解析部22、抽出部23、逆FFT解析部24、及び、変位変換部25を経て、各々の加速度基礎データD11に対応する変位に関する逆FFTデータである変位逆FFTデータD42を生成する。生成された複数の変位逆FFTデータD42に基づいて、びびり量評価部26により各軸方向位置における周方向びびり量を評価する。
【0018】
(2-1.基礎データ取得部)
基礎データD1とは、加速度又は変位に関する時系列データである。加速度に関する基礎データD1を加速度基礎データD11、変位に関する基礎データD1を変位基礎データD12と呼ぶ。基礎データD1は、一般的には、時間軸を基準とするデータとして取得されるが、時間及び工作物Wの回転速度から、工作物Wの回転角度を基準とするデータに変換されてもよい。
【0019】
基礎データ取得部21は、工作物Wの軸方向について、複数の異なる軸方向位置において基礎データD1を取得する。複数の異なる軸方向位置とは、例えば、
図5に示す複数の軸方向位置である。
図5は、工作物Wの側面を表し、図中太線で示した線に沿って加速度基礎データを取得する。第一例では、定寸装置14と工作物Wとの接触位置を軸方向に固定した状態で、接触位置が工作物Wの外周を円状に移動するように外周1周分の検出データを取得する。工作物Wの外周1周分の検出データを取得した後、軸方向位置に移動し、そこで再び、工作物Wの外周を円状に移動するようにデータの取得を行う。この動作を複数の軸方向位置にて行う時に、複数の軸方向位置の各々における円状動作の検出データを、工作物Wの各々の軸方向位置における基礎データD1として取得する。
【0020】
基礎データ取得部21は、加速度センサ15からの加速度データの信号に基づき、加速度基礎データD11を取得する。加速度センサ15は、一対の定寸装置14の一方に取り付けられ、定寸装置14を回転中の工作物Wに接触させた状態で、定寸装置14に発生する振動の加速度データを取得する。加速度センサ15は、定寸装置14が、軸方向移動装置143上を移動するのに伴い、工作物Wの軸方向に移動可能である。基礎データ取得部21により取得された加速度基礎データD11は、
図6に示すように、縦軸を加速度、横軸を時間とする時系列データである。基礎データ取得部21により取得した複数の加速度基礎データを第1~第n加速度基礎データD111~D11nとする。
【0021】
(2-2.FFT解析部)
FFTデータD2とは、基礎データD1に基づいてFFT解析されたデータである。加速度基礎データD11からは
図7に示すような、横軸を周波数、縦軸を加速度とする加速度FFTデータD21が生成される。一方、変位基礎データD12からは、横軸を周波数、縦軸を変位とする変位FFTデータD22が生成される。第一例のFFT解析部22は、第1~第n加速度基礎データD111~D11nのそれぞれに基づいてFFT解析を行い、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nを生成する。
【0022】
(2-3.抽出部)
抽出部23は、FFTデータD2から、砥石車12の回転数に対応する回転数周波数成分である特定周波数成分を抽出する。抽出部23によって抽出された抽出FFTデータD3は、FFTデータD2と同様に、横軸を周波数、縦軸を加速度又は変位とするが、特定周波数以外の数値が除かれる。ここでは、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nのそれぞれから、特定周波数成分が抽出された第1~第n加速度抽出FFTデータD311~D31nが生成される。特定周波数成分は、砥石車12の回転数及びその整数倍の周波数成分である。研削装置100は、砥石車12を回転させながら工作物Wを研削する。そのため、砥石車12の表面形状が、砥石車12の回転数毎に工作物Wの表面に現れる。例えば、
図8に示すように、砥石車12表面に、大きく突出した砥粒aがある場合、工作物W表面において、砥粒aと当接する箇所には大きく削り取られた凹部が形成される。凹部は、回転方向に等間隔で形成され、凹部間の間隔は、砥石車12の回転周期と一致する。抽出部23において、特定周波数成分を抽出することにより、砥石車12の表面状態又はアンバランス状態に起因するびびり振動を抽出することができる。
【0023】
(2-4.逆FFT解析部)
逆FFT解析部24は、抽出部23によって生成された抽出FFTデータD3に基づいて逆FFT解析を行い、逆FFTデータD4を生成する。逆FFT解析部24は第1~第n加速度抽出FFTデータD311~D31nのそれぞれに基づいて第1~第n加速度逆FFTデータD411~D41nを生成する。
図9に加速度逆FFTデータ41の一例を示す。加速度逆FFTデータD41は、縦軸を加速度、横軸を時系列とするデータである。
【0024】
(2-5.変位変換部)
変位変換部25は、加速度に関する基礎データD1、FFTデータD2、抽出FFTデータD3、逆FFTデータD4のいずれかを、変位に関する基礎データD1、FFTデータD2、抽出FFTデータD3、逆FFTデータD4のいずれかの対応するデータに変換する。第一例の変位変換部25は、逆FFT解析部24において生成された第1~第n加速度逆FFTデータD411~D41nを、第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nに変換する。変位変換部25では、加速度に関するデータを二回積分することにより、変位に関するデータに変換することができる。
図10に変位逆FFTデータ42の一例を示す。変位逆FFTデータD42は、縦軸を変位、横軸を時系列とするデータである。
【0025】
(2-6.びびり量評価部)
びびり量評価部26は、工作物Wの各々の軸方向位置における第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nに基づいて工作物Wのびびり量を評価する。びびり量評価部26は、まず、第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nから、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量を評価する。周方向びびり量の評価方法としては、例えば、変位逆FFTデータD52の最大値と最小値との差を算出することにより、定量的に数値化することができる。次に、びびり量評価部26は、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量の平均値又はばらつきに基づいて、工作物W全体の周方向びびり量を評価する。びびり量評価部26は、周方向びびり量の平均値が大きい場合や周方向びびり量のばらつきが大きい場合に、工作物Wの廃棄を判定したり、工作物Wの出来栄えを段階的に選別する構成とすることができる。工作物Wの廃棄や選別の基準として、あらかじめ記憶した所定の閾値に基づいて判定してもよいし、研削初期の周方向びびり量の数値と比較して判定してもよい。
【0026】
また、びびり量評価部26は、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量の平均値又はばらつきに基づいて、砥石車12のツルーイングの必要性を判断することもできる。研削加工により、砥石車12の表面が劣化すると、工作物Wの軸方向の全領域において、周方向びびり量が増大する。したがって、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量の平均値が増大した場合、砥石車12の表面が劣化が発生している可能性が高い。あらかじめ記憶した所定の閾値や研削初期の周方向びびり量の平均値に基づいて、周方向びびり量の平均値の増大を判定し、砥石車12のツルーイングを行う等の判断をすることができる。また、砥石車12は、その幅方向において、すなわち、工作物Wの軸方向において、一部のみが劣化する場合もある。これは、砥粒の脱落等によるもので、その劣化具合は砥石車12の幅方向にばらつきを有する。この場合、周方向びびり量の平均値の増大は少ない場合があるが、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量のばらつきが増大する。周方向びびり量のばらつきが増大した場合にも、砥石車12の表面が劣化が発生している可能性が高い。周方向びびり量のばらつきは、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量の最大値と最小値との差分又は標準偏差から評価することができる。
【0027】
(3.表示装置)
びびり評価システム1は、びびり量評価部26による評価結果を表示する表示装置30を備えることが好ましい。表示装置30としては、モニタや表示ランプ等が挙げられる。表示装置30には、例えば、変位逆FFTデータD42の波形や、各々の周方向びびり量を工作物Wの軸方向位置に対してプロットした波形、びびり量評価部26により評価したツルーイングの必要性の判定等を表示することが好ましい。
【0028】
(4.ツルーイング実行部)
びびり評価システム1は、さらに、びびり量評価部26による評価結果に基づいて、砥石車12のツルーイングを実行するツルーイング実行部40を備えることが好ましい。ツルーイング実行部40は、びびり量評価演算装置200のびびり量評価部26にツルーイングが必要であると評価された場合に、砥石車12のツルーイングを実行する。ツルーイングが必要であると評価される場合とは、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量の平均値が増大した場合や、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量のばらつきが増大した場合である。このような場合には、上記のように、砥石車12の表面状態が劣化したことが考えられる。ツルーイング実行部40により、砥石車12のツルーイングを実行することにより、びびりを解消できる可能性がある。
【0029】
(評価例)
第一例のびびり評価システム1を用いて、工作物Wの外周1周分について検出データを取得し、工作物Wの外周1周分の周方向びびり量を評価した。
図11に変位変換した変位逆FFTデータD42の波形を示す。
図12に、工作物Wの表面形状を真円度測定器により測定した波形を示す。
図11、
図12から、びびり評価システム1により評価された表面形状は、従来の真円度測定器による評価と概ね一致することがわかる。
図13は、
図11及び
図12から算出した変位の平均値及び最大値、最小値である。
図13からも、びびり評価システム1による評価結果の信頼性が高いことがわかる。
【0030】
(変形例)
第一例では、変位変換部25を、逆FFT解析部24の後に配置し、基礎データ取得部21、FFT解析部22、抽出部23、逆FFT解析部24、変位変換部25の順でデータの処理を行った。すなわち、逆FFT解析部24において第1~第n加速度逆FFTデータD411~D41nを生成した後、第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nに変換した。びびり量評価演算装置200において、変位変換部25は、基礎データ取得部21によるデータ処理後からびびり量評価部26にデータが送られるまでの間に、加速度に関するデータを変位に関するデータに変換すればよい。すなわち、変位変換部25は、基礎データ取得部21-FFT解析部22間、FFT解析部22-抽出部23間、抽出部23-逆FFT解析部24間、逆FFT解析部24-びびり量評価部26間のいずれかに配置することができる。その一例として、基礎データ取得部21とFFT解析部22との間に変位変換部25を配置した例を
図14に示す。
【0031】
図14を参照して、変位変換部25を基礎データ取得部21-FFT解析部22間に配置する場合について説明する。基礎データ取得部21は、加速度センサ15からの信号に基づき、第1~第n加速度基礎データD111~D11nを取得する。その後、変位変換部25によって、第1~第n加速度基礎データD111~D11nが第1~第n変位基礎データD121~D12nに変換される。FFT解析部22は、第1~第n変位基礎データD121~D12nに基づいて、第1~第n変位FFTデータD221~D22nを生成する。抽出部23は、第1~第n変位FFTデータD221~D22nから、第1~第n変位抽出FFTデータD321~D32nを生成する。逆FFT解析部24は、第1~第n変位抽出FFTデータD321~D32nに基づいて第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nを生成し、びびり量評価部26に送る。
【0032】
次に、変位変換部25をFFT解析部22-抽出部23間に配置する場合について説明する。基礎データ取得部21は、加速度センサ15からの信号に基づき、第1~第n加速度基礎データD111~D11nを取得する。FFT解析部22は、第1~第n加速度基礎データD111~D11nに基づいて、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nを生成する。その後、変位変換部25によって、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nが第1~第n変位FFTデータD221~D22nに変換される。抽出部23は、第1~第n変位FFTデータD221~D22nから、第1~第n変位抽出FFTデータD321~D32nを生成する。逆FFT解析部24は、第1~第n変位抽出FFTデータD321~D32nに基づいて第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nを生成し、びびり量評価部26に送る。
【0033】
次に、変位変換部25を抽出部23-逆FFT解析部24間に配置する場合について説明する。基礎データ取得部21は、加速度センサ15からの信号に基づき、第1~第n加速度基礎データD111~D11nを取得する。FFT解析部22は、第1~第n加速度基礎データD111~D11nに基づいて、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nを生成する。抽出部23は、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nから、第1~第n加速度抽出FFTデータD311~D31nを生成する。その後、変位変換部25によって、第1~第n加速度抽出FFTデータD311~D31nが第1~第n変位抽出FFTデータD321~D32nに変換される。逆FFT解析部24は、第1~第n変位抽出FFTデータD321~D32nに基づいて第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nを生成し、びびり量評価部26に送る。
【0034】
(第二例)
第二例のびびり評価システム2について
図15~
図18を参照して説明する。びびり評価システム2は、第一例の研削装置100及びびびり量評価演算装置200を備える。第一例のびびり評価システム1では、定寸装置14と工作物Wとの接触位置を軸方向に固定した状態で、接触位置が工作物Wの外周を円状に移動するように外周1周分の検出データを取得した。これに対し、第二例のびびり評価システム2では、
図15に示すように、定寸装置14による工作物Wの表面上の接触位置を螺旋状に移動させて検出データを取得する。
【0035】
びびり評価システム2では、基礎データ取得部21は、定寸装置14による工作物Wの表面上の接触位置を螺旋状に移動させた時に、螺旋状の検出データを取得する。すなわち、工作物Wを回転させた状態で、定寸装置14の測定子141を工作物Wの表面に接触させ、定寸装置14を軸方向移動装置143により、工作物Wの軸方向に移動させる。こうすることで、定寸装置14と工作物Wとの接触位置は、工作物Wの表面上を螺旋状の軌跡を描いて移動する。定寸装置14の工作物Wの軸方向への移動速度は、工作物Wの1回転当たり1mm程度とすることが好ましい。定寸装置14の移動速度は、軸方向移動制御部144により制御することができる。
【0036】
検出データを螺旋状に取得する場合、基礎データ取得部21は、定寸装置14を軸方向に移動させながら連続でデータを取得する。このとき、軸方向移動制御部144は、データの取得に必要な工作物Wの軸方向長さを算出し、工作物Wにおいて定寸装置14との接触位置の螺旋状の移動における軸方向移動量を確保できる位置に、定寸装置14と工作物Wとの相対位置を動作させることが好ましい。
【0037】
螺旋状に取得した検出データは、工作物Wの回転軸に対する角度が所定角度毎となるように分割し、工作物Wの各々の軸方向位置における基礎データD1として取得される。螺旋状の検出データを周方向に分割することにより、工作物Wの軸方向に一定の幅を持った複数のデータとすることができる。検出データを分割する所定角度としては、90度以下が好ましく、45度以下がより好ましく、30度以下がさらに好ましい。所定角度の下限は特に限定しないが、工作物Wの表面において、砥石車12の回転数周期が検出できる程度の周方向長さを有する区間に分割することが好ましい。また、分割された各区間において、200~300ポイントのデータを取得することが好ましい。
【0038】
分割された各区間の検出データは、螺旋形状の一部であることから、周方向長さと軸方向長さとを有する。しかしながら、軸方向長さは、周方向長さに比べ十分に小さいため、同一円周上の点としてみなすことができる。また、工作物Wの周方向のびびり振動は、砥石車12の回転に起因するものが多く、砥石車12の回転数周期毎に工作物Wの表面に繰り返し見られる。そのため、検出データを周方向に分割したとしても、周方向全周のびびり量を概算で評価することができる。
【0039】
本例のように、検出データを螺旋状に取得すると、工作物Wの各々の軸方向位置が密に連続した複数の領域について、周方向びびり量を評価することが可能である。そのため、砥石車12の表面状態の幅方向のばらつきを検出する際に、特に優れる。また、工作物Wの研削完了後にインプロセスでびびり量評価を行う場合、次の工作物Wの研削加工に入るまでの間隔をできるだけ短くしたい要望がある。検出データを螺旋状に取得すると、工作物Wの軸方向に幅のあるデータを素早く取得できる。一方、第一例のように、工作物Wの外周1周分毎に軸方向位置をずらしてデータを取得した場合、同一円周上で取得できるデータ数が増え、びびり量の評価精度に優れる。
【0040】
(評価例)
びびり評価システム2を用いて、工作物Wのびびり量評価を行った。定寸装置14の工作物Wの軸方向への移動速度を、工作物Wの1回転当たり1mmとし、4mm間のデータを取得した。取得したデータを工作物Wの回転軸に対する角度が22.5度毎の64の領域に分割し、各々の軸方向位置に対するデータを取得し、これを処理した。各々の軸方向位置に対する第1~第64変位逆FFTデータをから、最大値と最小値との差分を算出し各々の軸方向位置に対する周方向びびり量とした。複数の工作物Wに対して連続で研削加工を行ったときの研削初期の工作物Wに対する評価結果を
図16に示す。砥石車12の劣化がみられる研削後期の工作物Wに対する評価結果を
図17に示す。
図16から、研削初期は、各々の軸方向位置に対する周方向びびり量のばらつきが小さく、周方向びびり量の平均値も小さい。一方、
図17から、砥石車12が劣化した研削後期は、各々の軸方向位置に対する周方向びびり量のばらつきが大きく、周方向びびり量の平均値も増大していることがわかる。このように、工作物Wの軸方向に異なる複数の軸方向位置について周方向びびり量を評価しすることにより、砥石車12の劣化具合を可視化することが可能である。
【0041】
(第三例)
第三例のびびり評価システム3について、
図18~
図20を参照して説明する。第三例のびびり評価システム3は、
図18に示すように、加速度センサ15に代えて、変位センサを備える。
【0042】
変位センサとしては、例えば、リニアゲージ16や定寸装置14を用いることもできる。研削装置に設けられた定寸装置14を変位センサとして用いる場合、リニアゲージ16等の他の変位センサを設ける必要はない。リニアゲージ16は、工作物Wに接触する接触部である測定子161と、測定子161を支持するアーム162を備える。リニアゲージ16は、測定子161を回転中の工作物Wに接触させた状態で、工作物W表面の変位データを検出する。リニアゲージ16は、軸方向移動装置163に支持され、工作物Wの軸方向、すなわち、Z軸方向に移動可能である。リニアゲージ16のZ軸方向の移動は、軸方向移動制御部164によって制御される。基礎データ取得部21は、リニアゲージ16からの変位データの信号に基づき、変位基礎データD12を取得する。FFT解析部22は、変位基礎データD12に基づいて、変位FFTデータD22を生成する。抽出部23は、変位FFTデータD22から、変位抽出FFTデータD32を生成する。逆FFT解析部24は、変位抽出FFTデータD32に基づいて変位逆FFTデータD42を生成し、びびり量評価部26に送る。
【0043】
第三例のびびり量評価演算装置201は、ゲイン補償部27を備えることが好ましい。変位センサにより検出される変位データの信号は、特定の周波数を超えると信号強度が減衰する傾向にある。ゲイン補償部27は、あらかじめ記憶された周波数と信号強度との関係から、周波数毎に信号強度を補償し、出力レベルを一定とする。本例では、ゲイン補償部27は、抽出部23により生成された変位抽出FFTデータD32に対してゲイン補償を行う。びびりゲイン補償部27は、抽出部23よりも上流側に配置されてもよい。すなわち、FFT解析部22により生成された変位FFTデータD22に対してゲイン補償を行ってもよい。
【0044】
図20に、
図19におけるゲイン補償部27の前後の詳細を示す。ゲイン補償部27は、周波数と信号強度との関係を記憶するゲイン記憶部27aと、周波数と信号強度との関係に基づいてゲイン補償を行う調整部27bと、を備える。ゲイン記憶部27aには、あらかじめ、周波数と信号強度との関係が記憶されている。調整部27bに変位抽出FFTデータD32が入力されると、ゲイン記憶部27aから、周波数と信号強度との関係を呼び出す。調整部27bは、当該周波数と信号強度との関係に基づいて変位抽出FFTデータD32に対してゲイン補償を行い、出力する。
【0045】
第三例のびびり量評価演算装置201は、リニアゲージ16により、変位に関する基礎データD1を取得することができる。そのため、加速度に関する各種データを変位に関する各種データに変換する変位変換部25を必要としない。第一例のように加速度センサ15を用いると、時間当たりの変位が大きい場合に、表面の形状変換に素早く反応でき、びびりの検出精度に優れる。一方、第三例のように変位センサを用いると、時間当たりの変位が小さい場合に、びびりの検出精度に優れる。変位センサを用いた場合でも、ゲイン補償を行うことにより、時間当たりの変位が大きい場合にも精度よくびびりを検出することができる。
【符号の説明】
【0046】
1、2、3:びびり評価システム、 100、101:研削装置、 11:ベッド、 12:砥石車、 121:砥石台、 122:砥石台案内部、 123:砥石回転モータ、 131:主軸台、 132:心押台、 133:主軸テーブル、 134:主軸テーブル案内部、 135:主軸回転モータ、 14:定寸装置、 141:測定子、 142:アーム、 143:軸方向移動装置、 144:軸方向移動制御部、 15:加速度センサ、 16:リニアゲージ、 161:測定子、 162:アーム、 163:軸方向移動装置、 164:軸方向移動制御部、 17:制御部、 200、201:びびり量評価演算装置、 21:基礎データ取得部、 22:FFT解析部、 23:抽出部、 24:逆FFT解析部、 25:変位変換部、 26:びびり量評価部、 27:ゲイン補施法部、 27a:ゲイン記憶部、 27b:調整部、 30:表示装置、 40:ツルーイング実行部、 S1:粗研工程、 S2:精研工程、 S3:微研工程、 S4:スパークアウト工程、 W:工作物