IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロンヘルスケア株式会社の特許一覧

特許7380130生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法
<>
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図1
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図2
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図3
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図4
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図5
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図6
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図7
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図8
  • 特許-生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/332 20210101AFI20231108BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61B 5/24 20210101ALI20231108BHJP
【FI】
A61B5/332
A61B5/00 A
A61B5/24
A61B5/332 ZDM
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019209906
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021078889
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江副 美佳
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 充
(72)【発明者】
【氏名】小高 心哉
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-73456(JP,A)
【文献】特開2002-282218(JP,A)
【文献】特開2004-152236(JP,A)
【文献】特開2010-269082(JP,A)
【文献】特開2004-135757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/332
A61B 5/00
A61B 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を計測可能なセンサと、前記センサによって計測された前記生体情報の解析を行う解析手段と、前記センサによって計測された前記生体情報、及び、当該生体情報を前記解析手段により解析した結果である解析結果情報とを少なくとも一対保存する記憶手段と、通信手段と、第1の制御手段と、を備える生体情報計測装置、及び、通信手段と、表示手段と、第2の制御手段と、を備える情報処理端末、を有する生体情報管理システムであって、
前記第1の制御手段は、前記記憶手段に保存された前記解析結果情報を前記情報処理端末に送信する処理の後に、前記解析結果情報に対応する前記生体情報を前記情報処理端末に送信する処理を実行し、
前記第2の制御手段は、前記解析結果情報を受信した場合には、該解析結果情報を即時に前記表示手段に表示させたうえで、前記解析結果情報に対応する前記生体情報を全て受信した後に、当該生体情報を前記表示手段に表示させる処理を実行する、
ことを特徴とする、生体情報管理システム。
【請求項2】
前記生体情報計測装置は、前記解析結果情報を表示する表示手段をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報管理システム。
【請求項3】
前記生体情報計測装置の表示手段は、LED表示灯である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の生体情報管理システム。
【請求項4】
前記解析結果情報は、ストリーミング方式で送受信される、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報管理システム。
【請求項5】
前記生体情報計測装置は、携帯型心電計測装置であり、
前記生体情報は、心電波形である、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の生体情報管理システム。
【請求項6】
前記情報処理端末は、スマートフォンである、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の生体情報管理システム。
【請求項7】
生体情報計測装置と、情報処理端末とを用いて生体情報の管理を行う方法であって
前記生体情報計測装置により生体情報を計測する計測ステップと、
前記計測された生体情報を前記生体情報計測装置において記録する第1記録ステップと、
前記計測された生体情報を前記生体情報計測装置により解析する解析ステップと、
前記解析ステップにおいて解析された前記生体情報の解析結果を、前記情報処理端末に送信する第1送信ステップと、
前記第1送信ステップにおいて送信された前記生体情報の解析結果を、前記情報処理端末で表示する解析結果表示ステップと、
前記第1記録ステップにおいて記録された前記生体情報を、前記情報処理端末に送信する第2送信ステップと、
前記第2送信ステップにおいて送信された前記生体情報を、前記情報処理端末で表示する生体情報表示ステップと、を有しており、
前記解析結果表示ステップの後に前記第2送信ステップが実行される、
ことを特徴とする、生体情報管理方法。
【請求項8】
前記第1送信ステップと前記解析結果表示ステップとが、ストリーミング方式による情報の送受信によって実行される、
ことを特徴とする請求項7に記載の生体情報管理方法。
【請求項9】
前記生体情報計測装置において、前記解析結果を表示する、計測側解析結果表示ステップ、をさらに有する、
ことを特徴とする、請求項7又は8に記載の生体情報管理方法。
【請求項10】
前記生体情報計測装置は、携帯型心電計測装置であり、
前記生体情報は、心電波形である、
ことを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の生体情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケア関連の技術分野に属し、特に、生体情報管理システム、及び、生体情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧値、心電波形などの、個人の身体・健康に関する情報(以下、生体情報ともいう)を計測機器によって計測し、当該計測結果を情報端末で記録、分析することで、健康管理を行うことが普及しつつある。
【0003】
上記のような計測機器の一例として、日常生活において胸部の痛みや動悸などの異常発生時にすぐに心電波形を測定する携帯型の心電測定装置が提案されており、心疾患の早期発見や適切な治療への貢献が期待されている(例えば、特許文献1、2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-420号公報
【文献】国際公開第2015/35251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には本体にセンサ部、制御部、入力部、表示部、タイマ部を備え、心電波形の計測から測定中の表示、解析結果の表示、結果の記憶等を同一本体で行う携帯型の心電測定装置が記載されている。このような構成であるため、測定、表示、記憶などの全ての処理を当該装置のみで完結させることが可能ではあるものの、これらの機能に係る構成を全て備えるため、装置が大型化し、携帯するのに不便という問題がある。
【0006】
一方、特許文献2には、本体にセンサ部、制御部、タイマ部、送信部を備え、計測した心電波形データを超音波や赤外線、Bluetooth(登録商標)などの無線通信機能により、別体の情報処理端末(スマートフォンなどを含む)に送信して、当該端末の表示手段によって各種表示を行い、情報の記憶も情報処理端末側で行う心電計測装置が開示されている。これによると、計測置自体には表示部を備えないため、装置の小型化が可能である。しかしながら、特許文献2に記載の技術によると、携帯型心電装置から心電波形を送信し、情報処理端末側のアプリケーションで測定開始と測定終了を決定し表示しているので、携帯型心電装置が測定可能な状態になっても、情報処理端末との通信の確立、及び、情報処理端末のアプリケーションを介した測定開始指示が実行されるまでは、心電装置による測定を行うことができず、ユーザーにとって不便である。
【0007】
これに対しては、例えば上記特許文献1と特許文献2とを組み合わせて、表示部を省略した心電装置において計測した心電波形を、該装置で保存及び解析し、当該解析結果及び波形データを後でまとめて情報処理端末に送信して表示させることも考えられる。しかしながら、このような方法によっても、詳細な心電波形のデータはデータ容量が大きく、情報処理端末において表示可能になるまでに時間を要するという問題がある。
【0008】
上記のような従来の技術に鑑み、本発明は、生体情報計測装置と情報処理端末とを連携して用いる情報管理システムにおいて、生体情報の受信のための待ち時間の不便さを軽減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る生体情報管理システムは、
生体情報を計測可能なセンサと、前記センサによって計測された前記生体情報の解析を行う解析手段と、前記センサによって計測された前記生体情報、及び、当該生体情報を前記解析手段により解析した結果である解析結果情報とを少なくとも一対保存する記憶手段と、通信手段と、第1の制御手段と、を備える生体情報計測装置、及び、通信手段と、表示手段と、第2の制御手段と、を備える情報処理端末、を有する生体情報管理システムであって、
前記第1の制御手段は、前記記憶手段に保存された前記解析結果情報を前記情報処理端末に送信する処理の後に、前記解析結果情報に対応する前記生体情報を前記情報処理端末に送信する処理を実行し、
前記第2の制御手段は、前記解析結果情報を受信した場合には、該解析結果情報を即時に前記表示手段に表示させたうえで、前記解析結果情報に対応する前記生体情報を全て受信した後に、当該生体情報を前記表示手段に表示させる処理を実行する。
【0010】
ここで、生体情報とは、生体活動を示す各種の情報であり、例えば、心電波形、体温、脈拍、血圧、などを例示することができる。このような構成によれば、ユーザーは情報量が多く、受信に時間がかかる(即ち、待ち時間が発生する)生体情報を情報処理端末で受信するのに先立ち、生体情報に係る解析の結果を閲覧することが可能になり、当該閲覧中にバックグラウンドで情報量の大きいデータを受信することで、待ち時間の不便さを軽減することが可能になる。
【0011】
また、前記生体情報計測装置は、前記解析結果情報を表示する表示手段をさらに備えていてもよい。このような構成であれば、情報処理端末との通信接続を確立していなくても、計測処理の実行とその計測データの解析結果の確認を行うことが可能になる。また、前記生体情報計測装置の表示手段は、LED表示灯であってもよい。
【0012】
また、前記解析結果情報は、ストリーミング方式で送受信されるものであってもよい。このような方式により、解析結果情報を送受信することにより、速やかに情報処理端末で、解析結果を閲覧することが可能になる。
【0013】
また、前記生体情報計測装置は、携帯型心電計測装置であり、前記生体情報は、心電波形であってもよいし、前記情報処理端末は、スマートフォンであってもよい。
【0014】
また、本発明に係る生体情報の管理方法は、生体情報計測装置と、情報処理端末とを用いて生体情報の管理を行う方法であって
前記生体情報計測装置により生体情報を計測する計測ステップと、
前記計測された生体情報を前記生体情報計測装置において記録する第1記録ステップと、
前記計測された生体情報を前記生体情報計測装置により解析する解析ステップと、
前記解析ステップにおいて解析された前記生体情報の解析結果を、前記情報処理端末に送信する第1送信ステップと、
前記第1送信ステップにおいて送信された前記生体情報の解析結果を、前記情報処理端末で表示する解析結果表示ステップと、
前記第1記録ステップにおいて記録された前記生体情報を、前記情報処理端末に送信する第2送信ステップと、
前記第2送信ステップにおいて送信された前記生体情報を、前記情報処理端末で表示する生体情報表示ステップと、を有しており、
前記解析結果表示ステップの後に前記第2送信ステップが実行される、
ことを特徴とする。
【0015】
また、前記第1送信ステップと前記解析結果表示ステップとが、ストリーミング方式による情報の送受信によって実行されてもよい。また、前記生体情報計測装置において、前記解析結果を表示する、計測側解析結果表示ステップ、をさらに有しててもよい。前記生体情報計測装置は、携帯型心電計測装置であり、前記生体情報は、心電波形であってよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生体情報計測装置と情報処理端末とを連携して用いる情報管理システムにおいて、生体情報の受信のための待ち時間の不便さを軽減することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係る生体情報管理システムの概略を説明する図である。
図2図2Aは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す正面図である。図2Bは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す背面図である。図2Cは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す左側面図である。図2Dは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す右側面図である。図2Eは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す平面図である。図2Fは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す底面図である。
図3図3は、実施形態に係る携帯型心電計測装置における心電波形計測処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る生体情報管理システムにおいて、携帯型心電計とスマートフォンとを通信接続する場合の、それぞれの処理の流れの一部を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る生体情報管理システムにおいて、携帯型心電計とスマートフォンとを通信接続する場合の、それぞれの処理の流れの一部を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る携帯型心電計測装置でBLE通信を行う際の処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
図7図7Aは、実施形態に係るスマートフォンで、心電波形解析中表示を行う際の画面の一例を示す図である。図7Bは、実施形態に係るスマートフォンで、心電波形解析結果表示を行う際の画面の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態係るスマートフォンで、心電波形表示を行う際の画面の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る生体情報管理システムにおいて、計測処理終了後に携帯型心電計とスマートフォンとを接続する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
(システム構成)
図1は本実施形態に係る生体情報管理システム1の構成例を示す概略図である。図1に示すように、生体情報管理システム1は、生体情報計測装置の一例としての携帯型心電計10と、情報処理端末の一例としてのスマートフォン20を含み、これらが通信接続可能に構成されている。
【0020】
(心電計測装置)
図2は、本実施形態における携帯型心電計10の構成を示す図である。図2Aは本体の正面を示す正面図であり、同様に図2Bは背面図、図2C左側面図、図2Dは右側面図、図2Eは平面図、図2Fは底面図、となっている。
【0021】
携帯型心電計10の底面には、心電計測時に身体の左側に接触させる左側電極12aが設けられており、反対側面の上面側には、同様に右手人差し指の中節を接触させる第一右側電極12bと、右手人指し指の基節を接触させる第二右側電極12cが設けられている。なお、第一右側電極12bはGND電極としての機能を果たす電極である。
【0022】
心電計測時には、右手で携帯型心電計10を保持し、右手人差し指を、第一右側電極12b、第二右側電極12cに正しく接触するように携帯型心電計10の上面部に配置する。そのうえで、左側電極を所望の計測法に対応する一の皮膚に接触させる。例えば、いわゆるI誘導で計測を行う場合には、左側電極を左手の掌に当てて接触させ、いわゆるV4誘導で計測を行う場合には、左胸部の心窩部やや左方・乳頭下方の肌に接触させる。
【0023】
また、携帯型心電計10の左側面には各種の操作部、及びインジケータが配置されている。具体的には、電源スイッチ16、電源LED16a、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信ボタン17、BLE通信LED17a、メモリー残表示LED18、電池交換LED19、等を備えている。
【0024】
また、携帯型心電計10の正面には、計測状態通知LED13、解析結果通知LED14、が設けられ、携帯型心電計10の背面には、バッテリーの収容口、電池カバー15が配置されている。
【0025】
また、図1には携帯型心電計10の機能構成を示すブロック図が記載されている。図1に示すように、携帯型心電計10は制御部101、電極部12、アンプ部102、AD(Analog to Digital)変換部103、タイマ部104、記憶部105、表示部106、操作部107、電源部108、通信部109、解析部110の各機能部を備える構成となっている。
【0026】
制御部101は、携帯型心電計10の制御を司る手段であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成される。制御部101は、操作部107を介してユーザーの操作を受け付けると、所定のプログラムに従って心電計測、情報通信など各種の処理を実行するように携帯型心電計10の各構成要素を制御する。なお、所定のプログラムは後述の記憶部105に保存され、ここから読み出される。
【0027】
また、制御部101は、機能モジュールとして、心電波形の解析を行う解析部110を備えている。解析部110は計測された心電波形について、波形の乱れの有無などを解析し、少なくとも計測時の心電波形が正常か否かの結果をアウトプットする。
【0028】
電極部12は、左側電極12a、第一右側電極12b、第二右側電極12cからなり、心電波形の検出するセンサとして機能する。アンプ部102は、電極部12から出力された信号を増幅する機能を有している。AD変換部103は、アンプ102で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御部101へ伝送する機能を有している。
【0029】
タイマ部104はRTC(Real Time Clock)を参照して、時間を計測する機能を有している。後述するように、例えば、心電計測時に計測終了までの時間をカウントし、これをアウトプットする。
【0030】
記憶部105は、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置を含んで構成され、アプリケーションプログラム、計測心電波形、解析結果などの各種の情報を記憶する。また、RAMに加えて、例えばフラッシュメモリなどの長期記憶媒体を備えていても良い。
【0031】
表示部106は、前述の電源LED16a、BLE通信LED17a、メモリー残表示LED18、電池交換LED19などを含んで構成され、LEDの点灯、点滅などによって装置の状態をユーザーに伝達する。また、操作部107は、電源スイッチ16、通信ボタン17等を含み、ユーザーからの入力操作を受け付け、制御部101に操作に応じた処理を実行させるための機能を有する。
【0032】
電源部108は、装置の稼働に必要な電力を供給するバッテリーを含んで構成される。バッテリーは、例えばリチウムイオンバッテリーなどの二次電池であっても良いし、一次電池としても良い。
【0033】
通信部109は、無線通信用のアンテナを含み、少なくともBLE通信により、後述する情報処理端末などの他の機器と通信する機能を有する。また、有線による通信のための端子を備えていても良い。
【0034】
(情報処理端末)
情報処理端末の一例であるスマートフォン20は、図1に示すように、制御部21、通信部22、タッチパネルディスプレイ23、記憶部24、を含んで構成される。制御部21はスマートフォン20の制御を司る手段であり、例えばCPUなどを含んで構成され、記憶部24に格納された各種プログラムを実行することにより、これらに応じた機能を発揮する。通信部22は、無線通信用のアンテナを含み、携帯型心電計10などの他の機器、無線基地局との通信を行う機能である。また、有線通信のための端子を備えていてもよい。
【0035】
タッチパネルディスプレイ23は、出力手段の一つとしての表示手段と入力手段とを兼ねており、後述するように、携帯型心電計10と通信接続が確立されている場合には、計測終了時までの残り時間などのステータス情報、心電波形のグラフデータ、などを表示することができる。その他、各種の入力用画像を介してユーザーからの操作を受け付ける。
【0036】
記憶部24は、RAMなどの主記憶装置の他、例えばフラッシュメモリなどの長期記憶媒体を含んで構成され、アプリケーションプログラム、計測心電波形、解析結果などの各種の情報を記憶する。
【0037】
(携帯型心電計を用いた心電計測処理)
次に、心電計測を行う際の携帯型心電計10の動作について、図1図2及び図3に基づいて説明する。図3は、携帯型心電計10を用いて心電計測を行う際の処理の手順を示すフローチャートである。
【0038】
ユーザーはまず、計測に先立ち、電源スイッチ16を操作し携帯型心電計10の電源をONにする。そうすると、電源LEDが点灯して電源がONであることを表示する。そして、右手で携帯型心電計10を保持し、右手人差し指を、12b、12cに接触させ、計測を行う箇所の肌に、12aを接触させる。そうすると、制御部101は電極部12を介して接触状態を検出し(S1101)、正しく電極が接触された状態で所定時間が経過したか否かを判定する処理を行う(S1102)。ここで、制御部101は所定時間が経過していないと判断すれば所定時間が経過するまで同じ処理を繰り返し、所定時間が経過し
たと判断すると、ステップS1103に進み、実際の心電計測を実行する。
【0039】
制御部101は、心電計測を行っている間は、随時計測値を記憶部105に保存するとともに、本体正面の計測状態通知LED13を所定のリズムで点滅させることにより、心電計測中であることを表示する(S1104)。
【0040】
次に、制御部101は心電計測の時間が所定の計測時間(例えば30秒)を経過したか否かを判定する処理を行う(ステップS1105)。ここで、まだ所定の時間を経過していないと判断した場合には、ステップS1103に戻って以降の処理を繰り返す。一方、所定の計測時間が経過したと判断した場合には、計測を終了するとともに、計測状態通知LED13の点滅を終了する処理を行う(ステップS1106)。
【0041】
次に、制御部101の解析部110により、記憶部105に保存された計測データ(心電波形)の解析が行われ(S1107)、解析結果は、心電波形と共に長期記憶装置に保存される(S1108)。そして、制御部101は、解析結果通知LED14により、解析の結果を表示して(S1109)、一連の処理を終了する。なお、解析結果の表示は、例えば、心電波形に異常がみられる場合のみLEDを点灯するのであっても良いし、解析結果に応じた点灯・点滅方法によりLEDを点灯させるようにしても良い。
【0042】
(情報処理端末との連携)
以上のように、携帯型心電計10は、それ単体でも心電計測、計測データの解析及び解析結果の表示を行うことが可能であるが、情報処理端末と通信接続して用いることで、より利便性を高めることができる。以下、図4から図9に基づいて、スマートフォン20と通信接続して携帯型心電計10を用いる場合について説明する。
【0043】
図4及び図5は、携帯型心電計10とスマートフォン20とをBLE通信で連携させて心電計測を行う場合のそれぞれの処理の流れと、機器間の情報の伝達のタイミングを示す図である。なお、携帯型心電計10の処理の流れについて、上述したものについては同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
ユーザーが携帯型心電計10の電源スイッチ16を操作して電源をONにすると、携帯型心電計10において、BLE通信のためのサブルーチンの処理が実行される(S1201)。
【0045】
図6は当該サブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。携帯型心電計10の制御部101は、電源がONされると、通信部109からBLE通信のためのアドバタイズ信号を発信する(S1901)。次に、制御部101は他の情報処理端末からBLE通信の接続要求を受したか否かの判定を行う(S1902)。ここで、BLE通信の接続要求を受信していないと判断すると、所定時間の経過、或いは操作部107の操作により、BLE通信の処理がキャンセルされるまで同様の処理を繰り返す。一方、BLE通信の接続要求を受信したと判断した場合には、ステップS1903に進み、当該接続要求を送信した機器とのBLE接続を行う。BLE通信接続が確立されると、制御部101はサブルーチンを終了する。なお、当該サブルーチンの開始トリガーは電源ONに限らず、例えばBLE通信ボタン17の操作によるものであってもよい。
【0046】
一方、ユーザーはスマートフォン20を、携帯型心電計10とBLE通信が可能な状態にする。具体的にはタッチパネルディスプレイ23を操作して、設定メニュー等から、BLE接続設定をONにする。或いは、携帯型心電計10と連携するための専用のアプリケーションプログラムを起動させることによってBLE接続設定をONにするのであってもよい。
【0047】
BLE接続設定がONになると、スマートフォン20の制御部21は、通信部22を介してBLE通信のためのアドバタイズ信号を受信し(S2101)、携帯型心電計10に対して、BLEの接続要求を送信する(S2102)。そして、携帯型心電計10とBLE接続を行い(S2103。S1904に対応。)、通信開始要求を送信する(S2104)。
【0048】
一方、携帯型心電計10の制御部101は電極接触状態を検出(S1101)した後、BLE接続済みか否かを判定する処理を行う(S1202)。ここで、BLE接続されていると判断した場合には、電極接触状態に係る情報がスマートフォン20に向けて送信され(S1203)、スマートフォン20において当該情報が受信される(S2105)。なお、仮にステップS1202で、BLE接続されていないと判断された場合には、ステップS1203の処理を飛ばして、S1102に進み、電極接触状態で所定時間が経過したか否かの判定処理を行う。
【0049】
電極接触状態の情報を受信したスマートフォン20では、タッチパネルディスプレイ23に電極接触状態が表示される。例えば、「電極は適切に接触しています」或いは「電極は正しく接触していません」などのメッセージを表示してもよい。
【0050】
一方、携帯型心電計10の制御部101はステップS1103で心電計測を実行し、BLE接続済みか否かを判定する処理を行う(S1204)。ここで、BLE接続済みであると判断すると、スマートフォン20に対して、心電計測時間(計測終了までの残り時間)を送信する処理を実行する(S1205)。BLE接続されていないと判断した場合には、ステップS1105に進み、所定の計測時間が経過したか否かを判定する処理を行う。
【0051】
ステップS1205で、携帯型心電計10から送信された心電計測時間は、スマートフォン20において受信され(S2107)、タッチパネルディスプレイ23に心電計測時間が表示される(S2108)。具体的には、例えば「心電計測終了まで〇〇秒」というようなカウントダウンのメッセージが表示されるようにしてもよい。
【0052】
携帯型心電計10は解析部110において心電波形の解析を行い(S1107)、解析処理の実行中、BLE接続されているスマートフォン20があれば、解析中である旨の情報を送信する(S1206)。スマートフォン20の制御部21は、通信部22を介して当該解析中である旨の情報を受信すると(S2109)、タッチパネルディスプレイ23に当該情報を表示する(S2110)。図7Aに解析中である旨の情報が表示された画面の例を示す。
【0053】
また、携帯型心電計10の制御部101は心電波形の解析が終了すると、当該情報を保存し(S1108)、LEDの点灯により解析結果を表示する(S1109)とともに、BLE接続されているスマートフォン20があれば、当該解析結果を送信する処理を実行する(S1207)。
【0054】
スマートフォン20の制御部21は、送信された解析結果を通信部22を介して受信すると(S2111)、当該結果をタッチパネルディスプレイ23に表示させる(S2112)。図7Bに解析結果が表示された画面の一例を示す。一方、携帯型心電計10の制御部101は、BLE接続されているスマートフォン20があれば、心電波形のデータを送信する(S1208)。ここで、スマートフォン20の制御部21はタッチパネルディスプレイ23に解析結果の表示を継続しつつ、バックグラウンドで通信部22を介して心電波形のデータを受信する(S2113)。このように、情報量が多く送受信に時間のかか
る心電波形のデータの送信中に、心電波形の解析結果のみを先に表示することにより、送受信が完了するまでの待ち時間に対するユーザーの不便さを軽減することができる。なお、ステップS1208において、記憶部105に未送信の解析結果が存在する場合には、当該解析結果を心電波形データとともに送信するようにしてもよい。
【0055】
スマートフォン20の制御部21は心電波形のデータを全て受信すると、心電波形をタッチパネルディスプレイ23に表示させる(S2114)。図8にステップS2114で表示される画面の一例を示す。その後、通信部22を介して携帯型心電計10に通信終了要求を送信して(S2115)、BLE接続を切断し(S2116)、スマートフォン20側の処理を終了する。なおスマートフォン20において受信した解析結果、心電波形データといった各種情報は、記憶部24に保存し、有効活用することができる。
【0056】
一方、携帯型心電計10の制御部101はステップS1208の後、心電波形のデータ(及び解析結果)が全て送信されたか否かを判定する処理を実行する(S1209)。ここで、未送信の心電波形データ(及び解析結果)があると判断すれば、ステップS1208に戻って以降の処理を繰り返す。一方、心電波形データ(及び解析結果)が全て送信されたと判断した場合には、スマートフォン20からの通信終了要求の受信を待って、BLE接続を切断し(S1210)、携帯型心電計10側の処理を終了する。
【0057】
以上、本実施形態で説明した携帯型心電計10、及び生体情報管理システム1によれば、スマートフォン20などの情報処理端末と連携して用いることにより、心電波形データ等の各種データをディスプレイに表示させて閲覧することができる。また、受信したデータを保存して、アプリケーションプログラムなどを用いて有効活用することもできる。
【0058】
一方、携帯型心電計10はスマートフォン20とは独立して、心電波形の計測および保存、心電波形データの解析、解析結果の表示および保存、が可能であるため、スマートフォン20との通信確立を待つことなく、任意のタイミングで心電計測することが可能である。
【0059】
また、携帯型心電計10とスマートフォン20とを通信接続する場合であっても、計測処理を行う際に通信が確立されている必要はなく、計測処理終了後に、携帯型心電計10に保存されているデータの送受信を行うために通信接続を行うようにしてもよい。携帯型心電計10の記憶部105には、少なくとも直近に行った計測処理に係る心電波形データと、その解析結果の情報が保存されているため、これらのデータをスマートフォン20に送信して、スマートフォン20のタッチパネルディスプレイ23で閲覧することも可能である。図9に基づいて、このような送受信を行う場合の処理の流れを説明する。
【0060】
図9は、携帯型心電計10の計測処理が終了した後に、スマートフォン20とBLE接続を行う場合の処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、携帯型心電計10とスマートフォン20とは、互いにBLE接続のための処理を行い、接続を確立する(S301、S401)。なお、BLE接続を確立する際のそれぞれの機器の処理の詳細な説明は、既に述べた内容と重複するため省略する。
【0061】
BLE接続が確立されると、スマートフォン20は、解析結果を送信する信号を、携帯型心電計10に送信する(S402)。当該信号を受信した携帯型心電計10は、解析結果データを送信し(S302)、スマートフォン20がこれを受信する(S403)。スマートフォン20の制御部21は、解析結果を受信すると、タッチパネルディスプレイ23に解析結果を表示させ(S404)、さらに携帯型心電計10に対して、心電波形データを送信するように要求する(S405)。
【0062】
心電波形データの送信要求を受信した携帯型心電計10の制御部は、心電波形データをスマートフォン20に対して送信し(S303)、スマートフォン20は心電波形データを受信する(S40)。当該データを受信する間、スマートフォン20の制御部21は、タッチパネルディスプレイ23に、解析結果の情報を表示し続ける処理を行う。そして、直近一回分の心電波形データを全て受信すると、解析結果とともに、心電波形をタッチパネルディスプレイ23に表示する処理を行う(S407)
【0063】
その後、スマートフォン20の制御部21は、通信部22を介して携帯型心電計10に通信終了要求を送信し(S408)、当該信号を携帯型心電計10が受信すると、携帯型心電計10及びスマートフォン20はそれぞれBLE接続を切断する処理を行い(S304、S409)、一連の処理が終了する。
【0064】
このような処理を行うことで、何らかの事情で心電計測時にはスマートフォンとの通信接続を確立できなかった場合であっても、事後的に接続を確立することで、解析結果、心電波形をスマートフォンで閲覧することが可能になる。なお、携帯型心電計10の記憶部105に、直近一回分とは異なる(即ち、より以前の)未送信の心電計測時の解析結果及び心電波形データが存在する場合には、上記のステップS303及びステップS40において、これらを併せて送受信し、スマートフォン20の記憶部24に保存するようにしてもよい。
【0065】
なお、上記実施形態において、電極接触状態、心電計測時間、解析中画面情報、解析結果情報、などのステータス情報と、心電波形データとは異なる送受信方式によって送受信されてもよい。具体的には、比較的データ容量の小さいステータス情報を、ストリーミング形式で送受信し、データ容量の大きい心電波形データを高速データ通信によって、送受信するようにしてもよい。
【0066】
<その他>
上記の各例の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【0067】
例えば、計測装置は携帯型心電計以外に、血圧計、体組成計、脈拍計、体温計などの他の生体情報測定機器であってもよい。即ち、計測対象となる生体情報も心電波形に限られず、血圧、脈拍などであってもよい。なお、上記の例ではシステムを構成する計測装置は携帯型心電計のみであったが、複数の異なる計測装置を含んでシステムが構成されてもよい。
【0068】
また、情報処理端末はスマートフォンにかぎらず、タブレット端末などの他の携帯情報処理端末であってもよいし、据置型の端末であってもよい。また、通信部は、BLE通信を行うためのものに限らず、Wi-Fi(登録商標)、赤外線通信など他の無線通信を行うことが可能なアンテナであってもよい。また、有線接続による通信を行う物であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1・・・生体情報管理システム
10・・・携帯型心電計
13・・・計測状態通知LED
14・・・解析結果通知LED
15・・・電池カバー
16・・・電源スイッチ
16a・・・電源LED
17・・・通信ボタン
17a・・・BLE通信LED
18・・・メモリー残表示LED
19・・・電池交換LED
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9