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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】運転支援装置および運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
G08G1/16 E
G08G1/16 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019227097
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021096617
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 憲生
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直紀
(72)【発明者】
【氏名】手塚 雄貴
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-291790(JP,A)
【文献】特開2019-84924(JP,A)
【文献】特開2006-259895(JP,A)
【文献】特開平10-147160(JP,A)
【文献】特開2012-14257(JP,A)
【文献】特開2011-70299(JP,A)
【文献】国際公開第2019/171576(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、前記車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、
前記車両の運転者の状態、前記車両の外部の日射量(Ms)および前記車両のワイパスイッチ(51)のオンオフのいずれかに基づいて変化する前記所定の範囲に前記物体が位置するとき、前記車両の停止状態を維持させる運転支援部を備える運転支援装置。
【請求項2】
停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、前記車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、
前記車両のウインカースイッチ(52)のオンオフおよび前記車両の操舵角(θc)のいずれかに基づいて変化する前記所定の範囲に前記物体が位置するとき、前記車両の停止状態を維持させる運転支援部を備える運転支援装置。
【請求項3】
停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、前記車両の前方の所定の範囲に踏切(95)とは異なる物体が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、
前記先行車が発進する場合において前記所定の範囲よりも大きさが大きい範囲(R5)に前記踏切が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部を備える運転支援装置。
【請求項4】
前記物体は、信号機(94)とは異なり、
前記運転支援部は、前記先行車が発進する場合であって前記所定の範囲および前記踏切についての範囲(R5)とは異なる範囲(R4)に前記信号機が位置する場合において、前記信号機の点灯色が青色であるとき前記車両を発進させ、前記信号機の点灯色が赤色および黄色のいずれかであるとき前記車両の停止状態を維持させ、
前記信号機についての範囲(R4)の大きさは、移動物体についての前記所定の範囲の大きさよりも大きい請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記信号機についての範囲(R4)の大きさは、前記踏切についての範囲(R5)の大きさよりも大きい請求項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記所定の範囲の外側に物体が位置する場合において、前記所定の範囲の外側の物体が前記所定の範囲に接近するか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記運転支援部は、前記所定の範囲の外側に物体が位置する場合において、前記所定の範囲の外側の物体(92)が前記所定の範囲に接近するとき、前記車両の停止状態を維持させる請求項1ないしのいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項7】
運転支援装置を、
停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、前記車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、
前記車両の運転者の状態、前記車両の外部の日射量(Ms)および前記車両のワイパスイッチ(51)のオンオフのいずれかに基づいて変化する前記所定の範囲に前記物体が位置するとき、前記車両の停止状態を維持させる運転支援部として、機能させる運転支援プログラム。
【請求項8】
運転支援装置を、
停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、前記車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、
前記車両のウインカースイッチ(52)のオンオフおよび前記車両の操舵角(θc)のいずれかに基づいて変化する前記所定の範囲に前記物体が位置するとき、前記車両の停止状態を維持させる運転支援部として、機能させる運転支援プログラム。
【請求項9】
運転支援装置を、
停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、前記車両の前方の所定の範囲に踏切(95)とは異なる物体が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、
前記先行車が発進する場合において前記所定の範囲よりも大きさが大きい範囲(R5)に前記踏切が位置するとき前記車両の停止状態を維持させる運転支援部として、機能させる運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置および運転支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、車両の発進を支援する運転支援装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-250652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、車両が先行車の発進に応じて自動発進する場合、車両の前方を歩行者が横切る等の車両周辺の環境変化により、車両と物体とが衝突するおそれがある。
【0005】
本開示は、車両と物体との衝突を回避可能にする運転支援装置および運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、車両の運転者の状態、車両の外部の日射量(Ms)および車両のワイパスイッチ(51)のオンオフのいずれかに基づいて変化する所定の範囲に物体が位置するとき、車両の停止状態を維持させる運転支援部を備える運転支援装置である。
また、請求項2に記載の発明は、停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、車両のウインカースイッチ(52)のオンオフおよび車両の操舵角(θc)のいずれかに基づいて変化する所定の範囲に物体が位置するとき、車両の停止状態を維持させる運転支援部を備える運転支援装置である。
さらに、請求項3に記載の発明は、停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、車両の前方の所定の範囲に踏切(95)とは異なる物体が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、先行車が発進する場合において所定の範囲よりも大きさが大きい範囲(R5)に踏切が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部を備える運転支援装置である。
【0007】
請求項に記載の発明は、運転支援装置を、停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、車両の運転者の状態、車両の外部の日射量(Ms)および車両のワイパスイッチ(51)のオンオフのいずれかに基づいて変化する所定の範囲に物体が位置するとき、車両の停止状態を維持させる運転支援部として、機能させる運転支援プログラムである。
また、請求項に記載の発明は、運転支援装置を、停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、車両の前方の所定の範囲に物体が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、車両のウインカースイッチ(52)のオンオフおよび車両の操舵角(θc)のいずれかに基づいて変化する所定の範囲に物体が位置するとき、車両の停止状態を維持させる運転支援部として、機能させる運転支援プログラムである。
さらに、請求項に記載の発明は、運転支援装置を、停止状態の車両(1)の前方に位置する先行車(2)が発進する場合において、車両の前方の所定の範囲に踏切(95)とは異なる物体が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部であって、先行車が発進する場合において所定の範囲よりも大きさが大きい範囲(R5)に踏切が位置するとき車両の停止状態を維持させる運転支援部として、機能させる運転支援プログラムである。
【0008】
これにより、車両と物体との衝突を回避することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の運転支援装置が用いられる車載システムの構成図。
図2】運転支援装置の処理を示すフローチャート。
図3】先行車の発進を示す図。
図4】規定エリア内に物体が位置するときの図。
図5】規定エリアに物体が接近するときの図。
図6】規定エリアに物体が接近するときの図。
図7】規定エリア内に物体が位置するときの図。
図8】規定エリア内に信号機が位置するときの図。
図9】規定エリア内に踏切が位置するときの図。
図10】規定エリアの大きさを変更したときの図。
図11】規定エリアの形状を変更したときの図。
図12】規定エリア内に物体が位置するときの図。
図13】規定エリア内に信号機が位置するときの図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
本実施形態の運転支援装置70は、車両1の車載システム5に適用されており、車両1の発進を支援する。まず、この車載システム5について説明する。
【0013】
図1に示すように、車載システム5は、周辺監視センサ10、車両状態センサ20、自己位置推定センサ30、通信機40、入力操作部50、DSM60、運転支援装置70、エンジンECU80およびブレーキECU90を備える。なお、DSMは、Driver Status Monitorの略である。
【0014】
周辺監視センサ10は、車両1の周辺の環境に応じた信号を後述の運転支援装置70に出力する。具体的には、周辺監視センサ10は、日射センサ11、路面状態センサ12、画像センサ13および探査波送受信部14を有する。
【0015】
日射センサ11は、車両1の外部からの日射量Msに応じた信号を運転支援装置70に出力する。
【0016】
路面状態センサ12は、カメラによる路面画像、車両1のタイヤの振動の大きさ、および、車両1が位置している路面に照射された近赤外光の入反射角等を取得する。そして、路面状態センサ12は、これらの情報に基づいて、車両1が位置する道路の路面状態に応じた信号を運転支援装置70に出力する。
【0017】
画像センサ13は、カメラを有しており、車両1の前方、後方および側方を撮像する。また、画像センサ13は、この撮像したカメラ画像を運転支援装置70に出力するとともに、この撮像した画像に基づいて、車両1の周辺の障害物の種類等の情報を運転支援装置70に出力する。
【0018】
探査波送受信部14は、ミリ波、ソナーおよび赤外線等の探査波を車両1の前方の物体に送信する。また、探査波送受信部14は、この物体で反射された探査波を受信する。そして、探査波送受信部14は、この探査波から得られる情報に基づいて、車両1の前方の物体の相対速度および相対位置に応じた信号を運転支援装置70に出力する。
【0019】
車両状態センサ20は、車両1の走行状態に応じた信号を運転支援装置70に出力する。具体的には、車両状態センサ20は、車速センサ21および舵角センサ22を有する。
【0020】
車速センサ21は、車両1の速度に応じた信号を運転支援装置70に出力する。
【0021】
舵角センサ22は、車両1のステアリング操作による操舵角θcに応じた信号を運転支援装置70に出力する。
【0022】
自己位置推定センサ30は、車両1の位置等に関する情報を運転支援装置70に出力する。具体的には、自己位置推定センサ30は、GNSS受信機31、慣性センサ32および地図データベース33を有する。
【0023】
GNSS受信機31は、GPSの受信機等であって、複数の人工衛星からの測位信号を受信する。慣性センサ32は、例えば、ジャイロセンサや加速度センサを含み、車両1にて発生する慣性力を検出する。そして、自己位置推定センサ30は、GNSS受信機31にて受信される測位信号と慣性センサ32による検出結果とに基づいて、車両1の位置に応じた信号を運転支援装置70に出力する。
【0024】
地図データベース33は、不揮発性メモリであって、リンクデータ、ノードデータ、道路形状データ等の地図情報を高精度地図として格納している。また、道路形状のデータには、高度、横断勾配、縦断勾配、車線数等のデータが含まれる。さらに、高度、横断勾配、縦断勾配、車線数等のデータは、少なくとも道路上の地点別になっており、例えば、地図データの観測点別になっている。
【0025】
通信機40は、道路に配置されるインフラ装置からインフラ情報を受信する。このインフラ情報は、例えば、図8に示すように信号機94の位置情報、図9に示すように踏切95の位置情報、信号サイクル情報および踏切情報等を含む。信号サイクル情報は、例えば、青信号、黄信号および赤信号の各点灯時間に関する情報、右折等を指示する矢灯器の点灯時間に関する情報、ならびに、現在点灯している信号とその信号が点灯してからの経過時間に関する情報等を含む。また、踏切情報は、例えば、何秒後に踏切95の遮断機が開くかに関する情報等を含む。また、ここでは、通信機40は、車両1の周辺に位置する別車両と車車間通信を行うことにより、別車両のアクセル操作状態、ブレーキ操作状態、速度および加速度等に関する情報である別車両情報を受信する。そして、通信機40は、これらの受信したインフラ情報および別車両情報を運転支援装置70に出力する。
【0026】
入力操作部50は、車両1の運転者によって操作されることにより、各操作設定を示す信号を運転支援装置70に出力する。具体的には、入力操作部50は、ワイパスイッチ51、ウインカースイッチ52およびACCスイッチ53を有する。
【0027】
ワイパスイッチ51は、車両1の運転者によるオンオフ操作によって、車両1の図示しないワイパを駆動させる。
【0028】
ウインカースイッチ52は、車両1の運転者によるオンオフ操作によって、車両1の図示しない左右のウインカーを点灯させる。
【0029】
ACCスイッチ53は、車両1の運転者によるオンオフ操作によって、後述の運転支援装置70のプログラムを実行させる。なお、ACCは、Adaptive Cruise Controlの略である。
【0030】
DSM60は、車両1の運転者の状態を推定する装置である。DSM60は、例えば、カメラを有しており、車両1の運転者の顔を撮像する。そして、DSM60は、この顔画像を運転支援装置70に出力するとともに、この顔画像に基づいて、車両1における運転者の視線等の運転者の状態に関する情報を運転支援装置70に出力する。
【0031】
運転支援装置70は、判定部、運転支援部およびエリア変更部に対応しており、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、運転支援装置70は、運転支援装置70のROMに記憶されているプログラムを実行すると、後述のエンジンECU80およびブレーキECU90に指令信号を出力する。
【0032】
エンジンECU80は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、エンジンECU80は、エンジンECU80のROMに記憶されているプログラムを実行すると、運転支援装置70からの信号に基づいて、車両1の図示しないエンジンを制御する。
【0033】
ブレーキECU90は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、ブレーキECU90は、ブレーキECU90のROMに記憶されているプログラムを実行すると、運転支援装置70からの信号に基づいて、車両1の図示しないブレーキシステムを制御する。
【0034】
以上のように、車載システム5は構成されている。ここでは、この車載システム5の運転支援装置70の処理により、車両1は、車両1の前方に停止している先行車2の発進に応じて自動発進する。
【0035】
次に、図2のフローチャートを参照して、運転支援装置70の処理について説明する。ここでは、ACCスイッチ53がオンであり、かつ、車両1のシフトレンジがDレンジであり、かつ、車両1が停止しており、かつ、停止している先行車2が検出されたとき、運転支援装置70は、運転支援装置70のROMに記憶されているプログラムを実行する。なお、先行車2の検出は、例えば、周辺監視センサ10によって車両1の前方の所定の範囲内に位置する別車両から検出される。
【0036】
ステップS100において、運転支援装置70は、周辺監視センサ10、車両状態センサ20、自己位置推定センサ30、通信機40、入力操作部50およびDSM60から各種情報を取得する。例えば、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対位置および相対速度Vr、ならびに、先行車2とは異なる物体の相対位置および相対速度を探査波送受信部14から取得する。また、運転支援装置70は、画像センサ13によって撮像されたカメラ画像を画像センサ13から取得する。さらに、運転支援装置70は、車両1の運転者の視線等の状態をDSM60から取得する。また、運転支援装置70は、車両1の外部からの日射量Msを日射センサ11から取得する。さらに、運転支援装置70は、車両1が位置する道路の路面状態を路面状態センサ12から取得する。また、運転支援装置70は、車両1の操舵角θcを舵角センサ22から取得する。さらに、運転支援装置70は、車両1が位置する道路の道路情報を自己位置推定センサ30から取得する。また、運転支援装置70は、ワイパスイッチ51のオンオフおよびウインカースイッチ52のオンオフを入力操作部50から取得する。
【0037】
続いて、ステップS110において、運転支援装置70は、停止状態の先行車2が発進するか否かを判定する。例えば、ここでは、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した車両1に対する先行車2の相対速度Vrの変化に基づいて、車両1の前方に位置する先行車2が発進するか否か判定する。ここで、車両1および先行車2がともに停止しているため、車両1に対する先行車2の相対速度Vrは、ゼロである。このため、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対速度Vrがゼロから変化したとき、図3に示すように先行車2が発進すると判定する。その後、処理は、ステップS120に移行する。また、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対速度Vrがゼロから変化していないとき、先行車2が発進していないと判定する。その後、処理は、ステップS190に移行する。
【0038】
続いて、ステップS120において、運転支援装置70は、後述の処理で用いる第1規定エリアR1、第2規定エリアR2、第3規定エリアR3、第4規定エリアR4および第5規定エリアR5を演算する。第1規定エリアR1、第2規定エリアR2、第3規定エリアR3、第4規定エリアR4および第5規定エリアR5は、車両1の前端からの車両1の前方の距離および車両1の幅方向の距離によって示される所定の範囲にそれぞれなっている。これらの第1規定エリアR1、第2規定エリアR2、第3規定エリアR3、第4規定エリアR4および第5規定エリアR5の詳細については後述する。また、ここでは、運転支援装置70は、車両1の運転者の視線、天候、車両1が位置する道路の路面状態およびその道路情報に基づいて、この演算した規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを変更する。さらに、運転支援装置70は、操舵角θcおよびウインカースイッチ52のオンオフに基づいて、この演算した規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各形状を変更する。この運転支援装置70による規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさおよび各形状の変更の詳細についても後述する。
【0039】
ステップS120に続くステップS130において、先行車2が発進するので、運転支援装置70は、車両1が先行車2に追従して自動発進可能か否かを判定するために、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置するか否かを判定する。ここで、第1移動物体91は、先行車2とは異なる移動物体である。また、ここで、図4に示すように、第1規定エリアR1の幅である第1幅W1は、例えば、車両1が位置する道路の車線4同士の幅である車線幅Wcとなるように運転支援装置70によって演算される。また、第1規定エリアR1の長さである第1長さL1は、例えば、車両1の自動発進後に車両1の運転者がブレーキペダルを踏んでから車両1が停止するまでの距離となるように運転支援装置70によって演算されており、15m程度である。そして、第1規定エリアR1は、第1幅W1と第1長さL1とによって区画形成される長方形の範囲になっている。また、ここでは、第1規定エリアR1のうち車両1側の辺の中心は、車両1の前端の中心と一致している。なお、図4では、第1規定エリアR1は、二点鎖線で示されている。
【0040】
そして、例えば、ここでは、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した第1移動物体91の相対位置に基づいて、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置するか否かを判定する。具体的には、車両1の前方における車両1の前端から第1移動物体91の後端までの距離が第1長さL1以下、かつ、車両1の幅方向における車両1の前端の中心から第1移動物体91までの距離が第1幅W1の半分以下であるとする。このとき、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置するため、処理は、ステップS190に移行する。また、車両1の前方における車両1の前端から第1移動物体91の後端までの距離が第1長さL1より大きい場合、および、車両1の幅方向における車両1の前端の中心から第1移動物体91までの距離が第1幅W1の半分より大きい場合のどちらかの場合とする。このとき、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置しないため、処理は、ステップS140に移行する。なお、ここでは、物体の一部が規定エリア内に位置するときでも、物体が規定エリア内に位置するものとしている。
【0041】
ステップS130に続くステップS140において、運転支援装置70は、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近するか否かを判定する。ここで、第2移動物体92は、先行車2とは異なる物体であって、第2規定エリアR2の外側に位置する。また、ここでは、図5および図6に示すように、第2規定エリアR2の幅である第2幅W2は、例えば、第1規定エリアR1の幅と同様に、車線幅Wcとなるように運転支援装置70によって演算される。さらに、第2規定エリアR2の長さである第2長さL2は、第1長さL1以下となるように運転支援装置70によって演算されており、例えば、10~15m程度である。そして、第2規定エリアR2は、第2幅W2と第2長さL2とによって区画形成される長方形の範囲になっている。また、ここでは、第2規定エリアR2のうち車両1側の辺の中心は、車両1の前端の中心と一致している。なお、図5および図6では、第2規定エリアR2は、二点鎖線で示されている。
【0042】
そして、例えば、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した第2移動物体92の相対位置および相対速度に基づいて、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近するか否かを判定する。具体的には、運転支援装置70は、第2規定エリアR2の位置、ステップS100にて取得した第2移動物体92の相対位置に基づいて、接近距離Laを演算する。ここで、接近距離Laとは、第2移動物体92が第2規定エリアR2に向かう方向における第2移動物体92から第2規定エリアR2の端までの距離である。また、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した第2移動物体92の相対速度に基づいて、第2移動物体92が第2規定エリアR2に向かう速度である接近速度Vaを演算する。これにより、運転支援装置70は、以下関係式(1)に示すように、この接近距離Laをこの接近速度Vaで除算することにより、第2移動物体92と第2規定エリアR2の端との衝突余裕時間であるTTC_Rを演算する。また、運転支援装置70は、この演算したTTC_Rが閾値以上であるとき、第2移動物体92と第2規定エリアR2との接触までの時間が比較的長いため、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近していないと判定する。その後、処理は、ステップS150に移行する。さらに、運転支援装置70は、この演算したTTC_Rが閾値未満であるとき、第2移動物体92と第2規定エリアR2との接触までの時間が比較的短いため、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近していると判定する。その後、処理は、ステップS190に移行する。なお、TTC_Rに関する閾値は、例えば、第2移動物体92の種類、具体的には、人や別車両等により設定される。また、第2移動物体92が検出されないとき、処理は、ステップS150に移行する。
【0043】
TTC_R=La/Va ・・・(1)
【0044】
ステップS140に続くステップS150において、運転支援装置70は、第3規定エリアR3内において先行車2の前方に静止物体93が位置するか否かを判定する。ここで、図7に示すように、第3規定エリアR3の幅である第3幅W3は、第1規定エリアR1および第2規定エリアR2の幅と同様に、車線幅Wcとなるように運転支援装置70によって演算される。さらに、第3規定エリアR3の長さである第3長さL3は、例えば、第1長さL1以上の長さとなるように運転支援装置70によって演算されており、20m程度である。また、ここでは、第3規定エリアR3のうち車両1側の辺の中心は、車両1の前端の中心と一致している。そして、第3規定エリアR3は、第3幅W3と第3長さL3とによって区画形成される長方形の範囲になっている。なお、図7では、第3規定エリアR3は、二点鎖線で示されている。
【0045】
そして、例えば、ここでは、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した先行車2の相対位置および静止物体93の相対位置に基づいて、第3規定エリアR3内において先行車2の前方に静止物体93が位置するか否かを判定する。具体的には、図7に示すように、運転支援装置70は、車両1の前方における車両1の前端から先行車2の後端までの距離である第1相対距離Lr1を演算する。また、運転支援装置70は、車両1の前方における車両1の前端から静止物体93の後端までの距離である第2相対距離Lr2を演算する。さらに、運転支援装置70は、車両1の幅方向における車両1の前端の中心から静止物体93までの距離を演算する。そして、第2相対距離Lr2が第1相対距離Lr1より大きく、第3長さL3より以下、かつ、車両1の幅方向における車両1の前端の中心から静止物体93までの距離が第3幅W3の半分以下とする。このとき、第3規定エリアR3内において、先行車2の前方に静止物体93が位置するため、処理は、ステップS190に移行する。また、第2相対距離Lr2が第3長さL3より大きいとき、および、車両1の幅方向における車両1の前端の中心から静止物体93までの距離が第3幅W3の半分より大きいときのいずれかの場合とする。この場合、第3規定エリアR3内において、先行車2の前方に静止物体93が位置しないため、処理は、ステップS160に移行する。なお、静止物体93が検出されないとき、処理は、ステップS160に移行する。また、図7では、図7の状況をわかりやすくするため、静止物体93は、停止状態の四輪自動車で示されている。さらに、先行車2は、発進する二輪自動車で示されている。
【0046】
ステップS150に続くステップS160において、運転支援装置70は、第4規定エリアR4内に信号機94が位置するか否かを判定する。ここで、第4規定エリアR4の幅である第4幅W4は、例えば、車両1が位置する道路の幅以上となるように運転支援装置70によって演算されており、30m程度である。また、第4規定エリアR4の長さである第4長さL4は、例えば、車両1が位置する道路の幅以上となるように運転支援装置70によって演算されており、50m程度である。そして、第4規定エリアR4は、第4幅W4と第4長さL4とによって区画形成される長方形の範囲になっている。なお、図8では、第4規定エリアR4は、二点鎖線で示されている。
【0047】
そして、例えば、ここでは、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した画像センサ13のカメラ画像に基づいて、第4規定エリアR4内に信号機94が位置するか否かを判定する。具体的には、運転支援装置70は、予め設定された信号機94のテンプレート画像と画像センサ13のカメラ画像内に映る物体とを照合することにより、そのカメラ画像に映る信号機94を検出する。これにより、運転支援装置70は、カメラ画像における信号機94の画素位置を推定する。なお、カメラ画像において信号機94が検出されないとき、第4規定エリアR4内に信号機94が位置しないため、処理は、ステップS170に移行する。
【0048】
また、運転支援装置70は、カメラ画像における信号機94の画素位置を推定した後、ステップS120にて演算した第4規定エリアR4を、このカメラ画像に対応する第4規定エリアR4に変換する。例えば、運転支援装置70は、実験等により予め設定された変換行列に基づいて、3次元空間座標系における第4規定エリアR4をカメラ座標系の第4規定エリアR4に座標変換する。そして、カメラ画像における信号機94の画素位置がカメラ画像に対応する第4規定エリアR4の外側に位置するとき、第4規定エリアR4内に信号機94が位置しないため、処理は、ステップS170に移行する。
【0049】
また、カメラ画像における信号機94の画素位置がカメラ画像に対応する第4規定エリアR4内に位置するとき、運転支援装置70は、第4規定エリアR4内の信号機94の点灯色が青色であるか否かを判定する。具体的には、運転支援装置70は、カメラ画像における信号機94の輝度のRGB値に基づいて、第4規定エリアR4内の信号機94の点灯色が青色であるか否かを判定する。第4規定エリアR4内の信号機94の点灯色が青色であるとき、処理は、ステップS170に移行する。また、第4規定エリアR4内の信号機94の点灯色が青色でないとき、すなわち、赤色および黄色のいずれかであるとき、処理は、ステップS190に移行する。
【0050】
ステップS160に続くステップS170において、運転支援装置70は、第5規定エリアR5内に踏切95が位置するか否かを判定する。ここで、第5規定エリアR5の幅である第5幅W5は、例えば、第4幅W4と同様の値となるように運転支援装置70によって演算されており、30m程度である。また、第5規定エリアR5の長さである第5長さL5は、例えば、第4長さL4長さよりも小さくなるように運転支援装置70によって演算されており、10m程度である。なお、図9では、第5規定エリアR5は、二点鎖線で示されている。
【0051】
そして、例えば、ここでは、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した画像センサ13のカメラ画像に基づいて、第5規定エリアR5内に踏切95が位置するか否かを判定する。具体的には、運転支援装置70は、予め設定された踏切95のテンプレート画像と画像センサ13のカメラ画像内に映る物体とを照合することにより、カメラ画像に映る踏切95を検出する。これにより、運転支援装置70は、カメラ画像における踏切95の画素位置を推定する。なお、カメラ画像において踏切95が検出されないとき、第5規定エリアR5内に踏切95が位置しないため、処理は、ステップS180に移行する。
【0052】
また、運転支援装置70は、カメラ画像における踏切95の画素位置を推定した後、ステップS120にて演算した第5規定エリアR5を、このカメラ画像に対応する第5規定エリアR5に変換する。例えば、上記と同様に、運転支援装置70は、実験等により予め設定された変換行列に基づいて、3次元空間座標系における第5規定エリアR5をカメラ座標系の第5規定エリアR5に座標変換する。そして、カメラ画像における踏切95の画素位置がカメラ画像に対応する第5規定エリアR5の外側に位置するとき、第5規定エリアR5内に踏切95が位置しないため、処理は、ステップS180に移行する。また、カメラ画像における踏切95の画素位置がカメラ画像に対応する第5規定エリアR5内に位置するとき、処理は、ステップS190に移行する。
【0053】
ステップS170に続くステップS180において、車両1が比較的安全に自動発進可能な状態であるため、運転支援装置70は、車両1を発進させる。具体的には、運転支援装置70は、車両1を発進させる信号をエンジンECU80に出力する。この信号により、エンジンECU80は、車両1の図示しないエンジンを駆動させる。これにより、車両1は、加速するため、自動発進する。その後、処理は、終了する。
【0054】
ステップS190において、車両1が比較的安全に自動発進可能な状態でないため、運転支援装置70は、車両1の停止を維持させる。具体的には、運転支援装置70は、車両1を停止させる信号をブレーキECU90に出力する。この信号により、ブレーキECU90は、車両1の図示しないブレーキシステムを制御することにより、車両1の停止状態を維持させる。その後、処理は、終了する。
【0055】
以上のように、運転支援装置70の処理が行われることにより、車両1は、先行車2の発進に応じて自動発進する。
【0056】
次に、運転支援装置70による規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさおよび各形状の変更について説明する。
【0057】
ここでは、運転支援装置70は、車両1の運転者の視線、天候、路面状態および道路情報に基づいて、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを変更する。ここで、車両1の運転者の視線が前方を向いているときを通常状態とする。また、ここで、例えば、車両1の運転者の視線が側方を向いているとき、すなわち、車両1の運転者がよそ見をしているとする。このとき、運転支援装置70は、車両1の自動発進をしにくくさせるため、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを、通常状態のときよりも大きくする。例えば、運転支援装置70は、図10に示すように、第1規定エリアR1の第1長さL1を長くすることにより、第1規定エリアR1を通常状態のときよりも大きくする。
【0058】
また、日射量Msが日射閾値Ms_thより大きいときおよびワイパスイッチ51がオフであるときのいずれかの場合、すなわち、天候が良い場合を通常状態とする。そして、運転支援装置70は、日射量Msが日射閾値Ms_th以下であるとき、すなわち、天候が悪いとき、車両1の自動発進をしにくくさせるため、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを通常状態のときよりも大きくする。さらに、運転支援装置70は、ワイパスイッチ51がオンであるとき、すなわち、天候が悪いとき、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを通常状態のときよりも大きくする。なお、日射閾値Ms_thは、実験やシミュレーション等により設定される。
【0059】
また、路面状態が凍結でも湿潤でもないときを通常状態とする。そして、運転支援装置70は、路面状態が凍結および湿潤のいずれかであるとき、すなわち、路面状態が悪いとき、車両1の自動発進をしにくくさせるため、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを通常状態のときよりも大きくする。
【0060】
また、車両1が自動車専用道路以外の道路である一般道路に位置するときを通常状態とする。そして、運転支援装置70は、車両1が自動車専用道路に位置するとき、例えば、車両1が高速自動車国道に位置するとき、車両1の自動発進をしやすくさせるため、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを通常状態のときよりも小さくする。
【0061】
また、ここでは、運転支援装置70は、上記条件が少なくとも1つでも該当するとき、上記のように、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさを通常状態のときから変更する。
【0062】
また、運転支援装置70は、操舵角θcおよびウインカースイッチ52のオンオフに基づいて、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各形状を変更する。
【0063】
ここで、操舵角θcが操舵閾値θc_th未満であるとき、例えば、車両1が発進する場合に直進するときを通常状態とする。そして、運転支援装置70は、操舵角θcが操舵閾値θc_th以上であるとき、通常状態であるときの形状である長方形から車両1の操舵方向に沿う四角形に、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各形状を変更する。なお、操舵閾値θc_thは、実験やシミュレーション等により設定される。
【0064】
また、運転支援装置70は、ウインカースイッチ52のオンであるとき、それに対応するウインカーの方向に沿うように、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各形状を長方形から四角形に変更する。例えば、図11に示すように、車両1の右側のウインカーを点灯させるウインカースイッチ52がオンであるとする。このとき、運転支援装置70は、第1幅W1および第1長さL1を変更しないまま、第1規定エリアR1の長方形を車両1の右側に変形させた平行四辺形に変更する。
【0065】
また、運転支援装置70は、ステップS100にて取得した道路情報により車両1が位置する道路が曲線状であるとき、その曲線に沿うように規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各形状を長方形から変更する。
【0066】
そして、運転支援装置70は、上記条件が少なくとも1つでも該当するとき、上記のように、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各形状を通常状態であるときの形状から変更する。
【0067】
このようにして、運転支援装置70は、規定エリアR1、R2、R3、R4、R5の各大きさおよび各形状を変更する。
【0068】
次に、この運転支援装置70による処理によって車両1が適切に自動発進可能になることについて説明する。
【0069】
運転支援装置70は、停止状態の先行車2が発進する場合において、規定エリアR1、R3、R4、R5の外側に物体が位置するとき、車両1を発進させる。また、図4図7図8図9に示すように、規定エリアR1、R3、R4、R5のいずれかの内側に物体が位置しているとする。このとき、運転支援装置70は、先行車2が発進する場合でも、車両1の停止状態を維持する。これにより、車両1は、先行車2に追従して自動発進する場合、周辺の環境の変化によっても、車両1と物体との衝突を回避することができる。また、このため、車両1は、適切に自動発進できる。
【0070】
また、図2に示すように、運転支援装置70は、第2規定エリアR2の外側に位置する第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近すると判定したとき、車両1の停止状態を維持する。これにより、周辺の環境の変化によっても、車両1と物体との衝突を回避することができる。また、このため、車両1は、適切に自動発進できる。
【0071】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0072】
本開示に記載の判定部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の判定部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の判定部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0073】
(1)上記実施形態では、自己位置推定センサ30は、GNSS受信機31を用いる。これに対して、自己位置推定センサ30は、GNSS受信機31を用いることに限定されない。例えば、自己位置推定センサ30の地図データベース33は、地図データとして、道路形状および構造物の特徴点の点群からなる三次元地図を用いる構成であってもよい。また、例えば、自己位置推定センサ30は、この三次元地図を用いる場合、この三次元地図と、道路形状および構造物の特徴点の点群を検出するLIDAR等の周辺監視センサ10での検出結果とを用いて、車両1の位置を特定する構成としてもよい。なお、地図データは、自車に搭載された車載通信モジュールを用いて自車の外部から取得する構成としてもよい。また、LIDARは、Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Rangingの略である。
【0074】
(2)上記実施形態では、ステップS110において、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対速度Vrの変化に基づいて、車両1の前方に位置する先行車2が発進したか否か判定する。これに対して、この判定は、車両1に対する先行車2の相対速度Vrの変化に基づくことに限定されない。例えば、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対加速度の変化に基づいて、先行車2が発進するか否かを判定してもよい。また、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対位置の変化に基づいて、先行車2が発進するか否かを判定してもよい。さらに、運転支援装置70は、ステップS100にて画像センサ13から取得したカメラ画像により、先行車2が発進するか否かを判定してもよい。また、運転支援装置70は、通信機40から取得した先行車2のアクセル操作状態に基づいて、先行車2が発進するか否かを判定してもよい。この場合、通信機40は、車車間通信により先行車2のアクセル操作状態を取得する。また、運転支援装置70は、上記条件のうち2つ以上の条件に基づいて、先行車2が発進するか否かを判定してもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、ステップS130において、運転支援装置70は、第1移動物体91の相対位置に基づいて、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置するか否かを判定する。これに対して、この判定は、第1移動物体91の相対位置に基づくことに限定されない。例えば、運転支援装置70は、画像センサ13のカメラ画像に基づいて、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置するか否かを判定してもよい。また、運転支援装置70は、上記条件のうち2つの条件に基づいて、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置するか否かを判定してもよい。なお、運転支援装置70は、第1規定エリアR1内に第1移動物体91が位置するか否かを判定するだけでなく、第1規定エリアR1内に静止している物体が位置するか否かを判定してもよい。
【0076】
(4)上記実施形態では、ステップS140において、運転支援装置70は、第2移動物体92の相対位置および相対速度に基づいて、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近するか否かを判定する。これに対して、この判定は、第2移動物体92の相対位置および相対速度に基づくことに限定されない。例えば、第2移動物体92が自動車である場合、運転支援装置70は、その自動車のウインカーの点灯状態に基づいて、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近するか否かを判定してもよい。具体的には、この場合、運転支援装置70は、その自動車のうち点灯しているウインカー側に第2規定エリアR2が位置するとき、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近すると判定してもよい。また、運転支援装置70は、その自動車のうち点灯しているウインカーとは反対側に第2規定エリアR2が位置するとき、第2移動物体92が第2規定エリアR2に接近しないと判定してもよい。なお、この場合、運転支援装置70は、通信機40による車車間通信および画像センサ13によるカメラ画像等によって、その自動車のウインカーの点灯状態を取得する。
【0077】
(5)上記実施形態では、ステップS150における静止物体93は、停止している四輪自動車である。これに対して、このときの静止物体93は、停止している四輪自動車であることに限定されないで、自動車以外の障害物等であってもよい。また、ステップS150における先行車2は、発進する二輪自動車である。これに対して、このときの先行車2は、発進する二輪自動車であることに限定されないで、図12に示すように、発進する四輪自動車等であってもよい。なお、ステップS150において、運転支援装置70は、第3規定エリアR3内において先行車2の前方に移動物体が位置するか否かを判定してもよい。
【0078】
(6)上記実施形態では、ステップS160において、運転支援装置70は、画像センサ13のカメラ画像に基づいて、第4規定エリアR4内に信号機94が位置するか否かを判定する。これに対して、この判定は、画像センサ13のカメラ画像に基づくことに限定されない。例えば、運転支援装置70は、通信機40から取得した信号機94の位置情報に基づいて、第4規定エリアR4内に信号機94が位置するか否かを判定してもよい。具体的には、通信機40は、道路に配置されるインフラ装置からインフラ情報を受信する。また、運転支援装置70は、ステップS100にて、通信機40からインフラ情報に含まれる信号機94の位置情報を取得する。そして、処理がステップS160に移行した場合には、運転支援装置70は、ステップS160において、この取得した信号機94の位置が第4規定エリアR4内に位置するか否かを判定する。この信号機94の位置が第4規定エリアR4内に位置するとき、処理は、ステップS190に移行する。また、この信号機94の位置が第4規定エリアR4内に位置しないとき、処理は、ステップS170に移行する。
【0079】
また、信号機94は、図13に示すように、矢印器96を有してもよい。例えば、信号機94の点灯色が赤色であっても、矢印器96が点灯する場合がある。このとき、先行車2の発進方向と第4規定エリアR4内の信号機94の矢印器96が示す方向とが一致するとき、運転支援装置70の処理は、ステップS170に移行してもよい。また、先行車2の発進方向と第4規定エリアR4内の信号機94の矢印器96が示す方向とが異なるとき、運転支援装置70の処理は、ステップS190に移行してもよい。
【0080】
(7)上記実施形態では、ステップS170において、運転支援装置70は、画像センサ13のカメラ画像に基づいて、第5規定エリアR5内に踏切95が位置するか否かを判定する。これに対して、この判定は、画像センサ13のカメラ画像に基づくことに限定されない。例えば、運転支援装置70は、通信機40から取得した踏切95の位置情報に基づいて、第5規定エリアR5内に踏切95が位置するか否かを判定してもよい。具体的には、上記と同様に、通信機40は、インフラ情報を受信する。そして、運転支援装置70は、ステップS100にて、通信機40からインフラ情報に含まれる踏切95の位置情報を取得する。そして、処理がステップS170に移行した場合には、運転支援装置70は、ステップS170において、この取得した踏切95の位置が第5規定エリアR5内に位置するとき、処理は、ステップS190に移行する。また、この踏切95の位置が第5規定エリアR5内に位置しないとき、処理は、ステップS180に移行する。
【0081】
(8)上記実施形態では、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対速度Vrを探査波送受信部14から取得する。これに対して、運転支援装置70は、車両1に対する先行車2の相対速度Vrを探査波送受信部14から取得することに限定されない。例えば、運転支援装置70は、車速センサ21からの車両1の速度および通信機40からの別車両情報に基づいて、車両1に対する先行車2の相対速度Vrを演算してもよい。具体的には、運転支援装置70は、ステップS100にて、車両1の速度を車速センサ21から取得する。また、運転支援装置70は、ステップS100にて、通信機40によって車車間通信により取得された先行車2の速度を通信機40から取得する。さらに、運転支援装置70は、これらの車両1の速度および先行車2の速度に基づいて、車両1に対する先行車2の相対速度Vrを演算する。
【0082】
(9)上記実施形態では、車両1は、内燃機関を有する。これに対して、車両1は、内燃機関を有することに限定されない。例えば、車両1は、電気自動車やハイブリット自動車等の電動車両および燃料電池自動車であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 車両
2 先行車
10 周辺監視センサ
20 車両状態センサ
30 自己位置推定センサ
40 通信機
50 入力操作部
70 運転支援装置
80 エンジンECU
90 ブレーキECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13