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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/25 20200101AFI20231108BHJP
   H05B 47/23 20200101ALI20231108BHJP
   H05B 45/54 20200101ALI20231108BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H05B47/25
H05B47/23
H05B45/54
H02M3/155 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019228373
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021096980
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
(72)【発明者】
【氏名】船山 信介
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-159265(JP,A)
【文献】特開2017-021954(JP,A)
【文献】特開平07-147770(JP,A)
【文献】特開2012-135095(JP,A)
【文献】特開2003-116279(JP,A)
【文献】特開平09-042096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
H02M 1/00-1/44
3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から電力の供給を受ける一対の電流供給線路と、
第1スイッチング素子と、前記一対の電流供給線路の高電位側と電気的に接続されたコイルと、を有し、前記一対の電流供給線路を介して前記直流電源から電力の供給を受け、前記第1スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる昇圧チョッパ回路と、
前記一対の電流供給線路の前記高電位側に設けられた限流素子と、
前記限流素子の一端と電気的に接続された第1端子と、前記限流素子の他端と電気的に接続された第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子と、を有する第2スイッチング素子と、
前記制御端子に制御端子電圧を供給する電圧調整回路と、
を備え、
前記電圧調整回路は、前記昇圧チョッパ回路の出力電圧が前記直流電源の電源電圧よりも高い場合、前記第1スイッチング素子がオフ状態のときに前記コイルから電流の供給を受けて前記第2スイッチング素子を前記導通状態とする前記制御端子電圧を生成し、前記昇圧チョッパ回路の前記出力電圧が前記電源電圧以下の場合、前記第2スイッチング素子を遮断状態とする前記制御端子電圧を生成し、
前記電圧調整回路は、
前記コイルから電流の供給を受けて前記制御端子に前記制御端子電圧を発生させる第1コンデンサと、
アノードが前記コイルと電気的に接続され、カソードが前記第1コンデンサの正極と電気的に接続されたダイオードと、
前記第1コンデンサの両端電圧を分圧して前記制御端子電圧を出力する分圧回路と、
を備えることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記昇圧チョッパ回路の前記出力電圧が前記電源電圧以下の場合、前記コイルから前記電圧調整回路への電流の供給は遮断されることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記ダイオードは、前記コイルから電流を供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置
【請求項4】
直流電源から電力の供給を受ける一対の電流供給線路と、
第1スイッチング素子と、前記一対の電流供給線路の高電位側と電気的に接続されたコイルと、を有し、前記一対の電流供給線路を介して前記直流電源から電力の供給を受け、前記第1スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる昇圧チョッパ回路と、
前記一対の電流供給線路の前記高電位側に設けられた限流素子と、
前記限流素子の一端と電気的に接続された第1端子と、前記限流素子の他端と電気的に接続された第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子と、を有する第2スイッチング素子と、
前記制御端子に制御端子電圧を供給する電圧調整回路と、
を備え、
前記電圧調整回路は、前記昇圧チョッパ回路の出力電圧が前記直流電源の電源電圧よりも高い場合、前記第1スイッチング素子がオフ状態のときに前記コイルから電流の供給を受けて前記第2スイッチング素子を前記導通状態とする前記制御端子電圧を生成し、前記昇圧チョッパ回路の前記出力電圧が前記電源電圧以下の場合、前記第2スイッチング素子を遮断状態とする前記制御端子電圧を生成し、
前記電圧調整回路は、前記第1端子と前記第2端子のうち前記コイル側の端子と、前記制御端子との間に電気的に接続された第2コンデンサを備えることを特徴とする点灯装置。
【請求項5】
前記昇圧チョッパ回路の前記出力電圧が前記電源電圧よりも高い場合、前記第1スイッチング素子がオン状態の間、前記コイルから前記電圧調整回路への電流の供給は遮断され、前記電圧調整回路は前記制御端子電圧を前記第2スイッチング素子の閾値以上に維持することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記第2スイッチング素子はMOSFETであることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
請求項1からの何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には交流電源をダイオードブリッジで整流した出力を昇圧チョッパ回路で昇圧して直流電圧を発生する電源装置が開示されている。この電源装置は、ダイオードブリッジの出力を昇圧チョッパ回路に供給する供給路に挿入された突入電流を防止する限流要素を備える。また、電源装置は、突入電流の抑制後に限流要素を短絡するスイッチング素子を備える。昇圧チョッパ回路のインダクタとして、1次巻線と同一極性に巻装された2次巻線を有するものを用いる。スイッチング素子を2次巻線で誘起される電圧を用いてオンとする。これにより、抵抗分による電力損失を無くして、電力損失を少なくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-147770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電源装置では、負荷が短絡故障したときに、スイッチング素子を通って負荷に電流が継続して流れるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、短絡時の過電流を抑制できる点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る点灯装置は、直流電源から電力の供給を受ける一対の電流供給線路と、第1スイッチング素子と、該一対の電流供給線路の高電位側と電気的に接続されたコイルと、を有し、該一対の電流供給線路を介して該直流電源から電力の供給を受け、該第1スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる昇圧チョッパ回路と、該一対の電流供給線路の該高電位側に設けられた限流素子と、該限流素子の一端と電気的に接続された第1端子と、該限流素子の他端と電気的に接続された第2端子と、該第1端子と該第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子と、を有する第2スイッチング素子と、該制御端子に制御端子電圧を供給する電圧調整回路と、を備え、該電圧調整回路は、該昇圧チョッパ回路の出力電圧が該直流電源の電源電圧よりも高い場合、該第1スイッチング素子がオフ状態のときに該コイルから電流の供給を受けて該第2スイッチング素子を該導通状態とする該制御端子電圧を生成し、該昇圧チョッパ回路の該出力電圧が該電源電圧以下の場合、該第2スイッチング素子を遮断状態とする該制御端子電圧を生成し、該電圧調整回路は、該コイルから電流の供給を受けて該制御端子に該制御端子電圧を発生させる第1コンデンサと、アノードが該コイルと電気的に接続され、カソードが該第1コンデンサの正極と電気的に接続されたダイオードと、該第1コンデンサの両端電圧を分圧して該制御端子電圧を出力する分圧回路と、を備える
本開示に係る点灯装置は、直流電源から電力の供給を受ける一対の電流供給線路と、第1スイッチング素子と、該一対の電流供給線路の高電位側と電気的に接続されたコイルと、を有し、該一対の電流供給線路を介して該直流電源から電力の供給を受け、該第1スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる昇圧チョッパ回路と、該一対の電流供給線路の該高電位側に設けられた限流素子と、該限流素子の一端と電気的に接続された第1端子と、該限流素子の他端と電気的に接続された第2端子と、該第1端子と該第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子と、を有する第2スイッチング素子と、該制御端子に制御端子電圧を供給する電圧調整回路と、を備え、該電圧調整回路は、該昇圧チョッパ回路の出力電圧が該直流電源の電源電圧よりも高い場合、該第1スイッチング素子がオフ状態のときに該コイルから電流の供給を受けて該第2スイッチング素子を該導通状態とする該制御端子電圧を生成し、該昇圧チョッパ回路の該出力電圧が該電源電圧以下の場合、該第2スイッチング素子を遮断状態とする該制御端子電圧を生成し、該電圧調整回路は、該第1端子と該第2端子のうち該コイル側の端子と、該制御端子との間に電気的に接続された第2コンデンサを備える。

【発明の効果】
【0007】
本開示に係る点灯装置では、光源の短絡により昇圧チョッパ回路の出力電圧が電源電圧以下となった場合に、第2スイッチング素子が遮断状態となる。従って、限流素子によって短絡時の過電流を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る点灯装置の電圧波形を説明する図である。
図3】短絡時の電圧波形を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各実施の形態に係る点灯装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は、点灯装置10と光源部50を備える。点灯装置10には、外部から直流電源DCが供給される。点灯装置10は直流電源DCを接続する接続部CN1を備える。また、点灯装置10は、光源部50に電力を供給して光源部50を点灯させる。点灯装置10は、光源部50を接続する接続部CN2を備える。
【0011】
光源部50は、直列に接続された複数の光源51を有する。光源51は例えばLEDである。光源部50が有する光源51は1つ以上であれば良い。また、複数の光源51は並列または直並列に接続されていても良い。
【0012】
点灯装置10は、直流電源DCから電力の供給を受ける一対の電流供給線路11、12を備える。電流供給線路11、12のうち電流供給線路11が高電位側であり、電流供給線路12が低電位側である。
【0013】
点灯装置10は、昇圧チョッパ回路30を備える。昇圧チョッパ回路30は、直流電源DCを電力変換するための点灯回路部である。昇圧チョッパ回路30により、直流電源DCの電源電圧は昇圧される。昇圧チョッパ回路30の出力には、直流電源DCの電源電圧よりも高い電圧で点灯する光源部50が接続される。昇圧チョッパ回路30は、コイルL1、第1スイッチング素子Q1およびダイオードD1を有する。
【0014】
第1スイッチング素子Q1は、第1端子と、第2端子と、第1端子と第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子とを備える。第1スイッチング素子Q1は例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。第1スイッチング素子Q1がMOSFETの場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。
【0015】
コイルL1の一端は、電流供給線路11と電気的に接続される。第1スイッチング素子Q1の第1端子には、コイルL1の他端とダイオードD1のアノードが接続される。第1スイッチング素子Q1の第2端子は、電流供給線路12と接続される。第1スイッチング素子Q1の制御端子は点灯制御IC40と接続される。
【0016】
ダイオードD1のカソードはコンデンサC1の正極に接続される。コンデンサC1の負極は、抵抗R1の一端に接続される。抵抗R1の他端は、第1スイッチング素子Q1の第2端子に接続される。また、コンデンサC1の正極には、光源部50の高電位側が接続される。コンデンサC1の負極には、光源部50の低電位側が接続される。コンデンサC1は、ダイオードD1から出力される高周波電圧を整流し、光源部50に供給する。コンデンサC1は平滑コンデンサである。
【0017】
点灯制御IC40は例えばマイコンから構成される。点灯制御IC40は、第1スイッチング素子Q1のオンオフを制御して、光源部50の点灯状態を制御する。点灯制御IC40のP1端子は第1スイッチング素子Q1の制御端子に接続される。これにより、点灯制御IC40は第1スイッチング素子Q1を駆動する。また、点灯制御IC40のP2端子は抵抗R1の一端に接続される。これにより、点灯制御IC40は抵抗R1に印加される電圧を検出する。
【0018】
抵抗R1にはコンデンサC1と光源部50に流れる電流が流れる。このため、抵抗R1により、光源部50に流れる電流の平均値を検出できる。抵抗R1に流れる電流は電圧に変換され、点灯制御IC40のP2端子で検出される。点灯制御IC40は抵抗R1に発生する電圧が予め定められた電圧となるように、第1スイッチング素子Q1をスイッチングする。これにより、光源部50に流れる平均電流が一定になるように定電流制御をすることができる。
【0019】
このように、昇圧チョッパ回路30は、一対の電流供給線路11、12を介して直流電源DCから電力の供給を受け、第1スイッチング素子Q1のオンオフにより光源51を点灯させる。
【0020】
なお、抵抗R1に接続位置は光源部50の低電位側とコンデンサC1の負電極の間でも構わない。この位置であれば、純粋に光源部50を流れる電流を検出することができる。
【0021】
電流供給線路11には保護回路20が設けられる。保護回路20は、限流素子R2、第2スイッチング素子Q2および電圧調整回路22を有する。限流素子R2は電流供給線路11に設けられる。
【0022】
第2スイッチング素子Q2は、第1端子と、第2端子と、第1端子と第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子とを備える。第2スイッチング素子Q2は例えばMOSFETである。第2スイッチング素子Q2はコイルL1と直流電源DCの間に接続される。第2スイッチング素子Q2は第1端子が直流電源DC側に接続され、第2端子がコイルL1側に接続される。
【0023】
第2スイッチング素子Q2と限流素子R2は、並列に接続される。第2スイッチング素子Q2の第1端子は、限流素子R2の一端と電気的に接続される。第2スイッチング素子Q2の第2端子は、限流素子R2の他端と電気的に接続される。第2スイッチング素子Q2の制御端子は電圧調整回路22と電気的に接続される。電圧調整回路22は、制御端子に後述する制御端子電圧を供給する。
【0024】
電圧調整回路22は、アノードがコイルL1と電気的に接続されたダイオードD2を備える。ダイオードD2はコイルL1から電流を供給される。コイルL1は、巻き線N1と巻き線N2に分割されている。ダイオードD2のアノードは、巻き線N1と巻き線N2の接続点に接続される。
【0025】
また、電圧調整回路22はコンデンサC2を備える。コンデンサC2は、正極がダイオードD2のカソードと電気的に接続され、負極が電流供給線路11のうちコイルL1と第2スイッチング素子Q2の間の部分と電気的に接続される。
【0026】
また、ダイオードD2のカソードには抵抗R3の一端が接続される。抵抗R3の他端には抵抗R4の一端、コンデンサC3の正極および第2スイッチング素子Q2の制御端子が接続される。コンデンサC3と抵抗R4は並列に接続させる。コンデンサC3と抵抗R4は、第2スイッチング素子Q2の制御端子と第2端子との間に電気的に接続される。
【0027】
なお、コンデンサC3は第2スイッチング素子Q2の誤動作防止のために設けられる。コンデンサC3は電圧安定化のために接続され、静電容量は小さくても良い。
【0028】
図2は、実施の形態1に係る点灯装置10の電圧波形を説明する図である。図示しないスイッチなどにより、直流電源DCが点灯装置10に投入されたとする。電源投入時には第2スイッチング素子Q2はオフ状態である。このため、直流電源DCから限流素子R2、コイルL1、ダイオードD1、コンデンサC1のループで電流が流れる。これにより、コンデンサC1は充電される。
【0029】
この電流はいわゆる突入電流である。突入電流は限流素子R2のインピーダンスで抑制される。このように、限流素子R2によって電源投入時の電流値をコントロールできる。
【0030】
なお、昇圧チョッパ回路30が動作しないと、直流電源DCに比べて高い電圧が光源部50に供給されない。このため、光源部50に電流は流れず、光源部50は点灯することができない。
【0031】
次に点灯制御IC40が起動する。これにより、昇圧チョッパ回路30が動作する。点灯制御IC40は、例えばコンデンサC1に発生する電圧を電源として起動および動作しても良い。
【0032】
図2における時刻T1までは、昇圧チョッパ回路30が動作開始前である。このため、第1スイッチング素子Q1の制御端子に電圧は印加されない。従って、第1スイッチング素子Q1はオフしている。図2において、第1スイッチング素子Q1の制御端子の電圧がVgとして示されている。
【0033】
このとき、昇圧チョッパ回路30で昇圧がされていないため、コイルL1に電位差は発生しない。図2において、コイルL1の電圧がVL1として示されている。また、時刻T1まではコンデンサC2、C3に電圧は発生しない。図2において、コンデンサC2、C3の両端電圧がそれぞれC2電圧、C3電圧として示されている。
【0034】
時刻T1において、第1スイッチング素子Q1がスイッチングを開始する。時刻T1から時刻T2までは、第1スイッチング素子Q1はオン状態である。このとき、第1スイッチング素子Q1の第1端子はグランド電位になる。これによりコイルL1には-VDCが印加される。VDCは直流電源DCの電源電圧である。
【0035】
このとき、巻き線N1と巻き線N2の接続点の電位は、ダイオードD2のカソード側の電位に比べて低い。このため、ダイオードD2に電流は流れない。ダイオードD2のカソード側の電位は、電流供給線路11のうち第2スイッチング素子Q2とコイルL1の間の部分の電位に対応する。
【0036】
時刻T2から時刻T3までは、第1スイッチング素子Q1はオフ状態である。第1スイッチング素子Q1がオフ状態のとき、第1スイッチング素子Q1の第1端子には、光源部50に印加される電圧が発生する。光源部50に印加される電圧は昇圧チョッパ回路30の出力電圧V1である。出力電圧V1は直流電源DCの電源電圧VDCよりも高い。
【0037】
このとき、コイルL1にはV1-VDCが印加される。ただし、出力電圧V1はダイオードD1の順電圧VFよりも充分に高いため、ダイオードD1の順電圧VFは無視している。従って、巻き線N1と巻き線N2の接続点の電位は、ダイオードD2のカソード側の電位に比べて高くなる。このため、ダイオードD2を介してコンデンサC2が充電され、コンデンサC2に電圧が印加される。
【0038】
コンデンサC2に印加される電圧は、V1-VDCをコイルL1の巻き線N1と巻き線N2の巻き数比で分圧した電圧である。ここで、ダイオードD2の順電圧VFは無視している。
【0039】
直列に接続された抵抗R3、R4は、分圧回路を形成する。コンデンサC3には、コンデンサC2の電圧を抵抗R3、R4で抵抗分圧した電圧が印加される。コンデンサC3の両端電圧は、第2スイッチング素子Q2の制御端子電圧となる。このように、分圧回路は、コンデンサC2の両端電圧を分圧して第2スイッチング素子Q2に制御端子電圧を出力する。
【0040】
制御端子電圧は、第2スイッチング素子Q2の制御端子に印加される。制御端子電圧は、第2スイッチング素子Q2のオン電圧Vthよりも高い。オン電圧Vthは閾値とも呼ばれる。従って、第2スイッチング素子Q2の制御端子の電圧がオン電圧Vthを超え、第2スイッチング素子Q2はオンする。
【0041】
このように、第2スイッチング素子Q2は、第1スイッチング素子Q1がオフしている期間に、昇圧チョッパ回路30がスイッチング動作することで得られる駆動電圧によって導通する。また、コンデンサC2は、コイルL1から電流の供給を受けて第2スイッチング素子Q2の制御端子に制御端子電圧を発生させる。
【0042】
時刻T3において、第1スイッチング素子Q1が再びオンする。時刻T3から時刻T4までは、第1スイッチング素子Q1はオン状態である。このとき、時刻T1から時刻T2の期間と同様に、巻き線N1と巻き線N2の接続点の電位は、電流供給線路11のうち第2スイッチング素子Q2とコイルL1の間の部分の電位よりも低い。しかし、ダイオードD2でブロックされて、コンデンサC2からダイオードD2側には電流が流れない。このため、コンデンサC2からは抵抗R3、R4のみに放電される。
【0043】
このとき、コンデンサC2の電圧は、第1スイッチング素子Q1のオン期間にΔVだけ低下する。これに伴い、コンデンサC3の電圧は低下する。ここで、コンデンサC2の電圧がΔV低下しても、第2スイッチング素子Q2の制御端子電圧はオン電圧Vth以上に維持される。このため、時刻T3から時刻T4において、第2スイッチング素子Q2はオン状態を継続することができる。
【0044】
時刻T4において、第1スイッチング素子Q1が再びオフする。時刻T4から時刻T5までは、第1スイッチング素子Q1はオフ状態である。このとき、時刻T2から時刻T3と同様に、コイルL1にはV1-VDCが印加され、ダイオードD2のアノードの電位はカソードの電位に比べて高くなる。このため、ダイオードD2を介してコンデンサC2が充電され、コンデンサC2に電圧が印加される。以降、同様の動作を繰り返す。
【0045】
このように、限流素子R2で突入電流を抑制した後、昇圧チョッパ回路30の点灯動作により第2スイッチング素子Q2がオンする。従って、限流素子R2での損失を抑制して、安定した電圧を昇圧チョッパ回路30に供給することができる。
【0046】
限流素子R2と並列に第2スイッチング素子Q2がないと、定常動作中も限流素子R2に電流が流れる。このため、無駄な損失が発生し、消費エネルギーが大きくなるおそれがある。本実施の形態では、第2スイッチング素子Q2により消費エネルギーを抑制できる。
【0047】
本実施の形態では定常動作の場合、電圧調整回路22は第1スイッチング素子Q1がオフ状態のときにコイルL1から電流の供給を受けて、第2スイッチング素子Q2を導通状態とする制御端子電圧を生成する。ここで、定常動作は昇圧チョッパ回路30の出力電圧V1が直流電源DCの電源電圧VDCよりも高い状態を示す。
【0048】
また、定常動作において、第1スイッチング素子Q1がオン状態の間、コイルL1から電圧調整回路22への電流の供給は遮断される。しかし、第1スイッチング素子Q1がオン状態の間、電圧調整回路22は制御端子電圧を第2スイッチング素子Q2の閾値以上に維持する。つまり、電圧調整回路22は第2スイッチング素子Q2を導通状態に維持する。このため、定常動作において、第2スイッチング素子Q2は一度オンすれば、オン状態を継続できる。
【0049】
コイルL1の巻き数比、コンデンサC2、C3の静電容量、抵抗R3、R4の抵抗値等は、第2スイッチング素子Q2にオン電圧Vth以上の制御端子電圧を提供するように設定される。また、コイルL1の巻き数比、コンデンサC2、C3の静電容量、抵抗R3、R4の抵抗値等は、第1スイッチング素子Q1がオン状態の間、制御端子電圧をオン電圧Vth以上に維持するように設定される。
【0050】
次に、光源部50がなんらかの事情により短絡故障した場合の動作について説明する。図3は、短絡時の電圧波形を説明する図である。時刻T5までの動作は図2で説明したものと同様である。時刻T6において、短絡が発生し光源部50が低電圧状態となったとする。これにより、昇圧チョッパ回路30の出力電圧V1は低くなる。図3の例では、出力電圧V1はVDCまで低下している。短絡時において、昇圧チョッパ回路30の出力電圧V1はVDC以下になるものとしても良い。
【0051】
時刻T7において、第1スイッチング素子Q1はオフする。しかし、昇圧チョッパ回路30の出力電圧V1が低いため、第1スイッチング素子Q1の第1端子に電源電圧VDCよりも高い電圧は発生しない。よって、定常動作とは異なり、巻き線N1と巻き線N2の接続点の電位はダイオードD2のカソード側の電位に比べて高くならない。従って、ダイオードD2に電流は流れない。
【0052】
短絡時において、第1スイッチング素子Q1がオフ状態においてもダイオードD2に電流は流れないため、コンデンサC2は充電されない。このように、昇圧チョッパ回路30の出力電圧V1が電源電圧VDC以下の場合、コイルL1から電圧調整回路22への電流の供給は遮断される。従って、コンデンサC2から抵抗R3、R4に継続して放電され、コンデンサC2の電圧が低下し続ける。これに伴い、コンデンサC3の電圧も低下し続ける。
【0053】
時刻T8において、コンデンサC3の電圧である制御端子電圧は第2スイッチング素子Q2のオン電圧Vthを下回る。従って、第2スイッチング素子Q2はオフする。
【0054】
本実施の形態の比較例として、限流素子による電力損失を抑制するために、限流素子と並列にサイリスタを接続することを考える。比較例において、サイリスタはオン電圧を自己の電流である保持電流から発生させる。このとき、故障により光源部の電圧が直流電源DCよりも低くなっても、サイリスタはオフすることができず、直流電源DCから過電流が流れ続けることとなる。従って、比較例では、短絡時の保護動作ができない。
【0055】
これに対し、本実施の形態では、限流素子R2と並列に第2スイッチング素子Q2が接続される。第2スイッチング素子Q2の制御端子には電圧調整回路22から制御端子電圧が供給される。電圧調整回路22は、昇圧チョッパ回路30の出力電圧V1が直流電源DCの電源電圧VDC以下の場合、第2スイッチング素子Q2を遮断状態とする制御端子電圧を生成する。
【0056】
このように、短絡時に第2スイッチング素子Q2がオフするため、短絡による過電流は、限流素子R2を流れる。従って、限流素子R2で過電流を抑制できる。このため、LEDの寿命など、なんらかの異常で短絡故障が発生した場合にも、照明器具100の安全性を確保できる。
【0057】
つまり、第2スイッチング素子Q2は、ゲートトリガ信号がなくなったときにノーマリーオフする。これにより、上述の機能を実現できる。
【0058】
また、本実施の形態の点灯装置10では、少ない部品で効率よく突入電流の抑制と短絡故障時の保護動作とを行うことができる。これにより、保護回路20の複雑化を抑制でき、点灯装置10の小型化および省エネに貢献できる。また、保護回路20を単純化したことで、保護回路20の誤動作を抑制できる。
【0059】
限流素子R2として、電流が流れて発熱することでインピーダンスが増加する正特性サーミスタを用いることが好ましい。この場合、過電流によって限流素子R2が発熱することで、過渡的な電流を抑制することができる。また、限流素子R2は抵抗素子であっても良い。
【0060】
また、点灯制御IC40は、光源部50が短絡故障したことを検出して、昇圧チョッパ回路30を停止させても良い。これにより、照明器具100の安全性を向上できる。
【0061】
また、時刻T6から時刻T8までの時間は、コイルL1の巻き数比、コンデンサC2、C3の静電容量、抵抗R3、R4の抵抗値等で設定できる。時刻T6から時刻T8までの時間は、短絡が発生してから第2スイッチング素子Q2がオフするまでの時間である。例えば、抵抗R3、R4の抵抗値が小さいほど、時刻T6から時刻T8までの時間を短縮できる。
【0062】
本実施の形態では、ダイオードD2のアノードは、例えばコイルL1の中点に接続される。これに限らず、ダイオードD2のアノードは、コイルL1とダイオードD1と繋ぐ配線に接続されても良い。また、コンデンサC3、抵抗R3、R4等の部品は、電圧調整回路22の機能が確保できれば設けられなくても良い。
【0063】
本実施の形態の点灯装置10は直流給電される。このため、消費電力を低減できる。これに限らず、点灯装置10は商用電源から給電されても良い。この場合、例えば点灯装置10は整流回路を備え、一対の電流供給線路11、12は整流回路の出力に接続される。また、1つの電源系統に対して複数台の照明器具100が設定されても良い。また、直流電源DCは、電池、整流回路の出力、直流電源回路の出力等であっても良い。
【0064】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 点灯装置、11、12 電流供給線路、20 保護回路、22 電圧調整回路、30 昇圧チョッパ回路、50 光源部、51 光源、100 照明器具、C1、C2、C3 コンデンサ、CN1、CN2 接続部、D1、D2 ダイオード、DC 直流電源、40 点灯制御IC、L1 コイル、N1、N2 巻き線、Q1 第1スイッチング素子、Q2 第2スイッチング素子、R1 抵抗、R2 限流素子、R3、R4 抵抗
図1
図2
図3