(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20231108BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20231108BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20231108BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20231108BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H02K3/52 E
H02K3/50 A
H02K11/33
H02K11/215
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2019235683
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】姜 永大
(72)【発明者】
【氏名】雫 修通
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真澄
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-22311(JP,A)
【文献】特開2016-21838(JP,A)
【文献】特開2017-28876(JP,A)
【文献】国際公開第2019/26419(WO,A1)
【文献】特開2018-7553(JP,A)
【文献】特開2019-122083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00- 3/52
H02K 11/00- 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータを有するモータ部と、
内部に前記モータ部を収容するモータケース部を有するハウジングと、
前記モータ部に電気的に接続されたバスバーおよび前記バスバーを保持するバスバーホルダを有するバスバーユニットと、
を備え、
前記モータケース部は、前記ステータを軸方向一方側から覆う天壁部を有し、
前記天壁部の軸方向一方側の面は、
前記中心軸を囲む第1面と、
前記第1面の径方向内側に段差を介して繋がり、前記中心軸を囲む第2面と、
を有し、
前記バスバーホルダは、前記第2面に配置されている、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1面は、非加工面であり、
前記第2面は、加工面である、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記第2面は、前記第1面よりも軸方向他方側に位置する、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記第2面は、
前記中心軸を囲む環状面と、
前記環状面から径方向外側に突出する突出面と、
を有し、
前記バスバーホルダは、
前記環状面に配置された環状部と、
前記環状部から径方向外側に突出し、前記突出面に配置された突出部と、
を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記ステータは、複数のコイルを有し、
前記コイルからは、コイル引出線が軸方向一方側に引き出され、
前記天壁部は、前記第1面と前記第2面とに跨って設けられた貫通孔を有し、
前記突出面は、前記貫通孔の径方向内側の縁部に繋がり、
前記バスバーは、前記突出部から径方向外側に突出する接続部を有し、
前記接続部は、軸方向に見て前記貫通孔と重なり、
前記接続部には、前記コイル引出線が接続されている、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記バスバーに電気的に接続された回路基板をさらに備え、
前記突出部は、前記中心軸を中心とする周方向に沿って間隔を空けて複数設けられ、
前記バスバーは、前記突出部から軸方向一方側に突出する端子部を有し、
前記端子部は、前記回路基板に接続され、
前記モータケース部は、前記第1面から軸方向一方側に突出する固定部を有し、
前記回路基板は、前記固定部に軸方向他方側から支持され、かつ、前記固定部に固定され、
前記固定部は、前記中心軸を中心とする周方向に隣り合う前記突出部同士の間に位置する、請求項4または5に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記バスバーユニットの軸方向一方側に位置する回路基板と、
前記回路基板の軸方向他方側の面に取り付けられた磁気センサと、
をさらに備え、
前記天壁部の軸方向一方側の面は、前記中心軸を囲む第3面を有し、
前記第3面は、前記第2面の径方向内側に段差を介して繋がり、かつ、前記第2面よりも軸方向他方側に位置し、
前記ロータは、軸方向に延びるモータシャフトを有し、
前記第3面には、前記モータシャフトが通された孔部が設けられ、
前記モータ部は、
前記モータシャフトから径方向外側に広がり、前記第3面の軸方向一方側に位置するマグネットホルダと、
前記マグネットホルダに固定され、前記磁気センサと軸方向に隙間を介して対向するマグネットと、
を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記ロータに連結された減速機構と、
前記減速機構を介して前記ロータの回転が伝達される出力シャフトと、
をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
バスバーおよびバスバーを保持するバスバーホルダを有するバスバーユニットを備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、バスバーユニットを備えるモータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなバスバーユニットは、例えば電動アクチュエータの軸方向の小型化等のために、軸方向に薄型化される場合がある。しかし、この場合、バスバーホルダを成形する際等に、バスバーホルダの外縁部が反り返りやすい。そのため、バスバーユニットの組み付け精度が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、バスバーホルダの反り返りを低減できる構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータを有するモータ部と、内部に前記モータ部を収容するモータケース部を有するハウジングと、前記モータ部に電気的に接続されたバスバーおよび前記バスバーを保持するバスバーホルダを有するバスバーユニットと、を備える。前記モータケース部は、前記ステータを軸方向一方側から覆う天壁部を有する。前記天壁部の軸方向一方側の面は、前記中心軸を囲む第1面と、前記第1面の径方向内側に段差を介して繋がり、前記中心軸を囲む第2面と、を有する。前記バスバーホルダは、前記第2面に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、バスバーホルダの反り返りを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のモータケース部およびバスバーユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図であって、
図1の部分拡大図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のモータケース部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のバスバーユニットの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明においては、各図に適宜示すZ軸と平行な方向を上下方向とする。Z軸の正の側を上側とし、Z軸の負の側を下側とする。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行な方向に延びている。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ10は、モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、磁気センサ71と、出力部センサ72と、仕切部材80と、を備える。
【0012】
モータ部40の中心軸は、中心軸J1である。モータ部40は、ロータ40aと、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ステータ43と、マグネットホルダ46と、マグネット45と、ナット48と、を有する。ロータ40aは、軸方向に延びる中心軸J1を中心として回転可能である。ロータ40aは、モータシャフト41と、ロータ本体42と、を有する。
【0013】
モータシャフト41は、軸方向に延びている。モータシャフト41は、中心軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト41は、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部41aを有する。本実施形態において偏心軸部41aは、モータシャフト41の下側部分の一部である。偏心軸部41aには、第3ベアリング44cが固定されている。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。偏心軸部41aは、偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
【0014】
本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41に固定されている。第1ベアリング44aと第2ベアリング44bとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持している。
【0015】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されている。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されたロータコアと、ロータコアの外周部に固定されたロータマグネットと、を有する。
【0016】
ステータ43は、ロータ40aと隙間を介して径方向に対向している。より詳細には、ステータ43は、ロータ本体42と隙間を介して径方向に対向している。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に位置する。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコア43aと、インシュレータ43bと、複数のコイル43cと、を有する。各々のコイル43cは、インシュレータ43bを介してステータコア43aのティースに装着されている。コイル43cは、例えば、12個設けられている。
図2に示すように、コイル43cからは、コイル引出線43dが上側に引き出されている。コイル引出線43dは、例えば、各コイル43cのそれぞれから1本ずつ上側に引き出されている。コイル引出線43dは、例えば、コイル43cを構成する導線の端部である。
【0017】
マグネットホルダ46は、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。マグネットホルダ46は、板面が軸方向を向く板状である。マグネットホルダ46は、例えば、金属製の板部材をプレス加工によって成形することで作られている。マグネットホルダ46は、モータシャフト41の上側の端部における外周面に固定されている。マグネットホルダ46は、モータシャフト41から径方向外側に広がっている。本実施形態においてマグネットホルダ46は、モータシャフト41の上端部に締め込まれたナット48によって、モータシャフト41に固定されている。
図3に示すように、マグネットホルダ46の径方向内側部分は、マグネットホルダ46の径方向外側部分よりも下側に突出している。
【0018】
図2に示すように、マグネット45は、例えば、中心軸J1を中心とする円環板状である。マグネット45の板面は、例えば、軸方向と直交している。マグネット45は、マグネットホルダ46に固定されている。より詳細には、マグネット45は、マグネットホルダ46の上面のうち径方向外周縁部に固定されている。これにより、マグネット45は、マグネットホルダ46を介してモータシャフト41に取り付けられている。マグネット45は、例えば、接着剤によってマグネットホルダ46に固定されている。
図3に示すように、マグネット45の上側の面は、マグネットホルダ46よりも上側に位置する。
図1に示すように、本実施形態においてマグネット45は、回路基板70の下側の面と隙間を介して軸方向に対向している。
【0019】
減速機構50は、モータ部40のロータ40aに連結されている。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結されている。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置されている。減速機構50とステータ43との軸方向の間には、仕切部材80が配置されている。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、複数の凸部54と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。
【0020】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられている。外歯ギア51の歯車部は、外歯ギア51の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0021】
外歯ギア51は、モータシャフト41に連結されている。より詳細には、外歯ギア51は、モータシャフト41の偏心軸部41aに第3ベアリング44cを介して連結されている。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結されている。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング44cは、モータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0022】
本実施形態において外歯ギア51は、複数の穴部51aを有する。本実施形態において穴部51aは、外歯ギア51を軸方向に貫通している。複数の穴部51aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部51aは、軸方向に見て円形状である。穴部51aは、内径が凸部54の外径よりも大きい。なお、穴部51aは、底部を有する穴であってもよい。
【0023】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側に位置し、外歯ギア51を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52は、ハウジング11に固定されている。内歯ギア52は、外歯ギア51と噛み合っている。内歯ギア52の径方向内側面には、歯車部が設けられている。内歯ギア52の歯車部は、内歯ギア52の内周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。本実施形態において内歯ギア52の歯車部は、周方向の一部のみにおいて外歯ギア51の歯車部と噛み合っている。
【0024】
出力ギア53は、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置されている。すなわち、出力ギア53は、軸方向に見て外歯ギア51と重なって配置されている。出力ギア53は、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続されている。図示は省略するが、出力ギア53は、例えば、軸方向に見て、中心軸J1を中心とする円環状である。出力ギア53の径方向外側面には、歯車部が設けられている。出力ギア53の歯車部は、出力ギア53の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0025】
出力ギア53の内周縁部は、第4ベアリング44dの外輪に取り付けられた止め輪49の下側に対向して配置されている。止め輪49は、第4ベアリング44dよりも径方向外側に突出している。止め輪49によって、出力ギア53が第4ベアリング44dに対して上側に移動することが抑制されている。
【0026】
複数の凸部54は、出力ギア53から外歯ギア51に向かって軸方向に突出している。複数の凸部54は、出力ギア53の下面から下側に突出する円柱状である。本実施形態において複数の凸部54は、出力ギア53と一体成形されている。複数の凸部54は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。
【0027】
凸部54の外径は、穴部51aの内径よりも小さい。複数の凸部54は、複数の穴部51aのそれぞれに上側から挿入されている。凸部54の外周面は、穴部51aの内側面と内接している。複数の凸部54は、穴部51aの内側面を介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持している。上述したように、本実施形態において出力ギア53は止め輪49によって上側への移動が抑制されているため、出力ギア53に設けられた凸部54が穴部51aから上側に抜け出ることが抑制されている。
【0028】
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ部40の径方向外側に配置されている。出力部60は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、保持部材64と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、保持部材64と、を備える。
【0029】
出力シャフト61は、モータシャフト41の軸方向に延びる筒状である。このように、出力シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びているため、モータシャフト41の回転を出力シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。出力シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結されている。本実施形態において出力シャフト61は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。
【0030】
出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置されている。すなわち、モータシャフト41と出力シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に互いに離れて配置されている。そのため、モータシャフト41と出力シャフト61とが軸方向に並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化できる。
図1において出力中心軸J3は、例えば、中心軸J1の右側に位置する。
【0031】
出力シャフト61は、下側に開口している。出力シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。出力シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置されている。出力シャフト61には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、出力シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト61と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトDSを出力中心軸J3回りに回転させる。
【0032】
駆動ギア62は、出力シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合っている。本実施形態において駆動ギア62は、出力シャフト61の外周面に固定されている。駆動ギア62は、出力シャフト61から出力ギア53に向かって延びている。駆動ギア62は、先端部に出力ギア53の歯車部と噛み合う歯車部を有する。
【0033】
保持部材64は、出力中心軸J3を中心として軸方向に延びる略円筒状の部材である。保持部材64は、軸方向両側に開口している。保持部材64は、出力シャフト61の上部に固定されている。本実施形態において保持部材64は、モータ部40の第2ベアリング44bの径方向外側に配置されている。保持部材64は、軸方向に見て、回路基板70と部分的に重なっている。保持部材64は、回路基板70よりも下側に配置されている。出力シャフト61は、保持部材64の内側に圧入されている。
【0034】
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円環状である。出力部用センサマグネット63は、保持部材64の上端部に嵌め合わされている。出力部用センサマグネット63は、例えば、接着剤によって保持部材64と固定されている。出力シャフト61に保持部材64が固定されることで、出力部用センサマグネット63は、保持部材64を介して出力シャフト61に固定されている。出力部用センサマグネット63の一部は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向している。
【0035】
出力シャフト61の上側の端部は、保持部材64の上側の端部よりも下側に位置する。出力シャフト61の上側の端部には、工具を嵌合可能な操作部66が設けられている。操作部66は、例えば、出力シャフト61の上側の端部から下方に窪む穴部である。操作部66の形状は、例えば、軸方向に見て、出力中心軸J3を中心とする正方形または正六角形である。
【0036】
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、穴部51aの内周面と凸部54の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0037】
ここで、本実施形態では、内歯ギア52はハウジング11に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、穴部51aと凸部54とを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0038】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力シャフト61には、減速機構50を介してロータ40aの回転が伝達される。このような減速機構50の構成によれば、モータシャフト41の回転に対して、出力シャフト61の回転を比較的大きく減速できる。そのため、出力シャフト61の回転トルクを比較的大きくできる。したがって、電動アクチュエータ10を小型化しつつ、電動アクチュエータ10の出力を確保しやすい。本実施形態の電動アクチュエータ10において出力シャフト61は、1周しない範囲内で双方向に回転させられる。
【0039】
ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力部60、回路基板70、およびバスバーユニット90を収容している。ハウジング11は、上側に開口するハウジング本体12と、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定された第1蓋部材13と、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定された第2蓋部材14と、を有する。
【0040】
本実施形態においてハウジング本体12は、金属製である。ハウジング本体12は、例えば、ダイカストによって成形されている。図示は省略するが、ハウジング本体12は、例えば、軸方向に見て、多角形状である。ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられたモータケース部32および出力シャフト保持部33と、を有する。これにより、ハウジング11は、モータケース部32を有する。
【0041】
図示は省略するが、本実施形態において外壁部30は、軸方向に見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁38が設けられている。筒状壁38に囲まれた開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。
【0042】
モータケース部32および出力シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられている。モータケース部32は、内部にモータ部40を収容している。モータケース部32は、モータ部40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ部40を内側に保持している。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ部40のステータ43が固定されている。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の天壁部32aと、固定部32dと、を有する。
【0043】
天壁部32aは、ステータ43を上側から覆っている。天壁部32aは、軸方向に見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向に沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cは、軸方向両側に開口している。
図3に示すように、ベアリング保持部32cの内部によって、天壁部32aを軸方向に貫通する孔部32hが設けられている。
【0044】
孔部32hは、例えば、中心軸J1を中心とする円形状の孔である。孔部32hには、モータシャフト41が通されている。モータシャフト41は、孔部32hを介して、天壁部32aよりも上側に突出している。モータシャフト41に固定されたマグネットホルダ46およびマグネット45は、天壁部32aの上側に位置する。孔部32hは、大径孔部32iと、小径孔部32jと、を有する。大径孔部32iは、孔部32hの下側部分である。大径孔部32iは、下側に開口している。大径孔部32iの内側には、第2ベアリング44bが保持されている。
【0045】
小径孔部32jは、大径孔部32iの上側に繋がっている。小径孔部32jは、孔部32hの上側部分である。小径孔部32jは、上側に開口している。小径孔部32jの内径は、大径孔部32iの内径よりも小さい。大径孔部32iと小径孔部32jとの軸方向の間には、段差が設けられている。この段差によって、第2ベアリング44bの外輪が上側から支持されている。小径孔部32j内には、マグネットホルダ46の径方向内側部分が上側から挿入されている。
【0046】
図4に示すように、天壁部32aの上側の面は、第1面34と、第2面35と、第3面36と、を有する。第1面34は、中心軸J1を囲んでいる。第1面34は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。本実施形態において第1面34は、天壁部32aの上側の面における径方向外周縁部を含んでいる。第1面34は、例えば、軸方向と直交する平坦面である。本実施形態において第1面34は、非加工面である。非加工面とは、切削加工および研削加工等の機械加工が施されていない面を意味する。本実施形態において非加工面である第1面34は、ダイカストによって成形された面である。
【0047】
第2面35は、第1面34の径方向内側に段差32eを介して繋がっている。本実施形態において段差32eは、天壁部32aの上側の面を第1面34から第2面35まで辿る際に下側に下がる段差である。そのため、第2面35は、第1面34よりも下側に位置する。第2面35は、中心軸J1を囲んでいる。第2面35は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。第2面35は、例えば、軸方向と直交する平坦面である。本実施形態において第2面35は、加工面である。
【0048】
なお、本明細書において「或る面が加工面である」とは、或る面が、切削加工および研削加工等の機械加工が施されることによって作られていることを意味する。本実施形態において第2面35は、ダイカストによって成形された天壁部32aの上面に対して、切削加工が施されて作られた面である。加工面は、非加工面に対して、表面粗さが小さく、かつ、平面度が高い。
【0049】
本実施形態において第2面35は、環状面35aと、突出面35bと、を有する。環状面35aは、中心軸J1を囲んでいる。環状面35aは、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。突出面35bは、環状面35aから径方向外側に突出している。本実施形態において突出面35bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の突出面35bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。突出面35bは、例えば、6つ設けられている。突出面35bは、第1面34の径方向内周縁よりも径方向外側に突出している。突出面35bの周方向両側には、段差32eを介して第1面34の一部が配置されている。
【0050】
第3面36は、第2面35の径方向内側に段差32fを介して繋がっている。本実施形態において段差32fは、天壁部32aの上側の面を第2面35から第3面36まで辿る際に下側に下がる段差である。そのため、第3面36は、第2面35よりも下側に位置する。段差32fの高さは、段差32eの高さよりも大きい。そのため、第2面35と第3面36との間の軸方向距離は、第1面34と第2面35との間の軸方向距離よりも大きい。第3面36は、中心軸J1を囲んでいる。第3面36は、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。第3面36は、例えば、軸方向と直交する平坦面である。本実施形態において第3面36は、加工面である。
【0051】
第3面36には、孔部32hの上側の端部が開口している。すなわち、第3面36には、モータシャフト41が通された孔部32hが設けられている。
図3に示すように、第3面36の上側には、マグネットホルダ46およびマグネット45が位置する。すなわち、マグネットホルダ46は、第3面36の上側に位置する。第3面36は、マグネットホルダ46の下側の面と隙間を介して軸方向に対向している。第2面35と第3面36との間の段差32fによって生じた窪みには、マグネットホルダ46の少なくとも一部とマグネット45の少なくとも一部とが収容されている。本実施形態において第2面35と第3面36との間の段差32fによって生じた窪みには、マグネットホルダ46の径方向外側部分とマグネット45の下側部分とが収容されている。
【0052】
図4に示すように、天壁部32aは、第1面34と第2面35とに跨って設けられた貫通孔37を有する。貫通孔37は、天壁部32aを軸方向に貫通している。本実施形態において貫通孔37は、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の貫通孔37は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。各貫通孔37は、各突出面35bの径方向外側に位置する。突出面35bの径方向外側の端部は、貫通孔37の径方向内側の縁部に繋がっている。
【0053】
貫通孔37は、本体部37aと、幅狭部37bと、を有する。本体部37aは、貫通孔37の径方向外側部分である。本体部37aは、軸方向に見て、周方向に長い角丸の略長方形状である。本体部37aの径方向外側の縁部は、第1面34における径方向外側の縁部に位置する。本体部37aの径方向内側の縁部は、突出面35bに位置する。
【0054】
幅狭部37bは、本体部37aの周方向中央部から径方向内側に突出している。幅狭部37bの周方向の幅は、本体部37aの周方向の幅よりも小さい。幅狭部37bの径方向内側の端部は、環状面35aに位置する。幅狭部37bの径方向内側の縁部は、軸方向に見て、径方向内側に凹となる半円弧状である。
【0055】
天壁部32aは、雌ネジ孔35cを有する。雌ネジ孔35cは、第2面35に設けられている。より詳細には、雌ネジ孔35cは、環状面35aの径方向中央部に設けられている。
図5に示すように、雌ネジ孔35cは、天壁部32aを軸方向に貫通している。
図4に示すように、雌ネジ孔35cは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の雌ネジ孔35cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。雌ネジ孔35cは、例えば、3つ設けられている。各雌ネジ孔35cの周方向位置は、周方向に隣り合う突出面35b同士の間の周方向中心と同じ周方向位置である。
【0056】
固定部32dは、第1面34から上側に突出している。固定部32dは、円柱状である。固定部32dの上側の端面には、雌ネジ孔32gが設けられている。固定部32dは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の固定部32dは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。固定部32dは、例えば、3つ設けられている。各固定部32dの周方向位置は、周方向に隣り合う雌ネジ孔35c同士の間の周方向中心と同じ周方向位置である。各固定部32dは、第1面34のうち周方向に隣り合う突出面35b同士の間に位置する部分に設けられている。
図2に示すように、各固定部32dは、周方向に隣り合う後述する突出部91b同士の間に位置する。
【0057】
図1に示すように、出力シャフト保持部33は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力シャフト保持部33は、底壁部31よりも下側に突出している。出力シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。出力シャフト保持部33は、出力シャフト保持部33を軸方向に貫通する貫通孔33aを有する。貫通孔33aの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされている。
【0058】
ブッシュ65は、下側の端部に出力中心軸J3を中心とする径方向の外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ65のフランジ部は、駆動ギア62の上面によって下側から支持されている。ブッシュ65の内側には、出力シャフト61が嵌め合わされている。ブッシュ65は、出力シャフト61を出力中心軸J3回りに回転可能に支持している。
【0059】
第1蓋部材13は、下側に開口する凹部13bを有する容器状の部材である。本実施形態において第1蓋部材13は、金属製である。第1蓋部材13は、例えば、ダイカストによって成形されている。第1蓋部材13とハウジング本体12とは、第1蓋部材13を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。図示は省略するが、凹部13bには、回路基板70の上面に実装された電子部品が収容されている。凹部13bには、例えば、回路基板70に実装されたキャパシタ、トランジスタなどが収容されている。
【0060】
第1蓋部材13は、出力シャフト61の上側に位置する開口部13cを有する。開口部13cには、取り外し可能なキャップ15が取り付けられている。キャップ15は、例えば外周面に設けられた雄ネジ部が開口部13cの内周面に設けられた雌ネジ部に締め込まれることで、開口部13cに取り付けられている。キャップ15を取り外すことにより、開口部13cを介して、電動アクチュエータ10の外部から操作部66に工具を接続可能である。
【0061】
第2蓋部材14は、減速機構50を下側から覆っている。本実施形態において第2蓋部材14は、金属製である。第2蓋部材14は、例えば、ダイカストによって成形されている。第2蓋部材14は、保持筒部14aと、底壁部14fと、円筒部14bと、フランジ部14cと、を有する。
【0062】
保持筒部14aは、中心軸J1を中心とする円筒状である。保持筒部14aは、上側に開口し、下側に底部14dを有する。保持筒部14aは、円筒部14bよりも内径が小さく、円筒部14bよりも下側に位置する。保持筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持されている。第1ベアリング44aと底部14dとの軸方向の間には、予圧部材47が配置されている。予圧部材47は、例えば、周方向に沿って延びる円環状のウェーブワッシャである。予圧部材47は、底部14dの上側の面と第1ベアリング44aの外輪の下側の端部とに接触している。予圧部材47は、第1ベアリング44aの外輪に対して上向きの予圧を加えている。
【0063】
底壁部14fは、保持筒部14aの上側の端部から径方向外側に広がっている。底壁部14fは、中心軸J1を中心とする円環状である。円筒部14bは、底壁部14fの外周縁部から上側に延びている。円筒部14bは、保持筒部14aよりも径方向外側に位置する。円筒部14bは、中心軸J1を中心とする円筒状である。円筒部14bは、上側に開口している。円筒部14bの内部には、内歯ギア52が嵌め合わされている。本実施形態において円筒部14bの内部には、内歯ギア52が圧入されている。
【0064】
フランジ部14cは、第2蓋部材14の上端部に設けられている。フランジ部14cは、径方向外側に広がっている。フランジ部14cの上面は、筒状壁38の下端面と接触している。フランジ部14cは、例えば、筒状壁38とネジで固定されている。これにより、第2蓋部材14がハウジング本体12に固定されている。
【0065】
第2蓋部材14は、出力部60と軸方向に重なる開口部14eを有する。出力シャフト61の下側の端部は、第2蓋部材14の開口部14eを通じて下側に露出している。第2蓋部材14は、出力シャフト61の外周面から径方向外側に広がるシャフトフランジ部61bを下側から支持している。
【0066】
バスバーユニット90は、天壁部32aの上側の面に配置されている。
図2に示すように、バスバーユニット90は、中心軸J1を囲んでいる。バスバーユニット90は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。バスバーユニット90は、バスバーホルダ91と、バスバー92と、を有する。
【0067】
バスバーホルダ91は、バスバー92を保持している。バスバーホルダ91は、樹脂製である。本実施形態においてバスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られている。バスバーホルダ91は、中心軸J1を囲んでいる。バスバーホルダ91は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。バスバーホルダ91は、板面が軸方向を向く板状である。バスバーホルダ91の板面は、例えば、軸方向と直交している。
【0068】
バスバーホルダ91は、第2面35に配置されている。すなわち、バスバーホルダ91の下側の面は、第2面35と接触している。
図5に示すように、バスバーホルダ91の軸方向の寸法は、例えば、段差32eの高さよりも大きい。バスバーホルダ91の上側の面は、例えば、第1面34よりも上側に位置する。なお、バスバーホルダ91の上側の面は、第1面34より下側に位置してもよいし、第1面34と軸方向において同じ位置に位置してもよい。
図3に示すように、バスバーホルダ91の上側の面は、マグネット45の上側の面よりも上側に位置する。
【0069】
図2に示すように、バスバーホルダ91は、環状部91aと、突出部91bと、を有する。環状部91aは、中心軸J1を囲む環状の部分である。環状部91aは、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。環状部91aは、環状面35aに配置されている。
図5に示すように、環状部91aの径方向外周縁部は、段差32eよりも径方向内側に離れて配置されている。
【0070】
図2に示すように、環状部91aは、溝91eを有する。溝91eは、環状部91aの上側の面から下側に窪んでいる。溝91eは、径方向に延びている。溝91eの径方向内側の端部は、環状部91aの径方向内周縁部に位置する。溝91eの径方向内側の端部は、径方向内側に開口している。溝91eは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の溝91eは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。溝91eは、例えば、3つ設けられている。各溝91eの周方向位置は、周方向に隣り合う突出部91b同士の間の周方向中心と同じ周方向位置である。
【0071】
図5に示すように、溝91eの溝底面には、固定孔91dが設けられている。固定孔91dは、環状部91aを軸方向に貫通している。固定孔91dは、軸方向に見て、雌ネジ孔35cと重なっている。固定孔91dの内径は、雌ネジ孔35cの内径よりも大きい。固定孔91dには、ボルト95が上側から通されている。ボルト95は、固定孔91dを通り、雌ネジ孔35cに締め込まれている。このようにして、各雌ネジ孔35cにボルト95が締め込まれることで、バスバーホルダ91が天壁部32aに固定されている。ボルト95のネジ頭部は、溝91eの溝底面に接触している。溝91eの溝底面は、上側を向く面である。
【0072】
図2に示すように、突出部91bは、環状部91aから径方向外側に突出している。突出部91bは、例えば、軸方向に見て、矩形状である。突出部91bは、突出面35bに配置されている。突出部91bの周方向の寸法は、突出面35bの周方向の寸法よりも小さい。突出部91bの周方向両側の縁部は、突出面35bの周方向両側に位置する第1面34との間の段差32eから周方向に離れて位置する。突出部91bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。複数の突出部91bは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。突出部91bは、例えば、6つ設けられている。
【0073】
突出部91bは、貫通孔37の径方向内側部分を上側から覆っている。より詳細には、突出部91bは、幅狭部37bと、本体部37aの径方向内側の端部と、を上側から覆っている。
図6に示すように、突出部91bは、下側の面に挿入部91cを有する。挿入部91cは、下側に突出している。挿入部91cは、幅狭部37bに挿入されている。挿入部91cは、径方向に延びている。
【0074】
本実施形態においてバスバー92は、一部がバスバーホルダ91に埋め込まれて保持されている。より詳細には、バスバー92は、突出部91bに一部が埋め込まれてバスバーホルダ91に保持されている。
図2に示すように、バスバー92は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数のバスバー92は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。バスバー92は、例えば、6つ設けられている。バスバー92は、端子部92aと、接続部92bと、を有する。
【0075】
端子部92aは、突出部91bから上側に突出している。端子部92aは、回路基板70に接続されている。
図3に示すように、端子部92aは、回路基板70を下側から上側に貫通している。端子部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続されている。これにより、回路基板70がバスバー92に電気的に接続されている。
【0076】
図6に示すように、接続部92bは、突出部91bから径方向外側に突出している。より詳細には、接続部92bは、挿入部91cから径方向外側に突出している。接続部92bは、貫通孔37の内部に位置する。すなわち、接続部92bは、軸方向に見て貫通孔37と重なっている。接続部92bは、本体部37aの内部に位置する。
図2に示すように、接続部92bは、例えば、軸方向に見て、径方向内側に開口するU字形状である。接続部92bには、コイル引出線43dが接続されている。これにより、バスバー92は、モータ部40に電気的に接続されている。本実施形態においてU字状の接続部92bは、コイル引出線43dを挟んで把持している。接続部92bとコイル引出線43dとは、例えば、半田付けまたは溶接により固定されている。本実施形態において各バスバー92における接続部92bには、例えば、それぞれ2本ずつコイル引出線43dが接続されている。なお、接続部92bには、コイル引出線43dが1本のみ接続されていてもよい。
【0077】
図1に示すように、本実施形態において回路基板70は、モータ部40およびバスバーユニット90の上側に位置する。回路基板70は、板面が軸方向と直交する板状である。図示は省略するが、回路基板70の軸方向に見た形状は、概ね正方形状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイル43cと電気的に接続されている。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続されている。本実施形態において回路基板70は、ハウジング本体12における開口部12aの内側に収容されている。回路基板70は、第1蓋部材13によって上側から覆われている。
【0078】
回路基板70は、モータケース部32に固定されている。本実施形態において回路基板70は、固定部32dに下側から支持されている。回路基板70は、固定部32dに固定されている。より詳細には、回路基板70は、ボルト96によって固定部32dに固定されている。ボルト96は、回路基板70を上側から軸方向に貫通し、固定部32dの雌ネジ孔32gに締め込まれている。
【0079】
磁気センサ71は、回路基板70の下側の面に取り付けられている。より詳細には、磁気センサ71は、回路基板70の下側の面のうちマグネット45と隙間を介して軸方向に対向する部分に固定されている。すなわち、マグネット45は、磁気センサ71と軸方向に隙間を介して対向している。磁気センサ71は、マグネット45の磁界を検出可能である。磁気センサ71は、例えば、ホールIC等のホール素子である。図示は省略するが、磁気センサ71は、例えば、周方向に沿って3つ設けられている。磁気センサ71は、マグネット45の磁界を検出することでマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
【0080】
出力部センサ72は、回路基板70の下側の面に取り付けられている。より詳細には、出力部センサ72は、回路基板70の下側の面のうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して軸方向に対向する部分に固定されている。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出可能な磁気センサである。出力部センサ72は、例えば、ホールIC等のホール素子である。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して出力シャフト61の回転を検出する。
【0081】
本実施形態によれば、天壁部32aの上側の面は、第1面34と、第1面34の径方向内側に段差32eを介して繋がる第2面35と、を有する。バスバーホルダ91は、第2面35に配置されている。すなわち、バスバーホルダ91の設置領域を、天壁部32aの上側の面の一部にできる。そのため、天壁部32aの上側の面全体をバスバーホルダ91の設置領域とする場合に比べて、天壁部32aの上側の面に設置されるバスバーホルダ91を径方向に小型化しやすい。これにより、バスバーホルダ91を成形する際等に、バスバーホルダ91が反り返ることを抑制できる。したがって、バスバーホルダ91の形状が変形した状態となることを抑制できる。そのため、バスバーユニット90の組み付け精度が低下することを抑制できる。
【0082】
また、天壁部32aの上側の面においてバスバーホルダ91の設置領域を小さくできるため、バスバーホルダ91を設置するための面を設ける作業に要する時間を少なくできる。したがって、電動アクチュエータ10の生産性を向上できる。具体的に、本実施形態では、第1面34は、非加工面であり、第2面35は、加工面である。そのため、モータケース部32をダイカストで成形した後において、少なくとも第1面34には機械加工を施す必要がない。また、バスバーホルダ91を設置する面を作るためには、機械加工によって第2面35のみを作ればよい。これにより、天壁部32aに対して施す機械加工の作業量を低減することができる。したがって、電動アクチュエータ10の生産性を向上できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第2面35は、第1面34よりも下側に位置する。そのため、バスバーホルダ91を第2面35に配置した後、バスバーホルダ91を固定する前にバスバーホルダ91が径方向に動いても、バスバーホルダ91が段差32eに引っ掛かる。これにより、バスバーホルダ91が天壁部32a上から脱落することを抑制できる。また、バスバーホルダ91を第2面35に配置する際に、段差32eをガイドとして利用することができる。そのため、バスバーホルダ91を第2面35に配置しやすい。
【0084】
また、本実施形態によれば、第2面35は、環状面35aと、環状面35aから径方向外側に突出する突出面35bと、を有する。バスバーホルダ91は、環状面35aに配置された環状部91aと、突出面35bに配置された突出部91bと、を有する。そのため、バスバーホルダ91を固定する前においてバスバーホルダ91が周方向に回転しようとしても、突出部91bが段差32eに引っ掛かる。これにより、バスバーホルダ91の周方向位置がずれることを抑制できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、天壁部32aは、第1面34と第2面35とに跨って設けられた貫通孔37を有する。突出面35bは、貫通孔37の径方向内側の縁部に繋がっている。バスバー92の接続部92bは、突出部91bから径方向外側に突出し、貫通孔37と軸方向に重なっている。これにより、バスバーホルダ91を比較的径方向内側に位置する第2面35に配置しつつ、比較的径方向外側の位置においてバスバー92とコイル引出線43dとを貫通孔37を介して容易に接続することができる。したがって、バスバーホルダ91を径方向に小型化しつつ、バスバー92とステータ43とを容易に接続することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、バスバー92は、突出部91bから上側に突出して回路基板70に接続された端子部92aを有する。回路基板70が固定される固定部32dは、周方向に隣り合う突出部91b同士の間に位置する。そのため、回路基板70が固定部32dに固定される径方向位置と、回路基板70に端子部92aが接続される径方向位置と、を互いに同じ位置、または互いに近い位置にしやすい。これにより、回路基板70のうち端子部92aが接続されている径方向部分を、固定部32dによって固定して振動しにくくできる。したがって、回路基板70と端子部92aとの接続が外れる等の不具合が生じることを抑制できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、天壁部32aの上側の面は、第2面35の内側に段差32fを介して繋がる第3面36を有する。第3面36は、第2面35よりも下側に位置する。モータシャフト41から径方向外側に広がるマグネットホルダ46は、第3面36の上側に位置する。そのため、第2面35と第3面36との間の段差32fによって生じた窪みに、マグネットホルダ46の少なくとも一部を収容することで、マグネットホルダ46およびマグネット45が上側に突出しにくくできる。これにより、マグネット45の磁界を検出可能な磁気センサ71が取り付けられた回路基板70を、バスバーユニット90および天壁部32aに対して軸方向に近づけて配置しやすくできる。したがって、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化しやすい。
【0088】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。第2面は、第1面の径方向内側に段差を介して繋がっているならば、第1面よりも軸方向一方側に位置してもよい。すなわち、上述した実施形態において第2面35は、第1面34よりも上側に位置してもよい。第2面は、バスバーホルダが配置される面として十分な精度を有するならば、加工面でなくてもよい。すなわち、第2面は、非加工面であってもよい。第2面は、中心軸を囲む形状であれば、どのような形状であってもよい。第2面は、突出面を有しなくてもよい。この場合、バスバーホルダは、突出部を有しない。天壁部の軸方向一方側の面は、第3面を有しなくてもよい。バスバーホルダは、第2面に配置されるならば、どのような形状であってもよい。
【0089】
減速機構の構造は、特に限定されない。減速機構の凸部は外歯ギアに設けられ、減速機構の穴部は出力ギアに設けられてもよい。この場合、凸部は、外歯ギアから出力ギアに向かって突出し、穴部に挿入される。
【0090】
本発明が適用される電動アクチュエータは、電力が供給されることで対象となる物体を動かすことができる装置であればよく、減速機構を備えないモータであってもよい。また、電動アクチュエータは、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0091】
10…電動アクチュエータ、11…ハウジング、32…モータケース部、32a…天壁部、32d…固定部、32e,32f…段差、32h…孔部、37…貫通孔、34…第1面、35…第2面、35a…環状面、35b…突出面、36…第3面、40…モータ部、40a…ロータ、41…モータシャフト、43…ステータ、43c…コイル、43d…コイル引出線、45…マグネット、46…マグネットホルダ、50…減速機構、61…出力シャフト、70…回路基板、71…磁気センサ、90…バスバーユニット、91…バスバーホルダ、91a…環状部、91b…突出部、92…バスバー、92a…端子部、92b…接続部、J1…中心軸