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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231108BHJP
   H02M 7/49 20070101ALI20231108BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20231108BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/49
H02M1/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019237188
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021106466
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】ラクスマン マハルジャン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0173391(US,A1)
【文献】米国特許第9812990(US,B1)
【文献】特開2017-070064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/49
H02M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電圧及び負電圧が出力される2個の外部出力端子を有する電力変換部と前記2個の外部出力端子の間を短絡可能に設けられたバイパススイッチとを備えるセル変換器を複数直列接続してなる複数のクラスタと、
前記電力変換部を有する予備セル変換器を複数台有する予備セル変換器群と、
前記複数のクラスタと前記予備セル変換器群とを接続するための複数のスイッチを有するスイッチ群と、
前記セル変換器の故障を判別し、故障信号を出力する故障検出部と、
前記故障検出部の故障信号に基づき、該当する複数のセル変換器のバイパススイッチを短絡するとともに、前記スイッチ群から選択したスイッチを制御し、短絡した前記複数のセル変換器の替わりに前記予備セル変換器をそれぞれ接続させる制御部と、
を備え
前記予備セル変換器群は、第一予備セル変換器、第二予備セル変換器及び第三予備セル変換器を有し、
前記スイッチ群は、
前記複数のクラスタのいずれかと前記第一予備セル変換器とを接続可能な第一スイッチ部と、
前記複数のクラスタのいずれかと前記第二予備セル変換器とを接続可能な第二スイッチ部と、
前記複数のクラスタのいずれかと前記第三予備セル変換器とを接続可能な第三スイッチ部と、
前記第一予備セル変換器、前記第二予備セル変換器及び前記第三予備セル変換器のいずれかの正極側と中性点とを接続可能な第四スイッチ部と、
前記第一予備セル変換器、前記第二予備セル変換器及び前記第三予備セル変換器のいずれかの負極側と前記中性点とを接続可能な第五スイッチ部と、
前記第一予備セル変換器の負極側と前記第二予備セル変換器の正極側、第二予備セル変換器の負極側と前記第三予備セル変換器の正極側、の少なくとも一方を接続可能な第六スイッチ部と
を有する
電力変換装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記故障検出部の故障信号に基づき前記スイッチ群を制御し、前記複数のクラスタのうちの1つに前記予備セル変換器を複数台直列接続させる第一接続と、前記複数のクラスタに異なる前記予備セル変換器を接続させる第二接続とを選択す
求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記故障検出部が第一のクラスタ内の複数のセル変換器の故障を検出した場合は、前記第一接続を選択し、
前記予備セル変換器群の選択された前記予備セル変換器を前記第一のクラスタに複数台直列接続するとともに、前記予備セル変換器群と前記第一のクラスタとを直列接続す
求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記故障検出部が第一のクラスタ内の単一のセル変換器の故障及び第二のクラスタ内の単一のセル変換器の故障を検出した場合は、前記第二接続を選択し、
前記予備セル変換器群の選択された第一の前記予備セル変換器を前記第一のクラスタに直列接続し、第二の前記予備セル変換器を前記第二のクラスタに直列接続す
求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一接続及び前記第二接続を同時に選択する
請求項2から4までのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記スイッチ群は、前記複数のクラスタをスター結線又はデルタ結線された状態にする
請求項1からまでのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量・高圧用途に適した次世代トランスレス電力変換装置としてのモジューラーマルチレベルカスケード変換器に設けられたセル変換器が故障しても運転を継続できる技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-147613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電力変換装置は、複数クラスタに亘って2台以上のセル変換器が同時に故障した場合や、同一クラスタ内で2台以上のセル変換器が同時に故障した場合に定格運転を継続することができないという問題を有している。
【0005】
本発明の目的は、複数クラスタに亘って2台以上のセル変換器が同時に故障した場合や、同一クラスタ内で2台以上のセル変換器が同時に故障した場合でも定格運転を継続することができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による電力変換装置は、正電圧及び負電圧が出力される2個の外部出力端子を有する電力変換部と前記2個の外部出力端子の間を短絡可能に設けられたバイパススイッチとを備えるセル変換器を複数直列接続してなる複数のクラスタと、前記電力変換部を有する予備セル変換器を複数台有する予備セル変換器群と、前記複数のクラスタと前記予備セル変換器群とを接続するための複数のスイッチを有するスイッチ群と、前記セル変換器の故障を判別し、故障信号を出力する故障検出部と、前記故障検出部の故障信号に基づき、該当する複数のセル変換器のバイパススイッチを短絡するとともに、前記スイッチ群から選択したスイッチを制御し、短絡した前記複数のセル変換器の替わりに前記予備セル変換器をそれぞれ接続させる制御部と、を備え、前記予備セル変換器群は、第一予備セル変換器、第二予備セル変換器及び第三予備セル変換器を有し、前記スイッチ群は、前記複数のクラスタのいずれかと前記第一予備セル変換器とを接続可能な第一スイッチ部と、前記複数のクラスタのいずれかと前記第二予備セル変換器とを接続可能な第二スイッチ部と、前記複数のクラスタのいずれかと前記第三予備セル変換器とを接続可能な第三スイッチ部と、前記第一予備セル変換器、前記第二予備セル変換器及び前記第三予備セル変換器のいずれかの正極側と中性点とを接続可能な第四スイッチ部と、前記第一予備セル変換器、前記第二予備セル変換器及び前記第三予備セル変換器のいずれかの負極側と前記中性点とを接続可能な第五スイッチ部と、前記第一予備セル変換器の負極側と前記第二予備セル変換器の正極側、第二予備セル変換器の負極側と前記第三予備セル変換器の正極側、の少なくとも一方を接続可能な第六スイッチ部とを有する
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、複数クラスタに亘って2台以上のセル変換器が同時に故障した場合や、同一クラスタ内で2台以上のセル変換器が同時に故障した場合のどちらでも定格運転を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による電力変換装置の概略構成の一例を示す回路ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器及び予備セル変換器の概略構成の一例を示す回路図である。
図3】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器が故障した場合のスイッチ群の切替例2を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器が故障した場合のスイッチ群の切替例2の他の例を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器が故障した場合のスイッチ群の切替例3を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器が故障した場合のスイッチ群の切替例3の他の例を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器が故障した場合のスイッチ群の切替例4を説明するための図である。
図8】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器が故障した場合のスイッチ群の切替例4の他の例を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたセル変換器が故障した場合のスイッチ群の切替例5を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態による電力変換装置について図1から図9を用いて説明する。本実施形態による電力変換装置について、電力系統に連系することができる三相モジュラーマルチレベル変換器(Modular Multilevel Converter:MMC)を例にとって説明する。
【0010】
(電力制御システム)
本実施形態による電力変換装置が用いられる電力制御システムについて図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による電力変換装置1が用いられる電力制御システムPSの概略構成を示す回路ブロック図である。
【0011】
図1に示すように、電力制御システムPSは、三相電力系統2と、三相電力系統2から供給される電力を電源として動作する負荷装置(不図示)と、三相電力系統2に連系する電力変換装置1とを備えている。三相電力系統2は、三相の交流電力を生成する三相交流電源(不図示)と、三相交流電源で生成された電力が供給されるケーブル21とを有している。ケーブル21は、三相交流電源で生成されたU相の交流電力が供給されるU相ケーブル211と、三相交流電源で生成されたV相の交流電力が供給されるV相ケーブル212と、三相交流電源で生成されたW相の交流電力が供給されるW相ケーブル213とを有している。
【0012】
(電力変換装置)
次に、電力制御システムPSに設けられた電力変換装置1の構成について図1及び図2を用い説明する。
図1に示すように、本実施形態による電力変換装置1は、三相電力系統2に連系されたクラスタ部3と、クラスタ部3が故障した場合に使用される予備セル変換器群5と、クラスタ部3と予備セル変換器群5とを適宜接続するスイッチ群7と、クラスタ部3、予備セル変換器群5及びスイッチ群7を制御する制御装置(制御部の一例)9とを備えている。
【0013】
クラスタ部3は、正電圧及び負電圧が出力される2個の外部出力端子T1,T2を有する電力変換部EPCと2個の外部出力端子T1,T2の間を短絡可能に設けられたバイパススイッチSw_bとを備えるセル変換器31u-1,31u-2,31u-3を複数直列接続してなるU相クラスタ(第一クラスタの一例)31uを備えている。なお、図1及び後述する図3から図9では、電力変換部EPC、外部出力端子T1,T2及びバイパススイッチSw_bの参照符号は、セル変換器31u-1及び第一予備セル変換器51(詳細は後述)のみに付されている。U相クラスタ31uは、三相電力系統2のU相ケーブル211とセル変換器31u-1との間に接続されたリアクトル31uLを有している。より具体的には、リアクトル31uLの一端子はU相ケーブル211に接続され、リアクトル31uLの他端子はセル変換器31u-1の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31u-1の外部出力端子T2はセル変換器31u-2の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31u-2の外部出力端子T2はセル変換器31u-3の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31u-1,31u-2,31u-3において例えば、外部出力端子T1側が正極側となり、外部出力端子T2側が負極側となる。詳細は後述するが、セル変換器31u-3の外部出力端子T2はスイッチ群7に接続されている。
【0014】
クラスタ部3は、正電圧及び負電圧が出力される2個の外部出力端子T1,T2を有する電力変換部EPCと2個の外部出力端子T1,T2の間を短絡可能に設けられたバイパススイッチSw_bとを備えるセル変換器31v-1,31v-2,31v-3を複数直列接続してなるV相クラスタ(第二クラスタの一例)31vを備えている。V相クラスタ31vは、三相電力系統2のV相ケーブル212とセル変換器31v-1との間に接続されたリアクトル31vLを有している。より具体的には、リアクトル31vLの一端子はV相ケーブル212に接続され、リアクトル31vLの他端子はセル変換器31v-1の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31v-1の外部出力端子T2はセル変換器31v-2の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31v-2の外部出力端子T2はセル変換器31v-3の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31v-1,31v-2,31v-3において例えば、外部出力端子T1側が正極側となり、外部出力端子T2側が負極側となる。詳細は後述するが、セル変換器31v-3の外部出力端子T2はスイッチ群7に接続されている。
【0015】
クラスタ部3は、正電圧及び負電圧が出力される2個の外部出力端子T1,T2を有する電力変換部EPCと2個の外部出力端子T1,T2の間を短絡可能に設けられたバイパススイッチSw_bとを備えるセル変換器31w-1,31w-2,31w-3複数直列接続してなるW相クラスタ(第三クラスタの一例)31wを備えている。W相クラスタ31wは、三相電力系統2のW相ケーブル213とセル変換器31w-1との間に接続されたリアクトル31wLを有している。より具体的には、リアクトル31wLの一端子はW相ケーブル213に接続され、リアクトル31wLの他端子はセル変換器31w-1の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31w-1の外部出力端子T2はセル変換器31w-2の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31w-2の外部出力端子T2はセル変換器31w-3の外部出力端子T1に接続されている。セル変換器31w-1,31w-2,31w-3において例えば、外部出力端子T1側が正極側となり、外部出力端子T2側が負極側となる。詳細は後述するが、セル変換器31w-3の外部出力端子T2はスイッチ群7に接続されている。
【0016】
U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、複数のクラスタに相当する。セル変換器31u-1,31u-2,31u-3、セル変換器31v-1,31v-2,31v-3及びセル変換器31w-1,31w-2,31w-3の具体的な構成については後述する。
【0017】
電力変換装置1は、正電圧及び負電圧が出力される2個の外部出力端子T1,T2を有する電力変換部EPCを備える予備セル変換器を複数台有する予備セル変換器群5を備えている。本実施形態では、予備セル変換器群5に備えられた予備セル変換器はそれぞれ、2個の外部出力端子T1,T2の間を短絡可能に設けられたバイパススイッチSw_bを有している。予備セル変換器群5は、複数台の予備セル変換器として、例えば第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を有している。本実施形態では、予備セル変換器群5は、複数台の予備セル変換器として、例えば第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を有している。第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53において例えば、外部出力端子T1側が正極側となり、外部出力端子T2側が負極側となる。第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53の具体的な構成については後述する。
【0018】
電力変換装置1は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wと予備セル変換器群5とを接続するための複数のスイッチを有するスイッチ群7を備えている。
【0019】
より具体的には、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのいずれかと第一予備セル変換器51とを接続可能な第一スイッチ部71を有している。また、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのいずれかと第二予備セル変換器52とを接続可能な第二スイッチ部72を有している。また、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのいずれかと第三予備セル変換器53とを接続可能な第三スイッチ部73を有している。また、スイッチ群7は、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のいずれかの正極側と中性点N(詳細は後述)とを接続可能な第四スイッチ部74を有している。また、スイッチ群7は、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のいずれかの正極側と中性点Nとを接続可能な第五スイッチ部75を有している。さらに、スイッチ群7は、第一予備セル変換器51の負極側と第二予備セル変換器52の正極側、第二予備セル変換器52の負極側と第三予備セル変換器53の正極側、の少なくとも一方を接続可能な第六スイッチ部76を有している。
【0020】
第一スイッチ部71は、スイッチSw_u1、スイッチSw_v1及びスイッチSw_w1を有している。スイッチSw_u1の一端子はU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_v1の一端子はV相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_w1の一端子はW相クラスタ31wに設けられたセル変換器31w-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_u1の他端子、スイッチSw_v1の他端子及びスイッチSw_w1の他端子は、互いに接続されて第一予備セル変換器51の外部出力端子T1に接続されている。
【0021】
第二スイッチ部72は、スイッチSw_u2、スイッチSw_v2及びスイッチSw_w2を有している。スイッチSw_u2の一端子はセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_v2の一端子はセル変換器31v-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_w2の一端子はセル変換器31w-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_u2の他端子、スイッチSw_v2の他端子及びスイッチSw_w2の他端子は、互いに接続されて第二予備セル変換器52の外部出力端子T1に接続されている。
【0022】
第三スイッチ部73は、スイッチSw_u3、スイッチSw_v3及びスイッチSw_w3を有している。スイッチSw_u3の一端子はセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_v3の一端子はセル変換器31v-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_w3の一端子はセル変換器31w-3の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_u3の他端子、スイッチSw_v3の他端子及びスイッチSw_w3の他端子は、互いに接続されて第三予備セル変換器53の外部出力端子T1に接続されている。
【0023】
第四スイッチ部74は、スイッチSw_n_u、スイッチSw_n_v及びスイッチSw_n_wを有している。スイッチSw_n_uの一端子は、セル変換器31u-3の外部出力端子T2及びスイッチSw_u1,Sw_u2,Sw_u3のそれぞれの一端子に接続されている。スイッチSw_n_vの一端子は、セル変換器31v-3の外部出力端子T2及びスイッチSw_v1,Sw_v2,Sw_v3のそれぞれの一端子に接続されている。スイッチSw_n_wの一端子は、セル変換器31w-3の外部出力端子T2及びスイッチSw_w1,Sw_w2,Sw_w3のそれぞれの一端子に接続されている。スイッチSw_n_uの他端子、スイッチSw_n_vの他端子及びスイッチSw_n_wの他端子は、互いに接続されている。
【0024】
第五スイッチ部75は、スイッチSw_n_1、スイッチSw_n_2及びスイッチSw_n_3を有している。スイッチSw_n_1の一端子は、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_n_2の一端子は、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_n_3の一端子は、第三予備セル変換器53の外部出力端子T2に接続されている。スイッチSw_n_1の他端子、スイッチSw_n_2の他端子及びスイッチSw_n_3の他端子は、互いに接続されてスイッチSw_n_u,Sw_n_v,Sw_n_wの他端子に接続されている。
【0025】
第六スイッチ部76は、スイッチSw_uv及びスイッチSw_vwを有している。スイッチSw_uvの一端子は、第二スイッチ部72のスイッチSw_u2,Sw_v2,Sw_w2のそれぞれの他端子に接続されている。スイッチSw_uvの他端子は、スイッチSw_n_1の一端子に接続されている。スイッチSw_uvの他端子は、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2にも接続されている。スイッチSw_vwの一端子は、第三スイッチ部73のスイッチSw_u3,Sw_v3,Sw_w3のそれぞれの他端子に接続されている。スイッチSw_vwの他端子は、スイッチSw_n_2の一端子に接続されている。スイッチSw_vwの他端子は、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2にも接続されている。
【0026】
スイッチSw_uvの一端子は、第二予備セル変換器52の外部出力端子T1にも接続されている。スイッチSw_vwの一端子は、第三予備セル変換器53の外部出力端子T1にも接続されている。このため、第六スイッチ部76は、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2と第二予備セル変換器52の外部出力端子T1との接続状態及び非接続状態を切り替えることができる。また、第六スイッチ部76は、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2と第三予備セル変換器53の外部出力端子T1との接続状態及び非接続状態を切り替えることができる。
【0027】
セル変換器31u-1,31u-2,31u-3、セル変換器31v-1,31v-2,31v-3、セル変換器31w-1,31w-2,31w-3、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53は、互いに同一の構成を有している。そこで、セル変換器31u-1,31u-2,31u-3、セル変換器31v-1,31v-2,31v-3、セル変換器31w-1,31w-2,31w-3、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53の具体的な回路構成について、セル変換器31u-1を例にとって説明する。
【0028】
図2に示すように、セル変換器31u-1は、外部出力端子T1、T2を有する電力変換部EPCと、外部出力端子T1,T2の間を短絡可能に設けられたバイパススイッチSw_bとを有している。電力変換部EPCは、ブリッジ接続された複数の半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを有するブリッジ部BGと、ブリッジ部BGに並列接続された直流コンデンサCとを有している。
【0029】
より具体的には、電力変換部EPCは、直列に接続された複数(本実施形態では2個)の半導体モジュールMa及び半導体モジュールMbと、直列に接続された複数(本実施形態では2個)の半導体モジュールMc及び半導体モジュールMdを有している。半導体モジュールMa及び半導体モジュールMbと、半導体モジュールMc及び半導体モジュールMdとは、並列に接続されている。さらに、セル変換器31u-1は、半導体モジュールMa,Mb及び半導体モジュールMc,Mdに並列に接続された直流コンデンサCを有している。
【0030】
半導体モジュールMaは、半導体スイッチQaと、半導体スイッチQaに逆並列接続された還流用ダイオードDaとを有している。半導体モジュールMbは、半導体スイッチQbと、半導体スイッチQbに逆並列接続された還流用ダイオードDbとを有している。半導体モジュールMcは、半導体スイッチQcと、半導体スイッチQcに逆並列接続された還流用ダイオードDcとを有している。半導体モジュールMdは、半導体スイッチQdと、半導体スイッチQdに逆並列接続された還流用ダイオードDdとを有している。
【0031】
したがって、セル変換器31u-1は、直列接続された2個の半導体スイッチQa,Qbと、2個の半導体スイッチQa,Qbに並列接続された直流コンデンサCとを有している。さらに、セル変換器31u-1は、直列接続された2個の半導体スイッチQc,Qcを有している。2個の半導体スイッチQc,Qcは、2個の半導体スイッチQa,Qb及び直流コンデンサCに並列に接続されている。
【0032】
本実施形態では、半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdは、パワー半導体素子で構成され、例えばn型のSiC-MOSFETで構成されている。半導体スイッチQaのドレイン端子は、還流用ダイオードDaのカソード端子、半導体スイッチQcのドレイン端子及び還流用ダイオードDcのカソード端子に接続されている。半導体スイッチQaのソース端子は、還流用ダイオードDaのアノード端子、半導体スイッチQbのドレイン端子及び還流用ダイオードDbのカソード端子に接続されている。半導体スイッチQaのゲート端子は、制御装置9(図2では不図示、図1参照)に接続されている。これにより、半導体スイッチQaのゲート端子には制御装置9から出力される制御信号GP_uが入力され、半導体スイッチQaのオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。
【0033】
半導体スイッチQbのソース端子は、半導体スイッチQdのソース端子及び還流用ダイオードDdのアノード端子に接続されている。半導体スイッチQbのゲート端子は、制御装置9に接続されている。これにより、半導体スイッチQbのゲート端子には制御装置9から出力される制御信号GP_uが入力され、半導体スイッチQbのオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。
【0034】
半導体スイッチQcのソース端子は、還流用ダイオードDcのアノード端子、半導体スイッチQdのドレイン端子及び還流用ダイオードDdのカソード端子に接続されている。半導体スイッチQcのゲート端子は、制御装置9に接続されている。これにより、半導体スイッチQcのゲート端子には制御装置9から出力される制御信号GP_uが入力され、半導体スイッチQcのオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。
【0035】
半導体スイッチQdのゲート端子は、制御装置9に接続されている。これにより、半導体スイッチQdのゲート端子には制御装置9から出力される制御信号GP_uが入力され、半導体スイッチQdのオン(導通)/オフ(非導通)が制御される。半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdのそれぞれのゲート端子に入力される制御信号GP_uは、互いに異なる独立した信号である。
【0036】
直流コンデンサCの一方の電極は、半導体スイッチQaのドレイン端子、還流用ダイオードDaのカソード端子、半導体スイッチQcのドレイン端子及び還流用ダイオードDcのカソード端子に接続されている。直流コンデンサCの他方の電極は、半導体スイッチQbのソース端子、還流用ダイオードDbのアノード端子、半導体スイッチQdのソース端子及び還流用ダイオードDdのアノード端子に接続されている。
【0037】
半導体モジュールMa及び半導体モジュールMbの接続部は、外部出力端子T1及びバイパススイッチSw_bの一端子に接続されている。半導体モジュールMc及び半導体モジュールMdの接続部は、外部出力端子T2及びバイパススイッチSw_bの他端子に接続されている。このように、2個の外部出力端子T1,T2は、複数の半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdの端子同士が接続された接続部のうちの直流コンデンサCが接続されていない接続部に接続されている。
【0038】
セル変換器31u-1,31u-2,31u-3、セル変換器31v-1,31v-2,31v-3、セル変換器31w-1,31w-2,31w-3、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のそれぞれに設けられたバイパススイッチSw_bは、例えば機械的スイッチで構成されている。
【0039】
図2に示すように、電力変換装置1は、セル変換器31u-1の故障を判別し、故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dを出力する故障検出部41a,41b,41c,41dを備えている。故障検出部41aは例えば、半導体スイッチQaのドレインソース間の電圧信号を故障信号Fd_aとして出力するように構成されている。故障検出部41bは例えば、半導体スイッチQbのドレインソース間の電圧信号を故障信号Fd_bとして出力するように構成されている。故障検出部41cは例えば、半導体スイッチQcのドレインソース間の電圧信号を故障信号Fd_cとして出力するように構成されている。故障検出部41aは例えば、半導体スイッチQaのドレインソース間の電圧信号を故障信号Fd_aとして出力するように構成されている。図示は省略するが、故障検出部41a,41b,41c,41dは、電力変換装置1に設けられた全てのセル変換器に備えられている。
【0040】
図1に戻って、電力変換装置1では、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのそれぞれに流れる電流、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのそれぞれのセル変換器に設けられた直流コンデンサCの直流電圧などが検出されて制御装置9に入力されるように構成されている。制御装置9は、これらの電流や電圧を用いて生成した制御信号GP_uをU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u_1,31u_2,31u-3のそれぞれに個別に出力して半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdのオン/オフを制御する。同様に、制御装置9は、これらの電流や電圧を用いて生成した制御信号GP_vをV相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v_1,31v_2,31v-3のそれぞれに個別に出力して半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdのオン/オフを制御する。同様に、制御装置9は、これらの電流や電圧を用いて生成した制御信号GP_wをW相クラスタ31wに設けられたセル変換器31w_1,31w_2,31w-3のそれぞれに個別に出力して半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdのオン/オフを制御する。
【0041】
制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づき、該当する複数のセル変換器のバイパススイッチSw_bを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチを制御し、短絡した複数のセル変換器の替わりに第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53をそれぞれ接続させるように構成されている。制御装置9は例えば、セル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3のそれぞれに設けられた半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを制御する制御信号GP_u,GP_v,GP_wに対して故障検出部41aから出力される故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dが所望の電圧であるか否かを判定する。制御装置9は、故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dのうちの少なくとも1つが所望の電圧でない場合には、当該故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dを出力する故障検出部41a,41b,41c,41dが検出対象としている半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを有するセル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3が故障していると判定する。
【0042】
制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのそれぞれに個別に制御信号GP_bを出力してバイパススイッチSw_bのオン(導通)/オフ(非導通)を制御するように構成されている。制御信号GP_bは、バイパススイッチSw_bを構成する機械的スイッチの駆動部に入力される。制御装置9は、半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdのいずれかの故障の有無を検出した場合、故障した半導体スイッチを有するセル変換器に設けられたバイパススイッチSw_bに対して、オン状態とするための制御信号GP_bを出力する。これにより、当該バイパススイッチSw_bがオン状態となって、当該バイパススイッチSw_bが接続された外部出力端子T1,T2は短絡される。このため、当該バイパススイッチSw_bを有するセル変換器に流れる電流は、電力変換部EPCを通らずに当該バイパススイッチSw_bを流れる。その結果、電力変換装置1は、故障した半導体スイッチを有するセル変換器を電力変換するためのセル変換器から除外できる。
【0043】
制御装置9は、予備セル変換器群5の第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のそれぞれに個別に制御信号GP_brを出力してバイパススイッチSw_bのオン(導通)/オフ(非導通)を制御するように構成されている。
【0044】
制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wに設けられた半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdの故障(すなわちセル変換器の故障)の有無によらず、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のそれぞれに設けられたバイパススイッチSw_bをオフ状態とするための制御信号GP_brを出力する。第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53は、使用されない場合には、スイッチ群7によってクラスタ部3から電気的に切り離されている。
【0045】
制御装置9は、セル変換器に故障が発生した場合、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のうち、故障したセル変換器を有するU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wに接続される予備セル変換器の電力変換部EPCを制御するために、当該予備セル変換器に制御信号GP_rを出力する。制御信号GP_rが入力された予備セル変換器は、故障したセル変換器に代わって動作することができる。予備セル変換器群5は3個の予備セル変換器を有しているので、電力変換装置1は、セル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3のうちの3個が同時に故障した場合でも安定動作を維持できる。
【0046】
制御装置9は、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_u1,Sw_v1,Sw_w1,Sw_u2,Sw_v2,Sw_w2,Sw_u3,Sw_v3,Sw_w3,Sw_n_u,Sw_n_v,Sw_n_w,Sw_n_1,Sw_n_2,Sw_n_3,Sw_uv,Sw_vw(以下、「スイッチSw_7」と総称する場合がある)のそれぞれに個別に制御信号GP_sgを出力してスイッチSw_7のオン(導通)/オフ(非導通)を個別に制御するように構成されている。
【0047】
制御装置9は例えば、セル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3の故障に対してスイッチSw_7のいずれをオフ状態からオン状態又はオン状態からオフ状態に切り替えるのかを規定したスイッチ群制御テーブルを記憶している。制御装置9は、セル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3のうちのいずれかの故障を検出した場合、スイッチ群制御テーブルを参照してスイッチSw_7から状態を切り替えるスイッチを選択する。制御装置9は、選択したスイッチに対してオン状態とするための制御信号GP_sgを出力する。これにより、故障したセル変換器を有するU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wに、予備セル変換器群5に設けられた予備セル変換器が必要な個数だけ直列に接続される。その結果、電力変換装置1は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wにおいて直列接続されるセル変換器の個数をセル変換器の故障前後で同数とすることができるので、安定動作を維持できる。
【0048】
制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づきスイッチ群7を制御し、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの1つに第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を複数台直列接続させる第一接続と、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wに異なる第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を接続させる第二接続とを選択することができるように構成されている。
【0049】
制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dが第一のクラスタ(U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの一のクラスタ)内の複数のセル変換器の故障を検出した場合は、第一接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された予備セル変換器を当該第一のクラスタに複数台直列接続するとともに、予備セル変換器群5と当該第一のクラスタとを直列接続するように構成されている。
【0050】
例えば、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dがセル変換器31u-1,31u-2の故障を検出した場合、第一接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された例えば第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52を第一のクラスタとしてのU相クラスタ31uに直列接続するとともに、予備セル変換器群5とU相クラスタとを直列接続する。この場合、制御装置9は、故障したセル変換器と同数の予備セル変換器を故障したセル変換器を有するクラスタに接続する。
【0051】
制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dが第一のクラスタ(U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの一のクラスタ)内の単一のセル変換器の故障及び第二のクラスタ(U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの他のクラスタ)内の単一のセル変換器の故障を検出した場合は、第二接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された第一の予備セル変換器(第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のうちの一の予備セル変化器)を当該第一のクラスタに直列接続し、第二の予備セル変換器(第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53のうちの他の予備セル変換器)を当該第二のクラスタに直列接続するように構成されている。
【0052】
例えば、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dがセル変換器31u-1,31v-1の故障を検出した場合、第二接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された第一の予備セル変換器(例えば第一予備セル変換器51)をU相クラスタ31uに直接接続し、予備セル変換器群5の選択された第二の予備セル変換器(例えば第二予備セル変換器52)をV相クラスタ31vに直接接続する。
【0053】
さらに、制御装置9は、第一接続及び第二接続を同時に選択することができるように構成されている。つまり、制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちのいずれか1つのクラスタにおいて複数のセル変換器が故障し、かつU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの他のクラスタのいずれか一方において単体のセル変換器(すなわち1つのセル変換器)が故障した場合、第一接続及び第二接続を同時に選択する。この場合、電力変換装置1は、故障したセル変換器の合計数が予備セル変換器群5に設けられた予備セル変換器の個数の範囲内であることを条件に、セル変換器の故障後も安定動作を維持できる。
【0054】
<電力変換装置の安定動作の維持制御>
次に、本実施形態による電力変換装置1におけるセル変換器に故障が発生した場合に安定動作を維持するためのスイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の具体的な切替例について図1及び図3から図9を用いて説明する。
【0055】
(切替例1)
切替例1は、セル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3のいずれも故障していない場合(すなわち初期動作の開始時)のスイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の切替態様の一例である。
【0056】
図1に示すように、電力変換装置1に設けられた制御装置9は、セル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3のいずれも故障していない場合(すなわち初期動作の開始時)には、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7が以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オフ状態
スイッチSw_v1 :オフ状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オフ状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オフ状態
スイッチSw_n_u:オン状態
スイッチSw_n_v:オン状態
スイッチSw_n_w:オン状態
スイッチSw_n_1:オフ状態
スイッチSw_n_2:オフ状態
スイッチSw_n_3:オフ状態
スイッチSw_uv :オフ状態
スイッチSw_vw :オフ状態
【0057】
すなわち、スイッチ群7に設けられた第四スイッチ部74のみオン状態とする。これにより、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチSw_n_u、スイッチSw_n_v及びスイッチSw_n_wのそれぞれの他端子が互いに接続された接続部を中性点Nとするスター結線(Y結線)された状態となる。このように、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wをスター結線された状態にすることができる。
【0058】
(切替例2)
切替例2は、1個のセル変換器が故障した場合のスイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の切替態様の一例である。切替例2について図3を用いて説明する。図3では、例えばU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1が故障した場合が図示されている。
【0059】
図3に示すように、制御装置9は、セル変換器31u-1が故障したと判定した場合、セル変換器31u-1に設けられたバイパススイッチSw_bをオン状態に制御するとともに、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7を以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オン状態
スイッチSw_v1 :オフ状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オフ状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オフ状態
スイッチSw_n_u:オフ状態
スイッチSw_n_v:オン状態
スイッチSw_n_w:オン状態
スイッチSw_n_1:オン状態
スイッチSw_n_2:オフ状態
スイッチSw_n_3:オフ状態
スイッチSw_uv :オフ状態
スイッチSw_vw :オフ状態
【0060】
これにより、第一予備セル変換器51の外部出力端子T1がスイッチSw_u1を介してU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第一予備セル変換器51は、U相クラスタ31uに直列に接続されるので、U相クラスタ31uに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_uがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_1がオン状態となることにより、セル変換器31u-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。第一予備セル変換器51の外部出力端子T2は、U相クラスタ31uの端部に相当する。このため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の状態を切り替えた後もスター結線された状態を維持することができる。その結果、電力変換装置1は、セル変換器31u-1が故障した後も定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0061】
(切替例2の他の例)
切替例2の他の例について図4を用いて説明する。図4では、例えばV相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-1が故障した場合が図示されている。
【0062】
図4に示すように、制御装置9は、セル変換器31v-1が故障したと判定した場合、セル変換器31v-1に設けられたバイパススイッチSw_bをオン状態に制御するとともに、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7を以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オフ状態
スイッチSw_v1 :オン状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オフ状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オフ状態
スイッチSw_n_u:オン状態
スイッチSw_n_v:オフ状態
スイッチSw_n_w:オン状態
スイッチSw_n_1:オン状態
スイッチSw_n_2:オフ状態
スイッチSw_n_3:オフ状態
スイッチSw_uv :オフ状態
スイッチSw_vw :オフ状態
【0063】
これにより、第一予備セル変換器51の外部出力端子T1がスイッチSw_v1を介してV相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第一予備セル変換器51は、V相クラスタ31vに直列に接続されるので、U相クラスタ31uに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_vがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_1がオン状態となることにより、セル変換器31v-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。第一予備セル変換器51の外部出力端子T2は、V相クラスタ31vの端部に相当する。このため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の状態を切り替えた後もスター結線された状態を維持することができる。その結果、電力変換装置1は、セル変換器31v-1が故障した後も定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0064】
(切替例3)
切替例3は、異なるクラスタに設けられたセル変換器が1個ずつ故障した場合のスイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の切替態様の一例である。切替例3について図5を用いて説明する。図5では例えば、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1と、V相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-1とが故障した場合が図示されている。
【0065】
図5に示すように、制御装置9は、セル変換器31u-1,31v-1が故障したと判定した場合、セル変換器31u-1,31v-1のそれぞれに設けられたバイパススイッチSw_bをオン状態に制御するとともに、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7を以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オン状態
スイッチSw_v1 :オフ状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オン状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オフ状態
スイッチSw_n_u:オフ状態
スイッチSw_n_v:オフ状態
スイッチSw_n_w:オン状態
スイッチSw_n_1:オン状態
スイッチSw_n_2:オン状態
スイッチSw_n_3:オフ状態
スイッチSw_uv :オフ状態
スイッチSw_vw :オフ状態
【0066】
これにより、第一予備セル変換器51の外部出力端子T1がスイッチSw_u1を介してU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第一予備セル変換器51は、U相クラスタ31uに直列に接続されるので、U相クラスタ31uに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_uがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_1がオン状態となることにより、セル変換器31u-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0067】
また、第二予備セル変換器52の外部出力端子T1がスイッチSw_v2を介してV相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第二予備セル変換器52は、V相クラスタ31vに直列に接続されるので、V相クラスタ31vに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_vがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_2がオン状態となることにより、セル変換器31v-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0068】
このように、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちのU相クラスタ31uに第一予備セル変換器51を接続させ、V相クラスタ31vに第二予備セル変換器52を接続させることが可能である。つまり、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づき、セル変換器31u-1,31v-1のバイパススイッチSw_bを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチSw_u1,Sw_v2,Sw_n_u,Sw_n_v,Sw_n_1,Sw_n_2を制御し、バイパススイッチSw_bを短絡したセル変換器31u-1,31v-1の替わりに第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52を接続させる。このように、制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの1つ(第一のクラスタの一例、本例ではU相クラスタ31u)に単数のセル変換器(本例では、セル変換器31u-1)の故障及びU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの他の1つ(第二のクラスタの一例、本例ではV相クラスタ31v)の単一のセル変換器(本例ではセル変換器31v-1)の故障が検出された場合は、U相クラスタ31u及びV相クラスタ31vに異なる予備セル変換器(本例では第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52)を接続させる第二接続を選択する。制御装置9は、第二接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された第一の予備セル変換器(本例では第一予備セル変換器51)をU相クラスタ31uに直列接続し、第二の予備セル変換器(本例では第二予備セル変換器52)をV相クラスタ31vに直列接続する。
【0069】
第一予備セル変換器51の外部出力端子T2は、U相クラスタ31uの端部に相当する。また、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2は、V相クラスタ31vの端部に相当する。このため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の状態を切り替えた後もスター結線された状態を維持することができる。その結果、電力変換装置1は、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1及びV相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-1(すなわち、異なるクラスタに設けられたセル変換器)が故障した後も定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0070】
(切替例3の他の例)
切替例3の他の例について図6を用いて説明する。図6では例えば、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1と、V相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-1と、W相クラスタ31wに設けられたセル変換器31w-1とが故障した場合が図示されている。
【0071】
図6に示すように、制御装置9は、セル変換器31u-1,31v-1,31w-1が故障したと判定した場合、セル変換器31u-1,31v-1,31w-1のそれぞれに設けられたバイパススイッチSw_bをオン状態に制御するとともに、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7を以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オン状態
スイッチSw_v1 :オフ状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オン状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オン状態
スイッチSw_n_u:オフ状態
スイッチSw_n_v:オフ状態
スイッチSw_n_w:オフ状態
スイッチSw_n_1:オン状態
スイッチSw_n_2:オン状態
スイッチSw_n_3:オン状態
スイッチSw_uv :オフ状態
スイッチSw_vw :オフ状態
【0072】
これにより、第一予備セル変換器51の外部出力端子T1がスイッチSw_u1を介してU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第一予備セル変換器51は、U相クラスタ31uに直列に接続されるので、U相クラスタ31uに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_uがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_1がオン状態となることにより、セル変換器31u-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0073】
また、第二予備セル変換器52の外部出力端子T1がスイッチSw_v2を介してV相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第二予備セル変換器52は、V相クラスタ31vに直列に接続されるので、V相クラスタ31vに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_vがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_2がオン状態となることにより、セル変換器31v-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0074】
また、第三予備セル変換器53の外部出力端子T1がスイッチSw_w3を介してW相クラスタ31wに設けられたセル変換器31w-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第三予備セル変換器53は、W相クラスタ31wに直列に接続されるので、W相クラスタ31wに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_wがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_3がオン状態となることにより、セル変換器31w-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第三予備セル変換器53の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0075】
このように、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちのU相クラスタ31uに第一予備セル変換器51を接続させ、V相クラスタ31vに第二予備セル変換器52を接続させ、W相クラスタ31wに第三予備セル変換器53を接続させることが可能である。つまり、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づき、セル変換器31u-1,31v-1,31w-1のバイパススイッチSw_bを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチSw_u1,Sw_v2,Sw_w3,Sw_n_u,Sw_n_v,Sw_n_w,Sw_n_1,Sw_n_2,Sw_n_3を制御し、バイパススイッチSw_bを短絡したセル変換器31u-1,31v-1,31w-1の替わりに第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を接続させる。このように、制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの1つ(第一のクラスタの一例、本例ではU相クラスタ31u)に単数のセル変換器(本例では、セル変換器31u-1)の故障及びU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wに異なる第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を接続させる第二接続を選択する。制御装置9は、第二接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された第一の予備セル変換器(本例では第一予備セル変換器51)をU相クラスタ31uに直列接続し、第二の予備セル変換器(本例では第二予備セル変換器52)をV相クラスタ31vに直列接続し、第二の予備セル変換器(本例では第三予備セル変換器53)をW相クラスタ31wに直列接続する。
【0076】
第一予備セル変換器51の外部出力端子T2は、U相クラスタ31uの端部に相当する。また、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2は、V相クラスタ31vの端部に相当する。さらに、第三予備セル変換器53の外部出力端子T2は、W相クラスタ31wの端部に相当する。このため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の状態を切り替えた後もスター結線された状態を維持することができる。その結果、電力変換装置1は、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1、V相クラスタ31vに設けられたセル変換器31v-1及びW相クラスタ31wに設けられたセル変換器31w-1(すなわち、異なるクラスタに設けられたセル変換器)が故障した後も定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0077】
(切替例4)
切替例4は、1つのクラスタにおいて複数のセル変換器が故障した場合のスイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の切替態様の一例である。切替例4について図7を用いて説明する。図7では例えば、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1及びセル変換器31u-2が故障した場合が図示されている。
【0078】
図7に示すように、制御装置9は、セル変換器31u-1,31u-2が故障したと判定した場合、セル変換器31u-1,31u-2のそれぞれに設けられたバイパススイッチSw_bをオン状態に制御するとともに、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7を以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オン状態
スイッチSw_v1 :オフ状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オフ状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オフ状態
スイッチSw_n_u:オフ状態
スイッチSw_n_v:オン状態
スイッチSw_n_w:オン状態
スイッチSw_n_1:オフ状態
スイッチSw_n_2:オン状態
スイッチSw_n_3:オフ状態
スイッチSw_uv :オン状態
スイッチSw_vw :オフ状態
【0079】
これにより、第一予備セル変換器51の外部出力端子T1がスイッチSw_u1を介してU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続される。また、第二予備セル変換器52の外部出力端子T1がスイッチSw_uvを介して第一予備セル変換器51の外部出力端子T2に接続される。その結果、第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52は、U相クラスタ31uに直列に接続されるので、U相クラスタ31uに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_u及びスイッチSw_n_1がオフ状態となり、かつスイッチSw_n_2がオン状態になっている。このため、セル変換器31u-3の外部出力端子T2、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2及び第二予備セル変換器52の外部出力端子T1が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0080】
このように、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちのU相クラスタ31uに第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52を接続させることが可能である。つまり、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づき、セル変換器31u-1,31u-2のバイパススイッチSw_bを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチSw_u1,Sw_n_v,Sw_n_2,Sw_uvを制御し、バイパススイッチSw_bを短絡したセル変換器31u-1,31u-2の替わりに第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52をそれぞれ接続させる。このように、制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの1つ(第一のクラスタの一例、本例ではU相クラスタ31u)の複数のセル変換器31u-1,31u-2の故障が検出された場合は、故障したセル変換器31u-1,31u-2を有するU相クラスタ31uに予備セル変換器を複数台(本例では第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52)を接続させる第一接続を選択する。制御装置9は、第一接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された予備セル変換器(本例では第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52)を第一のクラスタ(本例ではU相クラスタ31u)に複数台(本例では2台)直列接続するとともに、予備セル変換器群5とU相クラスタ31uとを直列接続する。
【0081】
第二予備セル変換器52の外部出力端子T2は、U相クラスタ31uの端部に相当する。このため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の状態を切り替えた後もスター結線された状態を維持することができる。その結果、電力変換装置1は、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1及びセル変換器31u-2(すなわち、同一のクラスタに設けられた複数のセル変換器)が故障した後も定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0082】
このように、電力変換装置1は、スイッチ群7に第六スイッチ部76を有することにより、第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52を直列に接続することができる。これにより、電力変換装置1は、1つのクラスタにおいて2個のセル変換器が故障した場合でも、定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0083】
(切替例4の他の例)
切替例4の他の例について図8を用いて説明する。図8では例えば、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1、セル変換器31u-2及びセル変換器31u-3が故障した場合が図示されている。
【0084】
図8に示すように、制御装置9は、セル変換器31u-1,31u-2,31u-3が故障したと判定した場合、セル変換器31u-1,31u-2,31u-3のそれぞれに設けられたバイパススイッチSw_bをオン状態に制御するとともに、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7を以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オン状態
スイッチSw_v1 :オフ状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オフ状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オフ状態
スイッチSw_n_u:オフ状態
スイッチSw_n_v:オン状態
スイッチSw_n_w:オン状態
スイッチSw_n_1:オフ状態
スイッチSw_n_2:オフ状態
スイッチSw_n_3:オフ状態
スイッチSw_uv :オン状態
スイッチSw_vw :オン状態
【0085】
これにより、第一予備セル変換器51の外部出力端子T1がスイッチSw_u1を介してU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続される。また、第二予備セル変換器52の外部出力端子T1がスイッチSw_uvを介して第一予備セル変換器51の外部出力端子T2に接続される。さらに、第三予備セル変換器53の外部出力端子T1がスイッチSw_vwを介して第二予備セル変換器52の外部出力端子T2に接続される。その結果、直列接続された第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53は、U相クラスタ31uに直列に接続されるので、U相クラスタ31uに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、スイッチSw_n_u、スイッチSw_n_1及びスイッチSw_n_2がオフ状態となり、かつスイッチSw_n_3がオン状態になっている。このため、セル変換器31u-3の外部出力端子T2、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2、第二予備セル変換器52の外部出力端子T1及び第三予備セル変換器53の外部出力端子T1が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第三予備セル変換器53の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0086】
このように、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちのU相クラスタ31uに第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を接続させることが可能である。つまり、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づき、セル変換器31u-1,31u-2,31u-3のバイパススイッチSw_bを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチSw_u1,Sw_n_v,Sw_n_2,Sw_uv,Sw_vwを制御し、バイパススイッチSw_bを短絡したセル変換器31u-1,31u-2,31u-3の替わりに第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53をそれぞれ接続させる。このように、制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの1つ(第一のクラスタの一例、本例ではU相クラスタ31u)の複数のセル変換器31u-1,31u-2,31u-3の故障が検出された場合は、故障したセル変換器31u-1,31u-2,31u-3を有するU相クラスタ31uに予備セル変換器を複数台(本例では3つの第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53)を接続させる第一接続を選択する。制御装置9は、第一接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された予備セル変換器(本例では第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53)を第一のクラスタ(本例ではU相クラスタ31u)に複数台(本例では3台)直列接続するとともに、予備セル変換器群5とU相クラスタ31uとを直列接続する。
【0087】
第三予備セル変換器53の外部出力端子T2は、U相クラスタ31uの端部に相当する。このため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の状態を切り替えた後もスター結線された状態を維持することができる。その結果、電力変換装置1は、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1、セル変換器31u-2及びセル変換器31u-3(すなわち、同一のクラスタに設けられた複数のセル変換器)が故障した後も定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0088】
このように、電力変換装置1は、スイッチ群7に第六スイッチ部76を有することにより、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を直列に接続することができる。これにより、電力変換装置1は、1つのクラスタにおいて3個のセル変換器が故障した場合でも、定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0089】
(切替例5)
切替例5は、複数のクラスタ間でのセル変換器の故障と、1つのクラスタ内で複数のセル変換器の故障とが複合的に発生した場合のスイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の切替態様の一例である。切替例5について図9を用いて説明する。図9では例えば、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1及びセル変換器31u-2が故障し、かつW相クラスタ31wに設けられたセル変換器31w-1が故障した場合が図示されている。
【0090】
図9に示すように、制御装置9は、セル変換器31u-1,31u-2,31w-1が故障したと判定した場合、セル変換器31u-1,31u-2,31w-1のそれぞれに設けられたバイパススイッチSw_bをオン状態に制御するとともに、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7を以下の状態となるように制御する。
スイッチSw_u1 :オン状態
スイッチSw_v1 :オフ状態
スイッチSw_w1 :オフ状態
スイッチSw_u2 :オフ状態
スイッチSw_v2 :オフ状態
スイッチSw_w2 :オフ状態
スイッチSw_u3 :オフ状態
スイッチSw_v3 :オフ状態
スイッチSw_w3 :オン状態
スイッチSw_n_u:オフ状態
スイッチSw_n_v:オン状態
スイッチSw_n_w:オン状態
スイッチSw_n_1:オフ状態
スイッチSw_n_2:オン状態
スイッチSw_n_3:オン状態
スイッチSw_uv :オン状態
スイッチSw_vw :オフ状態
【0091】
これにより、第一予備セル変換器51の外部出力端子T1がスイッチSw_u1を介してU相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-3の外部出力端子T2に接続される。また、第二予備セル変換器52の外部出力端子T1がスイッチSw_uvを介して第一予備セル変換器51の外部出力端子T2に接続される。その結果、第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52は、U相クラスタ31uに直列に接続されるので、U相クラスタ31uに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。また、第三予備セル変換器53の外部出力端子T1がスイッチSw_w3を介してW相クラスタ31wに設けられたセル変換器31w-3の外部出力端子T2に接続される。その結果、第三予備セル変換器53は、W相クラスタ31wに直列に接続されるので、W相クラスタ31wに設けられた実働可能なセル変換器の個数は3個に維持される。
【0092】
スイッチSw_n_u及びスイッチSw_n_1がオフ状態となり、かつスイッチSw_n_2がオン状態になっている。このため、セル変換器31u-3の外部出力端子T2、第一予備セル変換器51の外部出力端子T2及び第二予備セル変換器52の外部出力端子T1が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第二予備セル変換器52の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。また、スイッチSw_n_wがオフ状態となり、かつスイッチSw_n_3がオン状態になっている。このため、セル変換器31w-3の外部出力端子T2が中性点Nから電気的に切断されるとともに、第三予備セル変換器53の外部出力端子T2が中性点Nに電気的に接続される。
【0093】
このように、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちのU相クラスタ31uに第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52を接続させ、W相クラスタ31wに第三予備セル変換器53を接続させることが可能である。
【0094】
つまり、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づき、セル変換器31u-1,31u-2のバイパススイッチSw_bを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチSw_u1,Sw_w3,Sw_n_v,Sw_n_w,Sw_n_2,Sw_n_3,Sw_uvを制御し、バイパススイッチSw_bを短絡したセル変換器31u-1,31u-2の替わりに第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52をそれぞれ接続させ、バイパススイッチSw_bを短絡したセル変換器31w-1の替わりに第三予備セル変換器53を接続させる。このように、制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの1つ(第一のクラスタの一例、本例ではU相クラスタ31u)の複数のセル変換器31u-1,31u-2の故障が検出された場合は、故障したセル変換器31u-1,31u-2を有するU相クラスタ31uに予備セル変換器を複数台(本例では第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52)を接続させる第一接続を選択する。制御装置9は、第一接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された予備セル変換器(本例では第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52)を第一のクラスタ(本例ではU相クラスタ31u)に複数台(本例では2台)直列接続するとともに、予備セル変換器群5とU相クラスタ31uとを直列接続する。
【0095】
さらに、制御装置9は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号Fd_a,Fd_b,Fd_c,Fd_dに基づき、セル変換器31w-1のバイパススイッチSw_bを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチSw_w3,Sw_n_w,Sw_n_3を制御し、バイパススイッチSw_bを短絡したセル変換器31w-1の替わりに第三予備セル変換器53を接続させる。このように、制御装置9は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの1つ(第一のクラスタの一例、本例ではU相クラスタ31u)に少なくとも単数のセル変換器(本例ではセル変換器31u-1,31u-2)の故障及びU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちの他の1つ(第二のクラスタの一例、本例では、W相クラスタ31w)の単一のセル変換器(本例ではセル変換器31w-1)の故障が検出された場合は、U相クラスタ31u及びW相クラスタ31wに異なる予備セル変換器(本例では、第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52の組と、第三予備セル変換器53)を接続させる第二接続を選択する。制御装置9は、第二接続を選択し、予備セル変換器群5の選択された第一の予備セル変換器(本例では第一予備セル変換器51及び第二予備セル変換器52)をU相クラスタ31uに直列接続し、第二の予備セル変換器(本例では第三予備セル変換器53)をW相クラスタ31wに直列接続する。このように、制御装置9は、は、当該第一接続及び当該第二接続を同時に選択することができる。
【0096】
第二予備セル変換器52の外部出力端子T2は、U相クラスタ31uの端部に相当する。第三予備セル変換器53の外部出力端子T2は、W相クラスタ31wの端部に相当する。このため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、スイッチ群7に設けられたスイッチSw_7の状態を切り替えた後もスター結線された状態を維持することができる。その結果、電力変換装置1は、U相クラスタ31uに設けられたセル変換器31u-1及びセル変換器31u-2(すなわち、同一のクラスタに設けられた複数のセル変換器)が故障した後も定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0097】
電力変換装置1は、セル変換器31u-1~31u-3,31v-1~31v-3,31w-1~31w-3のいずれかのセル変換器の故障中に別のセル変換器が故障した場合には、スイッチ群7のスイッチSw_7を一旦、初期動作の開始時の切替態様(図3参照)に戻す。その後、電力変換装置1は、例えばスイッチ群制御テーブルを参照して、スイッチ群7のスイッチSw_7の接続態様を適宜変更して、定格運転が可能となって安定動作を維持できる。
【0098】
以上説明したように、本実施形態による電力変換装置1は、セル変換器31u-1~31u-3を有するU相クラスタ31uと、セル変換器31v-1~31v-3を有するV相クラスタ31vと、セル変換器31w-1~31w-3を有するW相クラスタ31wとを備えている。また、電力変換装置1は、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53を有する予備セル変換器群5を備えている。また、電力変換装置1は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wと予備セル変換器群5とを接続するための複数のスイッチを有するスイッチ群7を備えている。また、電力変換装置1は、前記セル変換器の故障を判別し、故障信号を出力する故障検出部41a,41b,41c,41dを備えている。さらに、電力変換装置1は、故障検出部41a,41b,41c,41dの故障信号に基づき、該当する複数のセル変換器のバイパススイッチを短絡するとともに、スイッチ群7から選択したスイッチを制御し、短絡した複数のセル変換器の替わりに第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53をそれぞれ接続させる制御装置9を備えている。
【0099】
このような構成を備える電力変換装置1は、同一クラスタに2台以上のセル変換器が同時に故障した場合でも定格運転を継続することができる。また、電力変換装置1は、複数のクラスタのそれぞれにセル変換器の故障が発生した場合でも定格運転を継続することができる。さらに、電力変換装置1は、同一クラスタに2台以上のセル変換器が同時に故障し、かつ当該クラスタとは別のクラスタでセル変換器の故障が発生した場合でも定格運転を継続することができる。
【0100】
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施形態では、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wがスター結線された状態にしているが、本発明はこれに限られない。制御装置9がスイッチSw_7の切替状態を適宜制御することによって、スイッチ群7は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wがデルタ結線された状態とすることができる。
【0101】
上記実施形態では、故障検出部は、セル変換器のそれぞれに配置されているが、本発明はこれに限られない。例えば、制御装置は、セル変換器の故障を全体として監視する機能を発揮するように構成されていてもよい。
【0102】
上記実施形態では、故障検出部は、半導体スイッチのドレインソース間の電圧を故障信号として出力するように構成されているが、半導体スイッチのドレインソース間の電流など、その他の電圧信号や電流信号検出するように構成されていてもよい。
【0103】
上記実施形態では、第一予備セル変換器51、第二予備セル変換器52及び第三予備セル変換器53は、バイパススイッチSw_bを有しているが、バイパススイッチSw_b有していなくてもよい。
【0104】
上記実施形態による電力変換装置1は、SiC-MOSFETで構成された半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを有しているが、本発明はこれに限られない。電力変換装置1は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)、ゲートターンオフサイリスタ(Gate Turn-Off thyristor:GTO)、又は集積化ゲート転流型サイリスタ(Integrated Gate Commutated Turn-off thyristor:GCT)などで構成された半導体スイッチを有していてもよく、これらの複数を適宜組み合わせてもよい。
【0105】
上記実施形態による電力変換装置1は、Hブリッジで構成されたブリッジ部BGを有するセル変換器を備えているが、本発明はこれに限られない。セル変換器は、正電圧及び負電圧を出力することができれば、例えば中性点クランプ3レベル型のフルブリッジ変換器セルなどであってもよい。
【0106】
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0107】
1 電力変換装置
2 三相電力系統
3 クラスタ部
5 予備セル変換器群
7 スイッチ群
9 制御装置
21 ケーブル
31u U相クラスタ(第一クラスタ)
31u_1,31u_2,31u-1,31u-2,31u-3,31v_1,31v_2,31v-1,31v-2,31v-3,31w-1,31w-2,31w-3 セル変換器
31uL,31vL,31wL リアクトル
31v V相クラスタ(第二クラスタ)
31w W相クラスタ(第三クラスタ)
51 第一予備セル変換器
52 第二予備セル変換器
53 第三予備セル変換器
71 第一スイッチ部
72 第二スイッチ部
73 第三スイッチ部
74 第四スイッチ部
75 第五スイッチ部
76 第六スイッチ部
211 U相ケーブル
212 V相ケーブル
213 W相ケーブル
BG ブリッジ部
C 直流コンデンサ
Da,Db,Dc,Dd 還流用ダイオード
GP_b,GP_br,GP_r,GP_sg,GP_u,GP_v,GP_w 制御信号
Ma,Mb,Mc,Md 半導体モジュール
EPC 電力変換部
N 中性点
PS 電力制御システム
Qa,Qb,Qc,Qd 半導体スイッチ
Sw_7,Sw_n_1,Sw_n_2,Sw_n_3,Sw_n_u,Sw_n_v,Sw_n_w,Sw_u1,Sw_u2,Sw_u3,Sw_uv,Sw_v1,Sw_v2,Sw_v3,Sw_vw,Sw_w1,Sw_w2,Sw_w3 スイッチ
Sw_b バイパススイッチ
T1,T2 外部出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9