(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231108BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/16 147
(21)【出願番号】P 2019238911
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】田口 和奈
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-351249(JP,A)
【文献】実開昭61-099849(JP,U)
【文献】特開平08-177988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
F16H 1/00-1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラを有する第1定着部材と、
前記第1定着部材との間でニップ部を形成する第2定着部材と、
画像形成装置に設けられる本体ギヤから駆動力を受ける第1ギヤと、
前記第1ギヤの回転中心を中心にして前記第1ギヤとともに回転する第2ギヤと、
前記第2ギヤに噛み合い、且つ、前記ローラと一体に回転するローラギヤと、
前記第1ギヤおよび前記第2ギヤを回転可能に支持する金属ピンと、
前記ローラおよび前記金属ピンを支持するサイドフレームと、
前記金属ピンの周囲に設けられる筒状部と、を備え、
前記第2ギヤおよび前記筒状部の融点は、前記第1ギヤの融点よりも高く、
前記第1ギヤは、前記筒状部を介して前記金属ピンに支持されることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第2ギヤは、前記サイドフレームと前記第1ギヤの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第2ギヤは、
前記第1ギヤと対面する第1面と、
前記第1面から突出する凸部と、を有し、
前記第1ギヤは、
前記第2ギヤの前記第1面と対面する第2面と、
前記第2面とは反対側の第3面と、
前記凸部と係合する第1凹部であって、前記第2面から前記第3面に向けて凹む第1凹部と、
前記第3面から前記第2面に向けて凹む第2凹部と、を有し、
前記第2凹部は、前記第1ギヤの周方向において、前記第1凹部とは異なる位置に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記凸部の高さは、前記第1凹部の深さよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第2ギヤは、前記筒状部を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第2ギヤの硬度は、前記第1ギヤの硬度より大きく、
前記ローラギヤの硬度は、前記第2ギヤの硬度以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第1ギヤ、前記第2ギヤおよび前記ローラギヤは、それぞれ材質が異なることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記第1ギヤは、はすば歯車であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記第2ギヤおよび前記ローラギヤは、平歯車であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記第2定着部材は、
ベルトと、
前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む上流パッドと、
前記上流パッドに対してシートの搬送方向の下流側に配置され、前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む下流パッドと、
前記上流パッドおよび前記下流パッドを支持する支持部材と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
シートに現像剤像を形成する現像剤像形成部と、
シートに現像剤像を定着させる定着装置と、
前記現像剤像形成部および前記定着装置を収容する本体筐体と、
前記本体筐体に設けられ、前記定着装置に駆動力を付与する本体ギヤと、を備える画像形成装置であって、
前記定着装置は、
ローラを有する第1定着部材と、
前記第1定着部材との間でニップ部を形成する第2定着部材と、
前記本体ギヤから駆動力を受ける第1ギヤと、
前記第1ギヤの回転中心を中心にして前記第1ギヤとともに回転する第2ギヤと、
前記第2ギヤに噛み合い、且つ、前記ローラと一体に回転するローラギヤと、
前記第1ギヤおよび前記第2ギヤを回転可能に支持する金属ピンと、
前記ローラおよび前記金属ピンを支持するサイドフレームと、
前記金属ピンの周囲に設けられる筒状部と、を備え、
前記第2ギヤおよび前記筒状部の融点は、前記第1ギヤの融点よりも高く、
前記第1ギヤは、前記筒状部を介して前記金属ピンに支持されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記本体筐体は、
前記定着装置を位置決めするための位置決め凹部を有するフレームを備え、
前記定着装置は、
前記位置決め凹部に係合する位置決め突起を有し、
前記位置決め突起は、前記本体ギヤから前記第1ギヤにかかる力の向きに投影したときに、前記位置決め凹部の底に重なることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記位置決め突起は、前記金属ピンであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記定着装置は、
前記第1定着部材および前記第2定着部材のうち一方の部材を他方の部材に向けて付勢するバネと、
前記一方の部材を前記バネの付勢力に抗して移動させるカムと、
前記カムと一体に回動するカムギヤと、を備え、
前記本体筐体は、
前記カムギヤに噛み合うカム駆動ギヤを備え、
前記カム駆動ギヤは、前記カムギヤを挟んで前記ローラギヤとは反対側に位置することを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第2ギヤは、前記サイドフレームと前記第1ギヤの間に位置することを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記第2ギヤは、
前記第1ギヤと対面する第1面と、
前記第1面から突出する凸部と、を有し、
前記第1ギヤは、
前記第2ギヤと対面する第2面と、
前記第2面とは反対側の第3面と、
前記凸部と係合する第1凹部であって、前記第2面から前記第3面に向けて凹む第1凹部と、
前記第3面から前記第2面に向けて凹む第2凹部と、を有し、
前記第2凹部は、前記第1ギヤの周方向において、前記第1凹部とは異なる位置に位置することを特徴とする請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記凸部の高さは、前記第1凹部の深さよりも大きいことを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記第2ギヤは、前記筒状部を有していることを特徴とする請求項11から請求項17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記第2ギヤの硬度は、前記第1ギヤの硬度より大きく、
前記ローラギヤの硬度は、前記第2ギヤの硬度以上であることを特徴とする請求項11から請求項18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記第1ギヤ、前記第2ギヤおよび前記ローラギヤは、それぞれ材質が異なることを特徴とする請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記本体ギヤおよび前記第1ギヤは、はすば歯車であることを特徴とする請求項11から請求項20のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記第2ギヤおよび前記ローラギヤは、平歯車であることを特徴とする請求項11から請求項21のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記第2定着部材は、
ベルトと、
前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む上流パッドと、
前記上流パッドに対してシートの搬送方向の下流側に配置され、前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む下流パッドと、
前記上流パッドおよび前記下流パッドを支持する支持部材と、を備えることを特徴とする請求項11から請求項22のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに現像剤像を定着させる定着装置と、当該定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、本体筐体と、本体筐体内に収容される定着装置と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、本体筐体は、定着装置を駆動するモータと、モータからの駆動力が伝達される駆動ギヤと、駆動ギヤと噛み合うアイドルギヤと、アイドルギヤを回転可能に支持する金属ピンと、金属ピンが固定されるフレームとを備えている。また、定着装置は、加熱ローラと、加熱ローラの端部に固定される加熱ローラギヤであって、アイドルギヤと噛み合う加熱ローラギヤと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来とは異なる構成として、アイドルギヤを定着装置に設ける構成が考えられる。
【0005】
しかしながら、この場合、アイドルギヤを定着装置のフレームに固定した金属ピンで軸支させる必要があるので、加熱ローラで発生した熱が金属ピンを介してアイドルギヤに伝達され、アイドルギヤの溶融による異音が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、定着装置において、金属ピンで支持するギヤが、金属ピンから伝わる熱で溶融するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、ローラを有する第1定着部材と、前記第1定着部材との間でニップ部を形成する第2定着部材と、画像形成装置に設けられる本体ギヤから駆動力を受ける第1ギヤと、前記第1ギヤの回転中心を中心にして前記第1ギヤとともに回転する第2ギヤと、前記第2ギヤに噛み合い、且つ、前記ローラと一体に回転するローラギヤと、前記第1ギヤおよび前記第2ギヤを回転可能に支持する金属ピンと、前記ローラおよび前記金属ピンを支持するサイドフレームと、前記金属ピンの周囲に設けられる筒状部と、を備える。
前記第2ギヤおよび前記筒状部の融点は、前記第1ギヤの融点よりも高い。
前記第1ギヤは、前記筒状部を介して前記金属ピンに支持される。
【0008】
この構成によれば、第1ギヤを、融点の高い筒状部を介して金属ピンで支持するので、金属ピンから伝わる熱によって第1ギヤが溶融するのを抑制することができる。
【0009】
また、前記第2ギヤは、前記サイドフレームと前記第1ギヤの間に位置していてもよい。
【0010】
これによれば、融点の高い第2ギヤがサイドフレームと第1ギヤの間に位置するので、サイドフレームの熱が第1ギヤに伝わるのを第2ギヤによって遮ることができる。
【0011】
また、前記第2ギヤは、前記第1ギヤと対面する第1面と、前記第1面から突出する凸部と、を有し、前記第1ギヤは、前記第2ギヤと対面する第2面と、前記第2面とは反対側の第3面と、前記凸部と係合する第1凹部であって、前記第2面から前記第3面に向けて凹む第1凹部と、前記第3面から前記第2面に向けて凹む第2凹部と、を有し、前記第2凹部は、前記第1ギヤの周方向において、前記第1凹部とは異なる位置に位置していてもよい。
【0012】
これによれば、第2凹部と第1凹部の周方向の位置が異なるので、第2凹部および第1凹部の深さを大きくすることができる。
【0013】
また、前記凸部の高さは、前記第1凹部の深さよりも大きくてもよい。
【0014】
これによれば、凸部を第1凹部に係合させたときに、第1ギヤと第2ギヤの間に隙間ができるので、第1ギヤに噛み合う本体ギヤが、第2ギヤと干渉するのを抑制することができる。また、第1ギヤと第2ギヤの間に隙間を作ることで、各ギヤの表面のうち空気に触れる部分の面積を大きくすることができるので、放熱性を高くすることができる。
【0015】
また、前記第2ギヤは、前記筒状部を有していてもよい。
【0016】
これによれば、例えば第2ギヤと筒状部とがそれぞれ別部材である形態に比べ、部品点数を削減することができる。
【0017】
また、前記第2ギヤの硬度は、前記第1ギヤの硬度より大きく、前記ローラギヤの硬度は、前記第2ギヤの硬度以上であってもよい。
【0018】
また、前記第1ギヤ、前記第2ギヤおよび前記ローラギヤは、それぞれ材質が異なっていてもよい。
【0019】
また、前記第1ギヤは、はすば歯車であってもよい。
【0020】
これによれば、本体ギヤとの歯当たりが分散されるので、静音性を向上させることができる。
【0021】
また、前記第2ギヤおよび前記ローラギヤは、平歯車であってもよい。
【0022】
これによれば、第2ギヤからローラギヤにスラスト力がかかるのを抑制することができるので、ローラが軸方向に移動するのを抑制することができる。
【0023】
また、前記第2定着部材は、ベルトと、前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む上流パッドと、前記上流パッドに対してシートの搬送方向の下流側に配置され、前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む下流パッドと、前記上流パッドおよび前記下流パッドを支持する支持部材と、を備えていてもよい。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記定着装置を備える他、シートに現像剤像を形成する現像剤像形成部と、前記現像剤像形成部および前記定着装置を収容する本体筐体と、前記本体筐体に設けられ、前記定着装置に駆動力を付与する本体ギヤと、を備える。
【0025】
この構成によれば、前記定着装置による効果と同様に、第1ギヤを、融点の高い筒状部を介して金属ピンで支持するので、金属ピンから伝わる熱によって第1ギヤが溶融するのを抑制することができる。
【0026】
また、前記本体筐体は、前記定着装置を位置決めするための位置決め凹部を有するフレームを備え、前記定着装置は、前記位置決め凹部に係合する位置決め突起を有し、前記位置決め突起は、前記本体ギヤから前記第1ギヤにかかる力の向きに投影したときに、前記位置決め凹部の底に重なってもよい。
【0027】
これによれば、定着装置の駆動時において本体ギヤから第1ギヤに力が加わると、位置決め突起が位置決め凹部の底に押し付けられるので、定着装置の駆動時に定着装置の位置がずれるのを抑制することができる。
【0028】
また、前記位置決め突起は、前記金属ピンであってもよい。
【0029】
これによれば、第1ギヤおよび第2ギヤを支持する金属ピンを位置決め突起として利用するので、例えば金属ピンとは別に位置決め突起を設ける形態と比べ、コストを低減することができる。
【0030】
また、前記定着装置は、前記第1定着部材および前記第2定着部材のうち一方の部材を他方の部材に向けて付勢するバネと、前記一方の部材を前記バネの付勢力に抗して移動させるカムと、前記カムと一体に回動するカムギヤと、を備え、前記本体筐体は、前記カムギヤに噛み合うカム駆動ギヤを備え、前記カム駆動ギヤは、前記カムギヤを挟んで前記ローラギヤとは反対側に位置していてもよい。
【0031】
これによれば、ローラからローラギヤに伝達された熱が、カム駆動ギヤに伝達されるのを抑制することができる。
【0032】
また、前記本体ギヤおよび前記第1ギヤは、はすば歯車であってもよい。
【0033】
これによれば、本体ギヤと第1ギヤとの歯当たりが分散されるので、静音性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、定着装置において、金属ピンで支持する第1ギヤが、金属ピンから伝わる熱で溶融するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
【
図3】ベルトの内側に配置される各部材を示す分解斜視図である。
【
図4】ニップ圧が第1ニップ圧であるときの、圧力変更機構を示す断面図(a)と、ニップ部周りの構造を示す断面図(b)である。
【
図5】定着装置に設けられるギヤと本体筐体のフレームを示す図である。
【
図6】第1ギヤおよび第2ギヤ周りの構造を示す斜視図である。
【
図7】第2ギヤを示す斜視図(a)と、第1ギヤを示す斜視図(b)と、第1ギヤと第2ギヤを組み付けた状態を示す図(c)である。
【
図8】第1ギヤおよび第2ギヤ周りの構造を示す断面図である。
【
図9】第1ギヤおよび第2ギヤを示す側面図(a)と、
図9(a)のI-I断面図(b)である。
【
図10】本体ギヤから第1ギヤにかかる力の方向を示す図(a)と、金属ピンを荷重方向に投影した図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、実施形態に係る定着装置8は、レーザプリンタなどの画像形成装置1で使用される。画像形成装置1は、本体筐体2と、シート供給部3と、露光装置4と、現像剤像形成部5と、定着装置8とを備えている。本体筐体2は、シート供給部3、露光装置4、現像剤像形成部5および定着装置8を収容している。
【0037】
シート供給部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、紙などのシートSが収容されるシートトレイ31と、シート供給機構32とを備えている。シートトレイ31内のシートSは、シート供給機構32により現像剤像形成部5に供給される。
【0038】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しない光源装置、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光装置4は、光源装置から出射される画像データに基づく光ビーム(一点鎖線参照)を感光体ドラム61の表面で高速走査することで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0039】
現像剤像形成部5は、露光装置4の下方に配置されている。現像剤像形成部5は、プロセスカートリッジとして構成され、本体筐体2の前部に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能となっている。現像剤像形成部5は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63と、現像ローラ64と、供給ローラ65と、乾式トナーからなる現像剤を収容する現像剤収容部66とを備えている。
【0040】
現像剤像形成部5は、帯電器62により感光体ドラム61の表面を一様に帯電する。その後、感光体ドラム61は、露光装置4からの光ビームにより表面が露光されることで、表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、現像剤像形成部5は、現像剤収容部66内の現像剤を、供給ローラ65を介して現像ローラ64に供給する。
【0041】
そして、現像剤像形成部5は、現像ローラ64上の現像剤を感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給する。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上に現像剤像が形成される。その後、現像剤像形成部5は、シート供給部3から供給されたシートSを感光体ドラム61と転写ローラ63との間で搬送することにより感光体ドラム61上の現像剤像をシートSに転写(形成)する。
【0042】
定着装置8は、現像剤像形成部5の後方に配置されている。定着装置8の詳細については後述する。定着装置8は、現像剤像が転写されたシートSを通過させることにより現像剤像をシートSに熱定着する。画像形成装置1は、現像剤像が熱定着されたシートSを、搬送ローラ23と排出ローラ24により排出トレイ22上に排出する。
【0043】
図2に示すように、定着装置8は、ヒータ110と、第1定着部材81と、第2定着部材82と、後述する圧力変更機構300(
図4参照)とを備えている。第2定着部材82は、後述する圧力変更機構300によって第1定着部材81に向けて付勢されている。なお、以下の説明では、第2定着部材82を第1定着部材81に付勢する方向を、「所定方向」と称する。本実施形態では、所定方向は、後述する幅方向および移動方向と直交する方向であり、第1定着部材81と第2定着部材82が向かい合う方向である。
【0044】
第1定着部材81は、回転可能なローラ120を有する。第2定着部材82は、第1定着部材81との間でニップ部NPを形成する部材である。第2定着部材82は、ベルト130と、ニップ形成部材Nと、支持部材の一例としてのホルダ140およびステイ200と、ベルトガイドGと、摺動シート150とを備えている。なお、以下の説明では、ベルト130の幅方向を単に「幅方向」という。幅方向は、ローラ120の回転軸線が延びる方向、つまりローラ120の軸方向である。幅方向は、所定方向に直交している。
【0045】
ヒータ110は、ハロゲンランプであり、通電によって発光するとともに発熱し、輻射熱によってローラ120を加熱する。ヒータ110は、ローラ120の回転軸線に沿ってローラ120の内側を通るように配置されている。
【0046】
ローラ120は、幅方向に長い筒状のローラであり、ヒータ110によって加熱される。ローラ120は、金属などからなる素管121と、素管121の外周面を覆う弾性層122とを有している。弾性層122は、シリコンゴムなどのゴムからなる。ローラ120は、後述するサイドフレーム83(
図4参照)に回転可能に支持されており、本体筐体2内に設けられた定着モータ(図示略)から駆動力が入力されることで
図2の反時計回りに回転駆動する。
【0047】
ベルト130は、長尺筒状の部材であり、可撓性を有している。図示は省略するが、ベルト130は、金属や樹脂などからなる基材と、基材の外周面を覆う離型層とを有している。ベルト130は、ローラ120が回転したときにローラ120またはシートSとの摩擦によって
図2の時計回りに従動回転する。ベルト130の内周面131には、グリスなどの潤滑剤が付けられている。ベルト130の内側には、ニップ形成部材N、ホルダ140、ステイ200、ベルトガイドGおよび摺動シート150が配置されている。
【0048】
つまり、ニップ形成部材N、ホルダ140、ステイ200、ベルトガイドGおよび摺動シート150は、ベルト130に覆われている。
【0049】
図2および
図3に示すように、ニップ形成部材Nは、ローラ120との間でベルト130を挟んでニップ部NPを形成する部材である。ニップ形成部材Nは、上流ニップ形成部材N1と、下流ニップ形成部材N2とを備えている。
【0050】
上流ニップ形成部材N1は、上流パッドP1と、上流固定板B1とを有している。
上流パッドP1は、直方体状の部材である。上流パッドP1は、シリコンゴムなどのゴムからなる。上流パッドP1は、ローラ120との間でベルト130を挟んで上流ニップ部NP1を形成する。
【0051】
なお、以下の説明では、上流ニップ部NP1および後で詳述するニップ部NPにおけるベルト130の移動方向を単に「移動方向」という。なお、本実施形態において、移動方向は、ローラ120の外周面に沿った方向であるが、この方向は、おおよそ所定方向と幅方向に直交する方向に沿った方向であるため、所定方向と幅方向に直交する方向として図示することとする。なお、移動方向は、ニップ部NPでのシートSの搬送方向と同じ方向である。
【0052】
上流パッドP1は、上流固定板B1のローラ120側の面に固定されている。上流固定板B1は、上流パッドP1よりも硬い部材、例えば金属などからなる。
【0053】
下流ニップ形成部材N2は、上流ニップ形成部材N1に対して移動方向の下流側に間隔を空けて配置されている。下流ニップ形成部材N2は、下流パッドP2と、下流固定板B2とを有している。
【0054】
下流パッドP2は、直方体状の部材である。下流パッドP2は、シリコンゴムなどのゴムからなる。下流パッドP2は、ローラ120との間でベルト130を挟んで下流ニップ部NP2を形成する。下流パッドP2は、ベルト130の回転方向において、上流パッドP1から離れている。
【0055】
このため、上流ニップ部NP1と下流ニップ部NP2との間には、第2定着部材82からの圧力が直接作用しない中間ニップ部NP3が存在する。この中間ニップ部NP3では、ベルト130はローラ120に接触するものの、ローラ120との間でベルト130を挟む部材が存在しないため、圧力はほとんど加わらない。従って、シートSは、ローラ120によって加熱されつつ、ほぼ加圧されることなく中間ニップ部NP3を通過する。本実施形態では、上流ニップ部NP1の上流端から下流ニップ部NP2の下流端までの領域、即ち、ベルト130の外周面とローラ120とが接触する全ての領域をニップ部NPと称する。つまり、本実施形態では、ニップ部NPは、上流パッドP1および下流パッドP2からの押圧力が加わらない部分を含む。
【0056】
下流パッドP2は、下流固定板B2のローラ120側の面に固定されている。下流固定板B2は、下流パッドP2よりも硬い部材、例えば金属などからなる。
【0057】
なお、上流パッドP1の硬さは、ローラ120の弾性層122の硬さよりも大きい。また、下流パッドP2の硬さは、上流パッドP1の硬さよりも大きい。
【0058】
ここで、硬さとは、ISO7619-1に規定されているデュロメータ硬さのことである。デュロメータ硬さは、規定した条件下で試験片に規定の押針を押し込んだときの押針の押込み深さから得られる値である。例えば、弾性層122のデュロメータ硬さが5の場合、上流パッドP1のデュロメータ硬さは6~10、下流パッドP2のデュロメータ硬さは70~90であることが好ましい。
【0059】
ホルダ140は、ニップ形成部材Nを保持する部材である。ホルダ140は、耐熱性を有する樹脂などからなる。ホルダ140は、ホルダ本体141と、2つの係合部142,143とを有している。
【0060】
ホルダ本体141は、ニップ形成部材Nを保持する部位である。ホルダ本体141の大部分は、幅方向において、ベルト130の範囲内に配置されている。ホルダ本体141は、ステイ200で支持されている。
【0061】
各係合部142,143は、ホルダ本体141の幅方向の各端部から延出している。各係合部142,143は、幅方向において、ベルト130の範囲外に配置されている。各係合部142,143は、後述する第1ステイ210の幅方向の各端部に係合する。
【0062】
ステイ200は、ホルダ140に対してニップ形成部材Nと反対側に位置してホルダ140を支持する部材である。ステイ200は、第1ステイ210と、連結部材CMによって第1ステイ210に連結される第2ステイ220とを備えている。
【0063】
第1ステイ210は、ホルダ140のホルダ本体141を支持する部材である。第1ステイ210は、金属などからなる。第1ステイ210は、ベース部211と、ヘミング加工により曲げられたヘミング曲げ部HBとを有している。
【0064】
ベース部211は、ホルダ140側の一端部に、ホルダ140のホルダ本体141に接触する接触面Ftを有している。接触面Ftは、所定方向と垂直な平面である。
【0065】
ベース部211は、幅方向の両端部に、後述する圧力変更機構300(
図4参照)から力を受ける荷重入力部211Aをそれぞれ有している。荷重入力部211Aは、所定方向においてニップ形成部材Nとは反対側に開口する凹部であり、所定方向においてベース部211のニップ形成部材Nとは反対側の端部に形成されている。
【0066】
荷重入力部211Aには、樹脂などからなる緩衝部材BFが取り付けられている。緩衝部材BFは、金属製のベース部211と、後述する金属製のアーム310(
図4参照)とが擦れ合うのを抑制するための部材である。緩衝部材BFは、荷重入力部211Aに嵌合する嵌合部BF1と、ベース部211の幅方向の端部に対して移動方向の上流側と下流側に配置される一対の脚部BF2とを有している。
【0067】
ベルトガイドGは、ベルト130の内周面131をガイドする部材である。ベルトガイドGは、耐熱性を有する樹脂などからなる。ベルトガイドGは、上流ガイドG1と、下流ガイドG2とを有している。
【0068】
摺動シート150は、各パッドP1,P2とベルト130との摩擦抵抗を低減するための矩形のシートである。摺動シート150は、ニップ部NPにおいて、ベルト130の内周面131と各パッドP1,P2との間で挟まれている。摺動シート150は、弾性変形可能な材料からなる。なお、摺動シート150の材料は、どのようなものであってもよいが、本実施形態では、ポリイミドを含有した樹脂シートを採用している。
【0069】
図2に示すように、上流ガイドG1、下流ガイドG2および第1ステイ210は、ネジSCによって共締めされている。
【0070】
図4(a)に示すように、定着装置8は、フレームFLと、圧力変更機構300とをさらに備えている。フレームFLは、第1定着部材81および第2定着部材82を支持するフレームであり、金属などからなる。フレームFLは、第1定着部材81および第2定着部材82に対して幅方向の両側に配置されるサイドフレーム83と、各サイドフレーム83に接続される接続フレーム(図示略)とを備えている。
【0071】
サイドフレーム83は、第1定着部材81および第2定着部材82を支持するフレームである。詳しくは、サイドフレーム83は、ローラ120を回転可能に支持している。また、サイドフレーム83は、第2定着部材82を所定方向に移動可能に支持している。サイドフレーム83は、後述する第1バネ320の一端部と係合するバネ係合部83Aを有している。
【0072】
圧力変更機構300は、ニップ部NPのニップ圧を変更する機構である。圧力変更機構300は、アーム310と、バネの一例としての第1バネ320と、第2バネ330と、カム340とを備えている。アーム310、第1バネ320、第2バネ330およびカム340は、フレームFLの幅方向の一端側と他端側にそれぞれ設けられている。
【0073】
アーム310は、緩衝部材BFを介して第1ステイ210を押圧するための部材である。アーム310は、第2定着部材82を支持するとともに、サイドフレーム83に回動可能に支持されている。
【0074】
アーム310は、アーム本体311と、カムフォロア350とを有している。アーム本体311は、金属などからなるL形状の板状部材である。
【0075】
アーム本体311は、サイドフレーム83に回動可能に支持される一端部311Aと、第1バネ320が連結される他端部311Bと、第2定着部材82を支持する係合穴311Cとを有している。係合穴311Cは、一端部311Aと他端部311Bの間に配置され、緩衝部材BFと係合している。
【0076】
また、アーム本体311は、カム340に向けて延びるガイド突起312をさらに有している。ガイド突起312は、他端部311Bから係合穴311Cに向かう方向において、他端部311Bと係合穴311Cの間に配置されている。
【0077】
カムフォロア350は、アーム本体311のガイド突起312に対して移動可能に取り付けられており、カム340に接触可能となっている。カムフォロア350は、樹脂などからなり、ガイド突起312に嵌合される筒状部351と、筒状部351の一端に設けられる接触部352と、筒状部351の他端に設けられるフランジ部353とを有している。
【0078】
筒状部351は、ガイド突起312によって、当該ガイド突起312の延びる方向に移動可能に支持されている。接触部352は、筒状部351のカム340側の端部の開口を塞ぐ壁であり、カム340とガイド突起312の先端の間に配置されている。フランジ部353は、筒状部351の他端から、カムフォロア350の移動方向に直交する方向に突出している。
【0079】
そして、筒状部351とアーム本体311の間には、第2バネ330が配置されている。これにより、アーム本体311は、第1バネ320によって付勢されるとともに、第2バネ330によって付勢可能となっている。
【0080】
第1バネ320は、第2定着部材82に対して第1付勢力を付与するバネである。詳しくは、第1バネ320は、アーム本体311を介して第2定着部材82に対して第1付勢力を付与している。つまり、第1バネ320は、第2定着部材82を第1定着部材81に向けて付勢している。
【0081】
より詳しくは、第1バネ320は、アーム本体311、緩衝部材BF、第1ステイ210およびホルダ140を介して、上流パッドP1および下流パッドP2をローラ120に向けて付勢している。第1バネ320は、金属などからなる引張コイルバネであり、一端がサイドフレーム83のバネ係合部83Aに連結され、他端がアーム本体311の他端部311Bに連結されている。
【0082】
第2バネ330は、第2定着部材82に対して第1付勢力とは逆向きの第2付勢力を付与可能なバネである。詳しくは、第2バネ330は、アーム本体311を介して第2定着部材82に対して第2付勢力を付与可能となっている。第2バネ330は、金属などからなる圧縮コイルバネであり、圧縮コイルバネで囲まれる空間内にガイド突起312が挿入された状態で、筒状部351とアーム本体311の間に配置されている。
【0083】
カム340は、第2定着部材82を第1バネ320の付勢力に抗して移動させる部材である。また、カム340は、第2バネ330の伸縮状態を、第2付勢力が第2定着部材82に対して付与されない第1伸縮状態と、第2付勢力が第2定着部材82に対して付与される第2伸縮状態と、第2伸縮状態よりも変形した第3伸縮状態とに変更可能とする。カム340は、
図4(a)に示す第1カム位置と、第1カム位置よりも図示時計回りに約90度回動した位置である中間カム位置(図示略)と、中間カム位置よりも図示時計回りに約180度回動した位置である第2カム位置(図示略)との間で回動可能となるように、サイドフレーム83に支持されている。
【0084】
カム340は、樹脂などからなり、第1部位341と、第2部位342と、第3部位343とを有している。第1部位341、第2部位342および第3部位343は、カム340の外周面上に位置している。
【0085】
第1部位341は、カム340が第1カム位置に位置するときに、カムフォロア350に最も近い部位である。カム340が第1カム位置に位置するときに、第1部位341は、カムフォロア350から離れている。
【0086】
第2部位342は、カム340が中間カム位置に位置するときに、カムフォロア350に接触する部位である。より詳しくは、第2部位342は、カム340が第1カム位置から図示時計回りに約90度回動した際にカムフォロア350と接触する部位である。第2部位342からカム340の回動中心までの距離は、第1部位341からカム340の回動中心までの距離よりも大きい。
【0087】
第3部位343は、カム340が第2カム位置に位置するときに、カムフォロア350に接触する部位である。より詳しくは、第3部位343は、カム340が第1カム位置から図示時計回りに約270度回動した際、言い換えると、中間カム位置から図示時計回りに約180度回動した際に、カムフォロア350と接触する部位である。第3部位343からカム340の回動中心までの距離は、第2部位342からカム340の回動中心までの距離よりも大きい。
【0088】
カム340が第1カム位置に位置するときには、カム340がカムフォロア350から離れていることにより、第2バネ330の伸縮状態は第1伸縮状態となる。このようにカム340が第2バネ330の伸縮状態を第1伸縮状態にしているときには、アーム本体311は、
図4(a)に示す第1姿勢となっている。
【0089】
詳しくは、カム340が第2バネ330の伸縮状態を第1伸縮状態にしているときには、カム340がカムフォロア350から離れているため、第2バネ330の第2付勢力は、アーム本体311を介して第2定着部材82に付与されず、第1バネ320の第1付勢力のみがアーム本体311を介して第2定着部材82に付与されている。このように第1バネ320によって第2定着部材82に対して第1付勢力が付与され、且つ、第2バネ330によって第2定着部材82に対して第2付勢力が付与されていないときには、ニップ圧は、第1ニップ圧、詳しくは最大ニップ圧となる。
【0090】
カム340は、第1カム位置から中間カム位置に回動すると、カムフォロア350と接触して、カムフォロア350をアーム本体311に対して所定量移動させる。これにより、カム340が中間カム位置に位置するときには、第2バネ330の伸縮状態は、第1伸縮状態よりも変形した第2伸縮状態となる。
【0091】
カム340が中間カム位置に位置するときには、カム340でカムフォロア350が支持されるため、第2バネ330の第2付勢力がアーム本体311を介して第2定着部材82に第1付勢力とは逆向きに付与される。そのため、第1バネ320によって第2定着部材82に対して第1付勢力が付与され、且つ、第2バネ330によって第2定着部材82に対して第2付勢力が付与されているときには、ニップ圧が第1ニップ圧よりも小さい中間ニップ圧となる。
【0092】
なお、カム340が第2バネ330の伸縮状態を第2伸縮状態にしているときには、アーム本体311は、前述した第1姿勢のままとなっている。ここで、下流パッドP2は、ローラ120に対して押し付けられている状態、即ち、下流パッドP2に対して荷重が加わっている状態では、その荷重の大小に関わらず、ほぼ変形しない。そして、下流パッドP2がほぼ変形しないため、下流パッドP2を支持するステイ200、さらにはステイ200を支持するアーム310の姿勢も、荷重の大小によらずほぼ一定に保たれる。また、上流パッドP1の位置は、下流パッドP2の位置で決まるため、下流パッドP2がほぼ変形せず、その位置も変形しない状態では、上流パッドP1の位置も変わらない。従って、強ニップ(第1ニップ圧)と弱ニップ(中間ニップ圧)では、どちらの場合でも全ニップ幅(上流ニップ部NP1の入口から下流ニップ部NP2の出口までの長さ)は変わらず、アーム310の姿勢もほぼ一定に保たれる。
なお、下流パッドP2が変形しない理由は、下流パッドP2の硬度が上流パッドP1およびローラ120の弾性層122の硬度よりも十分に高いためである。より詳しくは、下流パッドP2は、下流ニップ部NP2で要求される最大ニップ圧(強ニップ時の下流ニップ圧)から最小ニップ圧(弱ニップ時の下流ニップ圧)までの範囲に収まるニップ圧ではほぼ変形しない程度の硬度を有しているためである。
言い換えると、下流ニップで要求される最大ニップ圧と最小ニップ圧は、下流パッドP2がほぼ変形しない程度の大きさに設定されている。
ここで、「下流パッドP2がほぼ変形しない」とは下流パッドP2によって形成される下流ニップ部NP2のニップ幅(ベルト移動方向のニップの長さ及び位置)の変形量が、画質や用紙の搬送に影響を及ぼさない程度に、下流パッドP2が変形することを含む(下流ニップ幅の変形量がゼロではない)。
【0093】
このように第2バネ330の伸縮状態が第1伸縮状態および第2伸縮状態のいずれの状態であっても、アーム本体311の姿勢が第1姿勢となるため、ニップ圧が第1ニップ圧であるときと中間ニップ圧であるときの両方の状態において、上流パッドP1および下流パッドP2は、ローラ120との間でベルト130を挟んでいる。詳しくは、各状態において、ローラ120に対する第2定着部材82の位置が略同じ位置であるため、各状態でのニップ部NPの幅(移動方向の長さ)が略同じ大きさとなっている。
【0094】
ここで、第1ニップ圧または中間ニップ圧は、印字時、詳しくはシートSにトナー像を定着させる際に設定されるニップ圧である。例えば、シートSの厚さが第1厚さである場合に第1ニップ圧が設定され、シートSの厚さが第1厚さよりも大きい第2厚さである場合に中間ニップ圧が設定される。
【0095】
カム340は、中間カム位置から第2カム位置に回動する場合には、カムフォロア350をアーム本体311に対してさらに移動させた後、カムフォロア350を介してアーム本体311を押圧する。これにより、第2バネ330の伸縮状態が第2伸縮状態よりも変形した第3伸縮状態となるとともに、アーム本体311が第1姿勢から当該第1姿勢と異なる第2姿勢に回動する。
【0096】
詳しくは、カム340を中間カム位置から第2カム位置に回動させていく過程における最初の段階では、カムフォロア350の接触部352がガイド突起312の先端に近づくように、カムフォロア350がアーム本体311に対して移動する。接触部352がガイド突起312の先端に接触すると、第2バネ330の伸縮状態が第3伸縮状態となる。このようにカム340が第2バネ330の伸縮状態を第3伸縮状態にしているときには、カムフォロア350の一部である接触部352がカム340とガイド突起312の間に挟まれる。言い換えると、接触部352はカム340に接触するとともに、ガイド突起312とも接触する。その後、カム340をさらに回動させると、カム340が接触部352を介してガイド突起312を押圧するので、アーム本体311が第1バネ320の付勢力に抗して第1姿勢から第2姿勢に回動する。
【0097】
これにより、アーム本体311が第2姿勢であるときには、第2定着部材82は、アーム本体311が第1姿勢であるときの位置(
図4(b)の位置)よりもローラ120から離れた位置に配置される。以下の説明では、アーム本体311が第1姿勢であるときの第2定着部材82の位置を、「ニップ位置」とも称し、アーム本体311が第2姿勢であるときの第2定着部材82の位置を、「ニップリリース位置」とも称する。
【0098】
このように第2定着部材82のローラ120に対する位置が変わることで、アーム本体311が第2姿勢であるときには、ニップ部NPの幅が第1姿勢のときよりも小さくなるとともに、ニップ圧が中間ニップ圧よりも小さな第2ニップ圧、詳しくは最小ニップ圧となる。つまり、カム340によってアーム310の姿勢が変わるため、ニップ圧及びニップ幅が変わるようになっている。詳しくは、アーム310が第2姿勢であるときには、上流パッドP1とローラ120との間でのみベルト130が挟まれ、下流パッドP2とローラ120との間ではベルト130が挟まれないようになっている。これにより、アーム310が第2姿勢であるときには、上流ニップ圧と上流ニップ幅が小さくなり、下流ニップ圧は無くなる。
【0099】
ここで、第2ニップ圧は、印字を行っていない非印字時、詳しくは、定着モータ(図示略)が停止している際に設定されるニップ圧である。
【0100】
なお、本実施形態では、ニップ圧が第2ニップ圧であるときにおいて、上流パッドP1がローラ120との間でベルト130を挟んでいるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ニップ圧が第2ニップ圧であるときにおいて、上流パッドP1がローラ120との間でベルト130を挟まなくてもよい。なお、この場合、第2ニップ圧は0となる。
【0101】
図5に示すように、定着装置8は、第1ギヤG10と、第2ギヤG20と、ローラギヤG30と、カムギヤG40と、金属ピンMPとをさらに備えている。本体筐体2は、本体フレーム26と、定着装置8のローラ120に駆動力を付与する本体ギヤGAと、定着装置8のカム340に駆動力を付与するカム駆動ギヤGBとを備えている。
【0102】
第1ギヤG10、第2ギヤG20およびローラギヤG30は、それぞれ材質の異なる樹脂からなっている。詳しくは、第2ギヤG20は、融点が第1ギヤG10の融点よりも高く、且つ、硬度が第1ギヤG10の硬度より大きな材料からなっている。また、ローラギヤG30は、硬度が第2ギヤG20の硬度以上となる材料からなっている。また、本体ギヤGAは、硬度が第1ギヤG10の硬度以上となる材料からなっている。
【0103】
具体的に、第1ギヤG10および本体ギヤGAは、例えばPOM(PolyOxyMethylene)からなる。第2ギヤG20は、例えばPBT(Polybutylene terephthalate)からなる。ローラギヤG30は、例えばPPS(Poly Phenylene Sulfide)からなる。
【0104】
第1ギヤG10、第2ギヤG20、ローラギヤG30およびカムギヤG40は、サイドフレーム83の外面に配置されている。第1ギヤG10は、本体ギヤGAから駆動力を受けるギヤである。第1ギヤG10は、定着装置8が本体筐体2に取り付けられた状態において、本体ギヤGAと噛み合っている。
【0105】
第2ギヤG20は、第1ギヤG10の回転中心を中心にして第1ギヤG10とともに回転するギヤである。第2ギヤG20は、ローラギヤG30と噛み合っている。
【0106】
ローラギヤG30は、ローラ120と一体に回転するギヤである。ローラギヤG30は、ローラ120の幅方向の端部に一体に設けられている。
【0107】
カムギヤG40は、カム340と一体に回動するギヤである。カムギヤG40とカム340は、シャフトSFによって連結され、シャフトSFを中心にして回動する。カムギヤG40は、定着装置8が本体筐体2に取り付けられた状態において、カム駆動ギヤGBと噛み合っている。
【0108】
金属ピンMPは、サイドフレーム83で支持されている。詳しくは、金属ピンMPは、金属製のサイドフレーム83にかしめによって固定されている(
図8参照)。金属ピンMPは、第1ギヤG10および第2ギヤG20を回転可能に支持している。
【0109】
本体フレーム26は、定着装置8を位置決めするための位置決め凹部27を有している。定着装置8の金属ピンMPは、位置決め凹部27に係合する位置決め突起となっている。金属ピンMPを本体ギヤGAから第1ギヤG10にかかる力の向き(
図10(a)に示す荷重方向PW参照)に投影したときに、金属ピンMPが位置決め凹部27の底27Aに重なるように、各部材が構成されている(
図10(b)の投影線X参照)。詳しくは、投影した金属ピンMPが底27Aに重なるように、位置決め凹部27の向きと、第1ギヤG10および金属ピンMPの位置が設定されている。
【0110】
本体ギヤGAおよびカム駆動ギヤGBは、本体筐体2に設けられるモータ(図示略)から駆動力を受けるギヤである。なお、本体ギヤGAおよびカム駆動ギヤGBを駆動するためのモータは、共通のモータであってもよいし、別々のモータであってもよい。
【0111】
カム駆動ギヤGBは、定着装置8が本体筐体2に取り付けられた状態において、カムギヤG40を挟んでローラギヤG30とは反対側に位置している。
【0112】
図6に示すように、第1ギヤG10および第2ギヤG20は、金属ピンMPの軸方向に並んで配置されている。第2ギヤG20(詳しくは、後述する本体部G21)は、軸方向において、サイドフレーム83と第1ギヤG10の間に位置している(
図8も参照)。
【0113】
本体ギヤGAおよび第1ギヤG10は、はすば歯車である。第2ギヤG20およびローラギヤG30は、平歯車である。
【0114】
図7(a),(c)に示すように、第2ギヤG20は、周面にギヤ歯を有する円板状の本体部G21と、本体部G21から突出する筒状部G22および係合凸部G23とを有している。本体部G21は、第1ギヤG10と対面する第1面の一例としての外面G211を有している。本体部G21は、金属ピンMPを通すための孔G212(
図8参照)を有している。
【0115】
筒状部G22および係合凸部G23は、本体部G21の外面G211から突出している。筒状部G22は、第2ギヤG20の回転軸を中心とする円筒状の部位である。筒状部G22内には、金属ピンMPが挿通可能となっている。
図8に示すように、金属ピンMPに第2ギヤG20を取り付けた状態において、筒状部G22は、金属ピンMPの周囲に設けられ、金属ピンMPによって回転可能に支持されている。
【0116】
図7(a)に示すように、係合凸部G23は、凸部の一例であり、第2ギヤG20の径方向において、筒状部G22を挟んで1つずつ設けられている。係合凸部G23は、断面視扇形に形成されている。係合凸部G23の外面G211からの突出量は、筒状部G22の外面G211からの突出量よりも小さい。
【0117】
図7(b),(c)に示すように、第1ギヤG10は、第2面の一例としての内側面G11と、第3面の一例としての外側面G12と、第1凹部の一例としての係合凹部G13と、第2凹部の一例としての放熱用凹部G14と、貫通孔G15とを有している。内側面G11は、第2ギヤG20の外面G211と対面する面である。外側面G12は、内側面G11とは反対側の面である。
【0118】
係合凹部G13は、係合凸部G23と係合する凹部である。係合凹部G13は、内側面G11に形成されている。詳しくは、係合凹部G13は、内側面G11から外側面G12に向けて凹んでいる。係合凹部G13は、第1ギヤG10の径方向において、貫通孔G15を挟んで1つずつ設けられている。係合凹部G13は、係合凸部G23と対応した形状、詳しくは断面視扇形に形成されている。
【0119】
係合凹部G13の深さは、係合凸部G23の高さよりも小さい。言い換えると、第1ギヤG10の軸方向において、係合凹部G13の寸法は、係合凸部G23の寸法よりも小さい。これにより、係合凸部G23が係合凹部G13の底に接触した状態においては、第1ギヤG10の内側面G11と第2ギヤG20の外面G211との間に隙間ができるようになっている(
図8も参照)。
【0120】
放熱用凹部G14は、第1ギヤG10の表面積を大きくして第1ギヤG10の放熱性を高くするための凹部である。放熱用凹部G14は、外側面G12に形成されている。詳しくは、放熱用凹部G14は、外側面G12から内側面G11に向けて凹んでいる。放熱用凹部G14は、第1ギヤG10の回転軸を中心とする円弧状に形成されている。放熱用凹部G14は、第1ギヤG10の径方向において、貫通孔G15を挟んで2つずつ設けられている。
【0121】
図9(a),(b)に示すように、各放熱用凹部G14は、第1ギヤG10の周方向において、各係合凹部G13とは異なる位置に位置している。詳しくは、周方向に近接する2つの放熱用凹部G14は、周方向において、2つの係合凹部G13の間に位置している。これにより、係合凹部G13および放熱用凹部G14の深さを、それぞれ第1ギヤG10の厚さの半分以上の大きさにすることが可能となっている。
【0122】
図7(b)に示すように、貫通孔G15は、第1ギヤG10の回転軸を中心とする円状の孔である。貫通孔G15は、第1ギヤG10を軸方向に貫通している。
図7(c)に示すように、貫通孔G15には、第2ギヤG20の筒状部G22が挿入される。係合凸部G23が係合凹部G13の底に接触した状態においては、筒状部G22が第1ギヤG10の外側面G12から突出している。
【0123】
以上のように第1ギヤG10および第2ギヤG20が構成されることで、
図8に示すように、第1ギヤG10は、第2ギヤG20の筒状部G22を介して金属ピンMPに支持されている。ここで、第2ギヤG20に一体に設けられる筒状部G22は、第1ギヤG10よりも融点が高い。そのため、金属ピンMPの熱が、第1ギヤG10に伝わることが、筒状部G22によって抑制されている。
【0124】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の作用効果について説明する。
図10(a)に示すように、図示せぬモータから本体ギヤGAに駆動力が伝達されると、本体ギヤGAが図示時計回りに回転して、本体ギヤGAから第1ギヤG10に対して、図示右斜め上方向を向く荷重方向PWに力が加わる。これにより、金属ピンMPが本体筐体2の位置決め凹部27の底27Aに押し付けられるので、定着装置8の駆動時に定着装置8の位置がずれるのを抑制することができる。
【0125】
定着装置8が稼働すると、
図8に示すように、定着装置8内の熱がサイドフレーム83を介して金属ピンMPに伝わる。この際、仮に融点の低い第1ギヤG10が金属ピンMPに直接支持されていると、金属ピンMPの熱が第1ギヤG10に伝わって、第1ギヤG10が溶融するおそれがある。これに対し、本実施形態では、第1ギヤG10が融点の高い筒状部G22を介して金属ピンMPで支持されているので、金属ピンMPの熱が第1ギヤG10に伝わることが筒状部G22によって抑制することができ、第1ギヤG10の溶融を抑制することができる。
【0126】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第1ギヤG10を、融点の高い筒状部G22を介して金属ピンMPで支持するので、金属ピンMPから伝わる熱によって第1ギヤG10が溶融するのを抑制することができる。
【0127】
融点の高い第2ギヤG20の本体部G21がサイドフレーム83と第1ギヤG10の間に位置するので、サイドフレーム83の熱が第1ギヤG10に伝わるのを本体部G21によって遮ることができる。
【0128】
放熱用凹部G14と係合凹部G13の周方向の位置が異なるので、放熱用凹部G14と係合凹部G13の深さを大きくすることができる。
【0129】
係合凸部G23の高さを係合凹部G13の深さよりも大きくすることで、係合凸部G23を係合凹部G13に係合させたときに、第1ギヤG10と第2ギヤG20の本体部G21の間に隙間ができるので、第1ギヤG10に噛み合う本体ギヤGAが、第2ギヤG20と干渉するのを抑制することができる。また、第1ギヤG10と第2ギヤG20の本体部G21の間に隙間を作ることで、各ギヤG10,G20の表面のうち空気に触れる部分の面積を大きくすることができるので、各ギヤG10,G20の放熱性を高くすることができる。
【0130】
第2ギヤG20が筒状部G22を有するので、例えば第2ギヤと筒状部とがそれぞれ別部材である形態に比べ、部品点数を削減することができる。
【0131】
第1ギヤG10および本体ギヤGAをはすば歯車とすることで、第1ギヤG10と本体ギヤGAとの歯当たりが分散されるので、静音性を向上させることができる。
【0132】
第2ギヤG20およびローラギヤG30を平歯車とすることで、第2ギヤG20からローラギヤG30にスラスト力がかかるのを抑制することができるので、ローラ120が軸方向に移動するのを抑制することができる。
【0133】
図10(a),(b)に示すように、金属ピンMPを荷重方向PWに投影したときに金属ピンMPが位置決め凹部27の底27Aに重なるように構成することで、定着装置8の駆動時において本体ギヤGAから第1ギヤG10に力が加わると、金属ピンMPが位置決め凹部27の底27Aに押し付けられるので、定着装置8の駆動時に定着装置8の位置がずれるのを抑制することができる。
【0134】
第1ギヤG10および第2ギヤG20を支持する金属ピンMPを、位置決め凹部27と係合する位置決め突起として利用したので、例えば金属ピンとは別に位置決め突起を設ける形態と比べ、コストを低減することができる。
【0135】
カム駆動ギヤGBをカムギヤG40を挟んでローラギヤG30とは反対側に配置したので、ローラ120からローラギヤG30に伝達された熱が、カム駆動ギヤGBに伝達されるのを抑制することができる。
【0136】
本体ギヤGAの硬度を第1ギヤG10の硬度以上とすることで、本体ギヤGAが摩耗するのを抑制することができるので、本体筐体2の寿命を延ばすことができる。
【0137】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0138】
前記実施形態では、第1バネ320が第2定着部材82を第1定着部材81に向けて付勢する構造を例示したが、本発明はこれに限定されず、バネは、第1定着部材を第2定着部材に向けて付勢してもよい。この場合、カムは、第1定着部材をバネの付勢力に抗して移動させるように構成される。
【0139】
前記実施形態では、圧力変更機構300に第1バネ320および第2バネ330を設けたが、本発明はこれに限定されず、第2バネ330はなくてもよい。この場合、カムフォロア350も必要なく、カム340がアーム本体311を直接押圧するように構成されていればよい。さらに、バネは、アームを介さずに、第1定着部材および第2定着部材の一方を他方に向けて直接付勢してもよい。
【0140】
画像形成装置は、レーザプリンタに限らず、LEDで露光を行うプリンタ、複写機、複合機などであってもよい。
【0141】
前記実施形態では、筒状部G22を第2ギヤG20に一体に形成したが、本発明はこれに限定されず、筒状部は、第2ギヤとは別の部材であってもよい。この場合、第2ギヤが筒状部を介して金属ピンで支持されていてもよい。
【0142】
前記実施形態では、係合凸部G23を第2ギヤG20に設け、係合凹部G13を第1ギヤG10に設けたが、本発明はこれに限定されず、係合凸部を第1ギヤに設け、係合凹部を第2ギヤに設けてもよい。また、第1ギヤに第1係合凸部と第1係合凹部を設け、第2ギヤに、第1係合凸部と係合する第2係合凹部と、第1係合凹部と係合する第2係合凸部を設けてもよい。
【0143】
なお、第1バネおよび第2バネは、前述したコイルバネに限定されず、例えば、トーションバネ、板バネなどであってもよい。
【0144】
前記実施形態では、ヒータ110を利用した定着装置8を例示したが、本発明はこれに限定されず、ヒータを用いない定着装置であってもよい。定着装置は、例えば、ニップ部に光を当てることで現像剤像をシートに定着させる装置であってもよい。
【0145】
前記実施形態では、ヒータとしてハロゲンランプを例示したが、ヒータは、例えばカーボンヒータなどであってもよい。
【0146】
前記実施形態では、上流パッドP1および下流パッドP2をゴムで構成したが、本発明はこれに限定されず、パッドは、例えば、加圧時においても弾性変形しない樹脂や金属などの硬質材料から構成されていてもよい。
【0147】
前記実施形態では、支持部材としてホルダ140およびステイ200を例示したが、本発明はこれに限定されず、支持部材は、例えばホルダのみであってもよいし、ステイのみであってもよい。また、ホルダとステイを一体に構成してもよい。
【0148】
前記実施形態では、現像剤像形成部として、感光体ドラム61、帯電器62などを備える構成としたが、本発明はこれに限定されず、現像剤像形成部は、例えば、ベルト状の感光体、帯電ローラなどを備えていてもよい。
【0149】
前記実施形態では、第1定着部材として、ヒータ110を内蔵した円筒状のローラを例示したが、本発明はこれに限定されない。第1定着部材は、例えば、シャフトと、シャフトの周囲に形成されたゴム層とを有する加圧ローラなどであってもよいし、ヒータによって内周面が加熱される無端状のベルトであってもよい。また、ヒータを第1定着部材の外部に配置し、第1定着部材の外周面を加熱する外部加熱方式や、IH(Induction Heating)方式でもよい。また、第2定着部材にヒータを設け、第2定着部材の外周面に接触する第1定着部材を間接的に加熱してもよい。また、第1定着部材と第2定着部材がそれぞれヒータを内蔵していてもよい。第2定着部材は、シャフトと、シャフトの周囲に形成されたゴム層とを有する加圧ローラなどであってもよい。
【0150】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 画像形成装置
8 定着装置
81 第1定着部材
82 第2定着部材
83 サイドフレーム
120 ローラ
G10 第1ギヤ
G20 第2ギヤ
G22 筒状部
G30 ローラギヤ
GA 本体ギヤ
MP 金属ピン
NP ニップ部