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特許7380216色変換部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置、色変換基板およびインク
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  • 特許-色変換部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置、色変換基板およびインク 図1
  • 特許-色変換部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置、色変換基板およびインク 図2
  • 特許-色変換部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置、色変換基板およびインク 図3
  • 特許-色変換部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置、色変換基板およびインク 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】色変換部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置、色変換基板およびインク
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20231108BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20231108BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231108BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20231108BHJP
   C07F 5/02 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
G02B5/20
H01L33/50
G02F1/13357
C09K11/06 660
C09K11/06
C07F5/02 D
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019549015
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2019034006
(87)【国際公開番号】W WO2020050144
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2018166657
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】境野 裕健
(72)【発明者】
【氏名】市橋 泰宜
(72)【発明者】
【氏名】辻 祐一
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-212554(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164155(WO,A1)
【文献】特開2017-040730(JP,A)
【文献】特開2017-027839(JP,A)
【文献】特開2018-119971(JP,A)
【文献】特開2013-064031(JP,A)
【文献】特表2018-506625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09K 11/06
H01L 33/50
G02F 1/13357
C07F 5/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状色変換材料を含有する支持体を備える色変換部材であって、
前記粒子状色変換材料は、
ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する一般式(1)で表される化合物と第1マトリクス樹脂からなる第1粒子状色変換材料と、
ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する一般式(1)で表される化合物と第2マトリクス樹脂からなる第2粒子状色変換材料と、を含み、
前記第1マトリクス樹脂および第2マトリクス樹脂のSP値をそれぞれSP (cal/cm 0.5 およびSP (cal/cm 0.5 とするとき、SP ≦SP である、色変換部材
【化1】
(XはC-Rであり、Rは、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。R~R、R~Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基から選択され、当該選択された基は隣接置換基との間で縮合環または脂肪族環を形成してもよい。)
【請求項2】
平均粒径が0.010μm以上100μm以下である、請求項1に記載の色変換部材
【請求項3】
前記マトリクス樹脂がアクリル樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位を含む共重合樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂のいずれかである、請求項1または2に記載の色変換部材
【請求項4】
前記支持体の形状がシート状である、請求項1~3のいずれかに記載の色変換部材。
【請求項5】
前記支持体が樹脂からなる、請求項1~4のいずれかに記載の色変換部材。
【請求項6】
前記マトリクス樹脂と前記支持体を形成する樹脂のSP値の差が0.5(cal/cm0.5以上である、請求項に記載の色変換部材。
【請求項7】
前記マトリクス樹脂と前記支持体を形成する樹脂のSP値の差が2.5(cal/cm0.5 以下である、請求項に記載の色変換部材。
【請求項8】
粒子状色変換材料を含有する支持体を備える色変換部材であって、
前記粒子状色変換材料はマトリクス樹脂および一般式(1)で表される少なくとも1種の発光材料を有し、
前記粒子状色変換材料が、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する第1発光材料、および/またはピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する第2発光材料の少なくとも一方を含有し、
前記支持体が樹脂からなり、
前記マトリクス樹脂と前記支持体を形成する樹脂のSP値の差が0.5(cal/cm 0.5 以上2.5(cal/cm 0.5 以下であり、
前記マトリクス樹脂のSP値が前記支持体を形成する樹脂のSP値より大きい、色変換部材。
【化2】
(XはC-R であり、R は、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。R ~R 、R ~R はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基から選択され、当該選択された基は隣接置換基との間で縮合環または脂肪族環を形成してもよい。)
【請求項9】
平均粒径が0.010μm以上100μm以下である、請求項8に記載の色変換部材。
【請求項10】
前記マトリクス樹脂がアクリル樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位を含む共重合樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂のいずれかである、請求項8または9に記載の色変換部材。
【請求項11】
前記支持体の形状がシート状である、請求項8~10のいずれかに記載の色変換部材。
【請求項12】
前記粒子状色変換材料が、
ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する一般式(1)で表される化合物と第1マトリクス樹脂からなる第1粒子状色変換材料と、
ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する一般式(1)で表される化合物と第2マトリクス樹脂からなる第2粒子状色変換材料とを含む、請求項8~11のいずれかに記載の色変換部材。
【請求項13】
前記第1マトリクス樹脂と第2マトリクス樹脂が異なる、請求項1~7および12のいずれかに記載の色変換部材。
【請求項14】
前記第1マトリクス樹脂および第2マトリクス樹脂のSP値をそれぞれSP(cal/cm0.5およびSP(cal/cm0.5とするとき、SP≦SPである、請求項1に記載の色変換部材。
【請求項15】
前記支持体が、少なくとも1種の発光材料を含有する、請求項1~14のいずれかに記載の色変換部材。
【請求項16】
前記発光材料が、少なくとも一般式(1)で表される化合物を含有する、請求項15に記載の色変換部材。
【請求項17】
光源と、請求項1~16のいずれかに記載の色変換部材、を備える、光源ユニット。
【請求項18】
前記光源が、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項19】
請求項17または18に記載の光源ユニットを備える、ディスプレイ。
【請求項20】
請求項17または18に記載の光源ユニットを備える、照明装置。
【請求項21】
請求項1~16のいずれか一つに記載の色変換部材を含有する、色変換基板。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか一つに記載の色変換部材を含有する、インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換材料、色変換部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置、色変換基板およびインクに関する。
【背景技術】
【0002】
色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明装置等へ応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、例えば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。
【0003】
この色変換機能を有する組成物(以下、「色変換組成物」という)をシート化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有するシート(以下、「色変換シート」という)とを組み合わせた白色光源をバックライトユニットとし、このバックライトユニットと、液晶駆動部分と、カラーフィルターとを組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また、液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、例えばLED照明等の白色光源として応用できる。
【0004】
色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、色再現性の向上が挙げられる。色再現性の向上には、バックライトユニットの青、緑、赤の各発光スペクトルの半値幅を狭くし、青、緑、赤各色の色純度を高めることが有効である。
【0005】
これを解決する手段として、無機半導体微粒子による量子ドットを色変換組成物の成分として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、量子ドットの代わりに有機物の発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術も提案されている。有機発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術の例としては、クマリン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献2参照)、ローダミン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献3参照)、ピロメテン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
また、有機発光材料の劣化を防ぎ、耐久性を向上させるため、光安定化剤を添加する技術も開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-22028号公報
【文献】特開2007-273440号公報
【文献】特開2001-164245号公報
【文献】特開2011-241160号公報
【文献】国際公開第2011/149028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
文献1に記載の量子ドットを用いる技術は、確かに、緑色、赤色の発光スペクトルの半値幅が狭く、色再現性は向上する。その反面、量子ドットは、熱、空気中の水分や酸素に弱く、耐久性が十分でなかった。また、カドミウムを含む等の課題もある。
また、近年、4Kや8Kといった高精細化、ハイダイナミックレンジ(HDR)、およびローカルディミングによる高コントラスト化に伴い、液晶ディスプレイのバックライトユニットに求められる照度が高まっており、駆動熱によるバックライトユニットの高温化が生じている。しかし、特許文献5に記載されている光安定化剤のような既存の技術は、耐久性の向上効果はあるものの、高温下で耐久性を向上させる技術としては、不十分であった。特に、有機発光材料を用いた色変換材料は、高温下において耐久性が著しく悪くなるという課題があり、既存の技術では、未だこの課題を十分に解決できていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、液晶ディスプレイやLED照明に用いられる色変換材料において、色再現性の向上と耐久性とを両立させることであり、特に高色純度の発光と耐久性とを両立させることである。特に、高温下における耐久性を向上させた色変換材料および色変換部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、マトリクス樹脂および少なくとも1種の発光材料を有する粒子状色変換材料であって、前記発光材料が一般式(1)で表される化合物を含有する、粒子状色変換材料である。
【化1】
XはC-RまたはNである。R~Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基から選択され、当該選択された基は隣接置換基との間で縮合環または脂肪族環を形成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る色変換材料およびこれを用いた色変換部材は、高色純度と耐久性とが両立されているため、色再現性と耐久性とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の色変換部材の一例を示す模式断面図である。
図2】本発明の色変換部材の一例を示す模式断面図である。
図3】本発明の色変換部材の一例を示す模式断面図である。
図4】本発明の実施例2における発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
【0012】
<発光材料>
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、少なくとも1種の発光材料を含む。ここで、本発明における発光材料とは、何らかの光が照射されたときに、その光とは異なる波長の光を発する材料のことをいう。有機発光材料は、有機物の発光材料である。
高効率な色変換を達成するためには、発光材料が発光量子収率の高い発光特性を示す材料であることが好ましい。一般に、発光材料としては、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料が挙げられる。中でも、分散の均一性、使用量の低減、環境負荷の低減の観点からは、有機発光材料が好ましい。
【0013】
有機発光材料としては、以下に示すもの等が挙げられる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ボラン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
【0014】
また、1,4-ジスチリルベンゼン、4,4’-ビス(2-(4-ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’-ビス(N-(スチルベン-4-イル)-N-フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4-c]ピロール誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール等のアゾール誘導体およびその金属錯体、インドシアニングリーン等のシアニン系化合物、フルオレセイン、エオシン、ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
【0015】
また、ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体、ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物、ヘリセン系化合物、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン等の芳香族アミン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。しかし、本発明における有機発光材料は、上述したものに限定されない。
【0016】
有機発光材料は、蛍光発光材料であっても、リン光発光材料であってもよいが、高い色純度を達成するためには、蛍光発光材料が好ましい。これらの中でも、熱的安定性および光安定性が高いことから、縮合アリール環を有する化合物やその誘導体が好ましい。
【0017】
また、有機発光材料としては、溶解性や分子構造の多様性の観点から、配位結合を有する化合物が好ましい。半値幅が小さく、高効率な発光が可能である点で、フッ化ホウ素錯体等のホウ素を含有する化合物も好ましい。
【0018】
これらの化合物の中でも、高い蛍光量子収率を与え、耐久性が良好である点で、ピロメテン誘導体が好適に用いることができる。より好ましくは、一般式(1)で表される化合物である。本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料において、発光材料として、少なくとも一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0019】
【化2】
XはC-RまたはNである。R~Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。
【0020】
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。このことは、以下に説明する化合物またはその部分構造においても同様である。また、以下の説明において、例えば、炭素数6~40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6~40となるアリール基である。炭素数を規定している他の置換基も、これと同様である。
【0021】
また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
【0022】
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が置換したことを意味する。以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
【0023】
上記の全ての基のうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
【0024】
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
【0025】
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
【0026】
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
【0027】
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。
【0028】
アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
【0029】
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
【0030】
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
【0031】
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
【0032】
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
【0033】
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
【0034】
~Rが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基であり、フェニル基が特に好ましい。
【0035】
それぞれの置換基がさらにアリール基で置換される場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。特に好ましくは、フェニル基である。
【0036】
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5-ナフチリジニル基、1,6-ナフチリジニル基、1,7-ナフチリジニル基、1,8-ナフチリジニル基、2,6-ナフチリジニル基、2,7-ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
【0037】
~Rが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
【0038】
それぞれの置換基がさらにヘテロアリール基で置換される場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
【0039】
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。
【0040】
エステル基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などがエステル結合を介して結合した官能基を示し、この置換基はさらに置換されていてもよい。エステル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。より具体的には、メトキシカルボニル基などのメチルエステル基、エトキシカルボニル基などのエチルエステル基、プロポキシカルボニル基などのプロピルエステル基、ブトキシカルボニル基などのブチルエステル基、イソプロポキシメトキシカルボニル基などのイソプロピルエステル基、ヘキシロキシカルボニル基などのヘキシルエステル基、フェノキシカルボニル基などのフェニルエステル基などが挙げられる。また、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
【0041】
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基等が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これら置換基は、さらに置換されてもよい。炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
【0042】
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
【0043】
シロキサニル基とは、例えば、トリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。
また、ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。
【0044】
スルホ基とは、置換もしくは無置換のスルホ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、直鎖アルキル基、アリール基が好ましい。
ホスフィンオキシド基とは、-P(=O)R1011で表される基である。R1011は、R~Rと同様の群から選ばれる。
【0045】
隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環とは、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(1)のRとR)が互いに結合して、共役または非共役の環状骨格を形成することをいう。このような縮合環および脂肪族環の構成元素としては、炭素以外にも、窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、これらの縮合環および脂肪族環は、さらに別の環と縮合してもよい。
【0046】
一般式(1)で表される化合物は、高い発光量子収率を示し、かつ、発光スペクトルの半値幅が小さいため、効率的な色変換と高い色純度との双方を達成することができる。さらに、一般式(1)で表される化合物は、適切な置換基を適切な位置に導入することで、発光効率、色純度、熱的安定性、光安定性および分散性等の様々な特性や物性を調整することができる。例えば、R、R、RおよびRが全て水素である場合に比べ、R、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基や置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合の方が、より良い熱的安定性および光安定性を示す。
【0047】
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった炭素数1~6のアルキル基が好ましい。さらに、このアルキル基としては、熱的安定性に優れるという観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が好ましい。また、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させるという観点では、このアルキル基として、立体的にかさ高いtert-ブチル基がより好ましい。また、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、このアルキル基として、メチル基も好ましく用いられる。
【0048】
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基である。特に好ましくは、フェニル基である。
【0049】
、R、RおよびRの少なくとも1つが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、チエニル基が好ましく、さらに好ましくは、ピリジル基、キノリニル基である。特に好ましくは、ピリジル基である。
【0050】
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、マトリクス樹脂や溶媒への溶解性が良好なため、好ましい。この場合、アルキル基としては、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、メチル基が好ましい。
【0051】
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、より良い熱的安定性および光安定性を示すため、好ましい。この場合、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基であることがより好ましい。
【0052】
複数の性質を向上させる置換基もあるが、全てにおいて十分な性能を示す置換基は限られている。特に、高発光効率と高色純度との両立が難しい。そのため、一般式(1)で表される化合物に対して複数種類の置換基を導入することで、発光特性や色純度等にバランスの取れた化合物を得ることが可能である。
【0053】
特に、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基の場合、例えば、R≠R、R≠R、R≠RまたはR≠R等のように、複数種類の置換基を導入することが好ましい。ここで「≠」は、異なる構造の基であることを示す。例えば、R≠Rは、R1とR4とが異なる構造の基であることを示す。上記のように複数種類の置換基を導入することにより、色純度に影響を与えるアリール基と発光効率に影響を与えるアリール基とを同時に導入することができるため、細やかな調節が可能となる。
【0054】
中でも、R≠RまたはR≠Rであることが、発光効率と色純度をバランスよく向上させるという観点から、好ましい。この場合、一般式(1)で表される化合物に対して、色純度に影響を与えるアリール基を両側のピロール環にそれぞれ1つ以上導入し、それ以外の位置に発光効率に影響を与えるアリール基を導入することができるため、これら両方の性質を最大限に向上させることができる。また、R≠RまたはR≠Rである場合、耐熱性と色純度との双方を向上させるという観点から、R=RおよびR=Rであることがより好ましい。
【0055】
主に色純度に影響を与えるアリール基としては、電子供与性基で置換されたアリール基が好ましい。電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II-380頁)から引用することができる。
【0056】
電子供与性基の具体例としては、例えば、アルキル基(メチル基のσp:-0.17)やアルコキシ基(メトキシ基のσp:-0.27)、アミノ基(―NHのσp:-0.66)等が挙げられる。特に、炭素数1~8のアルキル基または炭素数1~8のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert-ブチル基、メトキシ基が特に好ましく、これらを上記の電子供与性基とした場合、一般式(1)で表される化合物において、分子同士の凝集による消光を防ぐことができる。置換基の置換位置は、特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには結合のねじれを抑える必要があるため、ピロメテン骨格との結合位置に対してメタ位またはパラ位に結合させることが好ましい。一方、主に発光効率に影響を与えるアリール基としては、tert-ブチル基、アダマンチル基、メトキシ基等のかさ高い置換基を有するアリール基が好ましい。
【0057】
、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、R、R、RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。このとき、R、R、RおよびRは、それぞれ以下のAr-1~Ar-6から選ばれることがより好ましい。
【0058】
【化3】
【0059】
一般式(1)において、Xは、C-Rであることが、光安定性の観点から好ましい。XがC-Rであるとき、一般式(1)で表される化合物の耐久性、すなわち、この化合物の発光強度の経時的な低下には、置換基Rが大きく影響する。具体的には、Rが水素である場合、この部位の反応性が高いため、この部位と空気中の水分や酸素とが容易に反応してしまう。このことは、一般式(1)で表される化合物の分解を引き起こす。また、Rが例えばアルキル基のような分子鎖の運動の自由度が大きい置換基である場合は、確かに反応性は低下するが、色変換材料中で化合物同士が経時的に凝集し、結果的に濃度消光による発光強度の低下を招く。したがって、Rは、剛直で、かつ運動の自由度が小さく凝集を引き起こしにくい基であることが好ましく、具体的には、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基のいずれかであることが好ましい。
【0060】
より高い蛍光量子収率を与え、より熱分解しづらい点、また光安定性の観点から、XがC-Rであり、Rが置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。アリール基としては、発光波長を損なわないという観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましい。
【0061】
さらに、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには、Rとピロメテン骨格の炭素-炭素結合のねじれを適度に抑える必要がある。何故ならば、過度にねじれが大きいと、励起光に対する反応性が高まる等、光安定性が低下するからである。このような観点から、Rとしては、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基であることがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0062】
また、Rは、適度にかさ高い置換基であることが好ましい。Rが、ある程度のかさ高さを有することで分子の凝集を防ぐことができ、その結果、一般式(1)で表される化合物の発光効率や耐久性がより向上する。
【0063】
このようなかさ高い置換基のさらに好ましい例としては、下記一般式(2)で表されるRの構造が挙げられる。
【化4】
【0064】
一般式(2)において、rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは1~3の整数である。kが2以上である場合、rはそれぞれ同じでも異なっても良い。
【0065】
より高い発光量子収率を与えることができるという観点から、rは、置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。このアリール基の中でも、特に、フェニル基、ナフチル基が好ましい例として挙げられる。rがアリール基である場合、一般式(2)のkは、1もしくは2であることが好ましく、中でも、分子の凝集をより防ぐという観点から2であることがより好ましい。さらに、kが2以上である場合、rの少なくとも1つは、アルキル基で置換されていることが好ましい。この場合のアルキル基としては、熱的安定性の観点から、メチル基、エチル基およびtert-ブチル基が特に好ましい例として挙げられる。
【0066】
また、蛍光波長や吸収波長を制御したり、溶媒との相溶性を高めたりするという観点から、rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基またはハロゲンであることが好ましく、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert-ブチル基、メトキシ基が特に好ましい。rがtert-ブチル基またはメトキシ基であることは、分子同士の凝集による消光を防ぐことについて、より有効である。
【0067】
また、一般式(1)で表される化合物の別の態様として、R~Rのうち少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。特に、(1)R~Rのうち少なくとも1つが電子求引基であること、(2)Rが電子求引基であること、または(3)R~Rのうち少なくとも1つが電子求引基であり、かつ、Rが電子求引基であること、が好ましい。このように上記化合物のピロメテン骨格に電子求引基を導入することで、ピロメテン骨格の電子密度を大幅に下げることができる。これにより、上記化合物の酸素に対する安定性がより向上し、その結果、上記化合物の耐久性をより向上させることができる。
【0068】
電子求引基とは、電子受容性基とも呼称し、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団から、電子を引き付ける原子団である。電子求引基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、正の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II-380頁)から引用することができる。なお、フェニル基も、上記のような正の値をとる例もあるが、本発明において、電子求引基にフェニル基は含まれない。
【0069】
電子求引基の例として、例えば、-F(σp:+0.06)、-Cl(σp:+0.23)、-Br(σp:+0.23)、-I(σp:+0.18)、-CO12(σp:R12がエチル基の時+0.45)、-CONH(σp:+0.38)、-COR12(σp:R12がメチル基の時+0.49)、-CF(σp:+0.50)、-SO12(σp:R12がメチル基の時+0.69)、-NO(σp:+0.81)等が挙げられる。R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のシクロアルキル基を表す。これら各基の具体例としては、上記と同様の例が挙げられる。
【0070】
好ましい電子求引基としては、フッ素、含フッ素アリール基、含フッ素ヘテロアリール基、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のカルボニル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、化学的に分解しにくいからである。
【0071】
より好ましい電子求引基としては、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のカルボニル基、置換もしくは無置換のエステル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させる効果につながるからである。特に好ましい電子求引基は、置換もしくは無置換のエステル基である。
【0072】
およびRは、熱的安定性の観点から、水素、アルキル基、アリール基のいずれかであることが好ましく、発光スペクトルにおいて狭い半値幅を得やすいという観点から、水素がより好ましい。
【0073】
また、耐久性を向上させる観点から、RおよびRの少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、電子求引基であることも好ましい。中でも、RおよびRの少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、色純度を落とすことなく、耐久性を向上させることができるため、好ましい。特に、RおよびRが共に、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、耐久性の向上の観点から、特に好ましい。
【0074】
およびRは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素、含フッ素アルキル基、含フッ素ヘテロアリール基または含フッ素アリール基、シアノ基が好ましい。特に、励起光に対して安定でより高い蛍光量子収率が得られることから、RおよびRは、フッ素、含フッ素アリール基またはシアノ基であることがより好ましい。
【0075】
ここで、含フッ素アリール基とは、フッ素を含むアリール基であり、例えば、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基およびペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。含フッ素ヘテロアリール基とは、フッ素を含むヘテロアリール基であり、例えば、フルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基およびトリフルオロピリジル基等が挙げられる。含フッ素アルキル基とは、フッ素を含むアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル基やペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0076】
ホウ素原子上の電子密度を下げることにより、一般式(1)で表される化合物の酸素に対する安定性がより向上し、その結果、上記化合物の耐久性をより向上させることができるため、フッ素またはシアノ基であることがより好ましい。特に、RおよびRの少なくとも一方がシアノ基である場合、ホウ素原子上の電子密度がより下がるため、好ましい。一方、高い蛍光量子収率が得られる点、および合成の容易さから、RおよびRは、フッ素であることも好ましい。
【0077】
一般式(1)で表される化合物の好ましい例の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、さらに、XがC-Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
【0078】
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr-1~Ar-6から選ばれ、さらに、XがC-Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert-ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
【0079】
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC-Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
【0080】
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr-1~Ar-6から選ばれ、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC-Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert-ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
【0081】
一般式(1)で表される化合物の一例を以下に示すが、この化合物は、これらに限定されるものではない。
【化5】
【0082】
【化6】
【0083】
【化7】
【0084】
【化8】
【0085】
【化9】
【0086】
【化10】
【0087】
【化11】
【0088】
【化12】
【0089】
【化13】
【0090】
【化14】
【0091】
【化15】
【0092】
【化16】
【0093】
【化17】
【0094】
【化18】
【0095】
【化19】
【0096】
【化20】
【0097】
【化21】
【0098】
【化22】
【0099】
【化23】
【0100】
【化24】
【0101】
一般式(1)で表される化合物は、例えば、特表平8-509471号公報や特開2000-208262号公報に記載の方法で合成することができる。すなわち、ピロメテン化合物と金属塩とを塩基共存下で反応させることにより、目的とするピロメテン系金属錯体が得られる。
【0102】
また、ピロメテン-フッ化ホウ素錯体の合成については、J.Org.Chem.,vol.64,No.21,pp.7813-7819(1999)、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.36,pp.1333-1335(1997)等に記載されている方法を参考にして、一般式(1)で表される化合物を合成することができる。例えば、下記一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とをオキシ塩化リン存在下、1,2-ジクロロエタン中で加熱した後、下記一般式(5)で表される化合物をトリエチルアミン存在下、1,2-ジクロロエタン中で反応させ、これにより、一般式(1)で表される化合物を得る方法が挙げられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、R~Rは、上記説明と同様である。Jは、ハロゲンを表す。
【0103】
【化25】
さらに、アリール基やヘテロアリール基の導入の際は、ハロゲン化誘導体とボロン酸あるいはボロン酸エステル化誘導体とのカップリング反応を用いて炭素-炭素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。同様に、アミノ基やカルバゾリル基の導入の際にも、例えば、パラジウム等の金属触媒下でのハロゲン化誘導体とアミンあるいはカルバゾール誘導体とのカップリング反応を用いて炭素-窒素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0104】
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、一般式(1)で表される化合物以外に、必要に応じてその他の化合物を適宜含有することができる。例えば、励起光から一般式(1)で表される化合物へのエネルギー移動効率を更に高めるために、ルブレン等のアシストドーパントを含有してもよい。また、一般式(1)で表される化合物の発光色以外の発光色を加味したい場合は、所望の有機発光材料、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素等の有機発光材料を添加することができる。その他、これらの有機発光材料以外でも、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料を組み合わせて添加することも可能である。
【0105】
以下に、一般式(1)で表される化合物以外の有機発光材料の一例を以下に示すが、本発明は、特にこれらに限定されるものではない。
【0106】
【化26】
【0107】
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する発光材料(以下「第1発光材料」という)、を含むことが好ましい。以後、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を「緑色の発光」という。
【0108】
また、本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(以下「第2発光材料」という)、を含むことが好ましい。以後、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を「赤色の発光」という。
【0109】
一般に、励起光は、そのエネルギーが大きいほど、材料の分解を引き起こしやすい。しかし、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光は、比較的励起エネルギーが小さいため、好ましい。波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることで、色変換材料中の発光材料の分解を引き起こすことなく、色純度の良好な発光が得られる。
【0110】
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料において、第1発光材料および/または第2発光材料はいずれか一方だけ含まれていてもよく、両方が含まれてもよい。また、第1発光材料は1種類だけ単独で使用してもよく、複数種の第1発光材料を併用してもよい。同様に、第2発光材料は1種類だけ単独で使用してもよく、複数種の第2発光材料を併用してもよい。
【0111】
波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光の一部は、本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料を一部透過するため、それ自体を青色の発光として利用することができる。そのため、本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料が緑色の発光を示す第1発光材料と赤色の発光を示す第2発光材料とを含み、青色光として発光ピークが鋭い青色LEDを使用した場合、青・緑・赤の各色において鋭い形状の発光スペクトルを示し、色純度の良い白色光を得ることができる。その結果、特にディスプレイにおいては、色彩が一層鮮やかであり且つより大きな色域を効率的に作ることができる。また、照明用途においては、現在主流となっている青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせた白色LEDに比べ、特に緑色領域および赤色領域の発光特性が改善されるため、演色性が向上した好ましい白色光源を得ることができる。
【0112】
第1発光材料としては、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、インドシアニングリーン等のシアニン誘導体、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインジアセテート等のフルオレセイン誘導体、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン誘導体、ジイソブチル-4,10-ジシアノペリレン-3,9-ジカルボキシレート等のペリレン誘導体、他にピロメテン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、アゾール誘導体、アントラセン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、芳香族アミン誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、第1発光材料は、特にこれらに限定されるものではない。
【0113】
これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体としては、例えば、一般式(1)で表される化合物が、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
【0114】
第2発光材料としては、4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン等のシアニン誘導体、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン101、スルホローダミン101等のローダミン誘導体、1-エチル-2-(4-(p-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル)-ピリジニウム-パークロレート等のピリジン誘導体、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラフェノキシペリレン-3,4,9,10-ビスジカルボイミド等のペリレン誘導体、他にポルフィリン誘導体、ピロメテン誘導体、オキサジン誘導体、ピラジン誘導体、ナフタセンやジベンゾジインデノペリレン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、第2発光材料は、特にこれらに限定されるものではない。
【0115】
これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体としては、例えば、一般式(1)で表される化合物が、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
【0116】
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料における発光材料の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換材料や色変換部材のサイズや厚み、透過率にもよるが、通常はマトリクス樹脂の100質量部に対して、1.0×10-4質量部~30質量部である。中でも、1.0×10-3質量部~10質量部であることがさらに好ましく、5.0×10-3質量部~5質量部であることが特に好ましい。
【0117】
また色変換材料に、緑色の発光を呈する第1発光材料と、赤色の発光を呈する第2発光材料とを両方含有する場合、緑色の発光の一部が赤色の発光に変換されることから、第1発光材料の含有量wと、第2発光材料の含有量wが、w≧wの関係であることが好ましい。また、含有量wと含有量wとの比率は、w:w=1000:1~1:1であり、500:1~2:1であることがさらに好ましく、200:1~3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量wおよび含有量wは、マトリクス樹脂の質量に対する質量パーセントである。
【0118】
<マトリクス樹脂>
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料において、マトリクス樹脂は、成形加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料が好適に用いられる。マトリクス樹脂の例としては、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂および芳香族エステル樹脂等のポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂等の脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。また、マトリクス樹脂としては、これらの樹脂の混合物や共重合体を用いても構わない。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料に有用なマトリクス樹脂が得られる。
【0119】
これらの樹脂の中でも、透明性および有機発光材料の分散性の観点から、アクリル樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位を含む共重合樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂のいずれかであることが好ましい。
【0120】
マトリクス樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されるものではないが、30℃以上180℃以下であることが好ましい。Tgが30℃以上の場合、光源からの入射光による熱や機器の駆動熱によるマトリクス樹脂の分子運動が抑制され、発光材料の分散状態の変化が抑制されることで耐久性の悪化を防ぐことができる。また、Tgが180℃以下の場合、シート等に成形した場合の可撓性が確保できる。マトリクス樹脂のTgは、より好ましくは50℃以上170℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上160℃以下であり、特に好ましくは、90℃以上150℃以下である。
【0121】
マトリクス樹脂の分子量は、樹脂の種類にもより、特に限定されるものではないが、3000以上1500000以下であることが好ましい。分子量が3000よりも小さい場合、樹脂が脆くなり、成形した場合の可撓性が低くなる。また、分子量が1500000よりも大きい場合、成形時の粘度が過度に大きくなることや、樹脂自体の化学的安定性が低下するといった問題がある。マトリクス樹脂の分子量は、より好ましくは5000以上1200000以下であり、さらに好ましくは7000以上1000000以下であり、特に好ましくは、10000以上800000以下である。
【0122】
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、マトリクス樹脂および一般式(1)で表される化合物を含有する発光材料を有する粒子状色変換材料である。具体的には、マトリクス樹脂中に少なくとも1種の発光材料が含有された粒子状色変換材料である。
【0123】
<添加剤>
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、発光材料およびマトリクス樹脂以外に、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、可塑剤、エポキシ化合物等の架橋剤、アミン、酸無水物、イミダゾール等の硬化剤、シリカ粒子やシリコーン微粒子等の無機粒子およびシランカップリング剤等、の添加剤を含有することができる。
【0124】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、酸化防止剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
加工および熱安定化剤としては、例えば、リン系安定化剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
耐光性安定化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール類を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、耐光性安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
【0125】
これらの添加剤は、光源からの光や発光材料の発光を阻害しないという観点から、可視域での吸光係数が小さいことが好ましい。具体的には、波長400nm以上800nm以下の波長域全域で、これらの添加剤のモル吸光係数εは、200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましい。さらに好ましくは80以下であり、50以下であることが特に好ましい。
【0126】
また、耐光性安定化剤としては、一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物も好適に用いることができる。一重項酸素クエンチャーは、酸素分子が光のエネルギーにより活性化してできた一重項酸素をトラップして不活性化する材料である。色変換材料中に一重項酸素クエンチャーが共存することで、発光材料が一重項酸素により劣化することを防ぐことができる。
一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物としては、例えば、特定の、3級アミンおよび金属塩を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの化合物(耐光性安定化剤)は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
また、耐光性安定化剤としては、ラジカルクエンチャーとしての役割を持つ化合物も好適に用いることができる。中でも、ヒンダードアミン系化合物が好適な例として挙げられる。
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料において、これらの添加剤の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換材料や色変換部材のサイズや厚み、透過率にもよるが、マトリクス樹脂の100質量部に対して、1.0×10-3質量部以上であることが好ましく、1.0×10-2質量部以上であることがより好ましく、1.0×10-1質量部以上であることがさらに好ましい。また、これらの添加剤の含有量は、マトリクス樹脂の100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
【0127】
<粒子状色変換材料>
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、一般式(1)で表される化合物を含有するため、非常に色純度の高い発光を示す。
また、粉体として扱えるため、複数種類の粒子状色変換材料を混合して使用し、精緻な波長変換特性の調整を行うことが容易となる。例えば、青色光の一部を色変換して白色光を得る場合、緑色の発光を示す発光材料を含有する緑色変換材料と赤色の発光を示す発光材料を含有する赤色変換材料をそれぞれ用意し、それらの混合量を調整することで、白色光のホワイトバランスや色温度を容易に調整することができる。
さらに、色変換材料の粒子径や形状、マトリクス樹脂の屈折率などの制御によって、色変換特性を調整することや、色変換機能以外の機能を付与することも可能である。例えば、光散乱機能を発現させることが可能である。
【0128】
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、各粒子は個々に独立しているため、高温条件での光照射によりラジカル種などの高活性種が発生した際、高活性種が全体に伝播することを抑制し、色変換部材全体の加速的な劣化を抑制することができる。
【0129】
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、平均粒径が0.010μm以上100μm以下であることが好ましく、0.010μm以上30μm以下であることがより好ましく、0.010μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。平均粒径は、顕微鏡観察やレーザー回折散乱法により粒度分布を測定して得られるものであるが、原則顕微鏡観察により測定するものとする。ただし、レーザー回折散乱法による測定結果が1μm以下の粒径の場合、レーザー回折散乱法による粒径を採用する。また、顕微鏡観察の場合、特に限定されないが、孤立粒子100個程度の粒径を測定し、その平均値を算出して求めることができる。
【0130】
<粒子状色変換材料の作製方法>
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料の作製方法は、発光材料およびマトリクス樹脂を含んだ粒子状に成形できれば、特に限定されない。例えば、界面重合法、W/O系液中乾燥法、ストーバー法、及びスプレードライ法、in Situ重合法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法により作製することができる。
中でも、前述した発光材料、マトリクス樹脂、溶媒等の材料を所定量混合して作製した組成物を、スプレードライ法により乾燥させることで粒子状に成形する方法が、簡便な方法として挙げられる。
【0131】
使用する溶媒としては、例えば、水、2-プロパノール、エタノール、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、テルピネオール、テキサノール、1,2-ジメトキシエタン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、これらの溶媒を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶媒の中で、トルエンやメチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒドロフランは、乾燥後の残存溶媒が少ない点で好適に用いられる。
【0132】
<支持体>
本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料は、それ自体のみで使用してもよい。また、光学部材への適用性をより高める観点から、粒子状色変換材料を含有させた支持体を用いることが好ましい。本発明の実施の形態に係る粒子状色変換材料を含有する支持体は、色変換部材として用いることができる。
【0133】
支持体の材質としては、特に制限無く公知の金属、樹脂、ガラス、セラミック、紙等を使用することができるが、透明性や加工成形性の観点から、支持体は樹脂からなることが好ましい。支持体が樹脂からなる場合、粒子状色変換材料が支持体に分散していることがより好ましい。本発明において、分散とは、一つの相をなす物質の中に、他の物質が散在することをいい、その分布は偏りがあってもよく、均一であってもよい。ただし、粒子状色変換材料を分散させると記載した場合、分散媒に完全に溶解して均一な1つの相を形成する態様を除く。本発明に係る粒子状色変換材料が支持体に分散されているか否かを確認するために、肉眼での観察、顕微鏡観察、発光分光法測定および屈折率測定などの方法を適宜用いることができる。好ましい樹脂としては、上述のマトリクス樹脂で例示した樹脂が、支持体として好適に用いることができる。
【0134】
支持体が樹脂からなる場合、マトリクス樹脂と異なる樹脂を使用することが好ましく、粒子状色変換材料のマトリクス樹脂と支持体を形成する樹脂のSP値の差が0.5(cal/cm0.5以上であることが好ましい。SP値の差が0.5(cal/cm0.5以上であることで、粒子状色変換材料を溶解することなく、支持体中に分散させることができる。粒子状色変換材料が支持体を構成する樹脂中に溶解してしまう場合、支持体にも発光材料が溶出し半値幅が低減してしまう。前記SP値の差は、1.0(cal/cm0.5以上であることがより好ましく、1.5(cal/cm0.5以上であることがさらに好ましく、2.0(cal/cm0.5以上であることが特に好ましい。また、SP値の差が大きすぎると粒子同士が凝集し消光原因となるため、上限値は4.0(cal/cm0.5以下であることがより好ましく、3.0(cal/cm0.5以下であることがさらに好ましく、2.5(cal/cm0.5以下であることが特に好ましい。
支持体が樹脂からなる場合、粒子状色変換材料のマトリクス樹脂のSP値は支持体を形成する樹脂のSP値より大きいことが好ましい。
【0135】
支持体の形状としては、特に限定されるものではないが、粒状、塊状、シート状などが挙げられる。また、型に充填された形式も挙げられる。中でも、後述の光源ユニットへの適用性をより高める観点で、シート状であることが好ましい。
一方、LED光源との一体化や、パターニングされた部材との一体化の観点からは、型に充填する手法も好ましい。
支持体中に含まれる粒子状色変換材料は、1種類であっても、複数種類であってもよい。
【0136】
本発明の実施の形態に係る色変換部材の1つの態様として、緑色の発光を示す発光材料を含有する粒子状色変換材料と、赤色の発光を示す発光材料を含有する粒子状色変換材料の少なくとも2種類を同一の支持体中に含むことが好ましい。これにより、青色光の一部を色変換して白色光を得ることができる。
【0137】
これらの緑色の発光を示す発光材料と赤色の発光を示す発光材料としては、ともに一般式(1)で表される化合物であることが、色再現性の高い白色光を得られるため、好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様として、ピーク波長が500nm以上580nm未満の領域に観測される発光を呈する一般式(1)で表される化合物と第1マトリクス樹脂からなる第1粒子状色変換材料と、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する一般式(1)で表される化合物と第2マトリクス樹脂からなる第2粒子状色変換材料と、それらを含有する支持体からなる色変換部材が挙げられる。
【0138】
本発明の実施の形態に係る色変換部材の別の態様として、粒子状色変換材料を含有する支持体を複数種類組み合わせたものであることも好ましい。例えば、緑色の発光を示す粒子状色変換材料を含有する支持体と、赤色の発光を示す粒子状色変換材料を含有する支持体を組み合わせることが挙げられる。中でも、第1粒子状色変換材料を有する第1支持体と、第2粒子状色変換材料を有する第2支持体を組み合わせることが好ましい。複数の支持体の組み合わせ方は、支持体の形状にもよるが、同一平面上に並べる方法や、積層させる方法が挙げられる。
【0139】
第1粒子状色変換材料および第2粒子状色変換材料のそれぞれにおける有機発光材料とマトリクス樹脂との組み合わせを最適化することで、有機発光材料の発光ピーク波長を望ましい波長にシフトし、色域を拡大することができる。そのため、第1マトリクス樹脂と第2マトリクス樹脂が異なることが好ましい。なお、2つのマトリクス樹脂が異なるとは、樹脂の種類および/または組成が異なることをいう。
【0140】
また、マトリクス樹脂の溶解パラメータであるSP値と、有機発光材料の発光ピーク波長とには強い関係がある。SP値が大きいマトリクス樹脂中では、マトリクス樹脂と有機発光材料との間の相互作用により、有機発光材料の励起状態が安定化される。そのため、SP値が小さいマトリクス樹脂中と比較して、この有機発光材料の発光ピーク波長は、長波長側にシフトする。したがって、有機発光材料を最適なSP値を持つマトリクス樹脂中に分散させることで、有機発光材料の発光ピーク波長の最適化が可能である。
【0141】
第1マトリクス樹脂のSP値をSP(cal/cm0.5とし、第2マトリクス樹脂のSP値をSP(cal/cm0.5とするとき、SP≦SPであることが好ましい。この場合、第1粒子状色変換材料および第2粒子状色変換材料における緑色光と赤色光との発光ピーク波長の差が、同一のマトリクス樹脂中に有機発光材料を分散させた場合と比較して大きくなり、その結果、色域が拡大する。
【0142】
中でも、SP≧10.0であることが好ましい。この場合、第2粒子状色変換材料における赤色光の発光ピーク波長がより大きく長波長化し、その結果、第2粒子状色変換材料からは、深い赤色の光を発光することができる。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくは、SP≧10.2であり、さらに好ましくはSP≧10.4であり、特に好ましくはSP≧10.6である。
【0143】
SPの上限値は特に限定されないが、SP≦15.0であるマトリクス樹脂は、有機発光材料の分散性がよいため、好適に用いることができる。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくはSP≦14.0であり、さらに好ましくはSP≦13.0であり、特に好ましくはSP≦12.0である。
【0144】
また、SP≦10.0である場合、第1粒子状色変換材料における緑色光の発光ピーク波長の長波長化が抑制され、その結果、第1粒子状色変換材料および第2粒子状色変換材料における緑色光と赤色光との発光ピーク波長の差が大きくなるため、好ましい。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくは、SP≦9.8であり、さらに好ましくはSP≦9.7であり、特に好ましくはSP≦9.6である。
【0145】
SPの下限値は特に限定されないが、SP≧7.0であるマトリクス樹脂は、有機発光材料の分散性がよいため、好適に用いることができる。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくはSP≧7.4であり、さらに好ましくはSP≧7.8であり、特に好ましくはSP≧8.0である。
【0146】
ここで、溶解パラメータ(SP値)は、一般的に用いられている、Poly.Eng.Sci.,vol.14,No.2,pp.147-154(1974)等に記載のFedorsの推算法を用い、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出される値である。複数種類の樹脂の混合物に関しても、同様の方法により算出できる。例えば、ポリメタクリル酸メチルのSP値は9.9(cal/cm0.5、ポリエチレンテレフタレート(PET)のSP値は11.6(cal/cm0.5、ビスフェノールA系エポキシ樹脂のSP値は10.9(cal/cm0.5とそれぞれ算出できる。
樹脂の代表的なSP値を表1に示す。第1マトリクス樹脂および第2マトリクス樹脂は、例えば表1に示すような樹脂の中から任意に組み合わせて用いることができる。
【0147】
【表1】
【0148】
本発明の実施の形態に係る色変換部材の別の態様として、本発明の支持体が、本発明に係る粒子状色変換材料以外に、少なくとも1種の発光材料を含有することも好ましい。中でも、色純度の観点から、支持体が少なくとも1種の有機発光材料を含有することが、より好ましく、支持体が少なくとも一般式(1)で表される化合物を含有することが、さらに好ましい。
【0149】
本発明に使用することができる支持体は、粒子状色変換材料や発光材料以外に、光吸収色素や光吸収顔料、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、分散剤やレベリング剤、可塑剤、エポキシ化合物等の架橋剤、アミン、酸無水物、イミダゾール等の硬化剤、接着補助剤、酸化チタン粒子やジルコニア粒子、シリカ粒子等の無機粒子およびシランカップリング剤等、の添加剤を含有することができる。
【0150】
本発明の実施の形態に係る色変換部材の代表的な構造例として、例えば、図1図3に示すものが挙げられる。図1図3は、本発明の実施の形態に係る色変換部材の一例を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施の形態の一例である色変換部材1は、支持体3の内部に粒子状色変換材料2が分散した構造である。また、図2に示すように、本実施の形態の一例である色変換部材1Aは、支持体3の内部に粒子状色変換材料2aおよび粒子状色変換材料2bが分散した構造である。さらに、図3に示すように、本実施の形態の一例である色変換部材1Bは、内部に粒子状色変換材料2aが分散した支持体3aと、内部に粒子状色変換材料2bが分散した支持体3bが積層した構造である。さらにまた、本発明の実施の形態に係る色変換部材は、図1図3の支持体3、3a、または3bの内部に、他の発光材料が含まれる構造であってもよく、他の発光材料が支持体3、3a、または3b中に分散されていることが好ましい。色変換部材1、1A、1Bに添加される発光材料は、一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0151】
<色変換部材の作製方法>
本発明の実施の形態に係る色変換部材の作製方法は、本発明の粒子状色変換材料を含んだ支持体を所望の形状に成形できれば、特に限定されない。例えば、本発明に係る粒子状色変換材料と支持体として使用する樹脂と溶剤とを混合し、組成物を作製したのち、基材上に塗布し、乾燥することで、シート状に成形する方法が挙げられる。また、本発明に係る粒子状色変換材料と支持体となる樹脂とを加熱しながら混錬し、押し出し機を用いて成形する方法も挙げられる。
【0152】
<色変換基板>
本発明の実施の形態に係る色変換基板は、少なくとも本発明の粒子状色変換材料または色変換部材を備える構成である。色変換基板は、透明基板上に、複数の色変換層を備えるものである。本発明において、色変換層は、赤色変換層と緑色変換層とを含むことが好ましい。赤色変換層は少なくとも青色光を吸収して赤色光を発する蛍光体材料によって形成されている。緑色変換層は少なくとも青色光を吸収して緑色光を発する蛍光体材料によって形成されている。また、隔壁が形成されていてもよく、色変換層は、隔壁と隔壁の間(凹部)に配置されていることが好ましい。透明基板側から励起光を入射させ、透明基板と反対の側から視認してもよいし、色変換層側から励起光を入射させ、透明基板側から視認してもよい。色変換層の量子収率は、ピーク波長が440~460nmの青色光を色変換基板に照射したとき、通常は0.5以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。
【0153】
<インク>
本発明の実施の形態に係るインクは、少なくとも本発明の粒子状色変換材料または色変換部材を含んだ液体、ジェル、固体の状態で、文字の記載や表面への色付けのために用いられるものである。本発明の実施の形態に係るインクは、本発明の粒子状色変換材料または色変換部材を用いることで、高色純度の発光と耐久性とを両立することができるため、特に、セキュリティ印刷用途のための蛍光インクとして好ましく用いることができる。
【0154】
<励起光>
励起光の種類は、本発明に用いられる有機発光材料が吸収可能な波長領域に発光を示すものであれば、いずれの励起光でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の蛍光性光源、有機EL素子光源、LED光源、白熱光源、あるいは太陽光等、いずれの光源からの励起光でも利用可能である。中でも、LED光源からの励起光が好適である。ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、400nm以上500nm以下の波長範囲の励起光を持つ青色LED光源からの励起光が、さらに好適である。
【0155】
励起光の極大発光波長としては、430nm以上500nm以下であることが、励起エネルギーがより小さくなり、有機発光材料の劣化を抑止できるため、より好ましく、440nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。特に好ましくは450nm以上500nm以下である。また、励起光の極大発光波長としては、励起光と緑色光との発光スペクトルの重なりを小さくし、色再現性を向上させることができるため、480nm以下であることがより好ましく、470nm以下であることがさらに好ましい。
励起光は、1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには、1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の励起光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
【0156】
<光源ユニット>
本発明の実施の形態に係る光源ユニットは、少なくとも光源および本発明の粒子状色変換材料または色変換部材を備える構成である。光源と粒子状色変換材料や色変換部材との配置方法については特に限定されず、光源と粒子状色変換材料や色変換部材とを密着させた構成を取ってもよいし、光源と粒子状色変換材料や色変換部材とを離したリモートフォスファー形式を取ってもよい。また、光源ユニットは、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを備える構成を取ってもよい。
【0157】
前述の通り、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光は、比較的小さい励起エネルギーであり、一般式(1)で表される化合物等の発光物質の分解を防止できる。したがって、光源ユニットが備える光源は、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードであることが好ましい。さらに、この光源は、波長430nm以上480nm以下の範囲に極大発光を有することが好ましく、波長450nm以上470nm以下の範囲に極大発光を有することが、さらに好ましい。本発明における光源ユニットは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板等の用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に好適に用いられる。
【0158】
<ディスプレイ、照明装置>
本発明の実施の形態に係るディスプレイは、少なくとも、光源および粒子状色変換材料または色変換部材を含む光源ユニットを備える。例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイには、バックライトユニットとして、上述の光源ユニットが用いられる。
また、本発明の実施の形態に係る照明装置は、少なくとも、光源および粒子状色変換材料または色変換部材を含む光源ユニットを備える。例えば、この照明装置は、光源としての青色LED光源と、この青色LED光源からの青色光をこれよりも長波長の光に変換する粒子状色変換材料または色変換部材とを組み合わせて、白色光を発光するように構成される。
【実施例
【0159】
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
下記の実施例および比較例において、化合物G-1、R-1は以下に示す化合物である。なお、化合物G-1、R-1は、公知の手法を用いて合成して使用した。
【0160】
【化27】
【0161】
本発明の色変換部材等の色変換特性、光耐久性に関する評価方法を下記に示す。
<色変換特性の測定>
色変換特性の測定では、発光ピーク波長457nmの青色LED素子を搭載した面状発光装置に各色変換部材およびプリズムシートを載せた状態で、この面状発光装置に30mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS-1000、コニカミノルタ社製)を用いて、発光スペクトル、色度および輝度を測定した。
【0162】
<色域の算出>
上記色変換特性の測定によって得られた発光スペクトルと、カラーフィルターの透過率のスペクトルデータとから、カラーフィルターにより色純度を向上させた場合の(u’,v’)色空間における色域を算出した。また、算出された(u’,v’)色空間における色域の面積は、BT.2020規格の色域面積を100%とした場合の割合により、以下の基準で評価した。この(u’,v’)色空間における色域の面積の評価結果として、「A」は、上記の割合が91%以上であることを示す。「B」は、上記の割合が86%以上90%以下であることを示す。「C」は、上記の割合が81%以上85%以下であることを示す。「D」は、上記の割合が80%以下であることを示す。この評価結果において、上記の割合が高いほど、色域が広く、色変換部材の色再現性が良好である。
【0163】
<光耐久性のテスト>
光耐久性のテストでは、発光ピーク波長447nmの青色LED素子を搭載した面状発光装置に各色変換部材およびプリズムシートを載せた状態で、この面状発光装置に100mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS-1000、コニカミノルタ社製)を用いて初期輝度を測定した。その後、オーブンを用いて50℃、27%RHの環境下で青色LED素子からの光を連続照射し、輝度が一定量低下するまでの時間を観測することで、光耐久性を評価した。ただし、輝度の測定は、色変換部材および面状発光装置を前述のオーブンの外に出し、室温まで降温させた状態で測定した。
【0164】
実施例1
まず、マトリクス樹脂としてアクリル樹脂T1(SP値=9.8(cal/cm0.5)を用い、このマトリクス樹脂の100質量部に対して、化合物G-1を0.3質量部、溶剤としてトルエンを400質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、色変換組成物を得た。この色変換組成物をスプレードライ法で乾燥させることにより、粒子状色変換材料を作製した。ECLIPSE L200N(株式会社ニコン製)を用い、孤立粒子100個の粒径を測定して、その平均値を算出したところ、平均粒径は14μmだった。粒径は、最も直径が大きくなる部分を選択して測定した。
次に、水添SEBS共重合体樹脂T2(SP値=8.5(cal/cm0.5)を用い、この樹脂の100質量部に対して、溶剤としてシクロヘキサンを300質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、支持体用樹脂液を得た。
【0165】
最後に、粒子状色変換材料と支持体用樹脂液を混合し、撹拌することで、色変換材料分散液を作製した。この色変換材料分散液を、バーコーターを用いて、スライドガラス板上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、色変換部材を作製した。
作製した色変換部材を用いて青色LED光を色変換させたところ、緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長528nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅33nmの高色純度緑色発光が得られた。また、上記の方法にしたがい、50℃、27%RHの環境下で青色LED素子からの光を連続照射したところ、輝度が10%低下するまでの時間は120時間であった。結果を表2に示す。
【0166】
実施例2~3
表2記載のマトリクス樹脂および支持体樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして色変換部材を作製して評価した。結果を表2に示す。
【0167】
比較例1
発光材料としてCoumarine6(シグマアルドリッチ社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして色変換部材を作製して評価した。ただし、発光材料の混合量は、実施例1のG-1と同じ物質量になるように調整した。結果を表2に示す。
【0168】
比較例2
実施例1で作製した色変換組成物を、バーコーターを用いて、スライドガラス板上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、色変換部材を作製した。
【0169】
実施例4
まず、マトリクス樹脂としてアクリル樹脂T1(SP値=9.8(cal/cm0.5)を用い、このマトリクス樹脂の100質量部に対して、化合物G-1を0.3質量部、溶剤としてトルエンを400質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、色変換組成物を得た。この色変換組成物をスプレードライ法で乾燥させることにより、第1粒子状色変換材料を作製した。
同様に、マトリクス樹脂としてポリエステル樹脂T11(SP値=10.7(cal/cm0.5)を用い、マトリクス樹脂の100質量部に対して、化合物R-1を0.1質量部、溶剤としてトルエンを400質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、色変換組成物を得た。この色変換組成物をスプレードライ法で乾燥させることにより、第2粒子状色変換材料を作製した。
【0170】
次に、水添SEBS共重合体樹脂T2(SP値=8.5(cal/cm0.5)を用い、この樹脂の100質量部に対して、溶剤としてシクロヘキサンを300質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、支持体用樹脂液を得た。
最後に、第1粒子状色変換材料と第2粒子状色変換材料と支持体用樹脂液を混合し、撹拌することで、色変換分散液を作製した。この色変換分散液を、バーコーターを用いて、スライドガラス板上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、色変換部材を作製した。
作製した色変換部材を用いて青色LED光を色変換させたところ、発光スペクトルは図4に示す通りとなり、白色光が得られた。緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長527nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅27nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長641nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅49nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間における色域の面積は、BT.2020規格の色域面積に対して96%であった。結果を表3に示す。表3において、「色域面積」は、(u’,v’)色空間における色域の面積である。また、「色域面積」欄の「A」~「D」は、この色域の面積の評価結果を示すものである。
【0171】
実施例5
第2粒子状色変換材料のマトリクス樹脂として、アクリル樹脂T1(SP値=9.8(cal/cm0.5)を用いた以外は、実施例2と同様にして色変換部材を作製して評価した。結果を表3に示す。
【0172】
実施例6
第1粒子状色変換材料のマトリクス樹脂として、ポリエステル樹脂T11(SP値=10.7(cal/cm0.5)を用い、第2粒子状色変換材料のマトリクス樹脂として、アクリル樹脂T1(SP値=9.8(cal/cm0.5)を用いた以外は、実施例4と同様にして色変換部材を作製して評価した。結果を表3に示す。
【0173】
比較例3
第1粒子状色変換材料の発光材料としてCoumarine6(シグマアルドリッチ社製)を用い、実施例3のG-1と同じ物質量になるように調整して混合し、第2粒子状色変換材料の発光材料としてLumogen F Red305(BASF社製)を用い、実施例3のR-1と同じ物質量になるように調整して混合した以外は、実施例5と同様にして色変換部材を作製して評価した。結果を表3に示す。
【0174】
実施例7
マトリクス樹脂としてアクリル樹脂T1(SP値=9.8(cal/cm0.5)を用い、このマトリクス樹脂の100質量部に対して、化合物G-1を0.3質量部、化合物R-1を0.017質量部、溶剤としてトルエンを400質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、色変換組成物を得た。この色変換組成物をスプレードライ法で乾燥させることにより、粒子状色変換材料を作製した。
次に、水添SEBS共重合体樹脂T2(SP値=8.5(cal/cm0.5)を用い、この樹脂の100質量部に対して、溶剤としてシクロヘキサンを300質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、支持体用樹脂液を得た。
最後に、粒子状色変換材料と支持体用樹脂液を混合し、撹拌することで、色変換材料分散液を作製した。この色変換材料分散液を、バーコーターを用いて、スライドガラス板上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、色変換部材を作製した。実施例4と同様に評価した結果を表3に示す。
【0175】
実施例8
まず、マトリクス樹脂としてポリエステル樹脂T12(SP値=10.9(cal/cm0.5)を用い、このマトリクス樹脂の100質量部に対して、化合物R-1を0.1質量部、溶剤としてメチルエチルケトンを400質量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、色変換組成物を得た。この色変換組成物をスプレードライ法で乾燥させることにより、粒子状色変換材料を作製した。
次に、アクリル樹脂T2(SP値=9.9(cal/cm0.5)を用い、この樹脂の100質量部に対して、化合物G-1を0.3質量部、溶剤として酢酸エチルを200質量部、1-メトキシ-2-プロパノールを200質量部、を混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスターKK-400”(クラボウ製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、支持体用樹脂液を得た。
【0176】
最後に、粒子状色変換材料と支持体用樹脂液を混合し、撹拌することで、色変換材料分散液を作製した。この色変換材料分散液を、バーコーターを用いて、スライドガラス板上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、色変換部材を作製した。
作製した色変換部材を用いて青色LED光を色変換させたところ、緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長529nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅29nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長641nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅48nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間における色域の面積は、BT.2020規格の色域面積に対して94%であった。結果を表4に示す。表4において、「色域面積」は、(u’,v’)色空間における色域の面積である。また、「色域面積」欄の「A」~「D」は、この色域の面積の評価結果を示すものである。
【0177】
【表2】
【0178】
【表3】
【0179】
【表4】
【符号の説明】
【0180】
1、1A、1B 色変換部材
2、2a、2b 粒子状色変換材料
3、3a、3b 支持体
図1
図2
図3
図4