IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

特許7380266車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム
<>
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図1
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図2
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図3
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図4
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図5
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図6
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図7
  • 特許-車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231108BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
G08G1/00 X
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020012927
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021117932
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】押田 拓郎
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173756(JP,A)
【文献】特開2019-040465(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230532(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の状況を示す2次元的な情報を有する2次元画像と、前記車室内に存在する対象までの距離情報を有する距離画像と、を取得する取得処理部と、
互いに異なる2つのタイミングで取得された前記2次元画像の比較結果と、前記2次元画像が取得された前記2つのタイミングで取得された前記距離画像の比較結果と、に基づいて、前記車室内の状態を検出する検出処理部と、
を備える、車室内状態検出装置。
【請求項2】
前記検出処理部は、前記2つのタイミングで取得された前記距離画像が実質的に同一である場合、前記2つのタイミングで取得された前記2次元画像の比較結果に基づいて、前記車室内の汚れの有無を検出する、
請求項1に記載の車室内状態検出装置。
【請求項3】
前記検出処理部は、前記2つのタイミングで取得された前記距離画像に差が存在する場合、前記2次元画像および前記距離画像のうち少なくとも一方に対する所定の画像認識処理の結果に基づいて、前記車室内に人が乗車しているか否かを検出する、
請求項1または2に記載の車室内状態検出装置。
【請求項4】
前記検出処理部は、前記車室内に前記人が乗車していると検出された場合、その後に取得される前記2次元画像および前記距離画像のうち少なくとも一方に基づいて、前記車室内から前記人が降車したか否かを検出し、前記車室内から前記人が降車したと検出され、かつ、前記車室内に前記人が乗車しているか否かの検出前の第1のタイミングと前記車室内から前記人が降車したと検出された後の第2のタイミングとで前記距離画像に差が存在する場合、前記第1のタイミングと前記第2のタイミング以降の第3のタイミングとで取得された前記2次元画像および前記距離画像のうち少なくとも一方の比較結果に基づいて、前記車室内に放置された忘れ物の有無を検出する、
請求項3に記載の車室内状態検出装置。
【請求項5】
前記検出処理部は、前記車室内に前記人が乗車していると検出され、かつ、非常時に対応した所定の条件が成立した場合、前記所定の条件の成立前の第4のタイミングと前記所定の条件の成立後の第5のタイミングとで取得された前記2次元画像および前記距離画像のうち少なくとも一方の比較結果に基づいて、前記車室内に乗車している前記人の傷病度合を検出する、
請求項3または4に記載の車室内状態検出装置。
【請求項6】
前記検出処理部による検出結果に応じて所定の通知先への通知を行う通知処理部をさらに備える、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の車室内状態検出装置。
【請求項7】
前記取得処理部は、事業者が運用する個人所有以外の車両の前記2次元画像および前記距離画像を取得し、
前記検出処理部は、前記事業者が運用する個人所有以外の車両の前記車室内の状態を検出する、
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の車室内状態検出装置。
【請求項8】
前記取得処理部は、前記事業者が運用する個人所有以外の車両としてのMaaS(Mobility as a Service)車両の前記2次元画像および前記距離画像を取得し、
前記検出処理部は、前記MaaS車両の前記車室内の状態を検出する、
請求項7に記載の車室内状態検出装置。
【請求項9】
前記検出処理部は、前記車室内に構成される所定の領域ごとに、前記車室内の状態を検出する、
請求項1~8のうちいずれか1項に記載の車室内状態検出装置。
【請求項10】
車室内の状況を示す2次元的な情報を有する2次元画像と、前記車室内に存在する対象までの距離情報を有する距離画像と、を取得する取得処理と、
互いに異なる2つのタイミングで取得された前記2次元画像の比較結果と、前記2次元画像が取得された前記2つのタイミングで取得された前記距離画像の比較結果と、に基づいて、前記車室内の状態を検出する検出処理と、
をコンピュータに実行させるための、車室内状態検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の車室内の領域を撮像することで得られる画像に基づいて車室内の状態を検出する技術について検討されている。このような検出は、たとえば乗員が降車した後の自動運転車両を対象として実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-87045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の技術では、たとえば赤外線カメラまたはRGBカメラなどによって得られる、車室内の状況を示す2次元的な情報を有する2次元画像を用いて車室内の状態を検出することが一般的である。しかしながら、2次元画像を用いた一般的な処理では検出することが難しい検出対象も存在するので、車室内の状態をより精度良く検出することが望まれている。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、車室内の状態をより精度良く検出することが可能な車室内状態検出装置、および車室内状態検出プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例としての車室内状態検出装置は、車室内の状況を示す2次元的な情報を有する2次元画像と、車室内に存在する対象までの距離情報を有する距離画像と、を取得する取得処理部と、互いに異なる2つのタイミングで取得された2次元画像の比較結果と、2次元画像が取得された2つのタイミングで取得された距離画像の比較結果と、に基づいて、車室内の状態を検出する検出処理部と、を備える。
【0007】
上述した車室内状態検出装置によれば、互いに異なる情報を有する2種類の画像としての2次元画像および距離画像を考慮して、より多角的な観点で、車室内の状態をより精度良く検出することができる。
【0008】
上述した車室内状態検出装置において、検出処理部は、2つのタイミングで取得された距離画像が実質的に同一である場合、2つのタイミングで取得された2次元画像の比較結果に基づいて、車室内の汚れの有無を検出する。このような構成によれば、3次元的な高さが微小であることが多い汚れを、2次元画像を用いて適切に検出することができる。
【0009】
また、上述した車室内状態検出装置において、検出処理部は、2つのタイミングで取得された距離画像に差が存在する場合、2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方に対する所定の画像認識処理の結果に基づいて、車室内に人が乗車しているか否かを検出する。このような構成によれば、距離画像の差に基づいて3次元的な高さを有する立体物(人または物)が存在する場合を対象として、車室内に人が乗車しているか否かを適切に検出することができる。
【0010】
この場合において、検出処理部は、車室内に人が乗車していると検出された場合、その後に取得される2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方に基づいて、車室内から人が降車したか否かを検出し、車室内から人が降車したと検出され、かつ、車室内に人が乗車しているか否かの検出前の第1のタイミングと車室内から人が降車したと検出された後の第2のタイミングとで距離画像に差が存在する場合、第1のタイミングと第2のタイミング以降の第3のタイミングとで取得された2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方の比較結果に基づいて、車室内に放置された忘れ物の有無を検出する。このような構成によれば、車室内から人が降車した場合を対象として、忘れ物の有無を適切に検出することができる。
【0011】
また、車室内に人が乗車しているか否かを検出する上述した場合において、検出処理部は、車室内に人が乗車していると検出され、かつ、非常時に対応した所定の条件が成立した場合、所定の条件の成立前の第4のタイミングと所定の条件の成立後の第5のタイミングとで取得された2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方の比較結果に基づいて、車室内に乗車している人の傷病度合を検出する。このような構成によれば、車室内に人が乗車している場合で、かつ、非常時を対象として、車室内に乗車している人の傷病度合を適切に検出することができる。
【0012】
なお、上述した車室内状態検出装置において、検出処理部による検出結果に応じて所定の通知先への通知を行う通知処理部をさらに備える。このような構成によれば、車室内の状態の検出結果を容易に通知することができる。
【0013】
また、上述した車室内状態検出装置において、取得処理部は、事業者が運用する個人所有以外の車両の2次元画像および距離画像を取得し、検出処理部は、事業者が運用する個人所有以外の車両の車室内の状態を検出する。このような構成によれば、事業者が運用する個人所有以外の車両の有用性を高めることができる。
【0014】
この場合において、取得処理部は、事業者が運用する個人所有以外の車両としてのMaaS(Mobility as a Service)車両の2次元画像および距離画像を取得し、検出処理部は、MaaS車両の車室内の状態を検出する。このような構成によれば、人の乗り降りに応じて変化する車室内の状態を精度良く検出することが特に望まれるMaaS車両の有用性を高めることができる。
【0015】
また、上述した車室内状態検出装置において、検出処理部は、車室内に構成される所定の領域ごとに、車室内の状態を検出する。このような構成によれば、たとえば車室内の構造物のレイアウトなどに応じて、車室内の状態を所定の領域ごとに適切に検出することができる。
【0016】
本開示の他の一例としての車室内状態検出プログラムは、車室内の状況を示す2次元的な情報を有する2次元画像と、車室内に存在する対象までの距離情報を有する距離画像と、を取得する取得処理と、互いに異なる2つのタイミングで取得された2次元画像の比較結果と、2次元画像が取得された2つのタイミングで取得された距離画像の比較結果と、に基づいて、車室内の状態を検出する検出処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0017】
上述した車室内状態検出プログラムによれば、互いに異なる情報を有する2種類の画像としての2次元画像および距離画像を考慮して、より多角的な観点で、車室内の状態をより精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態にかかる車室内状態検出装置の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図2図2は、実施形態にかかる距離画像カメラの配置の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図3図3は、実施形態の第1の適用例において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
図4図4は、実施形態の第2の適用例において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
図5図5は、実施形態の第3の適用例において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
図6図6は、実施形態の第4の適用例において実行される一連の処理の一部を示した例示的なフローチャートである。
図7図7は、実施形態の第4の適用例において実行される一連の処理の残りの一部を示した例示的なフローチャートである。
図8図8は、実施形態にかかる車室内状態検出装置を実現するための情報処理装置のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0020】
従来から、車両の車室内の領域を撮像することで得られる画像に基づいて車室内の状態を検出する技術について検討されている。このような検出は、たとえば乗員が降車した後の自動運転車両を対象として実施される。
【0021】
ここで、上記のような従来の技術では、たとえば赤外線カメラまたはRGBカメラなどによって得られる、車室内の状況を示す2次元的な情報を有する2次元画像を用いて車室内の状態を検出することが一般的である。しかしながら、2次元画像を用いた一般的な処理では検出することが難しい検出対象も存在するので、車室内の状態をより精度良く検出することが望まれている。
【0022】
そこで、実施形態は、以下に説明するような構成および処理により、車室内の状態をより精度良く検出することを実現する。
【0023】
図1は、実施形態にかかる車室内状態検出装置100の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0024】
図1に示されるように、実施形態にかかる車室内状態検出装置100は、車両10(図2も参照)に搭載された距離画像カメラ30からの入力を受け取るように構成されている。車両10は、たとえばMaaS(Mobility as a Service)車両のような自動運転車両として構成されるが、実施形態の技術は、Maas車両だけでなく、事業者が運用する個人所有以外の車両一般に適用可能である。事業者が運用する個人所有以外の車両とは、たとえば、MaaS車両、バス、およびタクシーなどを広く含む表現である。また、実施形態の技術は、車両10がドライバの手動操作で運転される通常の車両である場合にも適用可能である。
【0025】
なお、車室内状態検出装置100も、距離画像カメラ30と同様に車両10に搭載されうる。ただし、車両10がMaaS車両である場合、車両10の管制などを行う管制室に車室内状態検出装置100が設けられることもありうる。
【0026】
距離画像カメラ30は、車室10a内の領域(空間)を撮像対象として、車室10a内の状況を示す2次元的な情報としての2次元画像を取得する2次元カメラとしての機能と、車室10a内の状況を示す3次元的な情報としての3次元画像を取得する3次元カメラとしての機能と、を有するカメラである。
【0027】
なお、実施形態において、2次元画像とは、たとえば赤外線画像であり、3次元画像とは、車室10a内に存在する対象までの距離情報を有する距離画像である。対象までの距離は、たとえば赤外線の送受信のタイミングの差に基づくTOF(Time Of Flight)法により算出することが可能である。
【0028】
したがって、実施形態において、距離画像カメラ30は、赤外線カメラとしての機能と、TOFカメラとしての機能と、を有するカメラであるとも言える。なお、以下では、特に区別する必要が無い場合、距離画像カメラ30により撮像される赤外線画像(2次元画像)および距離画像(3次元画像)を、撮像画像と表現することがある。なお、2次元画像は、赤外線画像以外にも、RGB画像のようなカラー画像なども含みうる。
【0029】
ここで、実施形態において、距離画像カメラ30による撮像対象は、車両20の内部の空間である。したがって、実施形態において、距離画像カメラ30は、たとえば次の図2に示されるような形で、車両20内に配置されている。
【0030】
図2は、実施形態にかかる距離画像カメラ30の配置の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0031】
図2に示されるように、距離画像カメラ30は、車両10の内部の空間としての車室10a内に配置されている。図2に示される例において、距離画像カメラ30は、車室10a内の空間を見下ろすような形で、車室10aの天井部に配置されている。なお、図2に示される距離画像カメラ30の配置は、あくまで一例である。距離画像カメラ30は、車室10aの天井部以外の場所に配置されていてもよい。
【0032】
ここで、図2に示される例において、斜線のハッチングが付された領域は、距離画像カメラ30の視野に対応する。したがって、距離画像カメラ30は、複数のシート14a~14fおよび床面15を含む車室10a内の空間全体を視野におさめることが可能なように、設置位置および設置姿勢が調整されている。
【0033】
シート14a~14cは、互いに隣接するように配置されている。また、シート14d~14fも、互いに隣接するように配置されている。シート14a~14cと、シート14d~14fとは、距離画像カメラ30の視点から見て、床面15の露出した領域を挟んで対向するように配置されている。なお、以下では、特に区別する必要が無い場合、シート14a~14fを単にシート14と記載する。
【0034】
なお、図2に示されるシート14の個数は、あくまで一例である。したがって、実施形態にかかる技術は、図2に示されるような6人乗りの車両10以外の他の車両にも適用可能である。また、図2に示されるシート14の配置も、あくまで一例である。したがって、実施形態にかかる技術は、図2に示されるような2列のシートが向かい合う形で配置されている車両10以外の他の車両にも適用可能である。
【0035】
このように、実施形態にかかる距離画像カメラ30は、車室10a内の状況を示す2次元画像および距離画像を取得することができる。そして、車室内状態検出装置100は、以下に説明するような構成に基づき、2次元画像および距離画像を利用して、車室10a内の状態を検出する。
【0036】
図1に戻り、車室内状態検出装置100は、取得処理部110と、検出処理部120と、通知処理部130と、を備えている。
【0037】
取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。前述したように、撮像画像とは、2次元画像および距離画像である。
【0038】
検出処理部120は、取得処理部110により取得される撮像画像に基づいて、車室10a内の状態を検出する。より具体的に、検出処理部120は、互いに異なる2つのタイミングで取得された2次元画像の比較結果と、2次元画像が取得された2つのタイミングで取得された距離画像の比較結果と、に基づいて、車室10a内の状態を検出する。詳細は後述するが、実施形態では、車室10a内の状態として、車室10a内の汚れの有無と、車室10a内の忘れ物の有無と、車室10a内の人の傷病度合と、のうち1以上が検出される。
【0039】
なお、実施形態では、車室10a内の領域を、シート14に対応した領域および床面15に対応した領域などといった所定の複数の領域に区分し、区分された領域ごとに、車室10a内の状態を検出することができれば便利である。したがって、実施形態において、検出処理部120は、たとえば人も物も存在していない状態で取得される距離画像などに基づいて設定される区分情報121に基づいて、車室10a内に構成される所定の領域ごとに、車室10a内の状態を検出しうる。
【0040】
通知処理部130は、検出処理部120による検出結果に応じて所定の通知先に通知を行う。検出処理部120による検出対象が車室10a内の汚れの有無である場合と、検出処理部120による検出対象が車室10a内の忘れ物の有無である場合とにおいて、所定の通知先は、たとえば車両10の管理者である。また、検出処理部120による検出対象が車室10a内の人の傷病度合である場合、所定の通知先は、たとえば警察、消防、病院などの緊急通報先または車両緊急通報システムのコールセンターなどである。
【0041】
上記のような構成に基づき、実施形態にかかる車室内状態検出装置100は、下記の図3図7に示されるような一連の処理を実行する。
【0042】
まず、図3を参照して、実施形態の第1の適用例として、検出処理部120による検出対象が車室10a内の汚れの有無である場合に車室内状態検出装置100が実行する一連の処理について説明する。
【0043】
図3は、実施形態の第1の適用例において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。この図3に示される一連の処理は、たとえば車両10が施錠されている場合に開始する。
【0044】
図3に示されるように、第1の適用例では、まず、S301において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。S301で取得される撮像画像としては、基本的には、検出対象の領域に汚れも物も人も存在しない画像が想定される。
【0045】
そして、S302において、取得処理部110は、車両10が開錠されたか否かを判定する。このS302の処理は、車両10が開錠されたと判定されるまで繰り返し実行される。S302において、車両10が開錠されたと判定された場合、次のS303に処理が進む。
【0046】
そして、S303において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。車両10の開錠は、人の乗り降りなどのような車室10a内の状態の変化につながる可能性があるので、車両10の開錠に応じて撮像画像を取得することは、車室10a内の状態の変化の検出に有効である。
【0047】
そして、S304において、検出処理部120は、S301で取得された撮像画像とS303で取得された撮像画像とを(たとえば検出対象の領域同士で)比較し、距離画像に差が存在するか否か、つまり距離画像に変化があるか否かを判定する。
【0048】
S304において、距離画像に変化が無いと判定された場合、後述するS311に処理が進む。一方、S304において、距離画像に変化があると判定された場合、次のS305に処理が進む。
【0049】
S305において、検出処理部120は、S303で取得された撮像画像としての2次元画像および距離画像のうちの少なくとも一方に対して所定の画像認識処理を実行する。所定の画像認識処理とは、たとえば骨格検出処理のような、撮像画像内の人を検出するための処理である。
【0050】
そして、S306において、検出処理部120は、S305の画像認識処理の結果に基づいて、撮像画像から人が検出されたか否かを判定する。
【0051】
S306において、人が検出されなかったと判定された場合、後述するS309に処理が進む。一方、S306において、人が検出されたと判定された場合、次のS307に処理が進む。
【0052】
S307において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0053】
そして、S308において、検出処理部120は、S307で取得された撮像画像に基づいて、S305の所定の画像認識処理により検出された人が車室10a内から降車したか否かを判定する。たとえば、S307で取得された撮像画像に対して所定の画像認識処理を実行しても人が検出されなくなった場合、人が降車したと判定できる。
【0054】
S308において、人が降車していないと判定された場合、S307に処理が戻る。一方、S308において、人が降車したと判定された場合、次のS309に処理が進む。
【0055】
そして、S309において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0056】
そして、S310において、検出処理部120は、S301で取得された撮像画像とS309で取得された撮像画像とを比較し、距離画像に変化があるか否かを判定する。
【0057】
ここで、第1の適用例における検出対象である汚れは、たとえば土や泥、落書き、液体のシミ、または付着ゴミなどであるので、3次元的な高さが微小であることが多い。したがって、S310において、距離画像に変化があると判定された場合、その変化の原因は、汚れでは無く、降車した人の忘れ物などであると推定できるので、そのまま処理が終了する。
【0058】
一方、S310において、距離画像に変化が無いと判定された場合、降車した人が乗っていた領域に忘れ物などの立体物は無く、汚れが存在する可能性があると推定できる。したがって、この場合、次のS311以降の処理により、汚れの検出が試行される。
【0059】
より具体的に、S311において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0060】
そして、S312において、検出処理部120は、汚れ検出処理を実行する。3次元的な高さが微小であることが多い汚れは、距離画像から検出するのが難しいので、汚れ検出処理は、主に2次元画像に基づいて実行される。たとえば、汚れ検出処理は、S301で取得された2次元画像とS311で取得された2次元画像との比較結果(たとえば差分)に基づいて実行される。汚れの特定には、S311で取得された2次元画像の画素値なども考慮されうる。
【0061】
そして、S313において、検出処理部120は、S312の汚れ検出処理の結果に基づいて、車室10a内(のうち検出対象の領域)に汚れがあるか否かを判定する。
【0062】
S313において、汚れが無いと判定された場合、そのまま処理が終了する。一方、S313において、汚れがあると判定された場合、次のS314に処理が進む。
【0063】
そして、S314において、通知処理部130は、汚れがある旨の通知を、車両10の管理者などに向けて実行する。そして、処理が終了する。
【0064】
次に、図4を参照して、実施形態の第2の適用例として、検出処理部120による検出対象が車室10a内の忘れ物の有無である場合に車室内状態検出装置100が実行する一連の処理について説明する。
【0065】
図4は、実施形態の第2の適用例において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。この図4に示される一連の処理も、図3に示される一連の処理と同様、たとえば車両10が施錠されている場合に開始する。
【0066】
図4に示されるように、第2の適用例では、まず、S401において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0067】
そして、S402において、取得処理部110は、車両10が開錠されたか否かを判定する。このS402の処理は、車両10が開錠されたと判定されるまで繰り返し実行される。S402において、車両10が開錠されたと判定された場合、次のS403に処理が進む。
【0068】
そして、S403において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0069】
そして、S404において、検出処理部120は、S401で取得された撮像画像とS403で取得された撮像画像とを(たとえば検出対象の領域同士で)比較し、距離画像に変化があるか否かを判定する。
【0070】
S404において、距離画像に変化が無いと判定された場合、そのまま処理が終了する。一方、S304において、距離画像に変化があると判定された場合、次のS405に処理が進む。
【0071】
S405において、検出処理部120は、S403で取得された撮像画像としての2次元画像および距離画像のうちの少なくとも一方に対して、前述した骨格検出処理のような所定の画像認識処理を実行する。
【0072】
そして、S406において、検出処理部120は、S405の所定の画像認識処理の結果に基づいて、撮像画像から人が検出されたか否かを判定する。
【0073】
S406において、人が検出されなかったと判定された場合、後述するS409に処理が進む。一方、S406において、人が検出されたと判定された場合、次のS407に処理が進む。
【0074】
S407において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0075】
そして、S408において、検出処理部120は、S407で取得された撮像画像に基づいて、S405の所定の画像認識処理により検出された人が車室10a内から降車したか否かを判定する。
【0076】
S408において、人が降車していないと判定された場合、S407に処理が戻る。一方、S408において、人が降車したと判定された場合、次のS409に処理が進む。
【0077】
そして、S409において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0078】
そして、S410において、検出処理部120は、S401で取得された撮像画像とS409で取得された撮像画像とを比較し、距離画像に変化があるか否かを判定する。
【0079】
ここで、第2の適用例における検出対象である忘れ物は、3次元的な高さをある程度以上有した静的な立体物である。したがって、S410において、距離画像に変化が無いと判定された場合、忘れ物が存在していないと推定できるので、そのまま処理が終了する。
【0080】
一方、S410において、距離画像に変化があると判定された場合、忘れ物が存在する可能性があると推定できる。したがって、この場合、次のS411以降の処理により、忘れ物の検出が試行される。
【0081】
より具体的に、S411において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0082】
そして、S412において、検出処理部120は、忘れ物検出処理を実行する。忘れ物検出処理は、たとえば、S401で取得された撮像画像とS411で取得された撮像画像との比較結果(たとえば差分)に基づいて実行される。忘れ物の特定には、S411で取得された2次元画像の画素値なども考慮されうる。
【0083】
そして、S413において、検出処理部120は、S412の忘れ物検出処理の結果に基づいて、車室10a内(のうち検出対象の領域)に忘れ物があるか否かを判定する。
【0084】
S413において、忘れ物が無いと判定された場合、そのまま処理が終了する。一方、S413において、汚れがあると判定された場合、次のS414に処理が進む。
【0085】
そして、S414において、通知処理部130は、忘れ物がある旨の通知を、車両10の管理者などに向けて実行する。そして、処理が終了する。
【0086】
次に、図5を参照して、実施形態の第3の適用例として、検出処理部120による検出対象が車室10a内の人の傷病度合である場合に車室内状態検出装置100が実行する一連の処理について説明する。
【0087】
図5は、実施形態の第3の適用例において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。この図5に示される一連の処理も、図3および図4に示される一連の処理と同様、たとえば車両10が施錠されている場合に開始する。
【0088】
図5に示されるように、第3の適用例では、まず、S501において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0089】
そして、S502において、取得処理部110は、車両10が開錠されたか否かを判定する。このS502の処理は、車両10が開錠されたと判定されるまで繰り返し実行される。S502において、車両10が開錠されたと判定された場合、次のS503に処理が進む。
【0090】
そして、S503において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0091】
そして、S504において、検出処理部120は、S501で取得された撮像画像とS503で取得された撮像画像とを(たとえば検出対象の領域同士で)比較し、距離画像に変化があるか否かを判定する。
【0092】
S504において、距離画像に変化が無いと判定された場合、そのまま処理が終了する。一方、S504において、距離画像に変化があると判定された場合、次のS505に処理が進む。
【0093】
S505において、検出処理部120は、S503で取得された撮像画像としての2次元画像および距離画像のうちの少なくとも一方に対して、前述した骨格検出処理のような所定の画像認識処理を実行する。
【0094】
そして、S506において、検出処理部120は、S505の所定の画像認識処理の結果に基づいて、撮像画像から人が検出されたか否かを判定する。
【0095】
S506において、人が検出されなかったと判定された場合、傷病度合を検出する対象の人が存在しないので、そのまま処理が終了する。一方、S506において、人が検出されたと判定された場合、次のS507以降の処理により、傷病度合の検出が試行される。
【0096】
S507において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0097】
そして、S508において、検出処理部120は、現在の状況が非常時に該当するか否かを判定する。非常時に該当するか否かは、たとえば、車両10に設けられるエアバッグ(不図示)が作動したこと、または車両10内の人が非常時に操作すべきボタンとして車両10に設けられる非常ボタン(不図示)が操作されたこと、などの検出結果に基づいて判定される。
【0098】
S508において、現在の状況が非常時に該当すると判定された場合、S509に処理が進む。そして、S509において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0099】
そして、S510において、検出処理部120は、傷病度合検出処理を実行する。傷病度合検出処理は、たとえば、S507で取得された撮像画像とS509で取得された撮像画像との比較結果に基づいて実行される。
【0100】
ここで、傷病度合検出処理は、意識の有無と出血の有無と出血の度合とを総合的に考慮するように予め設定されたモデルなどに基づいて傷病度合を検出する。意識の有無は、2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方に対する前述した骨格検出処理などにより姿勢の変化を特定することで検出することができる。また、出血の有無は、2次元画像に基づいて検出することができる。また、出血の度合は、2次元画像に写っている肌または衣服において色調が変化した領域の面積などに基づいて検出することができる。
【0101】
そして、S511において、通知処理部130は、S510の傷病度合検出処理の結果を、たとえば警察、消防、病院などの緊急通報先または車両緊急通報システムのコールセンターなどに通知する。そして、処理が終了する。
【0102】
なお、S508において、現在の状況が非常時に該当しないと判定された場合、S512に処理が進む。そして、S512において、検出処理部120は、S507で取得された撮像画像に基づいて、S505の所定の画像認識処理により検出された人が車室10a内から降車したか否かを判定する。
【0103】
S512において、人が降車したと判定された場合、車室10a内の人に傷病は発生していないと推定できるので、そのまま処理が終了する。一方、S512において、人が降車していないと判定された場合、今後の非常時の発生に備えて、S507に処理が戻る。
【0104】
次に、図6および図7を参照して、実施形態の第4の適用例として、検出処理部120による検出対象が、車室10a内の汚れの有無と、車室10a内の忘れ物の有無と、車室10a内の人の傷病度合と、の3つである場合に車室内状態検出装置100が実行する一連の処理について説明する。
【0105】
図6は、実施形態の第4の適用例において実行される一連の処理の一部を示した例示的なフローチャートであり、図7は、実施形態の第4の適用例において実行される一連の処理の残りの一部を示した例示的なフローチャートである。これら図6および図7に示される一連の処理も、図3図5に示される一連の処理と同様、たとえば車両10が施錠されている場合に開始する。
【0106】
図6に示されるように、第4の適用例では、まず、S601において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0107】
そして、S602において、取得処理部110は、車両10が開錠されたか否かを判定する。このS602の処理は、車両10が開錠されたと判定されるまで繰り返し実行される。S602において、車両10が開錠されたと判定された場合、次のS603に処理が進む。
【0108】
そして、S603において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0109】
そして、S604において、検出処理部120は、S601で取得された撮像画像とS603で取得された撮像画像とを(たとえば検出対象の領域同士で)比較し、距離画像に変化があるか否かを判定する。
【0110】
S604において、距離画像に変化が無いと判定された場合、後述するS708(図7参照)以降の処理により、汚れの検出が施行される。一方、S604において、距離画像に変化があると判定された場合、次のS605に処理が進む。
【0111】
S605において、検出処理部120は、S603で取得された撮像画像としての2次元画像および距離画像のうちの少なくとも一方に対して、前述した骨格検出処理のような所定の画像認識処理を実行する。
【0112】
そして、S606において、検出処理部120は、S605の所定の画像認識処理の結果に基づいて、撮像画像から人が検出されたか否かを判定する。
【0113】
S606において、人が検出されなかったと判定された場合、後述するS704(図7参照)以降の処理により、忘れ物の検出が試行される。一方、S606において、人が検出されたと判定された場合、次のS607以降の処理により、傷病度合の検出が試行される。
【0114】
S607において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0115】
そして、S608において、検出処理部120は、現在の状況が非常時に該当するか否かを判定する。非常時に該当するか否かの判定基準は、前述した第3の適用例で用いられる判定基準と同様である。
【0116】
S608において、現在の状況が非常時に該当すると判定された場合、S609に処理が進む。そして、S609において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0117】
そして、S610において、検出処理部120は、傷病度合検出処理を実行する。傷病度合検出処理は、前述した第3の適用例と同様の技術的思想に基づき、たとえば、S607で取得された撮像画像とS609で取得された撮像画像との比較結果に基づいて実行される。
【0118】
そして、S611において、通知処理部130は、S610の傷病度合検出処理の結果を、たとえば警察、消防、病院などの緊急通報先または車両緊急通報システムのコールセンターなどに通知する。そして、処理が終了する。
【0119】
なお、S608において、現在の状況が非常時に該当しないと判定された場合、S701(図7参照)に処理が進む。そして、図7に示されるように、S701において、検出処理部120は、S607で取得された撮像画像に基づいて、S605の所定の画像認識処理により検出された人が車室10a内から降車したか否かを判定する。
【0120】
S701において、人が降車していないと判定された場合、今後の非常時の発生に備えて、S607(図6参照)に処理が戻る。一方、S701において、人が降車したと判定された場合、汚れまたは忘れ物の検出の試行のために、次のS702に処理が進む。
【0121】
そして、S702において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0122】
そして、S703において、検出処理部120は、S601で取得された撮像画像とS702で取得された撮像画像とを比較し、距離画像に変化があるか否かを判定する。
【0123】
S703において、距離画像に変化があると判定された場合、忘れ物が存在する可能性があると推定できる。したがって、この場合、次のS704以降の処理により、忘れ物の検出が試行される。
【0124】
より具体的に、S704において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0125】
そして、S705において、検出処理部120は、忘れ物検出処理を実行する。忘れ物検出処理は、前述した第2の適用例と同様の技術的思想に基づき、たとえば、S601(図6参照)で取得された撮像画像とS704で取得された撮像画像との比較結果(たとえば差分)に基づいて実行される。
【0126】
そして、S706において、検出処理部120は、S705の忘れ物検出処理の結果に基づいて、車室10a内(のうち検出対象の領域)に忘れ物があるか否かを判定する。
【0127】
S706において、忘れ物が無いと判定された場合、そのまま処理が終了する。一方、S706において、汚れがあると判定された場合、次のS707に処理が進む。
【0128】
そして、S707において、通知処理部130は、忘れ物がある旨の通知を、車両10の管理者などに向けて実行する。そして、処理が終了する。
【0129】
なお、S703において、距離画像に変化が無いと判定された場合、降車した人が乗っていた領域に忘れ物などの立体物は無く、汚れが存在する可能性があると推定できる。したがって、この場合、次のS708以降の処理により、汚れの検出が試行される。
【0130】
より具体的に、S708において、取得処理部110は、距離画像カメラ30から撮像画像を取得する。
【0131】
そして、S709において、検出処理部120は、汚れ検出処理を実行する。汚れ検出処理は、前述した第1の適用例と同様の技術的思想に基づき、たとえば、S601(図6参照)で取得された2次元画像とS708で取得された2次元画像との比較結果(たとえば差分)に基づいて実行される。
【0132】
そして、S710において、検出処理部120は、S709の汚れ検出処理の結果に基づいて、車室10a内(のうち検出対象の領域)に汚れがあるか否かを判定する。
【0133】
S710において、汚れが無いと判定された場合、そのまま処理が終了する。一方、S710において、汚れがあると判定された場合、次のS711に処理が進む。
【0134】
そして、S711において、通知処理部130は、汚れがある旨の通知を、車両10の管理者などに向けて実行する。そして、処理が終了する。
【0135】
以上説明したように、実施形態において、車室内状態検出装置100は、取得処理部110と、検出処理部120と、を備えている。取得処理部110は、車室10a内の状況を示す2次元的な情報を有する2次元画像と、車室10a内に存在する対象までの距離を示す距離情報を有する距離画像と、を取得する。検出処理部120は、互いに異なる2つのタイミングで取得された2次元画像の比較結果と、2次元画像が取得された2つのタイミングで取得された距離画像の比較結果と、に基づいて、車室10a内の状態を検出する。
【0136】
上述した車室内状態検出装置100によれば、互いに異なる情報を有する2種類の画像としての2次元画像および距離画像を考慮して、より多角的な観点で、車室内の状態をより精度良く検出することができる。
【0137】
より具体的に、実施形態において、検出処理部120は、2つのタイミングで取得された距離画像が実質的に同一である場合、2つのタイミングで取得された2次元画像の比較結果に基づいて、車室10a内の汚れの有無を検出する。このような構成によれば、3次元的な高さが微小であることが多い汚れを、2次元画像を用いて適切に検出することができる。
【0138】
また、実施形態において、検出処理部120は、2つのタイミングで取得された距離画像に差が存在する場合、2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方に対する所定の画像認識処理の結果に基づいて、車室10a内に人が乗車しているか否かを検出する。このような構成によれば、距離画像の差に基づいて3次元的な高さを有する立体物(人または物)が存在する場合を対象として、車室10a内に人が乗車しているか否かを適切に検出することができる。
【0139】
また、実施形態において、検出処理部120は、車室10a内に人が乗車していると検出された場合、その後に取得される2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方に基づいて、車室10a内から人が降車したか否かを検出する。そして、検出処理部120は、車室10a内から人が降車したと検出され、かつ、車室10a内に人が乗車しているか否かの検出前の第1のタイミングと車室10a内から人が降車したと検出された後の第2のタイミングとで距離画像に差が存在する場合、第1のタイミングと第2のタイミング以降の第3のタイミングとで取得された2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方の比較結果に基づいて、車室10a内に放置された忘れ物の有無を検出する。このような構成によれば、車室10a内から人が降車した場合を対象として、忘れ物の有無を適切に検出することができる。
【0140】
また、実施形態において、検出処理部120は、車室10a内に人が乗車していると検出され、かつ、非常時に対応した所定の条件が成立した場合、所定の条件の成立前の第4のタイミングと所定の条件の成立後の第5のタイミングとで取得された2次元画像および距離画像のうち少なくとも一方の比較結果に基づいて、車室10a内に乗車している人の傷病度合を検出する。前述したように、所定の条件とは、たとえば、車両10に設けられるエアバッグ(不図示)が作動したこと、または、車両10内の人が非常時に操作すべきボタンとして車両10に設けられる非常ボタン(不図示)が操作されたことである。このような構成によれば、車室10a内に人が乗車している場合で、かつ、非常時を対象として、車室10a内に乗車している人の傷病度合を適切に検出することができる。
【0141】
なお、実施形態において、車室内状態検出装置100は、検出処理部120による検出結果に応じて所定の通知先への通知を行う通知処理部130をさらに備えている。このような構成によれば、車室10a内の状態の検出結果を容易に通知することができる。
【0142】
また、実施形態において、取得処理部110は、MaaS車両として構成された車両10の2次元画像および距離画像を取得し、検出処理部120は、MaaS車両として構成された車両10の車室10a内の状態を検出しうる。このような構成によれば、人の乗り降りに応じて変化する車室10a内の状態を精度良く検出することが特に望まれるMaaS車両の有用性を高めることができる。
【0143】
また、実施形態において、検出処理部120は、車室10a内に構成される所定の領域ごとに、車室10a内の状態を検出する。このような構成によれば、たとえば車室10a内の構造物のレイアウトなどに応じて、車室10a内の状態を所定の領域ごとに適切に検出することができる。
【0144】
なお、実施形態にかかる車室内状態検出装置100は、たとえば次の図8に示されるような、一般的なコンピュータと同様のハードウェア構成を有する情報処理装置800によって実現される。
【0145】
図8は、実施形態にかかる車室内状態検出装置100を実現するための情報処理装置800のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0146】
図8に示されるように、実施形態にかかる情報処理装置800は、プロセッサ810と、メモリ820と、ストレージ830と、入出力インターフェース(I/F)840と、通信インターフェース(I/F)850と、を備えている。これらのハードウェアは、バス860に接続されている。
【0147】
プロセッサ810は、たとえばCPU(Central Processing Unit)として構成され、情報処理装置800の各部の動作を統括的に制御する。
【0148】
メモリ820は、たとえばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、プロセッサ810により実行されるプログラムなどの各種のデータの揮発的または不揮発的な記憶、およびプロセッサ810がプログラムを実行するための作業領域の提供などを実現する。
【0149】
ストレージ830は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)を含み、各種のデータを不揮発的に記憶する。
【0150】
入出力インターフェース840は、情報処理装置800へのデータの入力および情報処理装置800からのデータの出力を制御する。
【0151】
通信インターフェース850は、情報処理装置800が他の装置と通信を実行することを可能にする。
【0152】
実施形態において、図1に示される車室内状態検出装置100が有する機能モジュール群は、プロセッサ810がメモリ820またはストレージ830などに記憶された車室内状態検出プログラムを実行した結果として、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。ただし、実施形態では、図1に示される車室内状態検出装置100が有する機能モジュール群のうち少なくとも一部が、専用のハードウェア(回路:circuitry)により実現されてもよい。
【0153】
なお、実施形態にかかる車室内状態検出プログラムは、メモリ820またはストレージ830などの記憶装置に予め組み込まれた状態で提供されてもよいし、フレキシブルディスク(FD)のような各種の磁気ディスク、またはDVD(Digital Versatile Disk)のような各種の光ディスクなどといった、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にインストール可能な形式または実行可能な形式で記録されたコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0154】
また、実施形態にかかる車室内状態検出プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布されてもよい。すなわち、実施形態にかかる車室内状態検出プログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納された状態で、当該コンピュータからネットワーク経由でダウンロードする、といった形で提供されてもよい。
【0155】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0156】
10 車両
10a 車室
100 車室内状態検出装置
110 取得処理部
120 検出処理部
130 通知処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8