(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20231108BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231108BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231108BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20231108BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231108BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20231108BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J7/00 P ZHV
H02J7/00 301B
H01M10/44 Q
H01M10/46 101
B60L50/60
B60L53/16
(21)【出願番号】P 2020016815
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 徹
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-241670(JP,A)
【文献】特開2011-072104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/04
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/46
B60L 50/60
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から車載の蓄電装置に充電する外部充電が可能な車両であって、
前記外部充電を停止させるための停止操作を受付ける停止操作部と、
前記停止操作部で前記停止操作が受付けられたことを条件として前記外部充電を停止させる制御部と
、
外部からの充電用の充電コネクタを接続可能なインレットと、
前記インレットへの前記充電コネクタの接続を検知する検知部とを備え、
前記制御部は、前記停止操作部での前記停止操作と異なる特定動作が受付けられた場合、前記停止操作の受付を無効化
し、
前記特定動作は、所定対象に対する予定されている動作とは異なる動作であり、
前記所定対象は、前記充電コネクタであり、
前記特定動作は、所定期間内の所定回数の前記所定対象の接続および不接続の動作である、車両。
【請求項2】
外部から車載の蓄電装置に充電する外部充電が可能な車両であって、
前記外部充電を停止させるための停止操作を受付ける停止操作部と、
前記停止操作部で前記停止操作が受付けられたことを条件として前記外部充電を停止させる制御部と
、
外部からの充電用の充電コネクタを接続可能なインレットと、
前記インレットに接続された前記充電コネクタが外れないラッチ状態とするラッチ機構と、
前記ラッチ機構によるラッチ状態を解除するための解除操作を受付ける解除操作部とを備え、
前記制御部は、前記停止操作部での前記停止操作と異なる特定動作が受付けられた場合、前記停止操作の受付を無効化
し、
前記特定動作は、所定対象に対する予定されている動作とは異なる動作であり、
前記所定対象は、前記解除操作部であり、
前記特定動作は、前記所定対象に対する所定期間内の所定回数の前記解除操作である、車両。
【請求項3】
外部から車載の蓄電装置に充電する外部充電が可能な車両であって、
前記外部充電を停止させるための停止操作を受付ける停止操作部と、
前記停止操作部で前記停止操作が受付けられたことを条件として前記外部充電を停止させる制御部と
、
外部からの充電用の充電コネクタを接続可能なインレットと、
前記インレットに接続された前記充電コネクタが外れないロック状態と外すことが可能なアンロック状態とを切替えるロック機構と、
前記ロック機構によるロック状態およびアンロック状態との切替操作を受付ける切替操作部とを備え、
前記制御部は、前記停止操作部での前記停止操作と異なる特定動作が受付けられた場合、前記停止操作の受付を無効化
し、
前記特定動作は、所定対象に対する予定されている動作とは異なる動作であり、
前記所定対象は、前記切替操作部であり、
前記特定動作は、前記所定対象に対する所定期間内の所定回数の前記切替操作である、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、車両に関し、特に、外部から車載の蓄電装置に充電する外部充電が可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急停止スイッチがユーザによって操作されると電力のやりとりが停止される装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置において、緊急停止スイッチが電力のやりとりを停止させる状態のまま故障してしまうと、電力のやりとりをしたい場合であっても、できなくなってしまうといった問題が生じる。
【0005】
この開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、充電を停止させる操作を受付ける操作部が故障した場合であっても充電をすることが可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示に係る車両は、外部から車載の蓄電装置に充電する外部充電が可能な車両である。車両は、外部充電を停止させるための停止操作を受付ける停止操作部と、停止操作部で停止操作が受付けられたことを条件として外部充電を停止させる制御部とを備える。制御部は、停止操作部での停止操作と異なる特定動作が受付けられた場合、停止操作の受付を無効化する。
【0007】
このような構成によれば、外部充電を停止させるための停止操作と異なる特定動作が受付けられた場合、停止操作部による停止操作の受付が無効化される。その結果、外部充電を停止させる停止操作を受付ける停止操作部が故障した場合であっても外部充電をすることが可能な車両を提供することができる。
【0008】
好ましくは、特定動作は、所定対象に対する予定されている動作とは異なる動作である。このような構成によれば、所定対象に対する予定されている動作と異なる特定動作が受付けられたと判断された場合、停止操作部による停止操作の受付が無効化される。このため、車両に既に備えられた所定対象に対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【0009】
さらに好ましくは、車両は、外部からの充電用の充電コネクタを接続可能なインレットと、インレットへの充電コネクタの接続を検知する検知部とをさらに備える。所定対象は、充電コネクタである。特定動作は、所定期間内の所定回数の所定対象の接続および不接続の動作である。
【0010】
このような構成によれば、所定期間内の所定回数の充電コネクタの接続および不接続の動作が、特定動作として受付けられたと判断された場合、停止操作部による停止操作の受付が無効化される。このため、車両に既に備えられた充電コネクタに対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【0011】
さらに好ましくは、車両は、外部からの充電用の充電コネクタを接続可能なインレットと、インレットに接続された充電コネクタが外れないラッチ状態とするラッチ機構と、ラッチ機構によるラッチ状態を解除するための解除操作を受付ける解除操作部とをさらに備える。所定対象は、解除操作部である。特定動作は、所定対象に対する所定期間内の所定回数の解除操作である。
【0012】
このような構成によれば、解除操作部に対する所定期間内の所定回数の解除操作が、特定動作として受付けられたと判断された場合、停止操作部による停止操作の受付が無効化される。このため、車両に既に備えられた解除操作部に対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【0013】
さらに好ましくは、車両は、外部からの充電用の充電コネクタを接続可能なインレットと、インレットに接続された充電コネクタが外れないロック状態と外すことが可能なアンロック状態とを切替えるロック機構と、ロック機構によるロック状態およびアンロック状態との切替操作を受付ける切替操作部とをさらに備える。所定対象は、切替操作部である。特定動作は、所定対象に対する所定期間内の所定回数の切替操作である。
【0014】
このような構成によれば、切替操作部に対する所定期間内の所定回数の切替操作が、特定動作として受付けられたと判断された場合、停止操作部による停止操作の受付が無効化される。このため、車両に既に備えられた切替操作部に対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
この開示によれば、外部充電を停止させる停止操作を受付ける停止操作部が故障した場合であっても外部充電をすることが可能な車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この実施の形態における外部充電が可能な車両の全体ブロック図である。
【
図2】インレット周辺および充電ケーブルの構造を示す図である。
【
図3】コネクタロック機構のロック状態におけるインレットおよび充電コネクタの断面図である。
【
図4】コネクタロック機構のアンロック状態におけるインレットおよび充電コネクタの断面図である。
【
図5】この実施の形態における外部充電に関する回路の概略を示す図である。
【
図6】この実施の形態の充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態の充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第3実施形態の充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】変形例の外部充電が可能な車両の第1の全体ブロック図である。
【
図10】変形例の外部充電が可能な車輌の第2の全体ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
[充電システムの説明]
図1は、この実施の形態における外部充電が可能な車両の全体ブロック図である。
図1を参照して、車両100は、外部から車載の蓄電装置110に充電する外部充電が可能な車両であり、たとえば、ハイブリッド車両である。車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレー(以下「SMR(System Main Relay)」という)115と、駆動装置であるPCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130,135と、動力伝達ギヤ140と、駆動輪150と、内燃機関であるエンジン160と、制御装置であるECU(Electronic Control Unit)300とを備える。PCU120は、コンバータ121と、インバータ122,123と、コンデンサC1,C2とを含む。
【0019】
蓄電装置110は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置110は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池または鉛蓄電池などの二次電池、あるいは電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
【0020】
蓄電装置110は、電力線PL1,NL1を介してPCU120に接続される。そして、蓄電装置110は、車両100の駆動力を発生させるための電力をPCU120に供給する。また、蓄電装置110は、モータジェネレータ130、135で発電された電力を蓄電する。蓄電装置110の出力は、たとえば200V程度である。
【0021】
蓄電装置110は、いずれも図示しないが電圧センサおよび電流センサを含み、これらのセンサによって検出された、蓄電装置110の電圧VBおよび電流IBをECU300へ出力する。
【0022】
SMR115は、蓄電装置110の正極端と電力線PL1とに接続されるリレー、および蓄電装置110の負極端と電力線NL1とに接続されるリレーを含む。SMR115は、ECU300からの制御信号SE1に基づいて、蓄電装置110とPCU120との間で電力の供給と遮断とを切換える。
【0023】
コンバータ121は、ECU300からの制御信号PWCに基づいて、電力線PL1,NL1と電力線PL2,電力線NL1との間で電圧変換を行なう。
【0024】
インバータ122,123は、電力線PL2および電力線NL1に並列に接続される。インバータ122,123は、ECU300からの制御信号PWI1,PWI2にそれぞれ基づいて、コンバータ121から供給される直流電力を交流電力に変換し、モータジェネレータ130,135をそれぞれ駆動する。
【0025】
コンデンサC1は、電力線PL1および電力線NL1の間に設けられ、電力線PL1および電力線NL1間の電圧変動を減少させる。また、コンデンサC2は、電力線PL2および電力線NL1の間に設けられ、電力線PL2および電力線NL1間の電圧変動を減少させる。
【0026】
モータジェネレータ130,135は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。
【0027】
モータジェネレータ130,135の出力トルクは、減速機や動力分割機構を含んで構成される動力伝達ギヤ140を介して駆動輪150に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ130,135は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、PCU120によって蓄電装置110の充電電力に変換される。
【0028】
また、モータジェネレータ130,135は、動力伝達ギヤ140を介してエンジン160とも結合される。そして、ECU300により、モータジェネレータ130,135およびエンジン160が協調的に制御されて、必要な車両駆動力が発生される。さらに、モータジェネレータ130,135は、エンジン160の回転により発電が可能であり、この発電電力を用いて蓄電装置110を充電することができる。なお、本実施の形態においては、モータジェネレータ135は、専ら駆動輪150を駆動するための電動機として用いられ、モータジェネレータ130は、専らエンジン160により駆動される発電機として用いられる。
【0029】
なお、
図1においては、モータジェネレータが2つ設けられる構成が例として示されるが、モータジェネレータの数はこれに限定されず、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0030】
図2は、インレット220周辺および充電ケーブル400の構造を示す図である。
図1および
図2を参照して、車両100は、外部電源500からの電力によって蓄電装置110を充電するための構成として、電力変換装置200と、充電リレー(以下、「CHR(Charge Relay)」という)210と、接続部であるインレット220と、コネクタロック機構260と、コネクタロックスイッチ177と、充電停止スイッチ301と、充電リッド222とを含む。
【0031】
充電リッド222は、開閉可能に構成され、閉じた状態では、インレット220およびコネクタロックスイッチ177を覆い隠す。充電リッド222が開いた状態では、インレット220に、充電ケーブル400の充電コネクタ410が接続可能となったり、コネクタロックスイッチ177が操作可能となったりする。
【0032】
インレット220に、充電ケーブル400の充電コネクタ410が接続されると、外部電源500からの電力が、充電ケーブル400を介して車両100の蓄電装置110に伝達可能となる。以下、外部電源500から蓄電装置110に電力が充電されることを外部充電という。
【0033】
コネクタロック機構260は、充電コネクタ410を、インレット220から外れないように機械的にロックする。コネクタロックスイッチ177は、コネクタロック機構260をロックまたはアンロックするためのユーザの操作を受付ける操作部であり、インレット220の近傍に設けられる。充電コネクタ410がインレット220に挿入された状態において、コネクタロックスイッチ177が操作されるたびに、ECU300のCPU310に操作信号が入力される。CPU310は、このコネクタロックスイッチ177からの操作信号に応じて、コネクタロック機構260のロックおよびアンロックを切替えるためのLOCK信号を、コネクタロック機構260に出力する。コネクタロック機構260は、LOCK信号に応じて、充電コネクタ410のロックおよびアンロックを切替える。以下、コネクタロック機構260をロックおよびアンロックするためのコネクタロックスイッチ177の操作を、以下、それぞれ、ロック操作およびアンロック操作と呼ぶ。
【0034】
充電ケーブル400は、充電コネクタ410に加えて、外部電源500のコンセント510に接続するためのプラグ420と、充電コネクタ410およびプラグ420とを接続するケーブル部440とを含む。ケーブル部440の途中には、外部電源500からの電力の供給および遮断を切換えるための充電回路遮断装置(以下、「CCID(Charging Circuit Interrupt Device)」とも称する。)430が設けられる。
【0035】
電力変換装置200は、電力線ACL1,ACL2を介して、インレット220に接続される。また、電力変換装置200は、CHR210を介して、電力線PL2および電力線NL2によって蓄電装置110に接続される。
【0036】
電力変換装置200は、ECU300からの制御信号PWDによって制御され、インレット220から供給される交流電力を、蓄電装置110の直流の充電電力に変換する。また、電力変換装置200は、蓄電装置110からの直流電力またはモータジェネレータ130,135により発電されてPCU120で変換された直流電力を交流電力に変換して、車両外部へ給電することも可能である。電力変換装置200は、充電および給電の双方向の電力変換が可能な1つの装置であってもよいし、充電用の装置および給電用の装置を個別の装置として含むものであってもよい。
【0037】
CHR210は、ECU300からの制御信号SE2によって制御され、電力変換装置200と蓄電装置110との間の電力の供給と遮断とを切換える。
【0038】
ECU300は、いずれも
図1には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力、および、各機器への制御信号の出力を行なうとともに、蓄電装置110および車両100の各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0039】
ECU300は、蓄電装置110からの電圧VBおよび電流IBの検出値に基づいて、蓄電装置110の充電状態SOC(State of Charge)を演算する。
【0040】
ECU300は、充電ケーブル400の接続状態を示す信号PISWを充電コネクタ410から受ける。また、ECU300は、充電ケーブル400のCCID430からパイロット信号CPLTを受ける。ECU300は、
図5で後述するように、これらの信号に基づいて充電動作を実行する。また、ECU300は、制御信号DRVによって、エンジン160を制御する。
【0041】
ECU300は、充電停止スイッチ301がユーザによってオン状態とされたときに、充電を停止させるための信号STPを受ける。ECU300は、信号STPを受けると、外部充電を停止させるための制御を実行する。
【0042】
なお、
図1においては、ECU300として1つの制御装置を設ける構成としているが、たとえば、PCU120用の制御装置および蓄電装置110用の制御装置などのように、機能ごとまたは制御対象機器ごとに個別の制御装置を設ける構成としてもよい。
【0043】
車両100は、さらにコネクタロック機構260および押圧力検出センサ263を備える。コネクタロック機構260は、インレット220の上方(インレット220の近傍)に設けられる。コネクタロック機構260は、充電ケーブル400をインレット220から取り外し不能なロック状態と、充電ケーブル400をインレット220から取り外し可能なアンロック状態との切り替えが可能に構成される。
【0044】
具体的には、コネクタロック機構260は、上下方向にスライドするロックバー262と、ロックバー262をスライド動作させる電磁式のアクチュエータ261とを備える。ロックバー262の下端部には、押圧力検出センサ263が設けられる。
【0045】
図3は、コネクタロック機構260のロック状態におけるインレット220および充電コネクタ410の断面図である。
図4は、コネクタロック機構260のアンロック状態におけるインレット220および充電コネクタ410の断面図である。
図3および
図4は、
図2におけるIII-III断面図である。
図2から
図4を参照して、充電コネクタ410とインレット220とを係合および固定する機構について説明する。
【0046】
充電コネクタ410の先端には接続部413が設けられ、インレット220に電気的に導通可能に接続される。充電コネクタ410には、リンク416が設けられている。このリンク416は、軸417の周りに回転自在に取り付けられ、一端にインレット220の突起221と係合する凸部が設けられ、他端には押しボタン415が設けられている。なお、リンク416は、バネ414によって充電コネクタ410の本体に対して弾性的に付勢されている(
図3および
図4参照)。充電コネクタ410とインレット220とが電気的に接続されると、充電ケーブル400が電気的に接続された状態を示す接続信号(プロキシメトリディテクション信号)PISWがインレット220を介してECU300に送信される。ECU300は、PISWを受信すると、充電コネクタ410とインレット220とが電気的に接続された状態であると判定する。
【0047】
図3において、充電コネクタ410がインレット220に挿入されると、電気的に接続されるとともに、リンク416の凸部がインレット220の突起221と係合する(以下「係合状態」、「ラッチ状態」ともいう)。そのため、充電コネクタ410がインレット220から抜けない状態となる。リンク416の凸部と、インレット220の突起221との組合せをラッチ機構と呼ぶ。リンク416の凸部は、充電ケーブル400の側のラッチ機構である。インレット220の突起221は、車両100の側のラッチ機構である。
【0048】
コネクタロック機構260のロック状態では、ロックバー262は、下方にスライド移動され、リンク416の上面に接する位置で固定される。これにより、押しボタン415が押されてもリンク416の回転がロックバー262によって抑制され、リンク416の凸部が上昇せずインレット220の突起221から外れないようになる。すなわち、ユーザが押しボタン415を押しても充電コネクタ410をインレット220から取り外すことができない状態となる。
【0049】
押圧力検出センサ263は、充電コネクタ410とインレット220とが係合され、ロック状態となると、リンク416の凸部の係合が外れるのを阻止する位置にロックバー262の下端部とともに移動される。このとき、押圧力検出センサ263は、リンク416の上面側に当接し押圧される。押圧力検出センサ263に加わる押圧力は電気的な信号に変換されて、ECU300へ送られる。ECU300は、押圧力検出センサ263に加わる押圧力が所定値以上であればロック状態であると判定する。ECU300は、押圧力検出センサ263に加わる押圧力が所定値未満であればアンロック状態であると判定する。
【0050】
図4において、アンロック状態では、ロックバー262は、上方にスライド移動され、リンク416の回転を抑制しない位置で固定される。これにより、ロックバー262がリンク416の回転を抑制しないので、押しボタン415が押し込まれるとリンク416が軸417の周りに回転し反対側の端部に設けられている凸部が上昇する。これにより、リンク416の凸部がインレット220の突起221から外れ、充電コネクタ410をインレット220から取り外すことができるようになる。すなわち、ユーザが押しボタン415を押すことで充電ケーブル400をインレット220から取り外すことができる状態となる。
【0051】
ECU300は、コネクタロックスイッチ177の操作を検出した場合、コネクタロックスイッチ177の操作を受け付ける。コネクタロックスイッチ177の操作を受け付けた場合、ECU300は、コネクタロック機構260の状態がアンロック状態であるときはロック指令を、コネクタロック機構260の状態がロック状態であるときはアンロック指令をアクチュエータ261にそれぞれ出力する。
【0052】
図5は、この実施の形態における外部充電に関する回路の概略を示す図である。
図5を参照して、CCID430は、CCIDリレー450と、CCID制御部460と、コントロールパイロット回路470と、電磁コイル471と、漏電検出器480と、電圧センサ481と、電流センサ482とを含む。また、コントロールパイロット回路470は、発振回路472と、抵抗R20と、電圧センサ473とを含む。
【0053】
CCIDリレー450は、充電ケーブル400内のケーブル部440に介挿される。CCIDリレー450は、コントロールパイロット回路470によって制御される。そして、CCIDリレー450が開放されているときは、充電ケーブル400内で電路が遮断される。一方、CCIDリレー450が閉成されると、外部電源500から車両100へ電力が供給される。
【0054】
コントロールパイロット回路470は、充電コネクタ410およびインレット220を介してECU300へパイロット信号CPLTを出力する。このパイロット信号CPLTは、コントロールパイロット回路470からECU300へ充電ケーブル400の定格電流を通知するための信号である。また、パイロット信号CPLTは、ECU300によって操作されるパイロット信号CPLTの電位に基づいて、ECU300からCCIDリレー450を遠隔操作するための信号としても使用される。そして、コントロールパイロット回路470は、パイロット信号CPLTの電位変化に基づいてCCIDリレー450を制御する。
【0055】
上述のパイロット信号CPLTおよび接続信号PISW、ならびに、インレット220および充電コネクタ410の形状および端子配置などの構成は、たとえば、米国のSAE(Society of Automotive Engineers)および日本電動車両協会等において規格化されている。
【0056】
CCID制御部460は、いずれも図示しないが、CPUと、記憶装置と、入出力バッファとを含み、各センサおよびコントロールパイロット回路470の信号の入出力を行なうとともに、充電ケーブル400の充電動作を制御する。
【0057】
発振回路472は、電圧センサ473によって検出されるパイロット信号CPLTの電位が規定の電位(たとえば、12V)のときは非発振の信号を出力し、パイロット信号CPLTの電位が上記の規定の電位から低下したとき(たとえば、9V)は、CCID制御部460により制御されて、規定の周波数(たとえば1kHz)およびデューティサイクルで発振する信号を出力する。
【0058】
なお、パイロット信号CPLTの電位は、ECU300によって操作される。また、デューティサイクルは、外部電源500から充電ケーブル400を介して車両100へ供給可能な定格電流に基づいて設定される。
【0059】
パイロット信号CPLTは、上述のようにパイロット信号CPLTの電位が規定の電位から低下すると、規定の周期で発振する。ここで、外部電源500から充電ケーブル400を介して車両100へ供給可能な定格電流に基づいてパイロット信号CPLTのパルス幅が設定される。すなわち、この発振周期に対するパルス幅の比で示されるデューティによって、パイロット信号CPLTを用いてコントロールパイロット回路470から車両100のECU300へ定格電流が通知される。
【0060】
なお、定格電流は、充電ケーブル毎に定められており、充電ケーブル400の種類が異なれば定格電流も異なる。したがって、充電ケーブル400毎にパイロット信号CPLTのデューティも異なる。
【0061】
ECU300は、コントロールパイロット線L1を介して受信したパイロット信号CPLTのデューティに基づいて、充電ケーブル400を介して車両100へ供給可能な定格電流を検知することができる。
【0062】
ECU300によってパイロット信号CPLTの電位がさらに低下されると(たとえば、6V)、コントロールパイロット回路470は、電磁コイル471へ電流を供給する。電磁コイル471は、コントロールパイロット回路470から電流が供給されると電磁力を発生し、CCIDリレー450の接点を閉じて導通状態にする。
【0063】
漏電検出器480は、CCID430内部において充電ケーブル400のケーブル部440の途中に設けられ、漏電の有無を検出する。具体的には、漏電検出器480は、対となるケーブル部440に互いに反対方向に流れる電流の平衡状態を検出し、その平衡状態が破綻すると漏電の発生を検知する。なお、特に図示しないが、漏電検出器480により漏電が検出されると、電磁コイル471への給電が遮断され、CCIDリレー450の接点が開放されて非導通状態となる。
【0064】
電圧センサ481は、充電ケーブル400のプラグ420がコンセント510に差し込まれると、外部電源500から伝達される電源電圧を検知し、その検出値をCCID制御部460に通知する。また、電流センサ482は、ケーブル部440に流れる電流を検知し、その検出値をCCID制御部460に通知する。
【0065】
充電コネクタ410内には、抵抗R25,R26およびスイッチSW20を含む接続検知回路411が含まれる。抵抗R25,R26は、接続信号線L3と接地線L2との間に直列に接続される。スイッチSW20は、抵抗R26に並列に接続される。
【0066】
スイッチSW20は、たとえばリミットスイッチであり、充電コネクタ410がインレット220に確実に嵌合された状態で接点が閉じられる。充電コネクタ410がインレット220から切り離された状態、および充電コネクタ410とインレット220との嵌合状態が不確実な場合には、スイッチSW20の接点が開放される。また、スイッチSW20は、充電コネクタ410に設けられて充電コネクタ410をインレット220から取り外す際にユーザによって操作される押しボタン415が操作されることによっても接点が開放される。
【0067】
充電コネクタ410がインレット220から切り離された状態では、ECU300に含まれる電源ノード350の電圧およびプルアップ抵抗R10、ならびにインレット220に設けられた抵抗R15によって定まる電圧信号が接続信号PISWとして接続信号線L3に発生する。また、充電コネクタ410がインレット220に接続された状態では、嵌合状態および押しボタン415の操作状態などに対応して、抵抗R15,R25,R26の組み合わせによる合成抵抗に応じた電圧信号が接続信号線L3に発生する。
【0068】
ECU300は、接続信号線L3の電位(すなわち、接続信号PISWの電位)を検出することによって、充電コネクタ410の接続状態および嵌合状態を判定することができる。
【0069】
車両100においては、ECU300は、上記の電源ノード350およびプルアップ抵抗R10に加えて、CPU310と、抵抗回路320と、入力バッファ330,340とをさらに含む。
【0070】
抵抗回路320は、プルダウン抵抗R1,R2と、スイッチSW1,SW2とを含む。プルダウン抵抗R1およびスイッチSW1は、パイロット信号CPLTが通信されるコントロールパイロット線L1と車両アース360との間に直列に接続される。プルダウン抵抗R2およびスイッチSW2も、コントロールパイロット線L1と車両アース360との間に直列に接続される。そして、スイッチSW1,SW2は、それぞれCPU310からの制御信号S1,S2に従って導通または非導通に制御される。
【0071】
この抵抗回路320は、車両100側からパイロット信号CPLTの電位を操作するための回路である。
【0072】
入力バッファ330は、コントロールパイロット線L1のパイロット信号CPLTを受け、その受けたパイロット信号CPLTをCPU310へ出力する。入力バッファ340は、充電コネクタ410の接続検知回路411に接続される接続信号線L3から接続信号PISWを受け、その受けた接続信号PISWをCPU310へ出力する。なお、接続信号線L3には上記で説明したようにECU300から電圧がかけられており、充電コネクタ410のインレット220への接続によって、接続信号PISWの電位が変化する。CPU310は、この接続信号PISWの電位を検出することによって、充電コネクタ410の接続状態および嵌合状態を検出する。
【0073】
CPU310は、入力バッファ330,340から、パイロット信号CPLTおよび接続信号PISWをそれぞれ受ける。CPU310は、接続信号PISWの電位を検出し、充電コネクタ410の接続状態および嵌合状態を検出する。また、CPU310は、パイロット信号CPLTの発振状態およびデューティサイクルを検知することによって、充電ケーブル400の定格電流を検出する。
【0074】
そして、CPU310は、接続信号PISWの電位およびパイロット信号CPLTの発振状態に基づいて、スイッチSW1,SW2の制御信号S1,S2を制御することによって、パイロット信号CPLTの電位を操作する。これによって、CPU310は、CCIDリレー450を遠隔操作することができる。そして、充電ケーブル400を介して外部電源500から車両100への電力の伝達が行なわれる。
【0075】
CPU310は、電力線ACL1,ACL2間に設けられる電圧センサ230で検出される、外部電源500からの供給される電圧VACを受ける。
【0076】
図1および
図5を参照して、CCIDリレー450の接点が閉じられると、電力変換装置200に外部電源500からの交流電力が与えられ、外部電源500から蓄電装置110への充電準備が完了する。CPU310は、電力変換装置200に対し制御信号PWDを出力することによって、外部電源500からの交流電力を蓄電装置110が充電可能な直流電力に変換する。そして、CPU310は、制御信号SE2を出力してCHR210の接点を閉じることにより、蓄電装置110への充電を実行する。
【0077】
[第1実施形態]
従来、充電停止スイッチ301がユーザによって操作されると外部充電が停止される。しかし、充電停止スイッチ301が外部充電を停止させる状態のまま故障(たとえば、閉故障)してしまうと、外部充電をしたい場合であっても、できなくなってしまうといった問題が生じる。
【0078】
そこで、この開示に係る車両100は、外部充電を停止させるための停止操作を受付ける充電停止スイッチ301と、充電停止スイッチ301で停止操作が受付けられたことを条件として外部充電を停止させるECU300とを備え、ECU300は、充電停止スイッチ301での停止操作と異なる特定動作が受付けられ場合、停止操作の受付を無効化する。
【0079】
これにより、外部充電を停止させるための停止操作と異なる特定動作が受付けられた場合、充電停止スイッチ301による停止操作の受付が無効化される。その結果、外部充電を停止させる停止操作を受付ける充電停止スイッチ301が故障した場合であっても外部充電をすることができる。
【0080】
以下、この実施の形態での制御について説明する。
図6は、この実施の形態の充電制御処理の流れを示すフローチャートである。この充電制御処理は、ECU300のCPU310によって、上位の処理から所定周期ごとに呼出されて実行される。
【0081】
図6を参照して、CPU310は、無効確定待ちフラグがオン状態であるか否かを判断する(ステップS111)。無効確定待ちフラグは、充電停止スイッチ301による停止操作が無効化された状態とするかを待っている状態であるか否かを示すフラグであり、具体的には、所定対象に対する予定されている動作が行われたか、予定されている動作とは異なる特定動作が行われたかの判断を待っている状態であるか否かを示すフラグである。
【0082】
無効確定待ちフラグがオン状態でない(ステップS111でNO)、つまり、オフ状態であると判断した場合、CPU310は、充電コネクタ410のインレット220への挿入を検知したか否かを判断する(ステップS112)。
図5で説明したように、CPU310は、接続信号線L3の電位、つまり、接続信号PISWの電位を検出することによって、充電コネクタ410の嵌合状態を判定することができる。
【0083】
充電コネクタ410の挿入を検知した(ステップS112でYES)と判断した場合、CPU310は、無効確定待ちフラグをオン状態にする(ステップS113)。充電コネクタ410の挿入を検知していない(ステップS112でNO)と判断した場合、および、ステップS113の後、CPU310は、実行する処理をステップS131に進める。
【0084】
無効確定待ちフラグがオン状態である(ステップS111でYES)と判断した場合、CPU310は、ステップS112と同様の方法で、充電コネクタ410のインレット220への挿入を検知したか否かを判断する(ステップS121)。
【0085】
充電コネクタ410の挿入を検知した(ステップS121でYES)と判断した場合、CPU310は、停止無効フラグをオン状態にし、無効確定待ちフラグをオフ状態にして(ステップS122)、実行する処理をステップS131に進める。停止無効フラグは、充電停止スイッチ301による停止操作が無効化された状態であるか否かを示すフラグであり、具体的には、所定対象に対する予定されている動作と異なる特定動作が行われた状態であるか否かを示すフラグである。
【0086】
一方、充電コネクタ410の挿入を検知していない(ステップS121でNO)と判断した場合、CPU310は、無効確定待ちフラグをオン状態としてから所定期間(たとえば、2,3秒から10秒程度の所定秒)が経過したか否かを判断する(ステップS123)。所定期間が経過した(ステップS123でYES)と判断した場合、CPU310は、無効確定待ちフラグをオフ状態とする(ステップS124)。所定期間が経過していない(ステップS123でNO)と判断した場合、および、ステップS124の後、CPU310は、実行する処理をステップS131に進める。
【0087】
ステップS131に処理が進められると、CPU310は、充電開始条件が成立したか否かを判断する(ステップS131)。充電開始条件は、外部充電を開始させることが可能となるための条件である。充電開始条件は、たとえば、蓄電装置110のSOCが所定上限値未満であり、かつ、外部電源500のコンセント510にプラグ420が接続され、かつ、充電コネクタ410がインレット220に挿入された場合に成立する。なお、急速充電の場合は、さらに、外部充電を開始するための急速充電器の側の操作がユーザによって実行された場合に、充電開始条件が成立する。
【0088】
充電開始条件が成立した(ステップS131でYES)と判断した場合、CPU310は、充電停止スイッチ301から充電停止操作信号STPが入力されているか否かを判断する(ステップS132)。充電停止操作信号STPは、ユーザによって充電停止スイッチ301が押下されている間、入力されるとともに、充電停止スイッチ301が閉故障である場合、入力され続ける。
【0089】
充電停止操作信号STPが入力されている(ステップS132でYES)と判断した場合、CPU310は、停止無効フラグがオン状態であるか否かを判断する(ステップS133)。
【0090】
充電停止操作信号STPが入力されていない(ステップS132でNO)と判断した場合、および、充電停止操作信号STPが入力されたが停止無効フラグがオン状態である(ステップS133でYES)と判断した場合、CPU310は、外部充電を開始するよう制御する(ステップS134)。
【0091】
一方、充電開始条件が成立した(ステップS131でYES)と判断されたときに、充電停止操作信号が入力されている(ステップS132でYES)と判断された場合には、停止無効フラグがオン状態でない(ステップS133でNO)、つまり、オフ状態であると判断された場合は、外部充電は開始されない。
【0092】
充電開始条件が成立していない(ステップS131でNO)と判断した場合、停止無効フラグがオン状態でない(ステップS133でNO)と判断した場合、および、ステップS134の後、CPU310は、外部充電中であるか否かを判断する(ステップS141)。
【0093】
外部充電中である(ステップS141でYES)と判断した場合、CPU310は、ステップS132と同様に、充電停止スイッチ301から充電停止操作信号STPが入力されたか否かを判断する(ステップS142)。
【0094】
充電停止操作信号STPが入力された(ステップS142でYES)と判断した場合、CPU310は、停止無効フラグがオン状態であるか否かを判断する(ステップS143)。
【0095】
停止無効フラグがオン状態でない(ステップS143でNO)、つまり、オフ状態であると判断した場合、CPU310は、外部充電を停止するよう制御する(ステップS144)。
【0096】
一方、外部充電中である(ステップS141でYES)と判断されたときに、充電停止操作信号STPが入力された(ステップS142でYES)と判断された場合であっても、停止無効フラグがオン状態である(ステップS143でYES)と判断された場合は、ステップS144に処理は進められず、外部充電は継続される。
【0097】
外部充電中でない(ステップS141でNO)と判断した場合、充電停止操作信号STPが入力されていない(ステップS142でNO)と判断した場合、停止無効フラグがオン状態である(ステップS143でYES)と判断した場合、および、ステップS144の後、CPU310は、充電終了条件が成立したか否かを判断する(ステップS151)。充電終了条件は、外部充電を終了させる条件である。充電終了条件は、たとえば、蓄電装置110のSOCが所定上限値に達した場合に成立する。
【0098】
充電終了条件が成立した(ステップS151でYES)と判断した場合、CPU310は、外部充電を停止するよう制御し(ステップS152)、停止無効フラグをオフ状態とする(ステップS153)。
【0099】
充電終了条件が成立していない(ステップS151でNO)と判断した場合、および、ステップS153の後、CPU310は、実行する処理をこの充電制御処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0100】
このように、第1実施形態においては、ECU300は、インレット220への充電コネクタ410の所定期間内の所定回数の接続および不接続の動作が受付けられたと判断した場合、外部充電を停止させるための停止操作の受付を無効化する。
【0101】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、所定期間内に充電コネクタ410のインレット220への挿入が複数(第1実施形態においては2回)検出された場合(つまり、充電コネクタ410の挿入、抜去および挿入が、順に、所定期間内に行われた場合)に、充電停止スイッチ301による充電を停止させる操作が無効とされるようにした。
【0102】
第2実施形態においては、ラッチ状態を解除するための充電コネクタ410の押しボタン415の操作が、所定期間内に複数回(第2実施形態においては2回)検出された場合に、充電停止スイッチ301による充電を停止させる操作が無効とされるようにする。
【0103】
図7は、第2実施形態の充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
図7を参照して、
図7の充電制御処理は、
図6で説明した第1実施形態の充電制御処理のステップS112およびステップS121を、それぞれ、ステップS112AおよびステップS121Aに変更したものである。
【0104】
ステップS112AおよびステップS121Aでは、CPU310は、充電コネクタ410のラッチ状態を解除するための押しボタン415の押下操作が検知されたか否かを判断する。
図5で説明したように、CPU310は、押しボタン415の操作状態に対応して変化する接続信号線L3の電位、すなわち、接続信号PISWの電位を入力バッファ340で検出することで、押しボタン415が押下操作されたか否かを検知する。
【0105】
このように、第2実施形態においては、ECU300は、押しボタン415に対する所定期間内の所定回数の解除操作が受付けられたと判断した場合、外部充電を停止させるための停止操作の受付を無効化する。
【0106】
[第3実施形態]
第3実施形態においては、コネクタロック機構260をロックさせるためのコネクタロックスイッチ177のロック操作が、所定期間内に複数回(第3実施形態においては2回)検出された場合(つまり、コネクタロックスイッチ177のロック操作、アンロック操作、および、ロック操作が、順に、所定期間内に行われた場合)に、充電停止スイッチ301による充電を停止させる操作が無効とされるようにする。
【0107】
図8は、第3実施形態の充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8を参照して、
図8の充電制御処理は、
図6で説明した第1実施形態の充電制御処理のステップS112およびステップS121を、それぞれ、ステップS112BおよびステップS121Bに変更したものである。
【0108】
ステップS112BおよびステップS121Bでは、CPU310は、充電コネクタ410をコネクタロック機構260でロックまたはアンロックするためのコネクタロックスイッチ177のロック操作が検知されたか否かを判断する。
図1および
図2で説明したように、コネクタロックスイッチ177が押下操作されるたびに、CPU310に操作信号が入力される。充電コネクタ410がインレット220に挿入されてから最初に入力されたコネクタロックスイッチ177からの操作信号は、コネクタロック機構260をロックさせるための操作信号とされる。
【0109】
このように、第3実施形態においては、ECU300は、コネクタロックスイッチ177に対する所定期間内の所定回数の切替操作が受付けられたと判断した場合、外部充電を停止させるための停止操作の受付を無効化する。
【0110】
[変形例]
(1) 前述した実施の形態において、車両100は、プラグインハイブリッド車両であることとした。しかし、これに限定されず、車両100は、外部から車載の蓄電装置110に充電する外部充電が可能な車両であればよく、たとえば、電気自動車であってもよいし、燃料電池自動車であってもよい。
【0111】
(2) 前述した実施の形態において、所定対象に対する予定されている動作とは異なる特定動作が受付けられたと判断された場合に、外部充電を停止させるための停止操作の受付を無効化するようにした。
【0112】
具体的には、第1実施形態においては、所定対象は、充電コネクタ410である。所定対象に対する予定されている動作は、充電コネクタ410のインレット220への通常態様での挿入(具体的には、所定期間内に1回の挿入)である。特定動作は、
図6で示したような、充電コネクタ410のインレット220への特定態様での挿入(具体的には、所定期間内に複数回の挿入)である。
【0113】
第2実施形態においては、所定対象は、ラッチ状態を解除するための充電コネクタ410の押しボタン415である。所定対象に対する予定されている動作は、押しボタン415の通常態様での操作(具体的には、所定期間内に1回の操作)である。特定動作は、
図7で示したような、押しボタン415の特定態様での操作(具体的には、所定期間内に複数回の操作)である。
【0114】
第3実施形態においては、所定対象は、充電コネクタ410をコネクタロック機構260でロックまたはアンロックするためのコネクタロックスイッチ177である。所定対象に対する予定されている動作は、コネクタロックスイッチ177の通常態様での操作(具体的には、所定期間内に1回の操作)である。特定動作は、
図8で示したような、コネクタロックスイッチ177の特定態様での操作(具体的には、所定期間内に複数回のロック操作)である。
【0115】
しかし、これに限定されず、所定対象および特定動作は、それぞれ、他の所定対象および他の特定動作であってもよく、たとえば、所定対象が充電リッド222であり、特定動作が充電リッド222に対する特定態様での動作(たとえば、所定期間内での複数回の開放動作)であってもよい。なお、充電リッド222に対する予定されている動作は、所定期間内での1回の開放動作である。
【0116】
(3) 前述した実施の形態においては、特定動作が受付けられたと判断された場合、
図6~
図8のステップS122で示した処理により停止無効フラグがオン状態とされることで、外部充電の停止操作の受付が、ソフトウェア的に無効化されるようにした。しかし、これに限定されず、充電停止操作信号STPがCPU310に入力可能な状態と入力不能な状態とを切替可能な切替回路が設けられ、特定動作が受付けられた場合に、当該切替回路が入力不能な状態に切替えられることで、外部充電の停止操作の受付が、ハードウェア的に無効化されるようにしてもよい。
【0117】
(4) 前述した実施の形態においては、
図6から
図8で示したように、特定動作が、所定対象に対する予定されている動作とは異なる動作であることとした。しかし、これに限定されず、所定対象は、車両100に予め設けられた構成であってもよいし、特定動作を受付けるために車両100に設けられた構成であってもよい(なお、この場合は、特定動作が所定対象に対する予定されている動作である)。また、特定動作は、所定対象に対する動作でないこととしてもよいし、車両100によって検知可能な他のどのような動作であってもよい。
【0118】
(5) 前述した実施の形態においては、
図6から
図8のステップS112,ステップS121,ステップS112A,ステップS121A,ステップS112B,ステップS121Bで示したように、ECU300が、充電停止スイッチ301での停止操作と異なる特定動作が受付けられたかを判断するようにした。
【0119】
しかし、これに限定されず、停止操作と異なる特定動作が受付けられたかを判断する特定動作判断部を、ECU300とは別に設けるようにしてもよい。この場合、特定動作判断部は、特定動作が受付けられたか否かの判断結果を示す情報を、ECU300に送信するようにする。なお、前述した第1実施形態から第3実施形態は、ECU300が特定動作判断部を含んでいると考えることができる。
【0120】
図9は、変形例の外部充電が可能な車両の第1の全体ブロック図である。
図9を参照して、第1実施形態においては、特定動作判断部390Aは、接続信号PISWの電位を検出することによって、充電コネクタ410の嵌合状態を判定し、充電コネクタ410の挿入が複数回、検出された場合に、特定動作が受付けられたと判断し、特定動作が受付けられたか否かの判断結果を示す信号を、ECU300に送信する。
【0121】
再び
図9を参照して、第2実施形態においては、特定動作判断部390Aは、接続信号PISWの電位を検出することによって、押しボタン415が押下操作されたかを判定し、押しボタン415に対する所定期間内の所定回数の解除操作が受付けられた場合に、特定動作が受付けられたと判断し、特定動作が受付けられたか否かの判断結果を示す信号を、ECU300に送信する。
【0122】
図10は、変形例の外部充電が可能な車輌の第2の全体ブロック図である。
図10を参照して、第3実施形態においては、特定動作判断部390Bは、コネクタロック機構260をロックさせるためのコネクタロックスイッチ177のロック操作が、所定期間内に複数回、検出された場合に、特定動作が受付けられたと判断し、特定動作が受付けられたか否かの判断結果を示す信号を、ECU300に送信する。
【0123】
[まとめ]
(1)
図1から
図5で示したように、車両100は、外部充電を停止させるための停止操作を受付ける充電停止スイッチ301と、充電停止スイッチ301で停止操作が受付けられたことを条件として外部充電を停止させるECU300とを備える。
図6から
図8で示したように、ECU300は、充電停止スイッチ301での停止操作と異なる特定動作が受付けられたことを判断し(ステップS112,ステップS121,ステップS112A,ステップS121A,ステップS112B,ステップS121B)、特定動作が受付けられたと判断した場合、停止操作の受付を無効化する(ステップS122)。
【0124】
これにより、外部充電を停止させるための停止操作と異なる特定動作が受付けられたと判断された場合、充電停止スイッチ301による停止操作の受付が無効化される。その結果、外部充電を停止させる停止操作を受付ける充電停止スイッチ301が故障した場合であっても外部充電をすることができる。
【0125】
(2)
図6から
図8で示したように、特定動作は、所定対象に対する予定されている動作とは異なる動作である。これにより、所定対象に対する予定されている動作と異なる特定動作が受付けられたと判断された場合、充電停止スイッチ301による停止操作の受付が無効化される。このため、車両に既に備えられた所定対象に対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【0126】
(3)
図1から
図5で示したように、車両100は、外部からの充電用の充電コネクタ410を接続可能なインレット220を備える。
図6で示したように、ECU300は、インレット220への充電コネクタ410の接続を検知し(ステップS112,ステップS121)、所定対象は、充電コネクタ410であり、特定動作は、所定期間内の所定回数の所定対象の接続および不接続の動作である。
【0127】
これにより、所定期間内の所定回数の充電コネクタ410の接続および不接続の動作が、特定動作として受付けられたと判断された場合、充電停止スイッチ301による停止操作の受付が無効化される。このため、車両100に既に備えられた充電コネクタ410に対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【0128】
(4)
図1から
図5で示したように、車両100は、外部からの充電用の充電コネクタ410を接続可能なインレット220と、インレット220に接続された充電コネクタ410が外れないラッチ状態とするラッチ機構(リンク416の凸部と、インレット220の突起221との組合せ)と、ラッチ機構によるラッチ状態を解除するための解除操作を受付ける押しボタン415とをさらに備える。
図7で示したように、所定対象は、押しボタン415であり、特定動作は、所定対象に対する所定期間内の所定回数の解除操作である。
【0129】
これにより、押しボタン415に対する所定期間内の所定回数の解除操作が、特定動作として受付けられたと判断された場合、充電停止スイッチ301による停止操作の受付が無効化される。このため、車両100に既に備えられた押しボタン415に対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【0130】
(5)
図1から
図5で示したように、車両100は、外部からの充電用の充電コネクタ410を接続可能なインレット220と、インレット220に接続された充電コネクタ410が外れないロック状態と外すことが可能なアンロック状態とを切替えるコネクタロック機構260と、コネクタロック機構260によるロック状態およびアンロック状態との切替操作を受付けるコネクタロックスイッチ177とをさらに備える。
図8で示したように、所定対象は、コネクタロックスイッチ177であり、特定動作は、所定対象に対する所定期間内の所定回数の切替操作である。
【0131】
これにより、コネクタロックスイッチ177に対する所定期間内の所定回数の切替操作が、特定動作として受付けられたと判断された場合、充電停止スイッチ301による停止操作の受付が無効化される。このため、車両100に既に備えられたコネクタロックスイッチ177に対する動作として特定動作を受付けることができる。その結果、特別な構成を設ける必要無く、特定動作を受付けることができる。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
100 車両、110 蓄電装置、120 PCU、121 コンバータ、122,123 インバータ、130,135 モータジェネレータ、140 動力伝達ギヤ、150 駆動輪、160 エンジン、177 コネクタロックスイッチ、200 電力変換装置、220 インレット、221 突起、222 充電リッド、230,473,481 電圧センサ、260 コネクタロック機構、261 アクチュエータ、262 ロックバー、263 押圧力検出センサ、300 ECU、301 充電停止スイッチ、310 CPU、320 抵抗回路、330,340 入力バッファ、350 電源ノード、360 アース、390A,390B 特定動作判断部、400 充電ケーブル、410 充電コネクタ、411 接続検知回路、413 接続部、414 バネ、415 押しボタン、416 リンク、417 軸、420 プラグ、440 ケーブル部、450 CCIDリレー、460 CCID制御部、470 コントロールパイロット回路、471 電磁コイル、472 発振回路、480 漏電検出器、482 電流センサ、500 外部電源、510 コンセント。