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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電子機器取付構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20231108BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H05K5/02 E
F16B5/10 H
F16B5/10 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020019302
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021125612
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 利通
【審査官】原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-119413(JP,A)
【文献】特開2003-332758(JP,A)
【文献】特開2018-9674(JP,A)
【文献】特開2010-123795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と前記電子機器を1の方向に拘束しつつスライド可能に保持する保持フレームとの固定構造であって、
前記電子機器に固定され、前記1の方向に軸方向に沿うようにネジを保持可能なネジ保持部と、
前記ネジ保持部と前記ネジを介して接続されていることにより前記1の方向において前記ネジ保持部と共に移動自在であり、かつ前記スライド方向と交叉する方向に前記保持フレームを越えて突出する突起部を有するラッチ部と、
前記保持フレームに含まれ、且つ前記突起部を受け入れた際に前記ネジの締結により前記突起部と係合して前記1の方向のうちの1の向きへの前記ラッチ部の移動を停止する取付孔を有する係止部と、を有し、
前記ネジ保持部は、前記ネジのネジ頭の周りに前記ネジへの接触を防止する保護部を有する、
ことを特徴とする電子機器取付構造。
【請求項2】
前記保持フレームに設けられ前記電子機器の当接により前記電子機器のスライドを停止する停止部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器取付構造。
【請求項3】
前記ネジはいたずら防止ネジである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器取付構造。
【請求項4】
前記突起部は先端に前記1の方向に曲がる鉤部を備える、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電子機器取付構造。
【請求項5】
前記係止部は弾性変形するブラケットを備える、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電子機器取付構造。
【請求項6】
前記保護部は、前記1の方向に延びる少なくとも1以上の壁部を有している、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電子機器取付構造。
【請求項7】
前記ラッチ部は、一端が前記ネジのネジ頭側に回動自在に螺合され他端が前記ネジ保持部に回動自在に支持され且つ前記ネジの締結により前記1の方向に交差する方向に中間の関節部が動くリンク機構部を備え、前記関節部が前記保持フレームの前記取付孔に係合する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を構造物に取付ける電子機器取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオ、モニタ、通信機等の電子機器を構造物に取付ける電子機器取付構造には、電子機器の盗難等の権限のない電子機器の取り外しから防止する取付構造を含むセキュリティーロック構造が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水平方向に伸びた案内溝と雌ねじを無線機本体の側壁に形成し、車両に取り付けられる取付金具を前記無線機本体が収納可能な形状に形成するとともに、前記無線機本体の案内溝が慴動可能なレールと、前記雌ねじに対応するねじ穴を取付金具の側面に形成し、断面がコの字型の金具の相対向する片にそれぞれ、錠の可動勾部を嵌入するための錠通し穴を形成するとともに、中央の片にねじを嵌入するためのねじ穴を形成し、前記取付金具に収納された前記雌ねじにねじを前記コの字型の金具のねじ穴を介して締め付け、前記コの字型の金具の相対向する片の錠通し穴に錠の可動勾部を嵌入した後に錠をロックするセキュリティーロック構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-246196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された上記従来のセキュリティーロック構造では、無線機の防盗性を確保するために、例えば、取り外し困難な位置に錠を固定してしまうと、無線機の故障修理を行うときやメンテナンスを行うとき等、無線機を取り外す必要があるときに、取り外しにくい。すなわち、無線機本体の側面に垂直な方向からでしか、錠を外し無線機本体を外すことができないという問題点があった。
【0006】
一方、無線機のメンテナンス性を確保するため、錠の取り外し容易な位置に錠を固定してしまうと、防盗性を損なう問題点があった。
【0007】
すなわち、無線機の防盗性と、無線機のメンテナンス性は、互いにトレードオフの関係にあり、両立することが難しい、という問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、電子機器の構造物からの盗防性と電子機器の取付容易性の両立を達成できる電子機器取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子機器取付構造は、電子機器と前記電子機器を1の方向に拘束しつつスライド可能に保持する保持フレームとの固定構造であって、
前記電子機器に固定され、前記1の方向に軸方向に沿うようにネジを保持可能なネジ保持部と、
前記ネジ保持部と前記ネジを介して接続されていることにより前記1の方向において前記ネジ保持部と共に移動自在であり、かつ前記スライド方向と交叉する方向に前記保持フレームを越えて突出する突起部を有するラッチ部と、
前記保持フレームに含まれ、且つ前記突起部を受け入れた際に前記ネジの締結により前記突起部と係合して前記1の方向のうちの1の向きへの前記ラッチ部の移動を停止する取付孔を有する係止部と、を有し、
前記ネジ保持部は、前記ネジのネジ頭の周りに前記ネジへの接触を防止する保護部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、電子機器の構造物からの盗防性と電子機器の取付容易性の両立を達成できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の電子機器取付構造を備えた車載無線機と取付金具と電子機器固定用固定金具の組立体の外観を示す斜視図である。
図2】本実施例の電子機器取付構造を備えた取付金具の外観を示す斜視図である。
図3】本実施例の電子機器取付構造を備えた車載無線機の外観を示す斜視図である。
図4】本実施例の電子機器取付構造における電子機器固定用固定金具の分解斜視図である。
図5】本実施例の電子機器取付構造における電子機器固定用固定金具の外観を示す斜視図である。
図6】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図7】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図8】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図9】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図10】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図11】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図12】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図13】本実施例の電子機器取付構造の動作を説明するための当該構造の一部分を示す斜視図である。
図14】本実施例の変形例の電子機器取付構造の動作を説明するため概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施例にかかわる電子機器の一例として車載無線機の取付構造を説明する。なお、以下の説明および添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付し、重複した説明は省略する。また、説明の便宜上、図に示すように車載無線機の正面側を前側と決めて、その反対を奥側とし、当該前側から見て左右上下をそれぞれ左側(L)、右側(R)、上側および下側として定義して説明する。さらに、車載無線機の外観における前側の操作パネルなどのスイッチ類、奥側のケーブル類の説明は省く。
【0013】
(構成の説明)
図1は、本発明の実施例の電子機器取付構造を備えた車載無線機101と取付金具102(保持フレーム)と電子機器固定用固定金具(以下、単に、固定金具という)103の組立体の外観を示す斜視図である。車載無線機101のシャーシ101aすなわち筐体は略長方体形状の外観を有している。取付金具102は構造物(図示せず)に固定され、シャーシ101aを左右側面から挟み車載無線機101を支持する部材である。固定金具103は、車載無線機101の前側付近におけるシャーシ101aと取付金具102との間に挟まれ取付金具102に対して車載無線機101を固定する部材である。
【0014】
[取付金具]
取付金具102は、シャーシ101aを左右から挟むように平行な左右壁を備えた、全体的に横断面がコの字形の金属板体である。図2に示すように、取付金具102は、横断面がコの字形の取付金具本体102aと、その左右壁終端の奥側のリミッターLTと、左右壁の先端の左右一対の平行な挿入ガイド部102a-1と、取付金具本体102aの左壁前側に2個のリベット102cで接合されたブラケット102bと、リベット102c近傍のブラケット102bに設けられた取付孔102b-1とを有する。
【0015】
取付金具102のリミッターLTは、車載無線機101が奥側から外れないようにその移動を制限する停止部である。
【0016】
左右一対の挿入ガイド部102a-1は、車載無線機101の左右側の挿入ガイド溝101a-2(後述する)と嵌合する互いに平行に対向する先端縁部を有する。
【0017】
ブラケット102bは弾性(バネ性)のある板金体のカンチレバーである。ブラケット102bは、その先端に挿入案内ガイド形状102b-2を有する。ブラケット102bの先端の挿入案内ガイド形状102b-2を左側へ押圧することで、ブラケット102bは弾性変形する。ブラケット102bは、その取付孔102b-1が固定金具103(後述する)と嵌合する係止部である。ブラケット102bは、車載無線機101へ向け右方向に挿入時の固定金具103を押圧する。
【0018】
また、取付金具本体102aの内側の左右両コーナーには、挿入ガイド部102a-1と対向して一対のクッション102dが配置されている。クッション102dは、車載無線機101の取付金具102への嵌合時に、クッション102dの弾性によって負荷を与えて挿抜方向の車載無線機101の位置を保持する緩衝部材である。
【0019】
また、図1は構造物(図示せず)の上面に車載無線機101が取付金具102を介して固定される場合の様子を示している。なお、取付金具102は、上向きに開いて車載無線機101を下から保持でき、又は、下向きに開いて車載無線機101を上から懸下して保持できる。
【0020】
[車載無線機]
図3に示すように、車載無線機101のシャーシ101aの左右側面には、奥側から前側へ延びる左右線対称の二対の平行な挿入ガイド溝101a-2が設けられている。挿入ガイド溝101a-2が取付金具102の挿入ガイド部102a-1の先端縁部と嵌合した場合、車載無線機101がシャーシ101aに支持される。二対の平行な挿入ガイド溝101a-2が設けられているのは、取付金具102が上向き/下向きにどちらに開いても車載無線機101を上に又は下に保持することを選択する為である。
【0021】
また、車載無線機101のシャーシ101aの左右側面には、挿入ガイド部102a-1に続くその前側に固定金具103の位置決めのための矩形の凹部RCが設けられている。凹部RCの底面には、固定金具103と締結するための左右二対の雌ネジ部101a-1が設けられている。凹部RCは、固定金具103の一部のガイド溝としても機能する挿入ガイド部102a-1に平行な内側面IFを有する。
【0022】
雌ネジ部101a-1付きの凹部RCと取付金具102の取付孔102b-1付きのブラケット102bとが車載無線機101の左側面の前側に配置した理由は、固定金具103を車載無線機101の操作面と同じ方向に隣接してメンテナンスできる配置とする為である。なお、ここでは、固定金具103が車載無線機101の左側面の前側に配置されるが、同右側に配置され得る。
【0023】
[固定金具]
図4に示すように、固定金具103は、皿ネジ103cで固定される固定側の第1の固定金具プレート103b(一軸方向に沿うようにネジを保持可能なネジ保持部)と、この上で可動する第2の固定金具プレート103d(ラッチ部)と、両者を結合するトルクスタンパーネジ103eとを含む。図5に示すように、トルクスタンパーネジ103eの締結(螺合)によって、第1の固定金具プレート103b及び可動側の第2の固定金具プレート103dが摺り合わされ、固定できるように構成される。トルクスタンパーネジ103eは、これを回すためにネジ頭の駆動部に合った特殊ドライバーにて行うネジである。なお、いたずら防止ネジとして、トルクスタンパーネジ103eを使用しているが、他の特殊ネジを使用してもよい。
【0024】
[第1の固定金具プレート]
固定側の第1の固定金具プレート103bは、奥側に車載無線機101の側面の凹部RCに嵌る屈曲部BPと、前側にトルクスタンパーネジの座面SFとを有する概略L(エル)字形の板金体である。座面SFは、第1の固定金具プレート103bが車載無線機101の側面に固定された際に、当該側面と直角になるように形成され、さらに、トルクスタンパーネジ用の雌ネジ孔FHが、ねじ込まれるトルクスタンパーネジの軸線が当該側面及び挿入ガイド溝101a-2に平行となるように、形成されている。
【0025】
第1の固定金具プレート103bの座面SFには、トルクスタンパーネジのネジ頭の周りに該ネジへの接触を防止する保護部としてトルクスタンパーネジ用の雌ネジ孔FHを挟んで前側に突出した壁部である曲げL103b-1と曲げR103b-2が平行に形成されている。曲げL103b-1と曲げR103b-2は、トルクスタンパーネジ103eのネジ頭の左右にチャッキングを防ぐ様に雌ネジ孔FHの近傍に配置されている。保護部の壁部は平行以外に互いに直角をなすように設けてもよい。なお、第1の固定金具プレート103bの座面SFと屈曲部BPとの間には、皿ネジ用の貫通孔PHが予め形成されている。
【0026】
[第2の固定金具プレート]
可動側の第2の固定金具プレート103dは、固定側の第1の固定金具プレート103bと同様に、概略L(エル)字形の板金体であり、その座面SF2には、トルクスタンパーネジ用の雌ネジ孔FH2を有する。第2の固定金具プレート103dは、第1の固定金具プレート103bに、両雌ネジ孔FH、FH2にねじ込まれるトルクスタンパーネジにより、結合されるとともに、第1の固定金具プレート103bの上で摺り合わされるように形成されている。すなわち、第2の固定金具プレート103dは、トルクスタンパーネジ103eの回転によって第1の固定金具プレート103bに対して可動(摺動)されるように構成されている。
【0027】
第2の固定金具プレート103dは、第1の固定金具プレート103bが車載無線機101の側面に固定された際に、ブラケット102bの取付孔102b-1(図2)に入り込んでロックする曲げフック部103d-1(突起部)と、第2の固定金具プレート103dの摺動時に姿勢を保つガイド形状103d-2を有する。曲げフック部103d-1は、可動方向と交叉する方向にブラケット102bを越えて突出する高さを有している。
【0028】
曲げフック部103d-1は、第2の固定金具プレート103dの摺動時において、その先端がブラケット102bから圧力を受ける。
【0029】
曲げフック部103d-1は、その先端に前側へ突出する鉤部PJを有する。当該鉤部PJは、第1の固定金具プレート103bが車載無線機101の側面に固定された際に、ブラケット102bの取付孔102b-1に入り込んだ後に、第2の固定金具プレート103dが駆動されブラケット102bと係合して固定されるように、形成されている。
【0030】
ガイド形状103d-2は、第1の固定金具プレート103bが車載無線機101の側面に固定された際に、車載無線機101の側面における凹部RCの挿入ガイド部102a-1に平行な内側面IFに案内されるように、形成されている。
【0031】
(動作の説明)
[固定金具103の車載無線機への取付]
図6に示すように、皿ネジ用の貫通孔PHを介して皿ネジ103cにより、車載用無線機101の雌ネジ部101a-1に第1の固定金具プレート103bを固定する。第1の固定金具プレート103bと車載無線機101の側面の凹部RCとの間でスペーサ103aを挟み込んだ状態で皿ネジ103cにて固定する。
【0032】
図7に示すように、固定側の第1の固定金具プレート103bは、挿入ガイド部102a-1の前側に固定される。
【0033】
図8に示すように、車載無線機101の側面の固定された第1の固定金具プレート103bの上に、第2の固定金具プレート103dを重ねて、第1の固定金具プレート103b及び第2の固定金具プレート103dの両雌ネジ孔FH、FH2を合わせて、これらネジ孔へ車載無線機101の前側(操作面側)からトルクスタンパーネジ103eをねじ込み、図9に示すように、第2の固定金具プレート103dをアンロック状態(車載無線機101が奥側のリミッターLTまで挿入された場合に曲げフック部103d-1の鉤部PJが取付孔102b-1を通過できる状態)で第1の固定金具プレート103bの上で保持する。
【0034】
このように、固定金具103を車載無線機101の左側面に取付ける。
【0035】
[車載無線機の取付金具102への挿入]
図10に示すように、左側面に固定金具103を取付けた車載無線機101を、車両等の構造物(図示せず)に取り付けられた取付金具102のブラケット102bの内側から、固定金具103とブラケット102bとを揃えて互いに近づくように挿入する。
【0036】
図11に示すように、第2の固定金具プレート103dの曲げフック部103d-1をブラケット102bの取付孔102b-1に内側から突き出して入れ込んだ状態のまま、車載無線機101を取付金具102の奥側のリミッターLT(図1)まで挿入する。
【0037】
このようにして、図12に示すように、固定金具103をアンロック状態のままで車載無線機101を取付金具102のリミッターLTまで挿入する。
【0038】
[車載無線機の取付金具102への固定と解除]
この固定金具103のアンロック状態で、車載無線機101の挿入方向からトルクスタンパーネジ103eで第1の固定金具プレート103bと第2の固定金具プレート103dを嵌合締結させる。このネジ締めにはトルクスタンパーネジ103eのネジ頭の駆動部に合った特殊ドライバーにて行う。
【0039】
図13に示すように、ネジ締結(締め付け)することで、第2の固定金具プレート103dが車載無線機101の凹部RCの内側面IF(図6)に沿ってスライドして前方に引き込まれて、曲げフック部103d-1の鉤部PJがブラケット102bの板厚面外側を押さえて引っ掛かり嵌合され、車載無線機101が固定される。
【0040】
このように、ブラケット102bは弾力性を有する板金であるので、固定金具103(第1の固定金具プレート103b及び第2の固定金具プレート103d)とトルクスタンパーネジ103eを予め車載無線機101側に取付けることで、ブラケット102bの案内ガイド形状102b-2に沿って曲げフック部103d-1が押し上げる(図11)ようにブラケット102bを撓めて、取付孔102b-1位置で入り込み、トルクスタンパーネジ103eを締め付けることで曲げフック部103d-1がブラケット102bの板厚面外側を押さえて引っ掛かり嵌合され、車載無線機101が取り出せなくなり固定されロック状態となる。
【0041】
車載無線機101の取外しは、トルクスタンパーネジ103eを緩め、曲げフック部103d-1が取付孔102b-1からの引っ掛かりを解除したアンロック状態の位置(図12)で、ブラケット102bを左側外へ手で撓めて、車載無線装置101を引き出すことができる。
【0042】
(効果の説明)
以上のように本実施例によれば、プライヤー等でトルクスタンパーネジ103eをチャッキングしようとしても直に触れることができなくするガード形状である曲げL103b-1と曲げR103b-2が有るため、部品の変形や破損、破壊をしない限り、トルクスタンパーネジ103eのネジ頭の駆動部に合った特殊工具以外の一般工具では外すことができない効果を得られる。
【0043】
更に、トルクスタンパーネジ103eを車載無線機101の操作面と同じ方向に隣接して配置したため、操作保守面と同じ方向からアクセスでき、車載無線機101の取付位置の制約を抑え、省スペースでの取付作業エリアを確保できる効果を得られる。
【0044】
本実施例では車載無線装置101に適用した例を説明したが、挿入嵌合して抜け止めを兼ねたロック構造で防盗性を要する他の電子機器にもコンパクトな保守エリアで適用可能である。
【0045】
また本実施例によれば、固定金具103とブラケット102b等を追加した程度で、部材点数の増加の抑制と取付工数の削減の効果が期待できる。
【0046】
(変形例の説明)
以上の本実施例は、図14に示す概略説明図(図14(a)~図14(c))のように構成されるが、図14(d)~図14(f)に示す変形例も本発明に含まれる。
【0047】
本実施例は、図14(a)に示すように、アンロック状態の第2の固定金具プレート103dの曲げフック部103d-1を弾性変形するブラケット102bの取付孔102b-1に内側から突き出して入れ込み、図14(b)に示すように、固定金具103をアンロック状態のままで車載無線機101を取付金具102のリミッターLTまで挿入し、図14(c)に示すように、トルクスタンパーネジ103eで第1の固定金具プレート103bと第2の固定金具プレート103dを嵌合締結させる構造であるが、変形例では、図14(d)に示すように、第1の固定金具プレート103bと第2の固定金具プレート103dに代えて、車載無線機101に固定される固定側のネジ保持部プレート103b1と可動側のラッチリンク部103d1を固定金具103として用いる。ラッチリンク部103d1は、一端E1がトルクスタンパーネジ103eのネジ頭側に回動自在に螺合され他端E2がネジ保持部プレート103b1に回動自在に支持され且つ該ネジの締結により奥側方向に取付金具102の取付孔102b-1に向かって中間の関節部JTが動くリンク機構部である。
【0048】
変形例では、図14(d)に示すように取付金具102と車載無線機101の間に固定金具103(ネジ保持部プレート103b1と可動側のラッチリンク部103d1)がアンロック状態で挿入され、図14(e)に示すように、固定金具103をアンロック状態のままで車載無線機101を取付金具102のリミッターLTまで挿入し、図14(f)に示すように、トルクスタンパーネジ103eで第1の固定金具プレート103bと第2の固定金具プレート103dを嵌合締結させる。
【0049】
また本変形例によれば、固定金具103とブラケットが省略でき取付金具102に取付孔102b-1も設けるので、部材点数の増加の抑制と取付工数の削減の効果が期待できる。
【符号の説明】
【0050】
101 車載無線機
102 取付金具
102b ブラケット
102b-1 取付孔
103 固定金具
103b 第1の固定金具プレート
103b-1 曲げL
103b-2 曲げR
103d-1 フック部
103d 第2の固定金具プレート
103e トルクスタンパーネジ
PJ 鉤部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14