(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】地中埋設管路の補修構造及び補修方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20231108BHJP
F16L 55/17 20060101ALI20231108BHJP
H02G 9/06 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H02G1/06
F16L55/17
H02G9/06
(21)【出願番号】P 2020020256
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】横山 哲司
(72)【発明者】
【氏名】田中 優祐
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-171630(JP,A)
【文献】特開2018-010196(JP,A)
【文献】実公昭50-027594(JP,Y1)
【文献】特開2016-114180(JP,A)
【文献】実開昭53-036720(JP,U)
【文献】国際公開第2015/129041(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00-1/10
H02G 9/00-9/12
F16L 55/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを内部に収容すると共に地中に埋設された管路の損傷箇所を補修する地中埋設管路の補修構造において、
前記管路の損傷箇所が補修材で被覆されていると共に、
前記管路を中心として当該管路の径方向となる水平方向に拡がるように平面状に延びるコンクリート層
の地中部分により、前記管路の前記補修材で被覆された部分が覆われていることを特徴とする地中埋設管路の補修構造。
【請求項2】
ケーブルを内部に収容すると共に地中に埋設された管路の損傷箇所を補修する地中埋設管路の補修方法において、
前記地中に埋設された管路の周囲を掘り下げて、流体状のコンクリートを入れて平面状に延びるコンクリート層を構成するための上方に開口した孔を形成して、前記孔内に前記管路の損傷箇所を表出させる孔形成ステップと、
前記孔内に表出した管路の損傷箇所を補修材で被覆する補修材被覆ステップと、
前記流体状のコンクリートを、前記管路を埋めるように前記孔に流入させつつ打設することにより、前記管路を中心として当該管路の径方向となる水平方向に拡がるように前記平面状に延びるコンクリート層を構成して、前記平面状に延びるコンクリート層の地中部分により前記管路の前記補修材で被覆した部分を覆うコンクリート層打設ステップと、
を有することを特徴とする地中埋設管路の補修方法。
【請求項3】
前記孔形成ステップと前記補修材被覆ステップ
との間に、前記管路の損傷箇所を内部が目視可能な開口部に広げる開口部形成ステップを更に有することを特徴とする
請求項2に記載の地中埋設管路の補修方法。
【請求項4】
前記管路の損傷箇所を補修材で被覆するとは、自己融着テープで前記管路の損傷箇所を覆うように前記管路に巻き付けることであることを特徴とする
請求項2又は請求項3に記載の地中埋設管路の補修方法。
【請求項5】
前記管路の損傷箇所を補修材で被覆するとは、半割れ状態の一対の半円筒体を組み合わせることにより前記管路の外周に装着可能な筒形状となる管路部材で損傷箇所を覆うように前記管路に固定することであることを特徴とする
請求項2又は請求項3に記載の地中埋設管路の補修方法。
【請求項6】
前記平面状に延びるコンクリート層は、電力施設を地上に設置するためのコンクリート基礎であり、前記コンクリート基礎の地中部分となっている略直方体状の基礎本体により、前記管路の補修材で被覆された部分が覆われることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の地中埋設管路の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電力用ケーブル等のケーブルが内部に収容されて地中に埋設された管路を補修するための構造及び前記管路を補修するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上にコンデンサ形計器用変圧器(Potential DeviceやPDとも称する。)等の電力施設を設置するための基礎工事で、電力用ケーブル管路の埋設位置を確認するために試掘する場合がある。試掘では、例えば手掘り等で慎重に電力用ケーブルの埋設が予想される箇所を掘り下げた後、電力用ケーブルを保護するための保護板が出てきた場合には、必要に応じてショベルカーで保護板の位置をずらしたり外したりするが、その際に、電力用ケーブル管路を、ショベルカーのショベルの歯や、ずらした保護板で誤って損傷させる不具合が生ずることがあった。
【0003】
そして、このような電力用ケーブル管路を損傷させてしまった場合に電力用ケーブル管路内への水の浸入や土砂の流入の防止を図る補修方法としては、従来では例えば以下の方法が採られていた。すなわち、電力用ケーブル管路の損傷箇所を切り開いて電力用ケーブルの損傷の有無や損傷状態を目視で確認し、電力用ケーブルには損傷がない場合には、管路内を清掃した後、電力用ケーブル管路の損傷箇所を切り開いて成る開口部に自己融着テープを巻き付ける等して補修していた。
【0004】
もっとも、電力用ケーブル管路の損傷箇所を切り開くと、開口部の開口面積が損傷箇所のときよりも広がるので、自己融着テープで開口部を被覆するように補修するのみでは、補修が不十分となり、電力用ケーブル管路を地中に戻した後、電力用ケーブル管路の周囲の地中から浸透してきた水が開口部から電力用ケーブル管路内に浸入してしまうおそれがある。
【0005】
この点、特許文献1では、あらかじめコンクリートで電力用ケーブル管路内にコンクリートを充填して、管路内の電力用ケーブルの周囲をコンクリートで固めた構造が提案されている。
【0006】
また、特許文献2では、管路の損傷箇所を確認し、管路の補修範囲を設定し、管路の補修範囲の一部を撤去し、撤去された管路の補修範囲に半割スリーブを挿入した後、管路の半割スリーブが装着された部分の外周にコンクリートを打設する管路補修工法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-56712号公報
【文献】特開2007-170511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の提案では、コンクリートは管路内に配置されており、管路の損傷箇所から管路内に水が浸入するのを防止するために用いられていない。しかも、特許文献1は、新たに管路を施工するにあたっての発明であり、損傷した既設の管路の補修を目的とした発明ではない。
【0009】
一方、特許文献2は、内部にケーブルが収容されて地中に埋設される管路の補修を目的としており、コンクリートを管路の外周に打設する工法が採られている。しかし、特許文献2の
図1(b)の上から5番目のコンクリートの打設を示した図では、コンクリートは管路の外周の限られた範囲に配置されているのみであり、このようなコンクリートの管路を中心とした厚みでは、コンクリートに生じたひび割れ等により、管路の補修箇所まで水が浸透してしまうおそれがあるので、管路の補修箇所からの浸水を確実に防止することは困難である。しかも、特許文献2の管路補修工法では、管路の途中部分を完全に切除して半割スリーブを挿入するので、管路とこの管路に挿入された半割スリーブとの間の環状の接合部のいずれかに隙間があると、前記した浸透してきた水が管路内に浸入したり、コンクリートの打設時に流動体状のコンクリートが管路内に侵入したりする可能性が高くなる。
【0010】
本発明は、平面状に延びるコンクリート層、例えば電力施設の地上への設置用のコンクリート基礎を利用して、地中を浸透してきた水が管路の補修部分から浸入するのを確実に防ぐ地中埋設管路の補修構造及び補修方法を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明は、ケーブルを内部に収容すると共に地中に埋設された管路の損傷箇所を補修する地中埋設管路の補修構造において、前記管路の損傷箇所が補修材で被覆されていると共に、前記管路を中心として当該管路の径方向となる水平方向に拡がるように平面状に延びるコンクリート層の地中部分により、前記管路の前記補修材で被覆された部分が覆われたものとしている。補修材は、例えば自己融着テープ、繊維強化プラスチック(Fiber-Reinforced Plastics、FRPとも称する。以下、同じ。)、アクリル樹脂製の部材であり、防水機能を有していることが望まれる。管路の損傷箇所は、管路の損傷箇所を内部が目視可能なように広げた開口部も含まれる。
【0012】
かかる地中埋設管路の補修方法は、ケーブルを内部に収容すると共に地中に埋設された管路の損傷箇所を補修する地中埋設管路の補修方法において、前記地中に埋設された管路の周囲を掘り下げて、流体状のコンクリートを入れて平面状に延びるコンクリート層を構成するための上方に開口した孔を形成して、前記孔内に前記管路の損傷箇所を表出させる孔形成ステップと、前記孔内に表出した管路の損傷箇所を補修材で被覆する補修材被覆ステップと、前記流体状のコンクリートを、前記管路を埋めるように前記孔に流入させつつ打設することにより、前記管路を中心として当該管路の径方向となる水平方向に拡がるように前記平面状に延びるコンクリート層を構成して、前記平面状に延びるコンクリート層の地中部分により前記管路の前記補修材で被覆した部分を覆うコンクリート層打設ステップと、を有することでなる。前記孔形成ステップと前記補修材被覆ステップとの間に、前記管路の損傷箇所を内部が目視可能な開口部に広げる開口部形成ステップを更に有していても良い。そして、前記管路の損傷箇所を補修材で被覆するとは、例えば自己融着テープで前記管路の損傷箇所を覆うように前記管路に巻き付けることである。または、半割れ状態の一対の半円筒体を組み合わせることにより前記管路の外周に装着可能な筒形状となる管路部材で損傷箇所を覆うように前記管路に固定することである。
【0013】
前記地中埋設管路の補修方法において、前記平面状に延びるコンクリート層は、電力施設を地上に設置するためのコンクリート基礎であり、前記コンクリート基礎の地中部分となっている略直方体状の基礎本体により、前記管路の補修材で被覆された部分が覆われるようにしても良い。電力施設は、例えばコンデンサ形計器用変圧器(Potential Device、PD)である。
【0014】
これにより、地中埋設管路を中心として水平方向に広範囲に拡がり、且つ地表から地中までの深さも大きなコンクリート層、例えば電力施設を地上に設置するためのコンクリート基礎により、管路の補修材で被覆された部分を覆うため、地中の水がコンクリート層ないしコンクリート基礎をも浸透して、管路の補修材で被覆された部分まで至ることが回避される。しかも、コンクリート層ないしコンクリート基礎を打設する前に、防水機能を有する補修材で管路の損傷箇所を被覆することで、コンクリートの打設時に流動体状のコンクリートが損傷箇所から管路内に侵入するのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上で述べたように、本発明によれば、地中埋設管路を中心として水平方向に広範囲に拡がり、且つ地表から地中までの深さも大きなコンクリート層、例えば電力施設を地上に設置するためのコンクリート基礎により、地中埋設管路の補修材で被覆された部分を覆うため、地中の水がコンクリート層ないしコンクリート基礎をも浸透して、管路の補修材で被覆された部分まで至ることは回避されるので、管路の補修材による損傷箇所への被覆が仮に十分でなくても、地中埋設管路内への浸水防止を確実に図ることが可能である。
【0016】
更に、本発明によれば、コンクリート基礎を打設する前に、補修材で管路の損傷箇所を被覆するので、コンクリートの打設時に流動体状のコンクリートが損傷箇所から管路内に侵入するのを防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の、地中に埋設された電力用ケーブル管路のうち自己融着テープを被覆することにより開口部(損傷箇所を含む)を補修された部分をコンクリート基礎の地中部分で覆った構造が示されている。
【
図2】前記電力用ケーブル管路の自己融着テープで開口部(損傷箇所を含む)を補修し更に当該開口部をコンクリート基礎で覆った部分を側方から見た拡大図である。
【
図3】前記電力用ケーブル管路の自己融着テープで開口部(損傷箇所を含む)を補修し更に当該開口部をコンクリート基礎で覆った部分を正面から見た拡大断面図である。
【
図4】(a)は、コンデンサ形計器用変圧器を新しく設置する際に行う試堀の工程を示す説明図であり、(b)は、試堀の際に地中の電力用ケーブル管路を損傷させてしまったときの損傷箇所を補修材で補修する工程並びに孔を拡大する工程を示す説明図であり、(c)は、前記孔にコンクリートを打設して、コンデンサ形計器用変圧器のコンクリート基礎で電力用ケーブルの開口部(損傷箇所を含む)を覆う工程を示す説明図である。
【
図5】補修材として、管路の相対的に大きな開口部(損傷箇所を含む)を、2つの半円筒状の構成部材から成る管路部材で被覆する工程を示す説明図である。
【
図6】管路の相対的に大きな開口部(損傷箇所を含む)を管路部材で被覆した後、更に自己融着テープをその上側から巻き付ける工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0019】
図1において、本発明の実施形態の一例として、地中100に埋設された電力用ケーブル管路1について、自己融着テープ3を被覆することにより損傷箇所を補修された部分をコンクリート基礎4の地中部分で覆う構造が示されている。以下、
図2から
図4も合わせて用いて、管路1の補修構造について説明する。
【0020】
電力用ケーブル管路1は、
図2に示されるように、例えば硬質ポリエチレン等の素材で形成される蛇腹状の筒状体であり、その内部には、
図1及び
図3に示されるように、複数(この実施形態では3本)の電力用ケーブル2が収容されている。
図2の一点鎖線で示される電力用ケーブル管路1の損傷箇所Aは、例えば手掘り等で電力用ケーブル管路1の埋設が予想される箇所を掘り下げ、電力用ケーブル管路1を保護するための保護板5(
図4(a)に示す)が出てきた後に、ショベルカー(図示せず)で保護板5の位置をずらしたり外したりする操作をするときに、ショベルカーのショベルの歯や、ずらした保護板が当たる等によって生じたものである。なお、電力用ケーブル2の管路としているが、電力用ケーブル2以外のケーブルを内部に収容する管路にも本発明を適用することは可能である。
【0021】
自己融着テープ3は、電力用ケーブル管路1内にその損傷箇所から水が浸入したり、土砂が流入したりするのを防ぐために用いられる補修材の1つである。自己融着テープ3は、例えばブチルゴム等で形成され、引き延ばしながら対象に巻き付けることにより、テープ3の表面と裏面とが密着して一体化する構造となっている。これに伴い、自己融着テープ3は、
図2、
図3に示されるように、電力用ケーブル管路1の損傷箇所A若しくはかかる損傷箇所Aを広げた開口部B(
図2にて二点鎖線で示す)を被覆すべく、電力用ケーブル管路1の外周に複数回にわたって巻き付けるかたちで用いられている。
【0022】
コンクリート基礎4は、この実施形態では、3つのコンデンサ形計器用変圧器6、6、6を地上に設置するための基礎となっている。すなわち、コンクリート基礎4は、
図1に示されるように、肉厚の略直方体状の基礎本体4aと、この基礎本体4aからコンデンサ形計器用変圧器6の数に応じて上方に突出した3つの突出部4b、4b、4bとで構成された平面状のコンクリート層となっている。そして、コンクリート基礎4のうち基礎本体4aの全部は地中100であり、突出部4b、4b、4bは、下側部分が地中100にあり、上側部分が地表101から出ている。本発明の基礎本体4aの厚みは、
図1の破線で示す従来の基礎本体の厚みよりも厚くなっている。なお、コンクリート基礎4の防水性能を高めるため、素体のコンクリートに無機セメント結晶増殖材を混在させ、改良してもよい。
【0023】
コンクリート基礎4の突出部4bの上面に設置されるコンデンサ形計器用変圧器6は、地上に設置される電力施設の一例であり、コンデンサ分圧の原理を利用し、一次電圧を二次側に必要な低電圧に変成するためのものであるが、ここで用いられるのは公知のものであるので、その説明を省略する。なお、電力用ケーブル管路1及びその中を通る電力用ケーブル2は、コンデンサ形計器用変圧器6に電力を供給するためのものではなく、コンデンサ形計器用変圧器6とは無関係である。
【0024】
このようなコンデンサ形計器用変圧器6を地上に設置するためのコンクリート基礎4にあって、自己融着テープ3で開口部B(損傷箇所Aを含む)が被覆されて補修された電力用ケーブル管路1は、地中部分となっている基礎本体4aにより、外周が広範囲(360度の範囲)にわたって厚く覆われたものとなっている。すなわち、
図1に示されるように、コンクリート基礎4の基礎本体4aのうち地表101からの深度、管路1の径方向となる水平方向での幅、最深部からの上方に向けての厚さのいずれにおいても、自己融着テープ3で開口部B(損傷箇所Aを含む)が被覆されて補修された電力用ケーブル管路1まで水が浸透しない厚さや幅が確保されている。
【0025】
これにより、地中を浸透してきた水がコンクリート基礎4をも浸透して、電力用ケーブル管路1まで達することが確実に防止されるので、仮に自己融着テープ3による補修が浸水に対して十分でない場合であっても、自己融着テープ3で被覆された開口部B(損傷箇所Aを含む)から、浸透してきた水が管路1内に浸入することを防止することが可能である。
【0026】
次に、電力用ケーブル管路1に上述した事情により損傷箇所Aが発生した場合に、コンデンサ形計器用変圧器6を地上に設置するためのコンクリート基礎4を利用して当該電力用ケーブル管路1を補修する方法について、
図4(a)乃至
図4(c)を用いて、管路1の埋設位置を確認するための試堀の工程から説明する。
【0027】
コンデンサ形計器用変圧器6の設置予定地において、電力用ケーブル管路1が埋設されている可能性がある場合には、
図4(a)のように地中に埋設された電力用ケーブル管路1の位置を確認するための孔6aを掘る試堀を行う。試堀の際に誤って電力用ケーブル管路1に損傷を生じさせた場合には、
図4(b)及び
図4(c)に示す工程に入る。
【0028】
まず、電力用ケーブル管路1の周囲を掘り下げて、
図4(b)に示されるように、コンクリート基礎4用の流体状のコンクリートを入れるための上方に開口した孔6bを形成する。すなわち、試堀で形成した孔6aをコンクリート基礎4の外形状まで広げる。このとき、孔6bの上方から見た中心に電力用ケーブル管路1の損傷箇所Aが位置するようにすることが望ましい。このように孔6bを形成することにより、電力用ケーブル管路1としても下記の補修がしやすいように損傷箇所Aが表出することとなる。
【0029】
次に、孔6b内に表出した電力用ケーブル管路1の損傷箇所Aを切り開いて電力用ケーブル2の損傷の有無や損傷状態を目視で確認し(開口部形成ステップ)、電力用ケーブル2には損傷がない場合には、管路1内を清掃した後、
図2、
図3、
図4(b)に示されるように、電力用ケーブル管路1の損傷箇所を切り開いて成る開口部Bに自己融着テープ3を複数回にわたって巻き付けて開口部B(損傷箇所A)を被覆することで補修をする(補修材被覆ステップ)。
【0030】
更に、孔6bの下面を所定の機器を用いて平にならした後、流体状のコンクリートを、電力用ケーブル管路1、特にその補修部分Aを埋めながら、当該電力用ケーブル管路1が上方に移動するように、孔6bに流入しつつ、所定の手順に沿って打設することで、
図4(c)に示される地中部分の基礎本体4aで電力用ケーブル管路1の補修部分が覆われた状態のコンクリート基礎4を構成する(コンクリート層打設ステップ)。なお、電力用ケーブル管路1は、開口部B(損傷個所A)が自己融着テープ3で被覆されているので、開口部B(損傷個所A)からコンクリートが管路1内に流入してしまうことを防止できる。
【0031】
先の実施形態の説明では、補修材として自己融着テープ3を用いる場合について示したが、必ずしもこれに限定されず、例えば、繊維強化プラスチック、アクリル樹脂製の部材等を補修材として用いても良い。更には、
図5、
図6に示されるように、管路部材8を補修材として用いても良い。管路部材8の構成及びこの管路部材8を用いた補修方法の一部工程について
図5、
図6を用いて以下に説明する。
【0032】
管路部材8は、
図5に示されるように、円筒の半割れ状態の一対の半円筒体8a、8bを組み合わせることにより電力用ケーブル管路1の外周に装着可能な蛇腹状の筒形状(両側が開口した蛇腹状の円筒形状)となるものである。すなわち、管路部材8の内径は、電力用ケーブル管路1の内径よりも若干大きい。
【0033】
図6に示されるように、この管路部材8を管路1の開口部B(損傷箇所A)を被覆する(管路部材8の内面が管路1の外面に接する)かたちで、管路1の外周に装着した後、管路1及び管路部材8を自己融着テープ3で複数回にわたって巻き付けることで、補修がなされる。この管路部材8を用いることで、管路1の開口部B(損傷箇所A)が大きくても開口部B(損傷箇所A)を被覆するかたちで補修することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1 電力用ケーブル管路(管路)
2 電力用ケーブル(ケーブル)
3 自己融着テープ(補修材)
4 コンクリート基礎
6 コンデンサ形計器用変圧器(電力設備)
8 管路部材(補修材)
8a 半円筒体
8b 半円筒体
100 地中
A 損傷箇所
B 開口部