(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】接続部品及び接続ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20231108BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231108BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H05K5/02 L
F16J15/10 N
F16J15/10 T
(21)【出願番号】P 2020023526
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019185881
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】細谷 勇太
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石原 歩
(72)【発明者】
【氏名】辻井 芳朋
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-168881(JP,A)
【文献】特許第5112451(JP,B2)
【文献】特開2014-060038(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141670(WO,A1)
【文献】実開平06-072284(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52,13・74
H05K 5/02
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに取り付けられる本体部と、前記本体部が挿入された環状の弾性部材とを有する接続部品であって、
前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合に前記本体部に対して接触し且つ前記ケースに対して非接触となる第1の厚さと、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に前記本体部及び前記ケースの双方に対して接触する第2の厚さとの間で変位する前記弾性部材を備え
ており、
前記弾性部材は、前記挿入方向において前記本体部と係合する係合部を有しており、
前記本体部は、凹部及び凸部の少なくとも一方を有し、
前記係合部は、前記本体部に設けられる前記凹部及び前記凸部の少なくとも一方と嵌合する嵌合形状であり、
前記係合部は、前記本体部の前記凹部と嵌合する嵌合突起であり、
前記嵌合突起は、前記弾性部材の前記挿入方向における途中位置に設けられている、接続部品。
【請求項2】
前記嵌合突起は、前記挿入方向上流側において前記圧縮力が作用した際に前記凹部と当接する当接部を有する、請求項
1に記載の接続部品。
【請求項3】
前記嵌合突起は、前記挿入方向下流側において前記凹部と係合可能な下流側係合部を有する、請求項
1又は請求項
2に記載の接続部品。
【請求項4】
前記嵌合突起は、基端の角部に曲面形状の面取り部を有する、請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の接続部品。
【請求項5】
ケースに取り付けられる本体部と、前記本体部が挿入された環状の弾性部材とを有する接続部品であって、
前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合に前記本体部に対して接触し且つ前記ケースに対して非接触となる第1の厚さと、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に前記本体部及び前記ケースの双方に対して接触する第2の厚さとの間で変位する前記弾性部材を備えており、
前記弾性部材は、前記挿入方向上流側の端部と前記挿入方向下流側の端部との両方に先細形状のリップ部を有する
、接続部品。
【請求項6】
前記弾性部材は、外側に膨出する外周面を有する、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の接続部品。
【請求項7】
ケースと、
前記ケースに取り付けられる本体部及び前記本体部が挿入された環状の弾性部材を有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接続部品と、を備えた
、接続ユニット。
【請求項8】
前記ケースは、前記弾性部材を収容し、前記弾性部材が前記第2の厚さの際に前記挿入方向と交差する方向で接触する収容部を有する、請求項
7に記載の接続ユニット。
【請求項9】
前記ケースと前記接続部品のいずれか一方にガイドピンを有し、前記ケースと前記接続部品のいずれか他方に前記ガイドピンを挿通するための挿通孔を有する、請求項
7又は請求項
8に記載の接続ユニット。
【請求項10】
前記本体部は、前記ケースの開口部を閉塞する蓋部と、前記開口部に挿通される挿通部と、を有する、請求項
7から請求項
9のいずれか1項に記載の接続ユニット。
【請求項11】
前記挿通部の先端部は、先端側ほど細いテーパ形状である、請求項
10に記載の接続ユニット。
【請求項12】
前記接続部品の前記弾性部材を前記第2の厚さの状態で前記ケースに保持する保持部材を有する、請求項
7から請求項
11のいずれか1項に記載の接続ユニット。
【請求項13】
前記保持部材は、ねじ締結部材である、請求項
12に記載の接続ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続部品及び接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子台等の接続部品では、取付対象である外部装置内への水などの浸入を抑制するべくシールを目的とした弾性部材を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に開示された接続部品は、外部装置におけるケースの装着孔に挿通され、接続部品に取り付けられた弾性部材が装着孔との間で径方向に弾性変形することで装着孔と接続部品との間からの水などの浸入が抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような端子台では、装着孔に対して挿通する際に弾性部材が装着孔と干渉するため、取り付けが困難であるという問題があった。また、接続部品として、コネクタにおいてもシールを目的とした弾性部材を備えたものがあるが、同じく装着孔に対して挿通する際に弾性部材が装着孔と干渉するため、取り付けが困難であるという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、ケースとの間のシール性を確保しつつ容易に取り付けられる接続部品及び接続ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の接続部品は、ケースに取り付けられる本体部と、前記本体部が挿入された環状の弾性部材とを有する接続部品であって、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合に前記本体部に対して接触し且つ前記ケースに対して非接触となる第1の厚さと、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に前記本体部及び前記ケースの双方に対して接触する第2の厚さとの間で変位する前記弾性部材を備える。
【0007】
本開示の接続ユニットは、ケースと、前記ケースに取り付けられる本体部及び前記本体部が挿入された環状の弾性部材を有する接続部品と、を備えた接続ユニットであって、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合に前記本体部に対して接触し且つ前記ケースに対して非接触となる第1の厚さと、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に前記本体部及び前記ケースの双方に対して接触する第2の厚さとの間で変位する前記弾性部材を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の接続部品及び接続ユニットによれば、ケースとの間のシール性を確保しつつ容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態における接続ユニットの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態における接続ユニットの概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態における端子台の概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、変更例における接続ユニットの概略構成を示す断面図である。
【
図5】
図5は、変更例における接続ユニットの概略構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、変更例における端子台の概略構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は、変更例における接続ユニットの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
本開示の接続部品は、
[1]ケースに取り付けられる本体部と、前記本体部が挿入された環状の弾性部材とを有する接続部品であって、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合に前記本体部に対して接触し且つ前記ケースに対して非接触となる第1の厚さと、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に前記本体部及び前記ケースの双方に対して接触する第2の厚さとの間で変位する前記弾性部材を備える。
【0011】
この構成によれば、第1の厚さと第2の厚さとの間で変位する弾性部材を備えることで、第1の厚さの場合には弾性部材がケースに対して非接触状態となるためケースに対して取り付ける際に弾性部材による本体部とケースとの間での押圧力の発生が抑えられる。これにより、ケースに対して容易に取り付けることができる。また、ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に本体部とケースとの双方に対して接触するため、ケースとの間のシール性を確保することができる。
【0012】
[2]前記弾性部材は、前記挿入方向において前記本体部と係合する係合部を有することが好ましい。
この構成によれば、本体部と挿入方向において係合する係合部を有することで、弾性部材が本体部から抜け落ちることを抑制できる。
【0013】
[3]前記本体部は、凹部及び凸部の少なくとも一方を有し、前記係合部は、前記本体部に設けられる前記凹部及び前記凸部の少なくとも一方と嵌合する嵌合形状であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、係合部は、前記本体部に設けられる凹部及び凸部の少なくとも一方と嵌合する嵌合形状であるため、弾性部材が本体部から抜け落ちることを抑制できる。
[4]前記係合部は、前記本体部の前記凹部と嵌合する嵌合突起であり、前記嵌合突起は、前記弾性部材の前記挿入方向における途中位置に設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、挿入方向における途中位置に設けられた嵌合突起が本体部の凹部と嵌合することで、弾性部材が本体部から抜け落ちることを抑制できる。
[5]前記嵌合突起は、前記挿入方向上流側において前記圧縮力が作用した際に前記凹部と当接する当接部を有することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、挿入方向に沿った圧縮力が作用した際に、嵌合突起の当接部と凹部とが当接することで嵌合突起を挿入方向と交差する方向に変形させ易くできる。そのため、ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に、挿入方向と交差する方向に嵌合突起を含む弾性部材を変形させてシール性を確保することができる。
【0017】
[6]前記嵌合突起は、前記挿入方向下流側において前記凹部と係合可能な下流側係合部を有することが好ましい。
この構成によれば、嵌合突起は挿入方向下流側において凹部と係合可能な下流側係合部を有することで弾性部材が本体部から抜け落ちることを抑制できる。
【0018】
[7]前記嵌合突起は、基端の角部に曲面形状の面取り部を有することが好ましい。
この構成によれば、嵌合突起は基端の角部に曲面形状の面取り部を有することで、嵌合突起に対して圧縮力が作用した際に角部において応力が集中することが抑えられる。これにより、嵌合突起全体に対して圧縮力を作用させることができ、嵌合突起を挿入方向と交差する方向に変形させ易くできる。そのためケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に、挿入方向と交差する方向に嵌合突起を含む弾性部材を変形させてシール性を確保することができる。
【0019】
[8]前記弾性部材は、外側に膨出する外周面を有することが好ましい。
この構成によれば、挿入方向に沿った圧縮力が作用して弾性部材が挿入方向と交差する方向に変形する際に、膨出した外周面を積極的にケースに接触させやすくできるため、シール性向上に寄与できる。
【0020】
[9]前記弾性部材は、前記挿入方向上流側の端部と前記挿入方向下流側の端部との両方に先細形状のリップ部を有することが好ましい。
この構成によれば、挿入方向上流側の端部及び挿入方向下流側の端部に先細形状のリップ部を有することで、リップ部に対して圧縮方向の力が作用した場合に、リップ部の接触面積が狭いため、小さな力で挿入方向と交差する方向に弾性部材を変形できる。
【0021】
また、本開示の接続ユニットは、
[10]ケースと、前記ケースに取り付けられる本体部及び前記本体部が挿入された環状の弾性部材を有する接続部品と、を備えた接続ユニットであって、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合に前記本体部に対して接触し且つ前記ケースに対して非接触となる第1の厚さと、前記ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に前記本体部及び前記ケースの双方に対して接触する第2の厚さとの間で変位する前記弾性部材を備える。
【0022】
この構成によれば、第1の厚さと第2の厚さとの間で変位する弾性部材を備えることで、第1の厚さの場合には弾性部材がケースに対して非接触状態となるためケースに対して取り付ける際に弾性部材による本体部とケースとの間での押圧力の発生が抑えられる。これにより、ケースに対して容易に取り付けることができる。また、ケースへの挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に本体部とケースとの双方に対して接触するためケースとの間のシール性を確保することができる。
【0023】
[11]前記ケースは、前記弾性部材を収容し、前記弾性部材が前記第2の厚さの際に前記挿入方向と交差する方向で接触する収容部を有することが好ましい。
この構成によれば、第2の厚さの際に挿入方向と交差する方向で接触する収容部によって、弾性部材の挿入方向と交差する方向へのそれ以上の移動や変形を抑えることができ、収容部と弾性部材との間、及び、弾性部材と本体部との間を密着状態で維持することができる。
【0024】
[12]前記ケースと前記接続部品のいずれか一方にガイドピンを有し、前記ケースと前記接続部品のいずれか他方に前記ガイドピンを挿通するための挿通孔を有することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、ガイドピンと挿通孔によってケースに対する接続部品のガイド並びに位置決めを行うことができるため、取り付けを容易とすることができる。
[13]前記本体部は、前記ケースの開口部を閉塞する蓋部と、前記開口部に挿通される挿通部と、を有することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、ケースの開口部を閉塞する蓋部によって開口部に対して水などの浸入を抑えることができる。
[14]前記挿通部の先端部は、先端側ほど細いテーパ形状であることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、挿通部の先端部を先端側ほどテーパ形状とすることで、挿通部をケースの開口部に挿通する際にガイドすることができるため、取り付けを容易とすることができる。
【0028】
[15]前記接続部品の前記弾性部材を前記第2の厚さの状態で前記ケースに保持する保持部材を有することが好ましい。
この構成によれば、保持部材によって弾性部材を第2の厚さの状態でケースに保持することでシール性を確保することができる。
【0029】
[16]前記保持部材は、ねじ締結部材であることが好ましい。
この構成によれば、保持部材としてねじ締結部材を採用することでねじ締結部材による締結力によって第2の厚さの状態で弾性部材を保持することができる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の接続部品及び接続ユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
図1に示すように、接続ユニット10は、端子台11と、端子台11が取り付けられるケース12とを含む。
ケース12は、例えば箱状をなすケース本体21と、ケース本体21に設けられる装着孔22とを有している。ケース12は、例えば、モータを収容するモータケースやインバータを収容するインバータケースとして用いられる。ケース12の材料としては、例えば、鉄系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。ケース12は、その構成金属の種類や使用環境に応じて、錫メッキやアルミニウムメッキ等の表面処理を施していてもよい。
【0032】
装着孔22は、ケース本体21の内部空間とケース本体21の外部空間とを連通するようにケース本体21の壁部21aを貫通するように形成されている。装着孔22は、例えば、貫通方向から見た形状が長手方向と短手方向とを有する扁平形状に形成されている。本明細書において、「扁平形状」には、例えば、長円形や楕円形などが含まれる。なお、本明細書における「長円形」は、2つの略等しい長さの平行線と2つの半円形からなる形状である。本実施形態の装着孔22は、貫通方向から見た形状が長円形状に形成されている。
【0033】
図1及び
図2に示すように、装着孔22は、第1装着孔24と、第2装着孔25とを有する。第1装着孔24と第2装着孔25とは、貫通方向において並ぶように設けられている。第1装着孔24は、貫通方向において第2装着孔25よりもケース本体21の内部空間側に位置している。換言すると、第2装着孔25は、貫通方向において第1装着孔24よりもケース本体21の外部空間側に位置している。
【0034】
第1装着孔24と第2装着孔25とは、前述したように貫通方向から見た形状が長手方向と短手方向とを有する扁平形状に形成されている。第1装着孔24の長手方向と第2装着孔25の長手方向とは略一致している。第1装着孔24の短手方向と第2装着孔25の短手方向とは略一致している。
【0035】
第2装着孔25の長手方向における長さは、第1装着孔24の長手方向における長さよりも長くなっている。第2装着孔25の短手方向における長さは、第1装着孔24の短手方向における長さよりも長くなっている。このように、第2装着孔25は、第1装着孔24を拡開した貫通孔であり、周方向全体にわたって第1装着孔24よりも大きい開口となっている。このため、第1装着孔24と第2装着孔25との間には段差が生じることとなる。
【0036】
第2装着孔25は、収容部26を有する。収容部26は、第2装着孔25において第1装着孔24から拡開した部分の空間全体を示している。すなわち、収容部26は、第2装着孔25における径方向外側の長円環状部分である。収容部26は、第1装着孔24と第2装着孔25との間における段差によって形成された底部26aを有する。
【0037】
端子台11は、装着孔22の姿勢に応じて任意の向きでケース12に対して装着可能であるが、本実施形態では、装着孔22の貫通方向を高さ方向として端子台11の構造について説明する。なお、各図面中のXYZ軸におけるX軸は端子台11の前後方向を表し、Y軸はX軸と直交する端子台11の幅方向を表し、Z軸はXY平面に対して直交する端子台11の高さ方向を表している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向を前後方向Xと称し、Y軸に沿って延びる方向を幅方向Yと称し、Z軸に沿って延びる方向を高さ方向Zと称する。以下の説明では、
図1におけるZ矢印方向を上方とし、反対方向を下方とする。
【0038】
(端子台11の構成)
図1~
図3に示すように、端子台11は、一部が装着孔22に挿通される本体部30と、本体部30に取り付けられる弾性部材40とを有する。
【0039】
(本体部30の構成)
図1及び
図2に示すように、本体部30は、蓋部31と、挿通部32とを有する。本体部30は、例えば、合成樹脂製のハウジングである。本体部30には、図示しない端子が保持されるようになっている。端子は本体部30に対して複数保持される構成でもよいし、1つのみ保持される構成でもよい。本体部30は、ねじ締結部材としてのボルトBによってケース12に固定されるようになっている。
【0040】
蓋部31は、高さ方向Zから見て装着孔22よりも大きく、装着孔22を閉塞するようになっている。蓋部31は、例えば、長円板状をなすように構成される。
挿通部32は、装着孔22に挿通されるものである。挿通部32の外周面33は、例えば、装着孔22の内周面に沿った形状に形成される。すなわち、挿通部32は、高さ方向Zから見た形状が長手方向と短手方向とを有する扁平形状に形成されている。本実施形態では、挿通部32の外周面33は、2つの略等しい長さの平面部33aと、平面部33a同士の各端部を繋ぐ2つの曲面部33bとを有する。挿通部32は、例えば、第1装着孔24と第2装着孔25との両方に跨がる様に挿通されている。
【0041】
挿通部32の外周面33には、径方向内側に窪んだ凹部34を有する。凹部34は、挿通部32において高さ方向Zにおける上端部に設けられる。本実施形態では、凹部34は、例えば外周面33における平面部33aに設けられる。なお、凹部34の位置は任意に変更してもよい。すなわち、凹部34を平面部33aと曲面部33bの両方に設けるようにしてもよいし、凹部34を曲面部33bのみに設けるようにしてもよい。凹部34を平面部33aと曲面部33bの両方に設ける場合には、例えば、外周面33の周方向全体にわたって連続するようにしてもよいし、周方向に間隔をあけて複数の凹部を設けるようにしてもよい。
【0042】
挿通部32の外周面33には、弾性部材40が取り付けられる。
(弾性部材40の構成)
弾性部材40は、弾性変形可能に構成されている。弾性部材40は、環状部41と、環状部41の内周面41aから突出する凸部42を有する。
【0043】
環状部41は、例えば挿通部32の周方向全周にわたって連続した閉環状に形成されている。環状部41の内周形状は、例えば、挿通部32の外周面に沿った形状に形成される。環状部41の外周形状は、例えば、装着孔22の内周面に沿った形状に形成される。
【0044】
本実施形態の環状部41は、その内周形状及び外周形状が長円形状をなす長円筒状に形成されている。環状部41は、挿通部32に取り付けられた状態で、その外径が第1装着孔24の外径よりも大径に形成されている。
【0045】
凸部42は、例えば、環状部41の内で、平面部33aの凹部34と対応する位置に形成されている。凸部42は、凹部34に嵌め入れられる。凸部42を凹部34に対して嵌め入れることで、本体部30に対する弾性部材40の周方向における位置決めと、本体部30から弾性部材40が脱落することが抑制されることとなる。
【0046】
弾性部材40は、ゴムで構成される。弾性部材40は、ゴム材料の一例として、アクリルゴムを用いることができる。弾性部材40にアクリルゴムを採用することで、耐熱性や耐油性に優れたシール部材とすることができる。なお、弾性部材40のゴム材料としては、アクリルゴム以外であってもよく、シリコーンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴムなどを採用することで耐熱性や耐油性に優れたシール部材とすることができる。また、弾性部材40のゴム材料として、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などの他の合成ゴム部材や天然ゴム部材であってもよい。
【0047】
弾性部材40は、ゴムで構成することで、弾性を有しつつ体積変化がほとんどない構成とすることができる。すなわち、弾性部材40を圧縮することで圧縮方向と直交する方向に膨張させることができる。
【0048】
このため、例えば、環状部41の下端面41bを収容部26の底部26aに当接させる前と、環状部41の下端面41bを収容部26の底部26aに当接させて弾性部材40を挿入方向に圧縮させた後とで弾性部材40の厚さが異なる。具体的には、弾性部材40は、
図2に示すように環状部41の下端面41bを収容部26の底部26aに当接させる前において、相対的に弾性部材40の厚さが薄い第1の厚さT1となっている。また、
図1に示すように、弾性部材40は、環状部41の下端面41bを収容部26の底部26aに当接させて弾性部材40を挿入方向に圧縮させた後において、相対的に弾性部材40の厚さが厚い第2の厚さT2となっている。すなわち、本実施形態の弾性部材40は、第1の厚さT1と第2の厚さT2とで変位するようになっている。なお、
図1に示す弾性部材40の第2の厚さT2は、本体部30がボルトBによるケース12への締結が完了、すなわち固定が完了した状態における厚さである。第1の厚さT1の場合の弾性部材40は、その外径が第2装着孔25の内径よりも小さい。第2の厚さT2の場合の弾性部材40は、その外径が第2装着孔25の内径と同じとなっている。
【0049】
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態の接続ユニット10は、ケース12に対して端子台11がボルトBによって締結固定されている。このとき、端子台11の本体部30に取り付けられる環状の弾性部材40は、挿入方向である高さ方向Zにおいて圧縮されて、高さ方向Zと直交する幅方向Yや前後方向Xに膨張して、第2の厚さT2となり、本体部30及びケース12の双方に対して接触している。一方で、端子台11を本体部30に対して取り付ける際のケース12への挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合には第1の厚さT1となり、本体部30に対して接触し且つケース12に対して非接触となる。
【0050】
本実施形態の効果を記載する。
(1)第1の厚さT1と第2の厚さT2との間で変位する弾性部材40を備えることで、第1の厚さT1の場合には弾性部材40がケース12に対して非接触状態となるためケース12に対して取り付ける際に弾性部材40による本体部30とケース12との間での押圧力の発生が抑えられる。これにより、ケース12に対して容易に取り付けることができる。また、ケース12への挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に本体部30とケース12との双方に対して接触するためケース12との間のシール性を確保することができる。
【0051】
(2)本体部30と挿入方向において係合する係合部としての凸部42を有することで、弾性部材40が本体部30から抜け落ちることを抑制できる。
(3)係合部として本体部30に設けられた凹部34と嵌合する凸部42を採用することで、弾性部材40が本体部30から抜け落ちることを抑制できる。
【0052】
(4)第2の厚さT2の際に挿入方向と交差する方向で接触する収容部26によって、弾性部材40の挿入方向と交差する方向へのそれ以上の移動や変形を抑えることができ、収容部26と弾性部材40との間、及び、弾性部材40と本体部30との間を密着状態で維持することができる。
【0053】
(6)ケース12の開口部である装着孔22を閉塞する蓋部31によって装着孔22に対して水などの浸入を抑えることができる。
(7)保持部材としてのボルトBによって弾性部材40を第2の厚さT2の状態でケース12に保持することでシール性を確保することができる。
【0054】
(8)ねじ締結部材としてのボルトBを採用することでボルトBによる締結力によって第2の厚さT2の状態で弾性部材を保持することができる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・上記実施形態では特に言及していないが、ケース12と端子台11のいずれか一方にガイドピンを有し、ケース12と端子台11のいずれか他方にガイドピンを挿通するための挿通孔を有する構成を採用してもよい。
【0056】
図4に示すように、端子台11の蓋部31にガイドピン51を有し、ケース12にガイドピン51を挿通するための挿通孔52を有する。ガイドピン51は、円柱状に形成されている。
図4に示す例では、ガイドピン51を円柱状としたが、これに限らない。例えば、先端側ほど先細となるテーパ形状としてもよい。この場合、例えば挿通孔側もガイドピンの形状に倣った形状とすることが好ましい。
【0057】
上記構成を採用することで、ガイドピン51と挿通孔52によってケース12に対する接続部品としての端子台11のガイド並びに位置決めを行うことができるため、取り付けを容易とすることができる。
【0058】
・
図5に示すように挿通部32の先端部53は、先端側ほど細いテーパ形状としてもよい。このような構成を採用することで、挿通部32をケース12の装着孔22に挿通する際にガイドすることができるため、取り付けを容易とすることができる。
【0059】
・上記実施形態では、弾性部材40に凸部42を有する構成を採用したが、省略した構成を採用してもよい。凸部42を省略した場合、弾性部材40の内径を本体部30の外径よりも小さくして弾性部材40の弾性力(締付力)によって本体部30に取り付けられることとなる。
【0060】
図6に示すように、弾性部材40に係合部としての凹部55を設け、凹部55を本体部30の凸部56に嵌合させる構成を採用してもよい。また、本体部30に凹部と凸部の両方を設け、弾性部材40に嵌合形状として凸部と凹部の両方を設けてもよい。このような構成であっても、上記実施形態と同様に弾性部材40が本体部30から抜け落ちることを抑制できる。
【0061】
また、
図7に示すような弾性部材60を採用してもよい。弾性部材60の詳細について以下に説明する。なお、以下の弾性部材60の構成は例えば上記実施形態の弾性部材40においても適宜採用することができる。
【0062】
図7に示すように、弾性部材60は、上記実施形態の弾性部材40と同様に弾性変形可能に構成されている。弾性部材60は、弾性部材40と同様の材料を用いることができる。弾性部材60は、環状部61と、環状部61の内周面から突出する嵌合突起62を有する。
【0063】
環状部61は、環状部41と同様に挿通部32の周方向全周にわたって連続した閉環状に形成されている。本例の環状部61は、その内周形状及び外周形状が長円形状をなす長円筒状に形成されている。環状部61は、挿通部32に取り付けられた状態で、その外径が第1装着孔24の外径よりも大径に形成されている。
【0064】
嵌合突起62は、例えば、環状部61の内でケース12の凹部34Aと対応する位置に形成されている。
嵌合突起62は、環状部61の貫通方向と略一致した高さ方向Zの途中位置に形成されている。より具体的には嵌合突起62は、環状部61の高さ方向Zの略中心よりもやや上方に嵌合突起62自身の中心が位置するように環状部61の内周面から内側に向かって延出するように形成されている。このように、挿入方向における途中位置に設けられた嵌合突起62が本体部30の凹部34Aと嵌合することで、弾性部材60が本体部30から抜け落ちることを抑制できる。
【0065】
嵌合突起62は、高さ方向Zにおける長さが凹部34Aの高さ方向Zにおける長さよりも短くなっている。
嵌合突起62は、挿入方向上流側において圧縮力が作用した際に凹部34Aの上側壁部34Bと当接する当接部62aを有する。このように、嵌合突起62の当接部62aと凹部34Aの上側壁部34Bとが挿入方向に沿った圧縮力が作用した際に当接することで嵌合突起62を挿入方向と交差する方向に変形させ易くできる。そのため、ケース12への挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に、挿入方向と交差する方向に嵌合突起62を含む弾性部材60を変形させてシール性を確保することができる。
【0066】
嵌合突起62は、下流側係合部としての下端部62bが挿入方向下流側において凹部34Aの下側壁部34Cと係合可能に構成される。嵌合突起62の下端部62bは挿入方向下流側において凹部34Aの下側壁部34Cと係合可能に構成されることで弾性部材60が本体部30から抜け落ちることを抑制できる。
【0067】
嵌合突起62は、基端(環状部61との境界部分)の角部62cに曲面形状の面取り部62dを有する。このように嵌合突起62は基端の角部62cに曲面形状の面取り部62dを有することで、嵌合突起62に対して圧縮力が作用した際に角部62cにおいて応力が集中することが抑えられる。これにより、嵌合突起62全体に対して圧縮力を作用させることができ、嵌合突起62を挿入方向(高さ方向Z)と交差する方向に変形させ易くできる。そのためケース12への挿入方向に沿った圧縮力が作用した場合に、挿入方向と交差する方向に嵌合突起62を含む弾性部材60を変形(膨張)させてシール性を確保することができる。
【0068】
弾性部材60の環状部61は、外周面63に外側に膨出する膨出部63aを有する。より具体的には、膨出部63aは、環状部61の高さ方向Zの略中心が最も外側に膨出するように外周面63全体が湾曲するように形成されている。これにより、弾性部材60に対して挿入方向(高さ方向Z)に圧縮力が作用した場合に膨出部63aが更に外側に変形するため、膨出した外周面63(膨出部63a)を積極的にケース12に接触させやすくできる。その結果、ケース12と弾性部材60との間のシール性向上に寄与できる。
【0069】
弾性部材60の環状部61は、挿入方向上流側の端部61aと挿入方向下流側の端部61bとの両方にリップ部64を有する。各リップ部64は、先端側ほど細くなる先細形状となっている。このため、リップ部64に対して圧縮方向の力が作用した場合に、リップ部64の接触面積が狭いためリップ部64に作用する圧力(単位面積あたりの力)を高めることができる。その結果、弾性部材60を圧縮方向と交差する方向に変形させ易くでき、シール性向上に寄与できる。なお、本例ではリップ部64を挿入方向両側の端部61a,61bに設けているが、挿入方向一方側のみにリップ部64を設ける構成を採用してもよい。
【0070】
・上記実施形態では、ねじ締結部材としてボルトBを採用したが、これに限らない。例えばケース12側にスタッドボルトを設けて、本体部30にスタッドボルトを挿通する挿通孔を有し、スタッドボルトとナットとで締結する構成を採用してもよい。
【0071】
・上記実施形態では、接続部品として端子台11を採用したが、これに限らず、例えば他の機器に対して取り付けられるコネクタを接続部品として採用してもよい。この場合、ケース12は、例えばコネクタが取り付けられる相手機器のケースである。
【0072】
・上記実施形態並びに上記各変形例では、弾性部材40,60に対して挿入方向に沿った圧縮力が作用していない場合にケース12に対して非接触となることとしたが、挿入力が必要以上に増大しないことを条件に、多少接触する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 接続ユニット
11 端子台(接続部品)
12 ケース
21 ケース本体
21a 壁部
22 装着孔(開口部)
24 第1装着孔
25 第2装着孔
26 収容部
26a 底部
30 本体部
31 蓋部
32 挿通部
33 外周面
33a 平面部
33b 曲面部
34,34A 凹部
34B 上側壁部
34C 下側壁部
40 弾性部材
41 環状部
41a 内周面
41b 下端面
42 凸部(係合部)
51 ガイドピン
52 挿通孔
53 先端部
55 凹部(係合部)
56 凸部
60 弾性部材
61 環状部
61a 端部(挿入方向上流側の端部)
61b 端部(挿入方向下流側の端部)
62 嵌合突起(係合部)
62a 当接部
62b 下端部(下流側係合部)
62c 角部
62d 面取り部
63 外周面
63a 膨出部
64 リップ部
B ボルト(保持部材、ねじ締結部材)
T1 第1の厚さ
T2 第2の厚さ
X 前後方向
Y 幅方向
Z 高さ方向(挿入方向)