(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】燃焼器、改質装置及び改質システム
(51)【国際特許分類】
F23C 3/00 20060101AFI20231108BHJP
C01B 3/04 20060101ALI20231108BHJP
F23C 99/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
F23C3/00 301
C01B3/04 B
F23C99/00 308
(21)【出願番号】P 2020025365
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】河内 浩康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0700702(KR,B1)
【文献】特表2017-538092(JP,A)
【文献】特開2000-213715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0104623(US,A1)
【文献】特開昭59-142332(JP,A)
【文献】特開2002-151128(JP,A)
【文献】特開2004-011933(JP,A)
【文献】特開2002-154804(JP,A)
【文献】特開2005-235737(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1930043(KR,B1)
【文献】特開2003-306307(JP,A)
【文献】特開2004-123478(JP,A)
【文献】特開2005-146926(JP,A)
【文献】特開2005-112693(JP,A)
【文献】国際公開第2021/079689(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 3/00
C01B 3/04
F23C 99/00
F23D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化性ガスにより燃料ガスを燃焼させて前記燃料ガスを改質することにより、水素を含有した改質ガスを生成する改質装置において、
管状の筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記燃料ガスを燃焼させることで生成される燃焼ガスにより加熱される触媒と、
前記筐体に設けられ、前記燃料ガス及び前記酸化性ガスを含む起動用ガスを前記筐体の内部に導入する起動用ガス導入部と、
前記筐体に取り付けられ、前記起動用ガス導入部より前記筐体の内部に導入された前記燃料ガスを着火させる点火部と、
前記筐体における前記起動用ガス導入部と前記触媒との間に設けられ、前記燃料ガスを前記筐体の内部に導入する燃料ガス導入部と、
前記筐体における前記起動用ガス導入部と前記触媒との間に設けられ、前記酸化性ガスを前記筐体の内部に導入する酸化性ガス導入部と、
前記筐体の内部における前記燃料ガス導入部及び前記酸化性ガス導入部の少なくとも一方と前記触媒との間に配置され、前記燃焼ガスと前記燃料ガス及び前記酸化性ガスとを通過させることによって前記燃焼ガスと前記燃料ガス及び前記酸化性ガスとを混合させる混合部材とを備える改質装置。
【請求項2】
前記酸化性ガス導入部は、前記筐体における前記燃料ガス導入部と前記触媒との間に設けられている請求項
1記載の改質装置。
【請求項3】
前記混合部材は、前記筐体の内部における前記燃料ガス導入部と前記酸化性ガス導入部との間に配置された第1混合部材と、前記筐体の内部における前記酸化性ガス導入部と前記触媒との間に配置された第2混合部材とを有する請求項
2記載の改質装置。
【請求項4】
前記筐体は、円管状を呈し、
前記起動用ガス導入部は、前記起動用ガスを前記筐体の内部に前記筐体の接線方向に導入する請求項
1~3の何れか一項記載の改質装置。
【請求項5】
前記燃料ガス導入部は、前記燃料ガスを前記筐体の内部に前記筐体の接線方向に導入し、
前記酸化性ガス導入部は、前記酸化性ガスを前記筐体の内部に前記筐体の接線方向に導入する請求項
4記載の改質装置。
【請求項6】
前記混合部材の一部が多孔質体である請求項
1~5の何れか一項記載の改質装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器、改質装置及び改質システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の改質装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の改質装置は、燃料、空気及び水蒸気を供給して改質反応により水素を生成する装置である。改質装置には、上流側から下流側に向かって、通電により発熱すると共に触媒燃焼によって発熱を促進するハニカム型の触媒ヒータと、主に部分酸化反応を促進するハニカム触媒と、主に自己熱改質(ATR)反応を促進するハニカム触媒とが配設されている。
【0003】
また、特許文献2には、管状火炎バーナが記載されている。特許文献2に記載の管状火炎バーナは、先端が開放された管状の燃焼室と、この燃焼室内に燃料ガス及び空気をそれぞれ吹き込む燃料含有ガス用ノズル及び酸素含有ガス用ノズルと、燃焼室の後端から燃焼室内に挿入された棒状体と、この棒状体を加熱する電気ヒータとを備えている。燃料含有ガス用ノズル及び酸素含有ガス用ノズルの噴射方向は、燃焼室の内周面の接線方向と一致している。これにより、燃焼室内に高速旋回流で管状火炎が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-154805号公報
【文献】特開2008-107031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1においては、触媒ヒータによりハニカム触媒を活性温度まで昇温させているが、燃料の着火までに時間がかかり、改質装置の起動が遅くなる。そこで、上記の特許文献2に記載の管状火炎バーナを使って、ハニカム触媒を加熱することも考えられる。しかし、この場合には、管状火炎の温度が高すぎるため、加熱対象であるハニカム触媒が劣化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、加熱対象を適切な温度で加熱することができる燃焼器、改質装置及び改質システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、加熱対象を加熱するための燃焼ガスを発生させる燃焼器において、管状の筐体と、筐体に設けられ、燃焼ガスを生成するための燃料ガス及び酸化性ガスを含む第1ガスを筐体の内部に導入する第1ガス導入部と、筐体に取り付けられ、第1ガス導入部より筐体の内部に導入された燃料ガスを着火させる点火部と、筐体における第1ガス導入部と加熱対象との間に設けられ、燃焼ガスを冷却するための第2ガスを筐体の内部に導入する第2ガス導入部と、筐体の内部における第2ガス導入部と加熱対象との間に配置され、燃焼ガスと第2ガスとを混合させる混合部材とを備える。
【0008】
このような燃焼器においては、燃料ガス及び酸化性ガスを含む第1ガスが第1ガス導入部より筐体の内部に導入されると共に、点火部が点火することで、燃料ガスが着火して燃焼し、高温の燃焼ガスが生成される。そして、第2ガスが第2ガス導入部より筐体の内部に導入されると、燃焼ガスと第2ガスとが熱交換され、高温の燃焼ガスが第2ガスにより冷却される。このとき、混合部材によって燃焼ガス及び第2ガスが混合されるため、燃焼ガスと第2ガスとの熱交換が促進される。また、混合部材は熱容量として機能するため、燃焼ガスのピーク温度が低下する。従って、高温の燃焼ガスが効果的に冷却される。これにより、燃焼ガスによって加熱対象が適切な温度で加熱される。
【0009】
筐体は、円管状を呈し、第1ガス導入部は、第1ガスを筐体の内部に筐体の接線方向に導入してもよい。このような構成では、燃料ガス及び酸化性ガスを含む第1ガスは、第1ガス導入部より筐体の内部に筐体の接線方向に導入される。従って、第1ガスが管状流となり、その状態で燃料ガスが着火して管状火炎が形成される。このため、高温の燃焼ガスが筐体の内部を加熱対象に向かって旋回して流れる。そして、第2ガスが筐体の内部に導入されると、旋回流の燃焼ガスが冷却される。このとき、燃焼ガス及び第2ガスが混合部材により混合されるため、燃焼ガスの旋回流にかかわらず、燃焼ガスの温度分布及び流量分布の均一性が確保される。従って、加熱対象が局所的に加熱されることが防止される。
【0010】
第2ガス導入部は、第2ガスを筐体の内部に筐体の接線方向に導入してもよい。このような構成では、第2ガス導入部より筐体の内部に導入された第2ガスは、管状流となるため、加熱対象に向かって旋回して流れる。このため、第2ガスは、旋回流の燃焼ガスに対して同様の流れで混合することになる。従って、燃焼ガスと第2ガスとの混合経路が長くなるため、燃焼ガスの温度分布及び流量分布の更なる均一性が確保される。
【0011】
本発明の他の態様は、酸化性ガスにより燃料ガスを燃焼させて燃料ガスを改質することにより、水素を含有した改質ガスを生成する改質装置において、管状の筐体と、筐体の内部に配置され、燃料ガスを燃焼させることで生成される燃焼ガスにより加熱される触媒と、筐体に設けられ、燃料ガス及び酸化性ガスを含む起動用ガスを筐体の内部に導入する起動用ガス導入部と、筐体に取り付けられ、起動用ガス導入部より筐体の内部に導入された燃料ガスを着火させる点火部と、筐体における起動用ガス導入部と触媒との間に設けられ、燃料ガスを筐体の内部に導入する燃料ガス導入部と、筐体における起動用ガス導入部と触媒との間に設けられ、酸化性ガスを筐体の内部に導入する酸化性ガス導入部と、筐体の内部における燃料ガス導入部及び酸化性ガス導入部の少なくとも一方と触媒との間に配置され、燃焼ガスと燃料ガス及び酸化性ガスとを混合させる混合部材とを備える。
【0012】
このような改質装置の起動時には、燃料ガス及び酸化性ガスを含む起動用ガスが起動用ガス導入部より筐体の内部に導入されると共に、点火部が点火することで、燃料ガスが着火して燃焼し、高温の燃焼ガスが生成される。また、燃料ガスが燃料ガス導入部より筐体の内部に導入されると共に、酸化性ガスが酸化性ガス導入部より筐体の内部に導入されることで、燃焼ガス、燃料ガス及び酸化性ガスが触媒に供給される。すると、燃焼ガスによって触媒が加熱されて昇温するため、触媒により燃料ガスの燃焼及び改質が行われ、水素を含有した改質ガスが生成される。ここで、改質に寄与する燃料ガス及び酸化性ガスが筐体の内部に導入されると、燃焼ガスと燃料ガス及び酸化性ガスとが熱交換され、高温の燃焼ガスが燃料ガス及び酸化性ガスにより冷却される。このとき、混合部材によって燃焼ガス、燃料ガス及び酸化性ガスが混合されるため、燃焼ガスと燃料ガス及び酸化性ガスとの熱交換が促進される。また、混合部材は熱容量として機能するため、燃焼ガスのピーク温度が低下する。従って、高温の燃焼ガスが効果的に冷却される。これにより、燃焼ガスによって加熱対象である触媒が適切な温度で加熱される。
【0013】
酸化性ガス導入部は、筐体における燃料ガス導入部と触媒との間に設けられていてもよい。このような構成では、燃料ガス導入部より筐体の内部に導入された燃料ガスは、燃焼ガスからの熱を受けることで、燃焼ガスの温度を下げる。そして、酸化性ガス導入部より筐体の内部に導入された酸化性ガスは、燃料ガスを含んだ燃焼ガスからの熱を受けることで、燃料ガスを含んだ燃焼ガスの温度を下げる。従って、高温の燃焼ガスがより効果的に冷却される。
【0014】
混合部材は、筐体の内部における燃料ガス導入部と酸化性ガス導入部との間に配置された第1混合部材と、筐体の内部における酸化性ガス導入部と触媒との間に配置された第2混合部材とを有してもよい。このような構成では、第1混合部材によって燃焼ガス及び燃料ガスが混合される。このため、燃焼ガスと燃料ガスとの熱交換が促進される。また、第1混合部材は熱容量として機能するため、燃焼ガスのピーク温度が低下する。さらに、第2混合部材によって燃料ガスを含んだ燃焼ガス及び酸化性ガスが混合される。このため、燃料ガスを含んだ燃焼ガスと酸化性ガスとの熱交換が促進される。従って、高温の燃焼ガスが一層効果的に冷却される。
【0015】
筐体は、円管状を呈し、起動用ガス導入部は、起動用ガスを筐体の内部に筐体の接線方向に導入してもよい。このような構成では、燃料ガス及び酸化性ガスを含む起動用ガスは、起動用ガス導入部より筐体の内部に筐体の接線方向に導入される。従って、起動用ガスが管状流となり、その状態で燃料ガスが着火して管状火炎が形成される。このため、高温の燃焼ガスが筐体の内部を触媒に向かって旋回して流れる。そして、改質に寄与する燃料ガス及び酸化性ガスが筐体の内部に導入されると、旋回流の燃焼ガスが冷却される。このとき、燃焼ガス、燃料ガス及び酸化性ガスが混合部材により混合されるため、燃焼ガスの旋回流にかかわらず、燃焼ガスの温度分布及び流量分布の均一性が確保される。従って、加熱対象が局所的に加熱されることが防止される。
【0016】
燃料ガス導入部は、燃料ガスを筐体の内部に筐体の接線方向に導入し、酸化性ガス導入部は、酸化性ガスを筐体の内部に筐体の接線方向に導入してもよい。このような構成では、燃料ガス導入部より筐体の内部に導入された燃料ガス及び酸化性ガス導入部より筐体の内部に導入された酸化性ガスは、管状流となるため、触媒に向かって旋回して流れる。このため、改質に寄与する燃料ガス及び酸化性ガスは、旋回流の燃焼ガスに対して同様の流れで混合することになる。従って、燃焼ガスと燃料ガス及び酸化性ガスとの混合経路が長くなるため、燃焼ガスの温度分布及び流量分布の均一性が十分に確保される。
【0017】
混合部材の一部が多孔質体であってもよい。このような構成では、混合部材を通過した燃焼ガスは、触媒にスポット的に供給されることになる。従って、触媒がスポット的に加熱される。
【0018】
本発明の更に他の態様に係る改質システムは、酸化性ガスにより燃料ガスを燃焼させて燃料ガスを改質することにより、水素を含有した改質ガスを生成する改質装置と、改質装置に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、改質装置に酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給部と、改質装置、燃料ガス供給部及び酸化性ガス供給部を制御する制御ユニットとを具備し、改質装置は、管状の筐体と、筐体の内部に配置され、燃料ガスを燃焼させることで生成される燃焼ガスにより加熱される触媒と、筐体に設けられ、燃料ガス及び酸化性ガスを含む起動用ガスを筐体の内部に導入する起動用ガス導入部と、筐体に取り付けられ、起動用ガス導入部より筐体の内部に導入された燃料ガスを着火させる点火部と、筐体における起動用ガス導入部と触媒との間に設けられ、燃料ガスを筐体の内部に導入する燃料ガス導入部と、筐体における起動用ガス導入部と触媒との間に設けられ、酸化性ガスを筐体の内部に導入する酸化性ガス導入部と、筐体の内部における燃料ガス導入部及び酸化性ガス導入部の少なくとも一方と触媒との間に配置され、燃焼ガスと燃料ガス及び酸化性ガスとを混合させる混合部材とを備える。
【0019】
このような改質システムにおいて、改質装置の起動時には、燃料ガス及び酸化性ガスを含む起動用ガスが起動用ガス導入部より筐体の内部に導入されると共に、点火部が点火することで、燃料ガスが着火して燃焼し、高温の燃焼ガスが生成される。また、燃料ガスが燃料ガス導入部より筐体の内部に導入されると共に、酸化性ガスが酸化性ガス導入部より筐体の内部に導入されることで、燃焼ガス、燃料ガス及び酸化性ガスが触媒に供給される。すると、燃焼ガスによって触媒が加熱されて昇温するため、触媒により燃料ガスの燃焼及び改質が行われ、水素を含有した改質ガスが生成される。ここで、改質に寄与する燃料ガス及び酸化性ガスが筐体の内部に導入されると、燃焼ガスと燃料ガス及び酸化性ガスとが熱交換され、高温の燃焼ガスが燃料ガス及び酸化性ガスにより冷却される。このとき、混合部材によって燃焼ガス、燃料ガス及び酸化性ガスが混合されるため、燃焼ガスと燃料ガス及び酸化性ガスとの熱交換が促進される。また、混合部材は熱容量として機能するため、燃焼ガスのピーク温度が低下する。従って、高温の燃焼ガスが効果的に冷却される。これにより、燃焼ガスによって加熱対象である触媒が適切な温度で加熱される。
【0020】
燃料ガス供給部は、起動用ガス導入部に供給される燃料ガスの流量を制御する第1燃料ガスバルブと、燃料ガス導入部に供給される燃料ガスの流量を制御する第2燃料ガスバルブとを有し、酸化性ガス供給部は、起動用ガス導入部に供給される酸化性ガスの流量を制御する第1酸化性ガスバルブと、酸化性ガス導入部に供給される酸化性ガスの流量を制御する第2酸化性ガスバルブとを有し、制御ユニットは、改質装置の起動時に、第1燃料ガスバルブ、第1酸化性ガスバルブ、第2燃料ガスバルブ及び第2酸化性ガスバルブを開くように制御すると共に、点火部を点火させるように制御する第1制御部と、第1制御部により第1燃料ガスバルブ及び第1酸化性ガスバルブを開くように制御した後、第1燃料ガスバルブ及び第1酸化性ガスバルブを閉じるように制御する第2制御部とを有してもよい。このような構成では、改質装置の起動が開始された後、筐体の内部への起動用ガスの導入が停止する。従って、起動用ガスとしての燃料ガスが無駄に燃焼することが防止される。
【0021】
改質システムは、触媒の温度を検出する温度検出部を更に備え、第2制御部は、温度検出部により検出された触媒の温度が予め決められた規定温度以上になると、第1燃料ガスバルブ及び第1酸化性ガスバルブを閉じるように制御してもよい。このような構成では、触媒の温度が規定温度以上になると、第1燃料ガスバルブ及び第1酸化性ガスバルブが閉じる。このため、燃料ガスの燃焼及び改質が行われる適切な時期に、筐体の内部への起動用ガスの導入が停止する。従って、起動用ガスとしての燃料ガスが無駄に燃焼することが一層防止される。
【0022】
第1制御部は、改質装置の起動時に、まず第1燃料ガスバルブ及び第1酸化性ガスバルブを開くように制御し、その後第1燃料ガスバルブ及び第1酸化性ガスバルブの開度を小さくするように制御してもよい。このような構成では、改質装置の起動開始直後は、筐体の内部に導入される起動用ガスとしての燃料ガス及び酸化性ガスの流量を多くすることにより、混合部材によって筐体の内部の熱容量が増えても、改質装置の起動時間が短縮される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、加熱対象を適切な温度で加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る改質システムを示す概略構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る改質装置を示す構成図である。
【
図4】
図2のIVa-IVa線断面図及びIVb-IVb線断面図である。
【
図5】
図1に示された制御ユニットにより実行される制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示された改質システムの動作を示すタイミング図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る改質装置を示す構成図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る改質装置を示す構成図である。
【
図10】
図1に示された制御ユニットにより実行される制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に示された制御処理を実行する制御ユニットを備えた改質システムの動作を示すタイミング図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る燃焼器を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る改質システムを示す概略構成図である。
図1において、本実施形態の改質システム1は、アンモニアガス供給源2と、空気供給源3と、改質装置4とを具備している。
【0027】
アンモニアガス供給源2は、燃料ガスであるアンモニアガス(NH3ガス)を発生させる。アンモニアガス供給源2は、特に図示はしないが、アンモニアを液体状態で貯蔵するアンモニアタンクと、液体のアンモニアを気化させてアンモニアガスを生成する気化器とを有している。
【0028】
空気供給源3は、酸化性ガスである空気を発生させる。空気供給源3としては、例えば送風機等が用いられる。
【0029】
改質装置4は、空気によりアンモニアガスを燃焼させてアンモニアガスを改質することにより、水素を含有した改質ガスを生成する。なお、アンモニアガス及び空気は、改質を行うためのガスであると共に、燃焼ガス(後述)を生成するためのガスである。
【0030】
図2は、本発明の第1実施形態に係る改質装置を示す構成図である。
図2において、本実施形態の改質装置4は、改質器5と、この改質器5と連結された燃焼器6とを備えている。
【0031】
改質器5は、管状の筐体7と、この筐体7の内部に配置されたATR改質触媒8(自己熱式改質触媒)とを備えている。筐体7は、円管状を呈している。筐体7は、アンモニアガスに対して耐腐食性を有するステンレス鋼等の材料で形成されている。
【0032】
ATR改質触媒8は、アンモニアガスを燃焼させると共に、アンモニアガスの燃焼熱によりアンモニアガスを水素に分解することで、アンモニアガスを改質する触媒である。ATR改質触媒8は、例えばハニカム構造を呈し、筐体7に固定されている。
【0033】
ATR改質触媒8は、例えば200℃~400℃程度の温度領域においてアンモニアガスを燃焼させると共に、アンモニアガスの燃焼温度よりも高い温度領域(例えば250℃~500℃程度)においてアンモニアガスを改質する。ATR改質触媒8としては、例えばコバルト系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒またはパラジウム系触媒等が使用される。
【0034】
燃焼器6は、加熱対象であるATR改質触媒8を加熱するための燃焼ガスを発生させる管状火炎バーナである。燃焼器6は、管状の筐体9と、この筐体9に設けられた起動用ガス導入部10、アンモニアガス導入部11(燃料ガス導入部)及び空気導入部12(酸化性ガス導入部)と、筐体9に取り付けられた点火部13と、筐体9の内部に配置された混合部材14とを備えている。
【0035】
筐体9は、円管状を呈している。筐体9の径は、改質器5の筐体7の径よりも小さい。筐体9は、テーパ状の連結管15を介して筐体7と連結されている。筐体9は、筐体7と同じ材料で形成されている。
【0036】
起動用ガス導入部10は、
図3にも示されるように、筐体9の先端側に4つ設けられている。筐体9の先端は、筐体9における改質器5とは反対側の端である。筐体9の先端の開口は、フタ16で塞がれている。起動用ガス導入部10は、アンモニアガス及び空気を含む起動用ガスを筐体9の内部に導入する。なお、起動用ガスは、アンモニアガス及び空気以外のガスが僅かに含まれていてもよい。
【0037】
各起動用ガス導入部10は、筐体9の接線方向に延びるように等間隔で配置されている。従って、起動用ガスは、筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入されることとなる。このとき、起動用ガスは、アンモニアガス及び空気が混合した状態で筐体9の内部に導入される。ここでは、起動用ガス導入部10より筐体9の内部に導入されるアンモニアガス及び空気を、それぞれ起動用アンモニアガス及び起動用空気とする。
【0038】
起動用ガス導入部10は、上記の燃焼ガスを生成するための起動用アンモニアガス及び起動用空気を含む起動用ガスである第1ガスを筐体9の内部に導入する第1ガス導入部を構成している。
【0039】
アンモニアガス導入部11は、
図4(a)にも示されるように、筐体9における起動用ガス導入部10よりも下流側(改質器5側)に2つ設けられている。つまり、アンモニアガス導入部11は、筐体9における起動用ガス導入部10とATR改質触媒8との間に設けられている。アンモニアガス導入部11は、アンモニアガスを筐体9の内部に導入する。
【0040】
各アンモニアガス導入部11は、筐体9の接線方向に延びるように等間隔で配置されている。従って、アンモニアガスは、筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入されることとなる。ここでは、アンモニアガス導入部11より筐体9の内部に導入されるアンモニアガスを、改質用の主アンモニアガスとする。
【0041】
空気導入部12は、
図4(b)にも示されるように、筐体9におけるアンモニアガス導入部11よりも下流側に2つ設けられている。つまり、空気導入部12は、筐体9におけるアンモニアガス導入部11とATR改質触媒8との間に設けられている。空気導入部12は、空気を筐体9の内部に導入する。
【0042】
各空気導入部12は、筐体9の接線方向に延びるように等間隔で配置されている。従って、空気は、筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入されることとなる。空気導入部12は、例えばアンモニアガス導入部11に対応する位置に配置されている。ここでは、空気導入部12より筐体9の内部に導入される空気を、ATR反応用の主空気とする。
【0043】
アンモニアガス導入部11及び空気導入部12は、筐体9における起動用ガス導入部10とATR改質触媒8との間に設けられ、燃焼ガスを冷却するための主アンモニアガス及び主空気である第2ガスを筐体9の内部に導入する第2ガス導入部を構成している。
【0044】
なお、起動用ガス導入部10、アンモニアガス導入部11及び空気導入部12は、筐体9とは別体であってもよいし、筐体9と一体化されていてもよい。また、起動用ガス導入部10の数としては、特に4つには限られず、例えば2つでもよいし、或いは1つでもよい。アンモニアガス導入部11及び空気導入部12の数としては、特に2つには限られず、例えば1つでもよい。
【0045】
点火部13は、各起動用ガス導入部10より筐体9の内部に導入された起動用アンモニアガスを着火させる。点火部13は、フタ16に固定されている。点火部13は、例えばグロープラグまたはスパークプラグ等である。
【0046】
混合部材14は、筐体9の内部における空気導入部12よりも下流側に配置されている。つまり、混合部材14は、筐体9の内部における空気導入部12とATR改質触媒8との間に配置されている。混合部材14は、燃焼ガスと主アンモニアガス及び主空気とを混合させる部材である。混合部材14は、正面視で円形状を呈している。
【0047】
混合部材14は、混合部材14の圧力損失によって混合部材14の上流側で燃焼ガスと主アンモニアガス及び主空気とを混合させる。そのような混合部材14としては、例えば燃焼ガスと主アンモニアガス及び主空気とを撹拌させて混合させることが可能な多孔質体等が用いられる。多孔質体は、多くの細孔(空隙)が空いている個体である。なお、混合部材14は、複数の羽根形状を有していてもよい。
【0048】
図1に戻り、アンモニアガス供給源2と改質装置4とは、アンモニアガス流路17,18を介して接続されている。空気供給源3と改質装置4とは、空気流路19,20を介して接続されている。
【0049】
アンモニアガス流路17の一端は、アンモニアガス供給源2に接続されている。アンモニアガス流路17の他端は、改質装置4の各起動用ガス導入部10に接続されている。アンモニアガス流路17は、アンモニアガス供給源2から起動用ガス導入部10に起動用アンモニアガスが流れる流路である。
【0050】
アンモニアガス流路18の一端は、アンモニアガス流路17に接続されている。アンモニアガス流路18の他端は、改質装置4の各アンモニアガス導入部11に接続されている。アンモニアガス流路18は、アンモニアガス供給源2からアンモニアガス導入部11に主アンモニアガスが流れる流路である。
【0051】
空気流路19の一端は、空気供給源3に接続されている。空気流路19の他端は、アンモニアガス流路17に接続されている。空気流路19は、空気供給源3から起動用ガス導入部10に起動用空気が流れる流路である。
【0052】
空気流路20の一端は、空気流路19に接続されている。空気流路20の他端は、改質装置4の各空気導入部12に接続されている。空気流路20は、空気供給源3から空気導入部12に主空気が流れる流路である。
【0053】
アンモニアガス流路17には、起動用アンモニアガスバルブ21が配設されている。起動用アンモニアガスバルブ21は、起動用ガス導入部10に供給される起動用アンモニアガスの流量を制御する第1燃料ガスバルブである。空気流路19には、起動用空気バルブ22が配設されている。起動用空気バルブ22は、起動用ガス導入部10に供給される起動用空気の流量を制御する第1酸化性ガスバルブである。起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22としては、電磁式の流量制御弁が使用される。
【0054】
アンモニアガス流路18には、主アンモニアガスバルブ23が配設されている。主アンモニアガスバルブ23は、アンモニアガス導入部11に供給される主アンモニアガスの流量を制御する第2燃料ガスバルブである。空気流路20には、主空気バルブ24が配設されている。主空気バルブ24は、空気導入部12に供給される主空気の流量を制御する第2酸化性ガスバルブである。主アンモニアガスバルブ23及び主空気バルブ24としては、電磁式の流量制御弁が使用される。
【0055】
アンモニアガス供給源2、アンモニアガス流路17,18、起動用アンモニアガスバルブ21及び主アンモニアガスバルブ23は、改質装置4にアンモニアガスを供給するアンモニアガス供給部25(燃料ガス供給部)を構成している。空気供給源3、空気流路19,20、起動用空気バルブ22及び主空気バルブ24は、改質装置4に空気を供給する空気供給部26(酸化性ガス供給部)を構成している。
【0056】
改質装置4の改質器5には、改質ガス流路27を介して水素利用装置28が接続されている。改質ガス流路27は、改質器5から水素利用装置28に改質ガスが流れる流路である。
【0057】
水素利用装置28は、改質ガスに含まれる水素を利用する装置である。水素利用装置28としては、例えばアンモニアを燃料としたアンモニアエンジンまたはアンモニアガスタービン等の燃焼装置、或いは水素と空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池等が挙げられる。
【0058】
また、改質システム1は、温度センサ29と、制御ユニット30とを具備している。温度センサ29は、ATR改質触媒8の温度を検出する温度検出部である。温度センサ29は、例えばATR改質触媒8自体の温度を検出してもよいし、ATR改質触媒8に流入するガスの温度を検出してもよい。
【0059】
制御ユニット30は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット30は、温度センサ29の検出値に基づいて、アンモニアガス供給部25の起動用アンモニアガスバルブ21及び主アンモニアガスバルブ23と、空気供給部26の起動用空気バルブ22及び主空気バルブ24と、点火部13とを制御する。制御ユニット30は、第1制御部31と、第2制御部32とを有している。
【0060】
第1制御部31は、改質装置4の起動時に、起動用アンモニアガスバルブ21、起動用空気バルブ22、主アンモニアガスバルブ23及び主空気バルブ24を開くように制御すると共に、点火部13を点火させるように制御する。
【0061】
第2制御部32は、第1制御部31により起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22を開くように制御した後、温度センサ29により検出されたATR改質触媒8の温度が予め決められた規定温度以上になると、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22を閉じるように制御する。
【0062】
図5は、制御ユニット30により実行される制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、手動スイッチ等により改質装置4の起動が指示されると実行される。なお、本処理の実行前は、起動用アンモニアガスバルブ21、起動用空気バルブ22、主アンモニアガスバルブ23及び主空気バルブ24は、何れも全閉状態となっている。
【0063】
図5において、制御ユニット30は、まず改質装置4の起動が指示されると、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22を開くように制御する(手順S101)。これにより、燃焼器6の起動用ガス導入部10に起動用アンモニアガス及び起動用空気が供給される(
図6(a),(b)参照)。このとき、起動用アンモニアガス及び起動用空気の供給流量が規定値(例えば当量比)となるように、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22が制御される。
【0064】
続いて、制御ユニット30は、点火部13を点火させるように制御する(手順S102)。これにより、点火部13が点火するため、起動用アンモニアガスが着火して燃焼し、燃焼ガスが生成される。
【0065】
続いて、制御ユニット30は、主アンモニアガスバルブ23を開くように制御する(手順S103)。これにより、燃焼器6のアンモニアガス導入部11に主アンモニアガスが供給される(
図6(c)参照)。
【0066】
続いて、制御ユニット30は、主空気バルブ24を開くように制御する(手順S104)。これにより、燃焼器6の空気導入部12に主空気が供給される(
図6(d)参照)。このとき、主アンモニアガス及び主空気の供給流量が規定値(例えば当量比)となるように、主空気バルブ24が主アンモニアガスバルブ23と共に制御される。
【0067】
続いて、制御ユニット30は、温度センサ29の検出値を取得する(手順S105)。そして、制御ユニット30は、温度センサ29の検出値に基づいて、ATR改質触媒8の温度が規定温度T1(
図6(e)参照)以上であるかどうかを判断する(手順S106)。規定温度T1は、ATR改質触媒8により主アンモニアガスの燃焼が可能となる温度(燃焼可能温度)である。制御ユニット30は、ATR改質触媒8の温度が規定温度T1以上でないと判断したときは、手順S105を再度実行する。
【0068】
制御ユニット30は、ATR改質触媒8の温度が規定温度T1以上であると判断したときは、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22を閉じるように制御する(手順S107)。これにより、燃焼器6の起動用ガス導入部10への起動用アンモニアガス及び起動用空気の供給が停止する(
図6(a),(b)参照)。
【0069】
続いて、制御ユニット30は、温度センサ29の検出値を取得する(手順S108)。そして、制御ユニット30は、温度センサ29の検出値に基づいて、ATR改質触媒8の温度が規定温度T2(
図6(e)参照)以上であるかどうかを判断する(手順S109)。規定温度T2は、ATR改質触媒8により主アンモニアガスの改質が可能となる温度(改質可能温度)であり、規定温度T1よりも高い温度である。制御ユニット30は、ATR改質触媒8の温度が規定温度T2以上でないと判断したときは、手順S108を再度実行する。
【0070】
制御ユニット30は、ATR改質触媒8の温度が規定温度T2以上であると判断したときは、主アンモニアガスバルブ23及び主空気バルブ24の開度を制御する(手順S110)。このとき、ATR改質触媒8により適切な改質動作を行うための主アンモニアガス及び主空気の供給流量が設定されるように、主アンモニアガスバルブ及び主空気バルブの開度が制御される(
図6(c),(d)参照)。
【0071】
ここで、第1制御部31は、上記の手順S101~S104を実行する。第2制御部32は、上記の手順S105~S110を実行する。なお、制御ユニット30は、上記の手順S101または手順S110を実行した後に、点火部13の点火を停止させる。
【0072】
以上のような改質システム1において、改質装置4の起動が指示されると、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22が開弁することで、
図6(a),(b)に示されるように、起動用アンモニアガス及び起動用空気が燃焼器6の起動用ガス導入部10に供給される。そして、起動用ガス導入部10より燃焼器6の筐体9の内部に起動用アンモニアガス及び起動用空気が導入される。このとき、起動用アンモニアガス及び起動用空気は、筐体9の接線方向に導入されるため、筐体9の内部において管状流となる。
【0073】
その状態で点火部13が点火すると、起動用アンモニアガスが着火して管状火炎が形成され、起動用アンモニアガスが燃焼する。具体的には、下記式のように、アンモニアと空気中の酸素とが化学反応し、燃焼ガスが生成される(発熱反応)。
NH3+3/4O2→1/2N2+3/2H2O …(A)
【0074】
このとき、管状火炎の温度は、例えば1000℃~1700℃程度まで上昇する。このため、上記のアンモニアの酸化反応により高温の燃焼ガスが発生する。高温の燃焼ガスは、筐体9の内部を改質器5に向かって旋回して流れる。
【0075】
また、主アンモニアガスバルブ23が開弁することで、
図6(c)に示されるように、主アンモニアガスが燃焼器6のアンモニアガス導入部11に供給される。そして、アンモニアガス導入部11より筐体9の内部に主アンモニアガスが導入される。主アンモニアガスの温度は、室温程度であり、燃焼ガスの温度に比べて十分に低い。このため、主アンモニアガスと燃焼ガスとが熱交換される。具体的には、主アンモニアガスは、燃焼ガスから熱をもらって加熱されると共に、燃焼ガスを冷却する。このとき、主アンモニアガスを含んだ燃焼ガスの温度は、アンモニアガスの発火温度(例えば大気中で650℃程度)よりも下がる。このため、筐体9の内部で主アンモニアガスが燃焼状態に移行することはない。
【0076】
また、主空気バルブ24が開弁することで、
図6(d)に示されるように、主空気が燃焼器6の空気導入部12に供給される。そして、空気導入部12より筐体9の内部に主空気が導入される。主空気の温度も、室温程度である。このため、主空気と主アンモニアガスを含んだ燃焼ガスとが熱交換される。具体的には、主空気は、主アンモニアガスを含んだ燃焼ガスから熱をもらって加熱されると共に、主アンモニアガスを含んだ燃焼ガスを冷却する。このとき、主アンモニアガス及び主空気を含んだ燃焼ガスの温度は、例えば200℃~400℃程度まで下がる。
【0077】
このとき、混合部材14によって、燃焼ガス、主アンモニアガス及び主空気の撹拌が起こり、燃焼ガス、主アンモニアガス及び主空気が混合される。このため、燃焼ガス、主アンモニアガス及び主空気が混合された混合ガスの温度分布及び流量分布が略均一化される。混合部材14を通過した混合ガスは、温度分布及び流量分布が略均一化された状態で改質器5に供給される。
【0078】
燃焼ガス、主アンモニアガス及び主空気を含んだ混合ガスが改質器5の筐体7の内部に導入されると、ATR改質触媒8が加熱(暖機)され、ATR改質触媒8の温度が上昇する。
【0079】
そして、
図6(e)に示されるように、ATR改質触媒8の温度が規定温度T1(燃焼可能温度)に達すると、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22が閉弁することで、
図6(a),(b)に示されるように、起動用ガス導入部10への起動用アンモニアガス及び起動用空気の供給が停止する。従って、起動用アンモニアガスの燃焼が停止する。
【0080】
また、ATR改質触媒8の温度が規定温度T1に達すると、ATR改質触媒8により主アンモニアガスが燃焼する。すると、上記(A)式の発熱反応が起こり、燃焼ガスが生成される。そして、その燃焼ガスの熱(燃焼熱)によってATR改質触媒8の温度が更に上昇する。
【0081】
そして、ATR改質触媒8の温度が規定温度T2(改質可能温度)に達すると、主アンモニアガスバルブ23及び主空気バルブ24の開度が調整されることで、
図6(c),(d)に示されるように、アンモニアガス導入部11及び空気導入部12にそれぞれ供給される主アンモニアガスバルブ及び主空気の流量が調整される。ここでは、主空気の流量が減少するだけで、主アンモニアガスの流量は変化していないが、主アンモニアガス及び主空気の流量を何れも変えてもよい。
【0082】
また、ATR改質触媒8の温度が規定温度T2に達すると、ATR改質触媒8により主アンモニアガスが改質される。具体的には、下記式のように、アンモニアの分解反応が起こり(吸熱反応)、水素を含む改質ガスが生成される。改質ガスは、水素利用装置28に供給される。
NH3→3/2H2+1/2N2 …(B)
【0083】
以上のように本実施形態にあっては、改質装置4の起動時には、アンモニアガス及び空気を含む起動用ガスが起動用ガス導入部10より筐体9の内部に導入されると共に、点火部13が点火することで、アンモニアガスが着火して燃焼し、高温の燃焼ガスが生成される。また、アンモニアガスがアンモニアガス導入部11より筐体9の内部に導入されると共に、空気が空気導入部12より筐体9の内部に導入されることで、燃焼ガス、アンモニアガス及び空気がATR改質触媒8に供給される。すると、燃焼ガスによってATR改質触媒8が加熱されて昇温するため、ATR改質触媒8によりアンモニアガスの燃焼及び改質が行われ、水素を含有した改質ガスが生成される。ここで、改質に寄与するアンモニアガス及び空気が筐体9の内部に導入されると、燃焼ガスとアンモニアガス及び空気とが熱交換され、高温の燃焼ガスがアンモニアガス及び空気により冷却される。このとき、混合部材14によって燃焼ガス、アンモニアガス及び空気が混合されるため、燃焼ガスとアンモニアガス及び空気との熱交換が促進される。また、混合部材14は熱容量として機能するため、燃焼ガスのピーク温度が低下する。従って、高温の燃焼ガスが効果的に冷却される。これにより、燃焼ガスによってATR改質触媒8が適切な温度で加熱される。その結果、ATR改質触媒8が熱くなり過ぎて劣化することが防止される。
【0084】
また、点火部13によって起動用ガスとしてのアンモニアガスを着火・燃焼させて発生した高温の燃焼ガスの熱を利用してATR改質触媒8を加熱するので、改質に寄与するアンモニアガスが着火するまでの時間が短くなる。これにより、改質装置4の起動時間が短縮される。また、アンモニアガス、空気またはATR改質触媒8を加熱するためのヒータ等が不要となる。
【0085】
また、本実施形態では、空気導入部12は、筐体9におけるアンモニアガス導入部11とATR改質触媒8との間に設けられている。このため、アンモニアガス導入部11より筐体9の内部に導入されたアンモニアガスは、燃焼ガスからの熱を受けることで、燃焼ガスの温度を下げる。そして、空気導入部12より筐体9の内部に導入された空気は、アンモニアガスを含んだ燃焼ガスからの熱を受けることで、アンモニアガスを含んだ燃焼ガスの温度を下げる。ここで、アンモニアガスの比熱は空気の比熱よりも高いため、アンモニアガスは空気よりも少ない流量で吸熱可能である。このため、アンモニアガスの吸熱による燃焼ガスの温度低下が大きくなる。従って、高温の燃焼ガスがより効果的に冷却される。
【0086】
また、本実施形態では、アンモニアガス及び空気を含む起動用ガスは、筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入される。従って、起動用ガスが管状流となり、その状態でアンモニアガスが着火して管状火炎が形成される。このため、高温の燃焼ガスが筐体9の内部をATR改質触媒8に向かって旋回して流れる。そして、改質に寄与するアンモニアガス及び空気が筐体9の内部に導入されると、旋回流の燃焼ガスが冷却される。このとき、燃焼ガス、アンモニアガス及び空気が混合部材14により混合されるため、燃焼ガスの旋回流にかかわらず、燃焼ガスの温度分布及び流量分布の均一性が確保される。従って、ATR改質触媒8が局所的に加熱されることが防止される。
【0087】
また、本実施形態では、アンモニアガスは、アンモニアガス導入部11より筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入され、空気は、空気導入部12より筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入される。よって、筐体9の内部に導入されたアンモニアガス及び空気は、管状流となるため、ATR改質触媒8に向かって旋回して流れる。このため、改質に寄与するアンモニアガス及び空気は、旋回流の燃焼ガスに対して同様の流れで混合することになる。従って、燃焼ガスとアンモニアガス及び空気との混合経路が長くなるため、燃焼ガスの温度分布及び流量分布の均一性が十分に確保される。また、アンモニアガス及び空気の混合比が均等化されるため、ATR改質触媒8においてアンモニアガスが着火・燃焼しやすくなる。
【0088】
また、本実施形態では、改質装置4の起動時に、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22が開くように制御された後、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22が閉じるように制御される。従って、改質装置4の起動が開始された後に、筐体9の内部への起動用ガスの導入が停止する。従って、起動用ガスとしてのアンモニアガスが無駄に燃焼することが防止される。
【0089】
また、本実施形態では、温度センサ29により検出されたATR改質触媒8の温度が規定温度以上になると、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22が閉じるように制御される。このため、アンモニアガスの燃焼及び改質が行われる適切な時期に、筐体9の内部への起動用ガスの導入が停止する。従って、起動用ガスとしてのアンモニアガスが無駄に燃焼することが一層防止される。
【0090】
図7は、本発明の第2実施形態に係る改質装置を示す構成図である。
図7において、本実施形態の改質装置4は、上記の第1実施形態における混合部材14に代えて、正面視で円形状の混合部材40を備えている。
【0091】
混合部材40は、改質器5の筐体7の内部におけるATR改質触媒8よりも上流側に配置されている。つまり、混合部材40は、筐体7の内部における空気導入部12とATR改質触媒8との間に配置されている。
【0092】
混合部材40は、
図8に示されるように、バルク部41と、多孔質部42とを有している。つまり、混合部材40の一部は、多孔質体となっている。バルク部41は、細孔が空いていない緻密体である。従って、燃焼器6の筐体9の内部を流れる燃焼ガス、主アンモニアガス及び主空気を含んだ混合ガスが混合部材40を通過する際には、混合ガスはバルク部41を通過せずに多孔質部42を通過する。
【0093】
例えば、
図8(a)に示される混合部材40では、混合部材40の径方向中心部に円形状の多孔質部42が配置され、この多孔質部42の周囲に円環状のバルク部41が配置されている。この場合には、混合部材40を通過した燃焼ガスは、ATR改質触媒8の径方向中心部に入りやすい。このため、ATR改質触媒8の径方向中心部が加熱されやすくなる。
【0094】
また、
図8(b)に示される混合部材40では、複数(ここでは4つ)の円形状の多孔質部42が混合部材40の周方向に沿って配置され、各多孔質部42の周囲にバルク部41が配置されている。この場合には、混合部材40を通過した燃焼ガスは、ATR改質触媒8における径方向中心部と外周部との間の領域に入りやすい。このため、ATR改質触媒8における径方向中心部と外周部との間の領域が加熱されやすくなる。
【0095】
このように本実施形態においては、混合部材40の一部が多孔質体である。このため、混合部材40を通過した燃焼ガスは、ATR改質触媒8にスポット的に供給されることになる。従って、ATR改質触媒8がスポット的に加熱される。
【0096】
図9は、本発明の第3実施形態に係る改質装置を示す構成図である。
図8において、本実施形態の改質装置4は、上記の第1実施形態における混合部材14に代えて、混合部材45,46を備えている。混合部材45,46の構造は、上記の混合部材14と同様である。
【0097】
混合部材45は、燃焼器6の筐体9の内部におけるアンモニアガス導入部11と空気導入部12との間に配置されている。混合部材45は、燃焼ガスと主アンモニアガスとを混合させる第1混合部材である。
【0098】
混合部材46は、筐体9の内部における空気導入部12よりも下流側に配置されている。つまり、混合部材46は、筐体9の内部における空気導入部12とATR改質触媒8との間に配置されている。混合部材46は、混合部材45を通過した主アンモニアガスを含んだ燃焼ガスと主空気とを混合させる第2混合部材である。
【0099】
このように本実施形態においては、混合部材45によって燃焼ガス及びアンモニアガスが混合される。このため、燃焼ガスとアンモニアガスとの熱交換が促進される。また、混合部材45は熱容量として機能するため、燃焼ガスのピーク温度が低下する。さらに、混合部材46によってアンモニアガスを含んだ燃焼ガス及び空気が混合される。このため、アンモニアガスを含んだ燃焼ガスと空気との熱交換が促進される。従って、高温の燃焼ガスが一層効果的に冷却される。
【0100】
図10は、制御ユニット30により実行される制御処理の手順の変形例を示すフローチャートであり、
図5に対応している。本変形例では、制御ユニット30は、上記の第1実施形態と同様に、第1制御部31と、第2制御部32とを有している。第1制御部31及び第2制御部32の基本的な機能は、上記の第1実施形態と同様である。
【0101】
このとき、第1制御部31は、改質装置4の起動時に、まず起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22を開くように制御し、その後起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22の開度を小さくするように制御する。
【0102】
図10において、制御ユニット30は、改質装置4の起動が指示されると、上記の第1実施形態と同様に、手順S101~S104を順次実行する。これにより、起動用ガス導入部10に起動用アンモニアガス及び起動用空気が供給され(
図11(a),(b)参照)、アンモニアガス導入部11に主アンモニアガスが供給され(
図11(c)参照)、空気導入部12に主空気が供給される(
図11(d)参照)。このとき、起動用アンモニアガス及び起動用空気の供給流量は、
図5の手順101における規定値よりも多くなるように設定される。
【0103】
続いて、制御ユニット30は、手順S101の実行を開始してから規定時間が経過したかどうかを判断する(手順S111)。規定時間は、例えば混合部材14による筐体9の内部の熱容量分を加味して決定される。
【0104】
制御ユニット30は、規定時間が経過したと判断したときは、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22の開度を小さくするように制御する(手順S112)。これにより、起動用ガス導入部10に供給される起動用アンモニアガス及び起動用空気の流量が減少する(
図11(a),(b)参照)。このとき、起動用アンモニアガス及び起動用空気の供給流量は、
図5の手順101における規定値に設定される。
【0105】
続いて、制御ユニット30は、上記の第1実施形態と同様に、手順S105~S110を順次実行する。
【0106】
ここで、第1制御部31は、上記の手順S101~S104,S111,S112を実行する。第2制御部32は、上記の手順S105~S110を実行する。
【0107】
本変形例においては、改質装置4の起動開始直後は、筐体9の内部に供給される起動用ガスとしてのアンモニアガス及び空気の流量を多くすることにより、混合部材14によって筐体9の内部の熱容量が増えても、改質装置4の起動時間が短縮される。
【0108】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、燃焼器6において全ての起動用ガス導入部10より起動用アンモニアガス及び起動用空気の混合ガスが筐体9の内部に導入されているが、特にその形態には限られず、何れかの起動用ガス導入部10より起動用アンモニアガスのみを筐体9の内部に導入し、残りの起動用ガス導入部10より起動用空気のみを筐体9の内部に導入してもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、起動用ガス導入部10は、起動用アンモニアガス及び起動用空気を筐体9の接線方向に導入し、アンモニアガス導入部11は、主アンモニアガスを筐体9の接線方向に導入し、空気導入部12は、主空気を筐体9の接線方向に導入しているが、特にそのような形態には限られない。例えば、起動用ガス導入部10は、起動用アンモニアガス及び起動用空気を筐体9の径方向に導入し、アンモニアガス導入部11は、主アンモニアガスを筐体9の径方向に導入し、空気導入部12は、主空気を筐体9の径方向に導入してもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、筐体9におけるアンモニアガス導入部11よりも改質器5側に空気導入部12が設けられているが、特にその形態には限られず、筐体9における空気導入部12よりも改質器5側にアンモニアガス導入部11を設けてもよいし、或いはアンモニアガス導入部11及び空気導入部12を筐体9の同じ位置に設けてもよい。
【0111】
また、本実施形態では、温度センサ29により検出されたATR改質触媒8の温度が規定温度T1(燃焼可能温度)以上になると、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22が閉じるように制御されているが、特にその形態には限られず、例えばATR改質触媒8の温度が規定温度T2(改質可能温度)以上になると、起動用アンモニアガスバルブ21及び起動用空気バルブ22を閉じるように制御してもよい。
【0112】
また、本実施形態では、主アンモニアガスバルブ23が開くように制御された直後に、主空気バルブ24が開くように制御されているが、特にそのような形態には限られない。例えばATR改質触媒8の触媒材料によっては、燃焼ガスの温度がアンモニアガスの発火温度(前述)よりも低下した後に、主空気バルブ24を開くように制御してもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、温度センサ29によりATR改質触媒8の温度が検出されているが、特に温度センサ29を使用しなくてもよく、例えばアンモニアガスの流量、空気の流量、時間及び室温等からATR改質触媒8の温度を推定してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、改質器5の筐体7及び燃焼器6の筐体9は、円管状を呈しているが、特にそれには限られず、筐体7,9は、例えば角管状を呈していてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、改質装置4は、アンモニアガスを燃焼させると共にアンモニアガスを水素に分解するATR改質触媒8を備えているが、特にそのような形態には限られない。改質装置4は、アンモニアガスを燃焼させる燃焼触媒と、アンモニアガスを水素に分解する改質触媒とを別々に備えていてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、燃料ガスとしてアンモニアガスが使用されているが、本発明は、燃料ガスとして炭化水素ガス等を使用した改質装置及び改質システムにも適用可能である。
【0117】
また、上記実施形態では、酸化性ガスとして空気が使用されているが、本発明は、酸化性ガスとして酸素を使用した改質装置及び改質システムにも適用可能である。
【0118】
さらに、上記実施形態は、改質装置4を具備した改質システム1であるが、本発明は、加熱対象を加熱するための燃焼ガスを発生させる燃焼器であれば、適用可能である。
【0119】
図12は、本発明の一実施形態に係る燃焼器を示す構成図である。
図12において、本実施形態の燃焼器50は、管状火炎バーナである。燃焼器50は、加熱対象51に連結された上記の筐体9を備えている。筐体9の先端部には、上記の点火部13が取り付けられている。筐体9の内部には、上記の混合部材14が配置されている。また、筐体9には、第1ガス導入部52及び第2ガス導入部53が設けられている。
【0120】
第1ガス導入部52は、上記の起動用ガス導入部10と同様である。従って、第1ガス導入部52は、アンモニアガス及び空気を含む第1ガスを筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入する。
【0121】
第2ガス導入部53は、上記のアンモニアガス導入部11と同様である。従って、第2ガス導入部53は、燃焼ガスを冷却するための第2ガスを筐体9の内部に筐体9の接線方向に導入する。ここでは、第2ガスとして、アンモニアガスが用いられている。なお、第2ガスとしては、他の燃料ガスまたは酸化性ガスを用いてもよい。
【0122】
このような燃焼器50においては、アンモニアガス及び空気を含む第1ガスが第1ガス導入部52より筐体9の内部に導入されると共に、点火部13が点火することで、アンモニアガスが着火して燃焼し、高温の燃焼ガスが生成される。そして、第2ガスが第2ガス導入部53より筐体9の内部に導入されると、燃焼ガスと第2ガスとが熱交換され、高温の燃焼ガスが第2ガスにより冷却される。このとき、混合部材14によって燃焼ガス及び第2ガスが混合されるため、燃焼ガスと第2ガスとの熱交換が促進される。また、混合部材14は熱容量として機能するため、燃焼ガスのピーク温度が低下する。従って、高温の燃焼ガスが効果的に冷却される。これにより、燃焼ガスによって加熱対象51が適切な温度で加熱される。
【0123】
なお、燃焼器50においても、上記の改質装置4及び改質システム1と同様に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形可能である。
【符号の説明】
【0124】
1…改質システム、4…改質装置、6…燃焼器、7…筐体、8…ATR改質触媒(触媒、加熱対象)、9…筐体、10…起動用ガス導入部(第1ガス導入部)、11…アンモニアガス導入部(燃料ガス導入部、第2ガス導入部)、12…空気導入部(酸化性ガス導入部、第2ガス導入部)、13…点火部、14…混合部材、21…起動用アンモニアガスバルブ(第1燃料ガスバルブ)、22…起動用空気バルブ(第1酸化性ガスバルブ)、23…主アンモニアガスバルブ(第2燃料ガスバルブ)、24…主空気バルブ(第2酸化性ガスバルブ)、25…アンモニアガス供給部(燃料ガス供給部)、26…空気供給部(酸化性ガス供給部)、29…温度センサ(温度検出部)、30…制御ユニット、31…第1制御部、32…第2制御部、40…混合部材、42…多孔質部、45…混合部材(第1混合部材)、46…混合部材(第2混合部材)、50…燃焼器、51…加熱対象、52…第1ガス導入部、53…第2ガス導入部、T1…規定温度。